(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した第1,第2の取付方法では、車両用照明装置をハウジングの外面に取り付けた場合、車両用照明装置に電源を供給するためのワイヤーハーネスなどをハウジング内に配索する必要があった。このため、ドアミラーユニットを分解しなければならず、車両用照明装置の取付作業が煩雑であり、製造コストの増大を招くという問題があった。
【0007】
また、上述した第1の取付方法では、光源を覆ったカバーをハウジングの外面に単に取り付けているのみであるため、カバーがハウジングの外面から突出してしまう。このため、第1の取付方法では、ドアミラーユニットの表面における凹凸感や突出感などの違和感をユーザーに与えてしまい、ドアミラーユニットの外観性が悪化するという問題があった。
【0008】
一方で、上述した第2の取付方法では、第1の取付方法にように光源が装着されたカバーをハウジングの外面に単に取り付ける場合と比較して、ユーザーに違和感を与えにくくできるものの、ハウジングの外面にカバー取付用開口を形成する必要があった。このため、第2の取付方法では、ハウジングにカバー取付用開口を形成する作業が繁雑であり、製造コストの増大をさらに招いてしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、ドアミラーユニットの外観性を悪化させることなく、取付作業の簡素化を実現して製造コストを低減できる車両用照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、ドアミラーユニット(ドアミラーユニット110)が設けられた車両(車両100)に取り付けられ、光源(第1光源11A,12Aや第2光源13A)からの光を前記車両の外部へ照射可能な車両用照明装置(車両用照明装置1)であって、前記光源を収容する収容部(収容室30)を有し、前記光源からの光を拡散するカバー部材(カバー部材20)を備えており、前記カバー部材は、前記収容部に前記光源を収容した状態で、前記車両と前記ドアミラーユニットとの間に取り付けられること要旨とする。
【0011】
かかる特徴によれば、カバー部材は、収容部に光源を収容した状態で、車両とドアミラーユニットとの間に取り付けられる。つまり、カバー部材は、車両とドアミラーユニットとの間から光源からの光を拡散することができる。これにより、上述した従来の第1,第2の取付方法のように、車両用照明装置に電源を供給するためのワイヤーハーネスなどをハウジング内に配索する必要がなくなり、ドアミラーユニットを分解しなくて済む。このため、車両用照明装置の取付作業の簡素化を実現して、作業時間の短縮や部品点数の削減などにも寄与し、製造コストを低減できる。
【0012】
特に、上述した従来の第2の取付方法のように、ハウジングの外面にカバー取付用開口を形成する必要がなくなるため、車両用照明装置の取付作業の簡素化をより確実に実現できる。
【0013】
加えて、カバー部材は、車両とドアミラーユニットとの間から光源からの光を拡散する。つまり、車両用照明装置をハウジングの外面に取り付けることなく、車両用照明装置が光源から照射される光を照射できる。これにより、上述した従来の第1取付方法のように、車両用照明装置がハウジングの外面から突出してしまうことを防止でき、ユーザーに凹凸感や突出感などの違和感を与えることなく、ドアミラーユニットの外観性の悪化を抑制できる。
【0014】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係る車両用照明装置であって、前記光源は、前記車両の方向指示スイッチとともに光を照射する第1光源(第1光源11A,12A)と、前記第1光源と異なる光を照射する第2光源(第2光源13A)とを備え、前記カバー部材は、前記第1光源からの光を前記車両の前方に向けて照射する前方照射部(前方照射縁部51)と、前記第1光源からの光を前記車両の後方に向けて照射する後方照射部(後方照射縁部52)と、前記第2光源からの光を前記車両の下方に向けて照射する下方照射部(下方照射縁部53)とを備えることを要旨とする。
【0015】
かかる特徴によれば、カバー部材は、前方照射部と、後方照射部と、下方照射部とを備える。これにより、第1光源によって車両の方向指示スイッチとともに光を照射できるとともに、第2光源によって第1光源と異なる光(例えば、ドア下照射光)を照射することができ、車両用照明装置の自由度が増大する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の特徴によれば、ドアミラーユニットの外観性を悪化させることなく、取付作業の簡素化を実現して製造コストを低減できる車両用照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る車両用照明装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0019】
(車両用照明装置の構成)
まず、本実施形態に係る車両用照明装置1の構成について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る車両100の一部を示す斜視図(車外からの斜視図)である。
図2は、本実施形態に係る車両の一部を示す分解斜視図(車外からの斜視図)である。
図3は、本実施形態に係る車両の一部を分解斜視図(車室からの斜視図)である。
図4は、本実施形態に係る車両用照明装置1を示す分解斜視図である。
図5は、本実施形態に係る車両用照明装置1を示す断面図(
図4のA−A又はB−B断面図)である。なお、本実施形態に係る車両用照明装置1は、方向指示スイッチに接続されて点滅する補助方向指示器であるものとする。
【0020】
図1〜
図3に示すように、車両用照明装置1は、後述する光源部材10(
図4及び
図5参照)からの光を車両100の外部へ照射するものであり、車両100のサイドドア近傍に設けられるドアミラーユニット110と、車両100のドアパネル120との間に取り付けられる。
【0021】
ここで、ドアミラーユニット110は、ドアパネル120の側方へ張り出す取付ベース111と、取付ベース111に回動可能に取り付けられて開口部(不図示)を有するハウジング112と、ハウジング112の開口部に取り付けられるミラー(不図示)とによって大略構成されている。取付ベース111は、ドアパネル120に取り付けられる座面111Aと、座面から張り出したシャフト111Bとによって構成されている。座面111Aには、平面視三角状の取付部111Cが設けられている。取付部111Cには、ボルトBが取り付けられており、ハウジング112内の各種機器に接続されるワイヤーハーネスWが挿通するハーネス挿通孔111Dが形成されている。
【0022】
ドアパネル120には、
図3に示すように、取付部111Cの形状(周縁)と相似した形状(平面視三角状)をなしており、車両用照明装置1を介して取付部111Cが固定される固定部121が設けられている。固定部121には、取付部111Cに取り付けられたボルトBが挿通するボルト挿通孔121Aと、ワイヤーハーネスWが挿通するハーネス挿通孔121Bとが形成されている。
【0023】
このようなドアミラーユニット110とドアパネル120との間には、上述したように車両用照明装置1が設けられている。具体的には、
図4及び
図5に示すように、車両用照明装置1は、光源部材10と、光源部材10を収容して光源部材10(後述する第1光源11A,12A)からの光を拡散するカバー部材20とを備えている。
【0024】
光源部材10は、車両100の前方側に設けられる前方光源部11と、車両100の後方側に設けられる後方光源部12とを備えている。前方光源部11及び後方光源部12は、それぞれ板状の基板によって形成されている。この前方光源部11及び後方光源部12には、車両100の方向指示スイッチ(不図示)に接続されてこの方向指示スイッチとともに光を照射する第1光源11A,12Aが複数取り付けられている。このような各前方光源部11及び後方光源部12には、電源を供給するためのワイヤーハーネスWが接続される。
【0025】
カバー部材20は、第1光源11A,12Aからの光を透過する透過性の樹脂板によって形成されている。カバー部材20は、ドアミラーユニット110における取付ベース111の座面111Aの形状(周縁)と相似した形状(平面視三角状)をなしている。カバー部材20は、ドアミラーユニット110の取付ベース111(座面111A)とドアパネル120との間に取り付けられる(
図1〜
図3参照)。
【0026】
カバー部材20の略中央には、座面111Aの取付部111C(
図3参照)が挿入される貫通開口21が形成されており、この貫通開口21の周囲には、ドアミラーユニット110をドアパネル120に固定するためのボルトB(
図3参照)が挿通される複数のボルト孔22が形成されている。
【0027】
また、カバー部材20は、光源部材10を収容する収容室30(収容部)と、収容室30の開口を覆う蓋体40と、第1光源11A,12Aからの光を拡散する拡散縁部50とを有している。
【0028】
収容室30は、前方光源部11を収容する前方収容室31と、後方光源部12を収容する後方収容室32とを備えている。前方収容室31及び後方収容室32には、貫通開口21から延びて各ワイヤーハーネスWが通過するワイヤ通過溝31A,32Aが連通されている。
【0029】
蓋体40は、カバー部材20と同様の材料、すなわち、透過性の樹脂板によって形成されている。この蓋体40は、前方光源部11に取り付けられる前方蓋体41と、後方光源部12に取り付けられる後方蓋体42とを備えている。前方蓋体41及び後方蓋体42は、
図5に示すように、前方収容室31及び後方収容室32の各周縁に対して接着材ATによって取り付けられる。なお、前方蓋体41及び後方蓋体42は、必ずしも接着剤ATにより取り付けられる必要はなく、係止機構などによって取り付けられるものであってもよい。また、前方蓋体41及び後方蓋体42の周囲には、防水性を向上させるためのシール材が設けられていてもよい。
【0030】
拡散縁部50は、車両用照明装置1の取付状態(
図1参照)において、車両100のドアパネル120とドアミラーユニット110の取付ベース111(座面111A)との間から第1光源11A,12Aからの光を拡散する。拡散縁部50は、第1光源11Aからの光を車両100の前方に向けて照射する前方照射縁部51と、第1光源12Aからの光を車両100の後方に向けて照射する後方照射縁部52とを備えている。
【0031】
(車両用照明装置の取付方法)
次に、車両100に上述した車両用照明装置1を取り付ける方法について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
まず、
図4に示すように、カバー部材20の収容室30に光源部材10を挿入して蓋体40を取り付け、
図2や
図3に示すような車両用照明装置1を組み立てる。
【0033】
そして、
図2及び
図3に示すように、ドアミラーユニット110の取付ベース111(座面111A)とドアパネル120との間に、組み立てられた車両用照明装置1を配置し、その後、ドアミラーユニット110をドアパネル120にボルトB及びナットNによって固定する。従って、ドアミラーユニット110を分解することなく、車両100に車両用照明装置1を取り付けることができる。
【0034】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態では、カバー部材20は、収容室30に光源部材10を収容した状態で、車両100とドアミラーユニット110との間(すなわち、ドアミラーユニット110とドアパネル120との間)に取り付けられる。つまり、カバー部材20は、車両100とドアミラーユニット110との間から光源部材10からの光を拡散することができる。これにより、上述した従来の第1,第2の取付方法のように、車両用照明装置1に電源を供給するためのワイヤーハーネスなどをハウジング112内に配索する必要がなくなり、ドアミラーユニット110を分解しなくて済む。このため、車両用照明装置1の取付作業の簡素化を実現でき、作業時間の短縮や部品点数の削減などにも寄与し、製造コストを低減できる。
【0035】
特に、上述した従来の第2の取付方法のようにハウジング112の外面にカバー取付用開口を形成する必要がなくなるため、車両用照明装置1の取付作業の簡素化をより確実に実現できる。
【0036】
加えて、カバー部材20は、車両100とドアミラーユニット110との間から光源部材10からの光を拡散する。つまり、車両用照明装置1をハウジング112の外面に取り付けることなく、車両用照明装置1が光源部材10から照射される光を照射できる。これにより、上述した従来の第1取付方法のように、車両用照明装置1がハウジング112の外面から突出してしまうことを防止でき、ユーザーに凹凸感や突出感などの違和感を与えることなく、ドアミラーユニット110の外観性の悪化を抑制できる。
【0037】
本実施形態では、カバー部材20は、前方照射縁部51と、後方照射縁部52とを備える。これにより、車両100の周囲や歩行者から目視しやすくできる。その上、車両用照明装置1がドアミラーユニット110よりも車両100の運転手側に設けられることで、運転手からも目視しやすくなる。
【0038】
(変更例)
次に、上述した実施形態に係る車両用照明装置1の変更例について、図面を参照しながら説明する。
図6は、変更例に係る車両用照明装置1を示す分解斜視図である。なお、上述した実施形態に係る車両用照明装置1と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0039】
ここで、上述した実施形態では、光源部材10は、前方光源部11と後方光源部12とを備えており、各前方光源部11及び後方光源部12には、第1光源11A,12Aが複数取り付けられている。
【0040】
これに対して、変更例では、
図6に示すように、光源部材10は、前方光源部11及び後方光源部12に加えて、車両100の下方側に設けられる下方光源部13をさらに備えている。下方光源部13は、前方光源部11及び後方光源部12と同様に、板状の基板によって形成されている。この下方光源部13には、第1光源11A,12Aと異なる光を照射する第2光源13Aが複数取り付けられている。なお、第1光源11A,12Aと異なる光とは、例えば車両100のサイドドア下方を照射する光(いわゆる、ドア下照射光)などが挙げられる。
【0041】
カバー部材20の収容室30は、下方光源部13を収容する下方収容室33を備えている。下方収容室33には、貫通開口21から延びてワイヤーハーネスWが通過するワイヤ通過溝33Aが連結されている。
【0042】
また、カバー部材20の蓋体40は、下方収容室33に取り付けられる下方蓋体43を備えている。そして、カバー部材20の拡散縁部50は、第2光源13Aからの光を車両100の下方に向けて照射する下方照射縁部53をさらに備えている。
【0043】
以上説明した変更例では、カバー部材20は、前方光源部11と、後方光源部12と、下方光源部13とを備える。これにより、第1光源11A,12Aによって車両100の方向指示スイッチとともに光を照射できるとともに、第2光源13Aによって第1光源11A,12Aと異なる光(例えば、ドア下照射光)を照射することができ、車両用照明装置1の自由度が増大する。
【0044】
ここで、変更例では、下方光源部13には、第1光源11A,12Aと異なる光を照射する第2光源13Aが複数取り付けられるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、方向指示スイッチとともに光を照射する第1光源が複数取り付けられていてもよい。この場合、補助方向指示器としての照射範囲を増大させることができる。
【0045】
(その他の実施形態)
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0046】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。具体的には、車両用照明装置1は、車両100のサイドドアに設けられたドアミラーユニット110近傍に取り付けられるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、バックドアに設けられたドアミラー近傍に取り付けられてもよい。
【0047】
また、車両用照明装置1は、方向指示スイッチに接続されて点滅する補助方向指示器であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、他のスイッチに接続されて点灯する装置(例えば、バックギアの入力とともに点灯する装置)であってもよい。
【0048】
また、カバー部材20は、ドアミラーユニット110における取付ベース111の座面111Aの形状(周縁)と相似した形状(平面視三角状)をなしているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、座面111Aの形状と多少異なる形状であってもよい。
【0049】
また、カバー部材20は、透過性の樹脂板によって形成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、透過性の材料であればよい。また、カバー部材20は、必ずしも板状である必要もなく、多少の厚みがある部材であってもよい。
【0050】
また、前方光源部11及び後方光源部12に設けられた第1光源11A,12Aは、車両100の方向指示スイッチに接続されてこの方向指示スイッチとともに光を照射するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、何れか一方のみが方向指示スイッチとともに光を照射するものであってもよい。また、後方光源部12に設けられた光源は、例えば、バックギアの入力とともに光を照射するものであってもよい。
【0051】
また、蓋体40は、カバー部材20と同様の材料によって形成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、カバー部材20と異なる材料によって形成されていてもよく、収容室30内への水の進入を防止できればよい。
【0052】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。