(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Xが、クロリド、ブロミド、ヨード、メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、およびアリールスルホナートからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
前記構造式IBの化合物のM’が1〜2つの二重結合を含み、前記二重結合のうち1つ、前記カップリングが、前記構造式IBの化合物を前記構造式ICの化合物とパラジウム系触媒の存在下で反応させることを含む、請求項1および2のいずれか一項に記載の方法。
前記パラジウム系触媒が、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)酢酸パラジウム(II)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(ジフェニルホスフィニルフェロセン)パラジウムジクロリド、ビス−(ジ−tert−ブチルホスフィニルフェロセン)パラジウムジクロリド、酢酸パラジウム(Il)、塩化パラジウム(II)、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)クロリド、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、およびパラジウム担持炭素からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
該パラジウム系触媒が、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)酢酸パラジウム(II)、ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(ジフェニルホスフィニルフェロセン)パラジウムジクロリド、ビス−(ジ−t−ブチルホスフィニルフェロセン)パラジウムジクロリド、酢酸パラジウム(Il)、塩化パラジウム(II)、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)クロリド、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、2−ジシクロヘキシルホスフィン−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルおよびパラジウム担持炭素からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
前記工程cの環化が、前記構造式IDの化合物を、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドまたはO−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムデキサフルオロホスフェートと反応させることを含む、請求項の1〜17いずれか一項に記載の方法。
式Iの化合物の薬学的に許容され得る塩が、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩、第1級アミンの塩、第2級アミンの塩、第3級アミンの塩、置換型アミンの塩、環状アミンの塩、アルギニン塩、ベタイン塩、カフェイン塩、コリン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩、ジエチルアミン塩、2−ジエチルアミノエタノール塩、2−ジメチルアミノエタノール塩、エタノールアミン塩、エチレンジアミン塩、N−エチル−モルホリン塩、N−エチルピペリジン塩、グルカミン塩、グルコサミン塩、ヒスチジン塩、ヒドラバミン塩、イソプロピルアミン塩、リジン塩、メチルグルカミン塩、モルホリン塩、ピペラジン塩、ピペリジン塩、ポリアミン樹脂の塩、プロカイン塩、プリン塩、テオブロミン塩、トリエチルアミン塩、トリメチルアミン塩、トリプロピルアミン塩、トロメタミン塩、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、カンフルスルホン酸塩、クエン酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、マロン酸塩、粘液酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびトリフルオロ酢酸塩からなる群から選択される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1実施形態は、Xが、クロリド、ブロミド、ヨード、メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、およびアリールスルホナートからなる群から選択される方法に関する。この実施形態において、他のすべての基は、上記の一般法で示したとおりである。
【0016】
本発明の第2実施形態は、構造式IBの化合物のM’が1〜2つの二重結合を含み、該二重結合のうち1つ、該カップリングが、構造式IBの化合物を構造式ICの化合物とパラジウム系触媒の存在下で反応させることを含む方法に関する。この第2実施形態のすべての態様において、他のすべての基は、上記の一般法および/または第1実施形態で示したとおりである。
【0017】
本発明の第2実施形態の第1態様では、パラジウム系触媒がパラジウム錯体である。第2実施形態の第1態様の場合、パラジウム錯体はパラジウム−ホスフィン錯体である。
【0018】
本発明の第2実施形態の第2態様では、パラジウム系触媒が、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)酢酸パラジウム(II)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(ジフェニルホスフィニルフェロセン)パラジウムジクロリド、ビス−(ジ−tert−ブチルホスフィニル(phosphineyl)フェロセン)パラジウムジクロリド、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)クロリド、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、およびパラジウム担持炭素からなる群から選択される。
【0019】
本発明の第3実施形態は、構造式IBの化合物のM’が0または1つの二重結合と1つの三重結合を含み、ここで、該二重三重結合はM’のC
1とC
2の間に存在し、該カップリングが、構造式IBの化合物を構造式ICの化合物と、パラジウム系触媒と銅塩の存在下で反応させることを含む方法に関する。この第3実施形態のすべての態様において、他のすべての基は、上記の一般法および/または第1実施形態で示したとおりである。
【0020】
本発明の第3実施形態の第1態様では、パラジウム系触媒がパラジウム錯体である。特定の場合では、パラジウム系触媒が、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)酢酸パラジウム(II)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(ジフェニルホスフィニルフェロセン)パラジウムジクロリド、ビス−(ジ−tert−ブチルホスフィニルフェロセン)パラジウムジクロリド、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)クロリド、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、2−ジシクロヘキシルホスフィン−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルおよびパラジウム担持炭素からなる群から選択される。
【0021】
本発明の第3実施形態の第2態様では、銅塩が銅(I)塩からなる群から選択される。特定の場合では、銅(I)塩が、臭化銅(I)、塩化銅(I)、ヨウ化銅(I)およびトリフルオロメタンスルホン酸銅(I)からなる群から選択される。好ましい場合では、銅(I)塩がヨウ化銅(I)からなる群から選択される。
【0022】
本発明の第4実施形態は、工程bの水素化が、構造式ICの化合物を水素ガスと触媒の存在下で反応させることを含む方法に関する。この実施形態の第1態様では、触媒がパラジウム担持炭素である。この実施形態の第2態様では、水素化が10℃〜50℃の温度で行なわれ、水素ガスが5psi〜100psiの圧力で供給される。この第4実施形態のすべての態様において、他のすべての基は、上記の一般法および/または上記の第1〜第3実施形態のいずれかで示したとおりである。
【0023】
本発明の第5実施形態は、R
*がtert−ブチルオキシカルボニルであり、工程bの水素化が、構造式ICの化合物を酸と反応させて構造式IC’
【0024】
【化7】
の化合物を得、構造式IC’の化合物を水素化して構造式IDの化合物を得ることを含む方法に関する。この実施形態の第1態様では、酸が、メタンスルホン酸およびTFAからなる群から選択される。この第5実施形態のすべての態様において、他のすべての基は、上記の一般法および/または上記の第1〜第4実施形態のいずれかで示したとおりである。
【0025】
本発明の第6実施形態は、工程cの環化が、構造式IDの化合物を、N−(S−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドまたはO−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’、N’−テトラメチルウロニウムデキサフルオロホスフェートと反応させることを含む方法に関する。この第6実施形態において、他のすべての基は、上記の一般法および/または上記の第1〜第5実施形態のいずれかで示したとおりである。
【0026】
本発明の第7実施形態は、pとqがともに1であり;R
1が、CONR
10SO
2R
6であり;R
2が、C
1〜C
6アルキルまたはC
2〜C
6アルケニルであり;R
3が、0〜3個のハロ置換基で置換されたC
5〜C
6シクロアルキルまたはC
1〜C
8アルキルであり;R
5が、H、FまたはClであり;R
6が、C
3〜C
6シクロアルキルであり;Yが、C(=O)であり;Zが、O、CH
2、NHまたはN(CH
3)であり;Mが、C
1〜C
8アルキレンであり、ここで、該Mアルキレンは、C
1〜C
8アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル(C
1〜C
8アルキル)またはアリール(C
1〜C
8アルキル)からなる群から選択される0〜2個の置換基で置換されており、Mの隣接する2つの置換基(存在している場合)は、任意選択で、一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜2個のへテロ原子を含有する3〜6員の環式の環を形成しており;R
10は、HまたはC
1〜C
6アルキルである方法に関する。この第7実施形態において、他のすべての基は、上記の一般法および/または上記の第1〜第6実施形態のいずれかで示したとおりである。
【0027】
本発明の第8実施形態は、式Iの化合物が、
【0028】
【化8】
からなる群またはその薬学的に許容され得る塩もしくは水和物より選択される方法に関する。この第8実施形態では、他のすべての基は、上記の一般法および/または上記の第1〜第7実施形態のいずれかで示したとおりである。
【0029】
本発明の第9実施形態は、式Iの化合物が、式III−205:
【0030】
【化9】
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは水和物である方法に関する。この第9実施形態において、他のすべての基は、上記の一般法および/または上記の第1〜第7実施形態のいずれかで示したとおりである。
【0031】
本発明の第10実施形態は、式Iの化合物の薬学的に許容され得る塩が、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩、第1級アミンの塩、第2級アミンの塩、第3級アミンの塩、置換型アミンの塩、環状アミンの塩、アルギニン塩、ベタイン塩、カフェイン塩、コリン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩、ジエチルアミン塩、2−ジエチルアミノエタノール塩、2−ジメチルアミノエタノール塩、エタノールアミン塩、エチレンジアミン塩、N−エチル−モルホリン塩、N−エチルピペリジン塩、グルカミン塩、グルコサミン塩、ヒスチジン塩、ヒドラバミン塩、イソプロピルアミン塩、リジン塩、メチルグルカミン塩、モルホリン塩、ピペラジン塩、ピペリジン塩、ポリアミン樹脂の塩、プロカイン塩、プリン塩、テオブロミン塩、トリエチルアミン塩、トリメチルアミン塩、トリプロピルアミン塩、トロメタミン塩、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、カンフルスルホン酸塩、クエン酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、マロン酸塩、粘液酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびトリフルオロ酢酸塩からなる群から選択される方法に関する。この第10実施形態のすべての態様において、他のすべての基は、上記の一般法および/または上記の第1〜第9実施形態のいずれかで示したとおりである。
【0032】
本発明のこの第10実施形態の第1態様では、式Iの化合物の薬学的に許容され得る塩が、カリウム塩およびナトリウム塩からなる群から選択される。
【0033】
本発明のこの第10実施形態の第2態様では、該薬学的に許容され得る塩が、上記に示した式III−5〜III−7、III−35〜III−52、III−71〜III−91、III−111〜III−131、III−152〜III−172、III−200〜III−206、III−210、III−212、III−214、III−216、III−218、III−220、III−222、III−224、III−226、III−229〜III−231、III−233、III−235、III−237〜III−239およびIII−240の化合物のナトリウムまたはカリウム塩である。
【0034】
本発明のこの第10実施形態の第3態様では、該薬学的に許容され得る塩が、上記に示した式III−205の化合物のナトリウムまたはカリウム塩である。
【0035】
本発明の第11実施形態は、上記の一般法のいずれか1つおよび/または第1〜第10実施形態のいずれか1つによる方法によって調製される式Iの化合物またはその薬学的に許容され得る塩に関する。この第11実施形態のすべての態様において、すべての基は、上記の一般法および/または上記の第1〜第10実施形態のいずれかで示したとおりである。
【0036】
第11実施形態の第1態様は、pとqがともに1であり;R
1が、CONR
10SO
2R
6であり;R
2が、C
1〜C
6アルキルまたはC
2〜C
6アルケニルであり;R
3が、0〜3個のハロ置換基で置換されたC
5〜C
6シクロアルキルまたはC
1〜C
8アルキルであり;R
5が、H、FまたはClであり;R
6が、C
3〜C
6シクロアルキルであり;Yが、C(=O)であり;Zが、O、CH
2、NHまたはN(CH
3)であり;Mが、C
1〜C
8アルキレンであり、ここで、該Mアルキレンは、C
1〜C
8アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル(C
1〜C
8アルキル)またはアリール(C
1〜C
8アルキル)からなる群から選択される0〜2個の置換基で置換されており、Mの隣接する2つの置換基(存在している場合)は、任意選択で、一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜2個のへテロ原子を含有する3〜6員の環式の環を形成しており;R
10は、HまたはC
1〜C
6アルキルである化合物に関する。
【0037】
第11実施形態の第2態様では、式Iの化合物が、上記に示した化合物III−5〜III−7、III−35〜III−52、III−71〜III−91、III−111〜III−131、III−152〜III−172、III−200〜III−206、III−210、III−212、III−214、III−216、III−218、III−220、III−222、III−224、III−226、III−229〜III−231、III−233、III−235、III−237〜III−239およびIII−240からなる群から選択される。
【0038】
第11実施形態の第3態様は、上記に示した式III−205の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは水和物である式Iの化合物に関する。
【0039】
本発明の第12実施形態において、本発明の化合物は、上記の一般法のいずれか1つおよび/または第1〜第10実施形態のいずれか1つによる方法によって調製され、以下の実施例1〜5に示す例示的な種から選択される。
【0040】
本発明の第13実施形態において、本発明の化合物は、上記の一般法のいずれか1つおよび/または第1〜第10実施形態のいずれか1つによる方法によって調製され、以下の実施例6および7に示す例示的な種の例示的な安定な結晶性形態から選択される。該安定な結晶性形態は、銅K−α線(すなわち、放射線源はCu K
α1線とK
α2線の組合せ)を用いて得られる、表示した2Θ値(すなわち、2Θ値での反射)(単位:度)を含む粉末X線回折パターンを特徴とする。この実施形態および以下の同様の実施形態のすべての態様において、用語「約」は、2Θ値の各々を修飾すると理解されたい;すなわち、「約17.8、19.9、21.0および21.8」という表現は、「約17.8、約19.9、約21.0および約21.8」の簡略形である。この実施形態の特定の態様では、該化合物が、
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約6.1±0.1、8.7±0.1および12.3±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205のカリウム塩の安定な結晶性エタノール溶媒和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約7.4±0.1、8.2±0.1および15.1±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205のカリウム塩の安定な結晶性エタノール溶媒和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約6.3±0.1、8.9±0.1および19.6±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205のカリウム塩の安定な結晶性水和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約6.2±0.1、12.4±0.1および14.8±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205のカリウム塩の安定な結晶性水和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約8.7±0.1、16.2±0.1および19.4±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205のカリウム塩の安定な結晶性水和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約8.6±0.1、16.3±0.1および18.9±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205のカリウム塩の安定な結晶性水和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約8.7±0.1、18.0±0.1および18.6±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205のカリウム塩の安定な結晶性水和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約4.4±0.1、16.0±0.1および17.7±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205の遊離酸の安定な結晶性酢酸エチル溶媒和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約11.84±0.1、16.5±0.1および18.1±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205の遊離酸の安定な結晶性水和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約17.0±0.1、18.3±0.1および20.3±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205の遊離酸の安定な結晶性ヘプタン溶媒和物;ならびに
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約11.2±0.1、14.2±0.1および20.6±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205の遊離酸の安定な結晶性無水和物
からなる群から選択される。
【0041】
この第13実施形態のさらにより特定の態様では、該化合物が、
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約6.1±0.1、7.1±0.1、8.7±0.1、10.3±0.1、12.3±0.1、13.6±0.1、16.1±0.1、20.9±0.1および22.1±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205のカリウム塩の安定な結晶性エタノール溶媒和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約4.5±0.1、6.1±0.1、7.4±0.1、8.2±0.1、10.4±0.1、15.1±0.1、16.2±0.1、18.9±0.1および20.8±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205のカリウム塩の安定な結晶性エタノール溶媒和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約6.3±0.1、7.3±0.1、8.9±0.1、9.7±0.1、10.6±0.1、13.9±0.1、14.6±0.1、16.0±0.1、18.0±0.1および19.6±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物111−205のカリウム塩の安定な結晶性水和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約6.2±0.1、7.4±0.1、12.4±0.1、14.8±0.1、17.3±0.1および20.4±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205のカリウム塩の安定な結晶性水和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約6.1±0.1、7.2±0.1、8.7±0.1、10.4±0.1、12.3±0.1、14.9±0.1、16.2±0.1、17.8±0.1、19.4±0.1および24.7±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205のカリウム塩の安定な結晶性水和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約4.7±0.1、6.3±0.1、8.1±0.1、8.6±0.1、12.4±0.1、15.2±0.1、16.3±0.1、17.2±0.1、18.9±0.1および23.4±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205のカリウム塩の安定な結晶性水和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約8.7±0.1、9.9±0.1、11.2±0.1、12.9±0.1、13.9±0.1、14.5±0.1、18.0±0.1、18.6±0.1および22.4±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205のカリウム塩の安定な結晶性水和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約4.4±0.1、11.6±0.1、11.8±0.1、13.2±0.1、13.7±0.1、14.5±0.1、l6.0±0.1、16.4±0.1、17.7±0.1および18.4±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205の遊離酸の安定な結晶性酢酸エチル溶媒和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約9.1±0.1、11.8±0.1、12.2±0.1、14.4±0.1、16.5±0.1、18.1±0.1、18.5±0.1、18.6±0.1、22.0±0.1および22.7±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205の遊離酸の安定な結晶性水和物;
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約10.9±0.1、12.5±0.1、15.9±0.1、16.5±0.1、17.0±0.1、18.3±0.1、19.5±0.1、20.3±0.1、21.9±0.1および22.3±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205の遊離酸の安定な結晶性ヘプタン溶媒和物;ならびに
銅K−α線を放射線源として使用したとき、約2.4±0.1、3.9±0.1、11.2±0.1、14.2±0.1、16.4±0.1、17.2±0.1、19.1±0.1、20.1±0.1、20.6±0.1および22.1±0.1の2Θ値(単位:度)を含む粉末x線回折を有する化合物III−205の遊離酸の安定な結晶性無水和物
からなる群から選択される。
【0042】
本発明の他の実施形態としては、以下のものが挙げられる。
【0043】
(a)有効量の式Iの化合物と薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物
(b)さらに、HCV抗ウイルス剤、免疫調節薬および抗感染剤からなる群から選択される第2の治療用薬剤を含む(a)の医薬組成物
(c)HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害薬およびHCV NS5Bポリメラーゼ阻害薬からなる群から選択される抗ウイルス薬である(b)の医薬組成物
(d)(i)式Iの化合物と、(ii)HCV抗ウイルス剤、免疫調節薬および抗感染剤からなる群から選択される第2の治療用薬剤との複合医薬であって、式Iの化合物と第2の治療用薬剤が、それぞれ、HCV NS3活性の阻害、あるいはHCV感染の処置および/またはHCV感染の症状の尤度もしくは重症度の低減、あるいは細胞主体の系におけるHCVウイルスの複製および/またはHCVウイルスの生成の阻害のために該複合薬が有効となる量で使用される複合医薬
(e)HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害薬およびHCV NS5Bポリメラーゼ阻害薬からなる群から選択される抗ウイルス薬である(d)の複合薬
(f)対象に有効量の式Iの化合物を投与することを含む、HCV NS3活性の阻害を、それを必要とする対象において行なう方法
(g)対象に有効量の式Iの化合物を投与することを含む、HCV感染の処置および/またはHCV感染の症状の尤度もしくは重症度の低減を、それを必要とする対象において行なう方法
(h)式Iの化合物が、HCV抗ウイルス剤、免疫調節薬および抗感染剤からなる群から選択される有効量の少なくとも1種類の第2の治療用薬剤と併用して投与される(g)の方法
(i)HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害薬およびHCV NS3ポリメラーゼ阻害薬からなる群から選択される抗ウイルス薬である(h)の方法
(j)対象に有効量の式Iの化合物を投与することを含む、細胞主体の系においてHCVウイルスの複製および/またはHCVウイルスの生成を阻害する方法
(k)式Iの化合物が、HCV抗ウイルス剤、免疫調節薬および抗感染剤からなる群から選択される有効量の少なくとも1種類の第2の治療用薬剤と併用して投与される(j)の方法
(l)HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害薬およびHCV NS5Bポリメラーゼ阻害薬からなる群から選択される抗ウイルス薬である(k)の方法
(m)対象に、(a)、(b)もしくは(c)の医薬組成物または(d)もしくは(e)の複合薬を投与することを含む、HCV NS3活性の阻害を、それを必要とする対象において行なう方法
(n)対象に、(a)、(b)もしくは(c)の医薬組成物または(d)もしくは(e)の複合薬を投与することを含む、HCV感染の処置および/またはHCV感染の症状の尤度もしくは重症度の低減を、それを必要とする対象において行なう方法
上記に示した化合物および塩の諸実施形態において各実施形態を1つ以上の他の実施形態と、安定な化合物または塩が得られ、かつ該実施形態の記載内容と整合するような範囲内で組み合わせてもよいことは理解されよう。さらに、上記の(a)〜(n)に示した組成物および方法の実施形態は、該化合物および/または塩のあらゆる実施形態(例えば、実施形態の組合せの結果の実施形態など)を含むことは理解されよう。
【0044】
また、本発明は、(a)HCV NS3活性の阻害、あるいは(b)HCV感染の処置および/またはHCV感染の症状の尤度もしくは重症度の低減、あるいは(c)医療における使用における(i)、該阻害あるいは低減あるいは使用のための医薬として(ii)、または該阻害あるいは低減あるいは使用のための医薬の調製における(iii)使用のための本発明の化合物を含む。このような使用において、本発明の化合物は、任意選択で、HCV抗ウイルス剤、抗感染剤および免疫調節薬から選択される1種類以上の第2の治療用薬剤と併用して使用され得る。
【0045】
本発明のさらなる実施形態としては、使用される本発明の化合物が、上記の化合物の実施形態、態様、類型、亜類型または特徴のうちの1つの化合物である、上記の(a)〜(n)に示した医薬組成物、複合薬および方法、ならびに先の段落に示した使用が挙げられる。このような実施形態のすべてにおいて、該化合物は、任意選択で、適宜、薬学的に許容され得る塩または水和物の形態で使用され得る。
【0046】
本明細書で用いる場合、用語「アルキル」は、指定された範囲の数の炭素原子を有する任意の線状または分枝鎖のアルキル基を指す。したがって、例えば、「C
1〜6アルキル」(あるいは「C
1〜C
6アルキル」)は、ヘキシルアルキルおよびペンチルアルキル異性体ならびにn−、イソ−、sec−およびt−ブチル、n−およびイソプロピル、エチルおよびメチルのすべてを指す。アルキル基は、本記載のとおりに置換されたものであってもよい。
【0047】
用語「ハロゲン化された」は、基または分子において、水素原子がハロゲンで置き換えられていることを指す。同様に、用語「ハロアルキル」は、ハロゲン化されたアルキル基を指す。用語「ハロゲン」(あるいは「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素の原子を指す(択一的に、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードとも指す)。
【0048】
用語「アルコキシ」は、「アルキル−O−」基を指す。アルコキシ基は、本記載のとおりに置換されたものであってもよい。
【0049】
用語「シクロアルキル」は、指定された範囲の数の炭素原子を有するアルカンまたはアルケンの任意の環式の環を指す。したがって、例えば、「C
3〜8シクロアルキル」(あるいは「C
3〜C
8シクロアルキル」)は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルを指す。用語「シクロアルコキシ」は、「シクロアルキル−O−」基を指す。シクロアルキル基は、本記載のとおりに置換されたものであってもよい。
【0050】
用語「アリール」(あるいは「アリール環系」)は、芳香族の炭素環式の単環系および多環系(多環系内の個々の炭素環式の環は単結合によって互いに縮合または結合している)を指す。本明細書で用いる場合、アリールと指す用語は、独立してN、OおよびSから選択される0〜4個のへテロ原子(非炭素原子)を含む芳香族の炭素環式の単環系および多環系を含む。好適なアリール基としては、フェニル、ナフチル、ビフェニレニル、ピリジニル、ピリミジニルおよびピロリル、ならびに以下に考察するものが挙げられる。アリール基は、本記載のとおりに置換されたものであってもよい。アリール環系は、適切な場合は、特定の環内原子が結合する可変部の表示を含むものであり得る。特に記載のない限り、アリール環系に対する置換基は、いずれの環内原子に結合されていてもよいが、かかる結合によって安定な環系の形成がもたらされるものとする。
【0051】
用語「炭素環」(およびその語尾変化形(「炭素環式」など))は、本明細書で用いる場合、特に記載のない限り、(i)C
5〜C
7の飽和もしくは不飽和の単環、または(ii)C
8〜C
10の飽和もしくは不飽和の二環系を指す。(ii)の各環は、他方の環と独立しているか、または他方の環に縮合しているかのいずれかであり、各環は飽和または不飽和である。炭素環基は、本記載のとおりに置換されたものであってもよい。炭素環が、独立してN、OおよびSから選択される1個以上のへテロ原子を含有している場合、該炭素環は、「複素環」(以下に定義)と称されることがあり得る。炭素環は該分子の残部に、安定な化合物がもたらされるいずれの炭素または窒素原子で結合されていてもよい。二環式の縮合炭素環は、該炭素環のサブセットである;すなわち、用語「二環式の縮合炭素環」は、一般的に、C
8〜C
10の二環式の環系を指し、ここで、各環は飽和または不飽和であり、隣接する2個の炭素原子は該環系内の各環に共有されている。両方の環が飽和型である二環式の縮合炭素環は、二環式の飽和環系である。炭素環式の飽和環は、シクロアルキル環(例えば、シクロプロピル、シクロブチルなど)とも称される。一方または両方の環が不飽和である二環式の縮合炭素環は、二環式の不飽和環系である。炭素環の環系は、適切な場合は、特定の環内原子が結合する可変部の表示を含むものであり得る。特に記載のない限り、該環系に対する置換基はいずれの環内原子に結合されていてもよいが、かかる結合によって安定な環系の形成がもたらされるものとする。
【0052】
特に記載のない限り、用語「複素環」(およびその語尾変化形(「複素環式」または「ヘテロシクリル」など))は、広く、(i)安定な5〜7員の飽和もしくは不飽和の単環式の環、または(ii)安定な8〜10員の二環式の環系を指し、ここで、(ii)の各環は、他方の環(1つまたは複数)と独立しているか、または該他方の環に縮合しており、各環は飽和または不飽和であり、該単環式の環または二環式の環系は、独立してN、OおよびSから選択される1個以上のへテロ原子(例えば、1〜6個のへテロ原子、または1〜4個のへテロ原子)を含有しており、残りは炭素原子であり(単環式の環は、典型的には少なくとも1個の炭素原子を含有しており、二環式の環系は、典型的には少なくとも2個の炭素原子を含有している);窒素およびイオウへテロ原子の任意の1個以上が任意選択で酸化されており、窒素へテロ原子の任意の1個以上が任意選択で第4級化されている。特に指定のない限り、複素環式の環は、いずれのへテロ原子または炭素原子に結合されていてもよいが、該結合によって安定な構造の作出がもたらされるものとする。複素環基は、本記載のとおりに置換されたものであってもよく、特に指定のない限り、置換基は環内のいずれの原子(へテロ原子であれ、炭素原子であれ)に結合されていてもよいが、安定な化学構造が得られるものとする。代表例としては、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、およびテトラヒドロフリル(またはテトラヒドロフラニル)が挙げられる。そうでないことを明示していない限り、用語「ヘテロアリール環系」は、独立してN、OおよびSから選択される1〜4個のへテロ原子(非炭素原子)を含有する上記に定義したアリール環系を指す。少なくとも1個の窒素原子を含有する置換型ヘテロ(heter)芳香族環(例えば、ピリジン)の場合、かかる置換は、N−オキシドの形成をもたらすものであり得る。ヘテロ芳香族環の代表例としては、ピリジル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル(またはチオフェニル)、チアゾリル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、およびチアジアゾリルが挙げられる。二環式の複素環の代表例としては、ベンゾトリアゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリニル、イソインドリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、クロマニル、イソクロマニル、テトラヒドロキノリニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシニルおよびベンゾ−1,3−ジオキソリルが挙げられる。
【0053】
「置換された」ものだけを具体的に記載していない限り、アルキル、シクロアルキルおよびアリール基は置換されたものでない。好ましくは、置換基は、限定されないが、ハロ、C
1〜C
20アルキル、−CF
3、−NH
2、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NO
2、オキソ、−CN、−N
3、−OH、−O(C
1〜C
6アルキル)、C
3〜C
10シクロアルキル、C
2〜C
6アルケニル、C
2〜C
6アルキニル、(C
0〜C
6アルキル)S(O)
0〜2−、アリール−S(0)
0〜2−、(C
0〜C
6アルキル)S(0)
0〜2(C
0〜C
6アルキル)−、(C
0〜C
6アルキル)C(O)NH−、H
2N−C(NH)−、−O(C
1〜C
6アルキル)CF
3、(C
0〜C
6アルキル)C(O)−、(C
0〜C
6アルキル)OC(O)−、(C
0〜C
6アルキル)O(C
1〜C
6アルキル)−、(C
0〜C
6アルキル)C(0)
1〜2(C
0〜C
6アルキル)−、(C
0〜C
6アルキル)OC(O)NH−、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルアルキル、ハロ−アリール、ハロ−アラルキル、ハロ−複素環およびハロ−ヘテロシクリルアルキルを含む群から選択される。
【0054】
そうでないことを明示していない限り、本明細書に記載した範囲はすべて両端を含む。例えば、「0〜3個のへテロ原子」を含有すると記載されたヘテロアリール環は、該環が0、1、2、または3個のへテロ原子を含有するものであり得ることを意味する。また、本明細書に記載した範囲はいずれも、その範囲内で、該範囲内のあらゆる下位範囲を含むことは理解されよう。また、へテロ原子NおよびSの酸化された形態も本発明の範囲に含まれる。また、用語「または/もしくは(or)」は、本明細書で用いる場合、選択肢が、適切な場合は組み合わされ得ることを表す;すなわち、用語「または/もしくは」は、列挙された各選択肢の個別の場合ならびに組合せの場合を含む。
【0055】
任意の可変部(例えば、R
5またはR
6)が任意の構成において、または式Iもしくは本発明の化合物を図示および説明する任意の他の式において1回より多く存在する場合、各存在に対するその定義は、他のどの存在におけるその定義とも独立している。また、置換基および/または可変部の組合せは、かかる組合せによって安定な化合物がもたらされる場合でのみ可能である。
【0056】
そうでないことを明示していない限り、名称を示した置換基による置換は任意の原子において可能であるが、かかる置換は化学的に可能であり、安定な化合物をもたらすものであるとする。「安定な」化合物は、調製および単離が可能であり、かつその構造および特性が、本明細書に記載の目的(例えば、対象に対する治療的または予防的投与)のために該化合物を使用することが可能であるのに充分な期間、未変化のままであるか、または本質的に未変化のままであるようにされ得る化合物である。
【0057】
置換基および置換基パターンの選択の結果、一部の特定の本発明の化合物は不斉中心を有する場合があり得、立体異性体の混合物として、または個々のジアステレオマーもしくはエナンチオマーとして存在する場合があり得る。このような化合物の異性体形態はすべて、単離された状態であれ、混合物の状態であれ、本発明の範囲に含まれる。
【0058】
本発明によって調製される化合物は、E.L.ElielおよびS.H.Wilen,Stereochemistry of Carbon Compounds,John Wiley & Sons,New York,1994,第1119〜1190頁)に記載のような不斉中心、キラル軸またはキラル面の結果、キラルであり得、単一の光学異性体として、または任意の数の考えられ得る光学異性体の混合物(例えば、ラセミ化合物、ラセミ混合物、ジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、エナンチオマー、およびエナンチオマー混合物)として存在するものであり得る。一部の特定の場合では、開示した本化合物は、互変異性体として存在するものであり得、1つの互変異性体構造しか図示していないが、すべての互変異性体形態が本発明の範囲に包含されることを意図する。すなわち、本発明の解釈上、式Iの化合物に対する参照は、該化合物自体、またはそのいずれか1つの互変異性体自体、または2種類以上の互変異性体の混合物に対する参照である。
【0059】
一般的に、エナンチオマー的に純粋な形態の本発明の化合物を投与することが好ましい。ラセミ混合物は、いくつかの慣用的な方法のいずれかによって、その個々のエナンチオマーに分離され得る。このようなものとしては、キラルクロマトグラフィー、キラル助剤を用いた誘導体化の後、クロマトグラフィーまたは晶出による分離、およびジアステレオマー塩の分別結晶が挙げられる。
【0060】
本発明の化合物は、薬学的に許容され得る塩の形態で投与され得る。用語「薬学的に許容され得る塩」は、親化合物の有効性を有するが、生物学的または他の点で望ましくないものでない(例えば、そのレシピエントに対して毒性でなく、あるいは有害でもない)塩を指す。好適な塩としては酸付加塩が挙げられ、これは、例えば、本発明の化合物の溶液を、薬学的に許容され得る酸(塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸または安息香酸など)の溶液と混合することにより形成され得る。本発明の化合物の多くは酸性部分を担持しており、その場合、その好適な薬学的に許容され得る塩としては、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムまたはカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムまたはマグネシウム塩)、および適当な有機リガンドとともに形成される塩(第4級アンモニウム塩など)が挙げられ得る。また、酸(−COOH)またはアルコール基が存在している場合、該化合物の溶解性または加水分解特性を改良するために、薬学的に許容され得るエステルが使用され得る。
【0061】
用語「投与」およびその語尾変化形(例えば、化合物を「投与すること」)は、本発明の化合物に関して、該化合物または該化合物のプロドラッグを、処置を必要とする個体に提供することを意味する。本発明の化合物またはそのプロドラッグは、1種類以上の他の活性薬剤(例えば、HCV感染の処置に有用な抗ウイルス剤)と併用して提供され、「投与」およびその語尾変化形は、各々、該化合物または塩(もしくは水和物)と他の薬剤を並行して提供すること、および逐次提供することを含むと理解されたい。
【0062】
本明細書で用いる場合、用語「組成物」は、指定された成分を含む生成物、ならびに指定された成分を合わせることにより直接または間接的に得られる任意の生成物を包含することを意図する。
【0063】
「薬学的に許容され得る」により、医薬組成物の諸成分が互いに適合性でなければならず、そのレシピエントに対して有害であってはならないことを意図する。
【0064】
用語「対象」(または、本明細書において「患者」と称する)および「細胞主体の系」は、本明細書で用いる場合、処置、観察または実験の対象となった動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0065】
用語「薬学的に許容され得る塩」は、薬学的に許容され得る無毒性の塩基または酸、例えば、無機系または有機系の塩基および無機系または有機系の酸から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを含むものである。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムの塩である。薬学的に許容され得る有機系の無毒性塩基から誘導される塩としては、第1級、第2級および第3級アミン、置換型アミン、例えば、天然に存在する置換型アミン、環状アミン、および塩基性のイオン交換樹脂(アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなど)などの塩が挙げられる。
【0066】
本発明の化合物が塩基性である場合、塩は、薬学的に許容され得る無毒性の酸、例えば、無機酸および有機酸から調製されるものであり得る。かかる酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンフルスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、マロン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、プロピオン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。特に好ましいのは、クエン酸、フマル酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、および酒石酸である。
【0067】
本発明によってもたらされる化合物は、HCV NS3阻害薬化合物の作製において有用な中間体であるか、あるいはそれ自体が、単独または他の活性薬剤と併用して、HCV感染によって引き起こされる病状、またはHCV感染の抑止によって改善され得る病状の処置に有用な、および/またはHCV感染の症状の尤度もしくは重症度の低減に有用なHCV NS3阻害薬化合物である。例えば、本発明の化合物は、輸血、体液交換、咬傷、偶発的な針による刺傷、または手術中での患者の血液への曝露などにより過去にHCVに曝露された可能性のあるときのHCVによる感染の処置に有用である。処置は、開示した方法によって得た最終生成物を、かかる処置を必要とする哺乳動物に投与することによって行なわれる。また、このような化合物は、単独または他の活性薬剤と併用される医薬組成物中の成分として有用である。
【0068】
以下のスキームおよび実施例は、本発明に包含される方法の例示である。当業者にはすぐにわかるように、本明細書において例示した基質上の置換基および置換パターンは、必要以上に実験を行なうことなく、容易に入手可能な出発物質、試薬および慣用的な手順または変形法を選択することによって改良され得る。以下および本開示全体において用いる場合、「室温」または「RT」は、なんら冷却手段または加熱手段を使用せずに、反応を周囲温度で行なったことを示す。「室温」は約25℃である。
【0069】
したがって、以下の例示的な実施例は、記載の化合物または例示の目的で使用したいずれかの特定の置換基に限定されない。スキームに示した置換基の番号付けは、特許請求の範囲で使用したものと必ずしも相関しておらず、しばしば、明確にするために、該化合物には、上記で定義した式Iの定義下で可能な多数の置換基の代わりに単一の置換基が結合されているように示している。
【0070】
本発明の方法は式Iの化合物の調製に有用である。本発明の化合物は、以下の反応スキームおよび実施例またはその変形法に従い、容易に入手可能な出発物質、試薬および慣用的な合成手順を用いて容易に調製され得る。また、このような反応において、それ自体は当業者に既知の変種体を利用することも可能であるが、さらに詳細には記載しない。さらに、本発明の化合物の他の調製方法は、以下の反応スキームおよび実施例に鑑みると、当業者にはすぐにわかるであろう。特に記載のない限り、可変部はすべて上記に定義したとおりである。以下の反応スキームおよび実施例は、本発明およびその実施を例示するために示したものにすぎない。
略号
%eeまたは%EE エナンチオマー過剰パーセント
A% 面積パーセント
ACE−Cl クロロギ酸1−クロロエチル
AY アッセイ収率
BBI ブロモベンジルイソインドリン
BHT ブチル化ヒドロキシトルエン(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)
BnNH
2 ベンジルアミン
Boc,bocまたはBOC t−ブチルオキシカルボニル
Bz
2O
2 ベンゾイルペルオキシド
CbzまたはCBZ カルボベンジルオキシ
CDI N,N’−カルボニルジイミダゾール
CH
2O ホルムアルデヒド
Cs
2CO
3 炭酸セシウム
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
DCHA ジシクロヘキシルアミン
DiBAl−H 水素化ジイソブチルアルミニウム
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMPU N,N’−ジメチル−N,N’−トリメチレン尿素
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド
GC ガスクロマトグラフィー
H
2 水素または水素雰囲気
H
3PO
4 リン酸
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HBr 臭化水素酸
HCl 塩酸
Hg 水銀
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HOPO 2−ヒドロキシピリジンN−オキシド
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
iPAc 酢酸イソプロピル
K
2HPO
4 二塩基性リン酸カリウム
KF カール・フィッシャー滴定水分
KOH 水酸化カリウム
KOt−Bu カリウムtert−ブトキシド(また、カリウムt−ブトキシド)
LiOH 水酸化リチウム
Me メチル
MeCNまたはCH
3CN アセトニトリル
MeCy メチルシクロヘキサン
MeOHまたはCH
3OH メタノール
MeSO
3HまたはMsOH メタンスルホン酸
MgSO
4 硫酸マグネシウム
ML減量 母液減量
MTBE メチルt−ブチルエーテル
N
2 窒素または窒素雰囲気
Na
2CO
3 炭酸ナトリウム
NaHCO
3 炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)
NaOH 水酸化ナトリウム
NaOMe ナトリウムメトキシド
NBS N−ブロモスクシンイミド
NMP N−メチルピロリジノン
NMR 核磁気共鳴分光法
Pd(tBu
3P)
2 ビス−(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウム
Pd/C パラジウム担持炭素
PdCl
2(CH
3CN)
2 二塩化パラジウムのアセトニトリル錯体
Pd(OAc)
2 酢酸パラジウム
PhCHO ベンズアルデヒド
PhCl クロロベンゼン
PhMe トルエン
RH 相対湿度
RT 室温、およそ25℃
Ru/C ルテニウム担持炭素
Bu
3P トリ−t−ブチルホスフィン
TEAまたはNEt
3 トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
TG 熱重量(thermogravitric)解析
THF テトラヒドロフラン
TsOHまたはPTSA p−トルエンスルホン酸
X−Phos 2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル
XRPD 粉末X線回折
中間体
中間体A
中間体A1
【0072】
工程1
【化11】
蒸気加熱ポットを備えた100L容の丸底ガラス槽に、N
2下で、3−ブロモ−o−キシレン(99%,7kg,37.8mol)、PhCl(70L)、NBS(11.9kg)およびBz
2O
2(18.2g)を添加した。反応混合物を88℃まで加熱した。このバッチを同温度で15時間撹拌した。2回目の分割量のNBS(2.2kg)およびBz
2O
2(9.1g)を添加し、バッチを88℃で2〜3時間撹拌した。最後の分割量のNBS(0.7kg)およびBz
2O
2(9.1g)を添加した後、バッチを88℃で1.5〜2時間撹拌した。
【0073】
反応をHPLCアッセイによってモニタリングし、典型的には、この段階で変換は95%に達した。このバッチを30℃まで冷却し、200L容の抽出器に移した。水(30L)を添加し、混合物を10分間激しく撹拌した。層を分離させた後、底部の有機層を水(2×30L)で洗浄し、α,α’−ジブロモ−o−キシレン2の溶液を、さらに精製せずに次の工程反応のために準備した(75%収率,28.35モル,120mg/mL,全81L)。
工程2
【0074】
【化12】
蒸気加熱ポットを備えた100L容の丸底ガラス槽に、N
2下で、α,α’−ジブロモ−o−キシレン2(PhCl中)(27L,120g/L,3.24kgアッセイ)、PhMe(41L)およびNaHCO
3(1.75kg)を添加した。反応混合物を、N
2をRTで5分間起泡させることにより脱気した。BnNH
2(1.03L)を最後にRTで添加した。次いで、このバッチを95℃まで加熱し、温度を90〜95℃に8時間維持した。次いで、2回目の分割量のBnNH
2(0.11L)を添加し、反応混合物を90〜95℃で3〜5時間撹拌した。最後の分割量のBnNH
2(0.1L)を添加した後、バッチをさらに3〜5時間、90〜95℃で撹拌した。反応をHPLCアッセイによってモニタリングし、典型的には、変換は95〜97モル%に達した(N−ベンジル化生成物3とジブロモキシレン2のレスポンスファクターは1:1.1(モル基準)である)。
【0075】
このバッチを25℃まで冷却し、水(25L)でクエンチし、抽出器に移し、層を分離させた。上側の有機層を、さらに精製せずに次の工程の塩形成のために準備した。この段階で、PhMe−PhCl溶液(70L)中のBBI3の典型的なアッセイ収率は70〜73%であった。
工程3
【0076】
【化13】
200L容の抽出器に、BBI(6.6モル)のPhMe−PhCI溶液(70L)と1M H
3PO
4(40L)を添加した。混合物を10分間激しく撹拌した。層を分離した;有機層を1M H
3PO
4(40L)で抽出した。抽出した有機層と水層を、ともにHPLCアッセイによって解析した。必要ならば、すべての生成物を有機層から水層に移すために、さらに1M H
3PO
4での抽出が必要となり得る。
【0077】
合わせた水層を、TsOH一水和物(2.26kg)を分割して添加することによって処理した。固形の塩が徐々に形成された;このスラリーを20〜25℃で2〜3時間撹拌し、濾過し、湿潤ケークを水(2×12L)ですすぎ洗浄した。このケークを、N
2をスイープしながら減圧乾燥させ、生成物4を白色固形物として得た(2.7kg,99%wt)(単独収率90%)。
工程4
【0078】
【化14】
50L容の抽出器に、iPAc(39L)、5N NaOH(8.0L,2.19当量)、および水(32.0L)を仕込んだ。撹拌しながら、BBI−TsOH塩(8.424kg,1.0当量)をRTで添加した。BBI−TsOH塩は白色であるが、溶液中では暗橙色であり、通常、かなり急速に分解される。1時間後、水層のpHを測定すると約7であった。さらに10N NaOH(2.5L)を添加すると、固形物は5分以内に完全に溶解した。水層の最終pHは12であった。層を分離し、有機層を水(40.0L)で洗浄した。この水洗浄液のpHは7であった。洗浄液のHPLCにより、塩基性の層中のBBIは<0.05%および水洗浄液中のBBIは<.05%であることが示された。
【0079】
20LのBBI溶液を、N
2ライン、熱電対およびバッチ濃縮器を取り付けた50L溶の4つ口丸底フラスコに供給した。この溶液を、残留BBI溶液中に供給することにより一定容量を維持しながら30〜33℃、27〜28インチHgで蒸留した。次いで、混合物をiPAc(30L)でフラッシングし、10Lまで濃縮した。iPAc蒸留は、共沸によって水分を除去するために使用される。最終KFは129.2μg/mLであった。20LのPhClを用いた継続的蒸留によって、混合物をクロロベンゼンに溶媒交換した(シーブ乾燥、KF 40μg/mL)。バッチの
1H NMRではiPAcの残留は示されなかった。バッチの最終KFは83μg/mLであった。この溶液に、Pelletモレキュラーシーブス(4A,8〜12メッシュ)を添加し、混合物を30分間撹拌した。反応液をN
2で不活性にし、ACE−Cl(2.6L,1.3当量)を40分間にわたって滴下した。反応液を90℃まで加熱し、3.5時間保持した。反応は発熱性である(約15℃上昇)。発熱が加熱前のように低速化するまで反応液をRTで20分間熟成させた。最初は橙色であるこの溶液は、ACE付加物2が形成されると粘稠性の黄色スラリーになり、これは、カルバメート中間体3が形成されるにつれて、徐々に溶解して暗い緑色がかった褐色溶液になる。反応物の変換は、ACE付加物2からカルバメート中間体3への変換によってモニタリングされる。
【0080】
反応液を周囲温度まで冷却した。このバッチをSOLKA FLOKに通して濾過してモレキュラーシーブスを除去し、きれいな50L容の丸底フラスコ内に移した。MeOH(8.8L,11.9当量)を用いてフラスコと濾過ケークをすすぎ洗浄し、濾液を反応フラスコに添加した。わずかな発熱が観察された(5℃上昇)。発熱が低速化するまで反応液を15分間熟成させた。還流冷却器を取り付け、バッチを窒素下で65℃まで2時間加熱した。反応が完了しなかったため、さらにMeOH(4L,5.4当量)を添加し、混合物をさらに30分間還流した。反応中、溶液は暗い紫色になり、大きな白色の結晶が形成され始めた;還流温度に達した直後に晶出を開始した。反応物の変換を塩化ベンジルに対するカルバメート中間体3の比率によって測定し、>99.5%であった。反応は、通常、2時間で終了する。固形物を濾過によって単離した(この移動の終了のために母液を使用)。このケークを3:1 MeCN/MeOH(2×4.5L)で洗浄し、N
2テント下、フィルター上で2日間乾燥させた。生成物を淡いピンク色の結晶性の固形物として(3.76kg,96.6wt%,>99.5A%)、87.7%の収率(未補正)で得た。母液およびMeCN/MeOH洗浄液のHPLCアッセイでは、それぞれ、0.11g/Lの減量(0.08%)および0.0264g/Lの減量(<0.05%)が示された。
工程5
【0081】
【化15】
メカニカルスターラー、還流冷却器、熱電対およびN
2/真空ラインを備えた50L容の4つ口丸底フラスコに、DMF(13L)、Boc−L−ヒドロキシプロリンメチルエステル(2.86kg,11.67mol)およびCDI(1.88kg,11.62mol)を仕込んだ。反応液を真空/N
2サイクルで不活性にし、60〜65℃まで加熱した。CDIの添加は吸熱性であり、温度が0℃に低下した。昇温させると、最初のスラリーは溶解した。中間体になる反応は
1H NMRによって確認した。ブロモインドリンHCl(2.60kg,11.09mol)を反応混合物に添加し、60〜65℃での熟成を継続した。混合物は、最初はスラリーであったが、反応が進行するにつれて溶解した。最終反応液は均一な赤味がかった橙色溶液であった。4時間後、反応物の>99.5%の変換が示された。
【0082】
最後の反応溶液に13LのDMFを添加した。水(26L)を添加して生成物を晶出させた。2.6Lの水の添加後、および4Lを添加後に再度、混合物に種晶添加した。種晶添加後の水の添加は、良好な種晶床を形成させるために非常にゆっくり行なった。5Lの水を添加すると混合物は非常に粘稠性となり、約10Lを添加すると、最終的に撹拌不可能となった。撹拌を維持するため、混合物中でN
2を起泡させた。充分な混合が行なわれるのに充分な容量にするため、最後の16Lの水は非常に素早く添加した。最終混合物は非常に粘稠性のピンク色のスラリーであった;生成物は顕微鏡検査によると針状物であった。固形物を濾過によって30℃で単離した。このケークを1:1 DMF/水(2×9L,交換)次いで、水(2×10L,交換,次いで、24L,スラリー)で洗浄した。このケークをN
2下で乾燥させた。1日後、水分の除去を補助するためにケークをヘプタン(10L,スラリー)で洗浄した。このケークを、N
2下、フィルター上で5日間乾燥させ、次いで、トレイに移し、真空炉内で、N
2を流しながら45℃で1日、次いで、一定重量になるまで55℃で2日間乾燥させた。生成物を薄ピンク色の固形物として(4.75kg)91.2%の収率で得た。
中間体A2
【0084】
【化17】
1L容の丸底フラスコ内で、ヒドロキシプロリンメチルエステル(37.8g,208.1mol)を300mLの1M Na
2CO
3に溶解させた。300mLのiPAcを添加し、混合物を10℃まで冷却した。CBZ−Cl(29.5mL,207.5mmol)を、滴下漏斗から30分間にわたってゆっくり添加した。得られた二相性混合物を一晩撹拌して完結させた。層を分離し、有機層を150mLの水で洗浄した。有機層をMgSO
4上で乾燥させ、濃縮すると無色の粗製油状物となり(54.33g,94%収率)、これを、さらに精製せずに使用した。
工程2
【0085】
【化18】
メカニカルスターラー、熱電対およびN
2/真空ラインを備えた3L容の4つ口丸底フラスコに、DMF(190mL)、Cbz−L−ヒドロキシプロリンメチルエステル(54.33g,194,5mmol)およびCDI(30.40g,187.5mmol)を仕込んだ。反応液を真空/N
2サイクルで不活性にし、65〜70℃まで加熱した。1時間後、反応物の中間体への97%の変換が示された。
【0086】
ブロモインドリンHCl(41.42g,176.6mmol)を反応混合物に添加し、65〜70℃での熟成を継続した。混合物は、最初はスラリーであるが、反応が進行するにつれて溶解する。最終反応液は均一な赤味がかった橙色溶液である。6時間後、反応物の>99%の変換が示された。最後の反応溶液に190mLのMeCNを添加した。水(380mL)を添加して生成物を晶出させた。60mLの水の添加後、混合物に種晶添加し、熟成させて種晶床を発達させた。種晶添加後の水の添加は、良好な種晶床を形成させるために非常にゆっくり行なった。添加中、スラリーは非常に粘稠性となり、激しく撹拌することが必要である。固形物を濾過によって単離した。このケークを1:1 DMF/水(200mL)で、次いで水(2×200mL)で洗浄した。このケークを、N
2下にてフィルター上で、次いで、50℃の真空炉内で6時間乾燥させた。生成物を薄ピンク色の固形物として(80.60g)91%の収率で得た。
中間体B
中間体B1
【0088】
【化20】
50L容の丸底フラスコに、THF(10L)、ジイソプロピルアミン(3.25L,2.35kg,23.2モル)を仕込み、−20℃あたりまで冷却した。ヘキシルリチウム(2.3M/ヘキサン,9.65L,22.2モル)を、−20〜−10℃で30分間にわたって添加し、添加終了後、さらに15分間熟成させた。温度を−10〜−20℃に維持しながら、イソ酪酸エチル(2.84L,2.46kg,21.1モル)を15〜30分間にわたって添加した。添加終了時、DMPU(2.53L,21.1モル)を数分間にわたって添加し、得られた溶液を−10〜−20℃で15分間熟成させた。次いで、温度を−20℃あたりに維持しながら、4−ブロモ−1−ブテン(2.255L,3.0kg,22.2モル)を15〜30分間にわたって滴下した。得られた溶液(スラリー:LiBr)を−20℃で30分間熟成させ、RTまで昇温させ、さらに1時間熟成させ、MTBE(21L)と(1.5N)HCl水溶液(17L,25.3モル)間に分配した。層を分離した;有機層を水(2×17L)で洗浄し、濃縮すると(3,31kgアッセイ,92%収率)油状物になり、これをPhMe(6L)に溶解させ、再度濃縮して「乾固」させ、4.85kgの粗製の油状生成物を得(65wt%,3.16kgアッセイ,88%単独収率)、これをそのまま、さらに精製せずに次の工程で使用した。
工程2
【0089】
【化21】
72L容の丸底フラスコにDiBAl−H(30.7L,30.7モル)の1MのTHF溶液を仕込み、−20℃あたりまで冷却した。温度を−10℃あたりに維持しながら、粗製エステル(2.9kg,75wt%,2.18kgアッセイ,12.8モル)を30分間にわたって添加した。このバッチを30分間熟成させ、MTBE(22L)と1.5Mのロッシェル塩水溶液で構成された二相性溶液(0℃まで冷却)中に30分間にわたって逆添加した。得られた混合物を5〜10℃で1時間熟成させ、RTまで昇温させ、2時間熟成させた。クエンチすると、非常に軽度の発熱が観察された。この溶液を0℃あたりで撹拌すると、いくぶん発熱活性を伴いながら(これは、冷却することによって制御した)粘稠性となり始めた。この二相性混合物は、熟成させると粘稠性が緩和された。
【0090】
層を分離し、有機層を(1N)HCl水溶液(17L,17モル)、水(2×17L)で洗浄し、濃縮し、3.2kgの粗製の油状生成物を得(51wt%,1.64kgアッセイ,100%アッセイ収率)、これをそのまま、さらに精製せずに次の工程で使用した。
工程3
【0091】
【化22】
50L容の丸底フラスコにDMF(13L)、粗製アルコール(3.21kg,51wt%,1.64wt%,12.8モル)を仕込み、+5℃あたりまで冷却した。CDI(2.67kg,16.5モル)を分割して15分間にわたって添加した。得られた均一な混合物をRTで30分間熟成させた。
【0092】
最初の分割量のCDI(2.075kg,12.8モル)を添加し、反応物は
1H−NMRによって確認した(CH
2O−CDI付加物/CH
2OH:δ 4.1ppmおよび3.25ppm)。δ 3.25ppmが消失するまで、さらにCDIを添加した。反応は発熱性であり、温度は15分間にわたって20〜30℃まで上昇した。L−tert−ロイシン(2.16kg,16.5モル)を反応混合物に一気に添加した後、TEA(2.5L,17.9モル)を添加した。得られたスラリーを+90℃まで12時間加熱し、RTまで放冷した。熟成させると、+90℃でスラリーは均一な溶液になった。
【0093】
この溶液をMTBE(15L)と(0.5N)NaOH水溶液(19L)間に分配した。層を分離し、有機部分を廃棄した。塩基性のDMF水層にMTBE(24L)を添加した。(6N)HCl水溶液溶液(約11L)でpH約l〜2に中和した。層を分離し、有機層を水(2×15L)で洗浄した。有機溶液を濃縮し、MeCNに交換し(約50L最終,KF<1000ppm,典型的には、KF約500ppm)、+45℃まで加熱した。DCHA(0.5L,2.23モル)を1時間にわたって添加した。塩を晶出させ、溶液を+45℃で6時間熟成させ、スラリーをRTまで放冷し、数時間熟成させ、濾過し、MeCN(10L)ですすぎ洗浄した。得られた白色の塩を+40℃で炉内で48時間乾燥させ、5.1kgの生成物を得た(85%全収率)。
中間体B2
【0095】
【化24】
2L容の丸底フラスコに、THF(520mL)、ジイソプロピルアミン(121.4g/168.2mL,1.2モル)を仕込み、−20℃あたりまで冷却した。ヘキシルリチウム(2.3M/ヘキサン,500mL,1.14モル)を−20〜−10℃で30分間にわたって添加し、添加終了後、さらに15分間熟成させた。温度を−10〜−20℃に維持しながら、イソ酪酸エチル(127.8g/147.8mL,1.1モル)を30分間にわたって添加した。添加終了時、DMPU(132.5mL,1.1モル)を数分間にわたって添加し、得られた溶液を−10〜−20Cで15分間熟成させた。次いで、温度を−10〜−5℃に維持しながら、1−ブロモ−2−ブチン(149.2g,1.12モル)を30分間(mintue)にわたって滴下した。添加終了時、溶液を15分間熟成させ、MTBE(1.1L)と(1.5N)HCl水溶液(910mL,1.36モル)で構成された二相性クエンチ液に逆添加した。層を分離し、有機層を水(2×910mL)で洗浄し、濃縮すると油状物になり、これをPhMe(220mL)に溶解させ、再度濃縮して「乾固」させて粗製物油状物として得、これを、そのまま、さらに精製せずに次の工程で使用した。アッセイ収率:95%(176gアッセイ)。
工程2
【0096】
【化25】
5L容の丸底フラスコに、DiBAl−H(1.5L,2.3モル)の(1.5M)PhMe溶液を仕込み、−20℃あたりまで冷却した。温度を−10℃あたりに維持しながら、粗製エステル(176gアッセイ,1.05モル)を30分間にわたって添加した。このバッチを30分間熟成させ、添加過程中、温度を25℃より下に維持しながら、−10℃まで冷却した(3N)HCl水溶液溶液(1.6L,4.8モル)に1時間にわたって逆添加した。
【0097】
反応は−20〜−10℃の温度で即時的であり、GCによって判断した。クエンチは発熱性であり、溶液の添加および冷却の速度によって制御した。得られた二相性溶液の温度を20℃あたりに維持した(pH約3)。
【0098】
得られた混合物をRTで1時間熟成させると、層を分離した。有機層を水(2×1.4L)で洗浄し、濃縮し、粗製生成物を油状物として得(約75wt%(NMRによる),126gアッセイ,95%単独収率)、これをそのまま、さらに精製せずに次の工程で使用した。
工程3
【0099】
【化26】
3L容の丸底フラスコに固体のKOt−Bu(99g,0.84モル)を仕込んだ後、355mLの1,3−ジアミノプロパンを仕込んだ。スラリーを脱気し、−5℃あたりまで冷却した(1,3−ジアミノプロパンは−10℃で凝固する)。この冷却反応混合物にヘキシルリチウム(2.3M/ヘキサン、456mL,1.05モル)を、内部温度が0℃より下に維持されるような速度で(約45分間)滴下した。添加過程中、白色の粘着性の固形物(1,3−ジアミノプロパンのLi塩)の形成が観察された。この塩を、可溶性である対応するK塩に変換した。添加終了時、30分間の添加後熟成中にバッチを+10℃まで昇温した。バッチの濃縮(<25℃)によってヘキサンを除去した。次いで、反応混合物を−5℃まで冷却し、次いで、アルキンアルコール(温度を−5〜+8℃に維持しながら、PhMe中75wt%,50.5g,37.85gアッセイ,0.3モル)を添加した。次いで、反応混合物をRTまで昇温し、2.5時間熟成させた。
【0100】
次いで、反応混合物をゆっくり逆クエンチすると、850mLの水と530mLのMTBEで構成された冷二相性混合物になった。得られた二相性混合物をRTで20分間熟成させると、層を分離した。次いで、有機層を250mLの(6N)HClと250mLの水で洗浄し、濃縮すると油状物になり、これをPhMe(100mL)に溶解させ、再度濃縮して「乾固」させ(KF<250ppm)、粗製アルコールを油状物として得、これをそのまま、さらに精製せずに次の工程で使用した。アッセイ収率:34wt%で87gの粗製生成物[NMRアッセイ,29.9g(80%)]。
工程4
【0101】
【化27】
2L容の丸底フラスコに粗製アルコール(63.1gアッセイ,0.5モル)のDMF(0.5L)溶液を仕込み、+10℃あたりまで冷却した。CDI(81.1g,0.5モル)を分割して10分間にわたって添加した。得られた均一な混合物をRTで30分間熟成させた。反応物は
1H−NMRによって確認した(CH
2O−CDI付加物/CH
2OH:δ 4.17ppmおよび3.35ppm)。必要な場合は、δ 3.35ppmが消失するまで、さらにCDIを添加した。CDIを添加すると吸熱が観察され、次いで、アルコールとCDIを反応させると発熱が起こった。20℃あたりまで15分間にわたって昇温させた。
【0102】
L−tert−ロイシン(65.6g,0.5モル)を一気に添加した後、TEA(76.7mL,0.55モル)を添加した。得られたスラリーを+90℃まで12時間加熱し、RTまで放冷した。熟成させると、スラリーは+90℃で均一な溶液になった。この溶液をn−ヘプタン(1L)と水(0.5L)間に分配した。層を分離し、有機部分を廃棄した。
【0103】
塩基性のDMF水層をMTBE(1.5L)を用いて分配し、(12N)濃HCl溶液(約0.15L)でpH約1〜2に中和した。層を分離し、有機層を水(2×1L)で洗浄した。有機溶液を濃縮し、MeCNに交換した(約1L最終,KF約200ppm)。DCHA(89.7mL,0.45モル)を1時間にわたって添加し、塩を晶出させた。スラリーをRTで数時間熟成させ、濾過した。得られた白色の塩を+45℃で炉内で24時間乾燥させ、150gの生成物を得た(72%全収率)。
中間体C
中間体C1
【0105】
【化29】
9LのMeCN中にグリシンエチルエステルHClとNEt
3を含むスラリーに、21℃でPhCHOを30分間にわたって添加すると、38℃までの発熱が観察された。スラリーを1.5時間熟成させ、反応の終了をHPLCとNMRによって判断した(>98%)。スラリーを濾過し、ケークを2×20LのPhMeで洗浄し、次いで、濾液を真空で抽出器内に移し、13Lの水で希釈した。相分離し、有機相を20Lに濃縮し、直接次の工程に採用した。有機層を6.0kgのイミンにおいてアッセイした(97%収率)。
工程2
【0106】
【化30】
1,4−ジブロモ−2−ブテンのPhMe(10L)の均一な溶液を、上記のイミンのPhMe(およそ20L)の均一な溶液に注入した。合わせたこの溶液を、温度を<40℃に維持しながら、リチウムtert−ブトキシドのPhMe(30L)のスラリー(10℃まで冷却)に、30分間にわたって添加した。変換の終了(<3時間後)はHPLCによって判断した(99%)。
【0107】
この濃度の薄い赤色スラリーを15℃まで冷却し、<30℃に維持しながら、23Lの3M HClを30分間にわたって添加し、pHを0.25にした。水相を真空で50L容の抽出器内に移し、有機相を6Lの水で1回洗浄して残留アミンを回収し、3M HClクエンチ液と合わせた。有機部分はアッセイ後に廃棄され得る。水性部分を9LのPhMeで1回洗浄して残留PhCHOを除去し、アッセイ後に廃棄した。
【0108】
水性部分を5℃まで冷却し、温度を<30℃に維持しながら、50wt% NaOHを真空で10分間にわたって移し、pH11にし、14LのiPAcで希釈した。相分離し、次いで、水性部分を6LのiPAcで再度抽出し、3%の残留遊離アミンを回収した;最初の抽出物には98%の遊離アミンが含まれていた。水性部分はアッセイ後に廃棄され得るが、有機相(3100gの生成物が存在;65%収率)は、そのまま、Boc保護工程のために準備した。
工程3
【0109】
【化31】
重炭酸ジ−tert−ブチルを先の工程のアミンのiPAcの均一な溶液に注入し、周囲温度で8時間撹拌した;35℃までの低速発熱とともに低度から中程度の起泡が観察された。HPLCによって97%の変換が観察されたとき、反応を9Lの水でクエンチした。次いで、水相を5Lのブライン(飽和)で希釈し、15LのiPAcで逆抽出し、残留物質を回収した。合わせた有機部分を濃縮すると油状物になり(4300g;85%収率)、これを再溶解のために準備した。さらなる操作は必要なかった。
工程4
【0110】
【化32】
50Lの0.1M K
2HPO
4(0.87kgを50Lの水に溶解することによって調製)に、12Lのアルカラーゼ(NOVOZYMES)と、1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル(4.2kg)のDMSO(12L)溶液を添加した(10℃発熱)。反応液を40℃まで加熱し、5N NaOH(およそ2.3L)の連続添加によってpHを8.0に維持した(pH制御ユニットを使用)。
【0111】
再溶解の終了(およそ6日)後(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステルのキラルGCアッセイに基づく,所望のエステルエナンチオマーについて>99%EEが示された)、反応液をRTまで冷却し、5N NaOH(およそ0.5L)を用いてpHをpH8.5に調整した。酢酸イソプロピル(50L)を添加した。水層を廃棄し、20Lのブラインを添加した。水性ブラインを沈降させた後、有機層中のエマルジョンを低速撹拌下で分解させた。有機相を真空濃縮した。3.5kgの粗製油状物を得た。1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステルのアッセイにより、1.96kgが存在することが示された(46.7%収率;>99%ee)。
工程5
【0112】
【化33】
分割したこの粗製エチルエステルを131mLのMeOHと27mLの50wt% NaOHで希釈し、溶液を40℃まで1時間加熱し、酸に100%変換された(HPLCによる)。この均一な反応液を周囲温度まで冷却し、327mLのiPAcと327mLの水で希釈した。相分離し、有機相を163mLの水で1回洗浄し、残留した酸を回収した。水相を合わせ、327mLのiPAcで希釈し、54mLの12M HClでpH2に酸性化した。有機相を収集し、水相を163mLのiPAcで1回抽出した。有機相を合わせ、濃縮し、赤橙色油状物を得た。
工程6
【0113】
【化34】
オーバーヘッドスターラー、熱電対および冷却器を取り付けた150mL容の丸底フラスコに、1(10.3g,45.3mmol)、iPAc(100mL,約10V)を仕込んだ後、CDI(8.1g,49.9mmol,1.1当量)を仕込んだ。スラリーを40℃で1時間にわたって熟成させた。中間体の形成の完了は、NaOMe/MeOHクエンチ液のHPLCによって確認した。変換が98%に達したら、反応混合物を15℃まで冷却し、DBU(8.3g,8.1mL,1.2当量)を仕込んだ後、シクロプロパンスルホンアミド(6.05g,49.9mmol,1.1当量)を仕込んだ。このバッチを40℃で90分間にわたって熟成させ、試料をHPLC用に採取し、99%の変換を得た。3N HCl(60mL)をゆっくりと、バッチに15℃で仕込んだ。層を分離した(aq pH=2〜3)。アッセイ収率=92%。有機層を40mLまで濃縮し、120mLのヘプタンを10分間にわたって添加した。スラリーを濾過した(このとき、上清み濃度は5mg/g未満である)。このケークを50mLのヘプタンで洗浄した。14.6gのわずかに湿性の固形物(2)を収集した。ML減量は4.3%であった。
工程7
【0114】
【化35】
水素化槽に、1(1.8kg,5.7モル)のMeOH(10.8L(6V))溶液を仕込んだ後、Ru/C(140g,7.5wt%)を仕込んだ。槽をN
2(20psig)下に置き、3回大気圧に解放して残留酸素を除去した。次いで、槽をH
2(50psig)下に置いた。反応液は、最初の約30分間によって特性評価した。開始後、H
2の消費は急速であり、6℃の発熱を伴った。H
2の消費量に基づくと、反応液は<5時間で終了した。触媒を含む水素化終了時の反応混合物は、RTで少なくとも12日間安定であった(HPLC)。
【0115】
20時間後、槽を大気圧に解放した。次いで、反応スラリーを反応液から取り出し、SOLKA FLOKに通して濾過し、透明な淡褐色溶液を得た。SOLKA FLOKをMeOH(3.6L,2V)ですすぎ洗浄した。HPLCにインジェクションした濾液は、98A%より高い2への変換を示す。MeOHを減圧除去し、固形の生成物2を回収し(90%収率,99.0%ee)、これを後続の脱保護工程で使用した。
工程8
【0116】
【化36】
オーバーヘッドスターラー、熱電対および冷却器を取り付けた100L容の丸底フラスコに、2(1.8kg,5.4モル)を仕込んだ後、1−プロパノール(32L,18V)を仕込んだ。このスラリーに、RTでPTSA(1.3kg,6.9モル,1.3当量)を添加し、スラリーを60℃で3時間にわたって熟成させた。このバッチは、50℃まで加熱すると透明な溶液になり、60℃で1時間後、バッチは重質スラリーに形成される(充分な撹拌が必要とされる)。このバッチを45℃まで放冷し、ヘプタン(9L,5V)を10分間にわたって添加し、スラリーを20℃まで放冷した。HPLC用に採取したバッチ試料は97%より高い変換を示す。このバッチを濾過し、ケークをヘプタン(7L,4V)で洗浄し、真空下、RTで1時間にわたって放置した。白色の固形物をトレイに移し、真空炉内に40℃で一晩放置して乾燥させた。1.6kg(4モル,74%)の固形物4(99.9A%,99.0%ee)を収集した。開環不純物の量は0.08A%に減少した。ML減量は約12%であった。
【実施例】
【0117】
実施例1〜5:構造式III−205を有する例示化合物の調製方法
【0118】
【化37】
【実施例1】
【0119】
工程1
【0120】
【化38】
きれいな100L容のビュッヒ槽に、20LのNMPを仕込んだ後、固体の3.00kgの中間体A1と4.03kgの中間体B1を仕込んだ。さらに10LのNMPを用いて、分液漏斗をすすぎ洗浄した。得られたスラリーを1時間で100℃までにし、内部温度を徐々に93〜94℃に安定化させた。温度がほぼ60℃に達したら、スラリーは淡褐色溶液になり、バッチを脱気し、N
2を3回戻し充填(backfill)した。温度が93〜94℃で安定化したら、バッチを再度脱気し、N
2を2回戻し充填した。この時点で、内部温度は93〜99℃の間で変動する。
【0121】
N
2保護下で、高温バッチに漏斗から81.2gのPd(tBu
3P)
2を仕込んだ。触媒を仕込んだ直後にバッチを激しく脱気し、N
2を2回戻し充填した。20分後、反応液は混濁状態になり、DCHA・HBr塩が析出し始めた。
【0122】
触媒を仕込んでから80分後に反応液の試料を採取し、HPLCにより、ブロミドの変換の終了が示された。このバッチを10℃まで冷却した後、フィルターポットで濾過した。反応槽を24LのiPAcでさらにすすぎ洗浄し、すすぎ液を最初の濾液と合わせた。この透明な褐色の有機濾液をゆっくりと、激しい撹拌下の90Lの1N HCl溶液(7.5Lの濃HClと82.5Lの水から構成)を入れた150L容の抽出槽内にポンプ輸送した。層を分離した後、水層の試料採取により、<0.1g/Lの生成物が示された。
【0123】
水層をポンプ輸送によって抽出槽に戻し、24LのiPAcで再度抽出した。層を分離した後、有機層を合わせ、50Lの1N HCl溶液(4Lの濃HClと46Lの水で構成)で2回洗浄した後、50Lの水で2回洗浄した。湿性のiPAc層を100L容の丸底フラスコ内にポンプ輸送し、RTで撹拌しながら30分間、1173gのDARCO G60で処理した後、スラリーをSOLKA FLOK(約1kg)に通して濾過した後、さらに4LのiPAcで洗浄した。
【0124】
総重量38.1kgの溶液を収集し(d=0.900g/mL)、生成物のiPAc溶液をビュッヒ槽に移し、−15℃まで冷却した。このバッチを脱気し、N
2を3回戻し充填した後、−15℃で放置した。
工程2
【0125】
【化39】
ビュッヒ槽内に保存した工程1の生成物の冷バッチを18.7kg(バッチ1)と19.2kg(バッチ2)の2つのバッチに分けた。各バッチを10−G(10ガロン)容のハステロイ水素化槽内に移した。1.00kgの10%Pd/Cを4LのiPAcでスラリー状にし、この水素化槽内に移した。水素化条件:40psi,RT。
【0126】
127分の時点での第1のバッチの試料採取で>99%の変換が示され、120分の時点での第2のバッチの試料採取では98.6%の変換が示された。第2のバッチをさらに30分間、さらに水素化すると、最終的に>99%の変換が達成された。このバッチをカーボイ内に移し、ハステロイ水素化槽を20LのiPAcですすぎ洗浄した。
【0127】
この2つのバッチをSOLKA FLOKに通して濾過した(Pd/C触媒の燃焼を抑制するためにN
2保護下で)後、ケークを2つのカーボイのiPAcすすぎ洗浄液ですすぎ洗浄した。2LのiPAcでのケークの最終すすぎ洗浄により、さらに、生成物の濃縮が最終流中で<0.5g/Lまで行なわれた。濾液を収集し、1μmインラインフィルターに通してビュッヒ槽内に移した。このバッチを−15℃まで冷却し、脱気し、N
2を3回戻し充填した後、保存した。アッセイ収率:工程9と10で96%。
工程3
【0128】
【化40】
飽和Boc−酸のiPAc溶液(74.98kg,53.8g/kg,4033.7g基質,5.97mol)を、メカニカルスターラー、バッチ冷却器、熱電対およびN
2/真空ラインを備えた50L容の4つ口丸底フラスコ内に、25〜30℃、28〜29インチHgでの蒸留下で、約20Lの一定容量を維持しながら供給した。バッチの移し変えの終了後、さらに30LのiPAcを供給して共沸蒸留し、水分を除去した。この飽和Boc−酸は60℃で、または空気の存在下、RTで長期間不安定である。反応液を過熱しないように注意しなければならない。最終バッチのKFは250μg/mLであった。このバッチは、常時、N
2下で維持および保存した。
【0129】
このバッチに10LのiPAcを添加した(総容量は30Lであった)。このバッチを30℃まで加熱し、蒸留を低速にするために真空下に置いた。MsOH(1695.5g,17.64mol)を5LのiPAcで希釈し、低速蒸留を継続しながら、30分間にわたってバッチ内にゆっくり供給した。反応液を30〜35℃で2時間熟成させた。反応は99%変換まで進んだ。次いで、バッチを20〜25℃、29〜30インチHgで約15Lまで濃縮し、移送のためにポリ容器内に移した。移送はiPAc(1L)を用いて終了した。
【0130】
このアミノ酸溶液を直接次の工程で使用した。この溶液はアッセイしなかった;シーケンス全体の試料採取を考慮し、100%変換に基づいて収率を計算した。MsOHを含むアミノ酸のiPAcの最終溶液はRTで、および冷凍庫内で長期間不安定であり、加水分解による4〜5%までの二酸が生成した。
工程4
【0131】
【化41】
20℃で、500−G容の槽に、DMF(400L)、DMAP(0.330kg,2.95mol)、およびDIPEA(2.9kg,22.4mol)を仕込んだ。この溶液を撹拌し、DMAPが溶解した(約10分間)後、前大環状環1(5.9mol,0.369mol/kg)のiPAc溶液を添加した。基質を添加すると、2℃の発熱が観察された。DIPEAの仕込量は、以下:0.8当量+先の工程で使用された酸の当量数として計算した。20℃で、HATU(3.15g,8.3mmol)を固形物として一気に仕込んだ。HATUの仕込みの1時間後、反応の終了をHPLCによって判断した(>99A%の変換)。この添加は強い発熱性のため、温度を25℃より下に維持しながら、このバッチに水(110L)を添加した。
【0132】
先で生成させた種晶(アッセイに基づくと1.5mol%)のスラリーを添加し、バッチを一晩熟成させた。バッチの目視検査により、種晶は保持されていないことが明らかになった。そのため、このバッチに2時間にわたって、さらに水(75L)を仕込んだ。3時間の熟成後、バッチは自己種晶形成(self−seeded)した。また、さらに種晶のスラリーも添加した(1.0mol%)。残りの水(215L)を添加し、バッチを一晩熟成させた。結晶化度を改善するため、バッチは、水の添加後に50℃まで加熱され、20℃まで冷却され得る。この溶液を濾過し、濾過ケークを水(50L×2)ですすぎ洗浄した。得られた湿性ケークを、N
2をスイープしながら一晩真空乾燥させた。収率=59%,2.88kg,68wt%,6A%二量体。
【0133】
オーバーヘッドスターラー、熱電対、還流冷却器およびN
2供給口を取り付けた100L容の丸底フラスコに、iPAc(6.1L)とMeCy(8.9L)を仕込んだ。5分間の撹拌後、エステルを添加し、バッチを50℃まで昇温させた。2時間の熟成後、残りのMeCy(33.9L)を1.5時間にわたって添加し、白色スラリーをさらにl時間熟成させ、その時点で、バッチを20℃まで放冷し、一晩熟成させた。このバッチを濾過し、N
2をスイープしながら真空炉内で週末にかけて減圧乾燥させた。収量=1.9kg,97%回収,98.5wt%,0.7A%二量体,1.5%重量減少(TGによる)。
工程5
【0134】
【化42】
オーバーヘッドスターラーと熱電対を取り付けた100L容の抽出槽に、エステルのTHF溶液を仕込み、5℃まで冷却した。温度を15℃より下に維持しながら、水酸化リチウムの水溶液(1N,9.6L,9.6mol)を滴下漏斗から、30分間にわたって滴下した。同じ滴下漏斗で、MeOHを15℃で10分間にわたって添加した後、白色の不均一な混合物をRTまで昇温させた。昇温させると、溶液は均一になった。約30分後、溶液は淡黄色から暗褐色になった。反応の終了(この時点で試料を採取した)をHPLC解析によって判断した(>99.9A%の変換)。このバッチを5℃まで冷却し、1N HClで処理して過剰のLiOHをクエンチした。添加後、溶液を20℃まで昇温させ、iPAc(18L,10容量)で希釈した。15分間撹拌後、層を分離させ、有機層を収集した(1.7kg,98%AY)。
【0135】
このiPAc溶液を20℃で10分間、DARCO KB−G(40wt%)で処理し、溶液をSOLKA FLOKに通して濾過した後、5μmインラインフィルターに通して濾過した(1.7kg,>99%回収)。温度を25℃より下に維持しながら、iPAc溶液を10Lまで減圧濃縮した。さらに10LのiPAcを添加し、バッチを10Lまで濃縮した。水分を共沸によって除去するにつれて、酸が溶液から晶出させた。この溶液をDMF(8L)で希釈し、最終バッチの容量が8Lになるまで濃縮を継続した。このバッチをDMF(2L)とiPAc(8L)で希釈した。
工程6
【0136】
【化43】
オーバーヘッドスターラー、N
2供給口、熱電対を取り付けた100L容の槽に、大環状酸溶液を仕込んだ。この溶液を撹拌し(as set stirring)、中間体C1を固形物として添加した。溶解したら(<10分間)、HOBtを固形物として添加した。このバッチを15℃まで冷却し、温度を20℃より下に維持しながら、DIPEAを滴下漏斗から添加した。固体のEDCを添加した。温度変化は観察されなかった(as observed)。3時間後、反応の終了をHPLCによって判断した(as judged)(>99.8A%の変換,91%AY,2.1kg)。
【0137】
このバッチを100L容の抽出槽に移し、10℃まで冷却し、iPAc(16.8L)と水(33.6L)で希釈した。混合物を10分間撹拌した。層を分離させ、水層を廃棄した(pH=6〜7)。HCl水溶液をiPAc層に添加し、溶液を10分間撹拌した。層を分離させ、水層を廃棄した(pH=1〜2)。次いで、iPAc溶液を水/ブライン(15.1L/1.7L)で処理した。10分間の撹拌後、層を相分離させ、水層を廃棄した(pH=2〜3)。iPAc溶液を濃縮し、エタノール中のiPAcが2.5mol%になるまで(
1H NMR分光法によって判断)、エタノール(50L)でフラッシングした。収量=2.02kg,87%AY。
工程7
先の工程のエタノール溶液を、1ミクロンインラインフィルターに通して75L容の丸底フラスコに仕込み、次いで、さらに2Lのエタノールですすぎ洗浄した。20%のKOH wt/vを含有するエタノール(930gを7Lのエタノールと混合)を添加し、バッチを50℃まで加熱した。KOH含有エタノールを、まず1Lゆっくり添加した;バッチに15gの種晶を種晶添加し;1LのKOH含有エタノールを添加し、バッチを20分間熟成させた。このバッチを30分間にわたって静置し、次いで、2Lのエタノールですすぎ洗浄し、50℃で1時間熟成させた。次いで、バッチをRTまで3時間にわたって冷却し、RTで一晩熟成させた。このバッチを濾過し、3Lのエタノールで洗浄し、エタノールが完全に除去するまで風乾した。固形物の重量:2164g(93%wt.純粋なK塩,純度の補正後および種晶91%)。
【実施例2】
【0138】
工程1&2
工程1と2は、上記の実施例1の工程1と2に従って行なった。
工程3
【0139】
【化44】
工程2のBoc保護生成物のiPAc溶液(およそ14.2kg)を400L容の槽に仕込んだ。この溶液を20Lの容量まで減圧蒸留し、PhMe(116kg)を槽に仕込み、45Lの容量まで再蒸留することによりPhMeに溶媒交換した。PhMeで容量を68Lにし、KF=90μg/mLおよび0.17%のiPAcの解析結果を得、溶液を20℃で一晩放置した。
【0140】
このバッチを5℃まで冷却し、11℃より下で槽にTFA(47.9kg)を仕込んだ。混合物を23℃まで昇温させ、この温度で80分間撹拌した。HPLCにより、反応の終了、<1%の出発物質の存在が示された。混合物を<40Lの容量まで<30℃で減圧濃縮し、槽にトルエン(116kg)を仕込み、この溶液を<40℃で40Lの容量まで濃縮した。この溶液の解析で、生成物:TFAの比率1:1が示された。DMF(132kg)をバッチに仕込み、このバッチを80Lの容量まで濃縮した。この溶液をそのまま次の工程で使用し、遊離アミン(12.1kg)の定量的収率を推定した。
工程4〜7
工程4−7は、上記の実施例1の工程4〜7に従って行なった。
【実施例3】
【0141】
工程1
【0142】
【化45】
1000mL容の3つ口丸底フラスコに、中間体A2、中間体B1、NMP(75mL)およびオーバーヘッドスターラーを仕込んだ。この不均一な撹拌溶液を45℃まで昇温させた。固形物がすべて溶解したら、赤橙色溶液を5回のN
2/真空パージサイクル(45秒間のN
2/45秒間のハウスバキュームを5回)に供し、N
2下に置いた。RTで脱気すると、扱いにくい泡状物の形成がもたらされた。
【0143】
触媒Pd(OAc)
2を大気下で化学天秤上で量り取り、次いで、速やかに反応溶液に移した。触媒を仕込んだ後、溶液を3回のN
2/真空パージサイクルに供し、N
2下に置き、100℃まで昇温させた。反応溶液は経時的に暗色になった後、黒色沈殿物が形成された。これは反応の終了と同時に起こった(1.5時間)。2時間後、溶液の試料を採取し、HPLCによって終了を判断した(>99A%の変換)。冷却すると不均一になった反応液にBHTを仕込み、水素化槽に移した。最初の反応槽をNMP(10mL×2)ですすぎ洗浄し、このNMPを水素化槽内の反応溶液と合わせた。生成物は酸素感受性のものと思われた;そのため、少量のBHTを常に添加する;バッチを5℃で保存した。
工程2
【0144】
【化46】
工程1の生成物の溶液にPd/Cを添加した。この溶液を水素化槽に移し、5回の真空/N
2パージサイクルに供し、RTでH
2ガス(40psig)下に置いた。一晩熟成後、溶液を大気圧に解放し、N
2ガス下に置いた。黒色の溶液をSOLKA FLOKの薄層に通して濾過し、濾過ケークをDMF(1000mL)ですすぎ洗浄した。生成物のDMF/NMP溶液を大環状化に持ち越した。
工程3
【0145】
【化47】
20℃で、前大環状環1(87.0mmol)のDMF/NMP溶液を、HOPO(14.5g,130,4mmol)を入れた12L容のフラスコに添加した。DMFとMeCNを添加した。10分後、DIPEA(30.3mL,174.0mmol)を、撹拌溶液に添加した後、EDC・HCl(33.3g,174.0mmol)を添加した。混合物をRTで一晩撹拌した。反応の終了をHPLCによって判断した(>99A%の変換)。熟成中、DCHA・HClを溶液から晶出させた。このバッチをROTOVAPで真空濃縮し(約20トール)、浴温度は50℃に設定した。濃縮の終了は、蒸留液の濃縮が停止したときで判断した。
【0146】
次いで、この溶液をSOLKA FLOKの薄層に通して濾過し、DCHA・HClを除去した。この溶液に、溶液22℃に維持しながら水(850g,総仕込量の30%)を30分間にわたって添加した。この時点で、先で生成させた種晶(350mg,理想収率に対して0.7wt%)を添加し、バッチを0.5時間熟成させた。バッチの目視検査により、薄い種晶床が存在することが明らかになった。このバッチに、さらに水(85Og,総仕込量の30%)を1時間にわたって添加した。終了したら、バッチを2時間保持し、残りの水(1.1kg,総仕込量の40%)をスラリーに、2時間にわたって添加した。このバッチを一晩(16時間)撹拌した。この溶液を濾過し、濾過ケークを水(500g×3)ですすぎ洗浄した。得られた湿潤ケークを、N
2をスイープしながら20時間真空乾燥させた。53.6g,67wt%(66%単独収率)。
工程4
【0147】
【化48】
エステルをiPAc(560mL)中でスラリー状にし、45 DCHAまで昇温させた。15分後、均一な溶液をRTまで冷却し、2つの等分割量に分けた。
【0148】
第1の分割量では、溶液を大環状エステル濃度189mg/gまで濃縮し、50 DCHAまで昇温させ、水(1.25mL,2.25 equiv)を添加した。10分後、先で生成させた種晶(85mg,0.5wt%)を添加し、薄い結晶性の種晶床を得た。30分後、メチルシクロヘキサン(470mL)を1.5時間にわたって添加し、バッチをRTまで、およそ2時間にわたって放冷した。一晩熟成後、溶液を濾過し、淡褐色の濾過ケークをMeCy/iPAc(98:2 MeCy/iPAc;50mL)で洗浄し、N
2をスイープしながら真空下で一晩乾燥させた。15.7g,92wt%,86%回収。
【0149】
冷却した均一な溶液の第2の分割量にはDARKO−KB−G(20wt%)を添加した。40分後、溶液をSOLKA FLOKの薄層に通して濾過した。濾過ケークをiPAc(33mL×3)ですすぎ洗浄した。合わせたiPAc層を、大環状エステル濃度が189mg/gに達するまで濃縮した。次いで、先で生成させた種晶(85mg,0.5wt%)を添加し、薄い結晶性の種晶床を得た。30分後、MeCy(470mL)を1.5時間にわたって添加し、バッチをRTまで、およそ2時間にわたって放冷した。一晩熟成後、溶液を濾過し、淡褐色の濾過ケークをMeCy/iPAc(98:2 MeCy/iPAc;50mL)で洗浄し、N
2をスイープしながら真空下で一晩乾燥させた。15.2g,96wt%,87%回収。総収量=29.0g,53.5%。
【実施例4】
【0150】
工程1〜5
工程1〜5は、上記の実施例1の工程1〜5に従って行なった。
工程6
【0151】
【化49】
オーバーヘッドスターラー、N
2供給口、熱電対を取り付けた500mL容の丸底フラスコに、大環状酸溶液を仕込んだ。この溶液を撹拌し、中間体C1を固形物として添加した。溶解したら(<10分間)、HOPOを固形物として添加した。このバッチを15℃まで冷却し、温度を20℃より下に維持しながら、DIPEAを滴下漏斗から添加した。固体のEDCを添加した。温度変化は観察されなかった。3時間後、反応の終了をHPLCによって判断した(>99.8A%の変換,94%AY,7.01g)。
【0152】
このバッチを500mL容の抽出槽に移し、iPAc(100mL)と水(100mL)で希釈した。混合物を10分間撹拌した。層を分離させ、水層を廃棄した(pH=6〜7)。HCl水溶液をiPAc層に添加し、溶液を10分間撹拌した。層を分離させ、水層を廃棄した(pH=1〜2)。次いで、iPAc溶液を水で、次いでブライン(50mL/50mL)で処理した。10分間の撹拌後、層を相分離させ、水層を廃棄した(pH=2〜3)。iPAc溶液を濃縮し、エタノール中のiPAcが2.5mol%になるまで(
1H NMRによって判断)、エタノール(50mL)でフラッシングした。収量=6.86g,92%AY。
工程7
【0153】
【化50】
300mL容の丸底フラスコに188gの遊離酸溶液(272.7mg/g)を仕込んだ後、72gの遊離酸エタノール槽フラッシング液(8.3mg/g)を仕込んだ。この溶液をRTで混合し、均一にした。アッセイにより、遊離酸は約51.9g(または68.6mmol)であった。この溶液を49℃まで加熱し、次いで、15.1mLの0.5MのKOHのエタノール溶液(50%のKOHとエタノールで構成)を槽内に仕込んだ。次いで、混合物を51℃まで加熱した後、約59.5gの種晶スラリー(エタノール中8.75wt%のK塩)を仕込んだ。種晶床を超音波処理し、約53℃で1時間熟成させた。種晶の負荷量は約10wt%(または約5.2g)のK塩とした。種晶床を熟成させたら、バッチを約53℃に維持しながら、142mLの0.5MのKOHのエタノール溶液を約10時間にわたって仕込んだ。このバッチを一晩熟成させ、上清み試料を採取した。このバッチを焼結ガラスフィルターで濾過し(フィルタージャケットは55℃)、次いで、180mLの加温エタノール(30〜40℃)で洗浄した。母液と洗浄液は約510mLの容量であり、pHは約8.5であった。このバッチをフィルターの底面に真空を適用することにより乾燥させ(ジャケットは55℃)、フィルターの上面は20℃および43%RHの周囲大気に開放した。55.3gのK塩には、KF約5.3%、残留エタノール約0.07wt%が含まれていた。ケークの純度は、98.9A% III−205、0.8A%二量体、0.2A%三量体、およびいくらかの微量低レベルの不純物であった。工程収率は、種晶の寄与を考慮すると85.9%であった。
【実施例5】
【0154】
工程1
【0155】
【化51】
フラスコに、中間体A2(10g)、中間体B2(11.1g)、Cs
2CO
3(6.5g)、PdCl
2(CH
3CH)
2(103mg)、リガンド(X−Phos,379mgまたはtBu
3P,160mg)、およびアセトニトリル(50mL)を仕込んだ。この溶液を5回のN
2/真空サイクルによって脱気し、次いで60℃まで昇温させた。2時間後、HPLCによる解析で反応の終了が示された。この溶液を水(100mL)とiPAc(200mL)でクエンチした。水性部分を分離し、水(100mL)を有機溶液に添加した。水性部分を再度分離し、HCl(1N,100mL)を有機層に添加した。30分間熟成後、溶液を濾過してDCHA・HClを除去し、水性部分を分離した。有機層を飽和ブライン(50mL)ですすぎ洗浄した。この溶液を濃縮乾固し、iPAc(80mL)に再溶解させた。この溶液を後続の水素化に使用した。アッセイ収量:14.4グラム,103%AY。
工程2
【0156】
【化52】
工程1の生成物のiPAc溶液(40mL)にPd/C(3g,10%Pd/C)とDMF(40mL)を仕込み、3回の真空/N
2パージで脱気し、H
2(80psi)下に置いた。一晩熟成後、溶液をSOLKA FLOKに通して濾過した。SOLKA FLOKをDMF/iPAc(200mL 50/50)ですすぎ洗浄し、ROTOVAPで濃縮してiPAcを除去した。このDMF溶液を大環状化工程に使用した。およその収量=4.69グラム,96%。
工程3
【0157】
【化53】
DMF(490mL)を、工程2の生成物を含有するDMF溶液に添加した。これに、2−ヒドロキシピリジン−N−オキシド(950mg)、4−ジメチルアミノピリジン(480mg)、DIPEA(1.52mL)、EDC・HCl(1.6g)を添加した。この溶液を一晩熟成させた。反応の終了を誘導するため、さらに2−ヒドロキシピリジン−N−オキシド(140mg)、DlPEA(0.23mL)およびEDC・HCl(0.245g)を添加した。3時間後、反応の終了を判断した。水(500mL)を添加して大環状生成物を晶出させた。この溶液を濾過し、白色固形物を一晩真空乾燥させた。収量:3.36g,74%収率。
【実施例6】
【0158】
例示化合物III−205のカリウム塩の固相の粉末X線回折(XRPD)パターンを、PW3040/60コンソールを備えたPHILIPS ANALYTICAL X’PERT PRO X−RAY DIFFRACTION SYSTEMにおいて得た。回折ピークの位置は、28.443度の2シータ値を有するシリコンを参照とした。PW3373/00セラミック製Cu LEF X線管K−α線を線源として使用した。特に記載のない限り、実験は周囲条件で実行した。
【0159】
固相カーボン13核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、BRUKER 4mm二重共鳴CPMASプローブを使用し、BRUKBR AV500 NMR分光器において収集した。スペクトルはすべて、プロトン/カーボン13可変振幅交差分極(VACP)を用いて収集し、接触時間は2ミリ秒、マジック角スピニング(MAS)は10kHz、およびTOSSスピニングサイドバンド抑制とした。40Hzの線広がりをスペクトルに適用した後、フーリエ変換した。化学シフトは、グリシンのカルボニル炭素(176.03ppm)を二次参照として使用し、TMSスケールで報告する。
例示化合物III−205のカリウム塩のエタノール溶媒和物A
エタノール溶媒和物Aは、50℃以上のエタノール/水(10ml/1ml)中での例示化合物III−205のカリウム塩の晶出によって得た。これは、溶媒と接触している状態でのみ安定である;XRPDパターンは湿潤ケークを用いて得た。
図1は例示化合物III−205のカリウム塩のエタノール溶媒和物AのXRPDパターンであり、選択したd値(d−spacing)を表1に示す。
【0160】
【表1】
例示化合物III−205のカリウム塩のエタノール溶媒和物B
エタノール溶媒和物Bは、40℃以下のエタノール/水(10ml/1ml)中での例示化合物III−205のカリウム塩の晶出によって得た。これは、溶媒と接触している状態でのみ安定である;XRPDパターンは湿潤ケークを用いて得た。
図2は例示化合物III−205のカリウム塩のエタノール溶媒和物BのXRPDパターンであり、選択したd値を表2に示す。
【0161】
【表2】
例示化合物III−205のカリウム塩の水和物A4
例示化合物III−205のカリウム塩の水和物A4は、10〜60%のRHで空気またはN
2を流しながら、エタノール溶媒和物AをRTで乾燥させることにより得た。
図3は例示化合物III−205のカリウム塩の水和物A4のXRPDパターンであり、選択したd値を表3に示す。
【0162】
【表3】
図4は、例示化合物III−205のカリウム塩の水和物A4の固相カーボン13 CPMAS NMRスペクトルである。水和物A4の特性ピークは、5.3、24.4、24.9、29.4、29.9、51.4、54.8、134.9、および178.2ppmに観察される。
例示化合物III−205のカリウム塩の水和物A2
例示化合物III−205のカリウム塩の水和物A2は、乾燥N
2をスイープしながらエタノール溶媒和物Aを真空下、50℃で乾燥させることにより得、次いで大気に曝露した。
図5は例示化合物III−205のカリウム塩の水和物A2のXRPDパターンであり、選択したd値を表4に示す。
【0163】
【表4】
図6は、例示化合物III−205のカリウム塩の水和物A2の固相カーボン13 CPMAS NMRスペクトルである。水和物A2の特性ピークは、3.8、4.5、22.2、23.0、28.6、33.8、44.6、53.0、136.0、および176.7ppmに観察される。
例示化合物III−205のカリウム塩の水和物D
例示化合物III−205のカリウム塩の水和物Dは、60%より高いRHで水和物A4に加湿N
2をスイープすること、または水和物A4を水と混合することにより得た。
図7は、例示化合物III−205のカリウム塩の水和物DのXRPDパターンであり、選択したd値を表5に示す。
【0164】
【表5】
図8は、例示化合物III−205のカリウム塩の水和物Dの固相カーボン13 CPMAS NMRスペクトルである。水和物Dの特性ピークは、154.3、156.9、169.6、176.4、および180.0ppmに観察される。
例示化合物III−205のカリウム塩の水和物F
例示化合物III−205のカリウム塩の水和物Fは、55〜80%のRHで空気またはN
2を流しながら、エタノール溶媒和物BをRTで乾燥させることにより得た。
図9は、例示化合物III−205のカリウム塩の水和物FのXRPDパターンであり、選択したd値を表6に示す。
【0165】
【表6】
図10は、例示化合物III−205のカリウム塩の水和物Fの固相カーボン13 CPMAS NMRスペクトルである。水和物Fの特性ピークは、153.7、155.1、155.8、157.7、170.3、171.5、172.7、174.3、および178.4ppmに観察される。
例示化合物III−205のカリウム塩の水和物G
例示化合物III−205のカリウム塩の水和物Gは、20%より低いRHでN
2を流しながら、エタノール溶媒和物Bまたは水和物FをRTで乾燥させることにより得た。水和物GのXRPDパターンは20%より低いRHで取得した。
図11は、例示化合物III−205のカリウム塩の水和物GのXRPDパターンであり、選択したd値を表7に示す。
【0166】
【表7】
【実施例7】
【0167】
例示化合物III−205の固相の粉末X線回折(XRPD)パターンは、実施例7において上記のようにして得た。
【0168】
固相カーボン13核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、BRUKER 4mm二重共鳴CPMASプローブを使用し、BRUKBR AV500 NMR分光器において収集した。スペクトルはすべて、プロトン/カーボン13可変振幅交差分極(VACP)を用いて収集し、接触時間は2ミリ秒、パルス遅延は2秒とし、一方、試料のマジック角スピニング(MAS)は10kHzとした。10Hzの線広がりをスペクトルに適用した後、フーリエ変換した。化学シフトは、グリシンのカルボニル炭素(176.03ppm)を二次参照として使用し、TMSスケールで報告する。
例示化合物III−205の酢酸エチル溶媒和物
例示化合物III−205の結晶性酢酸エチル溶媒和物は、水との共溶媒和物である。酢酸エチル溶媒和物は、酢酸エチルと酢酸イソプロピル中で行なう晶出によって調製した。
図12は、例示化合物III−205の結晶性酢酸エチル溶媒和物のXRPDパターンであり、選択したd値を表8に示す。
【0169】
【表8】
図13は、例示化合物III−205の結晶性酢酸エチル溶媒和物の固相カーボン13 CPMAS NMRスペクトルである。この酢酸エチル溶媒和物の特性ピークは、4.7、6.2、12.1、23.8、34.6、37.8、56.9、74.9、134.6および136.8ppmに観察される。
例示化合物III−205の水和物
例示化合物III−205の結晶性水和物は、酢酸エチルと酢酸イソプロピル中で行なう晶出によって調製した。晶出中に酢酸エチル溶媒和物が形成され、乾燥させると酢酸エチルが結晶から除去され、水和物形態が残った。
図14は、例示化合物III−205の結晶性水和物のXRPDパターンであり、選択したd値を表9に示す。
【0170】
【表9】
図15は、例示化合物III−205の結晶性水和物の固相カーボン13 CPMAS NMRスペクトルである。この水和物の特性ピークは、6.1、11.5、22.1、24.3、32.2、36.9、54.7、68.2、76.9および121.1ppmに観察される。
例示化合物III−205のヘプタン溶媒和物
例示化合物III−205の結晶性ヘプタン溶媒和物は、ヘプタンと酢酸イソプロピル中で行なう晶出によって調製した。晶出中にヘプタン溶媒和物が形成され、乾燥させるとヘプタンが結晶から除去され、無水和物形態が残った。
図16は、例示化合物III−205の結晶性ヘプタン溶媒和物のXRPDパターンであり、選択したd値を表10に示す。
【0171】
【表10】
図17は、例示化合物III−205の結晶性ヘプタン溶媒和物の固相カーボン13 CPMAS NMRスペクトルである。このヘプタン溶媒和物の特性ピークは、13.2、15.2、20.5、31.9、35.7、42.3、59.0、76.0、126.4および172.6ppmに観察される。
例示化合物III−205の無水和物
例示化合物III−205の結晶性無水和物は、ヘプタンと酢酸イソプロピル中で行なう晶出によって調製した。晶出中にヘプタン溶媒和物が形成され、乾燥させるとヘプタンが結晶から除去され、無水和物形態が残った。
図18は、例示化合物III−205の結晶性無水和物のXRPDパターンであり、選択したd値を表11に示す。
【0172】
【表11】
図19は、例示化合物III−205の結晶性無水和物の固相カーボン13 CPMAS NMRスペクトルである。この無水和物の特性ピークは、19.4、26.0、29.8、33.7、34.7、37.6、135.9、155.5、171.7および172.5ppmに観察される。
【0173】
上記および他の種々の特徴および機能またはその択一例は、多くの他の異なる系または適用用途に望ましく組み合わされ得ることは認識されよう。また、現時点で予見できない、または予測できない種々の代替、修正、変形または改善は、後に当業者によって行なわれ得ることであり、これらも以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。