【実施例1】
【0011】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1における認証印刷システムの概略の構成例を示すブロック図である。
【0012】
本実施例1の認証印刷システ1は、画像形成装置10と、ネットワーク等の伝送路23を介して接続されたパーソナルコンピュータ等(以下「PC」という。)からなるクライアントPC20と、により構成されている。クライアントPC20は、プリンタドライバ21を有している。プリンタドライバ21は、認証印刷データ12aを作成し、画像形成装置10に送信する機能を有している。
【0013】
画像形成装置10は、データ受信部11、印刷データ格納部12、印刷データ制御部13、印刷制御部14、印刷部15、操作パネル制御部16、操作パネル部17、対応表保持部18、識別情報照合部19、ICカード媒体情報取得部30を搭載している。
【0014】
データ受信部11は、クライアントPC20から送られてくる認証印刷データ12aを受信し、受信した認証印刷データ12aを印刷データ格納部12へ出力する機能を有している。
【0015】
印刷データ格納部12は、データ受信部11から入力された認証印刷データ12aを記憶領域に格納すると共に、印刷データ制御部13からの命令により、認証印刷データ12aを印刷データ制御部13へ出力し、又は、認証印刷データ12aを削除する機能を有している。
【0016】
印刷データ制御部13は、印刷データ格納部12に保持されている印刷認証データ12aを読み出して、読み出した認証印刷データ12aを印刷制御部14へ出力する機能を有している。印刷制御部14は、印刷データ制御部13から入力された認証印刷データ12aに基づき印刷処理を制御する機能を有している。印刷部15は、印刷制御部14に制御されて、入力された認証印刷データ12aを紙等の記録媒体に印刷する機能を有している。
【0017】
操作パネル制御部16は、操作パネル部17の表示部17bに表示する画像のデータを生成し、画像表示の命令を操作パネル部17へ出力する機能を有している。操作パネル部17は、入力部17aと、表示部17bとを有している。入力部17aは、例えば、タッチパネルやテンキーボタン等で構成され、画像形成装置10に対して印刷実行の命令や認証印刷データ12aの削除の命令等の入力操作を行うものである。表示部17bは、液晶表示器等から構成され、操作パネル制御部16から入力される画像表示の命令に基づき画像を表示するものである。操作パネル制御部16は、印刷データ制御部13、操作パネル部17、及び識別情報照合部19より入力される情報に基づき、画面表示を行うものである。
【0018】
対応表保持部18は、対応表データ18aを保持する機能を有している。ICカード媒体情報取得部30は、ICカード31を検知し、そのICカード固有のカードID32を取得する機能を有している。
【0019】
識別情報照合部19は、第2の識別情報であるPIN番号51、及びICカード媒体情報取得部30が取得した情報をもとに、対応表保持部18に保持されている対応表データ18aを検索し、その結果を印刷データ制御部13、及び操作パネル制御部16に出力する機能を有している。
【0020】
図2は、
図1中の認証印刷データ12aのフォーマットの構成例を示す図である。
認証印刷データ12aのフォーマットは、例えば、印刷品質や印刷速度等の印刷モード41、ジョブ名称42、第1の識別情報である個別識別符号(以下「ログオンID」という。)43、及び印刷データ44とから構成される。
【0021】
図3は、
図1中の対応表データ18aの例を示す図である。
対応表データ18aは、ログオンID43、カードID32、及びPIN番号51から構成されている。ログオンID43、カードID32及びPIN番号51は、対応表データ18a内で一意の値が設定されている。画像形成装置10の管理者が、伝送路23を介して対応表保持部18に対応表データ18aを登録する。本実施例1においては、対応表保持部18に対応表データ18aが登録済みであるとする。
図3に示した例では、ログオンID43は7桁の英数文字列の符号、カードID32は7桁の英数文字列の符号、PIN番号51は10桁の数字列の符号である。ログオンID43及びカードID32は、0〜9の数字とアルファベット26文字から作成されており、数37を桁数回掛け合わせた組合せの種類の符号が存在する。これに対して、PIN番号51は、0〜9の数字から作成されており、数10を桁数回掛け合わせた組合せの種類の符号しか存在しないため、PIN番号51の組合せの種類を、ログオンID43及びカードID32の組合せの種類と同等にするため、PIN番号51の桁数を長くしている。一般に、ICカード31には、例えば、住所、電話番号、生年月日、及び銀行の口座番号等の個人情報が記憶されており、紛失や盗難すると、重篤な損害や被害を受ける恐れがあるため、厳重な管理が行われる。
図3の対応表データ18aの例では、カードID32の例として、「yotuji1」、「aokiken」、「ogawami」、「ktanaka」等の名前を連想する符号が示されている。
【0022】
図4は、
図1中の識別情報照合部19の構成の概要を示す機能ブロック図である。
識別情報照合部19は、入力桁数検出手段19a、識別情報候補検索手段19b、識別情報候補絞り込み手段19c、及びログオンID取得手段19dを有している。入力桁数検出手段19aは、操作パネル
部17内の入力部17aから入力されたPIN番号51の桁数が特定の桁数(例えば、5桁)以上になったことを検出すると、識別情報候補検索手段19bに、入力された5桁のPIN番号51に基づいてPIN番号候補の検索命令を出力する機能を有している。
【0023】
識別情報候補検索手段19bは、入力桁数検出手段19aから入力された5桁のPIN番号51に基づき対応表保持部18内の対応表データ18aを参照して、例えば、先頭の5桁が一致するPIN番号51の第2の識別情報候補を選び、識別情報絞り込み手段19cへ出力する機能を有している。
【0024】
識別情報絞り込み手段19cは、PIN番号51の候補の数により異なる処理を行う。PIN番号51の候補が無い場合、識別情報絞り込み手段19cは、PIN番号51が無いことを、操作パネル制御部16へ通知する。PIN番号51の候補が複数ある場合、識別情報絞り込み手段19cは、PIN番号51の候補が1つに絞り込まれるまで、表示部17bにPIN番号51の次の1桁の入力を促す表示をし、入力桁
数検出手段19a、識別情報候補検索手段19b及び識別情報絞り込み手段19cの処理を繰り返し、PIN番号51の候補が1つに絞り込まれた時点で、入力部17aからのPIN番号51の桁入力を禁止して、1つに絞り込まれたPIN番号51をログオンID取得手段19dに出力する機能を有している。
【0025】
ログオンID取得手段19dは、識別情報絞り込み手段19cから入力されたPIN番号51を第2の識別情報と特定し、この第2の識別情報と対応表保持部18内の対応表データ18aとを照合して、PIN番号51に対応するログオンID
43を取得する機能を有している。
【0026】
図5は、
図1中の操作パネル部17における操作キーパッドの配列を示す構成図である。
操作パネル部17は、入力部17aと表示部17bを有している。入力部17aは、テンキーボタン61、上ボタン62、OKボタン63、及び下ボタン64を有している。
【0027】
図6〜
図12は、
図1中の表示部17bにおける表示画面71の表示例を示す図であり、
図6は、
図1中の表示部17bにおけるジョブ検索中画面71の表示例を示す図、
図7は、
図1中の表示部17bにおける認証印刷ジョブなし画面72の表示例を示す図、
図8は、
図1中の表示部17bにおけるオンライン画面73の表示例を示す図、
図9は、
図1中の表示部17bにおけるメニュー画面74の表示例を示す図、
図10は、
図1中の表示部17bにおけるPIN番号入力画面75の表示例を示す図、
図11は、
図1中の表示部17bにおけるPIN番号なし画面76の表示例を示す図、
図12は、
図1中の表示部17bにおける認証印刷確認画面77の表示例を示す図である。
【0028】
ジョブ検索中画面は、個人認証に成功し、対応表データ18aから取得されたログオンID43に基づいて印刷データ格納部12に格納された認証印刷データ12aを検索中であることを表示する画面である。
図6に示されたジョブ検索中画面71の表示例では、「認証印刷」及び「ジョブ検索中」の文字が表示されている。
【0029】
認証印刷ジョブなし画面は、ログオンID43に基づいて印刷データ格納部12に格納された認証印刷データ12aを検索した結果、ログオンID43が付された認証印刷データ12aがなかったことを表示する画面である。
図7の認証印刷ジョブなし画面72の表示例では、「認証印刷」及び「ジョブはありません」の文字が表示されている。
【0030】
オンライン画面は、認証印刷の処理が終了し、画像形成装置10が待ち受け状態であることを表示する画面であり、
図8のオンライン画面73の表示例では、「オンライン」の文字が表示されている。
【0031】
メニュー画面は、画像形成装置10における印刷、コピー等の各種の操作メニューを表示する画面である。
図9のメニュー画面74の表示例では、「メニュー」の文字の下に、アンダーラインを付した「PIN番号入力印刷」の文字が表示されている。「PIN番号入力印刷」の文字の下にアンダーラインが引かれているのは、「PIN番号入力印刷」のメニューが選択可能であることを表示している。
図9に表示されたメニュー画面74の状態で、
図5に示された操作パネル部17のOKボタン63が押されると、画像形成装置10が「PIN番号入力印刷」の処理を開始することを示している。
【0032】
PIN番号入力画面は、PIN番号入力印刷の処理を開始し、PIN番号の入力を受けつける画面であり、
図10のPIN番号入力画面75の表示例では、「PIN番号を入力してください」の文字の下に、PIN番号入力フィールド75aを有している。このPIN番号入力フィールド75aは、
図5中のテンキーボタン61によりPIN番号51の数字を入力することができるようになっている。
【0033】
PIN番号なし画面は、PIN番号入力フィールド75aに入力されたPIN番号51が識別情報対応表データ18aになかったことを示す画面であり、
図11のPIN番号なし画面76では、「認証印刷」及び「入力されたPIN番号は存在しません」の文字が表示されている。
【0034】
認証印刷確認画面は、PIN番号入力フィールド75aに入力されたPIN番号51の一部と一致するPIN番号51が対応表データ18aに1つのみ存在し、このPIN番号51に対応するログオンID43が取得され、ログ
オンID43が付された認証印刷データ12aが見つかった場合の画面である。
図12の認証印刷確認画面77の表示例では、「認証印刷」及び「ジョブが見つかりました」の文字が表示され、その下に、アンダーラインを付した「印刷実行」及び「ジョブ削除」の文字が表示されている。
図12の表示例では、アンダーラインが引かれた「印刷実行」を選択可能な状態が表示されており、この状態で、
図5に示された操作パネル部17のOKボタン63が押されると、画像形成装置10が「印刷実行」の処理を開始する。
図5に示された操作パネル部17の下ボタン64を押し、アンダーラインの位置を「印刷実行」から「ジョブ削除」へ移し、アンダーラインを付した「ジョブ削除」の文字を表示した後に、操作パネル部17のOKボタン63が押されると、画像形成装置10が認証印刷データ12aを削除する。
【0035】
(実施例1の動作)
本実施例1の認証印刷システム1において、ICカード31による認証印刷、PIN番号入力による認証印刷、及び認証印刷の処理の(1)〜(3)動作を説明する。
【0036】
(1)ICカードによる認証印刷への移行の処理の動作
図13は、実施例1におけるICカード31による認証印刷への移行の処理を示すフローチャートである。
【0037】
図1、
図5〜
図8を参照しつつ、
図13に基づき、ICカード31による認証印刷への移行の処理の動作について説明する。
【0038】
図1の認証印刷システム1において、ICカード媒体情報取得部30がICカード31を検知すると、ICカード検知時の処理が開始され、ステップS1へ進む。ステップS1において、ICカード媒体情報取得部30は、ICカード31からカードID32を取得し、取得したカードID32を識別情報照合部19に送信し、ステップS2へ進む。ステップS2において、カードID32を受け取った識別情報照合部19は、操作パネル制御部16に、操作パネル部17を介して、
図6に示されたジョブ検索中画面71を表示するように指示し、ステップS3へ進む。
【0039】
ステップS3において、識別情報照合部19は、ICカード31から取得したカードID32をもとに、対応表保持部18に格納されている対応表データ18aを検索し、ステップS4へ進む。ステップS4において、検索により、対応表データ18aのカードID32が、ICカード31から取得したカードID32と同一のデータが存在するかどうかを判断し、存在しない場合(N)、ステップS5へ進み、存在する場合(Y)、ステップS7へ進む。
【0040】
ステップS5において、識別情報照合部19は、操作パネル制御部16に、操作パネル部17が、
図7に示された認証印刷ジョブなし画面72を表示するように指示し、ステップS6へ進む。ステップS6において、操作パネル部17に認証印刷ジョブなし画面72を表示した後、一定時間経過後、識別情報照合部19は、操作パネル制御部16に、操作パネル部17に、
図8に示されたオンライン画面73を表示するように指示し、処理を終了する。
【0041】
ステップS7において、対応表データ18aのカードID32が、ICカード31から取得したカードID32と同一のデータが存在する場合は、識別情報照合部19は、前記データのログオンID43を取得し、認証印刷の処理に移行する。
【0042】
(2)PIN番号入力による認証印刷への移行の処理の動作
図14は、実施例1におけるPIN番号入力による認証印刷への移行の処理を示すフローチャートである。
【0043】
図1、
図3〜
図11を参照しつつ、
図14に基づき、実施例1のPIN番号入力による認証印刷への移行処理の動作を説明する。
【0044】
図9に示されたメニュー画面74において、PIN番号入力印刷74aを選択し、
図5に示された
入力部17aのOKボタン63が押されると、PIN番号入力による認証印刷への移行処理を開始し、
図14のステップS11へ進む。ステップS11において、操作パネル制御部16は、
図10に示されたPIN番号入力画面75を操作パネル部17に表示させ、ステップS12へ進む。
【0045】
ステップS12において、PIN番号入力画面75のPIN番号入力フィールド75aには、
入力部17aにあるテンキーボタン61によって番号が入力され、5桁入力された時点で、識別情報照合部19にPIN番号入力フィールド75aに入力されたPIN番号51の先頭の5桁が通知され、ステップS13へ進む。ステップS12において、PIN番号51の先頭の5桁の「18356」が入力されると、PIN番号51の先頭の5桁の「18356」が識別情報照合部19に通知される。
【0046】
ステップS13において、識別情報照合部19は、通知されたPIN番号51の先頭の5桁の「18356」をもとに、対応表保持部18に格納されている対応表データ18aを検索し、ステップS14へ進む。ステップS14において、対応表データ18aのPIN番号51に、通知されたPIN番号51の先頭の5桁と一致するPIN番号51が存在するかどうかを判断し、通知されたPIN番号51の先頭の5桁を先頭とするPIN番号51が複数存在する場合、ステップS15へ進み、通知されたPIN番号51の先頭の5桁を先頭とするPIN番号51が1つのみ存在する場合、ステップS16へ進み、通知されたPIN番号51の先頭の5桁を先頭とするPIN番号が存在しない場合、ステップS18へ進む。
【0047】
ステップS15において、対応表データ18aのPIN番号51に、通知されたPIN番号51の一部分を先頭とするPIN番号が複数存在する場合、次の1桁が入力されるまで待機し、次の1桁が入力されれば、ステップS13へ進み、通知されたPIN番号51の一部分を先頭とするデータが1件のみとなるまで、ステップS13〜S15の処理を繰り返し、通知されたPIN番号51の一部分を先頭とするデータが1件だけ存在するようになった時点で、ステップS16へ進む。
【0048】
ステップS12〜S15の処理を、
図3に示された対応表データ18aの例に基づき、具体的に説明する。
【0049】
PIN番号51を「1835672094」とし、ステップS12において、PIN番号51の先頭の5桁の「18356」が入力されると、ステップS14において、通知されたPIN番号51の先頭の5桁の数「18356」と一致するデータは、「1835672094」、「1835631094」、「1835672194」の3つが存在するので、ステップS15へ進み、次の1桁の「7」が入力され、ステップS13へ進む。この場合、ステップS13において、識別情報照合部19が、PIN番号51の先頭の6桁の「183567」と一致するデータを対応表データ18aから検索する。PIN番号51の先頭の6桁の「183567」と一致するデータは、「1835672094」、「1835672194」の2つが存在するので、ステップS15へ進み、次の1桁の「2」が入力され、ステップS13へ進む。この場合、ステップS13において、識別情報照合部19が、PIN番号51の先頭の7桁の「1835672」と一致するデータを対応表データ18aから検索する。PIN番号51の先頭の7桁の「1835672」と一致するデータは、「1835672094」の1つのみが存在するので、ステップS16に進む。
【0050】
ステップS16において、通知されたPIN番号51の一部分と先頭が一致する唯一のデータをPIN番号51とし、このPIN番号51に対応するログオンID32を、対応表データ18aから取得し、ステップS17へ進む。
図13の例では、PIN番号51は「1835672094」であり、このPIN番号51の「1835672094」に対応するログオンID43として、「ab12xz8」が取得される。
【0051】
ステップS17において、識別情報照合部19は、操作パネル制御部16に対して、
図6に示されたジョブ検索中画面71を、操作パネル部17に表示するように指示し、認証印刷の処理に移行する。
【0052】
ステップS14において、PIN番号51の先頭の5桁の数が「18356」以外の数、例えば、「11111」、「22222」等である場合は、対応表データ18aに、通知されたPIN番号51の先頭の5桁と一致するPIN番号51が1件も存在しないので、ステップS18へ進む。
【0053】
ステップS18において、識別情報照合部19は、操作パネル制御部16に対して、
図11に示されたPIN番号なし画面76を、操作パネル部17に表示するように指示し、ステップS19へ進む。ステップS19において、PIN番号なし画面76を操作パネル部17に表示した後、一定時間経過後、識別情報照合部19は、操作パネル制御部16に対して、
図8に示されたオンライン画面73を操作パネル部16に表示するように指示し、PIN番号入力による認証印刷への移行の処理を終了する。
【0054】
(3)実施例1の認証印刷の処理の動作
図15は、実施例1における認証印刷の処理を示すフローチャートである。
【0055】
図1、
図5〜
図8及び
図12を参照しつつ、
図15に基づき、認証印刷の処理の動作を説明する。
【0056】
図15において、認証印刷の処理が開始されると、ステップS21へ進む。ステップS21において、識別情報照合部19は、取得したログオンID43を印刷データ制御部13へ出力し、印刷データ制御部13は、識別情報照合部19から入力されたログオンID43を使って、印刷データ格納部12に格納されているデータを検索し、ステップS22へ進む。
【0057】
ステップS22において、識別情報照合部19から入力されたログオンID43が付された認証印刷データ12aが、印刷データ格納部12にあるか否かが判断され、無い場合(N)、ステップS23へ進み、有る場合(Y)、ステップS25へ進む。
【0058】
ステップS23において、印刷データ制御部13は、操作パネル制御部16に対して、認証印刷ジョブなし画面72を表示するように通知し、ステップS24へ進む。操作パネル部17の表示部17bは、操作パネル制御部16からの命令に従って、
図7に示されたような認証印刷ジョブなし画面72を表示する。ステップS24において、操作パネル制御部16は、一定時間経過後に、操作パネル部17に対して、オンライン画面73の表示を通知し、認証印刷の処理を終了する。操作パネル部17の表示部17bは、操作パネル制御部16からの命令に従って、
図8に示されたようなオンライン画面73を表示する。
【0059】
ステップS25において、印刷データ制御部13は、操作パネル制御部16に対して、認証印刷確認画面77を表示するように通知し、ステップS26へ進む。認証印刷確認画面77の表示例が、
図12に示されている。ステップS26において、「印刷実行」が選択された場合は、ステップS27へ進み、「ジョブ削除」が選択された場合は、ステップS28へ進む。ステップS27において、「印刷実行」が選択されると、印刷データ制御部13は、印刷データ格納部12に格納されている認証印刷データ12aを読み出して印刷制御部14に転送すると共に、印刷制御部14に対して、認証印刷データ12aの印刷命令を出力し、ステップS28へ進む。印刷命令を受けた印刷制御部14は、印刷部15を制御して、認証印刷データ12aを記録媒体へ印刷する。
【0060】
ステップS28において、「ジョブ削除」が選択された場合又は認証印刷が実行された後、印刷データ制御部13は、印刷データ格納部12に格納されている認証印刷データ12aを削除し、ステップS29に進む。ステップS29において、印刷データ格納部12に格納されていた認証印刷データ12aが削除されると、印刷データ制御部13は、操作パネル制御部16を介して、操作パネル17の表示部17bに、
図8に示されたようなオンライン画面73を表示させ、認証印刷の処理を終了する。
【0061】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、必要最小限の桁を入力することにより、PIN番号51を特定し、特定したPIN番号51に対応するログオンID43を取得するようにしている。これにより、ICカード31を紛失、もしくは、忘れてしまった場合、必要最小限のPIN番号51を入力することにより、認証印刷を実施できるので、PIN番号51を入力する手間を省くことができる。
【実施例2】
【0062】
(実施例2の構成)
図16は、本発明の実施例2における認証印刷システム1Aの概略の構成例を示すブロック図であり、実施例1を示す
図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0063】
本実施例2の認証印刷システム1Aは、実施例1の画像形成装置10とは構成が異なる画像形成装置10Aを有し、これが実施例1と同様の伝送路23を介して、実施例1と同様のクライアントPC20と接続されている。
【0064】
本実施例2の画像形成装置10Aは、実施例1の操作パネル部17、対応表保持部18、及び識別情報照合部19に代えて、これらとは構成が異なる操作パネル部17A、対応表保持部18A、及び識別情報照合部19Aを備えている。操作パネル部17Aは、実施例1の操作パネル部17の入力部17a及び表示部17bに代えて、実施例1とは構成の異なる入力部17c及び表示部17dを有している。本実施例2の入力部17cは、実施例1の入力部17aに、アルファベット26文字等を入力する英文字入力ボタン65が追加されている。本実施例2の表示部17dには、実施例1の表示部17bの表示画面に、パスワード認証の処理に関する2つの表示画面が追加されている。
【0065】
対応表保持部18Aは、実施例1の識別情報対応表データ18aに代えて、パスワード52が追加された対応表データ18bを格納している。識別情報照合部19Aは、実施例1の識別情報照合部19に対して、入力されたパスワード52を使って、対応表データ18bを検索し、入力されたパスワード52があるか否かを判定する機能が追加されたものである。その他の構成については、実施例1の
図1の構成と同じである。
【0066】
図17は、
図16中の対応表データ18bの例を示す図であり、実施例1を示す
図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0067】
対応表データ18bは、ログオンID43、カードID32、及びPIN番号
51の列を有する実施例1と同様の対応表データ18aに、パスワード52の列が追加されている。パスワード52は、個人認証のための符号であり、一般に、他人には推測され難く、かつ自分は忘れない英数字の配列が選択される。過去に所属していたクラブの名称、例えば、「suiei」、「tenis」、「yakyu」、「judob」を、パスワード52とした例が
図17に示されている。
【0068】
図18は、
図16中の操作パネル部17Aを示す構成図であり、実施例1を示す
図5中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0069】
本実施例2の操作パネル部17Aの入力部17cは、実施例1と同様のテンキーボタン61、上ボタン62、OKボタン63及び下ボタン64に、アルファベット26文字等を入力する英文字入力ボタン65が追加されている。
【0070】
図19は、
図18中の表示部17dにおけるパスワード入力画面78の表示例を示す図である。
【0071】
パスワード入力画面は、パスワード52の入力を促す画面であり、
図19のパスワード入力画面78の表示例では、「パスワードを入力してください」の文字の下に、パスワード入力フィールド78aを有している。このパスワード入力フィールド78aには、
図18中のテンキーボタン61及び英文字入力ボタン65によりパスワード52の英数字を入力することができるようになっている。
【0072】
図20は、
図18中の表示部17dにおけるパスワード認証失敗画面79の表示例を示す図である。
【0073】
パスワード認証失敗画面は、入力されたパスワード52が対応表データ18b中になかった場合の表示部17dの表示画面であり、
図20に示されたスワード認証失敗画面79の例では、「認証印刷」及び「認証に失敗しました」の文字が表示されている。
【0074】
図21は、
図16中の識別情報照合部19Aの構成の概要を示す機能ブロック図であり、実施例1を示す
図4中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0075】
本実施例2の識別情報照合部19Aは、
図4に示された実施例1の識別情報照合部19に、パスワード照合手段19eが追加されている。パスワード照合手段19eは、対応表データ18b内の通知されたPIN番号51に対応するパスワード52と、入力されたパスワード52とを照合して一致するか否かを判定し、一致する場合にのみ、ログオンID取得手段19dにより取得されたログオンID43を印刷データ制御部13へ出力する機能を有している。その他の構成については、実施例1の
図4の構成と同じである。
【0076】
(実施例2の動作)
本実施例2のICカード31による認証印刷への移行の処理の動作は、
図13に示された実施例1のICカード31による認証印刷への移行の処理の動作と同様である。
【0077】
図22は、実施例2におけるPIN番号入力による認証印刷への移行の処理を示すフローチャートであり、実施例1を示す
図14中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0078】
図6〜
図12、及び
図16〜
図21を参照しつつ、
図22に基づき、実施例2のPIN番号入力による認証印刷への移行処理の動作を説明する。
【0079】
本実施例2のPIN番号入力による認証印刷への移行処理では、実施例1のPIN番号入力による認証印刷への移行処理と同様のステップS11〜S19の処理に、パスワード入力による認証の処理であるステップS31〜S36の処理が追加されている。
【0080】
図9に示されたメニュー画面74において、PIN番号入力印刷74aが選択され、
図18に示された入力部17cのOKボタン63が押されると、PIN番号入力による認証印刷への移行処理を開始し、
図22のステップS11へ進む。ステップS11〜S15では、実施例1と同様の処理が行われる。
【0081】
ステップS14において、対応表データ18bのPIN番号51に、通知されたPIN番号51の一部分を先頭とするデータが存在するかどうかを判断し、通知されたPIN番号51の一部分を先頭とするデータが複数存在する場合、ステップS15へ進み、通知されたPIN番号51の一部分を先頭とするデータが1つ存在する場合、ステップS31へ進み、通知されたPIN番号51の一部分を先頭とするデータが存在しない場合、ステップS18へ進む。
【0082】
通知されたPIN番号51の一部分を先頭とするデータが存在しない場合は、実施例1と同様に、ステップS18及びステップS19の処理後、PIN番号入力による認証印刷への移行処理を終了する。
【0083】
通知されたPIN番号51の一部分を先頭とするデータが1つ存在する場合、実施例1と異なるステップS31へ進む。ステップS31において、操作パネル制御部16が、表示部17dに
図19に示されたようなパスワード入力画面78を表示し、ステップS32へ進む。ステップS32において、パスワード52が、
図18に示されたテンキーボタン61及び英文字入力ボタン65により入力され、OKボタン63が押されると、入力されたパスワード52を識別情報照合部19Aへ出力し、ステップS33へ進む。ステップS33において、識別情報照合部19Aは、入力されたPIN番号51に対応するパスワード52と入力されたパスワードとを照合し、ステップS34へ進む。ステップS34において、識別情報照合部19Aは、入力されたPIN番号51に対応するパスワード52aと入力されたパスワード52bとが一致するか否かを判定し、一致する場合(Y)、ステップS16へ進み、一致しない場合(N)、ステップS35へ進む。
【0084】
ステップS31〜S34の処理について、
図17に示された対応表データ18bの例により、具体的に説明する。先ず、ステップS14の処理で、入力されたPIN番号51の一部の先頭桁と一致するPIN番号51が、例えば、
図17の2行目に表示されたPIN番号51であるとする。この場合に、2行目のPIN番号51の「1835631094」に対応するパスワード52は、「tenis」である。この場合、入力されたパスワード52が「tenis」である場合は、パスワード52が一致するので、ステップS16へ進み、入力されたパスワード52が「suiei」である場合は、パスワード52が一致しないので、ステップS35へ進む。
【0085】
通知されたPIN番号51に対応するパスワード52と入力されたパスワード52と、が一致したと判定された場合は、実施例1と同様のステップS16及びS17の処理が行われ、認証印刷の処理に移行する。
【0086】
ステップS35において、通知されたPIN番号51に対応するパスワード52と、入力されたパスワード52と、が一致しないと判定された場合、操作パネル制御部16が、操作パネル部17Aの表示部17dに、
図20に示されたようなパスワード認証失敗画面79を表示させ、ステップS36へ進む。ステップ36において、操作パネル制御部16が、一定時間経過後に、操作パネル部17Aの表示部17dに、
図8に示されたようなオンライン画面73を表示させ、認証印刷の処理を終了する。
【0087】
本実施例2における認証印刷の処理の動作は、
図15に示された実施例1の認証印刷の処理の動作と同じである。
【0088】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、通知されたPIN番号51に対応するパスワード51と入力されたパスワード52と、が一致する場合のみ、ログオンID43を取得し、認証印刷の処理に移行するようにしている。これにより、ICカード31を紛失し、若しくは、忘れた場合のPIN番号51の入力の手間を省くことができるという実施例1の効果に加え、なりすまし等の不正な認証印刷に対するセキュリティを高めた認証印刷が可能な画像形成装置10A及び認証印刷システム1Aを提供することができる。
【0089】
(変形例)
本発明は、上記実施例1、2に限定されず、種々の利用形態や変形例が可能である。この利用形態や変形例として、例えば、次の(a)〜(e)のようなものがある。
【0090】
(a) 実施例1、2では、対応表保持部18,18Aが保持する対応表データ18a,18bのログオンID43及びカードID32は英数字7桁、PIN番号51は数字10桁として説明したが、ログオンID43、カードID32及びPIN番号51の文字の種類及び桁数は、これらに限定されない。認証印刷におけるセキュリティの3要素、機密性、完全性、及び可用性を考慮して、これらの文字の種類及び桁数を変更して実施することができる。
【0091】
(b) 実施例1、2では、PIN番号51の桁数を10桁とし、入力桁数検出手段19aの検出桁数を5桁として説明したが、認証印刷におけるセキュリティの3要素、機密性、完全性、及び可用性を考慮して、PIN番号51の桁数及び入力桁数検出手段19aの検出桁数を変更して実施することができる。
【0092】
(c) 実施例1、2では、印刷データについては特に言及しなかったが、機密性が高い印刷データの場合は、印刷データを暗号化しても良い。この場合は、認証印刷を実行する前に、暗号化された印刷データを複合化する処理を追加する必要がある。これにより、認証印刷の機密性を更に高めることができる。
【0093】
(d) 実施例2では、PIN番号入力による認証印刷の移行の処理においてのみ、パスワード入力による認証の処理が追加された例を説明したが、パスワード入力による認証の処理の追加は、PIN番号入力による認証印刷の移行の処理に限定されない。ICカード31による認証印刷への移行の処理に、パスワード入力による認証の処理を追加しても良い。これにより、ICカード31の盗難や偽造による不正の認証印刷に対するセキュリティを高めることができる。
【0094】
(e) 実施例1、2では、認証印刷に適した画像形成装置10,10Aについて説明したが、本発明の構成及び動作は、画像形成装置に限定されない。個人認証のために、PIN番号51等の長桁の識別番号を入力させる機能を有する情報処理装置全般に適用が可能である。