(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スピーカと、光エミッタと、光検出器とを取り囲みかつ保護するように構成され、前記ベースに固着されまた、前記ベースの上に重なる筐体をさらに備える、請求項1に記載のヘッドセット。
前記カバーが前記光エミッタと光伝達するレンズ領域を含み、前記レンズ領域が前記光エミッタが放射した光を集束し、及び/又は耳領域から反射された光を収集する、請求項1に記載のヘッドセット。
前記カバーが前記光透過材料と光伝達する少なくとも1つのルミネセンス領域を含み、前記ルミネセンス領域が前記光エミッタが放射した光を受け取り、そして前記受け取った光の少なくとも一部を前記受け取った光とは波長が異なる光に変換する、請求項1に記載のヘッドセット。
前記カバーが外面と内面とを有し、かつ前記光透過材料と光伝達する前記内面及び外面の一方又は両方の少なくとも一部の上にルミネセンス材料をさらに含み、前記ルミネセンス材料が前記光エミッタが放射した光を受け取り、そして受け取った光の少なくとも一部を少なくとも1つの前記受け取った光とは波長が異なる光に変換する、請求項1に記載のヘッドセット。
前記光透過材料と光伝達する少なくとも1つのレンズ領域をさらに備え、前記レンズ領域が送られた光及び収集された光を集束するように構成される、ことを特徴とする請求項20に記載のイアバッド。
少なくとも1つのセンサ入力部をさらに有し、前記少なくとも1つのセンサ入力部が少なくとも1つの光センサ、慣性センサ、導電性センサ、容量性センサ及び/又は誘導性センサを含む、請求項20に記載のイアバッド。
前記プロセッサが、前記センサモジュールが生成した少なくとも1つの信号からノイズを除去する適応フィルタアルゴリズムを実行するように構成される、請求項27に記載のイアバッド。
前記マイクロプロセッサが、ディジタル出力ストリングを生成するために1つ以上のセンサからの情報を処理するように構成され、前記ディジタル出力ストリングが複数の生理的情報及び動きに関連した情報を含む、請求項27に記載のイアバッド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、生理的情報を収集、格納及び分析する改良された方法が必要とされる。さらに、毎日の生活活動の間に、特に高い活動レベルの間に、人からの生理的情報を途切れなく抽出する改良された方法が、フィットネストレーニングやヘルスケアの品質を高めるため、予防策を推進及び促進するため、またヘルスケアのコストを低減するために重要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この要約は、単純化された形式で一連の概念を紹介するために提供されることは理解されよう。これらの概念は、下記の詳細な説明の中でさらに説明される。この要約は、この開示内容の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、また本発明の範囲を限定することを意図するものでもない。
【0006】
本発明の幾つかの実施形態によれば、人の耳に装着されるように構成されたヘッドセットは、ベースと、被験者の耳内に配置されるように構成されベースから外側に延伸するイアバッド筐体と、及びこのイアバッド筐体を取り囲むカバーとを備えている。このベースは、スピーカ、光エミッタ、及び光検出器を備えている。カバーは、光エミッタ及び光検出器と光伝達する光透過材料を含み、光エミッタからの光を1つ以上の所定の位置でヘッドセットを装着している被験者の外耳道に送り、イアバッド筐体の外部の光を収集し、この収集された光を光検出器に送る光ガイドとして機能する。光エミッタは、光ガイドカバーを介して、光エネルギーを耳の特定の領域に向け、そして光検出器はこの耳領域から放射する2次光エネルギーを検出する。幾つかの実施形態では、光検出器は、選択的な波長の2次光エネルギーを通過するように構成された光フィルタを備えることができる。幾つかの実施形態では、カバーの光透過材料は、例えば、クラッド及び/又は光反射材料を使用して構成され、カバーが光エミッタ及び光検出器に平行に結合された光ガイドとして機能することができる。幾つかの実施形態では、カバーの光透過材料は、例えば、クラッド及び/又は光反射材料を使用して構成され、カバーが光エミッタ及び光検出器に垂直に結合された光ガイドとして機能することができる。
【0007】
幾つかの実施形態では、ヘッドセットは、ベースに固着された種々の電子部品を含むことができる。例えば、このヘッドセットは、ヘッドセットの近傍の環境状態を検出及び/又は測定するように構成された1つ以上の環境用センサを備えることができる。ヘッドセットは、光センサが発生した信号を受信及び処理するように構成された信号プロセッサを備えることができる。例えば、幾つかの実施形態では、この信号プロセッサは、2次光エネルギーを抽出しかつ光学ノイズ又は環境ノイズを除くように構成されることができる。ヘッドセットは、1つ以上の環境用センサが発生した信号を受信しかつ処理するように構成された信号プロセッサを備えることができる。さらに、このヘッドセットは、信号プロセッサが発生した信号を遠く離れた装置にリアルタイムで送信するように構成された送信機を備えることができる。本発明の実施形態によるヘッドセットは、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi、ZigBee、又は他の無線送信機を使用することができる。
【0008】
幾つかの実施形態では、筐体がベースに固着されまたその上に重なって、スピーカ、光エミッタ及び光検出器、並びにこのベースに固着された他の電子部品(例えば、センサ、プロセッサ、送信機など)を囲みかつ保護する。
【0009】
イアバッド筐体は、スピーカと音響伝達を行う、またスピーカからの音が通過できる少なくとも1つの開口を有している。イアバッド筐体を囲む光ガイドカバーも、スピーカからの音が通過できる少なくとも1つの開口を備えている。このカバーは、被験者の外耳道に挿入されると変形するシリコーンなどの、柔らかく弾力のある材料から形成されることができる。幾つかの実施形態では、このカバーは、被験者の外耳道内でイアバッド筐体の位置合わせを容易にするアライメント部材を備えている。
【0010】
光エミッタから被験者の耳内に向けられた光及び光検出器でのその後の集光は、本発明の実施形態によれば、とりわけ、体温、皮膚温度、血液ガスレベル、筋肉の緊張度、心拍数、血流量、心肺機能などを検出及び/又は測定するように使用されることができる。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態では、光ガイドカバーは、光エミッタ及び/又は光検出器と光伝達するレンズを備えることができる。このレンズは、光エミッタが放射した光を集束させる及び/又は収集された光を光検出器に向けて集束させるように構成されることができる。幾つかの実施形態では、複数のレンズが光ガイドカバーの中に組み込まれる。
【0012】
幾つかの実施形態では、光ガイドカバーは、光検出器が放射した光を拡散する光透過材料と光伝達する光拡散領域を含むことができる。
【0013】
幾つかの実施形態では、この光ガイドカバーは、光透過材料と光伝達する燐光体含有領域などの、ルミネセンス発生領域を含むことができる。このルミネセンス発生領域は、光ガイドカバーの中及び/又は光ガイドカバーの表面に埋め込まれることができる。ルミネセンス発生領域は、光エミッタが放射した光を受け取り、そして受け取った光の少なくとも一部を受け取った光の波長とは異なる波長を有する光に変換するように構成される。
【0014】
幾つかの実施形態では、光ガイドカバーは、内部に形成された1つ以上の溝を有している。各溝は、外部光を光検出器に向けるように構成される。
【0015】
幾つかの実施形態では、光ガイドカバーの光透過材料は、光エミッタからの光を、被験者の外耳道内に送るために、カバーの外面にある複数の位置に向けるように構成される。
【0016】
幾つかの実施形態では、光ガイドカバーの光透過材料は半透明の材料であるか、又は選択された位置に半透明の材料が含まれる。
【0017】
幾つかの実施形態では、光反射材料が、光ガイドカバーの内面及び外面の一方又は両方の少なくとも一部の上で使用される。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態によれば、ヘッドセット用の光ガイド式イアバッドは、ヘッドセットに関連した光エミッタ及び光検出器と光伝達する光透過材料を有している。この光透過材料は、光エミッタからの光を1つ以上の所定の位置で被験者の外耳道に送り、イアバッド筐体の外部の光を収集して、この収集された光を光検出器に送るように構成される。幾つかの実施形態では、光エミッタ及び光検出器は、イアバッドと一体化されることができる。例えば、幾つかの実施形態では、可撓性の光エミッタがイアバッド内に組み込まれて、光透過材料と光伝達する。
【0019】
幾つかの実施形態では、イアバッドは、光透過材料と光伝達する少なくとも1つのレンズを備えている。各レンズは、光エミッタからの光を被験者の耳内の1つ以上の所定の位置に集束させる、及び/又は収集された外部光を光検出器上に集束させるように構成されることができる。
【0020】
本発明の幾つかの実施形態では、イアバッドは蛍光物質を含むことができる。蛍光は、光エミッタによって蛍光物質が光励起されることによって発生される。
【0021】
本発明の幾つかの実施形態では、イアバッドは、生理的情報を測定するための複数のセンサ素子及びノイズ情報を測定するための少なくとも1つのノイズ源を有するセンサモジュールを組み込むことができる。「ノイズ源」という用語は、本願で使用される場合は、光センサ、慣性センサ、導電性センサ、容量性センサ、誘導性センサなどセンサを指し、その名前は、それが以下で説明される適応フィルタなどのフィルタへの入力源であるという事実に由来する。
【0022】
センサモジュールの生理用センサは、生理的情報に加えてノイズ情報を含む信号を発生することができる。センサモジュールからの生理的情報とノイズ情報組み合わせることによって、ノイズを除くことができる。ここでノイズ情報は、信号処理技術などの電子フィルタリング法を介して、センサモジュールのノイズ源からもたらされる。そのような信号処理技術の具体的な例には、FIR(有限インパルス応答(Finite Impulse Response))、IIR(無限インパルス応答(Infinite Impulse Response))、情報科学、機械学習、及び適応フィルタ法が含まれる。適応フィルタの出力は、全体的に又は部分的にノイズがない生理的信号になる可能性がある。幾つかの実施形態では、ランニングなどの被験者の活動による運動に関連したノイズは、血中酸素濃度、VO
2、又は心拍数などの血液成分レベル又は血流特性を測定するためのフォトプレチィスモグラフィ(photoplethysmography:光電脈波)(PPG)センサが発生した生理的信号及びノイズ信号から除かれる。
【0023】
本発明の幾つかの実施形態では、適応フィルタのノイズ源入力には、光エネルギー、慣性センサ、又は環境エネルギーの「閉鎖チャネル(blocked channel)」が含まれる。幾つかの実施形態では、環境エネルギーは、不要な環境光ノイズである。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態では、プロセッサ/マルチプレクサは、データストリングに入る生理的信号及びノイズ信号を処理する。このデータストリングは、生理的情報及び運動関連情報に関する情報を含むことができる。処理方法には、事前適応信号処理(pre-adaptive signal conditioning)、適応フィルタリング、及びパラメータ抽出などの信号処理技術が含まれる。
【0025】
幾つかの実施形態では、イアバッドは、例えば、ノイズなどの生理的情報や環境情報を検知するための1つ以上のセンサを有する1つ以上のセンサモジュールを備えている。このため、イアバッドは環境モニタとしてだけでなく、生理用モニタとしても機能する。幾つかの実施形態では、このイアバッドは、センサモジュールと電気通信するマイクロプロセッサを含むことができる。例えば、イアバッド内に組み込まれたマイクロプロセッサは、イアバッド内のセンサモジュールが発生した少なくとも1つの信号からノイズを除くために、適応フィルタ用アルゴリズムを実行するように構成されることもできる。マイクロプロセッサは、ディジタル出力ストリングを生成するために、1つ以上のセンサから情報を処理するように構成されることもできる。このディジタル出力ストリングは、複数の生理及び運動関連の情報を含んでいる。
【0026】
ヘッドセット及び/又はイアバッドに組み込まれた生理用センサは、本発明の幾つかの実施形態に基づいて、1つ以上の下記の種類の生理的情報を検出及び/又は測定するように構成されることができる。それらの生理的情報には、心拍数、脈拍数、呼吸数、血流量、VO
2、VO
2最大値、心拍シグナチャー、心肺の健康状態、臓器の健康状態、メタボリズム、電解質のタイプ及び/又は濃度、身体活動、カロリー摂取量、カロリー代謝、血中代謝体のレベル又は比率、血中pHレベル、身体的及び/又は心理的なストレスレベル及び/又はストレスレベルのインジケータ、薬物供与量及び/又は薬量測定、生理的な薬物反応、薬物の化学反応、生化学、位置及び/又はバランス、身体の緊張度、神経機能、頭脳活性度、脳波、血圧、頭蓋圧力、水分補給レベル、聴診情報、妊娠に関連した聴診信号、感染に対する生理的応答、皮膚及び/又は身体内部の温度、眼筋の動き、血液容量、吸気及び呼気の呼吸量、身体運動、呼気の物理的及び/又は化学的な組成、ウイルス及び/又はバクテリアの存在及び/又は同一性及び/又は濃度、身体内の異物、身体内の毒素、身体内の重金属、不安症、受胎能力、排卵、性ホルモン、心理的気分、睡眠の型、空腹及び/又は渇き、ホルモンのタイプ及び/又は濃度、コレステロール、脂質、血液パネル(blood panel)、骨密度、臓器及び/又は身体の重量、反射応答、性的刺激、精神的及び/又は身体的な敏捷さ、眠気、聴診情報、外部刺激に対する応答、飲み込み量、飲み込み速度、疾病、音声特性、音声トーン、声の高さ、音量、生命サイン(vital sign)、頭部の傾き、アレルギー反応、炎症反応、自己免疫反応、突然変異誘発性応答、DNA、蛋白質、血中の蛋白質レベル、血液の水分含有量、フェロモン、体内音(internal body sound)、消化系の機能、細胞再生応答(cellular regeneration response)、回復応答、幹細胞再生応答など、が含まれる。
【0027】
ヘッドセット及び/又はイアバッドに組み込まれることができる環境用センサは、本発明の幾つかの実施形態によれば、1つ以上の下記の種類の環境情報を検出及び/又は測定するように構成されることができる。それらの環境情報には、天候、湿度、温度、圧力、気圧、煤煙密度、浮遊微粒子密度、浮遊微粒子の大きさ、浮遊微粒子の形状、浮遊微粒子の個性、揮発性有機化学物質(VOC)、炭化水素、多環式芳香族炭化水素、(PAH)、発ガン物質、毒素、電磁エネルギー、光放射、X線、ガンマ線、マイクロ波放射、テラヘルツ放射、紫外線放射、赤外線放射、電磁波、原子エネルギーアルファ粒子、原子エネルギーベータ粒子、重力、光度、光の周波数、光のちらつき、光の位相、オゾン、一酸化酸素、二酸化酸素、亜酸化窒素、硫化物、大気汚染、空中の異物、ウイルス、バクテリア、化学兵器による痕跡、風、乱気流、音及び/又は音響エネルギー、超音波エネルギー、騒音公害、人の声、動物の鳴き声、他から放出された病気、他人の呼気及び/又は呼吸成分、他からの毒素、他からのフェロモン、産業及び/又は輸送上の騒音、アレルゲン、動物の毛、花粉、エンジンからの排気ガス、水蒸気及び/又は煙霧、燃料、鉱物の付着物及び/又はオイルの付着物、雪、雨、熱エネルギー、熱い地面、熱いガス、太陽エネルギー、ヒョウ、氷、振動、交通、その人の近くにいる人の数、その人の近くにいる人から来るせき及び/又はくしゃみをする音、その人の近くで話をしている人の声の大きさや高さ、が含まれる。
【0028】
本発明の幾つかの実施形態によれば、ヘッドセット用のイアバッドは、少なくとも1つのセンサ要素、ノイズ源要素、信号プロセッサ、入力/出力ライン、ディジタル制御部、及び電源レギュレータを有するチップセットを備えることができる。
【0029】
本発明の種々の実施形態による光ガイド式イアバッドは、モノラルのヘッドセット(すなわち、1つのイアバッドを有するヘッドセット)及びステレオ形ヘッドセット(すなわち、2つのイアバッドを有するヘッドセット)と共に使用されることができる。その上、イアバッドの光ガイド領域は、本発明の実施形態によれば、イアバッドカバーやイアバッド筐体だけでなく、イアバッドのそれぞれの又は全ての部品に組み込まれることができる。さらに、本発明の種々の実施形態による光ガイド式イアバッドは、補聴器、身体宝飾品、又は頭の部分近くに配置できる任意の他のアタッチメントと一緒に使用されることができる。これらのアタッチメントには、メガネ又はサングラス、ヘッドバンド、帽子、ヘルメット、バイザーなどが含まれる。
【0030】
本発明の幾つかの実施形態によれば、モニタ装置は、被験者の指を囲むことができる円形バンド、及びこの円形バンドに装着される光エミッタと光検出器とを有するベースを備えている。この円形バンドは、光エミッタ及び光検出器と光伝達する光透過材料を含み、この光透過材料は、光エミッタからの光を被験者の指の1つ以上の部分に送り、この被験者の指の1つ以上の部分からの光を収集し、そしてこの収集された光を光検出器に送るように構成される。幾つかの実施形態では、この円形バンドは、第1及び第2の同軸のボディ部分を有する。
【0031】
幾つかの実施形態では、この円形バンドは、光エミッタと光伝達するレンズ領域を含み、このレンズ領域は、光エミッタが放射した光を集束し、及び/又は指から反射された光を収集する。幾つかの実施形態では、この円形バンドは、光透過材料と光伝達する燐光体含有領域を含む。ここで、燐光体含有領域は、光エミッタが放射した光を受け取り、受け取った光の少なくとも一部を受け取った光とは波長が異なる光に変換する。
【0032】
幾つかの実施形態では、円形バンドの光透過材料は外面と内面とを有し、光反射材料などのクラッド材料が、内面及び外面の一方又は両方の少なくとも一部の上(又は近く)に存在する。
【0033】
幾つかの実施形態では、ベースは1つ以上の下記の要素を具備する、すなわち、下記の要素は、光検出器が発生した信号を受け取りまた処理するように構成された信号プロセッサと、この信号プロセッサが処理した信号を離れた装置に送信するように構成された送信機である。
【0034】
本発明の幾つかの実施形態によれば、被験者の身体に装着されるように構成されたモニタ装置は、光エミッタ及び光検出器を有するベースと、このベースに取り付けられた光透過材料とを備えている。この光透過材料は、光エミッタ及び光検出器と光伝達し、そして光エミッタからの光を被験者の身体の1つ以上の部分に送り、この被験者の身体の1つ以上の部分からの光を収集し、そしてこの収集された光を光検出器に送るように構成される。この光透過材料は、1つ以上の位置に接着剤を有して、装置を被験者の身体に固着する。
【0035】
幾つかの実施形態では、外側身体部分がベース及び光透過材料に取り付けられる。この外側身体部分は、1つ以上の場所に接着剤を有して、装置を被験者の身体に固着するように構成される。
【0036】
幾つかの実施形態では、この光透過材料は、光エミッタと光伝達するレンズ領域を含み、このレンズ領域は、光エミッタが放射した光を集束し、及び/又は指から反射された光を収集する。幾つかの実施形態では、この光透過材料は燐光体含有領域を含み、この燐光体含有領域は、光エミッタが放射した光を受け取り、受け取った光の少なくとも一部を受け取った光とは波長が異なる光に変換する。幾つかの実施形態では、光透過材料は外面と内面とを有し、また光反射材料が内面及び外面の一方又は両方の少なくとも一部の上又は近くに配置される。
【0037】
幾つかの実施形態では、ベースは1つ以上の下記の要素を具備する、すなわち、下記の要素は、光検出器が発生した信号を受け取りまた処理するように構成された信号プロセッサと、この信号プロセッサが処理した信号を離れた装置に送信するように構成された送信機である。
【0038】
1つの実施形態に関連して説明された本発明の態様は、それに関して特に説明されないが、種々の実施形態の中に組み込まれることができることに注意されたい。すなわち、全ての実施形態及び/又は任意の実施形態の機能は、任意の方法及び/又は組合せで組み合わされることができる。出願者は、最初に出願した任意のクレームを変更する権利又は、そのような方法で最初は請求されていないが、任意の他のクレームの任意の特徴を組み込むために、任意の最初に出願したクレームを変更できる権利を含む、任意の新しいクレームを出願する権利を留保する。これら及び他の目的及び/又は本発明の形態は、以下で詳細に説明されている。
【0039】
明細書の一部を形成する添付された図面は、本発明の種々の実施形態を例示している。図面と説明は一緒になって、本発明の実施形態を完全に説明する役割を演じる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、ここで、本発明の実施形態が示されている添付されている図面を参照して、以下でより完全に説明される。しかしながら、本発明は多くの様々な形態で具体化されることができ、また本願に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。同じ参照番号は、全体を通して同様の構成部品を指す。図面の中で、特定の層、部品又は機構は明確にするために誇張されることがあり、また点線は、特に断らない限り、オプションの特徴又は動作を例示する。さらに、操作順序(すなわち、ステップ)は、特別の定めがない限り、図面及び/又はクレーム内に示された順序に限定されることはない。1つの図面又は実施形態に関連して説明された特徴は、特にそれなりに記載され又は示されていない場合は、他の実施形態又は図面に関連付けることができる。
【0042】
ある機構又は部品が別の機構又は部品の「上に」あると言われる場合、それは他の機構又は部品の直接上に存在するか、又は介在する機構及び/又は部品が存在する場合もあることは理解されよう。対照的に、ある機構又は部品が他の機構又は部品の「直接上に」あると言われる場合は、介在する機構又は部品は存在しない。ある機構又は部品が他の機構又は部品に「接続される」、「取り付けられる」又は「結合される」と言われる場合、それは他の機構又は部品に直接接続される、取り付けられる又は結合されるか、又は介在する機構又は部品が存在することがある。それに引き換え、ある機構又は部品が他の機構又は部品に「直接接続される」、「直接取り付けられる」又は「直接結合される」と言われる場合、介在する機構又は部品は存在しない。1つの実施形態に対して説明され又は示される場合でも、そのように説明され又は示された機構及び部品は、他の実施形態に適用することができる。他の機構に「隣接して」配置された構造体又は機構を指す場合、その隣接した機構と重なり合う又は下になる部分が存在する可能性があることは、当業者も理解されよう。
【0043】
本願で使用される専門用語は、特定の実施形態を単に説明するものであり、本発明を限定することを意図するものではない。単数形「a」、「an」及び「the」は、本願で使用される場合、特に内容が明確に示されない場合は、複数形も含むことを意図される。「具備する/備える/含む/有する」及び/又は「具備している/備えている/含んでいる/有している」という用語は、この明細書で使用される場合は、規定された機構、ステップ、操作、部品、及び/又は要素の存在を指定するが、1つ以上の他の機構、ステップ、操作、部品、要素、及び/又はそのグループの存在又は追加を排除しないことはさらに理解されよう。「及び/又は」という用語は、本願で使用される場合、1つ以上の関連したリストに記載された項目の任意の及び全ての組合せを含む。
【0044】
「下に」、「下方へ」、「下方の」、「上に」、「上方に」などの空間に関連した用語は、図面の中で例示されているように、1つの部品又は機構の他の部品又は機構への関係を説明する場合、説明を容易にするために本願で使用されることができる。空間に関連した用語は、図面の中で示された向きに加えて、使用中又は操作中の装置の様々な向きを含むように意図さることは理解されよう。例えば、図面の中の装置が逆にされる場合、他の部品又は機構の「下に」又は「下方へ」と記載された部品は、この時、他の部品又は機構の「上に」向けられる。このように、代表的な用語「下に」は、上及び下の両方の向きを含むことができる。装置は、別の方法では、(90度回転した方向又は他の方向に)向けられ、そして本願で使用される空間に関連した記述子がこのように解釈される。同様に、「上方向に」、「下の方向に」、「垂直の」、「水平の」などの用語は、特に指示がない限り、本願では説明するためだけに使用される。
【0045】
第1及び第2という用語が、種々の機構/部品を説明するために本願で使用されるが、これらの機構/部品は、これらの用語に限定されるべきではない。これらの用語は、ある機構/部品を別の機構/部品から区別する場合のみ使用される。このため、以下で説明される第1の機構/部品は、第2の筐体部分と呼ばれることができ、また同様に、以下で説明される第2の機構/部品は、本発明の教示から逸脱することなく、第1の機構/部品と呼ばれることができる。同じ参照番号は、全体を通して同じ構成部品を示す。
【0046】
特に規定されない限り、本願で使用される(技術的及び科学的用語を含む)全ての用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。一般に使用される辞書の中で定義されるような用語は、明細書及び関連した技術との関連で、それらの意味に一致した意味を有すると解釈されるべきであり、本願で明白にそのように定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味に解釈されるべきではないことはさらに理解されよう。周知の機構や構造は、簡潔及び/又は明快にするために、詳細には説明されることはない。
【0047】
「ヘッドセット」という用語は、ユーザの耳又は耳の近くに取り付けられる任意の種類の装置又は耳覆いを含み、また限定されることなく、様々な構成を有する。本願で説明される光ガイド式イアバッドを内蔵するヘッドセットは、モノラルのヘッドセット(1つのイアバッド)ステレオ形ヘッドセット(2つのイアバッド)、イアバッド、補聴器、耳の宝石、フェースマスク、ヘッドバンドなどを含むことができる。
【0048】
「リアルタイム」という用語は、情報が必要とされる最小の時間スケール以内の時間フレームで、情報を感知する、処理する、又は送信する工程を説明するために使用される。例えば、脈拍数のリアルタイムモニタリングは、瞬間的な心拍数は最終ユーザにとって無用であることが多いため、30秒にわたって平均化された、毎秒1つの平均心拍数測定を結果として生じる。一般に、平均化された生理的及び環境的な情報は、瞬間的な変化よりも問題に一層関連している。このため、本発明との関連で、信号は、「リアルタイム」の応答を発生するため、数秒にわたって、又はさらに数分にわたって処理されることがある。
【0049】
「モニタリング」という用語は、測定する、定量化する、制限する、評価する、感知する、計算する、挿入する、外挿する、推測する、推論する、又はこれらの行動の任意の組合せの行動を指す。より一般的に言うと、「モニタリング」は、1つ以上の感知素子を介して情報を得る方法を指す。例えば、「血液健康状態のモニタリング」という用語には、血液ガスレベル、血液水和性(blood hydration)、及び代謝産物/電解液レベルのモニタリングが含まれる。
【0050】
「生理的な」という用語は、生物(例えば、人間、動物など)の身体の又は身体からの物質又はエネルギーを指す。本発明の実施形態では、「生理的な」という用語は、身体的及び心理的的な物質並びに生物の身体の又は身体からのエネルギーの両方をカバーするように、広く使用さることが意図される。しかしながら、場合によっては、「心理的な」という用語は、他の臓器、組織、又は細胞の活動ではなく、意識下の又は潜在意識下の脳の活動により緊密に関連付けられた生理機能の面を別個に強調するように用いられる。
【0051】
「身体」という用語は、本発明の実施形態による、1つ以上の光ガイド式イアバッドを組み込んでいるヘッドセットを付けている被験者(人間又は動物)の身体を指す。
【0052】
下記の図面では、種々のヘッドセット及びヘッドセットと一緒に使用する光ガイド式イアバッドが、人体の耳に装着するために例示及び説明される。しかしながら、本発明の実施形態は、人体に装着されることに限定されないことは理解されよう。
【0053】
耳は、健康及び環境モニタを装着できる理想的な位置である。耳は、人の動きや視界を妨害しない比較的不動のプラットフォームである。耳に配置されるヘッドセットは、例えば、内外耳道及び鼓膜への通路(中心の体温を測定するため)、筋肉組織(筋肉の緊張度を測定するため)、耳介及び耳たぶ(血液ガスレベルをモニタするため)、耳の背部領域(皮膚温度及び電気皮膚応答を測定するため)、及び内頚動脈(心肺機能を測定するため)などを有する。耳はまた、当該の環境上の呼吸可能な毒薬(environmental breathable toxicant)(揮発性有機化合物、汚染、など)、耳が経験している騒音公害、及び目に対するライティング状態に対する露出点に又は露出点の近くにある。さらに、外耳道がもともと音響エネルギーを送信するように設計されているため、耳は、心拍、呼吸数、及び口の動きなどの内部音をモニタするための良好な位置を提供する。
【0054】
無線、Bluetooth(登録商標)利用可能装置、及び/又は他のパーソナル通信用ヘッドセットは、本発明の幾つかの実施形態によれば、生理用及び/又は環境用センサを組み込むように構成されることができる。特定の実施例のように、Bluetooth(登録商標)形ヘッドセットは、一般に、社会的に広く受け入れられるようになってきた軽量で目立たない装置である。さらに、Bluetooth(登録商標)形ヘッドセットは、費用効率的で使い易く、かつユーザが歩いている時間の大部分の、携帯電話の呼出しを行っている又は待っている間に身に付けることが多い。本発明の実施形態に基づいて構成されたBluetooth(登録商標)形ヘッドセットは、パーソナル通信やマルチメディア用アプリケーションなどのユーザに健康管理モニタリングを超える機能を提供して、これにより、ユーザの基準追従を高めるため好都合である。Bluetooth(登録商標)形の又は他の種類のヘッドセットに組み込まれることができる代表的な生理用及び環境用センサは、加速度計、聴診センサ、圧力センサ、湿度センサ、色センサ、光量センサ、圧力センサなどを含むが、これらに限定されることはない。
【0055】
本発明の実施形態による、モノラル(単一イアバッド)及びステレオ(二重イアバッド)の、小型センサ及び他の電子部品を内蔵したヘッドセットは、装着可能な社会的に容認できる装置の中で、ほぼリアルタイムで個人の健康及び環境のモニタリングを実行するためのプラットフォームを提供する。個人の生理機能及び/又は環境を控えめにモニタする機能は、改良されたユーザコンプライアンスと組み合わされて、将来の計画された健康及び環境のエクスポージャー研究に著しく大きな影響を有するようになると期待される。このことは、環境的ストレスを個人のストレスレベルインジケータにリンクすることを求めている者にとって特に正しい。この安価な装置の大規模な商業的入手可能性により、費用効率が高い大規模な研究ができるようにされる。モニタしたデータとGPS経由のユーザ位置との組合せにより、大きな地理上の区域にわたる汚染の追跡を含む、継続的な地理的研究が可能にされる。提案されたプラットフォームの商業的なアプリケーションにより、個人主導の健康維持が促され、また適切なカロリー摂取量や運動を通してより健康なライフスタイルが推進される。
【0056】
その結果、本発明の幾つかの実施形態では、パーソナル通信用ヘッドセット装置に1つ以上の生理用及び/又は環境用センサを組み合わせる。別の実施形態では、生理用及び/又は環境用センサをヘッドセット装置の中に組み合わせている。
【0057】
耳の血管への光結合は、個人間で異なる。本願で使用されるように、「結合」という用語は、領域に入る励起光とその領域自身との間の相互作用すなわち通信のことを指す。例えば、光結合の1つの形態は、光ガイド式イアバッド内から発生した励起光と耳の血管との間の相互作用である。1つの実施形態では、この相互作用には耳領域に入る励起光及び耳内の血管からの散乱光が含まれ、この場合、散乱光の強度は血管内の血流量に比例する。光結合の別の形態は、イアバッド内の光エミッタが発生した励起光とイアバッドの光ガイド領域との間の相互作用とすることができる。このため、一体化された光ガイド機能を有するイアバッドは、光をイアバッドに沿った複数の領域及び/又は選択された領域に導くことができ、このイアバッドを装着した各個人が血管を通過する血流に関する光信号を発生することを保証することができる。ある人の特定の耳領域に対する光の光学的結合は、各人に対してフォトプレチスィモグラフィ信号を発生しない。このため、複数領域に対する結合光が、光ガイド式イアバッドを付けている各人の、少なくとも1つの血管が密な領域に入射することが確実にされる。耳の複数の領域を光に結合することは、イアバッド内の光源からの光を拡散することによって実現することができる。
【0058】
本発明の実施形態は、無線通信するヘッドセットに限定されない。本発明の幾つかの実施形態では、個人の生理及び/又は環境をモニタするように構成されたヘッドセットは、データを記憶及び/又は処理する装置に有線接続されることができる。幾つかの実施形態では、この情報は、ヘッドセット自身に記憶される。さらに、本発明の実施形態はイアバッドに限定されることはない。幾つかの実施形態では、光ガイド構造体は、指、手指、足指、肢、鼻又は耳たぶの周りなどの、身体の別の部分の周りに成形することができる。別の実施形態では、光ガイド構造体は、人体に付ける包帯などのパッチの中に一体化されることができる。
【0059】
図1を参照すると、本発明の幾つかの実施形態によるヘッドセット10が例示されている。この例示されたヘッドセット10は、ベース12、ヘッドセット筐体14、イアバッド筐体16、及びこのイアバッド筐体16を取り囲むカバー18を備えている。ベース12は、種々の電子部品を支持し及び/又はそれらに接続された主回路基板20を有している。例示された実施形態では、スピーカ22、光エミッタ24、光検出器26、及びサーモパイル28(後述される)が、主回路基板20に固着された第2の回路基板32上に実装されている。イアバッド筐体は、スピーカ22、光エミッタ24、光検出器26、及びサーモパイル28を囲んでいる。例示されたヘッドセット10のイアバッド筐体16内に配置されたイアバッド筐体16、カバー18、及び種々の電子部品(例えば、スピーカ22、光エミッタ24、光検出器26、サーモパイル28)は、一括して、イアバッド30と呼ばれることができる。ヘッドセット筐体14はベース12に固着されて、ベースに実装された種々の電子部品(例えば、主回路基板20及びそこに固着された部品など)を取り巻き、周囲の外乱(空気、湿度、微粒子、電磁干渉など)から保護するように構成される。
【0060】
各光検出器26は、フォトダイオード、光検出器、光トランジスタ、サイリスタ、固体ディバイス、光チップセットなどとすることができる。光エミッタ24は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、小型白熱電球、マイクロプラズマエミッタ、IR黒体ソース(IR blackbody source)などとすることができる。スピーカ22は、誘導性スピーカ(inductive speaker)、静電スピーカ、電磁スピーカなどの小型スピーカとすることができる。エレクトレット、MEMS、音響トランスジューサ(acoustic transducer)などの1つ以上のマイクロフォンをヘッドセット筐体又はイアバッド筐体の中に配置して、音声、生理的音響、及び/又は環境の音響を取り込むことができる。
【0061】
主回路基板20及び第2の回路基板32は、種々の生理用及び/又は環境用センサを含む1つ以上のセンサモジュール(図示せず)を支持することもできる。例えば、
図12A〜
図12Bに例示されているセンサモジュール70などのセンサモジュールは、回路基板20、32に取り付けることができる。回路基板20、32は、少なくとも1つの信号プロセッサ(図示せず)、遠隔装置と通信するための少なくとも1つの無線モジュール(図示せず)、及び/又は少なくとも1つメモリ記憶装置も備えることができる。代表的な無線モジュールは、無線チップ、アンテナ、又はRFIDタグを備えている。幾つかの実施形態では、無線モジュールは、Bluetooth(登録商標)又はZigBeeチップなどの短距離の無線チップ又はチップセットを備えることができる。これらの電子部品は、主回路基板20又は、主回路基板に取り付けられた第2の回路基板32などの別の回路基板上に配置されることができる。
【0062】
第2の回路基板32には、そこに取り付けられたサーモパイル28などの温度センサも含まれる。このサーモパイル28は、それぞれ、イアバッド筐体16及びカバー18内の音響開口部34a、34bを通して、ヘッドセット10を付けている被験者の耳内の鼓膜を指すように向けられる。この第2の回路基板32は、はんだ付け、コネクタ、配線、などを介して主回路基板20に電気的接続される。リチウムポリマー電池又は他の携帯用の電池などの電池36が主回路基板20に実装され、そしてUSB充電用ポート38を介して充電されることができる。
図1には示されていないが、耳フックをベース12又は筐体14に取り付けて、被験者が付けているイアバッド30やヘッドセット10を安定にさせて、イアバッド30が被験者の外耳道内の同じ位置に常に置かれるようにすることができる。
【0063】
例示された実施形態では、イアバッド筐体16がスピーカ22と音響伝達を行い、スピーカ22からの音が通過する開口部34aを有している。しかしながら、別の開口部も使用できる。カバー18も、スピーカ22からの音が通過できる少なくとも1つの開口部34bを有している。サーモパイル28が熱センサとして使用され、被験者の耳からの熱放射を音響開口部34a、34bを介して測定する。鼓膜に向けて位置合わせされた追加の又は別のセンサをサーモパイル28の位置に置いて、鼓膜領域からの音響的、機械的、化学的、又は核のエネルギーを感知することができる。例えば、光検出器をサーモパイル28と置き換えて、鼓膜からの光散乱を測定することができる。
【0064】
カバー18は、光ガイド領域と呼ばれる部分19内に光透過材料を含んでいる。この光ガイド領域19内の光透過材料は、光エミッタ24や検出器26と光伝達する。光ガイド領域19などの光透過材料は、光エミッタ24からの光を1つ以上の所定の位置で被験者の外耳道内に送り、そしてイアバッド30の外部の光を収集して、この収集された光を光検出器26に送るように構成される。このため、例示されたヘッドセット10のイアバッド30は、「光ガイド」式イアバッド30と呼ばれる。
【0065】
幾つかの実施形態では、光ガイド領域19内の光透過材料は、レンズ(例えば、
図6で例示されたレンズ18L)を備えることができる。このレンズ18Lは、光エミッタ24及び/又は光検出器26と光伝達する。例えば、レンズ18Lは光エミッタ24が放射した光を耳の1つ以上の部分に集束させる、及び/又は収集された光を光検出器26上に集束させるように構成される。レンズは、
図5〜
図6を参照して以下で説明される。
【0066】
幾つかの実施形態では、イアバッドカバー18は、透明な光ガイド層を組み込むことができる。この透明な光ガイド層では、空気がクラッド層として利用される。例えば、イアバッドカバー18が光学的に透明なシリコーン成形層を含み、クラッド層が空気になるようにイアバッド筐体16を取り除くことができる。幾つかの実施形態では、イアバッド筐体16が閉じられて、光ガイド領域19がカバー18の中に又は筐体16とカバー18との間に組み込まれる。
【0067】
図1に例示されたカバー18は、被験者の外耳道の中でイアバッド30の位置合わせを容易にするアライメント部材40(安定アームとも呼ばれる)を備えている。このアライメント部材40は、耳領域からの光学的な散乱光を安定して測定することを容易にする。このことは、PPG測定や鼓膜の温度測定にとって重要である。
【0068】
幾つかの実施形態では、光ガイドカバー18は、被験者の外耳道の中に挿入されるときに変形するシリコーンなどの、柔軟で弾力のある材料から形成される。しかしながら、本発明の実施形態によれば、種々の材料が、光ガイドカバー18に対して、また特別な使用法に対して要求されるイアバッドのタイプに基づく光ガイドとして機能するように利用されることができる。例えば、幾つかの実施形態では、光ガイドカバー18は、光ガイド式イアバッド30が実質的に剛体になるようにかなり剛性の高い材料から形成することができる。例えば、ランニングの間に使用する場合、イアバッドが耳の中に挿入されたときある程度変形するように、ランナーはイアバッドが堅いけれど柔軟性があることを望んでいる。そのような場合、光ガイド領域はシリコーン又は他の柔軟な材料とすることができ、また外側のクラッドは空気、ポリマー、プラスチック、又はシリコーンよりも屈折率が小さい柔軟な材料とすることができる。
【0069】
図2は、本発明の幾つかの実施形態による、2つの光ガイド式イアバッド130を使用するステレオ形ヘッドセット100を例示している。このヘッドセット100は、ステレオ形ヘッドセット100の幾つかの領域に配置された種々のセンサ素子132も有している。ステレオ形ヘッドセット100の利点は、耳領域を測定するセンサの総数が2倍になること、あるいはまた、各イアバッド内のセンサが半分になることである。ステレオ形ヘッドセットの別の利点は、日常活動の間にステレオ音楽を聴くことができることである。ステレオ形ヘッドセットの別の利点は、非対称の生理的相違を、ユーザの中でユーザの各側をリアルタイムで測定することによって検出できることである。例えば、ユーザの右側と左側との間の血流の差が検出されて、右/左の脳活動の変化、発作の発現、局部的な炎症などを示すことができる。
【0070】
本発明の種々の実施形態による光ガイド式イアバッドが、
図3、
図4A〜
図4D、
図5、
図6、
図7A〜
図7B、
図8A〜
図8D、
図9A〜
図9B、及び
図11A〜
図11Bを参照してここで説明される。最初に
図3〜
図4を参照すると、光ガイド式イアバッド30が、ベース50、被験者の耳Eの中に配置さるように構成されて、ベース50から外側に延びるイアバッド筐体16、及びイアバッド筐体16を取り囲むカバー18を備えている。このイアバッド筐体16はスピーカ22と音響伝達すると共に、スピーカ22からの音が通過できる少なくとも1つの開口34aを備えている。カバー18は、スピーカ22からの音が通過できる少なくとも1つの開口34bを備えると共に、光エミッタ24や光検出器26と光伝達する光透過材料を有している。
【0071】
カバー18は、例示されているように、その内面18bと外面18aとの上にクラッド材料21を有している。カバー外面18aの端部18fには、クラッド材料は付いていない。このため、カバー18は、光エミッタ24からの光を端部18fを通って1つ以上の所定の位置の被験者の外耳道Cに送り、またイアバッド筐体16の外部の光を収集して、この収集された光を光検出器26に送る光ガイドとして機能する。本願で説明される種々の実施形態では、光ガイド及びカバーという用語は、交換可能であると意図されている。しかしながら、別の実施形態では、イアバッド筐体16は、カバー18を必要とせずに光ガイドとして機能することもできることに注意されたい。
【0073】
光エミッタ24が検査光111発生し、そして光ガイド18の光ガイド領域19がこの検査光111を耳領域に向ける。この光は検査光と呼ばれる、その理由は、この光が耳の表面を検査し、耳の皮膚を貫通し、そして散乱光の応答110を発生するからである。この散乱光の応答110は、耳領域内の血管を効率的に検査する。光検出器26は耳領域からの散乱光110を検出し、また光ガイド18の光ガイド領域19は、例示されているように、光を光ガイド領域19を通して光検出器26に誘導する。
【0074】
図3の実施形態では、光ガイド式イアバッド30が、光ガイド(すなわち、カバー18)に平行に光結合するように構成されている。光検出器26及び光エミッタ24は、光ガイド18の光ガイド領域19にほぼ平行な光を検出及び発生するように構成される。例えば、光ガイド18は、軸方向A
1を画定する。光エミッタ24及び光検出器26は、それぞれの1次放射面及び検出面P
1、P
2が、それぞれ方向A
1にほぼ平行な方向A
3、A
2を向くように配置される。
【0075】
図3に例示された実施形態では、光ガイド18の光ガイド領域19は、光ガイド領域19の中に光を閉じ込める効果があるクラッド材料21によって画定される。このクラッド材料21は、幾つかの実施形態では、反射性材料にすることができる。別の実施形態では、このクラッド材料は、カバー18の光透過材料よりも屈折率が小さい、光学的に透明な又はほぼ透明な材料にすることができる。このクラッド21は、光ガイド18の内面及び/又は外面18a、18bの1つ以上の部分に加えられる材料の層とすることができる。幾つかの実施形態では、イアバッド筐体16の外面16aは、光ガイド領域19内に光を閉じ込めるクラッドとして機能することができる。幾つかの実施形態では、光ガイド18の光透過材料は、屈折率がクラッド材料21よりも高い材料から構成される。幾つかの実施形態では、空気がクラッド層として機能する。
【0076】
図4Aの実施形態では、光ガイド式イアバッド30が、光ガイド(すなわち、カバー18)にほぼ垂直に光結合するように構成されている。光検出器26及び光エミッタ24は、光ガイド18の光ガイド領域19にほぼ垂直な光を検出及び発生するように構成される。例えば、光ガイド18は、軸方向A
1を画定する。光エミッタ24及び光検出器26は、それぞれの1次放射面及び検出面P
1、P
2が、それぞれ方向A
1にほぼ垂直な方向A
3、A
2を向くように配置される。
図4Aの光エミッタ24及び光検出器26の配置は、製造するためには便利である、この場合、側面放射形LED及び側面検出形光検出器が、光111を発生し、光110を検出するために、光ガイド領域19に直接結合することができる。光ガイド領域19の大きさは光エミッタ24及び光検出器26とは無関係であるため、このことはイアバッド30に対する寸法の制約を緩和することができる。
【0077】
図4Bは、イアバッドカバー18及びクラッド材料21が、例えば、被験者の外耳道C内により深く、また鼓膜により近く達するように延長されて変更された、
図4Aの光ガイド式イアバッドを例示している。
図4Bの例示された実施形態では、筐体16又はカバー18の中に開口が存在しない。スピーカからの/マイクロフォンへの音響エネルギー44は、カバー18及び筐体16を通過する。例示された細長い構成は、光ガイド領域及び音波ガイド領域の両方として機能する。
【0078】
図4Cは、イアバッドカバー18及びクラッド材料21が、例えば、被験者の外耳道C内により深く、また鼓膜により近く達するように延長されて変更された、
図4Aの光ガイド式イアバッドを例示している。
図4Cの例示された実施形態では、筐体16又はカバー18の中に開口34a、34bが設けられている。このため、光ガイド領域19と音波ガイド領域54とは、互いに隔離されている。光ガイド領域19は、誘電体材料などの光透過材料とすることができ、音波ガイド領域54は光又は他の材料にすることができる。これらの領域の間の隔離は、クラッド材料21の少なくとも一部によって画定される。本発明の実施形態は、筐体16及びカバー18の中に複数の開口34a、34bを含むことができる。光ガイド領域19と音波ガイド領域54との間の隔離は、種々の可能な材料から成る他の構造体によって画定することができる。これらの材料の特定の実施例には、プラスチック成形品、金属、ポリマー構造体、複合構造体などが含まれる。
【0079】
図4Dは、イアバッドカバー18及びクラッド材料21が、例えば、被験者の外耳道C内に、より深く、また鼓膜に、より近く達するように延長されるような変更された
図4Aの光ガイド式イアバッド30を例示している。
図4Dの例示された実施形態では、筐体16内の領域は、空気、シリコーン、プラスチック、又は音を通過させることが可能な任意の材料とすることができる。このため、開口34bにおいて、光ガイド領域19の材料と筐体16内の材料との間に境界面が存在する。幾つかの実施形態では、光ガイド領域19及び筐体16内の領域は両方とも空気である。別の実施形態では、光ガイド領域19及び筐体16内の領域は、同じ又は異なる材料から形成される。幾つかの実施形態では、筐体16内の領域は、光ガイド領域19内の材料と同一の又は類似の光導波材料から形成される。
【0080】
図4B〜
図4Dの実施形態では、耳から入る光エネルギー110は、黒体放射により鼓膜から放射されるIR波長などの光波長を含んでいる。光検出器26がこの黒体放射を測定するように構成される場合、イアバッドはイアバッドの使用者の鼓膜温度、血液検体レベル、神経、電気活動、又は代謝活性を測定するために使用されることができる。
【0081】
図5を参照すると、光ガイド式イアバッド30が、
図3の実施形態のように、光ガイド(すなわち、カバー18)に平行に光結合するように構成される。しかしながら、
図5の実施形態は別個のイアバッド筐体を備えていない。その代わりに、光ガイド18がイアバッド筐体の機能を果たす。さらに、光ガイド18はカバーの外面18a上のクラッド材料21の中に形成された複数のウィンドウ18wを有しており、光エミッタ24によって放射された光111がこのウィンドウを通過し、また散乱光110が複数のウィンドウ18wを通過して光ガイド18に入り光検出器26に誘導される。これらの開口18wは、光ガイド18の周りに広がる又は光ガイド18の一部の周りに部分的に広がることができる。本発明の幾つかの実施形態では、イアバッド筐体及び光ガイド18は、他の図面に示されているように、分離することができる。
【0082】
さらに、
図5の例示された光ガイド18は、光透過材料の層29によって囲まれている。1つ以上のレンズ29Lがこの層29内に形成されて、光ガイド18内のそれぞれのウィンドウ18Wと光伝達する。例示された実施形態では、レンズ29Lは、放射された光111が通過するそれぞれのウィンドウ18w、また散乱光110が通過するそれぞれのウィンドウ18wと光伝達する。レンズ29Lは、検査光111を耳の特定の領域に集束するように構成される。レンズ29Lは、散乱光110を収集し、この散乱光110を光ガイド領域19に向けるのを支援するように構成される。幾つかの実施形態では、これらのレンズ29Lは、光ガイド18の成形部分とすることができる。
図5の中でレンズ29Lの例示された位置は限定するものではなく、レンズ29Lは、イアバッドと耳との間の光結合が望ましい場所ならどこでも配置されることができる。
図5では凸レンズの実施形態が示されているが、これは本発明の実施形態を限定することを意味するものではない。耳に対するイアバッドの望ましい光結合及び構成に基づいて、凸形、正及び負のメニスカス、平凸形、平凹形、両凸形、両凹形、集束形、発散形などの様々なタイプや形状のレンズを使用できる。
【0083】
ここで
図6を参照すると、本発明の幾つかの実施形態による光ガイド式イアバッド30は、ベース50と、このベース50から外側に延長するイアバッド筐体16と、及びイアバッド筐体16を取り囲む光透過材料のカバー18とを備えている。ここで、イアバッド筐体16は被験者の耳E内に配置されるように構成され、光透過材料は光ガイド領域19を形成する。イアバッド筐体16はスピーカ22と音響伝達し、またスピーカ22からの音が通過できる少なくとも1つの開口34aを備えている。このイアバッド筐体16は、例示されているように、スピーカ22、光エミッタ24及び光検出器26を取り囲んでいる。別の光検出器26がベース50上に配置されているが、イアバッド筐体16によって囲まれてはいない。
【0084】
このイアバッド筐体16は、クラッド材料から形成されている。クラッド材料は、幾つかの実施形態では、反射材料とすることができる。別の実施形態では、このクラッド材料は、カバー18の光透過材料よりも屈折率が低い、光学的に透明な又はほとんど透明な材料とすることができる。幾つかの実施形態では、クラッド領域が空気であるように、イアバッド筐体16を空気と置き換えることができる。空気の屈折率はカバー18のそれよりも小さいため、空気は光がカバー18に沿って伝達するのを支援する。別の実施形態では、クラッド領域がイアバッド筐体16と光ガイド領域19との間に存在する。別の実施形態では、レンズ領域18Lを取り囲む領域を除いて、光ガイド領域19の外側をカバーするクラッド領域が存在する。
【0085】
複数のウィンドウ16wがイアバッド筐体16内の選択された位置に形成されて、光エミッタ24が放射した光が通過できるようにする。幾つかの実施形態では、イアバッド筐体16は、1つ以上のウィンドウ16wの機能を果たす半透明又は透明な材料を有している。カバー18は、イアバッド筐体16内のそれぞれのウィンドウ16wと光伝達する複数のレンズ18Lを備えている。これらのレンズ18Lは、それぞれのウィンドウ16wを通過する光111を集束して被験者の耳の特定の領域に向かうように、また散乱光110を収集してイアバッド筐体16内の散乱光110を光検出器26に向けるように構成される。
【0086】
図6のイアバッド30は、ウィンドウ16wの位置を介して、光エミッタ24が生成した光がイアバッド筐体16に対して全ての方向にほぼ等しくなるような、等方性光結合を発生する。光エミッタ24が発生した検査光111は、ウィンドウ16wを通って光ガイド領域19内に等方的に送られる。
【0087】
図6の光ガイド式イアバッド30の利点は、製造する場合、光ガイド領域19の光エミッタ24及び検出器26に対する位置合わせが必要ないことである。この理由は、1つには、光エミッタが発生した/光検出器が検出した光エネルギー密度が、光ガイド18のイアバッド筐体16に対する位置合わせに関係なく、又は光エミッタ/光検出器とイアバッド筐体16との間の位置合わせに関わらず、イアバッド筐体16内では同じであるか又は比較的均一であるためである。この効果は、光源のルーメン出力を定量化するために一般的に使用される「積分球」の中で見られるのと同様である。すなわち、光エミッタ24からの光がほぼ等方性でかつ集束されないため、イアバッド筐体及びイアバッドカバーの光エミッタ24又は光検出器26に対する位置合わせに制約が少ない。
【0088】
ここで
図7A〜
図7Bを参照すると、本発明の幾つかの実施形態による光ガイド式イアバッド30は、ベース50と、このベース50から外側に延びるイアバッド筐体16とを備えており、このイアバッド筐体16は被験者の耳Eの中に配置されるように構成されている。イアバッド筐体16は、光が通過して光ガイド領域19を形成できるように、半透明の材料から形成される。イアバッド筐体16はスピーカ22と音響伝達を行い、またスピーカ22からの音が通過できる少なくとも1つの開口34aを備えている。一対の光検出器26がベース50に固定されているが、例示されているように、イアバッド筐体16で取り囲まれていない。
【0089】
このイアバッド筐体16は、例示されているように、筐体16の中に一体的に形成された可撓性の光エミッタ24を備えている。この光エミッタ24は、イアバッドのフォームファクタの中でイアバッドの周りに配置されることができるように柔軟性に富んでいる。この可撓性光エミッタ24は、イアバッドの形状と構成とに一致するように構成される。この可撓性光エミッタ24は、イアバッド筐体16、クラッド材料21、又は筐体16の中、近く又はその一部に存在できる。幾つかの実施形態では、可撓性光エミッタ24は、イアバッド30に挿入された柔軟な光回路の一部分とすることができる。
【0090】
図7A〜
図7Bのイアバッド30のイアバッド筐体16の外側に配置された光検出器26は、可撓性光エミッタ24が発生した検査光111に由来する、耳から入る散乱光を収集する。この可撓性光エミッタ24は、1つ以上の電気コネクタ24aを介して、ベース50に取り付けられる。幾つかの実施形態では、これらははんだ付け、配線、着脱可能なコネクタとすることができる。幾つかの実施形態では、可撓性光エミッタ24は、柔軟な光検出器を備えることができる。幾つかの実施形態では、可撓性光エミッタ24は、
図7A〜
図7Bに示された24のフォームファクタを有する柔軟な光回路の一部とすることができる。この場合、柔軟な光回路は、増幅器、マイクロプロセッサ、無線回路、及び信号処理用電子回路に加えて、1つ以上の光エミッタ及び光検出器を備えることができる。幾つかの実施形態では、柔軟な光回路は、生理的な及び環境上の検出のため、及び、離れた位置へデータを無線/有線で転送するために、完全なチップセットを含むことができる。例えば、これらの柔軟な装置は、有機LED(OLED)及び有機光検出器回路を含む。この実施形態は、耳領域に向かって散乱光ビームを発生するため、及び耳領域からの拡散光散乱応答(diffuse optical scatter response)を検出するために有用である。幾つかの実施形態では、可撓性光エミッタ24上のエミッタ及び検出器は、可撓性のプリント基板上に一体化された従来の発光ダイオード(LED)及び光検出器(PD)とすることができる。別の実施形態では、透明な固体光エミッタ、検出器、又はスイッチを使用できる。例えば、電気的に制御された液晶マトリックスがイアバッドの中に組み込まれて、可撓性光エミッタ24をカバーする。これにより、イアバッドから耳に向かう、また耳から離れてイアバッドに向かうライトフローの選択された領域に対する局部的な制御が可能にされる。さらに、これにより、選択された領域に対する光波長の局部的な制御が可能にされる。
【0091】
ここで
図8A〜
図8Bを参照すると、本発明の幾つかの実施形態による光ガイド式イアバッド30は、ベース50と、被験者の耳内に配置されるように構成され、ベース50から外側に延長するイアバッド筐体16と、またこのイアバッド筐体16を取り囲むカバー18とを備えている。イアバッド筐体16はスピーカ22と音響伝達を行い、またスピーカ22からの音が通過できる少なくとも1つの開口34aを備えている。カバー18は、スピーカ22からの音が通過できる少なくとも1つの開口34bを備えている。このカバー18は、例示されているように、端部18fを除いて、その外面18a上にクラッド材料21を有している。例示された実施形態では、カバーの内面18b上にはクラッド材料は存在しない。筐体16がカバーの内面18bと接触し、クラッド層としての機能を果たして、光ガイド領域19を画定する。例示されたクラッド材料18cを有するカバー18は光ガイドとしての役割を演じて、光エミッタ24からの光を、カバーの端部18fを通って被験者の外耳道に送る。このカバー18はまた、端部18fからの光を収集して、この収集された光を光検出器26に送る。光エミッタ及び光検出器の種々の構成及び配置が、本発明の実施形態に基づいて使用されることができる。
【0092】
図8A〜
図8Bに例示された実施形態では、検査光111が光検出器26に入射して飽和させる危険を減らすために、イアバッド筐体16の底部16aは、通過する光を阻止する光ブロック領域を備えている。この光ブロック領域16aは、黒塗装領域、光学的不透明領域、又は光の透過を阻止する材料又は構造体とすることができる。イアバッド筐体16や底部16aの例示された構成は、光ガイド層(すなわち、19)の中で光エミッタ24が発生した検査光111を制限し、この光をイアバッド30の端部18fを通って耳領域に誘導することができる。
【0093】
幾つかの実施形態では、
図8Cに例示されているように、イアバッド筐体16は、イアバッド筐体16によって画定されたキャビティ内で光を散乱させるために、少なくとも部分的に反射性である。そのような場合、光エネルギー111は、筐体16及びカバー18の開口34a、34bを通ってイアバッド30から出て行く。この構成の利点は、特定の生理的活動が行われる耳の特定の領域に、光111を集束できることである。また、この構成は、所定の生理的活動に関連してない領域からの不要な光信号を減らすことができる。
図8Cは鼓膜に向けて配置された開口34a、34bを示しているが、開口34a、34bは、イアバッド30の周りの1つ以上の他の位置に配置されることができる。例えば、筐体16及びカバー18の中の、イアバッド30が耳の対珠に接触して光エネルギー111が耳の対珠領域に入射できるようにする位置に、開口を形成することができる。
【0094】
幾つかの実施形態では、
図8Dに例示されているように、イアバッド筐体16は、1つ以上の光の波長を反射しかつ1つ以上の光の波長を透過する材料を含むことができる。例えば、イアバッド筐体16は、ポリマー、プラスチック、ガラス、複合材料、又は可視波長を反射しかつIR波長を透過する樹脂から構成されることができる。代表的な材料は、写真フィルムの中で見出される有機色素などの色吸収材料を含んでいる。別の方法では、イアバッド筐体16は、筐体領域の1つ以上の側部に付着形成されるブラッグフィルタ又は他の光フィルタ層などの光フィルタ領域を含むことができる。光検出器26’が可視波長のみを測定するように構成される場合、この光検出器26’によって検出された光エネルギーは、主にイアバッド筐体16から散乱された光エネルギーから成り、また光検出器26によって検出された光エネルギーは、耳領域から散乱された光エネルギーから構成されることができる。光検出器26’からの信号が、光検出器26から生じた信号から除くことができる運動ノイズを表すので、この構成は有用である。光検出器26から生じた信号は、生理的情報と運動ノイズを含んでいる。
【0095】
ここで
図9A〜
図9Bを参照すると、本発明の幾つかの実施形態による光ガイド式イアバッド30は、ベース50と、被験者の耳内に配置されるように構成され、ベース50から外側に延長するイアバッド筐体16と、またこのイアバッド筐体16を取り囲むカバー18とを備えている。イアバッド筐体16はスピーカ22と音響伝達を行い、またスピーカ22からの音が通過できる少なくとも1つの開口34aを備えている。カバー18は、スピーカ22からの音が通過できる少なくとも1つの開口34bを備えている。一対の光エミッタ24がベース50に固着され、例示されているように、イアバッド筐体16によって囲まれている。光検出器26がベース50に固着され、例示されているように、イアバッド筐体16によって囲まれていない。カバー18がライトガイドとして機能して、光エミッタ24からの光を被験者の外耳道内に送る。
【0096】
カバー18の光ガイド領域19は、光を拡散する及び/又はルミネセンス発光を発生するように構成される。この実施形態では、光ガイド領域19は少なくとも1つの光散乱領域又はルミネセンス領域を備えている。この光散乱領域又はルミネセンス領域は、イアバッドの中の光エミッタ24の光学経路内のどこにでも配置され得るが、クラッド層自身の中又はその近くであることが好ましい。光エミッタ24によって発生された検査光111が光散乱領域によって散乱される場合、この光はより拡散された光ビーム111aを形成する。この光ビーム111aは、光エミッタ24によって発生された検査光111よりも、イアバッド30の全体にわたってより均一である。この拡散ビームは、耳の動きに対して感度が低い強度分布を有しており、耳から入射する散乱光内のモーションアーチファクトを軽減するのに有効であるため、光検出器26によって測定された、耳から来る散乱光が血管内の血流の変化をより良く示すように、また口の動きや身体の運動をあまり示さないようにする。光ガイド領域19内の光散乱領域は、少なくとも部分的に、光ガイド領域内に不純物すなわち形態的相違物を含んでいる。そのような不純物の例には、点欠陥、体積欠陥(volume defect)、天然欠陥(native defect)、金属、ポリマー、ミクロスフェア(microsphere)、蛍光体、発光粒子(luminescent particle)、空洞部分、粒子、粒子状物質などが含まれる。形態的相違物の例には、密度変形物(density variation)、雑な部分、空洞部分、化学両論的変形物などが含まれる。具体的な実施例として、光ガイド領域19は、ガラス、ポリマー、又はシリコーンなどの透明な材料を含み、また蛍光体又はルミネセンスポリマー又は分子などのルミネセンス不純物は、光ガイド領域の中に一体形成することができる。この構成は、光エミッタ24からの光励起に応答して、光ガイド領域19の中に発光を生成することができる。別の実施形態では、ナノスケールの変動体(nanoscale fluctuation)又は不純物が、イアバッドを通過する光を拡散する又は操作するために使用される。ナノスケールの変動体又は不純物の実施例には、量子点(quantum dot)、ロッド、ワイヤー、ドーナッツなどが含まれる。
【0097】
図9Cは、本発明の幾つかの実施形態による、イアバッドカバー18の中に組み込まれた蛍光体などのルミネセンス粒子44の具体例としての均一な分布を例示している。
図9D〜
図9Eは、本発明の幾つかの実施形態に基づいて、粒子がイアバッドカバー18の1つ以上の表面近くに分布した蛍光体などのルミネセンス粒子44の具体例としての分布を例示している。
【0098】
別の実施形態では、光散乱領域又はルミネセンス領域は、光ガイド領域19と物理的に接触できる、コーティングなどの光ガイド領域19から離れた領域内に、少なくとも部分的に配置されることができる。
【0099】
別の実施形態では、光散乱領域又はルミネセンス領域は、異なる屈折率、透過率。反射率などの少なくとも1つの異なる光学特性を有する複数の光ガイド材料の層を含むことができる。別の実施形態では、光散乱領域は、少なくとも1つの異なる光学特性を有する少なくとも1つのパターン化領域を含むことができる。
【0100】
別の実施形態では、光散乱領域又はルミネセンス領域は、イアバッドの全体にわたって選択された位置に割り当てられる。
【0101】
図10は、人の耳Eの解剖学的構造を例示している。血管は耳の全体にわたって存在するが、フォトプレチィスモグラフィ(PPG)信号は、対珠、耳珠、小葉、音響道(acoustic meatus)の部分、及び外耳道の近くが最も強いことが発見されている。対珠はフォトプレチィスモグラフィにとって特に魅力的な位置である、その理由は、強いPPG信号がランニングや口の動きに関連したモーションアーチファクトが最小の状態で得られるからである。
【0102】
ここで
図11A〜
図11Bを参照すると、本発明の幾つかの実施形態による光ガイド式イアバッド30は、ベース50と、被験者の耳内に配置されるように構成され、ベース50から外側に延長するイアバッド筐体16と、またこのイアバッド筐体16を取り囲むカバー18とを備えている。イアバッド筐体16はスピーカ22と音響伝達を行い、またスピーカ22からの音が通過できる少なくとも1つの開口34aを備えている。カバー18は、スピーカ22からの音が通過できる少なくとも1つの開口34bを備えている。このカバー18は、光を被験者の耳の中に向ける光ガイドとして機能すると共に光ガイド領域19を画定する。例示されたイアバッド30は、光を人の耳の対珠に向けて集束するように構成される。例示された実施形態では、カバー18の外面18a又は内面18b上にはクラッド材料が存在しない。空気が外面18aにおいてクラッド層として機能し、筐体16が内面18bにおいてクラッド層としての機能を果たす。空気は、空気と光ガイド層との間の屈折率の差によりクラッド層として十分に機能する。すなわち、光ガイド層19の屈折率は、空気のそれよりも大きい。
【0103】
センサモジュール70が、例示されているように、イアバッド外周の近くに配置されている。このセンサモジュール70は、
図12A〜
図12Bにより詳細に示され、また以下で説明される。センサモジュール70を光ガイド式イアバッド30の外周近くに配置することに関して、3つの利点がある、すなわち、1)対珠近くのPPG信号は、耳の血管が密な他の領域におけるPPG信号よりもモーションアーチファクトによって損なわれる程度が少ないこと、2)センサモジュール70をイアバッド30からある程度独立して設計することができるため、イアバッドの快適性を最大にすることがPPG信号を最大にすることから解放されること、3)設計の制約から解放されるため、センサを音響空洞(すなわち、イアバッド筐体16の中)に配置する必要はなく、干渉が最小の状態で、音が音響開口部34a、34bを通過できること、である。この実施形態では、
図6のレンズ18Lと同様に、レンズをカバー18の中に組み込むことが有益である。カバー18の光ガイド領域19を、イアバッド30が対珠の近くに来るような位置の近くまで延長することが有益である。この光ガイド延長部19aは別の光結合領域として機能し、かつ光ガイド領域19から対珠及び音響道の部分を含む耳領域への光結合を向上させ、及び/又は耳領域から光ガイド領域19への光結合を向上させる。この理由は、この延長した光ガイド領域19aが、光ガイド層19と皮膚との間で皮膚接触が行われて、より優れた光機械式の安定性と光結合が提供されるためである。この実施形態では、光は光エミッタ24から延長された光ガイド領域19aに、また耳領域に結合する。同様に、光は耳領域から延長された光ガイド領域19aに、また光検出器26に結合する。この延長された光ガイド領域19aは、イアバッドカバー18の底部近くでバルブ又はレンズのように見える。
【0104】
図12A〜
図12Bは、例えば、
図11A〜
図11Bに例示されているように、本発明の幾つかの実施形態に基づいて、イアバッド30の周辺近くに配置されたセンサモジュール70のそれぞれ反対側を例示している。センサモジュール70は、種々のエネルギー形態を電気信号に変換し、その信号をディジタル化することができる多数の電子部品を有している。例えば、このセンサモジュール70は、発光ダイオード、光センサ、加速度計、容量センサ、慣性センサ、機械式センサ、電磁センサ、熱センサ、放射線センサ、生物学的センサなどを含むことができる。幾つかの実施形態では、本発明の光エミッタは、側面エミッタ、エッジエミッタ、又は面エミッタの発光ダイオード(LED)又はレーザダイオード(LD)の組合せとすることができる。
【0105】
図12A〜
図12Bに例示された実施形態では、センサモジュール70は、2組の光エミッタ24a、24bを備えている。第1の組の光エミッタ4aは側面エミッタ(又は端面エミッタ)であり、モジュール70の頂部に配置されて、光をイアバッド先端部(例えば、カバー端部18f、
図8A)に、及び、音響道及び/又は耳の外耳道に向ける。第2の組の光エミッタ24bは、モジュール70の中央近くに配置され、光を側面発光エミッタ24aのそれとほぼ垂直な方向に向ける。この特定の実施形態では、回路基板70c上に搭載された単一の光エミッタ24bが示されて、この光エミッタ24bが、音響道にほぼ垂直に配置された対珠に光を向ける。
【0106】
これらの光エミッタ24a、24bが発生した光エネルギーは、耳内の血管によって散乱される。この散乱光は、少なくとも部分的に光検出器26によって取り込まれる。この光は光検出器26自身によって、又はセンサモジュールの回路基板70cを用いてディジタル化される。前述された光ガイド式イアバッド30の光ガイド設計は、光をこれらの検出器26のそれぞれに向ける。例えば、これは光ガイド式イアバッド30を介して実現される。この場合、レンズ(例えば、18L、
図6)が、光エミッタ24から耳領域への検査光の結合を容易にし、また耳領域から光検出器26への散乱光結合を容易にする。別のセンサ構成部品27a、27bが、直交エネルギー成分を測定し、センサの分析を円滑にして、これにより、生理的評価を行うのを支援するために使用される。例えば、センサ構成部品27a、27bは、内耳(耳領域を向いている熱センサ27aを用いて)及び外耳(耳領域から離れた方向を向いている熱センサ27bを用いて)の温度を測定するための熱センサとすることができる。これら2つのセンサ27a、27bからの2つの測定されディジタル化された温度を引き算することによって、耳からの熱の流れの表示を生成することができる。この温度差は、代謝速度に数学的に関連付けられる。例えば、この温度差は、代謝速度に正比例する。これらの温度センサには、サーミスタ、サーモパイル、熱電対、固体センサなどが含まれる。それらは、熱伝導、対流、放射、又はそれらの温度成分の組合せを測定するように設計されている。
【0107】
センサモジュール70のイアバッド配向側(
図12B)には、センサモジュールの対珠配向側に配置される必要がないセンサが含まれている。例えば、1つ以上の慣性センサ27cが、センサモジュール70のイアバッド配向側(
図12B)に配置されている。特定の実施形態では、慣性センサ27cは3軸加速度計とすることができ、またこのセンサは耳領域と光結合する必要がないため、センサの場所のより良い使用法は、センサモジュール70のイアバッド配向側にこのセンサを配置することであろう。別の光エミッタ24a、24bは、光ノイズを容易に参照するために、イアバッド配向側に置かれる。すなわち、イアバッドモジュール30を付けている人があちこち移動するとき、光エミッタ24a、24bが発生した入射光はイアバッドから散乱されて光検出器27dによって検出される。身体の動きによるこの散乱光の光度、位相及び/又は周波数は、耳領域からの散乱光の光度の運動関連成分に比例する。この運動関連成分は、耳の物理的な動きによる成分であり、血流に関連した成分ではない。このため、検出器27dが収集した光散乱信号は、適応フィルタに対して適切なノイズ基準を提供して、耳領域の散乱光からモーションアーチファクトを取り除いて、主に血流に関連した出力信号を生成することができる(これは望ましい信号である)。同様に、光検出器27dに到達した散乱光は、活動の程度を生成するために使用されることができる。この散乱光の強度、位相及び周波数は、身体活動に関連している。心拍波形の波頂及び頂点を識別及び計数することによって、心拍波形の正弦波状の変動をディジタルで計数して、有効なステップカウントを生成することができる。しかしながら、本発明の実施形態は、センサモジュール70内の例示された部品の配置に限定されることはない。部品の様々なタイプや配向は、限定されることなく利用されうる。
【0108】
図19は、
図12A〜
図12Bのセンサモジュール70と被験者の皮膚との間の光学的相互作用を例示している。反射パルス酸素測定装置80の中に、センサモジュール70が示されている。この酸素測定装置80は、透過波長を測定するのではなく、反射波長110を測定する。パルス酸素測定装置及びフォトプレチスィモグラフィグラフィに対する光エミッタ及び光検出器の波長には、紫外、可視、及び赤外の波長が含まれる。例示された実施形態では、光源−検出器構体71がセンサモジュール70の中に組み込まれて、光波長111を発生すると共に、結果として生じた散乱光エネルギー110をモニタする。この光源−検出器構体71は、1つ以上の光波長を放射する1つ以上の光源と、1つ以上の光波長を検出する1つ以上の光検出器とを備えている。
【0109】
参考のために、皮膚組織の表皮90、真皮91、及び皮下92の層が、
図19に示されている。散乱光エネルギー110は、血管内の血流の変化によって、また身体の物理的な運動、呼吸、心拍、及び他の生物学的変化によって、強度が変調される。幾つかの事例では、この散乱光エネルギーは、皮膚、血液、血液分析物(blood analyte)、薬物、又は他の身体の物質から来るルミネセンス発光エネルギーである。
【0110】
前述されたように、検出器27dが収集した光散乱信号は、適応フィルタに対して適切なノイズ基準を提供して、耳領域の散乱光からモーションアーチファクトを取り除いて、主に血流に関連した出力信号を発生することができる(これは望ましい信号である)。この理由は、これらの検出器によって検出された光は、生理的領域によって散乱されていない光ではなく、むしろ耳と一緒に移動する関連したイヤピースの領域から散乱された光から来るためである。従って、光検出器27dに到来する散乱光は、活動の程度を生成するために使用される。
【0111】
図13は、ノイズから生理的信号を抽出するための適応ノイズキャンセル機構200の基本構成を例示している。2種類のセンサ入力部が、「チャネルA」及び「チャネルB」という用語で表されている。チャネルAは、生理的情報に加えてノイズ情報を収集するセンサからの入力部を指し、チャネルBは、主に(又は実質的に)ノイズ情報を収集するセンサからの入力部を指す。チャネルB情報は、特性が適用的かつ動的に更新される電子フィルタ203を通過する。フィルタ203の特性は、チャネルAと後処理されたチャネルB(B
∧と表される)との間の差を最小にするために更新される。この方法では、ノイズがチャネルAから取り除かれて、チャネルCには主に生理的情報が含まれる。この生理的情報から、血流、心拍、血液分析レベル、呼吸数又は量、血液酸素レベルなどのパラメータを計算することができる。チャネルA情報は、例えノイズが残っていても依然として有用であり、ノイズ情報は関連するパラメータを計算するためになおも使用されることができる。例えば、チャネルA内の残留ノイズ情報は、パラメータ推定器201によって取り出されることができ、チャネルDの出力は1つ以上の活動評価値などとすることができる。同様に、未加工ノイズのチャネルであるチャネルBは、パラメータ推定器205によって後処理されて、チャネルE用の活動評価値を取り出す。活動評価値には、努力、活動レベル、移動距離、速度、ステップ計数値、歩幅、手足の運動、身のこなし、活動能力、咀嚼速度、運動強度、又は量などが含まれる。このノイズキャンセル機構200は、マイクロプロセッサのファームウェアに一体化されることができる。
【0112】
運動ノイズをキャンセルするための
図13の実施形態は、イアバッド構成で表されているが、これは本発明をイアバッドに限定するものではない。光学ノイズ源を用いて運動ノイズをキャンセルするための適応ノイズキャンセル機構200の要素は、光検出器(27dなどの)が生理的領域からの散乱光を受け取らないが、一方でこの検出器は生理的領域と同期して移動する領域からの散乱光を同時に受け取るように構成されることである。チャネルBの光学ノイズ基準の中に存在する最も僅かな生理的信号でさえ、生理的信号がフィルタ203によって間違って完全に取り除かれるように、適応フィルタが適切に動作するのを妨げる可能性がある。さらに、ノイズ源用チャネルBは光学ノイズ源として説明されるが、他のエネルギー形態も本発明の中で使用することができる。すなわち、任意の慣性センサ入力は、チャネルBの入力になることができる。さらに具体的に言うと、耳に関連したイアバッドに沿ったキャパシタンスの変化を測定するセンサは、生理的情報を測定しなくても、慣性ノイズ基準を提供することができる。同様に、加速度計も、生理的情報を測定することなく、慣性ノイズ基準を提供することができる。誘導性センサも、生理的情報を測定せずに、慣性ノイズ基準を提供することができる。各ノイズ源に対して、定義をする要素は、ノイズ源が生理的情報(血流、血中酸素、血圧など)ではなく、身体的運動のみ(又は、主に身体的運動)を測定するように構成されることである。光学ノイズ源の有用性は、光信号のチャネルA及び光学ノイズのチャネルBが同じ線形性応答を有しているため、適応フィルタ機構200が、信号及びノイズチャネルが感知エネルギーの異なる形態を介して動作する場合よりも一層効果的なことである。例えば、慣性の変化に応じた加速度計センサの応答の線形性特性は、光センサの応答の線形性特性と同じではない。
【0113】
光源(具体的には赤外線LED)を用いて運動ノイズをキャンセルするための適応ノイズキャンセル機構200が、光ガイド式イアバッドを付けた人と共に、実験室で実演されている。トレッドミル上で休む、ジョギングする、及びランニングするときの種々のデータの一覧300a〜300dが、
図14A〜
図14Dに示されている。データは、イアバッド30内に組み込まれ、イアバッド30内のセンサモジュール70と電気的接続されているチップ及びメモリカードによって記録された。小さい動きの未加工信号300a及び大きい動きの未加工信号300cは、
図13のチャネルAの信号と同等と見なされる。同様に、小さい動きの「閉鎖チャネル」300b及び大きい動きの「閉鎖チャネル」300dは、
図13のチャネルBの信号と同等と見なされる。この実施形態では、「閉鎖チャネル」は光学ノイズ源から構成し、この光学ノイズ源は、
図12A〜
図12Bの70などの光エミッタ−光検出器モジュールを備えていた。しかしながら、光エミッタ−光検出器モジュールは、耳に対して露出される代わりに、透明なシリコーンの層でカバーされ、この層は次に、黒テープでカバーされて、エミッタ(24a及び24b)からの光が耳に到達しないようにされた。このように、黒テープからの散乱はシリコーンを通ってエミッタ−検出器モジュールに黒で散乱され、運動ノイズとして検出器(26及び27dなど)によって感知された。ある意味では、人の耳への光チャネルは「閉鎖」されるため、この構成に対して「閉鎖チャネル」という用語が使用される。黒テープの下に透明なシリコーンを配置した狙いは、1)IR光に対して遮られない透明な光散乱通路を提供すること、2)シリコーンが人の皮膚のそれと同様の振動応答を有しているので、人の皮膚のそれと同様の運動感度を提供すること、であった。
【0114】
図14A〜
図14Dは、小さい動きの未加工信号300aが、心拍数に変換されうる血流パルスを示すことを示している。その理由は、各血流パルスは1つの心拍を表すからである。しかしながら、大きい動きの未加工信号300cは、主に測定された身体活動を示す。このことは、大きい動きの信号300cが対応する閉鎖チャネル信号300dに適合し、また大きい動きの閉鎖チャネル300dが、ランナーの測定されたステップ/秒とほぼ同一のビートプロフィール(beat profile)を有することが判明された、という事実から明らかである。
【0115】
図15は、本発明の幾つかの実施形態による1つ以上の光ガイド式イアバッド30を有するヘッドセットからの、処理された生理的信号データのグラフである。具体的に言うと、
図15は、2つのデータ処理手順の後の、血流(y軸)対時間(x軸)の
図14A〜
図14Dに示されたデータ一覧300a〜300dの分析結果400を示している。1つのシーケンスは、
図13の適応フィルタリング処理200及びビートファインダ処理ステップを組み込んだ。第2のシーケンスは、
図13の適応フィルタリング処理200のない、ビートファインダ処理ステップを組み込んだ。このビートファインダ処理は、
図14Aのグラフ300aに示された頂点と谷のような、各パルスの頂点と谷とをモニタすることによって、各心拍を計数する。
図15に示されているように、ビートファインダは、休止及びジョギングの間に心拍を測定する上で効果的であった。しかしながら、ビートファインダ単独では、ランニングの間の心拍をモニタするには十分ではなかった。その理由は、大きい動きでは、フットステップに関連した信号300d(
図14D)は、心拍に関連したより小さい信号を圧倒するほど十分強く、このため、運動関連の信号は全体的な信号300dを凌いだ。このため、ビートファインダは、フットステップから心拍を区別できない。ビートファインダ処理の前に適応フィルタリング処理200(
図13)を使用することによって、ランニングの間のフットステップのモーションアーチファクトが、センサ信号(
図13のチャネルA)から効果的に除かれ、これにより、出力信号(
図13のチャネルC)はモーションアーチファクトを最小にして血流情報を含むことができた。従って、この出力信号は血流パルス信号を含み、この信号は次に、ビートファインダによって「計数」されて、正確な心拍数評価値を発生することができた。
【0116】
図15の具体的な分析結果400では、心拍数を計数するために、
図13の適応フィルタ処理200に続いて、ビートファインダが使用された。ノイズに囲まれたセンサ信号から生理的情報を取り出すためのより一般的な方法500が、
図16に例示されている。第1のブロック(ブロック510)は、事前適応信号調整段階を示している。この工程は、対象の範囲外の周波数帯域を除くために、フィルタの組合せを使用する。例えば、バンドパス、ローパス、及び/又はハイパスフィルタ(ディジタルフィルタなど)の組合せを使用できる。第2のブロック(ブロック520)は、
図13で説明された処理200などの適応フィルタリング処理を示している。この工程は、ブロック510からの前もって処理された信号を、運動又は環境アーチファクト及び主データチャンク内のノイズを低減する適応フィルタへの入力として使用できる。第3のブロック(ブロック530)は、パラメータ抽出段階を示す。この処理は、当該の特性(例えば、心拍、血流、心拍数の変動性、呼吸数、血液ガス/検体レベルなど)を計算するために、ピーク発見(ビート発見など)アルゴリズムに加えて信号状態調整フィルタの組合せを使用できる。
図16の方法500は、マイクロプロセッサ(又は同様の電子機器)のファームウェアの中にコード化されて、生理的情報のリアルタイム処理を容易にすることができる。
【0117】
図17は、本発明の幾つかの実施形態に基づいて、
図16の方法を用いて、活動データ及び生理的データを含むディジタルデータストリングに処理されたセンサ信号を例示するブロック図である。光検出器26及び光エミッタ24がディジタル回路を有して、ディジタルバス600に直列に接続される。検出器26からのデータはプロセッサ/マルチプレクサ602によって処理されて、複数の出力データ604がプロセッサ602の出力部606において、シリアル形式で発生される。幾つかの実施形態では、この処理方法は、
図13、
図14A〜
図14D、
図15、及び
図16で説明された1つ以上の方法を含むことができる。複数の出力データ604は、プロセッサ/マルチプレクサ602の時分割多重方式などによって発生される。プロセッサ602は、1つ以上のシリアル処理方式を実行できる。ここで、複数の処理ステップの出力は、多重化データ出力604に送られる情報を提供する。
【0118】
多重化データ出力604は、特定用途向けインターフェース(API)が特定の用途に対して要求されたデータを利用できるように、特に構文解析された活動及び生理的情報700(
図18)のシリアルデータストリングとすることができる。アプリケーションはこのデータを使用して、体全体の健康状態などの高レベルの評価を行うことができる。さらに、データストリングの個々のデータ要素は、データストリングの他の個々のデータ要素に対してより優れた評価を容易に行うために使用できる。特別な実施例として、血流のデータストリングは、各血液パルスの第1及び第2のは生物上に情報を含むことができる。この情報は、傾斜検出アルゴリズム(微分回路など)を通して適応フィルタ処理された心拍信号を走らせることによって、PPG信号から取り出すことができる。別の実施例では、フィルタ処理されたPPG信号を集積回路を通して走らせて、各血液パルスに対する血液容量を推定することができる。次に、この情報は、血圧及び血中酸素濃度を評価するために使用される。この情報は、血圧及び血中酸素濃度を直接測定したものよりも正確である。
【0119】
本発明の幾つかの実施形態では、生理的評価アルゴリズムを発生する新しい方法が使用可能にされる。これらの新しい方法は、データ出力ストリング604の各データ出力をリアルタイムで測定することによって達成されうる。このとき、イアバッドのユーザは、1つ以上のベンチマークセンサを身に付けている。主要な成因分析、複数の直線回帰、又は他の統計上の機械学習技術は、データ出力604とベンチマークセンサによって同時に測定された高レベルの評価値との間に統計上の関係が生じるように使用される。これらのベンチマークセンサは、エアロビクスフィットネスレベル、VO
2最大値、血圧、血液検体レベルなどを測定できる。イアバッドセンサとベンチマークセンサの読みとの間の関係は、イアバッド内に組み込まれたアルゴリズムにより解釈される。この場合、各アルゴリズムはイアバッドのユーザに対して少なくとも1つの評価を作る。幾つかの実例では、イアバッド由来の評価値対ベンチマーク値のブランド−オルトマン(Bland-Altman)プロットは、アルゴリズムの有効性を判断するために使用され、またこの情報は次に、前記イアバッド由来の評価アルゴリズムを改良するためにフィードバックされる。これらの評価の実施例には、エアロビクスフィットネスレベル、VO
2最大値、血圧、血液検体レベル(血糖、酸素、一酸化炭素など)などが含まれる。
【0120】
幾つかの実例では、光ガイド式イアバッド30の生理的信号から周囲の光学ノイズの影響を除くことが重要である。そのような場合、1つ以上の光検出器26が外部又は周囲の照明を測定するように構成され、この情報はプロセッサ602(
図17)にフィードバックされて、外部の光学ノイズが生理的信号から取り除かれる。例えば、幾つかの光検出器は耳からの光を測定するように構成され、一方他の検出器は、太陽光、室内光、ヘッドライトなどの周囲環境からの光を測定するように構成される。これは光検出器をそれぞれ耳に向ける、また耳から離れる方向に向けることによって実現される。特別な実施例では、光検出器26に到来する周囲光は、耳からの光を測定するように構成された光検出器上で、望ましくない正弦波応答を発生することがある。この望ましくない正弦波ノイズ応答は、イアバッドのユーザがランニングする間に頭を左右に動かすことによって発生する。このため、適応フィルタ200のチャネルA(
図13)は、生理的情報に加えて望ましくない周囲光学ノイズ情報を有する。このノイズを最終出力チャネルCから除くために、周囲の光学ノイズを測定するように構成された光検出器の出力は、適応フィルタ200への入力(
図13のチャネルB)とすることができる。この方法では、チャネルAからの周囲ノイズは除かれて、チャネルCでは大部分は生理的信号を発生する。
【0121】
光検出器26及び光エミッタ24は複数の波長を有し、各波長に対して特化された生理的情報を与えることを目標にしている。例えば、
図19を参照すると、紫又はUV光が、耳の運動関連の面を測定するために使用される、その理由は、紫及びUV光が耳の皮膚に大きく侵入しないからである。緑、赤、及びIRの波長はより深く侵入して、血管や血液検体レベルに関する情報を提供することができる。青の波長は、血管の寸法の変化を測定するために特に有用である。
【0122】
本発明の実施形態は、非光学的な構成又は光学的に混同した構成に、より一般的に適用されることができる。例えば、1つ以上の検出器26及びエミッタ24は、機械的、音響学的、電気的、重量測定用、又は原子力用の検出器及びエミッタとすることができ、それらの全てがプロセッサ602(
図17)に生理的情報を提供できる。例えば、加速度計又はコンデンサは、プロセッサ602上でリアルタイムに動作する適応フィルタのノイズ基準(チャネルB)入力用の検出器26として使用されることができる。
【0123】
図20を参照すると、本発明の幾つかの実施形態に基づいて、光ガイド式イアバッド30に使用するためのチップセット800は、光エミッタ、光検出器、機械的、音響学的、電気的、重量測定用、又は原子力用の検出器、別のセンサ、信号処理、電源レギュレーション、ディジタル制御、及び入力/出力ラインを備えている。このチップセット800は、信号を取り出すための、またセンサ及びノイズ源から得られた情報に基づいて生理的評価を行うためのファームウェアを備えている。チップセット構成の1つの利点は、チップセット800が完全に又は部分的に集積化され、このため小型であり製品の広範囲にわたって拡張可能なことである。光ガイド式イアバッド30と一緒に集積化されるために、チップセット800は、センサ領域が被験者の耳に対して露出したウィンドウを有するように整列される。例えば、チップセット800はイアバッドベース50又はイアバッドセンサモジュール70に装着されて、イアバッドの音響開口部を通る及び/又はイアバッド30の透明な端部を通る(例えば、
図8A〜
図8Bのイアバッド30の端部18f又は
図4及び
図5の18wを通る)視線に整列される。
【0124】
本発明の幾つかの実施形態によるステレオ形ヘッドセット用チップセット800の特定の実施形態が、
図21に例示されている。このステレオ形チップセット800は、プリント基板に装着されことができる電子モジュールに集積化されている。別の構成では、このステレオ形チップセット800は、3つのモジュールに集積化され、この場合、左右のイアバッドセンサは、それぞれ左右のイアバッドに組み込まれた2個の別個のモジュールに含まれ、また残りの回路部品は主モジュールに含まれる。
【0125】
本発明の別の実施形態によれば、光ガイド領域が付いたモニタ装置は、耳たぶ、手指、足指、他の指に取り付けるように構成される。例えば、
図22A〜
図22Bは、本発明の幾つかの実施形態に基づいて、例えば指輪として、指Fにはまるように構成されたモニタ装置70を例示している。この例示されたモニタ装置70は、被験者の指Fを取り囲むことができる全体的に円形のバンドを備えている。このバンドは、共に同軸の関係で固定された円筒形の外部ボディ部分72及び全体的に円筒形の内部ボディ部分74を含んでいる。この外部ボディ部分は、実質的に任意の種類の材料から形成されうる、また装飾的な形状であっても良い。幾つかの実施形態では、外部ボディ部分72は、マイクロプロセッサ、D/A変換器、電源、電源レギュレータなどの種々の電子部品を含むフレックス回路を備えることができる。しかしながら、幾つかの実施形態では、この外部ボディ部分72は必要とされず、モニタ装置70の円形バンドは、ベース50(後述される)に固着された内部ボディ部分74のみを備える。
【0126】
ベース50は、例示された実施形態の内部及び外部のボディ部分74、72に固着され、
図3、
図4A〜
図4D、
図5、
図6、
図7A〜
図7B、
図8A〜
図8D、
図9A〜
図9B、及び
図11A〜
図11Bに関連して上述されたベース50に類似している。このベース50は、1つ以上のセンサを支持する。例示された実施形態では、ベース50は光エミッタ24、光検出器26、及び光学ノイズ検出器26’を支持している。
【0127】
内部ボディ部分74は、
図3、
図4A〜
図4D、
図5、
図6、
図7A〜
図7B、
図8A〜
図8D、
図9A〜
図9B、及び
図11A〜
図11Bに関連して上述されたカバー18のそれに類似した光透過材料を含む。幾つかの実施形態では、この内部ボディ部分74は、シリコーンなどの柔軟で弾力のある材料から形成される。この材料は、被験者の指が挿入されると変形する。しかしながら、様々な種類の光透過材料を、限定されることなく使用することができる。
【0128】
例示されているように、クラッド材料21の層が、内部ボディ部分74の外面74aに(又はその近くに)適用され、またクラッド材料21の層が、内部ボディ部分74の内面74bに(又はその近くに)適用されて、光ガイド領域19が画定される。このため、内部ボディ部分74は、光エミッタ24からの光を1つ以上の所定の位置の被験者の指Fに送り、そしてこの指Fからの光を収集して、この収集された光を光検出器26,26’に送る光ガイドとして機能する。幾つかの実施形態では、クラッド材料21は、外面74aと内面74bとに隣接した内部ボディ部分74の中に埋め込むことができる。幾つかの実施形態では、外部ボディ部分72は、内部ボディ部分の外面74aに隣接したクラッド層としての機能を果たすことができる。
【0129】
例示された実施形態では、ウィンドウ74wがクラッド材料21内に形成されて、指Fに対する光ガイドインターフェースとして機能する。十分な光結合を行うために要求された任意の数のウィンドウが存在する。ウィンドウ74wは上述されたようなレンズ(例えば、
図6に例示されたレンズ18L)を備えて、光エミッタ24が放射した光を指Fの1つ以上の部分に集束させ、及び/又は収集された光を光検出器26、26’上に集束させる。同様に、ウィンドウ74wは、1つ以上の光波長を選択的に通過させ、他の光波長を反射及び/又は吸収する光フィルタを備えることができる。
【0130】
例示された実施形態では、光ガイド領域19は、光エミッタ24と光検出器26とを互いに分離する光ブロック部材80を備えている。幾つかの実施形態では、光ブロック部材80は1つしか使用されない。例えば、1つの光ブロック部材80が、光エミッタ24と光検出器26との間に配置されている。例示されているように、別のブロック部材80を加えることによって、指の少なくとも1つの部分を通過する光だけが 光検出器26に到達するようになる。
【0131】
幾つかの実施形態では、複数の光エミッタ24が使用される。例えば、波長の異なる光エミッタが使用される。幾つかの実施形態では、異なる波長の光を測定するように構成された複数の光検出器が使用される(例えば、光検出器26及び26’は、異なる波長の光を測定するように構成される)。この方法では、どちらかの光検出器が主に動き(指の動きなど)による光を測定するように、又は主に生理的プロセスと動きとによる光を測定するように構成される。例えば、ウィンドウ74wがIR通過フィルタを内蔵する場合、可視光はこのウィンドウ74wを通過しない、また光は光検出器26及び26’に対して散乱される。又は、2つの例示されたブロック領域80が配置されて、光検出器26’が可視光のみを検出するように構成され、光検出器26がIR光のみを測定するように構成される場合、光検出器26’のみが散乱された可視光を検出する。この可視の散乱光は指に届くことができないため、光検出器26’によって測定される散乱強度は、生理的活動ではなく動きを示す。
【0132】
図23を参照すると、本発明の幾つかの実施形態によるモニタ装置70’が、包帯又は「バンドエイド」として被験者の身体に取り付けるように構成されている。この例示されたモニタ装置70’は、例示されているように一緒に固着された外層又はボディ部分72と内層又はボディ部分74とを備えている。この外部ボディ部分は、実質的に任意の種類の材料から形成されうる、また装飾的な形状であっても良い。幾つかの実施形態では、外部ボディ部分72は、マイクロプロセッサ、D/A変換器、電源、電源レギュレータなどの種々の電子部品を含むフレックス回路を備えることができる。しかしながら、幾つかの実施形態では、この外部ボディ部分72は必要とされず、モニタ装置70’は、ベース50(後述される)に固着された内部ボディ部分74のみを備える。
【0134】
内部ボディ部分74は、
図3、
図4A〜
図4D、
図5、
図6、
図7A〜
図7B、
図8A〜
図8D、
図9A〜
図9B、及び
図11A〜
図11Bに関連して上述されたカバー18のそれに類似した光透過材料を含む。幾つかの実施形態では、この内部ボディ部分74は、シリコーンなどの柔軟で弾力のある材料から形成される。この材料は、被験者の身体に装着されると変形する。しかしながら、様々な種類の光透過材料を、限定されることなく使用することができる。
【0135】
例示されているように、クラッド材料21の層が、内部ボディ部分74の外面74aに(又はその近くに)適用され、またクラッド材料21の層が、内部ボディ部分74の内面74bに(又はその近くに)適用されて、光ガイド領域19が画定される。このため、内部ボディ部分74は、光エミッタ24からの光を1つ以上の所定の位置の被験者の身体に送り、そしてこの身体からの光を収集して、この収集された光を光検出器26,26’に送る光ガイドとして機能する。幾つかの実施形態では、クラッド材料21は、外面74aと内面74bとに隣接した内部ボディ部分74の中に埋め込まれる。幾つかの実施形態では、外部ボディ部分72は、内部ボディ部分の外面74aに隣接したクラッド層としての機能を果たす。
【0136】
例示された実施形態では、ウィンドウ74wがクラッド材料21内に形成されて、被験者の身体に対する光ガイドインターフェースとして機能する。十分な光結合を行うために要求された任意の数のウィンドウが存在する。ウィンドウ74wは上述されたようなレンズ(例えば、
図6に例示されたレンズ18L)を備えて、光エミッタ24が放射した光を被験者の身体の1つ以上の部分に集束させ、及び/又は収集された光を光検出器26、26’上に集束させる。同様に、ウィンドウ74wは、1つ以上の光波長を選択的に通過させ、他の光波長を反射及び/又は吸収する光フィルタを備えることができる。
【0137】
例示された実施形態では、光ガイド領域19は、光エミッタ24と光検出器26とを互いに分離する光ブロック部材80を備えている。幾つかの実施形態では、複数の光エミッタ24が使用される。例えば、波長の異なる光エミッタが使用される。幾つかの実施形態では、異なる波長の光を測定するように構成された複数の光検出器が使用される(例えば、光検出器26及び26’は、異なる波長の光を測定するように構成される)。
【0138】
この例示されたモニタ装置70’は、装置70’の1つ以上の位置に接着剤を用いて、被験者の身体に着脱自在に取り付ることができる。幾つかの実施形態では、接着剤は内部ボディ部分74上に付ける。外部ボディ部分が用いられる実施形態では、接着剤は外部ボディ部分74上に付けることができる。幾つかの実施形態では、例示された装置70’は、テープ又は他の周知の素子を用いて、被験者の身体に着脱自在に取り付けることができる。
【0139】
前記の内容は本発明の例証であり、それを限定するものと解釈してはならない。本発明のいくつかの例示的な実施形態を説明してきたが、本発明の教示及び利点から著しく離れることなく、多くの変更が例証的な実施形態の中で可能であることは、当業者は容易に理解されよう。従って、そのような全ての変更は、特許請求の範囲の中で定義されるように、本発明の範囲内に含まれるものとする。本発明は以下の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲と等価なものはその中に含まれる。
[実施形態例]
[実施形態1]
スピーカと、光エミッタと、光検出器とを備えたベースと、
前記ベースから外側に延長し、被験者の耳の中に配置されるように構成されたイアバッド筐体であって、前記イアバッド筐体が前記スピーカと音響伝達し、かつ前記スピーカからの音が通過できる少なくとも1つの開口を備える、イアバッド筐体と、
前記イアバッド筐体を取り囲むカバーであって、前記カバーが前記スピーカからの音が通過できる少なくとも1つの開口を備え、かつ前記カバーが前記光エミッタ及び検出器と光伝達する光透過材料を含み、前記光透過材料が前記光エミッタからの光を1つ以上の所定の位置で被験者の耳領域に送り、前記イアバッド筐体の外部の光を収集して、収集された光を前記光検出器に送るように構成される、カバーと
を具備するヘッドセット。
[実施形態2]
前記スピーカと、光エミッタと、光検出器とを取り囲みかつ保護するように構成され、前記ベースに固着されまた、前記ベースの上に重なる筐体をさらに備える、実施形態1に記載のヘッドセット。
[実施形態3]
前記カバーが、外耳道内に挿入されると変形する柔軟な材料から構成される、実施形態1に記載のヘッドセット。
[実施形態4]
前記カバーがシリコーンを備える、実施形態1に記載のヘッドセット。
[実施形態5]
前記カバーが、被験者の外耳道内で前記イアバッド筐体の位置合わせを容易にするアライメント部材を備える、実施形態1に記載のヘッドセット。
[実施形態6]
前記カバーが前記光エミッタと光伝達するレンズ領域を含み、前記レンズ領域が前記光エミッタが放射した光を集束し、及び/又は耳領域から反射された光を収集する、実施形態1に記載のヘッドセット。
[実施形態7]
前記カバーが、前記光検出器によって放射された光を拡散する前記光透過材料と光伝達する光拡散領域を含む、実施形態1に記載のヘッドセット。
[実施形態8]
前記カバーが前記光透過材料と光伝達する少なくとも1つのルミネセンス領域を含み、前記ルミネセンス領域が前記光エミッタが放射した光を受け取り、そして前記受け取った光の少なくとも一部を前記受け取った光とは波長が異なる光に変換する、実施形態1に記載のヘッドセット。
[実施形態9]
前記カバーが外面と内面とを有し、かつ前記光透過材料と光伝達する前記内面及び外面の一方又は両方の少なくとも一部の上にルミネセンス材料をさらに含み、前記ルミネセンス材料が前記光エミッタが放射した光を受け取り、そして受け取った光の少なくとも一部を少なくとも1つの前記受け取った光とは波長が異なる光に変換する、実施形態1に記載のヘッドセット。
[実施形態10]
前記ルミネセンス材料が蛍光体を含む、実施形態9に記載のヘッドセット。
[実施形態11]
前記ルミネセンス材料がポリマー材料を含む、実施形態9に記載のヘッドセット。
[実施形態12]
前記カバーが内部に形成された1つ以上の溝を備え、前記各溝が外部光を前記光検出器に向ける、実施形態1に記載のヘッドセット。
[実施形態13]
前記光透過材料が前記光エミッタからの光を、被験者の外耳道に送るために、前記カバーの外面の複数の位置に向ける、実施形態1に記載のヘッドセット。
[実施形態14]
前記光透過材料が半透明材料を含む、実施形態1に記載のヘッドセット。
[実施形態15]
前記カバーが外面と内面とを有し、かつ前記内面及び外面の一方又は両方の少なくとも一部に光反射材料をさらに含む、実施形態1に記載のヘッドセット。
[実施形態16]
前記ベースが、前記ヘッドセット近辺の環境状態を検出及び/又は測定するように構成された少なくとも1つの環境センサを備える、実施形態1に記載のヘッドセット。
[実施形態17]
前記ベースが、前記光検出器が生成した信号を受け取りかつ処理するように構成された信号プロセッサを備える、実施形態1に記載のヘッドセット。
[実施形態18]
前記ベースが、前記環境センサが生成した信号を受け取りかつ処理するように構成された信号プロセッサを備える、実施形態16に記載のヘッドセット。
[実施形態19]
前記ベースが、前記信号プロセッサが生成した信号を遠隔装置に転送するように構成された送信機を備える、実施形態17に記載のヘッドセット。
[実施形態20]
ヘッドセット用のイアバッドであって、前記ヘッドセットに関連した光エミッタ及び光検出器と光伝達する光透過材料とを備え、前記光透過材料が、前記光エミッタからの光を1つ以上の所定の位置で被験者の耳領域に送り、かつイアバッド筐体の外部の光を収集して、前記収集された光を前記光検出器に送るように構成される、イアバッド。
[実施形態21]
前記光透過材料と光伝達する少なくとも1つのレンズ領域をさらに備え、前記レンズ領域が送られた光及び収集された光を集束するように構成される、ことを特徴とする実施形態20に記載のイアバッド。
[実施形態22]
前記光透過材料と光伝達する可撓性回路をさらに備える、実施形態20に記載のイアバッド。
[実施形態23]
前記光透過材料と光伝達する可撓性光エミッタをさらに備える、実施形態20に記載のイアバッド。
[実施形態24]
少なくとも1つのノイズ源をさらに有し、前記少なくとも1つのノイズ源が少なくとも1つの光センサ、慣性センサ、導電性センサ、容量性センサ及び/又は誘導性センサを含む、実施形態20に記載のイアバッド。
[実施形態25]
少なくとも1つの光エミッタ及び少なくとも1つの光検出器をさらに備える、実施形態20に記載のイアバッド。
[実施形態26]
生理的情報及びノイズ情報を感知する少なくとも1つのセンサ含む少なくとも1つのセンサモジュールをさらに備える、実施形態20に記載のイアバッド。
[実施形態27]
マイクロプロセッサをさらに有し、前記センサモジュールが前記マイクロプロセッサと電気通信する、実施形態26に記載のイアバッド。
[実施形態28]
前記プロセッサが、前記センサモジュールが生成した少なくとも1つの信号からノイズを除去する適応フィルタアルゴリズムを実行するように構成される、実施形態27に記載のイアバッド。
[実施形態29]
前記マイクロプロセッサが、ディジタル出力ストリングを生成するために1つ以上のセンサからの情報を処理するように構成され、前記ディジタル出力ストリングが複数の生理的情報及び動きに関連した情報を含む、実施形態27に記載のイアバッド。
[実施形態30]
前記光ガイドが光散乱領域を備え、前記光散乱領域が光ガイドの材料の中に不純物及び/又は形態的相違物を備える、実施形態20に記載のイアバッド。
[実施形態31]
少なくとも1つのスピーカをさらに備える、実施形態20に記載のイアバッド。
[実施形態32]
ヘッドセット用イアバッドが、少なくとも1つのセンサ要素と、ノイズ源要素と、信号プロセッサと、入力/出力ラインと、ディジタル制御部と、及び電源レギュレータとを有するチップセットを備える、イアバッド。
[実施形態33]
モニタ装置であって、
被験者の指を取り囲むことができる円形バンドと、
前記円形バンドに装着された光エミッタ及び光検出器とを有するベースと、
を具備し、
前記円形バンドが前記光エミッタ及び光検出器と光伝達する光透過材料を備え、前記光透過材料が前記光エミッタからの光を被験者の指の1つ以上の部分に送り、前記被験者の指の1つ以上の部分からの光を収集し、そして前記収集された光を前記光検出器に送るように構成される、
装置。
[実施形態34]
前記円形バンドが、第1及び第2の集中的なボディ部分を有する、実施形態33に記載の装置。
[実施形態35]
前記円形バンドが前記光エミッタと光伝達するレンズ領域を含み、前記レンズ領域が、前記光エミッタが放射した光を集束し、及び/又は指から反射された光を収集する、実施形態33に記載の装置。
[実施形態36]
前記円形バンドが、前記光透過材料と光伝達する燐光体含有領域を備え、前記燐光体含有領域が、前記光エミッタが放射した光を受け取り、かつ前記受け取った光の少なくとも一部を前記受け取った光とは波長が異なる光に変換する、実施形態33に記載の装置。
[実施形態37]
前記円形バンドが外面及び内面を有し、かつ前記外面及び内面の一方又は両方の少なくとも一部に光反射材料をさらに備える、実施形態33に記載の装置。
[実施形態38]
前記ベースが、前記光検出器が発生した信号を受け取りかつ処理するように構成された信号プロセッサを備える、実施形態33に記載の装置。
[実施形態39]
前記ベースが、前記信号プロセッサが処理した信号を遠隔装置に送信するように構成された送信機を備える、実施形態33に記載の装置。
[実施形態40]
被験者の身体に装着されるように構成されたモニタ装置であって、
光エミッタと光検出器とを備えるベースと、
前記ベースに取り付けられた光透過材料であって、前記光透過材料が光エミッタ及び光検出器と光伝達し、かつ前記光エミッタからの光を被験者の身体の1つ以上の部分に送り、前記被験者の身体の1つ以上の部分からの光を収集し、そして前記収集された光を前記光検出器に送り、かつ前記モニタ装置の少なくとも1部分が1つ以上の位置に接着剤を備え、前記接着剤が前記装置を被験者の身体に固着するように構成される、光透過材料と
を具備する装置。
[実施形態41]
前記ベース及び前記光透過材料に取り付けられた、外部ボディ部分をさらに備え、前記外部ボディ部分が1つ以上の位置に前記装置を被験者の身体に固着するように設定された接着剤を備える、実施形態40に記載の装置。
[実施形態42]
前記光透過材料が前記光エミッタと光伝達するレンズ領域を備え、前記レンズ領域が、前記光エミッタが放射した光を集束し、及び/又は指から反射された光を収集する、実施形態40に記載の装置。
[実施形態43]
前記光透過材料が燐光体含有領域を備え、前記燐光体含有領域が、前記光エミッタが放射した光を受け取り、かつ前記受け取った光の少なくとも一部を少なくとも1つの前記受け取った光とは波長が異なる光に変換する、実施形態40に記載の装置。
[実施形態44]
前記光透過材料が外面及び内面を有し、かつ前記内面及び外面の一方又は両方の少なくとも一部に光反射材料をさらに備える、実施形態40に記載の装置。
[実施形態45]
前記ベースが、前記光検出器が発生した信号を受け取りかつ処理するように構成された信号プロセッサを備える、実施形態40に記載の装置。
[実施形態46]
前記ベースが、前記信号プロセッサが処理した信号を遠隔装置に送信するように構成された送信機を備える、実施形態40に記載の装置。