(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789102
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G01D 11/28 20060101AFI20150917BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
G01D11/28 L
G01D11/28 B
B60K35/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-30526(P2011-30526)
(22)【出願日】2011年2月16日
(65)【公開番号】特開2012-168076(P2012-168076A)
(43)【公開日】2012年9月6日
【審査請求日】2014年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100108017
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100166110
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】大倉 健嗣
【審査官】
榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−270055(JP,A)
【文献】
特開2003−186427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/28
B60K 35/00
G12B 11/00 − 04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
該基板に対向配置された文字板と、
前記基板に搭載される光源と、
前記光源からの光を前記文字板に向けて導光する導光板と、
前記基板と前記文字板との間に設けられて前記導光板を収容するケース部と、を備えた表示装置において、
前記導光板が、前記文字板の背面側にて当該文字板に対向配置される板状の本体部と、該本体部の端部から前記光源に向かって突出した入射部と、を有し、
前記ケース部が、前記文字板側の表面から凹に形成されて前記本体部が収容される収容部と、前記収容部において、前記本体部の前記文字板とは反対側に対向配置される底部を貫通して設けられて、前記入射部を通す貫通孔と、前記貫通孔の周縁から前記基板に向かって筒状に立設されて前記入射部を収容する周壁と、を有し、
前記筒状の周壁は、その内表面が、前記基板から離れるに従って前記光源を通り前記基板と垂直な直線から離れる方向に傾斜して設けられているとともに、前記入射部が収容された状態で、前記入射部から離間して設けられていることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの移動体に掲載される表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した表示装置としては、自動車などの車両に搭載されるメータが知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。従来、このようなメータとして、例えば
図5〜
図7に示されたものが知られている(特許文献1、2)。
図5は、従来のメータの断面図である。
図6は、
図5に示されたメータの要部を拡大して示す断面図である。
図7は、
図6に示されたメータにおいて、光源からの光の進み方を説明するための図である。
【0003】
同図に示すように、メータ101は、光源2と、文字板3と、指針4(
図1に示す)と、内機(図示しない)と、基板5と、導光板6と、見返し部7(
図1に示す)と、ケース部108と、前記ケース部108の乗員と反対側の背面を覆う裏カバー9と、ケース部108の乗員側の正面を覆う表カバー10と、を備えている。
【0004】
上記光源2は基板5に搭載されている。また、光源2は、当該光源2からの光を導光板6に入射するように、導光板6の後述する受光面6aと対向する位置に設けられている。
【0005】
上記文字板3は光源2の正面側に配置されている。また、文字板3は円盤状に形成されている。また、文字板3には自動車の状況を示すための複数の意匠3a及び指標3b(
図1に示す)が形成されている。また、文字板3は透明基板(図示しない)と、前記透明基板の正面側に設けられた意匠表示層(図示しない)と、前記意匠表示層の正面側に設けられ意匠3aが除かれた遮光層(図示しない)と、で構成されている。
【0006】
また、本明細書では、文字板3のうち、導光板6の後述する本体部61に対向する位置を第1文字板部位3Aと記し、導光板6の後述する入射部62に対向する位置を第2文字板部位3B´と記す。上記意匠3aは、前述した第2文字板部位3B´に設けられている。
【0007】
上記指針4は文字板3の正面側に配置されている。また、指針4は内機によって駆動される。
【0008】
上記基板5は文字板3の背面側に配置されている。また、基板5には内機や光源2が搭載されている。
【0009】
上記導光板6は導光材料によって構成されている。また、導光板6は光源2と文字板3との間に設けられている。即ち、導光板6は光源2の正面側に配置されている。また、導光板6は、文字板3の背面側に重ねられる本体部61と、前記本体部61の端部から光源2に向かって突出した入射部62と、を備えている。上記入射部62には本体部61から離れた側の光源2と対向する位置に受光面6aが設けられている。
【0010】
上記見返し部7は文字板3の正面側に配置されている。また、見返し部7には該見返し部7を貫通する露出窓7aが設けられている。
【0011】
上記ケース部108は、
図6に示すように、光源2を搭載された基板5及び導光板6を収容している。また、ケース部108には、導光板6の本体部61を収容する収容部181と、前記収容部181の底部に形成され、導光板6の入射部62を通す貫通孔108aと、貫通孔108aの周縁から基板5に向かって立設された入射部62及び光源2を収容する筒状の周壁108bと、が設けられている。上記収容部181は、文字板3側、即ち正面側の表面から凹に形成されている。また、ケース部108の内表面は白色に形成されており、光源2からの光を反射するように設けられている。
【0012】
上記周壁108bは、背面側の開口から正面側の開口までの内径寸法が一定となるように形成されている。即ち、光源2の光軸LLと周壁108bとは互いに平行である。
【0013】
次に、上述した構成の従来のメータ101において、光源2から出射される光の進み方について、
図7を参照して以下に説明する。まず、光源2から出射された光の一部である光L1、L3は、受光面6aから導光板6内に入射される。この導光板6内に入射された光L1、L3のうち光L1は、導光板6内を導光して本体部61に進み、文字板3の本体部61と対向する第1文字板部位3Aに出射される。また、導光板6内に入射された光L1、L3のうち光L3は、本体部61に進まず、文字板3の入射部62に対向する第2文字板部位3B´に出射される。
【0014】
また、上記第2文字板部位3B´には、上記光L3に加えて、光源2から出射された光のうち導光板6に入射されずに周壁108bで反射された光L2も出射される。上述したように、周壁108bは、光源2の光軸LLと平行になるように形成されている。よって該周壁108bで反射された光L2は、光軸LLに向かうように集光して反射された後、第2文字板部位3B´から出射される。
【0015】
故に、文字板3における第2文字板部位3B´の輝度は、第1文字板部位3Aの輝度よりも高くなるので、文字板3のうち第1文字板部位3Aと第2文字板部位3B´との輝度ムラ(輝度変化)が生じてしまう、という問題があった。
【0016】
そこで、見返し部7によって第2文字板部位3B´が遮蔽され、第1文字板部位3Aのみが露出するように露出窓7aを形成していたが、第2文字板部位3B´を遮蔽することで、文字板3のうち乗員に対して露出するスペースが狭くなってしまい、そのために、意匠3aのデザインに制限が生じてしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平8−94394号公報
【特許文献2】特開2009−300292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上記課題に係る問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、輝度ムラを抑制することにより、自動車の状況を示すために必要なスペースを確保することでデザインに制限が生じることなく意匠を形成することができる表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1に記載の本発明は、基板と、該基板に対向配置された文字板と、前記基板に搭載される光源と、前記光源からの光を前記文字板に向けて導光する導光板と、前記基板と前記文字板との間に設けられて前記導光板を収容するケース部と、を備えた表示装置において、前記導光板が、前記文字板の背面側にて当該文字板に対向配置される板状の本体部と、該本体部の端部から前記光源に向かって突出した入射部と、を有し、前記ケース部が、前記文字板側の表面から凹に形成されて前記本体部が収容される収容部と、前記収容部において、
前記本体部の前記文字板とは反対側に対向配置される底部を貫通して設けられて、前記入射部を通す貫通孔と、前記貫通孔の周縁から前記基板に向かって筒状に立設されて前記入射部を収容する周壁と、を有し、前記筒状の周壁は、その内表面が、前記基板から離れるに従って前記光源を通り前記基板と垂直な直線から離れる方向に傾斜して設けられているとともに、前記入射部が収容された状態で、前記入射部から離間して設けられていることを特徴とする表示装置である。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の本発明によれば、周壁の内表面が正面側に向かうに従って入射部から離れる方向に傾斜しているので、周壁の内表面で反射した光が、光源の光軸から離れるように拡散して反射された後、第2文字板部位から出射されることとなる。よって、第2文字板部位の輝度が下げられ、第2文字板部位の輝度が第1文字板部位に近付けられるので、輝度ムラがなくなり、第2文字板部位を乗員に対して露出することができる。第2文字板部位を乗員に対して露出することで、自動車の状況を示すために必要なスペースを確保することとなり、デザインに制限が生じることなく意匠を形成することができる表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】
図1に示されたメータを構成する導光板がケース部に近付けられる様子を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示されたメータの要部を拡大して示す断面図である。
【
図4】
図3に示されたメータにおいて、光源からの光の進み方を説明するための図である。
【
図6】
図5に示されたメータの要部を拡大して示す断面図である。
【
図7】
図6に示されたメータにおいて、光源からの光の進み方を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施の形態にかかる表示装置としてのスピードメータを、
図1乃至
図4を参照して説明する。
図1には、自動車の速度を示すスピードメータ1と、自動車のエンジンの回転数を示すタコメータ30と、が搭載されたコンビネーションメータ11が示されているが、本実施形態では、スピードメータ1を一例に説明する。
【0023】
上記スピードメータ(以下、メータと記す)1は、
図1に示すように、光源2と、文字板3と、指針4と、内機(図示しない)と、基板5と、導光板6と、見返し部7と、ケース部8と、前記ケース部8の乗員と反対側の背面を覆う裏カバー9と、ケース部8の乗員側の正面を覆う表カバー10と、を備えている。上記光源2、文字板3、指針4、内機、基板5、導光板6、見返し部7、裏カバー11、表ガラス12については、上述した背景技術で説明したものと同等であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0024】
上記ケース部8は、
図2に示すように、光源2を搭載された基板5及び導光板6を収容している。また、ケース部8には、導光板6の本体部61を収容する収容部81と、前記収容部81の底部に形成され、導光板6の入射部62を通す貫通孔8aと、貫通孔8aの周縁から基板5に向かって立設された入射部62及び光源2を収容する筒状の周壁8bと、が設けられている。上記収容部81は、文字板3側、即ち正面側の表面から凹に形成されている。また、ケース部8の内表面は白色に形成されており、光源2からの光を反射するように設けられている。
【0025】
上記貫通孔8aは、
図2に示すように長方形状に設けられている。そして、この貫通孔8aの周縁から立設された周壁8bは、角筒状に設けられている。上記周壁8bは内表面が、
図3に示すように、基板5から離れるに従って光源2を通り基板5と垂直な直線、即ち光軸LLから離れる方向に傾斜している。
【0026】
次に、上述した構成のメータ1において、光源2から出射される光の進み方について、
図4を参照して以下説明する。まず、光源2から出射された光の一部である光L1、L3は、受光面6aから導光板6内に入射される。この導光板6内に入射された光L1、L3のうち光L1は、導光板6内を導光して本体部61に進み、文字板3の本体部61と対向する第1文字板部位3Aに出射される。また、導光板6内に入射された光L1、L3のうち光L3は、本体部61に進まず、文字板3の入射部62に対向する第2文字板部位3Bに出射される。
【0027】
また、上記第2文字板部位3Bには、上記光L3に加えて、光源2から出射された光のうち導光板6に入射されずに周壁8bで反射された光L2も出射される。上述したように、周壁8bは、正面に向かうに従って入射部62から離れる方向に傾斜している。よって、周壁8bで反射された光L2のほとんどは、光軸LLから離れるように拡散して反射された後、第2文字板部位3Bから出射される。
【0028】
こうして、光源2から出射した光L1、L2、L3は文字板3に入射された後、遮光層が形成されていない部分、即ち意匠3a及び指標3bを透過して文字板3の正面側に出射される。これにより、乗員に文字板3上に形成された意匠3a及び指標3bが光輝して視認される。
【0029】
上述した実施形態によれば、周壁8bの内表面が基板5から離れるに従って光軸LLから離れる方向に傾斜しているので、従来よりも周壁8bでの反射角度を大きくすることができ、周壁8bの内表面で反射した光L2のほとんどが、光源2の光軸LLから離れるように拡散して反射された後、第2文字板部位3Bから出射されることとなる。よって、第2文字板部位3Bの輝度が下げられ、第2文字板部位3Bの輝度が第1文字板部位3Aに近付けられるので、輝度ムラがなくなり、第2文字板部位3Bを乗員に対して露出することができる。第2文字板部位3Bを乗員に対して露出することで、自動車の状況を示すために必要なスペースを確保することとなり、デザインに制限が生じることなく意匠を形成することができる表示装置を提供することができる。
【0030】
なお、上述した実施形態では、ケース部8の内表面は白色に形成されており、光源2からの光を反射するように設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、ケース部8の内表面が光源2からの光を反射するようにケース部8の内表面が、該内表面から凹凸に形成されていてもよく、ケース部8の内表面にシボ加工が施されていてもよい。
【0031】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 メータ(表示装置)
2 光源
3 文字板
5 基板
6 導光板
61 本体部
62 入射部
8 ケース部
8a 貫通孔
8b 周壁
81 収容部