(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記活性が、IL−6媒介性MCP−1産生の阻害、THP−1ヒト単球性白血病細胞におけるIL−6シグナル伝達の阻害、HepG2細胞からのIL−6誘導性血清アミロイドA産生の阻害、およびrhIL−6誘導性細胞増殖の阻害から成る群より選択される少なくとも1つである、請求項6に記載の抗IL−6抗体またはフラグメント。
TNFアンタゴニスト、抗リウマチ薬、筋弛緩薬、麻酔薬(narcotic)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、麻酔薬(anesthetic)、鎮静薬、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌薬、抗乾癬薬、コルチコステロイド、タンパク質同化ステロイド、糖尿病関連薬、無機物、栄養素、甲状腺薬、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、下痢止め薬、鎮咳薬、鎮吐薬、抗潰瘍薬、緩下薬、抗凝固薬、エリスロポエチン、フィルグラスチム、サルグラモスチム、免疫、免疫グロブリン、免疫抑制剤、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体調節剤、散瞳薬、毛様体筋麻痺薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、有糸分裂阻害剤、放射性医薬品、抗うつ薬、抗躁病薬、抗精神病薬、抗不安薬、催眠薬、交感神経様作用薬、興奮薬、ドネペジル、タクリン、喘息治療薬、βアゴニスト、吸入ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンまたは類似体、ドルナーゼα、サイトカイン、サイトカインアンタゴニスト、および抗TNFαまたはIL−12/IL−23モノクローナル抗体の少なくとも1つから選択される少なくとも1つの化合物またはタンパク質をさらに含有する、請求項8に記載の医薬組成物。
細胞、組織、器官または動物における免疫障害または疾患の治療用の医薬組成物であって、選択免疫調節に有効量の請求項1に記載の少なくとも1つの抗IL−6抗体またはフラグメントの少なくとも1つを含み、該医薬組成物は、前記細胞、組織、器官または動物に接触させられるまたは投与される、医薬組成物。
前記免疫障害または疾患が、関節リウマチ/血清反応陰性関節症、変形性関節症、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、虹彩毛様体炎/ブドウ膜炎/視神経炎、特発性肺線維症、全身性脈管炎/ヴェーゲナー肉芽腫症、サルコイドーシス、精巣炎、アレルギー性疾患、アトピー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、湿疹、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性結膜炎、過敏性肺炎、臓器移植拒絶反応、移植片対宿主病、全身性炎症反応症候群、敗血症症候群、グラム陽性菌敗血症、グラム陰性菌敗血症、培養陰性敗血症、真菌敗血症、好中球減少性発熱、尿路性敗血症、髄膜炎菌血症、外傷/出血、熱傷、電離放射線への暴露、急性膵炎、成人呼吸窮迫症候群、全身性エリテマトーデスおよび関節リウマチ、アルコール性肝炎、慢性炎症性病変、サルコイドーシス、クローン病、鎌状赤血球貧血
、ネフローゼ、過敏症反応、枯草熱(花粉症)、通年性鼻炎、結膜炎、蕁麻疹、全身性アナフィラキシー、皮膚炎、悪性貧血、溶血性疾患、血小板減少症、何らかの器官または組織の移植片拒絶反応、腎移植拒絶反応、心移植拒絶反応、肝移植拒絶反応、膵移植拒絶反応、肺移植拒絶反応、骨髄移植(BMT)拒絶反応、皮膚同種移植片拒絶反応、軟骨移植拒絶反応、骨移植拒絶反応、小腸移植拒絶反応、胎児胸腺移植片拒絶反応、副甲状腺移植拒絶反応、何らかの器官または組織の異種移植拒絶反応、同種移植拒絶反応、抗受容体過敏症反応、グレーブス病、レイノー病、B型インスリン抵抗性糖尿病、重症筋無力症、抗体媒介性細胞傷害、III型過敏症反応、全身性エリテマトーデス、天疱瘡、強皮症、混合性結合組織病、特発性アジソン病、真性糖尿病、慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、白斑、脈管炎、心筋梗塞(MI)後心臓切開術症候群、IV型過敏症、接触皮膚炎、過敏性肺炎、細胞内生物体に起因する肉芽腫、薬物感受性、代謝性/特発性ウィルソン病、ヘモクロマトーシス、α1−アンチトリプシン欠損症、糖尿病、橋本甲状腺炎、骨粗しょう症、視床下部−下垂体−副腎軸評価、原発性胆汁性肝硬変、甲状腺炎、脳脊髄炎、悪液質、嚢胞性線維症、家族性血球貪食性リンパ組織球症、皮膚疾患、乾癬、脱毛、ネフローゼ症候群、腎炎、尿毒症、慢性サリチル酸中毒から選択される少なくとも1つである、請求項10に記載の医薬組成物。
細胞、組織、器官または動物において癌障害または疾患を調節するために使用するための医薬組成物であって、医薬として有効量の請求項1に記載の少なくとも1つの抗IL−6抗体またはフラグメントを含み、
該医薬組成物は、前記細胞、組織、臓器もしくは動物に接触させられるまたは投与される、医薬組成物。
前記癌障害または疾患が、白血病、急性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、B細胞、T細胞またはFAB ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘアリーセル白血病、骨髄異形成症候群(MDS)、リンパ腫、ホジキン病、悪性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、カポジ肉腫、結腸直腸癌、膵癌、腎細胞癌、前立腺細胞癌、鼻咽頭癌、悪性組織球増殖症、腫瘍随伴症候群/悪性高カルシウム血症、固形腫瘍、腺癌、肉腫、および悪性黒色腫から選択される少なくとも1つである、請求項14に記載の医薬組成物。
前記接触または前記投与が、静脈内、筋肉内、ボーラス、皮下、呼吸器、吸入、経膣、経直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、または経皮から選択される少なくとも1つの様式による、請求項10に記載の医薬組成物。
請求項1に記載の少なくとも1つの抗IL−6抗体またはフラグメントを含む医療装置であって、前記少なくとも1つの抗IL−6抗体またはフラグメントを、静脈内、筋肉内、ボーラス、皮下、呼吸器、吸入、経膣、経直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、または経皮から選択される少なくとも1つの様式によって接触させるまたは投与するのに適する医療装置。
【発明を実施するための形態】
【0029】
引用
本明細書中で引用するすべての公表文献または特許は、それらが本発明の時点での技術水準を示すので、および/または本発明の記載および実施可能性を提供するために、全体が参照により本明細書に組み込まれる。公表文献は、任意の学術公表文献もしくは特許公開公報、またはすべての記録、電子または印刷形式を含む、任意のメディア形式で利用可能な任意の他の情報を指す。以下の参考文献は、全体が参照により本明細書に組み込まれる:Ausubel, et al., ed., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., NY, N.Y. (1987−2001); Sambrook,
et al., Molecular Cloning: A Laboratory
Manual, 2.sup.nd Edition, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989); Harlow and Lane, Antibodies, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989); Colligan, et al.,
eds., Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, Inc., NY (1994−2001);
Colligan et al., Current Protocols in Protein Science, John Wiley & Sons, NY, N. Y., (1997−2001)。
【0030】
アミノ酸コード
本発明の抗IL−6抗体を構成するアミノ酸はしばしば略記される。アミノ酸の特定は、当技術分野で広く理解されているように、その1文字コード、3文字コード、名称または3つのヌクレオチドコドンによってアミノ酸を特定することにより指示され得る(Alberts, B., et al., Molecular Biology of The Cell, Third Ed., Garland Publishing,
Inc., New York, 1994参照)。
【0031】
定義
本明細書で使用される、「抗インターロイキン6抗体」、「抗IL−6抗体」、「抗IL−6抗体部分」、または「抗IL−6抗体フラグメント」および/または「抗IL−6抗体変異体」等は、本発明の抗体に組み込むことができる、非マウス起源、好ましくはヒト起源の重鎖または軽鎖可変領域、重鎖または軽鎖定常領域、フレームワーク領域またはその任意の部分と組み合わせた、BA399、BA436、BA802、BA808、BA840、BA848、BA890またはBA939ヒト化モノクローナル抗体の少なくとも1つに由来する重鎖もしくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)またはそのリガンド結合部分を含む、免疫グロブリン分子の少なくとも一部を含む任意のタンパク質またはペプチド含有分子を包含する。あるいは、「抗IL−6抗体」という用語は、ヒト化モノクローナル抗体BA399、BA436、BA802、BA808、BA840、BA848、BA890およびBA939を集合的にまたは個別に指す。そのような抗体は、インビトロ、インサイチューおよび/またはインビボで、少なくとも1つのIL−6活性もしくは結合、またはIL−6受容体活性もしくは結合を調節する、低下させる、拮抗する、軽減する、緩和する、ブロックする、阻害する、排除するおよび/または妨げることができる。非限定的な例として、本発明の適切な抗IL−6抗体、特定部分または変異体は、BA399、BA436、BA802、BA808、BA840、BA848、BA890またはBA939モノクローナル抗体の少なくとも1つによって認識されるヒトIL−6の阻害および/または中和エピトープに高い親和性で結合することができる。適切な抗IL−6抗体、特定部分または変異体はまた、場合により、RNA、DNAまたはタンパク質合成、IL−6放出、IL−6受容体シグナル伝達、膜IL−6切断、IL−6活性、IL−6産生および/または合成などの、しかしこれらに限定されない
IL−6の活性または機能の少なくとも1つに影響を及ぼし得る。
【0032】
「抗体」という用語はさらに、抗体ミメティックを包含する、または、各々が抗IL−6に由来する少なくとも1つのCDRを含有する、一本鎖抗体およびそのフラグメントを包含する、抗体またはその特定フラグメントもしくは部分の構造および/または機能を模倣する抗体の部分を含有する、抗体、その消化フラグメント、特定部分および変異体を包含することが意図されている。機能的フラグメントは、哺乳動物IL−6に結合する抗原結合フラグメントを含む。たとえば、Fab(たとえばパパイン消化による)、Fab’(たとえばペプシン消化と部分的還元による)およびF(ab’)2(たとえばペプシン消化による)、facb(たとえばプラスミン消化による)、pFc’(たとえばペプシンまたはプラスミン消化による)、Fd(たとえばペプシン消化、部分的還元および再集合による)、FvまたはscFv(たとえば分子生物学技術による)フラグメントを含むがこれらに限定されない、IL−6またはその部分に結合することができる抗体フラグメントは、本発明に包含される(たとえばColligan, Immunology、前出参照)。
【0033】
抗体フラグメントは、当技術分野で公知のようにおよび/または本明細書で述べるように、酵素切断、合成または組換え技術によって作製できる。抗体はまた、1またはそれ以上の終止コドンが天然の終止位置の上流に導入された抗体遺伝子を使用して様々なトランケート形態で作製することもできる。たとえば、重鎖のCH1ドメインおよび/またはヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように、F(ab’)2重鎖部分をコードする組合せ遺伝子を設計することができる。抗体の様々な部分を、従来の技術によって化学的に共に連結するか、または遺伝子操作技術を用いて隣接タンパク質として調製することができる。
【0034】
本明細書で使用される「キメラ」抗体または「ヒト化」抗体または「CDR移植」は、非マウス、好ましくはヒト抗体に由来する1またはそれ以上のタンパク質またはペプチドと組み合わせた本明細書で述べる抗IL−6 ABまたはそれに由来する任意のCDRの任意の組合せを包含する。本発明に従って、キメラまたはヒト化抗体は、CDRが本明細書で述べる抗IL−6 Abの1もしくはそれ以上および少なくともその一部に由来するか、または抗体の残りの部分が1もしくはそれ以上のヒト抗体に由来するものを包含する。従って、抗体のヒト部分は、ヒトにおいて実質的に非免疫原性である、フレームワーク、CL、CHドメイン(たとえばCH1、CH
2、CH
3)、ヒンジ、(VL、VH)領域を含み得る。ヒト抗体に由来する抗体の領域は、ヒト抗体と100%の同一性を有する必要はない。好ましい実施形態では、免疫原性が無視し得る程度であるためにできるだけ多くのヒトアミノ酸残基が保持されるが、ヒト残基は、同時に抗体のヒト化を最大化しつつ、CDRによって形成される抗原結合部位を支持するために必要に応じて修飾され得る。そのような変化または変異は、場合によりおよび好ましくは、非修飾抗体と比較してヒトまたは他の種における免疫原性を保持するまたは低減する。ヒト化抗体は、機能的に再配列されたヒト免疫グロブリン(たとえば重鎖および/または軽鎖)遺伝子を発現することができる非ヒト動物または原核もしくは真核細胞によって産生され得ることが注目される。さらに、抗体が一本鎖抗体である場合、それは、天然ヒト抗体では認められないリンカーペプチドを含み得る。たとえば、Fvは、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域を連結する、2〜約8個のグリシンまたは他のアミノ酸残基のようなリンカーペプチドを含み得る。そのようなリンカーペプチドはヒト起源であるとみなされる。
【0035】
抗体のヒト化は、たとえば、個々のヒトフレームワークのプールにフレーム内で融合された非ヒト標的モノクローナル抗体の6つのCDRを含むコンビナトリアルライブラリーを合成することによって実施できる。すべての公知の重鎖および軽鎖ヒト生殖細胞遺伝子を代表する遺伝子を含むヒトフレームワークライブラリーが利用できる。生じたコンビナ
トリアルライブラリーを、次に、対象とする抗原への結合に関してスクリーニングすることができる。このアプローチは、親抗体への結合活性を維持するという観点から完全なヒトフレームワークの最も好ましい組合せの選択を可能にし得る。その後、ヒト化抗体を様々な技術によってさらに最適化することができる。
【0036】
抗体のヒト化は、マウスまたは他の非ヒト抗体を「完全ヒト」抗体へと進化させるために使用できる。生じる抗体は、出発抗体と類似の結合親和性および特異性を維持しつつ、ヒト配列だけを含み、マウスまたは非ヒト抗体配列を含まない。
【0037】
「包括的ポジショナルエボルーション」(CPE(商標))という用語は、単一または複数の抗体特性と結合特性を増強するように包括的な突然変異誘発、シャフリングおよび合成技術を組み合わせるために使用できる抗体進化技術プラットフォームを表すのに使用される。CPEプラットフォームは、タンパク質内の各々の位置における63の潜在的コドン変化すべてについてタンパク質内のあらゆる個別コドン変化のインビボ作用を包括的にマッピングすることを可能にする。この包括的突然変異誘発技術は、抗体可変ドメインの配列に沿ってあらゆる位置でアミノ酸変化を試験することにより、抗体変異体を迅速に作製する。
【0038】
「コンビナトリアルタンパク質合成」(CPS(商標))という用語は、抗体の最良特性を新たな高性能抗体へと組み合わせることによって抗体の所望特性を最適化するために使用できるコンビナトリアルタンパク質合成技術を表すのに使用される。CPS(商標)はCPE(商標)後に使用でき、タンパク質または抗体内のコドン変化の最適の組合せまたはセットの同定のために、改善された個別コドンのすべての置換のその後の作製とインビボ選択を可能にし得る。これらの技術の組合せは、スクリーニングするのに利用できる抗体変異体のプールを大きく拡大することができ、それは、結合親和性、特異性、熱安定性、発現レベル、エフェクター機能、グリコシル化および溶解度などの単一または複数の増強された特性を有する抗体を発見する確率を有意に上昇させる。
【0039】
完全長抗体分子のために、ハイブリドーマ細胞株のゲノムDNAまたはmRNAから免疫グロブリン遺伝子を得ることができる。抗体重鎖および軽鎖を哺乳動物ベクター系でクローニングする。二本鎖配列分析で構築を実証する。抗体構築物を他のヒトまたは哺乳動物宿主細胞株において発現させることができる。構築物を、次に、対象とする発現された抗体の一過性トランスフェクションアッセイおよびウエスタンブロット分析によって確認できる。最も高い生産性を有する安定な細胞株を単離し、迅速検定法を用いてスクリーニングすることができる。
【0040】
「親和性成熟」という用語は、抗原に対する免疫応答の平均的な親和性の上昇を指す。本来は、抗原への反復暴露後に起こり得る。特に好ましいタイプの置換変異体は、親抗体(たとえばヒト抗体)の1またはそれ以上の超可変領域残基を置換することを含む。一般に、さらなる開発のために選択される、生じた変異体は、それらが生成された親抗体に比べて改善された生物学的特性を有する。そのような置換変異体を生成するための好都合な方法は、本明細書で述べる技術または当業者に公知の他の技術、たとえばファージディスプレイ(Schier R., J. Mol. Biol., 263:551−67, 1996)を用いた親和性成熟を含む。変異体を、次に、本明細書で述べるように、たとえばBiacoreアッセイによって、それらの生物活性(たとえば結合親和性)に関してスクリーニングする。修飾のための良好な候補である超可変領域残基を同定するために、アラニン置換突然変異誘発を実施して、抗原結合に有意に寄与する超可変領域残基を同定することができる。1またはそれ以上の適切なアッセイにおいて卓越した特性を有する抗体をさらなる開発に供することができる。
【0041】
「有効量」は、ある程度の期間にわたってそれを投与される生物において疾患を治療するまたは予防するのに有効である、たとえば所望投与間隔の間治療効果を提供する、抗IL−6抗体またはフラグメントの量である。
【0042】
「治療する」という用語は、(1)状態、障害または疾患に罹患する可能性があるかまたは素因があるが、まだその状態、障害または疾患の臨床もしくは準臨床症状を経験していないまたは示していない動物において発現する状態、障害または疾患の臨床症状の出現を防止または遅延させること;(2)状態、障害または疾患を抑制すること(すなわち疾患、その少なくとも1つの臨床もしくは準臨床症状の発現、または維持治療の場合はその再発を停止、低減または遅延させること;および/または(3)疾患を緩和すること(すなわち状態、障害または疾患またはその臨床もしくは準臨床症状の少なくとも1つの後退を生じさせること)を包含する。治療される患者にとっての利益は、統計的に有意であるか、または少なくとも患者もしくは医師に認知できる。
【0043】
測定量に関して本明細書で使用される場合、「約」という用語は、測定の目的および使用される測定装置の精度に応じた、一定の注意を払って測定を実施する当業者によって予想される測定量の通常の変動を指す。特に指示されない限り、「約」は、与えられる数値の±10%の変動を指す。
【0044】
本発明の抗体
本発明に従って、抗IL−6抗体は、BA399、BA436、BA802、BA808、BA840、BA848、BA890もしくはBA939抗体の任意の1つ、または可変領域もしくはCDRがBA399、BA436、BA802、BA808、BA840、BA848、BA890もしくはBA939抗体の任意の1つに由来し、且つ抗体のフレームワークおよび定常領域が1もしくはそれ以上のヒト抗体に由来する抗体を含む。抗体に由来する可変領域またはCDRは、好ましくはBA399、BA436、BA802、BA808、BA840、BA848、BA890またはBA939抗体の任意の1つの可変領域またはCDRと約90%〜約100%の同一性を有するが、キメラ抗体が、IL−6に結合してIL−6を阻害する能力を維持する限り、置換、挿入および欠失を含むありとあらゆる修飾が企図される。ヒト抗体に由来するキメラ、ヒト化またはCDR移植抗体の領域は、ヒト抗体と100%の同一性を有する必要はない。好ましい実施形態では、免疫原性が無視し得る程度であるためにできるだけ多くのヒトアミノ酸残基が保持されるが、ヒト残基、特にフレームワーク領域の残基は、必要に応じておよび本発明に従って本明細書中以下で教示するように置換される。本明細書で開示するそのような修飾は、同時に抗体のヒト化を最大化しつつ、CDRによって形成される抗原結合部位を支持するために必要である。
【0045】
本発明に従って、抗IL−6 Abの可変領域(軽鎖および重鎖)の核酸配列および推定アミノ酸配列を
図1〜8に示す。BA001軽鎖および重鎖可変領域の配列を
図9に示す。BA399の親和性成熟からの軽鎖および重鎖可変領域の核酸およびアミノ酸配列を
図12〜28に示す。軽鎖および重鎖可変領域の配列をそれぞれ
図30および31で比較する。重鎖および軽鎖可変領域の各々は、集合して抗原結合部位を形成する3つのCDRを含む。3つのCDRは、主としてCDRを支持するように機能する4つのFR領域によって取り囲まれている。重鎖および軽鎖の可変領域の配列内のCDRの配列は、Kabat et al. (1987) in Sequences of Proteins
of Immunological Interest, 4th ed., United States Department of Health and Human Services, U.S. Government Printing Office, Washington, D.C.によるコンピュータ援用アラインメントによって、または可変領域の分子モデリングによって、たとえばLevitt (1983
) J. Mol. Biol. 168:595によって述べられたようなENCADプログラムを利用して同定できる。
【0046】
好ましい実施形態では、CDRはBA399、BA436、BA802、BA808、BA840、BA848、BA890またはBA939の任意の1つに由来する。重鎖CDRおよび軽鎖CDRの決定は、十分に当業者の技術範囲内である。たとえばhttp://www.bioinf.org.uk/abs/参照。
【0047】
抗IL−6抗体のCDRの配列は、CDR移植抗体がヒトIL−6に結合して、ヒトIL−6を阻害する能力を維持する範囲で挿入、置換および欠失によって修飾され得る。当業者は、本明細書中以下で述べる機能的アッセイを実施することによってこの活性の維持を確認することができる。
【0048】
あるいは、BA399、BA436、BA802、BA808、BA840、BA848、BA890またはBA939の任意の1つの重鎖可変領域および軽鎖可変領域全体をヒト定常領域およびフレームワーク領域と組み合わせて、本発明のキメラ抗体を形成し得る。1つの態様では、親和性成熟からの抗IL−6 Mab BA399の上位10クローンのために利用した可変軽鎖および重鎖アミノ酸配列を
図44に開示する。クローンBA399−01は、軽鎖BA399CPS−LC06(配列番号72)と重鎖BA399CPS−HC−06(配列番号134)を含む。クローンBA399−02は、軽鎖BA399CPS−LC02(配列番号68)と重鎖BA399CPS−25(配列番号153)を含む。クローンBA399−03は、軽鎖BA399CPS−LC05(配列番号71)と重鎖BA399CPS−HC21(配列番号149)を含む。クローンBA399−04は、軽鎖BA399CPS−LC06(配列番号72)と重鎖BA399CPS−HC13(配列番号141)を含む。クローンBA399−05は、軽鎖BA399CPS−LC10(配列番号76)と重鎖BA399CPS−HC16(配列番号144)を含む。クローンBA399−06は、軽鎖BA399CPS−LC22(配列番号88)と重鎖BA399CPS−HC24(配列番号152)を含む。クローンBA399−07は、軽鎖BA399CPS−LC14(配列番号80)と重鎖BA399CPS−HC19(配列番号147)を含む。クローンBA399−08は、軽鎖BA399CPS−LC10(配列番号76)と重鎖BA399CPS−HC12(配列番号140)を含む。クローンBA399−09は、軽鎖BA399CPS−LC09(配列番号75)と重鎖BA399CPS−HC24(配列番号152)を含む。クローンBA399−10は、軽鎖BA399CPS−LC09(配列番号75)と重鎖BA399CPS−HC28(配列番号156)を含む。
【0049】
本発明のヒト化抗体、フラグメントおよび領域の定常(C)領域をコードするヒト遺伝子は、公知の方法によって、ヒト胎児肝ライブラリーから誘導できる。ヒトC領域遺伝子は、ヒト免疫グロブリンを発現し、産生するものを含む、任意のヒト細胞に由来し得る。ヒトCH領域は、γ、μ、α、δ、εを含むヒトH鎖の公知のクラスまたはアイソタイプ、およびG1、G2、G3およびG4などのそれらのサブタイプのいずれかに由来し得る。H鎖アイソタイプは抗体の様々なエフェクター機能に関与するので、CH領域の選択は、補体固定、または抗体依存性細胞傷害(ADCC)における活性などの、所望エフェクター機能によって導かれる。好ましくは、CH領域はγ1(IgG1)に由来する。
【0050】
ヒトCL領域は、ヒトL鎖アイソタイプκまたはλのいずれか、好ましくはκに由来し得る。
ヒト免疫グロブリンC領域をコードする遺伝子は、標準的なクローニング技術(Sambrook, et al. (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring
Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989) and Ausubel et al., eds. Current Protocols in Molecular Biology (1987−1993))によってヒト細胞から得られる。ヒトC領域遺伝子は、L鎖の2つのクラス、H鎖の5つのクラスおよびそれらのサブクラスを代表する遺伝子を含む公知のクローンから容易に入手可能である。F(ab
1)2およびFabなどのキメラ抗体フラグメントは、適切にトランケートされたキメラH鎖遺伝子を設計することによって調製できる。たとえば、F(ab
1)2フラグメントのH鎖部分をコードするキメラ遺伝子は、H鎖のCH1ドメインおよびヒンジ領域をコードするDNA配列、続いてトランケート分子を生成するための翻訳終止コドンを含む。
【0051】
一般に、一例では、本発明のヒト化抗体、フラグメントおよび領域は、抗IL−6特異的抗体のH鎖およびL鎖抗原結合領域をコードするDNAセグメントをクローニングし、これらのDNAセグメントを、それぞれCHおよびCL領域を含むDNAセグメントに連結して、完全長キメラ免疫グロブリンコード遺伝子を生成することによって作製される。
【0052】
抗体の可変領域の配列は、キメラ抗体が、ヒトIL−6に結合して、ヒトIL−6を阻害する能力を維持する範囲で挿入、置換および欠失によって修飾され得る。当業者は、本明細書中以下で述べる機能的アッセイを実施することによってこの活性の維持を確認することができる。可変領域は、たとえば、配列番号1〜32の可変領域に約50%〜約100%の相同性を有し得る。好ましい実施形態では、抗体の可変領域は、配列番号1〜32および37〜160の可変領域に約80%〜約100%の相同性を有する。より好ましい実施形態では、可変領域は、配列番号1〜32および37〜160の可変領域に約90%〜約100%の相同性を有する。
【0053】
1つの特定態様では、本開示の好ましい抗IL−6 Mabは、配列番号1に95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸配列相同性を有する可変軽鎖領域を含み、配列番号3に95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸配列相同性を有する可変重鎖領域をさらに含む。
【0054】
1つの特定態様では、本開示の好ましい抗IL−6 Mabは、配列番号68〜98の1つから選択される可変軽鎖領域を含む。さらなる特定態様では、本開示の好ましい抗IL−6 Mabは、配列番号68、71、72、75、76、80および88の1つから選択される可変軽鎖領域を含む。
【0055】
もう1つの特定態様では、本開示の好ましい抗IL−6 Mabは、配列番号130〜160の1つから選択される可変重鎖領域を含む。さらなる特定態様では、本開示の好ましい抗IL−6 Mabは、配列番号134、140、141、144、147、149、152、153および156の1つから選択される可変重鎖領域を含む。
【0056】
非ヒトまたはヒト抗体を遺伝子操作するまたはヒト化するための方法も使用でき、当技術分野において周知である。一般に、ヒト化または遺伝子操作された抗体は、非ヒト、たとえば、限定されることなく、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長動物または他の哺乳動物であるソースからの1またはそれ以上のアミノ酸残基を有する。これらのヒトアミノ酸残基は、しばしば「インポート」残基と称され、「インポート」残基は、典型的には公知のヒト配列の「インポート」可変、定常または他のドメインから取られる。公知のヒトIg配列は、たとえば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、:
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Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health(1983)
に開示されている。
【0057】
そのようなインポート配列は、当技術分野で公知のように、免疫原性を低減する、または結合、親和性、オンレート(on−rate)、オフレート(off−rate)、アビディティー、特異性、半減期もしくは任意の他の適切な特性を低減する、増強するもしくは修飾するために使用できる。一般に、可変領域と定常領域の非ヒト配列をヒトまたは他のアミノ酸で置き換える一方で、非ヒトまたはヒトCDR配列の一部または全部が維持される。抗体はまた、場合により、抗原に対する高い親和性および他の有益な生物学的特性を保持しつつヒト化することができる。この目標を達成するために、ヒト化抗体を、場合により、親配列およびヒト化配列の三次元モデルを使用して親配列および様々な概念上のヒト化産物の分析工程によって作製することができる。三次元免疫グロブリンモデルが一般に使用可能であり、当業者によく知られている。選択した候補免疫グロブリン配列の推定三次元立体配座構造を例示し、表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示の検査により、その残基が候補免疫グロブリン配列の機能において果たす可能性のある役割の分析、すなわち候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基の分析が可能となる。このようにして、標的抗原に対する親和性上昇などの所望抗体特性が達成されるように、FR残基を選択し、コンセンサス配列およびインポート配列から組み合わせることができる。一般に、CDR残基は、抗原結合に影響を及ぼすことに直接且つ最も実質的に関与する。本発明の抗体のヒト化または遺伝子操作は、各々全体が、その中で引用される参考文献を含めて、参照により本明細書に組み込まれる、Winter (Jones et al., Nature 321:522 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323 (1988); Verhoeyen et al., Science 239:1534 (1988)), Sims et al., J. Immunol. 151: 2296 (1993); Chothia and Lesk, J. MoI. Biol. 196:901 (1987), Carter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:4285 (1992); Presta et al., J. Immunol. 151 :2623 (1993)、米国特許第5,723,323号、同第5,976,862号、同第5,824,514号、同第5,817,483号、同第5,814,476号、同第5,763,192号、同第5,723,323号、同第5,766,886号、同第5,714,352号、同第6,204,023号、同第6,180,370号、同第5,693,762号、同第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,225,539号、同第4,816,567号、PCT/:第US98/16280号、同第US96/18978号、同第US91/09630号、同第US91/05939号、同第US94/01234号、英国特許第GB89/01334号、同第GB91/01134号、同第GB92/01755号;国際公開公報第WO90/14443号、同第WO90/14424号、同第WO90/14430号、欧州特許第EP 229246号に述べられているものなどの、しかしこれらに限定されない、任意の公知の方法を用いて実施できる。
【0058】
本発明のヒト化抗体のヒト定常領域は、任意のクラス(IgG、IgA、IgM、IgE、IgD等)またはアイソタイプであり得、κまたはλ軽鎖を含み得る。1つの実施形態では、ヒト定常領域は、IgG重鎖または規定フラグメント、たとえばIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプの少なくとも1つを含む。もう1つの実施形態では、抗ヒトIL−6ヒト抗体は、IgG1重鎖およびIgG1K軽鎖を含む。本発明の単離抗IL−6抗体は、任意の適切なポリヌクレオチドによってコードされる、本明細書で開示する抗体アミノ酸配列を含む。好ましくは、抗体または抗原結合フラグメントはヒトIL−6に結合し、それによってタンパク質の少なくとも1つの生物活性を部分的にまたは実質的に中和する。抗体またはその特定部分もしくは変異体は、少なくとも1つの
IL−6タンパク質またはフラグメントの少なくとも1つの生物活性を部分的にまたは好ましくは実質的に中和し、それによりIL−6のIL−6受容体への結合を介してまたは他のIL−6依存性または媒介性機構を介して媒介される活性を阻害する。本明細書で使用される、「中和抗体」という用語は、IL−6依存性活性を、アッセイに依存して約20〜120%、好ましくは少なくとも約10、20、30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%またはそれ以上阻害することができる抗体を指す。IL−6依存性活性を阻害する抗IL−6抗体の能力は、本明細書で述べるようにおよび/または当技術分野で公知のように、好ましくは少なくとも1つの適切なIL−6タンパク質または受容体アッセイによって評価される。
【0059】
本発明の少なくとも1つの抗体は、少なくとも1つのIL−6タンパク質、サブユニット、フラグメント、部分またはそれらの任意の組合せに特異的な少なくとも1つの特定エピトープに結合する。少なくとも1つのエピトープは、タンパク質の少なくとも1つの部分を含む少なくとも1つの抗体結合領域を含むことができ、前記エピトープは、好ましくはタンパク質の少なくとも1つの細胞外、可溶性、親水性、外部または細胞質部分から成る。一般に、本発明のヒト抗体または抗原結合フラグメントは、本明細書で述べる抗IL−6 Abに由来する、少なくとも1つの重鎖可変領域の少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2およびCDR3)または変異体ならびに少なくとも1つの軽鎖可変領域の少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR4、CDR5およびCDR6)または変異体を含む抗原結合領域を含有する。特定実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、対応するCDR1、2および/または3のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの重鎖CDR(すなわちCDR1、CDR2および/またはCDR3)の少なくとも一部を含む抗原結合領域を有し得る。もう1つの特定実施形態では、抗体または抗原結合部分もしくは変異体は、対応するCDR4、5および/または6のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖CDR(すなわちCDR4、CDR5および/またはCDR6)の少なくとも一部を含む抗原結合領域を有し得る。好ましい実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントの3つの重鎖CDRおよび3つの軽鎖CDRは、BA399、BA436、BA802、BA808、BA840、BA848、BA890またはBA939の少なくとも1つの対応するCDRのアミノ酸配列を有する。そのような抗体は、従来技術を用いて抗体の様々な部分(たとえばCDR、フレームワーク)を化学的に共に連結することによって、組換えDNAテクノロジーの従来技術を用いて抗体をコードする(1またはそれ以上の)核酸分子を調製し、発現することによって、または任意の他の適切な方法を用いて、本発明のポリペプチドの発現を生じさせる可能な縮重コドンのいずれかを使用することによって作製できる。
【0060】
軽鎖および重鎖についてのコンビナトリアル可変ドメインヒト化ライブラリーの液相合成が使用できる。ヒト化軽鎖(LC)可変ドメインライブラリーの構築は、たとえば、ヒト軽鎖フレームワーク(FW)および非ヒト相補性決定領域(CDR)を含む。ライブラリーは、たとえば、FWとCDR DNAフラグメントの段階的液相連結を使用することによって構築される。ライブラリーは、当業者に公知の技術によってFW1−CDR1−FW2−CDR2−FW3−CDR3の順でFWとCDR DNAフラグメントの段階的液相連結を使用することによって構築される。たとえば、各々が参照により本明細書に組み込まれる、以下の参考文献の1またはそれ以上の技術による。Lo, B. K., 2003, Antibody humanization by CDR grafting. Antibody Engineering, Methods and protocols. Edit by Benny K. C. Lo, Methods in Molecular Biology, 248, 135−159; Kashmiri et al., 2003, Developing a minimally immunogenic humanized antibody by SD
R grafting. Antibody Engineering, Methods and protocols. Edit by Benny K. C. Lo,
Methods in Molecular Biology, 248, 361−376; Bassette, P. H., et al., 2003, Construction of Designed Protein Libraries Using Gene Assembly Mutagenesis. Directed
Evolution Library Creation, Methods and
protocols. Edit. Arnold and Georgiou, Methods in Molecular Biology, 231, 29−37;
Chames, P., et al., 2001, Selections on
Biotinylated antigens. Antibody Engineering, Edit by R. Kontermann and S. Dubel, Springer Lab Manual, 149−166; O’Brien S., and Jones, T., 2001, Humanising antibodies by CDR grafting. Antibody Engineering, Edit by R. Kontermann and S. Dubel, Springer Lab Manual, 567−590。
【0061】
上記に定義された重鎖または軽鎖可変領域またはCDR領域を含むヒトIL−6に結合する抗体は、当技術分野で公知のようにおよび/または本明細書で述べるように、ファージディスプレイ(Katsube, Y., et al., Int J. MoI.
Med, l(5):863−868 (1998))またはトランスジェニック動物を用いる方法などの、適切な方法を用いて作製できる。たとえば、抗体、特定部分または変異体は、コード核酸またはその部分を使用して適切な宿主細胞において発現させることができる。
【0062】
前述したように、本発明はまた、配列が本明細書で述べるアミノ酸配列と実質的に同じである配列のアミノ酸を含む抗体、抗原結合フラグメント、免疫グロブリン鎖およびCDRに関する。そのような抗IL−6抗体は、本明細書で特定するように、自然の突然変異またはヒト操作のいずれかからの、1またはそれ以上のアミノ酸置換、欠失または付加を含み得る。好ましくは、そのような抗体または抗原結合フラグメントおよびそのような鎖またはCDRを含む抗体は、高い親和性(たとえば約10
-9Mまたはそれ以下のKD)でヒトIL−6に結合することができる。本明細書で述べる配列と実質的に同じであるアミノ酸配列は、保存的アミノ酸置換、ならびにアミノ酸欠失および/または挿入を含有する配列を包含する。保存的アミノ酸置換は、第一アミノ酸のものに類似する化学的および/または物理的特性(たとえば電荷、構造、極性、疎水性/親水性)を有する第二アミノ酸による第一アミノ酸の置換を指す。保存的置換は、以下の群内の1つのアミノ酸の別のアミノ酸による置換を含む:リシン(K)、アルギニン(R)およびヒスチジン(H);アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、K、R、H、DおよびE;アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)およびグリシン(G);F、WおよびY; C、SおよびT。
【0063】
言うまでもなく、当業者が行うアミノ酸置換の数は、上述したものを含む多くの因子に依存する。一般的に言えば、任意の所与の抗IL−6抗体、フラグメントまたは変異体についてのアミノ酸置換、挿入または欠失の数は、本明細書で特定するように、40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1以下、たとえば1〜30またはその中の任意の範囲または値である。
【0064】
機能に必須である本発明の抗IL−6抗体中のアミノ酸は、部位指定突然変異誘発またはアラニン置換突然変異誘発などの、当技術分野で公知の方法によって同定できる(たとえば、Ausubel, supra, Chapters 8, 15; Cunningham and Wells, Science 244:1081−1085 (1989))。後者の手順は、分子内のあらゆる残基で1個のアラニン突然変異を導入する。次に、生じた突然変異体分子を、少なくとも1つのIL−6中和活性などの、しかしこれに限定されない生物活性に関して試験する。抗体結合のために重要な部位も、結晶化、核磁気共鳴または光親和性標識などの構造解析によって同定できる(Smith, et al., J. MoI. Biol. 224:899− 904 (1992)
and de Vos, et al., Science 255:306−312
(1992))。
【0065】
本発明の抗IL−6抗体は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159または160に由来するCDRの少なくとも1つの連続するアミノ酸の5から全部より選択される少なくとも一部、一連、または組合せを含み得るが、これらに限定されない。
【0066】
抗IL−6抗体は、場合により、配列番号1、3、5、・・・31の少なくとも1つに由来するCDRの連続するアミノ酸の70〜100%の少なくとも1つのポリペプチドをさらに含み得る。1つの特定態様では、抗IL−6抗体は、配列番号1に95〜99%の配列相同性を有するポリペプチド、好ましくは配列番号68〜98の1つを含むCDRを含有する。もう1つの特定態様では、抗IL−6抗体は、配列番号3に95〜99%の配列相同性を有するポリペプチド、好ましくは配列番号130〜160の1つを含むCDRを含有する。
【0067】
1つの実施形態では、免疫グロブリン鎖またはその部分(たとえば可変領域、CDR)のアミノ酸配列は、配列番号1、3、5、・・・31の少なくとも1つのアミノ酸配列に約70〜100%の同一性(たとえば70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100またはその中の任意の範囲もしくは値)を有する。たとえば、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号1、5、9、13、17、21、25、29の配列と比較できる。好ましくは、70〜100%のアミノ酸同一性(すなわち90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100またはその中の任意の範囲もしくは値)は、当技術分野で公知のように、適切なコンピュータアルゴリズムを用いて決定される。1つの特定態様では、抗IL−6抗体は、配列番号1に95〜99%の配列相同性を有するポリペプチド、好ましくは配列番号68〜98の1つを含む可変領域を含有する。もう1つの特定態様では、抗IL−6抗体は、配列番号3に95〜99%の配列相同性を有するポリペプチド、好ましくは配列番号130〜160の1つを含む可変領域を含有する。
【0068】
例示的な重鎖および軽鎖可変領域配列は、配列番号1、3、5、・・・31、68〜98または130〜160において提供される。本発明の抗体またはその特定変異体は、本発明の抗体からの任意の数の連続するアミノ酸残基を含むことができ、その数は、抗IL−6抗体中の連続残基数の10〜100%から成る整数の群より選択される。場合により
、この連続するアミノ酸のサブ配列は、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250もしくはそれ以上のアミノ酸長、またはその中の任意の範囲もしくは値である。さらに、そのようなサブ配列の数は、1〜20から成る群から選択される任意の整数、たとえば少なくとも2、3、4または5であり得る。
【0069】
当業者が認識するように、本発明は、本発明の少なくとも1つの生物学的に活性な抗体を包含する。生物学的に活性な抗体は、天然(非合成)、内因性または関連および公知抗体の比活性の少なくとも20%、30%または40%、好ましくは少なくとも50%、60%または70%、最も好ましくは少なくとも80%、90%または95%〜100%の比活性を有する。酵素活性および基質特異性の程度を検定し、数量化する方法は当業者に周知である。
【0070】
もう1つの態様では、本発明は、有機部分の共有結合によって修飾された、本明細書で述べるようなヒト抗体および抗原結合フラグメントに関する。そのような修飾は、改善された薬物動態特性(たとえば高いインビボ血清半減期)を有する抗体または抗原結合フラグメントを生成し得る。有機部分は、直鎖状または分枝鎖親水性ポリマー基、脂肪酸基または脂肪酸エステル基であり得る。特定実施形態では、親水性ポリマー基は約800〜約120,000ダルトンの分子量を有することができ、ポリアルカングリコール(たとえばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG))、炭水化物ポリマー、アミノ酸ポリマーまたはポリビニルピロリドンであり得、脂肪酸基または脂肪酸エステル基は約8〜約40個の炭素原子を含み得る。
【0071】
本発明の修飾抗体および抗原結合フラグメントは、直接または間接的に抗体に共有結合された1またはそれ以上の有機部分を含み得る。本発明の抗体または抗原結合フラグメントに結合される各々の有機部分は、独立して親水性ポリマー基、脂肪酸基または脂肪酸エステル基であり得る。本明細書で使用される、「脂肪酸」という用語は、モノカルボン酸およびジカルボン酸を包含する。「親水性ポリマー基」は、この用語が本明細書で使用される場合、オクタンよりも水により可溶性である有機ポリマーを指す。たとえば、ポリリシンはオクタンよりも水により可溶性である。従って、ポリリシンの共有結合によって修飾された抗体は本発明に包含される。本発明の抗体を修飾するのに適する親水性ポリマーは、直鎖状または分枝鎖であり得、たとえばポリアルカングリコール(たとえば、PEG、モノメトキシ−ポリエチレングリコール(mPEG)、PPG等)、炭水化物(たとえばデキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖類等)、親水性アミノ酸のポリマー類(たとえばポリリシン、ポリアルギニン、ポリアスパラギン酸等)、ポリアルカンオキシド類(たとえばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等)およびポリビニルピロリドンを含む。好ましくは、本発明の抗体を修飾する親水性ポリマーは、個別の分子的実体として約800〜約150,000ダルトンの分子量を有する。たとえばPEG5000およびPEG20,000が使用でき、前記下付き文字はダルトンで表したポリマーの平均分子量である。親水性ポリマー基は、1〜約6個のアルキル基、脂肪酸基または脂肪酸エステル基で置換することができる。脂肪酸または脂肪酸エステル基で置換された親水性ポリマーは、適切な方法を使用することによって調製できる。たとえば、アミン基を含むポリマーは、脂肪酸または脂肪酸エステルのカルボキシレートとカップリングさせることができ、脂肪酸または脂肪酸エステル上の活性化カルボキシレート(たとえばN,N−カルボニルジイミダゾールで活性化された)は、ポリマー上のヒドロキシル基とカップリングさせることができる。
【0072】
本発明の抗体を修飾するのに適した脂肪酸および脂肪酸エステルは、飽和であり得るかまたは1もしくは以上の不飽和単位を含有し得る。本発明の抗体を修飾するのに適した脂
肪酸は、たとえばn−ドデカノエート(C
12、ラウレート)、n−テトラデノエート(C
14、ミリステート)、n−オクタデカノエート(C
18、ステアレート)、n−エイコサノエート(C
20、アラキデート)、n−ドコサノエート(C
22、ベヘネート)、n−トリアコンタノエート(C
30)、n−テトラコンタノエート(C
40)、シス−δ9−オクタデカノエート(C
18、オレエート)、すべてのシス−δ5,8,11,14−エイコサテトラエノエート(C
20、アラキドネート)、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸等を含む。適切な脂肪酸エステルは、直鎖または分枝鎖低級アルキル基を含むジカルボン酸のモノエステルを包含する。低級アルキル基は、1〜約12個、好ましくは1〜約6個の炭素原子を含み得る。
【0073】
修飾ヒト抗体および抗原結合フラグメントは、1またはそれ以上の変性剤との反応などの、適切な方法を用いて調製できる。「変性剤」は、この用語が本明細書で使用される場合、活性化基を含有する適切な有機基(たとえば親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)を指す。「活性化基」は、適切な条件下で、2番目の化学基と反応し、それによって変性剤と2番目の化学基の間で共有結合を形成することができる化学的部分または官能基である。たとえば、アミン反応性活性化基は、トシレート、メシレート、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(MHS)等のような求電子基を含む。チオール類と反応することができる活性化基は、たとえばマレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5−チオール−2−ニトロ安息香酸チオール(TNB−チオール)等を含む。アルデヒド官能基は、アミンまたはヒドラジド含有分子に結合することができ、アジド基は三価リン基と反応してホスホルアミデートまたはホスホルイミド結合を形成することができる。分子中に活性化基を導入する適切な方法は当技術分野において公知である(たとえばHernanson, G. T., Bioconjugate Techniques, Academic Press: San Diego, Calif. (1996)参照)。活性化基は、有機基(たとえば親水性ポリマー、脂肪酸または脂肪酸エステル)に直接、またはリンカー部分、たとえば1もしくはそれ以上の炭素原子が酸素、窒素または硫黄などのヘテロ原子によって置換されていてもよい二価C
1−C
12基を介して結合され得る。適切なリンカー
部分は、たとえばテトラエチレングリコール、−(CH
2)
3−、−NH−(CH
2)
6−NH−、−(CH
2)
2−NH−および−CH
2−O−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−O
−CH−NH−を含む。リンカー部分を含む変性剤は、たとえばモノ−Boc−アルキルジアミン(たとえばモノ−Boc−エチレンジアミン、モノ−Boc−ジアミノヘキサン)を1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDC)の存在下で脂肪酸と反応させて遊離アミンと脂肪酸カルボキシレートとの間でアミド結合を形成することによって生成できる。Boc保護基は、トリフルオロ酢酸(TFA)で処理して、前述したように別のカルボキシレートにカップリングさせ得る第一級アミンを露出させることによって生成物から除去できるか、またはマレイン酸無水物と反応させ、生じた生成物を環化して脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を生成することができる。(たとえば、その教示全体が参照により本明細書に組み込まれる、Thompson, et al.,
国際公開公報第WO92/16221号参照)。
【0074】
本発明の修飾抗体は、ヒト抗体または抗原結合フラグメントを変性剤と反応させることによって生成できる。たとえば、アミン反応性変性剤、たとえばPEGのNHSエステルを使用することにより、有機部分を非部位特異的に抗体に結合することができる。修飾ヒト抗体または抗原結合フラグメントはまた、抗体または抗原結合フラグメントのジスルフィド結合(たとえば鎖内ジスルフィド結合)を還元することによっても調製できる。還元された抗体または抗原結合フラグメントを、次に、チオール反応性変性剤と反応させて本発明の修飾抗体を生成することができる。本発明の抗体の特定部位に結合された有機部分を含む修飾ヒト抗体および抗原結合フラグメントは、逆タンパク質分解(Fisch et al., Bioconjugate Chem., 3:147−153 (19
92); Werlen et al., Bioconjugate Chem., 5:411−417 (1994); Kumaran et al., Protein Sci. 6(10):2233− 2241 (1997); Itoh et al., Bioorg. Chem., 24(1): 59−68 (1996);
Capellas et al., Biotechnol. Bioeng., 56(4):456−463 (1997))、およびHermanson, G. T., Bioconjugate Techniques, Academic Press: San Diego, Calif. (1996)に記載されている方法などの、適切な方法を用いて調製できる。
【0075】
本発明の抗体は、広い範囲の親和性(K
D)でヒトIL−6に結合することができる。
好ましい実施形態では、本発明の少なくとも1つのヒトmAbは、場合により、高い親和性でヒトIL−6に結合し得る。たとえば、mAbは、0.1〜9.9(またはその中の任意の範囲もしくは値)×10
-7、10
-8、10
-9、10
-10、10
-11、10
-12、10
-13またはその中の任意の範囲もしくは値のような、しかしこれらに限定されない、約10
-7Mまたはそれ以下のKDでヒトIL−6に結合することができる。
【0076】
抗原に対する抗体の親和性またはアビディティーは、任意の適切な方法を用いて実験的に決定することができる。(たとえば、Berzofsky, et al., “Antibody− Antigen Interactions,煤@In Fundam
ental Immunology, Paul, W. E., Ed., Raven Press: New York, N. Y. (1984); Kuby, Janis Immunology, W. H. Freeman and Company: New York, N.Y. (1992);および本明細書で述べる方法参照。)特定の抗体−抗原相互作用の測定される親和性は、異なる条件(たとえば塩濃度、pH)下で測定した場合異なり得る。従って、親和性および他の抗原結合パラメータ(たとえば、KD、Ka、Kd)の測定は、好ましくは抗体および抗原の標準化溶液、ならびに本明細書で述べる緩衝液などの標準化緩衝液で行われる。
【0077】
本発明の方法および組成物において有用な抗IL−6抗体は、IL−6に高い親和性で結合することならびに、場合によりおよび好ましくは、低い毒性を有することを特徴とする。特に、可変領域、定常領域およびフレームワークなどの個々の成分が、個別におよび/または集合的に、場合によりおよび好ましくは、低い免疫原性を有する、本発明の抗体、特定フラグメントまたは変異体は、本発明において有用である。本発明において使用できる抗体は、場合により、症状の測定可能な緩和ならびに低いおよび/または許容される毒性で長期間にわたって患者を治療するそれらの能力を特徴とする。低いまたは許容される免疫原性および/または高い親和性、ならびに他の適切な特性は、達成される治療結果に寄与し得る。「低い免疫原性」は、本明細書では、治療される患者の約75%未満、または好ましくは約50%未満において有意のHAHA、HACAまたはHAMA応答を生じさせること、および/または治療される患者において低い力価をもたらすこと(二重抗原酵素免疫検定法で測定される約300未満、好ましくは約100未満)(全体が参照により本明細書に組み込まれる、Elliott et al.,Lancet 344:1125−1127(1994))と定義される。
【0078】
少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナル、ヒト化抗体である二重特異性、ヘテロ特異性、ヘテロコンジュゲートまたは同様の抗体もまた使用できる。本発明の場合、結合特異性の一方は少なくとも1つのIL−6タンパク質に対してであり、他方は任意の他の抗原に対してである。二重特異性抗体を作製する方法は当技術分野において公知である。伝統的に、二重特異性抗体の組換え生産は、2本の重鎖が異なる特異性を有する、2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の共発現に基づく(Milste
in and Cuello,Nature 305:537(1983))。免疫グロブリン重鎖と軽鎖のランダムな組合せのゆえに、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を産生し、そのうちの1つだけが正しい二重特異性構造を有する。通常はアフィニティークロマトグラフィー工程によって行われる、正しい分子の精製はかなり面倒であり、生成物の収率は低い。同様の手順は、たとえば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開公報第WO93/08829号、米国特許第6,210,668号、同第6,193,967号、同第6,132,992号、同第6,106,833号、同第6,060,285号、同第6,037,453号、同第6,010,902号、同第5,989,530号、同第5,959,084号、同第5,959,083号、同第5,932,448号、同第5,833,985号、同第5,821,333号、同第5,807,706号、同第5,643,759号、同第5,601,819号、同第5,582,996号、同第5,496,549号、同第4,676,980号、国際公開公報第WO91/00360号、同第WO92/00373号、欧州特許第EP03089号、Traunecker et al.,EMBO
J.10:3655(1991),Suresh et al.,Methods in Enzymology 121:210(1986)に開示されている。
【0079】
核酸分子
配列番号1、3、5、・・・31、68〜98または130〜160の少なくとも1つの連続するアミノ酸の少なくとも70〜100%をコードするヌクレオチド配列、その特定フラグメント、変異体もしくはコンセンサス配列、またはこれらの配列の少なくとも1つを含む寄託されたベクターなどの、本明細書で提供される情報を使用して、少なくとも1つの抗IL−6抗体をコードする本発明の核酸分子が、本明細書で述べるまたは当技術分野で公知の方法を用いて入手できる。
【0080】
本発明の核酸分子は、mRNA、hnRNA、tRNAまたは任意の他の形態などのRNAの形態、またはクローニングによって得られるもしくは合成によって生成されるcDNAおよびゲノムDNAを含むがこれらに限定されない、DNAの形態、またはそれらの任意の組合せであり得る。DNAは、三本鎖、二本鎖もしくは一本鎖、またはそれらの任意の組合せであり得る。DNAまたはRNAの少なくとも1本の鎖の任意の部分は、センス鎖としても知られるコード鎖であり得、またはアンチセンス鎖とも称される非コード鎖であり得る。
【0081】
本発明の単離された核酸分子は、場合により1またはそれ以上のイントロンを伴う、オープンリーディングフレーム(ORF)、たとえば、限定されることなく、少なくとも1つの重鎖(たとえば配列番号4、8、12、16、20、24、28、32もしくは99〜129)または軽鎖(たとえば配列番号2、6、10、14、18、22、26、30もしくは37〜67)のCDR1、CDR2および/またはCDR3のような、少なくとも1つのCDRの少なくとも1つの特定部分を含む核酸分子;抗IL−6抗体または可変領域についてのコード配列(たとえば配列番号2、4、6、・・・32、37〜67または99〜129)を含む核酸分子;ならびに上述したものと実質的に異なるが、本明細書に述べるようにおよび/または当技術分野において公知のように、遺伝暗号の縮重のために、まだなお少なくとも1つの抗IL−6抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を包含し得る。言うまでもなく、遺伝暗号は当技術分野において周知である。従って、本発明の特異的抗IL−6抗体をコードするそのような縮重核酸変異体を作製することは当業者にとって日常的である。たとえばAusubel et al.、前出参照。そしてそのような核酸変異体は本発明に包含される。本発明の単離核酸分子の非限定的な例は、それぞれ、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2、LC CDR3、HC可変領域およびLC可変領域をコードする核酸の非限定的な例に対応する、配列番号2、4、6、・・・32、37〜67または99〜12
9を含む。
【0082】
本明細書で示すように、抗IL−6抗体をコードする核酸を含む本発明の核酸分子は、単独で、抗体フラグメントのアミノ酸配列をコードするもの;全長抗体またはその一部のコード配列;抗体、フラグメントまたは部分のコード配列、ならびに付加的な配列、たとえば転写、スプライシングおよびポリアデニル化シグナルを包含するmRNAプロセシングにおいて役割を果たす(たとえばリボソーム結合およびmRNAの安定性)、転写されるが翻訳されない配列のような、非コード5’および3’配列が含むがこれらに限定されない、付加的な非コード配列と共に、少なくとも1つのイントロンのような上記の付加的コード配列を伴うまたは伴わない、少なくとも1つのシグナルリーダーまたは融合ペプチドのコード配列;付加的な機能を提供するもののような、付加的なアミノ酸をコードする付加的なコード配列を包含するが、これらに限定されない。従って、抗体をコードする配列は、抗体フラグメントまたは部分を含む融合抗体の精製を容易にするペプチドをコードする配列などの、マーカー配列に融合することができる。
【0083】
本明細書で述べるポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド
本発明は、本明細書で開示するポリヌクレオチドに選択的ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする単離核酸を提供する。従って、この実施形態のポリヌクレオチドは、そのようなポリヌクレオチドを含む核酸を単離する、検出するおよび/または定量するために使用できる。たとえば、本発明のポリヌクレオチドは、寄託されたライブラリー中の部分または完全長クローンを同定する、単離するまたは増幅するのに使用できる。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、単離された、またはさもなければヒトもしくは哺乳動物核酸ライブラリーからのcDNAに相補的な、ゲノム配列またはcDNA配列である。
【0084】
好ましくは、cDNAライブラリーは、少なくとも80%の完全長配列、好ましくは少なくとも85%または90%の完全長配列、より好ましくは少なくとも95%の完全長配列を含む。cDNAライブラリーは、まれな配列の表示を高めるために基準化され得る。低または中ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は、典型的には、しかし排他的ではなく、相補的配列に対して低い配列同一性を有する配列に関して使用される。中および高ストリンジェンシー条件は、場合により、より大きな同一性の配列に関して使用できる。低ストリンジェンシー条件は、約70%の配列同一性を有する配列の選択的ハイブリダイゼーションを可能にし、オーソロガスまたはパラロガス配列を同定するために使用できる。
【0085】
場合により、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書で述べるポリヌクレオチドによってコードされる抗体の少なくとも一部をコードする。本発明のポリヌクレオチドは、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドへの選択的ハイブリダイゼーションのために使用できる核酸配列を包含する。たとえば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、Ausubel、前出;Colligan、前出参照。
【0086】
核酸の構築
本発明の単離核酸は、当技術分野において周知のように、(a)組換え法、(b)合成技術、(c)精製技術、またはそれらの組合せを用いて作製することができる。
【0087】
核酸は、本発明のポリヌクレオチドに加えて配列を好都合に含み得る。たとえば、ポリヌクレオチドの単離に役立つように1またはそれ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位を含むマルチクローニング部位を核酸に挿入することができる。また、本発明の翻訳されたポリヌクレオチドの単離に役立つように翻訳可能な配列を挿入することができる。たとえば、ヘキサ−ヒスチジンマーカー配列は、本発明のタンパク質を精製する好都合な手段を提
供する。コード配列を除く本発明の核酸は、場合により、本発明のポリヌクレオチドのクローニングおよび/または発現のためのベクター、アダプターまたはリンカーである。
【0088】
そのようなクローニングおよび/または発現配列に、クローニングおよび/または発現におけるそれらの機能を最適化する、ポリヌクレオチドの単離に役立つ、または細胞へのポリヌクレオチドの導入を改善するために付加的な配列を加えることができる。クローニングベクター、発現ベクター、アダプターおよびリンカーの使用は当技術分野において周知である。(たとえば、Ausubel、;またはSambrook、前出参照)。
【0089】
核酸を構築するための組換え法
RNA、cDNA、ゲノムDNAまたはそれらの任意の組合せなどの、本発明の単離核酸組成物は、当業者に公知の様々なクローニング方法を用いて生物学的ソースから入手できる。一部の実施形態では、ストリンジェントな条件下で、本発明のポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを、cDNAまたはゲノムDNAライブラリー中の所望配列を同定するのに使用する。RNAの単離ならびにcDNAおよびゲノムライブラリーの構築は当業者に周知である(たとえば、Ausubel、;またはSambrook、前出参照)。
【0090】
核酸スクリーニングおよび単離方法
cDNAまたゲノムライブラリーは、本明細書で開示するもののような、本発明のポリヌクレオチドの配列に基づくプローブを使用してスクリーニングできる。プローブを使用してゲノムDNAまたはcDNA配列とハイブリダイズし、同じかまたは異なる生物において相同な遺伝子を単離することができる。当業者は、ハイブリダイゼーションの様々な度合のストリンジェンシーがアッセイにおいて使用できること;およびハイブリダイゼーションまたは洗浄媒質のいずれかがストリンジェントであり得ることを認識する。ハイブリダイゼーションの条件がストリンジェントになると共に、二本鎖の形成が起こるためにはプローブと標的との間により大きな度合の相補性が存在しなければならない。ストリンジェンシーの程度は、温度、イオン強度、pH、およびホルムアミドなどの部分的に変性する溶媒の存在の1またはそれ以上によって制御され得る。たとえば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、たとえば0%〜50%の範囲内のホルムアミドの濃度の操作を介して、反応物溶液の極性を変えることによって好都合に変化する。検出可能な結合のために必要とされる相補性(配列同一性)の程度は、ハイブリダイゼーション媒質および/または洗浄媒質のストリンジェンシーに従って異なる。相補性の程度は、最適には100%、または70〜100%、またはその中の任意の範囲もしくは値である。しかし、プローブおよびプライマーにおける小さな配列変異は、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄媒質のストリンジェンシーを低下させることによって相殺され得ることが理解されるべきである。
【0091】
RNAまたはDNAの増幅の方法は当技術分野において周知であり、本明細書で提示する教示および指針に基づき、過度の実験を必要とせずに本発明に従って使用できる。
DNAまたはRNA増幅の公知の方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および関連増幅工程(たとえば、Mullis, et al.への米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、同第4,800,159号、同第4,965,188号;Tabor, et al.への米国特許第4,795,699号および同第4,921,794号;Innisへの米国特許第5,142,033号;Wilson, et
al.への米国特許第5,122,464号;Innisへの米国特許第5,091,310号;Gyllensten,et al. への米国特許第5,066,584号;Gelfand, et al. への米国特許第4,889,818号;Silver, et alへの米国特許第4,994,370号;Biswasへの米国特許第4,766,067号;Ringoldへの米国特許第4,656,134号参照)ならび
に二本鎖DNA合成の鋳型として標的配列に対するアンチセンスRNAを用いるRNA媒介増幅(Malek, et al.への米国特許第5,130,238号、商標名NASBA)を含むが、これらに限定されず、前記参考文献の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。(たとえば、Ausubel、前出;またはSambrook、前出参照)。
【0092】
たとえば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術は、本発明のポリヌクレオチドおよび関連遺伝子の配列をゲノムDNAまたはcDNAライブラリーから直接増幅するために使用できる。PCRおよび他のインビトロ増幅方法はまた、たとえば、発現されるタンパク質をコードする核酸配列をクローニングするため、試料中の所望mRNAの存在を検出するためのプローブとして使用する核酸を作製するため、核酸配列決定のため、または他の目的のために有用であり得る。当業者をインビトロ増幅方法へと導くのに十分な技術の例は、Berger、前出、Sambrook、前出、およびAusubel、前出、ならびにMullis, et al.,米国特許第4,683,202号(1987);およびInnis, et al., PCR Protocols A Guide to Methods and Applications, Eds., Academic Press Inc., San Diego, CA(1990)に認められる。ゲノムPCR増幅用の市販のキットは当技術分野において公知である。たとえば、Advantage−GC Genomic PCRキット(Clontech)参照。加えて、たとえばT4遺伝子32タンパク質(Boehringer Mannheim)は、長いPCR産物の収率を改善するために使用できる。
【0093】
核酸を構築するための合成方法
本発明の単離核酸はまた、公知の方法(たとえば、Ausubel,et al.、前出参照)による直接化学合成によって作製することもできる。化学合成は、一般に、一本鎖オリゴヌクレオチドを生成し、それを相補的配列とのハイブリダイゼーションによって、または一本鎖を鋳型として用いるDNAポリメラーゼでの重合によって、二本鎖DNAに変換することができる。当業者は、DNAの化学合成は約100塩基またはそれ以上の配列に限定され得るが、短い配列の連結によってより長い配列が得られることを認識する。
【0094】
組換え発現カセット
本発明はさらに、本発明の核酸を含む組換え発現カセットを提供する。本発明の核酸配列、たとえば本発明の抗体をコードするcDNAまたはゲノム配列は、少なくとも1つの所望宿主細胞に導入することができる組換え発現カセットを構築するために使用できる。組換え発現カセットは、典型的には、意図される宿主細胞においてポリヌクレオチドの転写を指令する転写開始調節配列に作動可能に連結された本発明のポリヌクレオチドを含む。異種および非異種(すなわち内因性)プロモーターの両方が、本発明の核酸の発現を指令するために使用できる。
【0095】
一部の実施形態では、プロモーター、エンハンサーまたは他のエレメントとして働く単離核酸を、本発明のポリヌクレオチドの発現を上方調節または下方調節するように本発明のポリヌクレオチドの非異種形態の適切な位置(上流、下流またはイントロン内)に導入することができる。たとえば、内因性プロモーターを、突然変異、欠失および/または置換によってインビボまたはインビトロで変化させることができる。
【0096】
ベクターおよび宿主細胞
本発明はまた、当技術分野において周知のように、本発明の単離核酸分子を含むベクター、組換えベクターで遺伝子操作される宿主細胞、および組換え技術による少なくとも1つの抗IL−6抗体の作製に関する。たとえば、各々全体が参照により本明細書に組み込
まれる、Sambrook、前出;Ausubel、前出参照。
【0097】
ポリヌクレオチドは、場合により、宿主における増殖についての選択可能なマーカーを含むベクターに連結することができる。一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物などの沈殿物、または荷電脂質との複合体中に導入される。ベクターがウイルスである場合、それを、適切なパッケージング細胞株を用いてインビトロでパッケージングし、その後宿主細胞に形質導入することができる。
【0098】
DNA挿入物は、適切なプロモーターに作動可能に連結されるべきである。発現構築物は、転写開始部位、終結部位および、転写される領域内に、翻訳のためのリボソーム結合部位をさらに含む。構築物によって発現される成熟転写産物のコード部分は、好ましくは、最初に翻訳開始コドンおよび翻訳されるmRNAの末端に適切に位置する終止コドン(たとえばUAA、UGAまたはUAG)を含み、哺乳動物または真核細胞発現のためにはUAAおよびUAGが好ましい。
【0099】
発現ベクターは、好ましくは、しかし場合により、少なくとも1つの選択可能なマーカーを含む。そのようなマーカーは、たとえば、真核細胞培養についてはメトトレキサート(MTX)、ジヒドロ葉酸レダクターセ(DHFR、米国特許第4,399,216号;同第4,634,665号;同第4,656,134号;同第4,956,288号;同第5,149,636号;同第5,179,017号)、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、ミコフェノール酸、またはグルタミンシンテターゼ(GS、米国特許第5,122,464号;同第5,770,359号;同第5,827,739号)耐性遺伝子、ならびに大腸菌(E.coli)および他の細菌または原核生物における培養についてはテトラサイクリンまたはアンピシリン耐性遺伝子を含むが、これらに限定されない(上記特許は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。上述した宿主細胞のための適切な培地および培養条件は当技術分野において公知である。適切なベクターは当業者に容易に明らかである。宿主細胞へのベクター構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、陽イオン脂質媒介トランスフェクション、電気穿孔法、形質導入、感染または他の公知の方法によって実施できる。そのような方法は、Sambrook、supra、Chapters 1−4 and
16−18; Ausubel, supra, Chapters 1, 9, 13, 15, 16に記載されている。
【0100】
本発明の少なくとも1つの抗体は、融合タンパク質のような修飾形態で発現され、分泌シグナルだけでなく、付加的な異種機能領域も含むことができる。たとえば、付加的なアミノ酸、特に荷電アミノ酸の領域を、精製の間またはその後の取り扱いおよび保存の間の、宿主細胞における安定性および持続性を改善するために抗体のN末端に付加することができる。また、精製を容易にするためにペプチド部分を本発明の抗体に付加することができる。そのような領域は、抗体またはその少なくとも1つのフラグメントの最終的な調製の前に除去できる。そのような方法は、Sambrook, supra, Chapters 17.29−17.42 and 18.1−18.74; Ausubel,
supra, Chapters 16, 17 and 18などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載されている。
【0101】
当業者は、本発明のタンパク質をコードする核酸の発現のために利用可能な数多くの発現系に精通している。
あるいは、本発明の核酸は、本発明の抗体をコードする内因性DNAを含む宿主細胞中で作動させることによって(操作によって)宿主細胞において発現させ得る。そのような方法は、たとえば、全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,580,734号、同第5,641,670号、同第5,733,746号および同第5,733
,761号に記載されているように、当技術分野において周知である。
【0102】
抗体、その特定部分もしくは変異体の生産のために有用な細胞培養物の例は、哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞系はしばしば細胞単層の形態であるが、哺乳動物細胞懸濁液またはバイオリアクターも使用できる。無傷グリコシル化タンパク質を発現することができる多くの適切な宿主細胞株が当技術分野で開発されており、COS−1(たとえばATCC CRL 1650)、COS−7(たとえばATCC CRL−1651)、HEK293、BHK21(たとえばATCC CRL−10)、CHO(たとえばATCC CRL 1610)およびBSC−1(たとえばATCC CRL−26)細胞株、Cos−7細胞、CHO細胞、hep G2細胞、P3X63Ag8.653、SP2/0−Ag14、293細胞、HeLa細胞等を含み、これらは、たとえばAmerican Type Culture Collection,Manassas,Va(www.atcc.org)から容易に入手可能である。好ましい宿主細胞は、骨髄腫およびリンパ腫細胞などのリンパ球系由来の細胞が包含される。特に好ましい宿主細胞は、P3X63Ag8.653細胞(ATCCアクセッション番号CRL−1580)およびSP2/0−Ag14細胞(ATCCアクセッション番号CRL−1851)である。特に好ましい態様として、組換え細胞はP3X63Ag8.653もしくはSP2/0−Ag14細胞である。
【0103】
これらの細胞の発現ベクターは、以下の発現制御配列、たとえば、限定されることなく、複製起点;プロモーター(たとえば後期または初期SV40プロモーター、CMVプロモーター(米国特許第5,168,062号;同第5,385,839号)、HSV tkプロモーター、pgk(ホスホグリセリン酸キナーゼ)プロモーター、EF−1αプロモーター(米国特許第5,266,491号)、少なくとも1つのヒト免疫グロブリンプロモーター;エンハンサー、および/またはリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(たとえばSV40ラージT抗原ポリA付加部位)などのプロセシング情報部位、および転写終結配列などの1またはそれ以上を含むことができる。たとえば、Ausubel et al.、前出; Sambrook, et al.、前出参照。本発明の核酸またはタンパク質の生産に有用な他の細胞は、公知である、および/または、たとえばAmerican Type Culture Collection
Catalogue of Cell Lines and Hybridomas(www.atcc.org)もしくは他の公知のまたは商業的ソースから入手可能である。
【0104】
真核生物宿主細胞を用いる場合、典型的にはポリアデニル化配列または転写終結配列がベクターに組み込まれる。終結配列の一例は、ウシ成長ホルモン遺伝子由来のポリアデニル化配列である。転写産物の正確なスプライシングのための配列も含まれ得る。スプライシング配列の一例は、SV40由来のVP1イントロンである(Sprague,et al.,J.Virol.45:773−781(1983))。さらに、当技術分野において公知のように、宿主細胞における複製を制御する遺伝子配列をベクターに組み込むことができる。
【0105】
抗体の作製
本発明の少なくとも1つの抗IL−6抗体は、当技術分野で周知のように、場合により細胞株、混合細胞株、不死化細胞または不死化細胞のクローン集団によって産生され得る。たとえば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、Ausubel, et al., ed., Current Protocols in Molecular
Biology, John Wiley & Sons, Inc., NY, N.Y. (1987−2001); Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2.sup
.nd Edition, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989); Harlow and Lane, antibodies, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, N.Y.
(1989). Colligan, et al., eds., Current
Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, Inc., NY (1994−2001); Colligan et al., Current Protocols in Protein Science, John Wiley & Sons, NY, N.Y., (1997−2001)参照。
【0106】
1つのアプローチでは、ハイブリドーマを、適切な不死細胞株(たとえばSp2/0、SP2/0−AG14、NSO、NS1、NS2、AE−1、L.5、>243、P3X63Ag8.653、Sp2 SA3、Sp2 MAI、SP2 SS1、SP2 SA5、U937、MLA 144、ACT IV、MOLT4、DA−1、JURKAT、WEHI、K−562、COS、RAJI、NIH 3T3、HL−60、MLA 144、NAMAIWA、NEURO 2Aなどの、しかしこれらに限定されない骨髄腫細胞株)等、またはヘテロ骨髄腫、それらの融合産物、またはそれらに由来する任意の細胞もしくは融合細胞、または当技術分野で公知の任意の他の適切な細胞株(たとえば、www.atcc.org、www.lifetech.com.参照)等を、単離されたまたはクローニングされた脾、末梢血、リンパ、扁桃、または他の免疫細胞もしくはB細胞含有細胞、または内因性もしくは異種核酸のいずれかとして、組換えもしくは内因性の、ウイルス、細菌、藻類、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚類、哺乳動物、げっ歯動物、ウマ、ヒツジ(ovine)、ヤギ、ヒツジ(sheep)、霊長動物、真核生物のゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNAもしくはRNA、葉緑体DNAもしくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、一本鎖、二本鎖もしくは三本鎖、ハイブリダイズしたもの等またはそれらの任意の組合せとして、重鎖もしくは軽鎖定常もしくは可変もしくはフレームワークもしくはCDR配列を発現する任意の他の細胞などの、しかしこれらに限定されない、抗体産生細胞と融合することによって作製する。たとえば、全体が参照により本明細書に組み込まれる、Ausubel, supra, and Colligan, Immunology, supra, chapter 2参照。
【0107】
任意の他の適切な宿主細胞も、本発明の抗体、その特定フラグメントまたは変異体をコードする異種または内因性核酸を発現するために使用できる。融合細胞(ハイブリドーマ)または組換え細胞は、選択的培養条件または他の適切な公知の方法を用いて単離し、限界希釈または細胞選別または他の公知の方法によってクローニングすることができる。所望の特異性を有する抗体を生産する細胞を適切なアッセイ(たとえばELISA)によって選択できる。
【0108】
本発明の抗体はまた、少なくとも1つの抗IL−6抗体をコードする核酸を使用して、乳中にそのような抗体を産生する、ヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジ等のようなトランスジェニック動物または哺乳動物を提供するように調製することができる。そのような動物は公知の方法を用いて提供され得る。たとえば、限定されることなく、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,827,690号;同第5,849,992号;同第4,873,316号;同第5,849,992号;同第5,994,616号、同第5,565,362号;同第5,304,489号等参照。
【0109】
本発明の抗体は、さらに、少なくとも1つの抗IL−6抗体をコードする核酸を使用して、そのような抗体、特定部分または変異体を植物の部分においてまたはそれらから培養された細胞において産生するトランスジェニック植物および培養植物細胞(たとえば、限
定されることなく、タバコおよびトウモロコシ)を提供するように調製することができる。非限定的な例として、組換えタンパク質を発現するトランスジェニックタバコ葉は、たとえば誘導的プロモーターを用いて、大量の組換えタンパク質を提供するために成功裡に使用されてきた。たとえば、Cramer et al., Curr. Top. Microbol. Immunol. 240:95−118 (1999) およびその中で引用される参考文献参照。また、トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系において生産されるものまたは天然のソースから精製されたものと同等の生物活性で、哺乳動物タンパク質を商業生産レベルで発現するために使用されている。たとえば、Hood et al., Adv. Exp. Med. Biol. 464:127−147 (1999)およびその中で引用される参考文献参照。抗体はまた、タバコ種子およびジャガイモ塊茎を含む、一本鎖抗体(scFv)などの抗体フラグメントを含有するトランスジェニック植物種子から大量に生産されてきた。たとえば、Conrad et al.,Plant Mol.Biol.38:101−109(1998)およびその中で引用される参考文献参照。従って、本発明の抗体はまた、公知の方法に従って、トランスジェニック植物を用いて作製することもできる。たとえば、Fischer et al., Biotechnol. Appl. Biochem. 30:99−108 (October, 1999), Ma et al., Trends Biotechnol. 13:522−7 (1995); Ma et al., Plant Physiol. 109:341−6 (1995); Whitelam
et al., Biochem Soc. Trans. 22:940−944 (1994);およびその中で引用される参考文献も参照のこと。上記参考文献の各々は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
抗体の精製
抗IL−6抗体は、プロテインA精製、プロテインG精製、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含むがこれらに限定されない、周知の方法によって組換え細胞培養物から回収し、精製することができる。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)も、精製のために使用できる。たとえば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、Colligan,Current Protocols in Immunology,or Current Protocols in Protein Science, John Wiley&Sons,NY,N.Y.,(1997−2001),e.g.,chapters 1,4,6,8,9,and 10参照。
【0111】
本発明の抗体は、天然精製された産物、化学合成手順の産物、ならびに、たとえば酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞を含む真核生物宿主から組換え技術によって生産される産物を包含する。組換え生産手順において使用される宿主に依存して、本発明の抗体は、グリコシル化され得るかまたはグリコシル化されなくてもよく、グリコシル化されることが好ましい。そのような方法は、すべて全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook,supra,Sections 17.37−17.42;Ausubel,supra,Chapters 10,12,13,16,18 and 20,Colligan,Protein Science,supra,Chapters
12−14などの多くの標準的な実験室マニュアルに記述されている。
【0112】
精製抗体は、たとえばELISA、ELISPOT、フローサイトメトリー、免疫細胞学、Biacore(登録商標)分析、Sapidyne KinExA(商標)反応速度排除分析、SDS−PAGEおよびウエスタンブロット法によって、またはHPLC分析ならびに本明細書で開示する多くの他の機能的アッセイによって特徴づけることができ
る。
【0113】
哺乳動物細胞におけるIL−6抗体のクローニングおよび発現
典型的な哺乳動物発現ベクターは、mRNAの転写の開始を媒介する少なくとも1つのプロモーターエレメント、抗体コード配列、ならびに転写の終結および転写産物のポリアデニル化に必要なシグナルを含有する。付加的なエレメントは、エンハンサー、コザック配列、ならびにRNAスプライシングのための供与および受容部位に隣接される介在配列を含む。高度に効率的な転写は、SV40からの初期および後期プロモーター、レトロウイルス、たとえばRSV、HTLVI、HIVIからのロングターミナルリピート(LTR)、ならびにサイトメガロウイルス(CMV)の初期プロモーターを用いて達成され得る。しかしながら、細胞エレメントも使用できる(たとえばヒトアクチンプロモーター)。本発明を実施する際に使用するための適切な発現ベクターには、たとえば、pIRES1neo、pRetro−Off、pRetro−On、PLXSNまたはpLNCX(Clontech Labs,Palo Alto,Calif.)、pcDNA3.1(+/−)、pcDNA/Zeo(+/−)またはpcDNA3.1/Hygro(+/−)(Invitrogen)、PSVLおよびPMSG(Pharmacia,Uppsala,Sweden)、pRSVcat(ATCC 37152)、pSV2dhfr(ATCC 37146)およびpBC12MI(ATCC 67109))などのベクターを含む。使用できる哺乳動物宿主細胞には、ヒトHela 293、H9およびJurkat細胞、マウスNIH3T3およびC127細胞、Cos1、Cos7およびCV1、ウズラQC1−3細胞、マウスL細胞ならびにチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を含む。
【0114】
あるいは、遺伝子は、染色体に組み込まれた遺伝子を含有する安定な細胞株において発現させることができる。dhfr、gpt、ネオマイシンまたはハイグロマイシンなどの選択可能なマーカーとの同時トランスフェクションは、トランスフェクトされた細胞の同定および単離を可能にする。
【0115】
トランスフェクトされた遺伝子はまた、大量のコードされる抗体を発現するために増幅することができる。DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)マーカーは、数百、さらには数千コピーの対象遺伝子を担持する細胞株を開発するために有用である。もう1つ別の有用な選択マーカーは、酵素グルタミンシンターゼ(GS)(Murphy,et al.,Biochem.J.227:277−279(1991);Bebbington,
et al.,Bio/Technology 10:169−175(1992))である。これらのマーカーを使用して、哺乳動物細胞を選択培地において増殖させ、最も高い耐性を有する細胞を選択する。これらの細胞株は、染色体に組み込まれた増幅遺伝子(1または複数)を含有する。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞およびNSO細胞が、抗体の作製のためにしばしば使用される。
【0116】
CHO細胞におけるクローニングおよび発現
単離された可変および定常領域をコードするDNAと脱リン酸化ベクターをT4 DNAリガーゼで連結する。次に、大腸菌HB101またはXL−1 Blue細胞を形質転換し、たとえば制限酵素分析を用いて、プラスミドpC4に挿入されたフラグメントを含有する細菌を同定する。
【0117】
活性なDHFR遺伝子を欠くチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞をトランスフェクションのために使用する。5μgの発現プラスミドpC4を、リポフェクチンを用いてのプラスミドpSV2−neoと同時トランスフェクトする。プラスミドpSV2neoは、優性選択マーカーである、G418を含む抗生物質の群に対する耐性を付与する酵素をコードするTn5からのneo遺伝子を含有する。細胞を、1μg/mlのG418
を添加したα−MEMに接種する。2日後、細胞をトリプシン処理し、10、25または50ng/mlのメトトレキサートおよび1μg/mlのG418を添加したα−MEMにおいてハイブリドーマクローニングプレート(Greiner,Germany)に接種する。約10〜14日後、単一クローンをトリプシン処理し、次に種々の濃度のメトトレキサート(50nM、100nM、200nM、400nM、800nM)を使用して6穴ペトリ皿または10mlフラスコに接種する。次に、最も高い濃度のメトトレキサートで増殖するクローンを、さらに高い濃度のメトトレキサート(1mM、2mM、5mM、10mM、20mM)を含有する新しい6穴プレートに移す。100〜200mMの濃度で増殖するクローンが得られるまで同じ手順を反復する。所望遺伝子産物の発現は、たとえばSDS−PAGEおよびウエスタンブロット法、ELISAによって、または逆相HPLC分析によって分析される。
【0118】
抗IL−6抗体組成物
本発明はまた、非天然に生じる組成物、混合物または形態で提供される、本明細書で述べるおよび/または当技術分野で公知の、その少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6またはそれ以上の抗IL−6抗体を含有する少なくとも1つの抗IL−6抗体組成物を提供する。そのような組成物は、本明細書で述べる抗体のCDR領域またはその特定フラグメント、ドメインもしくは変異体の連続するアミノ酸の70〜100%から成る群より選択される抗IL−6抗体アミノ酸配列の、少なくとも1つまたは2つの完全長、C末端および/またはN末端欠失変異体、ドメイン、フラグメントまたは特定変異体を含有する非天然に生じる組成物を含む。好ましい抗IL−6抗体組成物は、本明細書で述べる抗IL−6抗体配列の少なくとも1つのCDRまたはLBR含有部分として、少なくとも1つまたは2つの完全長、フラグメント、ドメインまたは変異体を含む。さらなる好ましい組成物は、本明細書で述べる抗IL−6 AbのCDR領域の70〜100%の少なくとも1つの40〜99%を含む。そのような組成物パーセンテージは、当技術分野で公知のようにまたは本明細書で述べるように、液体または乾燥溶液(dry solution)、混合物、懸濁液、乳濁液またはコロイドとしての重量、容量、濃度、モル濃度、または重量モル濃度比である。
【0119】
本発明の抗IL−6抗体組成物は、そのような調節、治療または療法を必要とする細胞、組織、器官、動物または患者に対する少なくとも1つの抗IL−6抗体を含む組成物または医薬組成物の任意の適切で有効な量の少なくとも1つをさらに含有することができ、場合により、少なくとも1つのTNFアンタゴニスト(たとえば、限定されることなく、TNF抗体またはフラグメント、可溶性TNF受容体またはフラグメント、それらの融合タンパク質、または低分子TNFアンタゴニスト)、抗リウマチ薬(たとえばメトトレキサート、オーラノフィン、金チオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン)、筋弛緩薬、麻酔薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮静薬、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌薬(たとえばアミノグリコシド、抗真菌薬、駆虫薬、抗ウイルス薬、カルバペネム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、別の抗菌薬)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、タンパク質同化ステロイド、糖尿病関連薬、無機物、栄養素、甲状腺薬、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、下痢止め薬、鎮咳薬、鎮吐薬、抗潰瘍薬、緩下薬、抗凝固薬、エリスロポエチン(たとえばエポエチンα)、フィルグラスチム(たとえばG−CSF、Neupogen)、サルグラモスチム(GM−CSF、Leukine)、免疫、免疫グロブリン、免疫抑制薬(たとえばバシリキシマブ、サイクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体調節剤、散瞳薬、毛様体筋麻痺薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、有糸分裂阻害剤、放射性医薬品、抗うつ薬、抗躁病薬、抗精神病薬、抗不安薬、催眠薬、交感神経様作用薬、興奮薬、ドネペジル、タクリン、喘息治療薬、βアゴニスト、吸入ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン
、クロモリン、エピネフリンまたは類似体、ドルナーゼα(Pulmozyme)、サイトカインまたサイトカインアンタゴニストから選択される少なくとも1つをさらに含有し得る。そのようなサイトカインの非限定的な例は、IL−1〜IL−34のいずれかを含むが、これらに限定されない。適切な投与量は当技術分野において周知である。たとえば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、Wells et al., eds., Pharmacotherapy Handbook, 2nd Edition, Appleton and Lange, Stamford, Conn. (2000); PDR Pharmacopoeia, Tarascon Pocket
Pharmacopoeia 2000, Deluxe Edition, Tarascon Publishing, Loma Linda, Calif. (2000)参照。
【0120】
そのような抗癌剤または抗感染症薬はまた、本発明の少なくとも1つの抗体と会合、結合、同時製剤または同時投与される毒素分子を含有し得る。毒素は、場合により病的細胞または組織を選択的に死滅させるように働くことができる。病的細胞は、癌細胞または他の細胞であり得る。そのような毒素は、たとえばリシン、ジフテリア毒素、毒液毒素または細菌毒素の少なくとも1つから選択される、毒素の少なくとも1つの機能的細胞傷害性ドメインを含む精製または組換え毒素または毒素フラグメントであり得るが、これらに限定されない。毒素という用語はまた、死をもたらし得る、毒素ショックを含む、ヒトおよび他の哺乳動物において何らかの病的状態を引き起こし得る任意の天然に生じる、突然変異型または組換え細菌またはウイルスによって産生される内毒素および外毒素の両方を包含する。そのような毒素は、腸管毒素原性大腸菌耐熱性エンテロトキシン(LT)、耐熱性エンテロトキシン(ST)、赤痢菌細胞毒素、アエロモナスエンテロトキシン、トキシックショック症候群外毒素1(TSST−1)、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)、B(SEB)、またはC(SEC)、連鎖球菌エンテロトキシン等を含み得るが、これらに限定されない。そのような細菌は、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)、腸管出血性大腸菌の種の株(たとえば血清型O157:H7の株)、ブドウ球菌(Staphylococcus)種(たとえば黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・ピオゲネス(Staphylococcus pyogenes))、赤痢菌(Shigella)種(たとえば志賀赤痢菌(Shigella dysenteriase)、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)、ボイド赤痢菌(Shigella boydii)およびソンネ赤痢菌(Shigella sonnei))、サルモネラ(Salmonella)種(たとえば腸チフス菌(Salmonella typhi)、豚コレラ菌(Salmonella cholerasuis)、腸炎菌(Salmonella enteritidis))、クロストリジウム(Clostridium)種(たとえばウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium dificile)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum))、カンピロバクター(Camphlobacter)種(カンピロバクター・ジェジュニ(Camphlobacter jejuni)、カンピロバクター・フィタス(Camphlobacter fetus))、ヘリコバクター(Helicobacter)種(たとえばヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori))、アエロモナス(Aeromonas)種(たとえばアエロモナス・ソブリア(Aeromonas sobria)、アエロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、アエロモナス・キャビエ(Aeromonas caviae))、プレシオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、エルジシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、ビブリオ(Vibrios)種(たとえばコレラ菌(Vibrios
cholerae)、ビブリオ・パラヘモリチカス(Vibrios parahemolyticus))、クレブシエラ(Klebsiella)種、緑膿菌(Pseud
omonas aeruginosa)、および連鎖球菌(Streptococci)を含むが、これらに限定されない。たとえば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Stein,ed.,INTERNAL MEDICINE,3rd ed.,pp 1−13,Little,Brown and Co.,Boston,(1990);Evans et al.,eds.,Bacterial Infections of Humans:Epidemiology and Control,2d.Ed.,pp 239−254,Plenum Medical Book Co.,New York(1991);Mandell et al,Principles and Practice of Infectious Diseases,3d.Ed.,Churchill Livingstone,N.Y.(1990);Berkow et al,eds.,The Merck Manual,16th edition,Merck and Co.,Rahway,N.J.,1992;Wood et al,FEMS Microbiology Immunology,76:121−134(1991);Marrack et al,Science,248:705−711(1990)参照。
【0121】
本発明の抗IL−6抗体化合物、組成物または組合せは、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、防腐剤、アジュバント等のような、しかしこれらに限定されない任意の適切な助剤の少なくとも1つをさらに含有し得る。医薬的に許容される助剤が好ましい。Gennaro,Ed.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.(Easton,Pa.)1990などの、しかしこれに限定されない、そのような滅菌溶液の非限定的な例およびそのような滅菌溶液を調製する方法は、当技術分野において周知である。当技術分野で周知のようにまたは本明細書で述べるように、抗IL−6抗体、フラグメントまたは変異体組成物の投与の方法、溶解度および/または安定性のために適切な、医薬的に許容される担体は、常套的に選択することができる。
【0122】
本発明の組成物において有用な医薬的賦形剤および添加剤は、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質および炭水化物(たとえば、単糖、二糖、三糖、四糖およびオリゴ糖;アルジトール、アルドン酸、エステル化糖等のような誘導体化糖;ならびに多糖または高分子糖を含む、糖類)を含むが、これらに限定されず、それらは単独でまたは組み合わせて存在することができ、単独でまたは組み合わせて1〜99.99重量%または容量%を構成する。例示的なタンパク質賦形剤には、ヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒトアルブミン(rHA)などの血清アルブミン、ゼラチン、カゼイン等を含む。緩衝能力においても機能を果たすことができる代表的なアミノ酸/抗体成分は、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテーム等を含む。1つの好ましいアミノ酸は、グリシンである。
【0123】
本発明における使用に適する炭水化物賦形剤は、たとえば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボース等のような単糖;ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオース等のような二糖;ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン等のような多糖;およびマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトール等のようなアルジトールを含む。本発明における使用のための好ましい炭水化物賦形剤は、マンニトール、トレハロースおよびラフィノースである。
【0124】
抗IL−6抗体組成物はまた、緩衝剤またはpH調整剤を含有してもよく、典型的には、緩衝剤は、有機酸または塩基から調製される塩である。代表的な緩衝剤は、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸またはフタル酸の塩などの
有機酸塩;トリス、トロメタミン塩酸塩またはリン酸緩衝液を含む。本発明における使用のための好ましい緩衝剤は、クエン酸塩などの有機酸塩である。
【0125】
加えて、本発明の抗IL−6抗体組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(高分子糖)、デキストレート(たとえば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、着香剤、抗菌剤、甘味料、抗酸化剤、帯電防止剤、界面活性剤(たとえば、「TWEEN 20」および「TWEEN 80」などのポリソルベート)、脂質(たとえばリン脂質、脂肪酸)、ステロイド(たとえばコレステロール)、ならびにキレート化剤(たとえばEDTA)などの高分子賦形剤/添加剤を含み得る。
【0126】
本発明による抗IL−6抗体、部分または変異体組成物における使用に適するこれらおよび付加的な公知の医薬賦形剤および/または添加剤は、たとえば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、“Remington:The Science&Practice of Pharmacy”19.sup.th ed.,Williams&Williams,(1995)、および“Physician’s Desk Reference”52nded.,Medical Economics,Montvale,N.J.(1998)に列挙されているように、当技術分野において公知である。好ましい担体または賦形剤材料は、炭水化物(たとえば糖類およびアルジトール)ならびに緩衝剤(たとえばクエン酸塩)または高分子剤である。
【0127】
製剤
上記のように、本発明は、医薬的に許容される製剤中に少なくとも1つの抗IL−6抗体を含有する、好ましくは食塩水または選択された塩を含むリン酸緩衝液である安定な製剤、ならびに防腐剤を含有する保存溶液および製剤、ならびに医薬または獣医学的用途に適する多回使用保存製剤を提供する。保存製剤は、水性希釈剤中に、少なくとも1つの公知の防腐剤または場合により、少なくとも1つのフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、亜硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(たとえば六水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサール、もしくはそれらの混合物から成る群より選択される少なくとも1つの防腐剤を含有する。たとえば0.001〜5%、またはその中の任意の範囲もしくは値などの、たとえば0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、またはその中の任意の範囲もしくは値などの、しかしこれらに限定されない、任意の適切な濃度または混合物が当技術分野で公知のように使用できる。非限定的な例は、防腐剤なし、0.1〜2%m−クレゾール(たとえば0.2、0.3、0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1〜3%ベンジルアルコール(たとえば0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001〜0.5%のチメロサール(たとえば0.005、0.01)、0.001〜2.0%フェノール(たとえば0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005〜1.0%アルキルパラベン(1または複数)(たとえば0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、1.0%)等を含む。
【0128】
上記のように、本発明は、包装材料ならびに、場合により水性希釈剤中に、所定の緩衝剤および/または防腐剤と共に少なくとも1つの抗IL−6抗体の溶液を含有する少なくとも1つのバイアルを含む製品を提供し、前記包装材料は、そのような溶液が1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間またはそれ以上の期間にわたって保持され得ることを示すラベルを含む。本発明はさらに、包装材料、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL−6抗体を含有する第一バイアル、および所定の緩衝剤または防腐剤の水性希釈剤を含有する第二のバイアルを含む製品を包含し、前記包装材料は、24時間またはそれ以上の期間にわたって保持され得る溶液を形成するために少なくとも1つの抗IL−6抗体を水性希釈剤中で再構成することを患者に指示するラベルを含む。
【0129】
本発明に従って使用される少なくとも1つの抗IL−6抗体は、本明細書で述べるようにまたは当技術分野で公知のように、哺乳動物細胞またはトランスジェニック標本からの方法を含む、組換え手段によって作製することができ、または他の生物学的ソースから精製することができる。
【0130】
本発明の製品における少なくとも1つの抗IL−6抗体の範囲は、湿式/乾式系(wet/dry system)における場合、再構成の際に約1.0μg/ml〜約1000mg/mlの濃度を生じさせる量を含むが、より低いおよびより高い濃度も実施可能であり、意図される送達ビヒクルに依存し、たとえば溶液製剤は、経皮パッチ、経肺、経粘膜または浸透圧もしくはマイクロポンプ法とは異なる。
【0131】
好ましくは、水性希釈剤は、場合により、医薬的に許容される防腐剤をさらに含む。好ましい防腐剤は、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサール、またはそれらの混合物から成る群より選択されるものを含む。製剤に使用される防腐剤の濃度は、抗菌作用を生じさせるのに十分な濃度である。そのような濃度は、選択される防腐剤に依存し、当業者によって容易に決定される。
【0132】
他の賦形剤、たとえば等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、保存性増強剤を、場合によりおよび好ましくは、希釈剤に加えることができる。グリセリンなどの等張剤は、公知の濃度で一般的に使用される。生理的に耐容される緩衝剤を、好ましくは、改善されたpH管理を与えるために添加する。製剤は、約pH4〜約pH10などの、広範囲のpHをカバーすることができ、好ましい範囲は約pH5〜約pH9、最も好ましい範囲は約6.0〜約8.0にわたり得る。好ましくは、本発明の製剤は約6.8〜約7.8のpHを有する。好ましい緩衝剤は、リン酸緩衝剤、最も好ましくはリン酸ナトリウム、特にリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。
【0133】
Tween 20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、Tween 40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、Tween 80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、Pluronic F68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー)およびPEG(ポリエチレングリコール)、またはポリソルベート20もしくは80またはポロキサマー184もしくは188、Pluronic(登録商標)、ポリオール、他のブロックコポリマーなどの非イオン性界面活性剤のような医薬的に許容される可溶化剤、ならびにEDTAおよびEGTAなどのキレート化剤のような他の添加剤を、場合により、凝集を低減するために製剤または組成物に添加することができる。これらの添加剤は、ポンプまたはプラスチック容器を使用して製剤を投与する場合、特に有用である。医薬的に許容される界面活性剤の存在は、タンパク質が凝集する傾向を軽減する。
【0134】
本発明の製剤は、少なくとも1つの抗IL−6抗体と、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサールまたはそれらの混合物から成る群より選択される防腐剤を水性希釈剤中で混合することを含む工程によって調製され得る。水性希釈剤中で少なくとも1つの抗IL−6抗体と防腐剤を混合することは、従来の溶解および混合手順を用いて実施される。適切な製剤を調製するために、たとえば、緩衝液中の少なくとも1つの抗IL−6抗体の測定量を、所望濃度のタンパク質および防腐剤を提供するのに十分な量の、緩衝液中の所望防腐剤と組み合わせる。この工程の変法は当業者によって認識される。たとえば、成分を添加する順序、付加的な添加剤を使用するかどうか、製剤を調製する温度およびpHは、すべて、使用される濃度および投与手段のために最適化することができる因子である。
【0135】
特許請求する製剤は、透明溶液として、または水性希釈剤中に、水、防腐剤および/または賦形剤、好ましくはリン酸緩衝液および/または食塩水および選択された塩を含有する第二のバイアルで再構成される凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL−6抗体のバイアルを含むデュアルバイアルとして患者に提供され得る。単一溶液バイアルまたは再構成を必要とするデュアルバイアルのいずれもが、複数回再使用でき、単回または複数サイクルの患者治療のために十分であり得、従って、現在使用可能なものよりも好都合な治療レジメンを提供することができる。 本特許請求の製品は、即時から24時間またはそれ以上の期間にわたる投与に有用である。従って、本発明の特許請求する製品は患者に有意の利点を提供する。本発明の製剤は、場合により、約2℃〜約40℃の温度で安全に保存することができ、また長期間にわたってタンパク質の生物活性を保持することができ、従って、溶液を6、12、18、24、36、48、72、または96時間またはそれ以上の期間にわたって保持および/または使用できることを示す包装ラベルを許容する。保存希釈剤を使用する場合、そのようなラベルは、1〜12か月、半年、1年半および/または2年までの使用を含み得る。
【0136】
本発明における少なくとも1つの抗IL−6抗体の溶液は、水性希釈剤中に少なくとも1つの抗体を混合することを含む工程によって調製され得る。混合は、従来の溶解および混合手順を用いて実施される。適切な希釈液を調製するために、たとえば、水または緩衝液中の少なくとも1つの抗体の測定量を、所望濃度のタンパク質および、場合により、防腐剤または緩衝剤を提供するのに十分な量で組み合わせる。この工程の変法は当業者によって認識される。たとえば、成分を添加する順序、付加的な添加剤を使用するかどうか、製剤を調製する温度およびpHは、すべて、使用される濃度および投与手段のために最適化することができる因子である。
【0137】
特許請求する製品は、透明溶液として、または水性希釈剤を含有する第二のバイアルで再構成される凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL−6抗体のバイアルを含むデュアルバイアルとして患者に提供され得る。単一溶液バイアルまたは再構成を必要とするデュアルバイアルのいずれもが、複数回再使用でき、単回または複数サイクルの患者治療のために十分であり得、従って、現在使用可能なものよりも好都合な治療レジメンを提供する。
【0138】
特許請求する製品は、透明溶液または水性希釈剤を含有する第二のバイアルで再構成される凍結乾燥された少なくとも1つの抗体のバイアルを含むデュアルバイアルを、薬局、診療所、または他のそのような機関および施設に提供することによって患者に間接的に提供され得る。この場合の透明溶液は、1リットルまでまたはさらに大きいサイズであり得、そこから少なくとも1つの抗体溶液の一部をより小さなバイアルに移すために1回または複数回取り出し、薬局または診療所によってそれらの顧客および/または患者に提供さ
れ得る、大きな容器を提供することができる。
【0139】
これらの単一バイアル系を含む広く認められている装置は、溶液の送達用のペンインジェクター装置、たとえばBecton Dickensen(Franklin Lakes,N.J.,www.bectondickenson.com)、Disetronic(Burgdorf,Switzerland,www.disetronic.com;Bioject,Portland,Oreg.(www.bioject.com);National Medical Products,Weston Medical(Peterborough,UK,www.weston−medical.com)、Medi−Ject Corp(Minneapolis,Minn.,www.mediject.com)によって製造または開発された、たとえばBD Pens、BD Autojector(登録商標)、Humaject(登録商標)、NovoPen(登録商標)、B−D(登録商標)Pen、AutoPen(登録商標)およびOptiPen(登録商標)、GenotropinPen(登録商標)、Genotronorm Pen(登録商標)、Humatro Pen(登録商標)、Reco−Pen(登録商標)、Roferon Pen(登録商標)、Biojector(登録商標)、iject(登録商標)、J−tip Needle−Free Injector(登録商標)、Intraject(登録商標)、Medi−Ject(登録商標)などを含む。デュアルバイアル系を含む広く認められている装置は、HumatronPen(登録商標)などの、再構成した溶液の送達用のカートリッジ中で凍結乾燥薬剤を再構成するためのペンインジェクター系が包含される。
【0140】
本特許請求の製品は包装材料を含む。包装材料は、規制当局によって要求される情報に加えて、製品が使用できる条件を提供する。本発明の包装材料は、2つのバイアルの湿潤/乾燥製品のための溶液を形成し、2〜24時間またはそれ以上の期間にわたって溶液を使用するために少なくとも1つの抗IL−6抗体を水性希釈剤中に再構成するための患者への指示書を提供する。単一バイアルの溶液製品に関しては、ラベルは、そのような溶液が2〜24時間またはそれ以上にわたって使用できることを指示する。本特許請求の製品は、ヒト医薬品用途のために有用である。
【0141】
本発明の製剤は、少なくとも1つの抗IL−6抗体と選択された緩衝液、好ましくは食塩水または選択された塩を含有するリン酸緩衝液とを混合することを含む工程により調製され得る。少なくとも1つの抗体と水性希釈剤中の緩衝剤を混合することは、従来の溶解および混合手順を用いて実施される。適当な製剤を調製するために、たとえば、水または緩衝液中の少なくとも1つの抗体の測定量を、所望濃度のタンパク質および緩衝液を提供するのに十分な量で水中の所望緩衝剤と組み合わせる。この工程の変法は当業者によって認識される。たとえば、成分を添加する順序、付加的な添加剤を使用するかどうか、製剤を調製する温度およびpHは、すべて、使用される濃度および投与手段のために最適化することができる因子である。
【0142】
特許請求する安定なまたは保存された製剤は、透明溶液として、または水性希釈剤中に防腐剤もしくは緩衝剤および賦形剤を含有する第二のバイアルで再構成される凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL−6抗体のバイアルを含むデュアルバイアルとして患者に提供され得る。単一溶液バイアルまたは再構成を必要とするデュアルバイアルのいずれもが、
複数回再使用でき、単回または複数サイクルの患者治療のために十分であり得、従って、現在使用可能なものよりも好都合な治療レジメンを提供する。
【0143】
本明細書中で述べる安定なまたは保存された製剤または溶液のいずれか中の少なくとも1つの抗IL−6抗体は、当技術分野で周知のように、SCまたはIM注入、経皮、経肺
、経粘膜、移植、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ、または当業者によって認識される他の手段を含む様々な送達方法を介して、本発明に従って患者に投与することができる。
【0144】
治療への応用
本発明の1つの実施形態では、本開示の抗IL−6抗体を含有する医薬組成物は、生物、好ましくは動物、好ましくは哺乳動物へのヒト化抗体の投与を容易にする。特定の哺乳動物は、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヒツジおよびブタ動物、非ヒト霊長動物、ならびにヒトを含む。ヒトが特に好ましい。
【0145】
IL−6は、その多面的活性のために、様々な疾患の病理に関与する。それゆえ、IL−6に対する高親和性の中和キメラまたはヒト抗体は、癌、悪液質、SLE、関節リウマチ、骨粗しょう症、脳外傷、脳浮腫、うつ病およびCHFなどのIL−6関連疾患において使用されることが望ましい。1つの好ましい態様では、本開示の抗IL−6抗体は関節リウマチを治療するために使用できる。抗IL−6抗体またはキメラもしくはヒト化を含むこれらのmAbの任意の誘導体、またはフラグメントは、骨痛を緩和するうえで、黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、結腸癌および多発性骨髄腫などの腫瘍の増殖を抑制するうえで、リンパ増殖性障害およびIL−6が関係づけられてきた他の疾患において使用できる。これらの抗体は、単一作用物質としてまたは他の治療薬と組み合わせて使用できる。加えて、これらのMabは、細胞傷害性薬剤の治療効果を高めることができる化学療法増感剤として使用できる。これらの抗体は、放射線の効果を改善し得る放射線増感剤として使用できる。それらはまた、IL−2、IL−12および/またはIFNαなどの他の腫瘍免疫調節剤と組み合わせて使用することもできる。加えて、抗IL−6抗体は、抗TNF−α、IL−12/IL−23、IL−2、GpIIb/IIIa受容体、CD52、CD20、RSVタンパク質、HER2/neu受容体等のようなタンパク質のモノクローナル抗体;ならびにRituxan、Herceptin、Mylotarg、Campath、Zevalin、Bexxar、Erbitux、AvastinおよびVectibixを含む市販の承認された抗体と組み合わせて使用できる。
【0146】
従って、本発明はまた、本発明の少なくとも1つの抗IL−6抗体を使用して、当技術分野で公知のようにまたは本明細書で述べるように、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1つのIL−6関連疾患を調節するまたは治療する方法を提供する。
【0147】
IL−6は、悪性細胞のアポトーシスの阻害を含む自己分泌またはパラ分泌機構を介して多発性骨髄腫(MM)における悪性形質細胞の増殖、分化および生存を増強することが公知である。MMは治療不能の悪性形質細胞障害であるが、IL−6をブロックすることが有効な治療であると主張されている(Anderson et al.,Multiple Myeloma:New Insights and Therapeutic Approaches.Hematology:147−165,2000)。IL−6はまた、基底細胞癌における腫瘍形成作用も有するが、IL−6でトランスフェクトした細胞は、アポトーシスを抑制することおよび活発に促進することの両方によって高い腫瘍増殖速度を示した(Jee et al.,Overexpression of interleukin−6 in human basal cell carcinoma cell lines increases anti−apoptotic activity and tumorigenic potency.Oncogene,Vol.20,No.2 pp.198−208,2001)。IL−6はまた、mdr1遺伝子発現(mdr1およびメタロチオネイン経路)を誘導することによって化学療法に対する乳癌細胞の耐性も促進し得る(Conze et al,Autocrine Production of Interleukin 6 Causes Multidrug Resistance in Breast Cancer Cells.C
ancer Res 61:8851−8858,2001)。(Conze et al,Autocrine Production of Interleukin 6 Causes Multidrug Resistance in Breast Cancer Cells.Caner Res 61:8851−8858,2001)。
【0148】
腫瘍細胞の生存および疾患進行を媒介するIL−6の能力は、インビトロおよびインビボの両方で腫瘍増殖への抗IL−6 mAbの阻害作用によって確認された。IL−6の遮断は、インビトロでヒト脳腫瘍(グリア芽細胞腫)の増殖を抑制できることが報告された(Goswami et al.,interleukin− 6−mediated
autocrine growth promotion in human glioblastoma multiforme cell line U87MG.J Neurochem 71:1837−1845,1998)。同じアプローチを使用して、マウスCLB8抗IL−6抗体の注入はヒト腫瘍を担持するマウスの生存を延長させることが示された(Mauray et al.,Epstein−Barr virus−dependent lymphoproliferative disease:critical role of IL−6.Eur J Immunol;30(7):2065−73, 2000)。また、mCLB8抗IL−6抗体は、ヌードマウスにおいてヒト腎癌腫瘍の増殖を後退させ、血清カルシウム濃度を低下させることも報告された(Weisglass et al.,The role of interleukin−6 in the induction of hypercalcemia in renal cell carcinoma transplanted into
nude mice.Endocrinology 138(5):1879−8.,1995)。CLB−8抗体はまた、マウスにおける樹立したヒトホルモン不応性前立腺腫瘍異種移植片も退縮させた (Smith et al.2001)。抗インターロイキン−6モノクローナル抗体は、ヌードマウスにおけるヒト前立腺癌異種移植片の退縮を誘導する(Smith and Keller,Prostate;48(l):47−53)。
【0149】
IL−6はまた、悪性疾患の予後因子およびマーカーでもあり得る。腎細胞癌(RCC)において、高レベルのIL−6は腫瘍転移、そして最終的には予後不良および短い生存期間と相関することが報告された(Jean−Yves Blay et al.1992)。さらに、RCCでは、高い血清IL−6は、IL−2治療に対する応答不良に関連し(Fumagalli et al. 1999)Pretreatment serum markers and lymphocyte response to interleukin−2 therapy. Br J Cancer 80(3−4):407−l 1)、IL−2関連毒性の程度と相関する (Capuron et al.2001)Association between immune activation and early depressive symptoms in cancer patients treated with interleukin−2−based therapy.Psychoneuroendocrinology;26(8):797−808)。
【0150】
IL−6の高いレベルはまた、乳癌における予後不良および転移性疾患の存在とも相関する(Kurebayashi 2000 and Benoy 2002) Regulation of interleukin−6 secretion from breast cancer cells and its clinical implications.Breast Cancer;7(2):124−9.Serum interleukin 6, plasma VEGF,serum VEGF,and VEGF platelet load in breast cancer patients.Clin Breast Cancer;2(4):311−5。
【0151】
IL−6は、無力症/悪液質および骨吸収などの癌に関連する病的状態における原因因子であると仮定される。IL−6ノックアウトマウスでは、腫瘍誘発性悪液質(Cahlin et al.2000)および骨吸収(その後の高カルシウム血症)(Sandhu et al.1999)が減少することが認められた。癌関連うつ病および脳腫瘍に続発する脳浮腫も、高レベルのIL−6に関連してきた(Musselman et al. 2001)。本発明の抗IL−6抗体はまた、ヌードマウスにおけるヒト黒色腫およびヒト前立腺癌誘発性悪液質を抑制した。
【0152】
本発明は、多発性骨髄腫、白血病、急性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、B細胞、T細胞またはFAB ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘアリーセル白血病、骨髄異形成症候群(MDS)、リンパ腫、ホジキン病、悪性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、カポジ肉腫、結腸直腸癌、腎細胞癌、膵癌、前立腺癌、鼻咽頭癌、悪性組織球増殖症、腫瘍随伴症候群/悪性高カルシウム血症、固形腫瘍、腺癌、肉腫、悪性黒色腫、血管腫、転移性疾患、癌関連骨吸収、癌関連骨痛の少なくとも1つを含むが、これらに限定されない、細胞、組織、器官、動物または患者において少なくとも1つの悪性疾患を調節するまたは治療すること;癌転移の抑制;癌悪液質の改善;およびメサンギウム増殖性糸球体腎炎等のような炎症性疾患の治療のための方法を含む。そのような方法は、場合により、そのようなIL−6抗体の投与の前に、同時にまたは後に投与することにより、放射線療法、抗血管新生薬、化学療法剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤等と組み合わせて使用することができる。
【0153】
本発明はまた、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身型若年性関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、胃潰瘍、血清反応陰性関節症、変形性関節症、炎症性腸疾患、潰瘍性結腸炎、全身性エリテマトーデス、抗リン脂質症候群、虹彩毛様体炎/ブドウ膜炎/視神経炎、特発性肺線維症、全身性脈管炎/ヴェーゲナー肉芽腫症、サルコイドーシス、精巣炎/精管復元術、アレルギー性/アトピー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、湿疹、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性結膜炎、過敏性肺炎、移植、臓器移植拒絶反応、移植片対宿主病、全身性炎症反応症候群、敗血症症候群、グラム陽性菌敗血症、グラム陰性菌敗血症、培養陰性敗血症、真菌敗血症、好中球減少性発熱、尿路性敗血症、髄膜炎菌血症、外傷/出血、熱傷、電離放射線への暴露、急性膵炎、成人呼吸窮迫症候群、関節リウマチ、アルコール性肝炎、慢性炎症性病変、サルコイドーシス、クローン病、鎌状赤血球貧血、糖尿病、ネフローゼ、アトピー性疾患、過敏症反応、アレルギー性鼻炎、枯草熱(花粉症)、通年性鼻炎、結膜炎、子宮内膜症、喘息、蕁麻疹、全身性アナフィラキシー、皮膚炎、悪性貧血、溶血性疾患、血小板減少症、何らかの器官または組織の移植片拒絶反応、腎移植拒絶反応、心移植拒絶反応、肝移植拒絶反応、膵移植拒絶反応、肺移植拒絶反応、骨髄移植(BMT)拒絶反応、皮膚同種移植片拒絶反応、軟骨移植拒絶反応、骨移植拒絶反応、小腸移植拒絶反応、胎児胸腺移植片拒絶反応、副甲状腺移植拒絶反応、何らかの器官または組織の異種移植拒絶反応、同種移植拒絶反応、抗受容体過敏症反応、グレーブス病、レイノー病、B型インスリン抵抗性糖尿病、喘息、重症筋無力症、抗体媒介性細胞傷害、III型過敏症反応、全身性エリテマトーデス、POEMS症候群(多発性神経障害、臓器巨大症、内分泌障害、単クローン性高ガンマグロブリン血症および皮膚変化症候群)、多発性神経障害、臓器巨大症、内分泌障害、単クローン性高ガンマグロブリン血症、皮膚変化症候群、抗リン脂質症候群、天疱瘡、強皮症、混合性結合組織病、特発性アジソン病、真性糖尿病、慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、白斑、脈管炎、心筋梗塞(MI)後心臓切開術症候群、IV型過敏症、接触皮膚炎、過敏性肺炎、同種移植拒絶反応、細胞内生物体に起因する肉芽腫、薬物感受性、代謝性/特発性ウィルソン病、ヘモクロマトーシス、α1−アンチトリプシン欠損症、糖尿病性網膜症、橋本甲状腺炎、骨粗しょう症、視床下部−下垂体−副腎軸評価、原発性胆汁性肝硬変、甲状腺炎、脳脊髄炎
、悪液質、嚢胞性線維症、新生児慢性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、家族性血球貪食性リンパ組織球症、皮膚疾患、乾癬、脱毛、ネフローゼ症候群、腎炎、糸球体腎炎、急性腎不全、血液透析、尿毒症、毒性、子癇前症、okt3療法、抗cd3療法、サイトカイン療法、化学療法、放射線療法(たとえば無力症、貧血、悪液質等を含むが、これらに限定されない)、慢性サリチル酸中毒、睡眠時無呼吸、肥満症、心不全、副鼻腔炎、炎症性腸疾患等の少なくとも1つを含むが、これらに限定されない、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1つのIL−6媒介性免疫関連疾患を調節するまたは治療するための方法も提供する。たとえば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、the Merck Manual,12th−17th Editions,Merck&Company,Rahway,NJ.(1972,1977,1982,1987,1992,1999),Pharmacotherapy Handbook,Wells et al.,eds.,Second Edition,Appleton
and Lange,Stamford,Conn.(1998,2000)参照。
【0154】
本発明はまた、急性または慢性細菌感染、細菌、ウイルスおよび真菌感染を含む急性および慢性の寄生または感染過程、HIV感染/HIV神経障害、髄膜炎、肝炎(A型、B型またはC型等)、敗血症性関節炎、腹膜炎、肺炎、喉頭蓋炎、大腸菌O157:h7、溶血性尿毒症症候群/血栓溶解性血小板減少性紫斑症、マラリア、デング出血熱、リーシュマニア症、ハンセン病、トキシックショック症候群、連鎖球菌性筋炎、ガス壊疽、ヒト型結核菌、トリ型結核菌群、ニューモシスティス・カリニ(pneumocystis carinii)肺炎、骨盤内炎症性疾患、精巣炎/精巣上体炎、レジオネラ菌、ライム病、インフルエンザA型、エプスタイン‐バーウイルス、ウイルス関連血球貪食症候群、ウイルス性脳炎/無菌性髄膜炎等の少なくとも1つを含むが、これらに限定されない、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1つの感染症を調節するまたは/治療するための方法を提供する。
【0155】
そのような方法のいずれもが、場合により、少なくとも1つの抗IL−6抗体を含有する少なくとも1つの組成物または医薬組成物の有効量を、そのような調節、治療または療法を必要とする細胞、組織、器官、動物または患者に投与することを含み得る。抗IL−6療法による治療のための適応症は、参照により本出願に組み込まれる、以下の参考文献:Van Snick,“Interleukin−6:An Overview,”Ann.Rev.Immunol.,8:253−278 (1990);Campbell et al.,“Essential Role for Interferon−gamma.And Interleukin−6 in Autoimmune Insulin−Dependent Diabetes in NOD/Wehi Mice,”. Clin. Invest, 87:739−742 (1991);Heinrich et al.,“Interleukin−6 Monoclonal Antibody Therapy for a Patient with Plasma Cell Leukemia,”Blood,78(5):1198−1204(1991);Starnes et al.,“Anti−IL−6 Monoclonal Antibodies Protect Against Lethal Escherichia coli Infection and Lethal Tumor Necrosis Factor−alpha.Challenge in Mice,”.Immunol.,145(12):4185−4191 (1990); Strassman et al.,“Evidence for the Involvement of interleukin 6 in Experimental Cancer Cachexia,”.Clin.Invest,89:1681−1684 (1992)において開示されている。
【0156】
本発明の任意の方法は、少なくとも1つの抗IL−6抗体を含有する組成物または医薬
組成物の有効量を、そのような調節、治療または療法を必要とする細胞、組織、器官、動物または患者に投与することを含み得る。そのような方法は、場合により、そのような免疫疾患もしくは悪性疾患を治療するための同時投与または併用療法をさらに含むことができ、前記の少なくとも1つの抗IL−6抗体、その特定部分または変異体の投与は、前、同時および/または後に、少なくとも1つのTNFアンタゴニスト(たとえば、限定されることなく、TNF抗体またはフラグメント、可溶性TNF受容体またはフラグメント、それらの融合タンパク質、または低分子TNFアンタゴニスト)、IL−18抗体またはフラグメント、低分子IL−18アンタゴニストまたはIL−18受容体結合タンパク質、IL−1抗体(IL−1αおよびIL−1βの両方を含む)またはフラグメント、可溶性IL−1受容体アンタゴニスト、抗リウマチ薬(たとえばメトトレキサート、オーラノフィン、金チオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン、放射線療法、抗血管新生薬、化学療法剤、サリドマイド、筋弛緩薬、麻酔薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮静薬、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌薬(たとえばアミノグリコシド、抗真菌薬、駆虫薬、抗ウイルス薬、カルバペネム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、別の抗菌薬)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、タンパク質同化ステロイド、糖尿病関連薬、無機物、栄養素、甲状腺薬、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、エリスロポエチン(たとえばエポエチンα)、フィルグラスチム(たとえばG−CSF、Neupogen)、サルグラモスチム(GM−CSF、Leukine)、免疫、免疫グロブリン、免疫抑制薬(たとえばバシリキシマブ、サイクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体調節剤、散瞳薬、毛様体筋麻痺薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、有糸分裂阻害剤、放射性医薬品、抗うつ薬、抗躁病薬、抗精神病薬、抗不安薬、催眠薬、交感神経様作用薬、興奮薬、ドネペジル、タクリン、喘息治療薬、βアゴニスト、吸入ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンまたは類似体、ドルナーゼα(Pulmozyme)、サイトカインまたサイトカインアンタゴニストから選択される少なくとも1つを投与することをさらに含む。適切な投与量は当技術分野において周知である。たとえば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford, Conn.(2000);PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe
Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,Calif.(2000)参照。
【0157】
本発明の組成物、併用療法、同時投与、装置および/または方法(本発明の少なくとも1つの抗体、その特定部分および変異体をさらに含む)に適するTNFアンタゴニストは、抗TNF抗体、その抗原結合フラグメント、およびTNFに特異的に結合する受容体分子;サリドマイド、テニダップ、ホスホジエステラーゼ阻害剤(たとえばペントキシフィリンおよびロリプラム)、A2bアデノシン受容体アゴニストおよびA2bアデノシン受容体エンハンサーなどの、TNF合成、TNF放出または標的細胞へのその作用を阻止および/または阻害する化合物;マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ阻害剤などの、TNF受容体シグナル伝達を阻止および/または阻害する化合物;メタロプロテイナーゼ阻害剤などの、膜TNF切断をブロックおよび/または阻害する化合物;アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(たとえばカプトプリル)などの、TNF活性をブロックおよび/または阻害する化合物;ならびにMAPキナーゼ阻害剤などの、TNF産生および/または合成をブロックおよび/または阻害する化合物を含むが、これらに限定されない。
【0158】
治療処置
本発明の任意の方法は、少なくとも1つの抗IL−6抗体を含有する組成物または医薬組成物の有効量を、そのような調節、治療または療法を必要とする細胞、組織、器官、動物または患者に投与することを含む、IL−6媒介性疾患を治療するための方法を含み得る。そのような方法は、場合により、そのような免疫疾患を治療するための同時投与または併用療法をさらに含むことができ、前記の少なくとも1つの抗IL−6抗体、その特定部分または変異体の投与は、上述した少なくとも1つの作用物質を前に、同時におよび/または後に投与することをさらに含む。
【0159】
典型的には、病的状態の治療は、組成物中に含まれるものの比活性に依存して、平均で、各投与につき患者の1キログラム当たり少なくとも1つの抗IL−6抗体が少なくとも約0.01〜500ミリグラムの範囲、好ましくは単回または多回投与につき患者の1キログラム当たり抗体が少なくとも約0.1〜100ミリグラムの範囲に合計でなる、少なくとも1つの抗IL−6抗体組成物の有効量または投与量を投与することによって実施される。あるいは、有効血清濃度は、単回または多回投与につき0.1〜5000μg/mlの血清濃度を含み得る。適当な投与量は医師に公知であり、言うまでもなく、特定の疾患状態、投与される組成物の比活性、および治療を受けている特定の患者に依存し、一部の場合には、所望治療量を達成するために、反復投与、すなわち特定の観測用量または測定用量の反復個別投与を与える必要があり得、前記個別投与は、所望1日用量または作用が達成されるまで反復される。
【0160】
好ましい用量は、場合により、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99および/または100〜500mg/kg/投与、またはその任意の範囲、値もしくは割合、または単回もしくは多回投与当たり0.1、0.5、0.9、1.0、1.1、1.2、1.5、1.9、2.0、2.5、2.9、3.0、3.5、3.9、4.0、4.5、4.9、5.0、5.5、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、12、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14.0、14.5、14.9、15、15.5、15.9、16、16.5、16.9、17、17.5、17.9、18、18.5、18.9、19、19.5、19.9、20、20.5、20.9、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、96、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500および/または5000μg/mlの血清濃度、またはその任意の範囲、値もしくは割合を達成する用量を含み得る。
【0161】
あるいは、投与される用量は、特定作用物質の薬力学的特性、ならびにその投与方法および経路;受容者の年齢、健康状態および体重;症状の性質および程度、併用処置の種類、治療頻度、ならびに所望効果などの公知の因子に依存して異なり得る。通常、有効成分の投与量は、体重の1キログラム当たり約0.1〜100ミリグラムであり得る。通常は、各投与につきまたは持続放出形態でキログラム当たり0.1〜50、好ましくは0.1〜10ミリグラムが所望結果を得るために有効である。
【0162】
非限定的な例として、ヒトまたは動物の治療は、1日当たり、0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90または100mg/kgなどの、0.1〜100mg/kgの本発明の少なくとも1つの抗体の単回または定期的投与量として、単回注射または反復用量を使用して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40日間の少なくとも1つ、あるいはまたは加えて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51または52週間の少なくとも1つ、あるいはまたは加えて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20年間の少なくとも1つ、またはそれらの任意の組合せで提供され得る。
【0163】
体内投与に適する剤形(組成物)は、一般に、単位当たりまたは容器当たり約0.1ミリグラム〜約500ミリグラムの有効成分を含有する。これらの医薬組成物において、有効成分は、通常、組成物の総重量に基づき約0.5〜99.999重量%の量で存在する。
【0164】
非経口製剤および投与
非経口投与のために、抗体は、医薬的に許容される非経口ビヒクルと結合してまたは別途に提供される、溶液、懸濁液、乳剤または凍結乾燥粉末として製剤され得る。そのようなビヒクルの例は、水、食塩水、リンガー液、デキストロース溶液、および1〜10%ヒト血清アルブミンである。リポソームおよび不揮発性油などの非水性ビヒクルも使用できる。ビヒクルまたは凍結乾燥粉末は、等張性(たとえば塩化ナトリウム、マンニトール)および化学的安定性(たとえば緩衝剤および防腐剤)を維持する添加剤を含有し得る。製剤は、公知のまたは適切な技術によって滅菌される。
【0165】
適切な医薬担体は、当技術分野における標準的な参考テキストであるRemington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osolの最新版に記載されている。
【0166】
非経口投与用の製剤は、一般的な賦形剤として滅菌水または食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物起源の油、水素化ナフタレン等を含有し得る。注射用の水性または油性懸濁液は、公知の方法に従って、適切な乳化剤または増湿剤および懸濁化剤を使用することによって調製できる。注射剤は、水溶液または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液などの非毒性で非経口的に投与可能な希釈剤であり得る。使用可能なビヒクルまたは溶媒として、水、リンガー液、等張食塩水等が許容される;通常の溶媒または懸濁溶媒としては、滅菌不揮発性油が使用できる。これらの目的のために、天然または合成または半合成の脂肪油または脂肪酸;天然または合成または半合成のモノグリセリドまたはジグリセリドまたはトリグリセリドを含む、任意の種類の不揮発性油および脂肪酸が使用できる。非経口投与は当技術分野において公知であり、従来の注射手段、米国特許第5,851,198号に記載されているガス加圧無針注射装置、および全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,839,446号に記載されているレーザー穿孔装置を含むが、これらに限定されない。
【0167】
選択的送達
本発明はさらに、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、髄腔内、滑液包内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣、直腸、口腔、舌下、鼻腔内または経皮手段による少なくとも1つの抗IL−6抗体の投与に関する。少なくとも1つの抗IL−6抗体組成物は、特に液体溶液または懸濁液の形態で非経口(皮下、筋肉内もしくは静脈内)または任意の他の投与に使用するため;クリームおよび坐薬などの、しかしこれらに限定されない、特に半固体形態で膣または直腸投与において使用するため;錠剤またはカプセル剤の形態などの、しかしこれらに限定されない口腔内または舌下投与のため;または粉末、点鼻薬またはエアロゾルまたは特定作用物質の形態などの、しかしこれらに限定されない鼻腔内投与のため;または皮膚構造を改変するためもしくは経皮パッチにおける薬剤濃度を高めるためのジメチルスルホキシド(全体が参照により本明細書に組み込まれる、Junginger,et al.In“Drug Permeation Enhancement煤GHsieh,D.S.,Eds.,pp.59−90,Marcel
Dekker,Inc.New York 1994)などの化学増強剤を含む、またはタンパク質およびペプチドを含有する製剤の皮膚への適用(国際公開公報第WO98/53847号)、または電気穿孔などの一時的輸送経路を作り出すためもしくはイオン導入などの皮膚を通しての荷電薬剤の移動性を高めるための電場の適用、または超音波導入(米国特許第4,309,989号および同第4,767,402号)などの超音波の適用を可能にする酸化剤を含む、ゲル、軟膏、ローション、懸濁液またはパッチ送達システムなどの、しかしこれらに限定されない経皮的投与のために調製され得る(上記の特許公開および特許は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0168】
経肺/経鼻投与
経肺投与は、好ましくは、少なくとも1つの抗IL−6抗体組成物が肺または洞の下気道に達するために有効な粒径で送達される。本発明によれば、少なくとも1つの抗IL−6抗体は、吸入による治療薬の投与のための当技術分野において公知の様々な吸入または点鼻装置のいずれかによって送達され得る。エアロゾル化された製剤を患者の洞腔(sinus cavity)または肺胞に沈着させることができるこれらの装置は、定量吸入器、ネブライザー、ドライパウダー発生器、噴霧器等を含む。抗体の経肺または経鼻投与を導くのに適する他の装置も当技術分野において公知である。すべてのそのような装置は、抗体をエアロゾルで配薬する投与に適した製剤を使用することができる。そのようなエアロゾルは、溶液(水性および非水性の両方)または固体粒子のいずれかで構成され得る。Ventolin(登録商標)定量吸入器のような定量吸入器は、典型的には推進剤ガスを使用し、吸気時の作動を必要とする(たとえば国際公開公報第WO94/16970号、同第WO98/35888号参照)。Turbuhaler(商標)(Astra)、Rotahaler(登録商標)(Glaxo)、Diskus(登録商標)(Glaxo)、Spiros(商標)吸入器(Dura)、Inhale Therapeuticsによって市販されている装置、およびSpinhaler(登録商標)パウダー吸入器(Fisons)のようなドライパウダー吸入器は、混合パウダーの呼吸作動を用いる(全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,668,218号、Astra、欧州特許第EP 237507号、Astra、国際公開公報第WO97/25086号、Glaxo、国際公開公報第WO94/08552号、Dura、米国特許第5,458,135号、Inhale、国際公開公報第WO94/06498号、Fisons)。AERx(商標)(Aradigm)、Ultravent(登録商標)ネブライザー(Mallinckrodt)、およびAcorn II(登録商標)ネブライザー(Marquest Medical Products)(米国特許第5,404,871号、Aradigm、国際公開公報第WO97/22376号)(上記の参考文献は全体が参照により本明細書に組み込まれる)のようなネブライザーは溶液からエアロゾルを生成し、一方定量吸入器、ドライパウダー吸入器等は小さな粒子エアロゾルを生成
する。市販の吸入装置のこれらの特定例は、本発明の実施に適する特定装置を代表することが意図されており、本発明の範囲を限定するものではない。好ましくは、少なくとも1つの抗IL−6抗体を含有する組成物は、ドライパウダー吸入器または噴霧器によって送達される。本発明の少なくとも1つの抗体を投与するための吸入装置のいくつかの望ましい特徴がある。たとえば、吸入装置による送達は、好都合には信頼性があり、再現可能且つ正確である。吸入装置は、場合により、良好な呼吸適用性のために、小さな乾燥粒子、たとえば約10μm未満、好ましくは約1〜5μmの乾燥粒子を送達することができる。
【0169】
スプレーとしてのIL−6抗体組成物の投与
IL−6抗体組成物タンパク質を含むスプレーは、少なくとも1つの抗IL−6抗体の懸濁液または溶液を加圧下でノズルを通して押し出すことによって生成され得る。ノズルの大きさおよび形状、適用圧、ならびに液体供給速度は、所望出力および粒径を達成するように選択され得る。エレクトロスプレーは、たとえば毛管またはノズル供給口と接続した電場によって生成され得る。好都合には、噴霧器によって送達される少なくとも1つのIL−6抗体組成物タンパク質の粒子は、約10μm未満、好ましくは約1μm〜約5μmの範囲、最も好ましくは約2μm〜約3μmの粒径を有する。
【0170】
噴霧器での使用に適する少なくとも1つの抗IL−6抗体組成物タンパク質の製剤は、典型的には、溶液ml当たり約0.1mg〜約100mgまたはmg/gmの少なくとも1つの抗IL−6抗体組成物タンパク質、またはその中の任意の範囲もしくは値、たとえば、限定されることなく、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90または100mg/mlまたはmg/gmの濃度で水溶液中に抗体組成物タンパク質を含有する。製剤は、賦形剤、緩衝剤、等張剤、防腐剤、界面活性剤および、好ましくは亜鉛などの作用物質を含有し得る。製剤はまた、緩衝剤、還元剤、バルクタンパク質または炭水化物などの、抗体組成物タンパク質の安定化のための賦形剤または作用物質も含有し得る。抗体組成物タンパク質を製剤するのに有用なバルクタンパク質は、アルブミン、プロタミン等を含む。抗体組成物タンパク質を製剤するのに有用な典型的な炭水化物は、スクロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、グルコース等を含む。抗体組成物タンパク質製剤はまた、エアロゾルを形成する際に溶液の噴霧化によって引き起こされる抗体組成物タンパク質の表面誘導凝集を低減するまたは防止することができる界面活性剤も含有し得る。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびアルコール、ならびにポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどの、様々な従来の界面活性剤が使用できる。量は、一般に、製剤の0.001〜14重量%の範囲である。本発明のために特に好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート80、ポリソルベート20等である。IL−6抗体または特定部分または変異体などのタンパク質の製剤のための当技術分野で公知の付加的な作用物質も、製剤に含めることができる。
【0171】
ネブライザーによるIL−6抗体組成物の投与
抗体組成物タンパク質は、ジェットネブライザーまたは超音波ネブライザーなどのネブライザーによって投与することができる。典型的には、ジェットネブライザーでは、開口部を通して高速空気ジェットを作り出すために圧縮空気源を使用する。気体がノズルを越えて広がると共に、低圧領域が作られ、それが液体レザーバに接続された毛管を通して抗体組成物タンパク質の溶液を引き込む。毛管からの液体流は、管から出て行くときに不安定なフィラメントおよび小滴へと剪断され、エアロゾルを作り出す。所与のジェットネブライザーから所望性能特性を達成するために一連の形状、流速、およびバッフル型が使用できる。超音波ネブライザーでは、高周波電気エネルギーを使用して振動機械エネルギーを作り出し、典型的には圧電変換器を用いる。このエネルギーは、直接またはカップリン
グ流体を介して抗体組成物タンパク質の製剤に伝達され、抗体組成物タンパク質を含むエアロゾルを作り出す。好都合には、ネブライザーによって送達される抗体組成物タンパク質の粒子は、約10μm未満、好ましくは約1μm〜約5μmの範囲、最も好ましくは約2μm〜約3μmの粒径を有する。
【0172】
ジェットまたは超音波のいずれかのネブライザーでの使用に適する少なくとも1つの抗IL−6抗体の製剤は、典型的には、溶液ml当たり約0.1mg〜約100mgの少なくとも1つの抗IL−6抗体タンパク質の濃度を含む。製剤は、賦形剤、緩衝剤、等張剤、防腐剤、界面活性剤および、好ましくは亜鉛などの作用物質を含有し得る。製剤はまた、緩衝剤、還元剤、バルクタンパク質または炭水化物などの、少なくとも1つの抗IL−6抗体組成物タンパク質の安定化のための賦形剤または作用物質も含有し得る。少なくとも1つの抗IL−6抗体組成物タンパク質を製剤するのに有用なバルクタンパク質は、アルブミン、プロタミン等を含む。少なくとも1つの抗IL−6抗体を製剤するのに有用な典型的な炭水化物は、スクロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、グルコース等を含む。少なくとも1つの抗IL−6抗体製剤はまた、エアロゾルを形成する際に溶液の噴霧化によって引き起こされる少なくとも1つの抗IL−6抗体の表面誘導凝集を低減するまたは防止することができる界面活性剤も含有し得る。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびアルコール、ならびにポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどの、様々な従来の界面活性剤が使用できる。量は、一般に、製剤の0.001〜4重量%の範囲である。本発明の目的のために特に好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート80、ポリソルベート20等である。抗体タンパク質などのタンパク質の製剤のための当技術分野で公知の付加的な作用物質も、製剤に含めることができる。
【0173】
定量吸入器によるIL−6抗体組成物の投与
定量吸入器(MDI)では、噴射剤、少なくとも1つの抗IL−6抗体、および任意の賦形剤または他の添加剤を、液化圧縮ガスを含む混合物として容器中に含む。定量バルブが作動すると、好ましくは、約10μm未満、好ましくは約1μm〜約5μm、最も好ましくは約2μm〜約3μmのサイズ範囲の粒子を含有する、エアロゾルとしてダイ混合物(die mixture)を放出する。所望エアロゾル粒径は、ジェットミル処理、噴霧乾燥、臨界点凝縮などを含む、当業者に公知の様々な方法によって生成される抗体組成物タンパク質の製剤を使用することによって得られる。好ましい定量吸入器は、3MまたはGlaxoによって製造される、ハイドロフルオロカーボン噴射剤を用いるものを含む。
【0174】
定量吸入器装置で使用するための少なくとも1つの抗IL−6抗体の製剤は、一般に、非水性媒質中の懸濁液として、たとえば界面活性剤を用いて噴射剤に懸濁した少なくとも1つの抗IL−6抗体を含有する微細粉末を含む。噴射剤は、このために使用される任意の従来の物質、たとえば、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノールおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン、HFA−134a(ハイドロフルオロアルカン−134a)、HFA−227(ハイドロフルオロアルカン−227)等を含む、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、または炭化水素であり得る。好ましくは、噴射剤はハイドロフルオロカーボンである。界面活性剤は、少なくとも1つの抗IL−6抗体を噴射剤中の懸濁液として安定化する、有効成分を化学分解から保護する、等のために選択され得る。適切な界面活性剤は、ソルビタントリオレエート、ダイズレシチン、オレイン酸等を含む。一部の場合には、エタノールなどの溶媒を用いる溶液エアロゾルが好ましい。タンパク質の製剤のために当技術分野において公知の付加的な作用物質も、製剤に含めることができる。
【0175】
当業者は、本発明の方法が、本明細書に記載していない装置による少なくとも1つの抗IL−6抗体組成物の経肺投与によって達成され得ることを認識する。
経口製剤および投与
経口投与用の製剤は、腸壁の透過性を人工的に高めるためのアジュバント(たとえばレゾルシノールならびにポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびn−ヘキサデシルポリエチレンエーテルなどの非イオン性界面活性剤)の同時投与、ならびに酵素分解を阻害するための酵素阻害剤(膵臓トリプシン阻害剤、ジイソプロピルフルオロホスフェート(DFF)およびトラジロール)の同時投与に基づく。経口投与用の固体型剤形の有効成分化合物は、スクロース、ラクトース、セルロース、マンニトール、トレハロース、ラフィノース、マルチトール、デキストラン、デンプン、寒天、アルギネート、キチン、キトサン、ペクチン、トラガカントゴム、アラビアゴム、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、合成または半合成のポリマー、およびグリセリドを含む少なくとも1つの添加剤と混合することができる。これらの剤形はまた、他のタイプ(1または複数)の添加剤、たとえば不活性希釈剤、ステアリン酸マグネシウム、パラベンなどの潤滑剤、ソルビン酸、アスコルビン酸、α−トコフェロールなどの防腐剤、システインなどの抗酸化剤、崩壊剤、結合剤、増粘剤、緩衝剤、甘味料、着香料、香料等を含有し得る。
【0176】
錠剤および丸剤は、腸溶性製剤へとさらに加工され得る。経口投与用の液体製剤は、医療用途のために許容される乳剤、シロップ、エリキシル、懸濁液および溶液製剤を含む。これらの製剤は、前記分野において通常使用される不活性希釈剤、たとえば水を含有し得る。リポソームもまた、インスリンおよびヘパリンの薬剤送達システムとして記述されている(米国特許第4,239,754号)。最近になって、混合アミノ酸(プロテイノイド)の人工ポリマーのミクロスフェアが医薬品を送達するために用いられている(米国特許第4,925,673号)。さらに、米国特許第5,879,681号および同第5,871,753号に記載されている担体化合物は、当技術分野で公知の生物学的に活性な作用物質を経口的に送達するために使用される。
【0177】
経粘膜製剤および投与
粘膜面を通しての吸収に関して、少なくとも1つの抗IL−6抗体を投与する組成物および方法は、乳剤粒子の粘膜接着を達成することによって粘膜表面を通しての吸収を促進する、複数のサブミクロン粒子、粘膜接着性高分子、生物活性ペプチド、および水性連続相を含有する乳剤を含む(米国特許第5,514,670号)。本発明の乳剤の適用に適する粘膜表面は、角膜、結膜、口腔、舌下、鼻、膣、肺、胃、腸、および直腸投与経路を含み得る。膣または直腸投与のための製剤、たとえば坐薬は、賦形剤として、たとえばポリアルキレングリコール、ワセリン、ココアバター等を含有し得る。鼻腔内投与用の製剤は、固体であって、たとえばラクトースを賦形剤として含有し得るか、または点鼻薬の水溶液または油性溶液であり得る。口腔内投与については、賦形剤は、糖類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、アルファ化デンプン等を含む(米国特許第5,849,695号)。
【0178】
経皮製剤および投与
経皮投与のために、少なくとも1つの抗IL−6抗体は、リポソームまたはポリマーナノ粒子、マイクロ粒子、マイクロカプセル、またはミクロスフェア(特に明記しない限り集合的に微粒子と称する)などの送達装置に封入される。多くの適切な装置が公知であり、ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびそのコポリマーなどのポリヒドロキシ酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、およびポリホスファゼンのような合成ポリマー、ならびにコラーゲン、ポリアミノ酸、アルブミンおよび他のタンパク質、アルギネートおよび他の多糖のような天然ポリマー、ならびにそれらの組合せで作られる微粒子を含む(米国特許第5,814,599号)。
【0179】
長期投与および製剤
時として、本発明の化合物を長期間にわたって、たとえば単回投与から1週間〜1年間の期間にわたって被験者に送達することが望ましいことがあり得る。様々な徐放性剤形、デポー剤または埋め込み剤形が利用できる。たとえば、剤形は、体液に低い溶解度を有する化合物の医薬的に許容される非毒性の塩、たとえば、(a)リン酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンモノスルホン酸もしくはジスルホン酸、ポリガラクツロン酸等のような多塩基酸との酸付加塩;(b)亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム等のような多価金属陽イオン、または、たとえばN,N’−ジベンジル−エチレンジアミンもしくはエチレンジアミンから形成される有機陽イオンとの塩;または(c)(a)と(b)の組合せ、たとえばタンニン酸亜鉛塩を含有し得る。加えて、本発明の化合物または、好ましくは上述したような比較的不溶性の塩は、注射に適する、ゲル、たとえばゴマ油を含むモノステアリン酸アルミニウムゲルに製剤することができる。特に好ましい塩は、亜鉛塩、タンニン酸亜鉛塩、パモ酸塩等である。注射用徐放性デポー剤のもう1つのタイプは、たとえば米国特許第3,773,919号に記載されているポリ乳酸/ポリグリコール酸ポリマーのような、緩やかに分解する非毒性の非抗原性ポリマーに封入するために分散された化合物または塩を含む。化合物または、好ましくは上述したような比較的不溶性の塩はまた、特に動物における使用のために、コレステロールマトリックスシラスティックペレットに製剤することもできる。さらなる除放性製剤、デポー剤または埋め込み製剤、たとえばガスまたは液体リポソームは、文献において公知である(米国特許第5,770,222号および“Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems”J.R.Robinson ed.,Marcel Dekker,Inc.,N.Y.,1978)。
【0180】
略語:
BSA−ウシ血清アルブミン
EIA−酵素免疫検定法
FBS−ウシ胎仔血清
H
2O
2−過酸化水素
HRP−ホースラディッシュペルオキシダーゼ
Ig−免疫グロブリン
IL−6−インターロイキン6
IP−腹腔内
IV−静脈内
Mab−モノクローナル抗体
OD−光学密度
OPD−o−フェニレンジアミン二塩酸塩
PEG−ポリエチレングリコール
PSA−ペニシリン、ストレプトマイシン、アンホテリシン
RT−室温
SQ−皮下
v/v−容量/容量
w/v−重量/容量
【実施例1】
【0181】
アフィニティーおよび定量的ELISA
IL−6によるアフィニティーELISA
Nunc−Immuno MaxiSorp 96穴プレートを、コーティング溶液中2μg/ml、0.2μg/ml、0.02μg/mlまたは0.002μg/mlの1
00μlのIL−6でコーティングし、プレートシーラーで覆って、4℃で一晩インキュベートした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。洗浄液(PBS中0.05%Tween−20)200μlを添加し、200RPMにて室温で5分間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。ブロッキング溶液(PBS中2%カーネーションミルク)200μlを添加し、200RPMにて室温で1時間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。ELISA用の希釈試料100μlを使用した。試料を200RPMにて室温で1時間振とうした;プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。洗浄液(PBS中0.05%Tween−20)200μlを添加し、200RPMにて室温で5分間振とうした;プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。この工程を3回反復した。001試料については、ブロッキング溶液(PBS中2%カーネーションミルク)で希釈したHRPと結合した抗ヒトIgGの1:2500希釈液100μlを添加した。対照抗体については、ブロッキング溶液(PBS中2%カーネーションミルク)で希釈したHRPと結合した抗ウサギIgGの1:2500希釈液100μlを添加した。内容物を200RPMにて室温で1時間振とうし、プレートを空にして、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。洗浄液(PBS中0.05%Tween−20)200μlを添加し、200RPMにて室温で5分間振とうした;プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。この工程を3回反復した。TMB基質溶液100μlを添加し、室温でインキュベートした。1N HClで反応を停止させ、プレートを450nmで読み取った。
【0182】
ビオチニル化IL−6によるアフィニティーELISA
Nunc−Immuno MaxiSorp 96穴プレートを、コーティング溶液中10μg/mlのアフィニティー精製した100μlのFc特異的ヤギ抗ヒトIgGでコーティングした。プレートをプレートシーラーで覆い、4℃で一晩インキュベートした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。洗浄液(PBS中0.05%Tween−20)200μlを添加した。200RPMにて室温で5分間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。ブロッキング溶液(PBS中2%カーネーションミルク)200μlを添加した。200RPMにて室温で1時間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。ELISA用の希釈試料100μlを使用した。200RPMにて室温で1時間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。洗浄液(PBS中0.05%Tween−20)200μlを添加した。200RPMにて室温で5分間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて留液をペーパータオル上に取り出した。3回反復した。PBSで希釈した、2μg/ml、0.2μg/ml、0.02μg/mlまたは0.002μg/mlの100μlのビオチニル化IL−6を添加した。200RPMにて室温で1時間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。洗浄液(PBS中0.05%Tween−20)200μlを添加した。200RPMにて室温で5分間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて留液をペーパータオル上に取り出した。3回反復した。ブロッキング溶液(PBS中2%カーネーションミルク)で希釈したHRPと結合した抗ビオチン抗体の1:2000希釈液100μlを添加した。200RPMにて室温で1時間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。TMB基質溶液100μlを添加した。室温でインキュベートした。1N HClで反応を停止させた。プレートを450nmで読み取った。
【0183】
定量的ELISA
このELISAは、細胞培養上清中の抗体の発現レベルを測定するために使用した。Nunc−Immuno MaxiSorp 96穴プレート(Nalge Nunc)を
、コーティング溶液中10μg/mlのアフィニティー精製したFc特異的ヤギ抗ヒトIgG 100μlでコーティングした。プレートシーラーで覆い、4℃で一晩インキュベートした。プレートを空にし、残留液をペーパータオル上に取り出した。洗浄液(PBS中0.05%Tween−20)200μlを添加した。200RPMにて室温で5分間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。ブロッキング溶液(PBS中2%カーネーションミルク)200μlを添加した。200RPMにて室温で1時間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。ELISA用の希釈試料100μlを使用した。20ng/mlのヒトIgGおよびその後1:2希釈液を標準品として使用した。トランスフェクションからの上清(50ng〜200ng/ml)を、アッセイ用に未希釈から1:10まで希釈した。200RPMにて室温で1時間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。洗浄液(PBS中0.05%Tween−20)200μlを添加した。200RPMにて室温で5分間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて留液をペーパータオル上に取り出した。3回反復した。ブロッキング溶液(PBS中2%カーネーションミルク)で希釈したHRPと結合したヤギ抗ヒトIgGの1:2500または1:5000希釈液100μlを添加した。200RPMにて室温で1時間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。TMB基質溶液(Sigma)100μlを添加した。室温でインキュベートした。1N HClで反応を停止させた。プレートを450nmで読み取った。
【0184】
比活性
各々の抗IL−6 MabについてのELISA比活性(specific ELISA activity)を、定量的ELISAの値で除したアフィニティーELISAの値として計算する。
図29は、親和性成熟からの上位10のCPEヒットについての基準化した比活性を示す。
図32は、上位10のCPSヒットについての基準化した比活性を示す。クローンのELISA比活性をクローンBA399の比活性で除する。BA399の基準化した比活性は、1(水平な黒い線)である。
【0185】
001の機能的ELISA
このELISAは、細胞培養上清中の抗体の親和性を比較するために使用した。Nunc Immuno−MaxiSorp 96穴プレートを2μg/mlの001 IL−6抗原100μlでコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。プレートをデカンテーション(傾斜させて上澄みを移す)し、洗浄して(PBS中0.05%Tween−20)、PBS中2%カーネーション脱脂乳で室温にて1時間ブロックした。20ng/mlの抗001対照抗体およびその後1:2希釈液を標準品として使用した。2組のトランスフェクションからの上清100μlを、アッセイ用に未希釈から1:50まで希釈し(50ng〜200ng/ml)、室温で1時間プレートに添加した。プレートをデカンテーションし、3回洗浄した。各々のウエルに、ブロッキング溶液(PBS中2%カーネーションミルク)で希釈したHRPと結合したヤギ抗ヒトIgGの1:5000希釈液100μlを添加し、それを200RPMにて室温で1時間振とうした。プレートをデカンテーションし、洗浄した。TMB基質溶液(Sigma)100μlを添加し、2〜5分ごとに検査しながら、室温でインキュベートした。1N HClで反応を停止させた。プレートを450nmで読み取った。
【実施例2】
【0186】
BA001と本発明の抗IL−6抗体との間のエピトープ重複を確認するための競合的ELISA
Nunc Immuno−MaxiSorp 96穴プレートを、コーティング溶液中0.2μg/mlの100μlのIL−6でコーティングした(実験のために十分なウエルを調製した)。プレートシーラーで覆って、4℃で一晩インキュベートした。プレート
を空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。洗浄液(PBS中0.05%Tween−20)200μlを添加した。プレートを200RPMにて室温で5分間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。ブロッキング溶液(PBS中2%カーネーションミルク)200μlを添加した。プレートを200RPMにて室温で1時間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。0μg/ml、0.005μg/ml、0.05μg/ml、0.5μg/ml、5μg/mlの精製001抗体(各々の精製001抗体量について2つの反応物を調製した)と共にPBSで希釈した0.05μg/mlのビオチニル化001 100μlを添加した。また、0μg/ml、0.005μg/ml、0.05μg/ml、0.5μg/ml、5μg/mlの非抗IL−6抗体(任意の抗マウスIgGまたは他の陰性対照対照抗体)(各々の精製001抗体量について2つの反応物を調製した)と共にPBSで希釈した0.05μg/mlの100μlのビオチニル化001を添加した。プレートを200RPMにて室温で1時間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。洗浄液(PBS中0.05%Tween−20)200μlを添加した。プレートを200RPMにて室温で5分間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。3回反復した。ブロッキング溶液(PBS中2%カーネーションミルク)で希釈したHRPと結合した抗ビオチン抗体の1:2000希釈液100μlを添加した。プレートを200RPMにて室温で1時間振とうした。プレートを空にし、軽くたたいて残留液をペーパータオル上に取り出した。TMB基質溶液100μlを添加した。室温でインキュベートした。1N HClで反応を停止させた。プレートを450nmで読み取った。結果を
図10に示す。図に示すように、本発明の抗IL−6 Abのすべてが、ヒトIL−6へのBA001の結合を低減する。これは、新規ヒト化抗体がBA001と同じ領域に結合することを示す。
【実施例3】
【0187】
CHO−S細胞トランスフェクション
トランスフェクションの1週間前に、CHO−S細胞(Invitrogen)を、血清を添加したダルベッコ改変イーグル培地(D−MEM)(Invitrogen)中の単層培養に移した。トランスフェクションの1日前に、細胞を、96穴形式でトランスフェクション試料当たり100μLの血清添加D−MEM中0.4×10
5細胞で塗布する
。各トランスフェクション試料についてDNA−Lipofectamine複合体を調製した。0.25μgのDNAをOpti−MEM血清使用量低減培地25μLで希釈し、静かに混合して、室温で5分間インキュベートした。Lipofectamine 2000(Invitrogen)0.5μLをOpti−MEM血清使用量低減培地25μLで希釈した。静かに混合し、室温で5分間インキュベートした。希釈したDNAを希釈したLipofectamineと一緒にした。静かに混合し、室温で20分間インキュベートした。DNA−Lipofectamine複合体50μLを、細胞と培地を含む各々のウエルに添加した。プレートを揺り動かすことによって静かに混合した。細胞を5%CO
2インキュベーターにおいて37℃で一晩インキュベートした。各ウエル中の培
地を吸引した。100μLの血清添加D−MEMを各ウエルに添加した。ELISAアッセイ用に上清を収集し、β−ガラクトシダーゼアッセイ用に細胞溶解産物を収集した。
【実施例4】
【0188】
細胞培養上清からの抗体精製
以下の緩衝液を標準的な方法で調製した。結合緩衝液:10mM Na
2HPO
4/NaH
2PO
4、pH7.0。溶出緩衝液:12.5mMクエン酸、pH2.7(Na
3−クエン酸塩を使用する)。中和緩衝液:0.5M Na
2HPO
4/NaH
2PO
4、pH8.0。20%エタノールおよび水。すべての緩衝液を使用前にろ過した(0.45μm)。HiTrap(商標)プロテインGセファロースHP(容量1mL)カラムに取り付けたA
KTA(商標)FPLC(商標)システムを使用して上清を精製した。試料を負荷するために、負荷チューブをエタノール(20mL、5mL/分)、次に結合緩衝液(20mL、5mL/分)で洗浄する。プロテインGカラムをシステムに取り付け、結合緩衝液(10mL、1mL/分)で洗浄する。試料を1mL/分またはより遅い速度で(一晩負荷のため)負荷する。負荷後、カラムを取り外し、負荷チューブを水(20mL、5mL/分)、次に20%エタノール(20mL、5mL/分)で洗浄する。抗体精製のために、AKTAシステムを結合緩衝液で洗浄した(ポンプAおよびすべてのチューブ類)。中和緩衝液50μlを各チューブに添加することによって画分収集用に収集チューブを調製した。プロテインGカラムをシステムに取り付けた。流速を1mL/分に設定し、基線が安定するまで作動させた。カラムの弁をポジション3に切り替えた。カラムを、基線に達するまで結合緩衝液(最小限10mL)で洗浄した。ポンプを停止させ、水、次に溶出緩衝液で洗浄した。流速を1mL/分に設定し、基線が安定するまで作動させた。カラムの弁をポジション3に切り替え、画分収集器を始動させた(画分0.5mL)。基線が、システムが停止する点に達するまで画分を収集した。溶出プロフィールをクリップボードにコピーし、WORDドキュメントへとコピーした。ポンプを水、次に結合緩衝液で洗浄した。プロテインGカラムを結合緩衝液(10mL)で洗浄した。ポンプを20%エタノールで洗浄した。カラムを20%エタノール(20mL)で洗浄し、冷蔵室で保存した。
【実施例5】
【0189】
Sapidyne分析
Sapidyne KinExA(商標)反応速度排除アッセイ自動免疫検定システム(Sapidyne Instruments,Inc.,Boise,ID)を使用して、製造者のプロトコールに従って様々な抗体の平衡および速度定数を測定した。反応速度排除アッセイ(Kinetic Exclusion Assay)(KinExA)は、非修飾分子に関して、溶液相中で真の平衡結合親和性および反応速度を測定する方法である。たとえば、参照により本明細書に組み込まれる、Darling et al.,Kinetic Exclusion Assay Technology:Characterization of Molecular Interactions,ASSAY and Drug Dev.Technol.2(6):2004参照。簡単に述べると、KinExA(商標)システムは、ミクロ細孔性スクリーンを取り付けた毛管フロー/観察セル(内径=1.6mm)から成り、前記ミクロ細孔性スクリーンを通して様々な溶液が陰圧下で引き込まれる。スクリーンの平均細孔径(53mm)より大きい均一な粒子が抗原で前コーティングされ、充填床においてスクリーンの上に沈着した。平衡であるかまたは平衡に近い抗原と抗体の個々の溶液混合物を、次に、粒子の充填床を通して引き込んだ。占有されていない結合部位を有する各々の混合物中の抗体だけが、固相上にコーティングされた抗原に結合するために利用可能であった。このようにした捕捉された一次抗体の定量を、粒子を蛍光標識抗種二次抗体に短時間暴露し、続いて過剰の非結合試薬を除去した後、生じた粒子からの蛍光を測定することによって実施した。
【0190】
抗体を、滅菌1XPBS、pH7.4、0.02%アジ化ナトリウム、10mg/mL
BSA中で再構成した。抗原は、0.5mg、1mg、0.5mgおよび0.5mgの4つの別々のバイアルに入ったIL−6(21,000kDa)であり、これを滅菌1XPBS、pH7.4、0.02%アジ化ナトリウムで375μg/mL、1mg/mL、500μg/mLおよび500μg/mLに希釈した。標識、Cy5−結合AffmiPureヤギ抗ヒトIgG(H+L)、Cy5、1.5μg/mLは、Jackson ImmunoResearch(West Grove、PA)より購入した。標識を滅菌1XPBS、pH7.4、0.02%アジ化ナトリウム中で再構成し、0.500mg/mLに希釈した。ランニング緩衝液は、1XPBS、pH7.4、0.02%アジ化ナトリウムであった。試料緩衝液は、1XPBS、pH7.4、0.02%アジ化ナトリウム、1mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)であった。PMMAビーズ(Part番
号440197/Lot3257)は、Sapidyne Instruments、Inc.(Boise、ID)によって提供され、以下のようにして捕捉試薬でコーティングした。ビーズを乾燥して200mgずつのアリコートに分け、コーティング溶液(ランニング緩衝液中30μg/mL BAP001)1mL中で2時間揺動した。次にビーズをブロッキング溶液(ランニング緩衝液中10mg/mL BSA)中で1時間揺動し、4℃で保存した。
【0191】
平衡分析のために、IL−6でコーティングしたPMMAビーズを使用して、受容体(抗IL−6抗体)とリガンド(抗原;IL−6)の平衡試料から遊離受容体の一部を捕捉した。各データ点について、リガンドコーティングビーズの新鮮カラムをフローセルに導入した。固定化リガンドとの接触時間を最小限に抑えるためにカラムを通して平衡試料を迅速に引き込んだ、これにより、固定化リガンドとの接触時間が試料の平衡を破壊しないことが確保された。固定化リガンドは、このようにして溶液中の遊離受容体を捕捉するためのプローブとして働いた。捕捉された抗体を、蛍光標識抗ヒト二次抗体で検出した。非結合試薬を洗い流し、平衡試料中の遊離受容体に比例するシグナルを残した。蛍光を、平衡試料中の遊離受容体(抗体)の量に直接比例する電圧に変換した。実験を受容体の高濃度と低濃度の両方で実施し、その後、最適結果についてのn曲線解析において一緒に利用した。反応速度分析の直接法(Direct Method of Kinetic Analysis)のために、平衡実験用と同じ固定化リガンド(IL−6コーティングPMMA)を反応速度実験のための捕捉試薬として使用した。試料中の遊離受容体(抗体)の量を平衡前に測定し、試料が平衡に近づくのに伴う経時的な遊離受容体(抗体)の減少を観測するデータ点を生成した。
図33は、BA003(CNTO136)と比較した抗IL−6抗体BAP001−クローン1〜BAP001−クローン10についての上位10のヒットのSapidyne分析からのデータの表を示す。
【実施例6】
【0192】
BA001およびヒト化誘導体のBiacore(表面プラズモン共鳴)親和性測定
BIAcore 3000、GE Healthcareを使用して、結合曲線および反応速度パラメータを決定した。抗ヒトFc(1.8mg/ml)をNaOAc緩衝液(10mM、pH4.8)で50μg/mlの濃度に希釈し、BIAcoreシステムマニュアルに記載されているように製造者のアミンカップリング化学を用いてCM−5センサーチップのカルボキシメチル化デキストランマトリックスにカップリングした。10000RUを目標とする表面処理ウィザードを使用して、センサー表面上のカルボキシル基を最初にNHS/EDCで活性化し、続いて抗ヒトFcを添加した。残存する活性化基を1Mエタノールアミンの注入によってブロックした。フローセルの各々を個別に連結した。これらの条件を用いて、7554−9571RUの抗ヒトFcを含有する4つのフローセル表面を調製した。予備実験において、100mM H
3PO
4/0.05%CHAPSの3回の注入(30μl/分で15μl)が結合免疫グロブリンを効率的に除去し、固定化抗ヒトFcの結合能力を保存することが測定された。
【0193】
25℃、30μl/分の流速にてBIAcore 3000で実験を実施した。抗体候補物を5μg/mlでHBS(0.15M NaCl、3.4mM EDTAおよび0.05%界面活性剤P20を含む10mM HEPES、pH 7.4)に溶解した。分析物であるIL−6を0.25、0.125、0.062、0.031および0.015μg/mlでHBSに溶解した。5μg/mlの3×30μlの抗体BA001をそのそれぞれのフローセルに流し、続いて各々のIL−6濃度240μlを30μl/分で注入して(結合相)、緩衝液を連続1200秒間流した(解離相)。100mM H
3PO
4/0.05%CHAPSを各々15μlずつ3回連続的に注入してチップの表面を再生させた。HBSの注入は、分析のためにバルク屈折率を差し引く参照(ブランクセンソグラム)として役立つ。BIAevaluation4.1における1:1モデルを使用して、ロ
ーカルフィットおよびグローバルフィットを解離(kd、[s−1]および結合(ka、[M
−1s
−1])の両方について実施し、解離定数(KD、[M])を計算した(kd/ka)。
【0194】
分析は、BIAevaluationバージョン3.0を用いて行った。反応速度定数は、相互作用機構のモデルから得られる速度式に実験の曲線を適合させることによってセンソグラムデータから導いた。ローカルRUmaxフィットで1:1結合モデルを用いた大域解析によってka、kdおよびKDを決定した。
【0195】
以下の式を利用した:
【0196】
【数1】
親和性成熟前のヒト化抗IL−6 MabについてのBiacoreデータを
図11に示す。BA399親和性成熟を抗IL−6 Mab BA399に関して実施した後、選択したクローンをBiacore分析によって試験した。
図34は、それぞれクローンBA399−2、BA399−5、BA−399−9およびBA399−10についてのBiacoreデータを示す。
【実施例7】
【0197】
THP−1細胞におけるStat3リン酸化の阻害
Stat3転写因子は、多くのサイトカインおよび増殖因子受容体のための重要な細胞シグナル伝達分子である(Heim. The Jak−STAT pathway:cytokine signaling from the receptor to the nucleus.J.Recept.Signal Transduct.Res.1999.19(l−4):75−120)。 Stat3は多くのヒト腫瘍において構成的に活性化され、発癌能 (Bromberg et al.,Stat3 as an oncogene.Cell 1999 98(3):295−303)および抗アポトーシス活性を有する。Stat3はTyr705のリン酸化によって活性化され、二量体形成、核転座およびDNA結合を誘導する(IhIe,Cytokine receptor signaling.Nature 1995,377(6550):591−4)。転写活性化は、MAPKまたはmTOR経路を介したSer727のリン酸化によって調節されると考えられる(Yokogami et al.,Serine phosphorylation and maximal activation of
Stat3 during CNTF signaling is mediated
by rapamycin target mTOR. 2000 Curr Biol.10(l):47−50)。
【0198】
Stat3リン酸化の阻害をTHP−1細胞において測定した。THP−1(ATCC)細胞を標準的なプロトコールに従って使用した。各試験条件のために、2×10
6細胞を血清飢餓させた。陽性対照は、ヒトIL−6(100、50、10ng/ml)とsIL−6R(200ng/ml)で刺激したTHP−1細胞から成った。陰性対照は培地だけから成った。試験試料は、各々ヒトIL−6(100、50、10ng/ml)およびsIL−6R(200ng/ml)を含む、10mg/mlのCNTO 136、No.399、BA399クローンNo.2、またはBA399クローンNo.9のいずれかを
含有した。IL−6、sIL−6Rおよび抗体を37℃で15分間インキュベートした。次に反応混合物をTHP−1細胞に添加した。37℃で15分間のインキュベーション後、細胞を冷PBSで洗浄し、直ちに検定した。Stat3のリン酸化レベルを、製造者のプロトコールに従って使用した細胞シグナル伝達ホスホ−Stat3サンドイッチELISAキット(たとえばPathScan(登録商標)ホスホ−Stat3(Tyr705)サンドイッチELISAキットNo.7300、Cell Signaling Technology,Inc)によって測定した。総Stat3の発現レベルは、ヒトStat 3(アミノ酸50〜240)に対するSanta Cruzウサギポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology,Inc.)によって測定した。THP−1リン酸化データを
図35〜38に示す。各々図において、データを総Stat3についてのウエスタンブロットに基づいて基準化している。
【0199】
図35に示すように、抗IL−6 Mab BA003(CNTO 136)、BA399、BA399−2およびBA399−9の各々は、陽性対照と比較してIL6/sILRで刺激したTHP−1細胞におけるStat3のリン酸化の濃度依存的低下を生じさせた。
【0200】
図36は、THP−1細胞を様々な条件下で100ng/mLのIL−6およびsIL−6Rで刺激した場合のリン酸化の相対レベルを示す(A)。ウエスタンブロットによる総Stat3レベルを(B)に示す。抗IL−6 Mab BA003(CNTO 136)、BA399、BA399−2およびBA399−9の各々は、陽性対照と比較してIL6/sILRで刺激したTHP−1細胞におけるStat3のリン酸化の有意の低下を生じさせた。
【0201】
図37は、THP−1細胞を様々な条件下で10ng/mLのIL−6およびsIL−6Rで刺激した場合のリン酸化の相対レベルを示す(A)。ウエスタンブロットによる総Stat3レベルを(B)に示す。抗IL−6 Mab BA003(CNTO 136)、BA399、BA399−2およびBA399−9の各々は、陽性対照と比較してIL6/sILRで刺激したTHP−1細胞におけるStat3のリン酸化の有意の低下を生じさせた。
【0202】
図38は、THP−1細胞を様々な条件下で10ng/mLのIL−6およびsIL−6Rで刺激した場合のリン酸化の相対レベルを示す(A)。ウエスタンブロットによる総Stat3レベルを(B)に示す。抗IL−6 Mab BA003(CNTO 136)、BA399、BA399−2およびBA399−9の各々は、陽性対照と比較してIL6/sILRで刺激したTHP−1細胞におけるStat3のリン酸化の有意の低下を生じさせた。
【実施例8】
【0203】
HepG2細胞による血清アミロイドAタンパク質産生の阻害
血清アミロイドA(SAA)は、その産生がIL−6によって誘導される急性期タンパク質である。IL−6、IL−1およびTNFなどのサイトカインはSAAタンパク質合成のメディエイターとみなされる。それらは、肝細胞を刺激してSAAを産生させ、血流中に放出させる。急性および慢性炎症を有する患者において高いレベルのSAAが認められる。続発性アミロイドーシスは、SAAが高いままである長期または反復炎症状態の結果として発症し得る。この進行性の致死的疾患は器官機能の喪失を特徴とする。関節リウマチ、若年性関節炎、強直性脊椎炎、家族性地中海熱、進行性硬化症、ならびに結核および骨髄炎のような慢性感染症などの炎症性疾患は、アミロイドーシスを発症する素因となる(Reinhoff et al.,Molecular and cellular
biology of serum amyloid A.1990 MoI.Bio
.Med.7:287−298)。
【0204】
IL−6/sIL−6RとIL−1bによって刺激したHepG2細胞において血清アミロイドAタンパク質産生をブロックする抗IL−6 Mabの能力を以下のように試験した。HepG2細胞を24穴形式にて2.25×10
5細胞/ウエルで接種した。各条件につき2組のウエルを使用した。陽性対照は、ヒトIL−6(100ng/ml)+sIL−6R(200ng/ml)+IL−1b(25ng/ml)から成った。1つの陰性対照は培地だけから成った。もう1つの陰性対照は、ヒトIL−6(100ng/ml)+sIL−6R(200ng/ml)から成った。抗IL6 Mab CNTO 136、BA399、BA399−2、BA399−9(10
−5、10
−4、10
−3、10
−2、10
−1、1mg/ml)の各々とヒトIL−6(100ng/ml)およびsIL−6R(200ng/ml)およびIL−1b(25ng/ml)から連続希釈を作製した。IL−6、sIL−6RおよびMabを室温で30分間インキュベートした。IL−1bをIL−6/抗体混合物に添加した。反応混合物全体をHepG2細胞に添加した。血清アミロイドA(SAA)の発現レベルを、反応混合物の添加後24時間目と48時間目に製造者のプロトコールに従ってInvitrogenヒトSAA免疫検定法キットによって測定した。データを
図39および40に示す。
【0205】
図39は、ヒトIL−6/sIL−6およびIL−1bで刺激したHepG2細胞による24時間目の血清アミロイドAタンパク質産生の、抗IL−6 Mabによる阻害を示す。抗IL6 Mab 003(CNTO 136)、BA399、BA399−2およびBA399−5の各々は、SAA産生を用量依存的に阻害した。ヒトIgGは陰性対照である。
【0206】
図40は、ヒトIL−6/sIL−6およびIL−1bで刺激したHepG2細胞による48時間目の血清アミロイドAタンパク質産生の、抗IL−6 Mabによる阻害を示す。抗IL6 Mab 003(CNTO 136)、BA399、BA399−2およびBA399−5の各々は、SAA産生を用量依存的に阻害した。ヒトIgGは陰性対照である。
【実施例9】
【0207】
サルIL−6との交差反応性
ELISAプレートを抗サルIL−6抗体でコーティングした。300pg/mLのサルIL−6を添加した。陽性対照はビオチニル化抗サルIL−6から成った。陰性対照は緩衝液だけから成った。0.1mg/mLのビオチニル化001と5mg/mlの001、003、BA399、BA399−2およびBA399−9の各々との試験試料を、非特異的ヒトIgGと共に使用した。ストレプトアビジン−HRPでELISAを実施した。データを
図41に示す。ビオチニル化抗IL−6 Mabは、サルIL−6とある程度の交差反応性を示し、これは抗IL−6ヒト化Mabの各々によって部分的にブロックされたが、非特異的ヒトIgGによってはブロックされなかった。
【実施例10】
【0208】
IL−6誘導性DS−1細胞増殖の阻害
DS−1は、腸リンパ管拡張症およびリンパ腫を有する免疫不全患者に由来するB細胞株である。ヒトIL−6に応答して細胞増殖が増大するが、マウスIL−6では増殖は増大しない。構成的IL−6産生にもかかわらず、DS−1のインビトロ増殖は外因性IL−6に依存する。(Bock et al.,Characterization of
a new IL−6 dependent human B−lymphoma cell line in a long term culture.Cytokine
5(5):480−489 (1993)。
【0209】
簡単に述べると、各試験条件について96穴形式で800細胞を接種した。10U/mLのヒトIL−6ならびに0、0.005、0.05および0.5μg/mL CNTO136、BA399および様々な抗IL−6 Mabを使用した。Promega CellTiter−Glo(登録商標)アッセイ(Promega Corp.,Madison,WI)を使用して、抗体の添加の0、2および4日後に細胞増殖を測定した。48時間目と96時間目のIL−6誘導性DS−1細胞増殖の阻害をそれぞれ
図42および43に示す。BA001、BA399、BA436、BA802、BA808およびBA840を含むいくつかの抗IL−6 Mabは、48時間目と96時間目の両方でDS−1細胞増殖を用量依存的に低下させた。
【0210】
本発明が、前記の説明および実施例において特に記述されている以外の方法でも実施できることは明らかである。
本発明の数多くの修正および変形が上記の教示に照らして可能であり、それ故、添付の特許請求の範囲内である。