特許第5789188号(P5789188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789188
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】ビーム形成装置およびビーム形成方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/09 20060101AFI20150917BHJP
   B23K 26/073 20060101ALI20150917BHJP
   B23K 26/064 20140101ALI20150917BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20150917BHJP
【FI】
   G02B27/09
   B23K26/073
   B23K26/064
   B23K26/082
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-512036(P2011-512036)
(86)(22)【出願日】2009年6月5日
(65)【公表番号】特表2011-523723(P2011-523723A)
(43)【公表日】2011年8月18日
(86)【国際出願番号】EP2009004077
(87)【国際公開番号】WO2009146949
(87)【国際公開日】20091210
【審査請求日】2012年4月27日
(31)【優先権主張番号】102008027231.0
(32)【優先日】2008年6月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502383340
【氏名又は名称】リモ パテントフェルヴァルトゥング ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】LIMO Patentverwaltung GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】ミトラ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アシュケ,ルツ
(72)【発明者】
【氏名】バルトシェウスキ,ダニエル
【審査官】 山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−106703(JP,A)
【文献】 特開2002−139697(JP,A)
【文献】 特開2005−217213(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/116000(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/134729(WO,A1)
【文献】 特開2002−014301(JP,A)
【文献】 特開2006−309207(JP,A)
【文献】 特開2008−250303(JP,A)
【文献】 米国特許第04826299(US,A)
【文献】 特開2003−131165(JP,A)
【文献】 特開2005−229060(JP,A)
【文献】 特表2007−519253(JP,A)
【文献】 特表2004−503923(JP,A)
【文献】 特開平09−015626(JP,A)
【文献】 特開2006−072220(JP,A)
【文献】 特開平10−258383(JP,A)
【文献】 再公表特許第2003/043070(JP,A1)
【文献】 特開2006−330071(JP,A)
【文献】 特開2005−152988(JP,A)
【文献】 特開2007−000897(JP,A)
【文献】 特開2006−351792(JP,A)
【文献】 特表2007−508596(JP,A)
【文献】 特開2006−339451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/09
B23K 26/06−26/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのレーザ光源であって、各レーザ光源は、レーザビーム(2a,2b,2c;10a,10b,10c;17,18,19;20,21,22;25,25a,25b,25c;29,30,31,32,33,34)の部分ビームを伝播方向(Z)に出射することが可能な、少なくとも2つのレーザ光源(1a,1b,1c;14,15,16;24)と、
レーザビーム(2a,2b,2c;10a,10b,10c;17,18,19;20,21,22;25,25a,25b,25c;29,30,31,32,33,34)に影響を及ぼす光学手段と、
を含むビーム形成装置であって、
レーザビーム(2a,2b,2c;10a,10b,10c;17,18,19;20,21,22;25,25a,25b,25c;29,30,31,32,33,34)の部分ビームは、伝播方向(Z)に垂直な少なくとも1つの方向(X,Y)に関してシングルモードレーザビームであり、
少なくとも2つのレーザ光源(1a,1b,1c;14,15,16;24)は、異なる波長を有する、および/または異なるレーザタイプであり、
前記光学手段は、前記少なくとも1つの方向(X,Y)において、シングルモードレーザビームをトップハット角度分布のレーザビームに変換するように構成された第1の変換境界面(5a,5b,5c)を有し、レーザビーム(2a,2b,2c;10a,10b,10c;17,18,19;20,21,22;25,25a,25b,25c;29,30,31,32,33,34)の部分ビームは、前記少なくとも1つの方向(X,Y)において、トップハット角度分布を有するように、第1の変換境界面(5a,5b,5c)を通過することが可能であり、
光学手段は、レンズ手段(6)であって、伝播方向(Z)において、第1の変換境界面の後方に配置されるとともに、作業面(7)において、レーザビーム(2a,2b,2c;10a,10b,10c;17,18,19;20,21,22;25,25a,25b,25c;29,30,31,32,33,34)の部分ビームを少なくとも部分的に重ね合わせるように構成される、レンズ手段(6)をさらに含むことを特徴とするビーム形成装置。
【請求項2】
各レーザ光源(1a,1b,1c;14,15,16;24)のレーザビーム(2a,2b,2c;10a,10b,10c;17,18,19;20,21,22;25,25a,25b,25c;29,30,31,32,33,34)に、第1の変換境界面のうちの1つが配置されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第1の変換境界面(5a,5b,5c)は、アレイ(3,3’,3”)に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
アレイ(3,3’,3”)は、一次元的または二次元的アレイ(3,3’,3”)であることを特徴とする、請求項3に記載の装置
【請求項5】
第1の変換境界面(5a,5b,5c)は、パウエルレンズとして構成される、またはパウエルレンズの一部であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
レンズ手段(6)は、フーリエレンズであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
第1の変換境界面(5a,5b,5c)は、非対称に形成されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
光学手段は、光学的に機能する第2の変換境界面(5a”,5b”,5c”)を有し、第1の変換境界面(5a,5b,5c)および第2の変換境界面(5a”,5b”,5c”)は、影響の対象となるレーザビーム(2a,2b,2c;10a,10b,10c;17,18,19;20,21,22;25,25a,25b,25c;29,30,31,32,33,34)の伝播方向(Z)において、前後に並んで配置されることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
半導体レーザとして形成された少なくとも2つのレーザ光源であって、遅軸方向(X)よりも速軸方向(Y)により大きなダイバージェンスを有するレーザビーム(39)を発することが可能である、少なくとも2つのレーザ光源と、
速軸方向(Y)のレーザビームのダイバージェンスを少なくとも部分的にコリメートすることが可能な、光学機能的なコリメーション境界面(40)と、
少なくとも1つの光学機能的な変換境界面であって、レーザビーム(39)の部分ビームが、作業面(7)において、少なくともひとつの方向(Y)に関してトップハット強度分布(8)を少なくとも部分的に有するように、通過することが可能である、少なくとも1つの光学機能的な変換境界面を有する光学手段と、
を含むビーム形成装置であって、
光学機能的コリメーション境界面(40)と光学機能的な変換境界面(41,42,43)とは、1つの構成ユニット(35,36,37)に一体化されており、
レーザビーム(39)は、前記少なくとも1つの方向(Y)において、シングルモードレーザビームであり、
前記変換境界面は、前記少なくとも1つの方向(Y)において、シングルモードレーザビームをトップハット角度分布のレーザビームに変換するように構成され、
光学手段は、レンズ手段(6)であって、伝播方向(Z)において、変換境界面の後方に配置されるとともに、作業面(7)において、レーザビーム(39)の部分ビームを少なくとも部分的に重ね合わせるように構成される、レンズ手段(6)をさらに含むことを特徴とする、ビーム形成装置。
【請求項10】
構成ユニット(35,36,37)は、第1および第2の表面を有するレンズであり、第1の表面は光学機能的なコリメーション境界面(40)に、および第2の表面は光学機能的な変換境界面(41,42,43)に対応することを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つの第1のレーザ光源および少なくとも1つの第2のレーザ光源(1a,1b,1c;14,15,16;24)から出射される、少なくとも2つのレーザビーム(2a,2b,2c;10a,10b,10c;17,18,19;20,21,22;25,25a,25b,25c;29,30,31,32,33,34)であって、それぞれ少なくとも、レーザビームの伝播方向(Z)に対して垂直な第1の方向(X,Y)に関して、シングルモードレーザビームである少なくとも2つのレーザビームが、少なくとも第1の方向(X,Y)に関してトップハット角度分布を有するように、個別に変換される工程と、
少なくとも2つのレーザビーム(2a,2b,2c;10a,10b,10c;17,18,19;20,21,22;25,25a,25b,25c;29,30,31,32,33,34)が少なくとも部分的に重ね合わせられる工程であって、重ね合わせられたレーザビームが、作業面(7)において、少なくとも第1の方向(X,Y)に関して、少なくとも部分的にトップハット強度分布に合致する強度分布(8)を有するように、少なくとも2つのレーザビーム(2a,2b,2c;10a,10b,10c;17,18,19;20,21,22;25,25a,25b,25c;29,30,31,32,33,34)が、少なくとも部分的に重ね合わせられる工程と、
を含むビーム形成方法であって、
少なくとも1つの第1のレーザ光源および少なくとも1つの第2のレーザ光源(1a,1b,1c;14,15,16;24)は、異なる波長を有する、および/または異なるレーザタイプであり、
少なくとも2つのレーザビームが個別に変換される工程は、少なくとも2つのレーザビームを、光学的に機能する変換境界面(5a,5b,5c;5a”,5b”,5c”)を個別に通過させることによって行われ、変換境界面(5a,5b,5c;5a”,5b”,5c”)は、少なくとも第1の方向(X,Y)において、シングルモードレーザビームをトップハット角度分布のレーザビームに変換するように構成されていることを特徴とする、ビーム形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念および請求項11の上位概念に従ったビーム形成装置に関する。さらに、本発明はビーム形成方法に関する。
【0002】
用語の定義
レーザビームの伝播方向とは、特にレーザビームが平坦波でない、あるいは少なくとも部分的にダイバージュしている場合には、平均伝播方向を意味する。レーザビーム、光線、部分ビームあるいはビームとは、明確に他の指定がない場合には、幾何光学上の理想化ビームを意味しておらず、たとえば無限小のビーム断面ではなく拡張されたビーム断面を有するガウスプロファイルまたは修正ガウスプロファイルを持つレーザビームのような実際的光線である。トップハット分布、トップハット強度分布またはトップハットプロファイルとは、少なくとも1つの方向に関して基本的に矩形関数(rect(x))により表現可能である強度分布を意味する。その際に、パーセント領域における矩形関数からの偏差ないしは傾斜側面を示す実際の強度分布は、同様にトップハット分布またはトップハットプロファイルと表示すべきである。
【0003】
請求項1の上位概念に従った装置は、WO 2007/140969A1から公知である。そこに記載された装置により、作業面において細線状の比較的均一な強度分布が達成可能である。たとえば平面画像スクリーンや太陽電池を製造するためのSi層の再結晶化などの応用分野では、極めて集中的かつ極めて均一なラインが必要とされる。これを実現するためには、前記の従来技術から公知の装置の場合には、多大の装置的コストが必要となる。
【0004】
請求項11の上位概念に従った装置も、同様に公知である。たとえば速軸コリメーションレンズによりコリメートされた半導体レーザのレーザビームは、パウエルレンズと共にフーリエレンズを用いて、作業面においてトップハット分布に相当する強度分布を生成することが可能である。その際に、パウエルレンズとフーリエレンズの双方を個別に調整して、それぞれの両面を被覆しなければならない。
【0005】
本発明の基礎を成す課題は、均一および/または集中的な強度分布が低廉なコストで実現される請求項1の上位概念に従った装置の製作である。さらに本発明の基礎を成す課題は、コストが有利および/または調整がより簡略である装置を請求項11の上位概念に基づいて製作することである。さらに本発明の基礎を成す別の課題は、均一および/または集中的な強度分布が低廉なコストで実現されるビーム形成方法を提供することである。
【0006】
第1の課題は、本発明に従った請求項1の特徴を有する冒頭に述べた様式の装置により達成される。第2の課題は、本発明に従った請求項11の特徴を有する冒頭に述べた様式の装置により達成される。第3の課題は、本発明に従った請求項13の特徴を有する冒頭に述べた様式の方法により達成される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を対象としている。
【0007】
請求項1に従えば、装置は、それらのレーザビームが光学手段により少なくとも部分的に重ね合うことの可能である少なくとも2つのレーザ光源を有するが、その際に前記レーザビームは、少なくとも伝播方向に垂直な方向に関してシングルモード・レーザビームである。前記光学手段は反射性光学手段および回折性光学手段のいずれでもよく、あるいはミラーを有することも可能である。その際に、既に極めて安定的なシングルモード・レーザ光源が重ね合わせによってさらに安定性を増すことになる、なぜならば、個々のレーザ光源の変動が重ね合わせによって平均化されるからである。複数のシングルモード・レーザ光源の使用により、作業面における強度分布出力をたとえば1つまたは複数のレーザ光源の着脱により容易に調整することが可能である。
【0008】
その際に、光学手段が少なくとも1つの光学機能的な変換境界面を有しており、レーザビームが少なくとも部分的に作業面において少なくとも1つの方向に関してトップハット分布に相当する強度分布を有するように、少なくともレーザビームの部分ビームが前記境界面を通過する。このような変換境界面は、たとえばパウエルレンズとして構成することが可能である、あるいはパウエルレンズの一部とすることが可能である。
【0009】
その際にこれらのレーザ光源の各レーザビームに変換境界面の一方が係属可能であるが、変換境界面はアレイに配置することが可能である。それにより、レーザ光源の各レーザビームは個別にトップハット角度分布に変換される。これらのトップハット角度分布の重なりにより、作業面では極めて均一な強度分布が得られる。
【0010】
さらに、前記光学手段は少なくとも2つのレーザ光源のレーザビームを重ね合わせることが可能であるフーリエ機構におけるレンズ手段を有してもよいが、これらのレンズ手段は特に影響の対象となるレーザビームの伝播方向において、少なくとも1つの変換境界面の後方に配置されている。これらのレンズ手段により、個別のシングルモード・レーザビームが作業面において重ねられるが、その際に同時にトップハット角度分布がトップハット強度分布へ変換される。したがって、フーリエ機構におけるレンズ手段は均一性の向上に寄与する。
複数のレーザ光源が異なる波長を有すること、および/または異なるレーザタイプであってもよい。それにより、強度分布のスペクトル構成が適切に影響され得る。
【0011】
少なくとも1つの変換境界面を非対称に形成してもよい。それにより、フーリエ機構におけるレンズ手段の結像誤差が補正可能である。少なくとも1つの変換境界面を適切に非対称形成すれば、レンズ手段の重畳機能も少なくとも1つの変換境界面に統合可能であるため、レンズ手段を省略することが可能である。
【0012】
さらに少なくとも2つの変換境界面を、影響の対象となるレーザビームの伝播方向において前後に配置してもよい。
【0013】
それにより、極めて大きな開口数を有する変換光学ユニットが製作可能であるため、極めて大きな角度範囲が利用可能である。
【0014】
請求項11に従えば、光学機能的なコリメーション境界面および光学機能的な変換境界面が1つの構成ユニットに一体化される。その際に、たとえば前記構成ユニットは第1の表面および第2の表面を備えたレンズとすることが可能であるが、第1表面は光学機能的なコリメーション境界面に、また第2表面は光学機能的な変換境界面に対応する。そのような構成により、装置の製造コストおよび調整作業が大幅に低減可能である。
【0015】
請求項13に従った方法は、下記の方法工程によって特徴づけられる:
−少なくとも1つの第1のレーザ光源および少なくとも1つの第2のレーザ光源から発せられるレーザビームは、それぞれ少なくとも伝播方向に垂直な第1の方向に関してシングルモード・レーザビームであり、これらの両レーザビームは変換後に少なくとも前記第1方向に関してトップハット角度分布を有するように、互いに個別に変換される。
−両レーザビームは少なくとも部分的に重ね合わされるため、重なったレーザビームは作業面において、少なくとも第1方向に関して少なくとも部分的にトップハット強度分布に合致する強度分布を有する。
これらのシングルモード・レーザビームの個別の変換およびそれらの以後の重なり合いにより、極めて均一な強度分布、たとえば極めて均一な直線状強度分布を実現することが可能である。
【0016】
本発明のさらなる特徴と利点は、添付の図を参照して、以下の好適な実施形態についての説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】発明に従った装置の第1の実施形態についての概略平面図である。
図2】発明に従った装置の第2の実施形態についての概略平面図である。
図3】発明に従った装置の第3の実施形態についての概略平面図である。
図4a】発明に従った装置の第4の実施形態についての概略平面図である。
図4b図4aに従った第4の実施形態の概略側面図である。
図5a】発明に従った装置の第5の実施形態についての概略側面図である。
図5b図5aに従った第5の実施形態の概略平面図である。
図6a】発明に従った装置の第6の実施形態についての概略平面図である。
図6b図6aに従った第6の実施形態の概略側面図である。
図7】発明に従った装置の第7の実施形態についての概略側面図である。
図8】発明に従った装置の第8の実施形態についての概略側面図である。
図9】発明に従った装置の第9の実施形態についての概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記図面の中には、観察上の理由からデカルト座標系が描かれている。同一あるいは機能的に同一の部品は、各図において同一の参照記号が付けられている。
【0019】
図1から見てとれる本発明に従った装置の実施形態は3つのレーザ光源1a,1b,1cを含んでおり、それらからレーザビーム2a,2b,2cが発せられる。レーザ光源1a,1b,1cは、たとえばX方向すなわち遅軸方向に並置されたレーザダイオード・バーの発信器である。遅軸方向に関して、レーザビーム2a,2b,2cのそれぞれはシングルモード・レーザビームである。
【0020】
速軸方向に関しても、レーザビーム2a,2b,2cのそれぞれはシングルモード・レーザビームとすることが可能である。図示されていない少なくとも1つの速軸コリメーションレンズを設けることが可能であり、それはレーザビーム2a,2b,2cを速軸方向に関してコリメート可能である。
さらに前記装置は、レーザビーム2a,2b,2cの伝播方向Zにおいてレーザ光源1a,1b,1cの後方に配置されるアレイ3を含む。アレイ3はその入射側に複数の凸状境界面4a,4b,4cを有しており、それらはレーザビーム2a,2b,2cに対する遅軸コリメーションレンズとして機能する。その際に、レーザ光源1a,1b,1cのレーザビーム2a,2b,2cは、それぞれ凸状境界面4a,4b,4cの1つに進入する。アレイ3は、その出射側に複数の並置された複数の光学機能的な変換境界面5a,5b,5cを有している。これらの変換境界面5a,5b,5cはレーザビーム2a,2b,2cのガウス形状強度プロファイルを、以下にさらに詳しく説明されるように、遅軸方向すなわちX方向に関してトップハット角度分布に変換する機能を果たす。
【0021】
レーザビーム2a,2b,2cの伝播方向Zにおいて、アレイ3の後方にフーリエ機構におけるレンズ手段6が配置される。レンズ手段6はたとえば球形またはアナモルフォーシス式(anamorphotic)集光レンズとすることが可能である。これらのレンズ手段6は個別レンズとして図示されているが、複数の個別レンズから構成することも可能である。
【0022】
トップハット角度分布のゆえに、変換境界面5a,5b,5cは必ずしもレンズ手段6の入射側焦点面に配置する必要はない。レンズ手段6の出射側焦点面には、3つのレーザ光源1a,1b,1cから出て来るレーザビーム2a,2b,2cの重なりによって線状強度分布8が生成される作業面7がある。この線状強度分布8は線状強度分布8の延伸上のX方向においてトップハット分布を有するが、それは個々の変換境界面5a,5b,5cにより生成されるトップハット角度分布のフーリエ変換により生じる。
【0023】
レーザビーム2a,2b,2cのそれぞれがY方向に関してもシングルモード・レーザビームであるならば、レーザビームはY方向に関して線状強度分布8へ適正に焦点を合わせることが可能である。それは、小さな線幅あるいは大きな深部精度が達成可能であることを意味する。さらに、焦点合わせに対してより適切に影響を及ぼすことが可能である。
【0024】
図1ならびにその他の図のいくつかにおいて、3つのレーザ光源1a,1b,1cおよび3つの変換境界面5a,5b,5cしか表示されていない。ただし、これは観察上の便宜にすぎない。したがって、3つ以上のレーザ光源1a,1b,1cおよびそれに応じて3つ以上の変換境界面5a,5b,5cを設けることは、明らかに全く可能なのである。
【0025】
変換境界面5a,5b,5cのそれぞれの幅は、X方向においてそれぞれのレーザビーム2a,2b,2cの光線径(FW・1/e)の2倍〜3倍となる。各変換境界面5a,5b,5cが、X方向において互いに離れているという可能性がある。その際に、各変換境界面5a,5b,5cの間に設けられた移行領域が平坦または急勾配であり得るが、それらの構成は特に、前記移行領域を通過するレーザビームがたとえばレンズ手段6を通過せず、いずれにしても線状強度分布8に寄与しないように、選定することが可能である。
【0026】
X方向に関してトップハット角度分布を有する3つのレーザ光源1a,1b,1cのシングルモード・レーザビームの重なりによって、X方向すなわち線状強度分布の延伸方向においてたとえば2%未満の偏差P−V(ピーク対底値)を示し得る均一性が得られる。
【0027】
変換境界面5a,5b,5cのそれぞれは、いわゆるパウエルレンズとすることが可能である。
【0028】
ガウスプロファイルからトップハットプロファイルへの変換を惹起する変換境界面5a,5b,5cは、一般的にその機能において位相移動法に基づくことが可能である。
【0029】
このために、光学機構および変換境界面に対する入力パラメータとして、既知のパラメータ(ビーム径、発散)を備えた理想的なガウシアンビームが想定される。反復法では光学機構および変換境界面の設計のために、空間的に適合した位相転位ψが生じるが、それはレーザプロファイルの原ガウス形状を目標面におけるトップハット強度分布へ移行させる。
【0030】
数学的には、この課題は無次元表示における下記の関数Rの最小化による反復プロセスにおいて解決可能である。
【0031】
【0032】
関数Rの最小化により、レンズおよび変換境界面の形状を定義する位相転位ψが得られる。
前記関数内で、項
は位相係数eiψが乗算される入射ビームのガウシアン強度分布を表す。
【0033】
ガウシアンビームに対して実行された位相変調を原強度の所望分布へ移行させるためには、この項をフーリエ変換に供することが必要であるが、それは実際にはフィールド生成フーリエ変換レンズ(略称:フィールドレンズ)により実現される。図示された実施形態では、これはレンズ手段6である。
【0034】
公式項(1/α)1/2 rect(f/α)は、トップハット形状の目標強度分布の表示に相当する。
【0035】
係数αは、目標フィールドの空間サイズを確定するパラメータである。変換された入射強度分布項を目標強度分布項から減算することにより、関数Rの最小化から光学機構の所望機能性が保証される。
【0036】
図2に従った実施形態では、第1実施形態とは異なってレーザビーム10を発することの可能であるレーザ9のみが設けられており、それは少なくとも1つの方向に関してシングルモード・レーザビームとすることが可能であるが、たとえば両方向に関してもシングルモード・レーザビームとすることも可能である。このレーザ9は、たとえばNd:YAGレーザ、ガスレーザ、あるいはファイバレーザなどの固体レーザとすることが可能である。
【0037】
レーザビーム10は、2つのビームスプリッタ11,12および1つのミラー13により、3本の互いに平行な部分ビーム10a,10b,10cとしてアレイ3’へ転向される。両ビームスプリッタ11,12およびミラー13は、この実施形態においてシングルモード・レーザビームを発するレーザ光源として機能する。
【0038】
レーザビーム10を分割するための偏光ビームスプリッタを使用する方法も、全く可能である。
【0039】
アレイ3’は、その出射側に既述した変換境界面5a,5b,5cを有する。その入射側ではアレイ3’は平坦であり、コリメーションレンズを有していない。たとえばレーザ9の分割されていないレーザビーム10は、図示されていない対応レンズ手段により成形およびコリメート可能である。
【0040】
図3に従った実施形態では、それぞれレーザビーム17,18,19を発することの可能であるレーザ光源14,15,16として機能する3つのレーザが使用されるが、それらは同様に少なくとも1つの方向に関してシングルモード・レーザビームとすることが可能であるが、たとえば両方向に関してもシングルモード・レーザビームとすることが可能である。これらのレーザのそれぞれも、たとえばNd:YAGレーザ、ガスレーザ、あるいはファイバレーザなどの固体レーザとすることが可能である。転向ミラー13が配置されているが、それは個別のレーザビーム17,18,19をそれらのアレイ3’への光路が互いに合致するように偏向させる。このようにして、レーザ光源14,15,16の構造サイズによってアレイ3’のサイズが決定されないことが保証可能である。
【0041】
図4aおよび図4bに従った実施形態においても、それぞれレーザビーム20,21,22を発することの可能である3つまたはそれ以上のレーザが設けられているが、それらは同様に少なくとも1つの方向に関してシングルモード・レーザビームとすることが可能であるが、たとえば両方向に関してもシングルモード・レーザビームとすることが可能である。これらのレーザのそれぞれも、たとえばNd:YAGレーザ、ガスレーザ、あるいはファイバレーザなどの固体レーザとすることが可能である。特にそれは、ダイオードレーザによりポンピングされる周波数倍増Nd:YAGレーザとすることが可能である。
【0042】
レーザビーム20,21,22およびそれに対応するアレイ3’の変換境界面5a,5b,5cは、X方向に並置されている。レンズ手段6と作業面7との 間には、Y方向に関してレーザビーム20,21,22の焦点合わせを行うシリンドリカルレンズ23が配置される。このシリンドリカルレンズ23は、たとえば非球面形状を有する任意形状とすることが可能である。たとえば線状強度分布8は、X方向における10mm〜1000mmの長さとY方向における5μm〜200μmの幅を有する。その際に、線状強度分布8はX方向において大きな均一性を備えたトップハット分布を有する。
【0043】
このような線状強度分布8は、Si層の熱処理、特にその再結晶化に適している。
【0044】
シリンドリカルレンズ23の前、あるいはアレイ3’の前に別の変換境界面を設けることも可能であり、それはY方向に関して線状強度分布8のトップハット強度分布に影響を及ぼすことが可能である。
【0045】
図5aおよび図5bにはレーザダイオード・バーのスタック24が示されているが、そこでは速軸方向およびY方向にレーザ光源24a,24b,24cとして機能する3つのレーザダイオード・バーが上下に配置されており、それらからレーザビーム25a,25b,25cが発せられる。速軸方向に関して、レーザビーム25a,25b,25cのそれぞれはシングルモード・レーザビームである。遅軸方向に関して、レーザビーム25a,25b,25cのそれぞれはマルチモード・レーザビームとすることが可能である。レーザ光源24a,24b,24cとして機能するレーザダイオード・バーの遅軸方向およびX方向に個別に配置されるエミッタは、特に図示されてはいない。
【0046】
この実施形態におけるレーザ光源24a,24b,24cとして機能するレーザダイオード・バーとアレイ3’との間には、速軸コリメーションレンズ26a,26b,26cが設けられている。レーザ光源24a,24b,24cとして機能するレーザダイオード・バーの光は、レンズ手段6によってY方向および線状強度分布8の長手延伸に対する垂直方向へ重ねられる。アレイ3’の変換境界面5a,5b,5cのゆえに、線状強度分布8はY方向にトップハット分布を有する。
【0047】
速軸コリメーションレンズ26a,26b,26cおよび変換境界面5a,5b,5cは、以下において図7図9に関してさらに詳述するように、変更形態として1つの構成ユニットに一体化することが可能である。
【0048】
図5aおよび図5bに従った装置はさらに2つのホモジナイザ27,28を含むが、それらは通常はシリンドリカルレンズ・アレイにより構成される。これらのモジナイザ27,28は、それらがレーザビーム25を遅軸方向すなわちX方向に関して均一化するように、また線状強度分布8がX方向においてもトップハット分布を有するように構成されており、かつ装置において配置されている。この均一化ならびに遅軸方向におけるトップハット分布の実現は、現在の従来技術から公知である。
【0049】
図6aおよび図6bに従った実施形態では、9つまたはそれ以上の図示されていないレーザが設けられているが、それらは両方向に関してシングルモード・レーザビームであるレーザビーム29,30,31,32,33,34をそれぞれ発することが可能である。これらのレーザのそれぞれも、シングルモード・ダイオードレーザ・スタック、あるいはNd:YAGレーザ、ガスレーザ、またはファイバレーザなどの固体レーザとすることが可能である。
【0050】
レーザビーム29,30,31,32,33,34は、二次元的に並置され、また重ねて配置されている。アレイ3”はその出射側に既述のX方向に並置された変換境界面5a,5b,5cを有しており、それらはレーザビーム29,30,31をX方向に関してトップハット角度分布へ変換することが可能である。入射側にアレイ3”はY方向に並置された変換境界面5a”,5b”,5c”を有しており、それらはレーザビーム32,33,34をY方向に関してトップハット角度分布へ変換することが可能である。したがって、作業面7における強度分布8は両方向X,Yに関してトップハット分布を有しており、両方向X,Yに関しても極めて均一である。強度分布8は線状強度分布ではなく、たとえば矩形または正方形の強度分布である。
【0051】
図7図9から、速軸コリメーションレンズおよび変換境界面の1つの構成ユニット35,36,37への一体化が見て取れる。
【0052】
図7において、半導体レーザ38からレーザビーム39が発せられている。構成ユニット35は入射面として機能するその第1表面に、速軸コリメーションレンズとして機能する凸状コリメーション境界面40を有する。構成ユニット35は出射面として機能するその第2表面に、レーザビーム39をY方向に関してトップハット角度分布へ変換可能である凸状変換境界面41を有する。凸状変換境界面41もパウエルレンズとすることが可能である、あるいは関数Rの最小化により形成することが可能である。レンズ手段6により、作業面7におけるトップハット角度分布がトップハットプロファイルを有する強度分布8へ転換される。
【0053】
図7に従った実施形態が図8に従ったそれと相違しているのは、構成ユニット36の変換境界面42が凹状に形成されていることだけである。
【0054】
図9に従った実施形態では、構成ユニット37はその第2表面に凹状変換境界面43を有するが、それは構成ユニット37後方の近場に、フーリエレンズなしでトップハットプロファイルを有する強度分布8が生じるように構成されている。凹状変換境界面43は、凸状に構成することも可能である。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8
図9