特許第5789196号(P5789196)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5789196高解像度MRIを提供する手段および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789196
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】高解像度MRIを提供する手段および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20150917BHJP
   A61B 5/05 20060101ALI20150917BHJP
   G01R 33/48 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   A61B5/05 311
   A61B5/05ZDM
   G01N24/08 510Y
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-545836(P2011-545836)
(86)(22)【出願日】2010年1月13日
(65)【公表番号】特表2012-515040(P2012-515040A)
(43)【公表日】2012年7月5日
(86)【国際出願番号】IL2010000031
(87)【国際公開番号】WO2010082193
(87)【国際公開日】20100722
【審査請求日】2013年1月11日
(31)【優先権主張番号】196487
(32)【優先日】2009年1月13日
(33)【優先権主張国】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】508135530
【氏名又は名称】アスペクト イメージング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(72)【発明者】
【氏名】ラポポート ウリ
【審査官】 伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3548240(JP,B2)
【文献】 特開平09−108198(JP,A)
【文献】 特開2002−143116(JP,A)
【文献】 特表2007−525300(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/304333(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非超伝導電磁石及び複数の極片を備えたMRI装置における、画質を改善する手段であって、Bフィールドの不安定性によるMRI画質の劣化を低減する手段を備えており、前記Bフィールドの不安定性によるMRI画質の劣化を低減する手段がフィールドの不安定性に対しての感度を低下させる手段を備えており、該Bフィールドの不安定性に対しての感度を低下させる手段が、
a.(i)強い選択グラディエントを有する広帯域RF励振パルスを印加する手段、及び(ii)TX周波数の予め定められたセットをフォローする手段を有しており走査の間に円滑な変化を得るように構成されたTX周波数のリアルタイム変化を提供する手段を含み、励起体積のドリフトを修正する手段と、
b.追加のFIDとして追加のナビゲータ・エコーを収集する手段と、tを励起時間、Δfを周波数ドリフトとすると、前記収集した追加のナビゲータ・エコーから、関数式F=Δf(t+t)の、各FIDの線形位相修正関数を取得する手段を含み、獲得したデータの周波数及び/又は位相のドリフトを修正する手段と
を備えており、
前記Bフィールドの不安定性に対しての感度を低下させる手段は、当該Bフィールドの不安定性に対しての感度を低下させる手段が欠如していることを除いて前記MRI装置と同一のMRI装置に比較して、画像解像度を低下させることなく、
(a)撮像されている対象と前記電磁石との間の距離、
(b)磁界、及び
(c)前記電磁石の温度、
のうちの少なくとも1つを低減可能に構成されている、画質を改善する手段。
【請求項2】
残留磁化を減少させる若しくは修正する手段、及び/又は3Dスカウト画像を提供する手段をさらに備えている、請求項1に記載の画質を改善する手段。
【請求項3】
前記残留磁化を減少させる若しくは修正する手段は、
記複数の極片の磁化を回復するように構成された追加のグラディエントパルスを提供する手段と、
なくとも1つの高電流パルスを前記電磁石に提供する手段と
を備えており、
前記残留磁化を減少させる若しくは修正する手段は、該残留磁化を減少させる若しくは修正する手段が欠如していることを除いて前記MRI装置と同一のMRI装置と比較して、より高い解像度の2D又は3DのMRI画像を蓄積可能に構成されている、請求項2に記載の画質を改善する手段。
【請求項4】
前記3Dスカウト画像を提供する手段は、
心体積について3Dの短いTR走査を提供する手段と、
つの直交する主軸断面を再構築する手段と、
記主軸断面を3平面ローカライザー・ソフトウェアに転送する手段と
を備えており、
前記3Dスカウト画像を提供する手段は、前記装置を画像対象にローカライズすること及びMRI画像が得られる体積を前記対象を撮像するのに最小限必要な量に制限することを可能に構成されている、請求項2に記載の画質を改善する手段。
【請求項5】
非超伝導電磁石及び複数の極片を備えたMRI装置における、画質を改善する方法であって、Bフィールドの不安定性に対しての感度を低下させることによって、前記Bフィールドの不安定性によるMRI画質の劣化を低減することを含んでおり、
a.(i)強い選択グラディエントを有する広帯域RF励振パルスを印加すること、及び(ii)TX周波数の予め定められたセットをフォローすることによりTX周波数をリアルタイム変化させることによって、励起体積のドリフトを修正するステップと、
b.追加のFIDとして走査中に追加のナビゲータ・エコーを収集することと、tを励起時間、Δfを周波数ドリフトとすると、前記収集した追加のナビゲータ・エコーから、関数式F=Δf(t+t)の、各FIDの線形位相修正関数を取得することによって、獲得したデータの観察した周波数及び/又は位相のドリフトを修正するステップと
を備えている画質を改善する方法。
【請求項6】
残留磁化を減少させる若しくは修正するステップ、及び/又は3Dスカウト画像を提供するステップをさらに備えている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記残留磁化を減少させる若しくは修正するステップは、
記複数の極片の磁化を回復するように構成された追加のグラディエントパルスを提供するステップと、
記複数の極片の磁化を回復するように構成された高電流パルスを任意に提供する手段と
を備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記3Dスカウト画像を提供するステップは、
Dの短いTR走査を行うステップと、
つの直交する主軸断面を再構築するステップと、
記主軸断面を3平面ローカライザー・ソフトウェアで使用するステップと
を備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記MRI装置は、NMR/MRI装置である、請求項1に記載の画質を改善する手段。
【請求項10】
前記MRI装置は、NMR/MRI装置である、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にMRIに関する。特に、高解像度MRIを提供する手段および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ASPECT Magnet Technologies Ltd(イスラエル)は、市販のNMR/MRI装置を市場に提供している。それらは健康診断グレード(1―1.5テスラ)、デスクトップサイズ、高解像度の磁気共鳴画像法(MRI)に基づいた研究室用のシステム、そして、臨床前調査機関において小動物の生体内(インビボ)イメージングおよび生体外(インビトロ)研究を実行するためのものがある。加えてMRIシステムは、手首管症候群(手首のもの)に関するものを第一の用途として、人間の四肢のアプリケーションとしても開発されている。
【0003】
フィールドの安定性に対する懸念として、走査の間、特に非常に高い解像度画像が必要とされる時の頻繁な大規模なドリフトがある。「非常に高い解像度」は、獲得したデータおよび走査時間(例えばAspect MRIスキャナでは100X100X500μmが高解像度として考えられる)当たりの利用可能なS/Nに依存している。
【0004】
不安定性は、以下のものの結果として発生する。a.温度の環境変化、b.電気抵抗による加熱のグラディエント、そして、c.外部領域のもの。記載されているように、画像処理システムの感度を低下させる手段および方法が、Bフィールドの不安定性がいまだ感知されている限り必要となっている。
【0005】
On Fast SEに対する懸念として、FSEは、Bの安定性と同様にグラディエントのパフォーマンスに影響される。干渉パターンおよび/またはゴーストのようなアーティファクトの結果が、マグニチュード画像の上に現れる。渦電流の問題を除去した後にも、次の部分については、まだ解析されないままである:a.設計上のパルスに対する不正確なグラディエントの反応。b.磁気浸透性の極片を有する磁石の残留磁化。c.磁石のBフィールドに関する高いグラディエント分野による付随する磁場(「マクスウェル領域」)。これらによって、スピン位相の展開を一律に引き起こす磁場の不必要な空間分布が生じる。
【0006】
3Dスカウトに対する懸念として、対象を映像化するために必要となる走査を特定する最も短い手順を達成する方法については、長時間の感覚的な点を必要としている点がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明が開示する対象は、非超伝導電磁石および複数の極片を備えたMRI装置における、画質を改善する手段であって、Bフィールドの不安定性によるMRI画質の劣化を低減する手段で(a)高い選択グラディエントを有する広帯域RF励振パルスを印加する手段、および/または、走査の間に円滑な変化を得るように構成されたTX周波数のリアルタイム変化を提供する手段を備える励起体積の移動を修正する手段と(b)関数式F=Δf(t+t)の各FIDの線形位相修正(F)を取得する手段を含んでおり、周波数のドリフト、および/または、獲得したデータの位相を修正する手段を備えている。この発明のエッセンスとして、Bフィールドの不安定性に対して感度を低下させることによりBフィールドの不安定性によるMRI画質の劣化を低減する手段は、画像解像度を低下させることなくBフィールドの安定性を提供する手段が欠如していることを除いてMRI装置と同一のMRI装置に比較して、(a)撮像されている対象と少なくとも1つの電磁石との間の距離、(b)磁界、(c)電磁石の温度、のうちの少なくとも1つの減少を可能にする手段を備えている。
【0008】
本発明の更に開示する対象は、残留磁化を減少させるまたは修正する手段が、(a)複数の極片の磁化を回復するように適応された追加のグラディエントパルスを提供する手段と、(b)少なくとも1つの高電流パルスを電磁石に提供する手段とを備えている。この発明の本質的要素は、この残留磁化を減少させるまたは修正する手段は、残留磁化を減少させるまたは修正する手段が欠如していることを除いてMRI装置と同一のMRI装置と比較して、より高い解像度の2Dまたは3DのMRI画像を蓄積することを可能とする手段を備えていることにある。
【0009】
本発明の更に開示する対象は、3Dスカウト画像を提供する手段が、(a)関心のある容積について3Dの短いTR走査を提供する手段と、(b)3つの直交する主軸断面を再構築する手段と、(c)主軸断面を3平面ローカライザー・ソフトウェアに転送する手段とを備えている。この発明の本質的要素は、3Dスカウト画像を提供する手段は、装置を画像対象にローカライズし、MRI画像が得られる容積を上述した対象を撮像するのに最小限必要な量に制限することを可能にする手段を備えていることにある。
【0010】
本発明の更に開示する対象は、非超伝導電磁石および複数の極片を備えたMRI装置における、高速スピンエコー(FSE)法MRIを提供する手段であって、(a)偶数エコーおよび奇数エコーを分離する手段を備えたFSEキャリブレーション手段と、(b)偶数エコーおよび奇数エコーの時間および位相のシフトを計算する手段と、(c)(i)複数の極片の磁化を回復するように適応された追加のグラディエントパルスを提供する手段、および(ii)少なくとも1つの高電流パルスを電磁石に提供する手段を備えた残留磁化を修正する手段と、(d)付随するフィールドを修正する手段を備えている。この発明の本質的要素は、FSE法MRIを提供する手段が欠如していることを除いて、MRI装置と同一のMRI装置と比較して、獲得した画像の解像度を増加させ、画像の獲得のために必要な時間を最小化するように構成されていることにある。
【0011】
本発明の更に開示する対象は、非超伝導電磁石および複数の極片を備えたMRI装置における、高速スピンエコー(FSE)法MRIを提供する手段であって、(a)偶数エコーおよび奇数エコーを分離する手段を備えたFSEキャリブレーション手段と、(b)偶数エコーおよび奇数エコーの時間および位相のシフトを計算する手段と、(c)(i)複数の極片の磁化を回復するように適応された追加のグラディエントパルスを提供する手段、および(ii)少なくとも1つの高電流パルスを電磁石に提供する手段を備えた残留磁化を修正する手段と、(d)付随するフィールドを修正する手段と、(e)(i)関心のある容積について3Dの短いTR走査を提供する手段と、(b)3つの直交する主軸断面を再構築する手段と、(c)主軸断面を3平面ローカライザー・ソフトウェアに転送する手段とを含む3Dスカウト画像を提供する手段をさらに備えている。この発明の本質的要素は、FSE法MRIを提供する手段が欠如していることを除いて、MRI装置と同一のMRI装置と比較して、獲得した画像の解像度を増加させ、画像の獲得のために必要な時間を最小化するように構成されていることにある。
【0012】
本発明の更に開示する対象は、非超伝導電磁石および複数の極片を備えたMRI装置における、Bフィールドの不安定性に対して感度を低下させることによって、Bフィールドの不安定性によるMRI画質の劣化を低減する方法であって、(a)励起された容量のドリフトを修正するステップと、(b)獲得したデータの観察した周波数および位相のドリフトを修正するステップとを備えている。
【0013】
本発明の更に開示する対象は、励起された容量のドリフトを修正するステップは、強い選択グラディエントを有する広帯域RF励振パルスを印加するステップをさらに備えている。
【0014】
本発明の更に開示する対象は、励起された容量のドリフトを修正するステップは、TX周波数をリアルタイムで変化させるステップをさらに備えている。
【0015】
本発明の更に開示する対象は、獲得したデータの観察した周波数および位相のドリフトを修正するステップは、走査中に追加のナビゲータ・エコーを取得するステップをさらに備えている。
【0016】
本発明の更に開示する対象は、非超伝導電磁石および複数の極片を備えたMRI装置における、残留磁化を減少させるまたは修正する方法であって、(a)複数の極片の磁化を回復するように適応された追加のグラディエントパルスを提供するステップと、(b)複数の極片の磁化を回復するように適応された高電流パルスを任意に提供するステップとを備えている。
【0017】
本発明の更に開示する対象は、非超伝導電磁石および複数の極片を備えたMRI装置における、3Dスカウト画像を提供する方法であって、(a)3Dの短いTR走査を実行するステップと、(b)3つの直交する主磁気軸断面を再構築するステップと、(c)3平面ローカライザー・ソフトウェアで主磁気軸断面を使用するステップとを備えている。
【0018】
本発明の更に開示する対象は、非超伝導電磁石および複数の極片を備えたMRI装置における、高速スピンエコー(FSE)を増大させるまたはFSE法MRIを提供する方法であって、(a)(i)偶数エコーおよび奇数エコーを分離し、(ii)偶数エコーおよび奇数エコーの時間および位相のシフトを計算して、FSEをキャリブレーションするステップと、(b)残留磁化を修正するステップと、(c)付随するフィールドを修正するステップとを備えている。
【0019】
本発明の更に開示する対象は、付随するフィールドを修正するステップは、(a)偶数エコーおよび奇数エコーを分離するステップと、(b)(i)偶数エコーおよび奇数エコーの画像を独立して再構築するステップ、(ii)偶数エコーおよび奇数エコーのデータセットから低解像度の位相修正を抽出するステップ、(iii)ステップ(ii)において抽出されたプロトコルに従って、低解像度の位相修正を実行するステップ、および(iv)偶数エコーおよび奇数エコーの画像を結合するステップを含む再構築のアルゴリズムを適用するステップをさらに備えている。
【0020】
本発明の更に開示する対象は、偶数エコーおよび奇数エコーを分離するステップは、一連の流れに沿った他のエコーごとにクラッシャーグラディエントを印加するステップをさらに備えている。
【0021】
本発明の更に開示する対象は、偶数エコーおよび奇数エコーを分離するステップは、(a)2つの励起走査のうちの1つに、他の180°の再合焦パルスごとに、モジュレータ位相における0°および180°のパルスからなる位相循環法を適用するステップと、(b)所望の分離が成し遂げられるまで、2つの励起走査の加算および減算を行うステップとをさらに備えている。
【0022】
本発明の更に開示する対象は、3Dスカウト画像を得るステップをさらに備えている。
【0023】
本発明の更に開示する対象は、3Dスカウト画像を得るステップは、(a)3Dの短いTR走査を実行するステップと、(b)3つの直交する主磁気軸断面を再構築するステップと、(c)3平面ローカライザー・ソフトウェアで主磁気軸断面を使用するステップとをさらに備えている。
【0024】
本発明の更に開示する対象は、MRI装置は、市販のASPECT装置およびそのシステムである。
【0025】
市販のMRI、特にASPECT MRIについて、本発明はBフィールドの不安定性に対して感度を低下させる手段によってBフィールドの不安定性によるMRI画質の劣化を低減する手段を開示する。
市販のMRI、特にASPECT MRIについて、本発明は記載したステップを含む方法によってBフィールドの不安定性に対して感度を低下させる方法によって、Bフィールドの不安定性によるMRI画質の劣化を低減する方法を開示する。
市販のMRI、特にASPECT MRIについて、本発明は高速スピンエコー(FSE)法MRIを提供する手段を開示する。
市販のMRI、特にASPECT MRIについて、本発明は記載したステップを含む方法によって高速スピンエコー(FSE)法MRIを提供する方法を開示する。
市販のMRI、特にASPECT MRIについて、本発明は残留磁化を減少させるまたは修正する手段について開示する。
市販のMRI、特にASPECT MRIについて、本発明は記載したステップを含む方法によって残留磁化を減少させるまたは修正する方法について開示する。
市販のMRI、特にASPECT MRIについて、本発明は3Dスカウト画像を提供する手段について開示する。
市販のMRI、特にASPECT MRIについて、本発明は記載したステップを含む方法によって3Dスカウト画像を提供する方法について開示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の説明は、いかなる当業者も上述の発明を使用できるように設けられていて、発明者により考察される、本発明を実行するための最良の形態を記載する。しかしながら、本発明の一般的な原理において当業者が高解像度MRIを提供するための具体的な手段および方法として多様な変更態様を適合させることができる。
【0027】
ここで使用する「高電流パルス」という用語は、電流がグラディエントのパルス・シークエンスの他のいかなる電流よりも高いようなパルスを指す。
【0028】
(Bフィールドの安定性)
本発明は、Bフィールドの不安定性に対する感度を低下させる新規な手段(このようにして、Bフィールドの不安定性による画質の劣化を低減する)を提供する。以下に説明される二つの事項が必要とされる。
【0029】
a.励起された量(励起の回数による)のドリフト
i.2D走査において、ドリフトは、高い選択グラディエントを有する幅広いバンドRF励振パルスを適用することによって、かなり低減することができる。同様のことが可能な3D走査においては、しかしながら、より大きい励起の量のため、選択グラディエントはより弱い。この問題は、3Dへの変換において最も短い時間(例えば走査で最も多くの内側ループ)が見つかる場合は、中心の再構築断面を用いることによって完全に緩和される。
ii.TX周波数のリアルタイムな変化。困難な点は、正確な周波数測定値または扱いにくいアルゴリズムを必要とする走査の間、円滑な変換を実現することである。良好な結果(高解像度)のためには、上記のいずれかにおいて、後述するように周波数値を、続く処理のために取得しなければならない。良好な選択は、走査の間、その挙動を予測して、TX周波数の予め定められたセットをフォローするようにすることである。
【0030】
b.周波数及び位相のデータの中でのドリフト(獲得したデータの不一致)
追加のナビゲータ・エコーは、走査の間に取得されて、これらは以下の2つの目的にかなう:(1)上記の通りに走査する間に、TX周波数を変更する、(2)画像の再構築の間にデータを送るプロセス。
【0031】
ナビゲータ・エコーは、FSE型の走査の余分のスピンエコーとして、そして、SEおよびGREタイプの余分のFIDとして収集されてくる。収集した余分なデータは除去され、ポリフィット・アルゴリズムによって挿入され、Reconアルゴリズムにおいて使用される。
【0032】
GREタイプの走査は、空間シフトおよびエコー位相のデータの不整合(周波数値のドリフトのため)が起こることが欠点である。この不一致の修正は、定数が派生周波数のドリフトでte*derived周波数ドリフトである、各FIDの線形位相修正によって行う。SEタイプでは、定数をゼロに設定して、同様の修正を行う。
【0033】
(高速SE法)
本発明は、高速SE(高速スピンエコー、FSE)法を提供するための手段および方法を開示する。一般に、異なる再収束点に対して集まっているRFパルス間の異なる回転位相の展開は、訂正不能である。再収束点に集まっているパルス間の発展がエコーの全体にわたって同じことを繰り返している状況は、エコーの配列を参照して、修正することができる。以下は、仮定にしたがって述べる。この条件を確立するためには、パルス・シークエンスに対するいくらかのキャリブレーションおよび変更態様が、必要である。
【0034】
a.FSEのキャリブレーション
前記仮定/近似値の下で、グラディエントエコー時間および位相の変動は、RFを再び集中させているパルス後の、偶数エコーおよび奇数エコーが反対の位置に移される(時間および位相を反響する)ようなエコーの列に沿って発生する。これによって、波(干渉波)およびゴースト・アーティファクトが生じる。
【0035】
キャリブレーションの手順は、以下から成る:
i.偶数エコーおよび奇数エコーを分離するには2つの方法がある:
1.一連の流れ(エコートレイン)沿っているその他のエコーのためのクラッシャーグラディエントの適用は、偶数エコーおよび奇数エコーを相殺する。
2.その他のRFを再び収束させているパルスのためのモジュレータ位相の、0〜180°からなる位相循環方式は、2つの励起走査のうちの1つに適用される。
2つの走査を印加し、減算することによって、求められている分離が成し遂げられる。あるいは、位相循環は、RF励振パルスのために適用されることができる。
【0036】
注:キャリブレーション段階の間にエコーの分離を適用するためには、走査はグラディエントをオフにした変換によって実行されなければならない。
【0037】
ii.時間内のシフトおよび偶数エコー/奇数エコーの位相を算出するためには、第1のFTが適用され、偶数エコー/奇数エコーの間の位相の違いの線形の要素は、パルスシークエンスにおいて必要な修正の結果として生じる。(定数−−>エコーシフト、定数−−>位相修正)。これらの非位相グラディエントの修正とTXの位相の飛び越えによる変換は、選択された時間の周波数の位相飛び越えによって行うことができる。
【0038】
b.残留磁化
変換の間、グラディエントは、極片の挙動(一連の流れに沿った展開がそれ自身で繰り返さない回転)に応じて、エコーの流れの全体にわたって変化している。それを修正するために、極片の同じ磁化を復元する余分のグラディエントパルスが、グラディエントパルスをコード化する各段階において必要である。挙動が充分に望ましい状態であれば、単一の高い電流パルスは良好な近似値をとり、同様の磁化がグラディエントパルスの経過からは独立して再び復帰する。
【0039】
c.付随する領域
付随する領域について修正する直接的な方法は、逆の効果を有するグラディエントを適用することで、補償することである。これは、シーケンスの時間方式において、そして、それ故にSNRおよび走査時間について、非常に高コストになる。FSE走査を修正するよりも良好で強力な方法は、上記の通りに完全な走査で偶数エコー/奇数エコーの分離を適用することである。再構築のアルゴリズムは偶数エコー/奇数エコーのイメージを別に再構築することから成る。そして、偶数/奇数の画像データセットに由来する低い解像度の修正を実行した後にそれらを結合する。
【0040】
(残留磁化)
FSE修正にて説明したように、上述のbについては、別の節にも分ける。この修正は、必要に応じて全ての種類のシーケンスに適用されることができる。それも、繰り返された初期条件を成し遂げるために、励起サイクルの最後に、または、その前に適用されることができる。
【0041】
(3Dスカウト)
本発明は、3Dスカウトを提供するための手段および方法を開示する。高解像度アプリケーションにおいて、スカウトの走査は、本来かなり高い解像度であることを必要とする。同様に適切なSNRを有するためには、3Dの短いTR走査が重要な部分について実行される。3つの直交する主磁気軸断面は、3平面ローカライザー・ソフトウェアで使われるために再構成される。目標とされた主磁気軸断面は、3Dデータセットから再構築されて検証される。これは、1つの試験について正確に走査の位置を決める際に、かなり有用である。