(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一面に導電層が形成されている上部電導性フィルム;一面に導電層が形成されており、前記導電層が前記上部電導性フィルムの導電層と相互離隔された状態で対向するように配置された下部電導性フィルム;及び
前記上部及び下部電導性フィルムの各エッジ部で前記上部及び下部電導性フィルムを付着しており、請求項1または2に記載の粘着剤組成物の硬化物を含む粘着剤層を有するタッチパネル。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、アクリル系樹脂;及び多官能性架橋剤を含み、
下記式1及び2の条件を満たすタッチパネル用粘着剤組成物に関するものである。
【0018】
前記式1及び2で、X
1は前記粘着剤組成物の硬化物である粘着剤のゲル含量を表し、X
2は前記粘着剤組成物の硬化物である粘着剤の一面をITO面が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムのITO面に付着し、前記粘着剤の反対面をSUS(Steel Use Stainless)面に付着した後、常温で24時間放置し、100℃の温度で5mm/minのクロスヘッド速度により測定した高温せん断強度を表す。
【0019】
以下、本発明のタッチパネル用粘着剤組成物を具体的に説明する。
【0020】
本発明にかかる粘着剤組成物は、アクリル樹脂及び多官能性架橋剤を含み、ゲル(gel)含量が前記式1の条件を満たす。本発明において、前記式1のゲル含量(X
1)は下記式3によって測定できる。
【0022】
前記式3で、Aは前記粘着剤の質量を表し、Bは前記粘着剤を常温でエチルアセテートに48時間沈積させた後、不溶解分を採取して、前記不溶解分からエチルアセテートを除去してから測定した不溶解分の乾燥質量を表す。
【0023】
本発明において、前記ゲル含量は、具体的に次の方式で測定できる。まず、本発明の粘着剤組成物で粘着剤を製造した後、粘着剤を所定の質量(A)採取する。その後、採取した粘着剤を常温でエチルアセテートに48時間沈積させ、沈積後、粘着剤の不溶解分を採取する。その後、前記粘着剤の不溶解分を適切な条件で乾燥し、含まれているエチルアセテートを除去して、その質量(乾燥質量,B)を測定する。そして、前記の測定された各質量を前記式3に代入してゲル含量を測定できる。前記において乾燥質量を測定するために、不溶解分を乾燥する条件は不溶解分に含まれたエチルアセテートが実質的に完全に除去されるように制御されるのであれば、特に制限されない。
【0024】
本発明の粘着剤組成物から製造された粘着剤は、前記ゲル含量が55(%)以下、好ましくは50(%)以下、より好ましくは45(%)以下、さらに好ましくは30(%)以下でもよい。本発明では、粘着剤のゲル含量を55(%)以下に調節して、特にタッチパネルに適用される用途で、各種被着体に対する濡れ性或いは接着性、導電層の抵抗性能維持性、電極層に対する腐食抵抗性及び皮脂抵抗性のような耐化学性に優れた粘着剤を提供することができる。
【0025】
本発明では、粘着剤のゲル含量の下限を特に限定していないが、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上でもよい。
【0026】
本発明の粘着剤組成物はまた、前記式2の条件を満たす。つまり、本発明の粘着剤は100℃で測定した高温せん断強度が20Kg/in
2以上、好ましくは25Kg/in
2以上でもよい。
【0027】
本発明において、粘着剤の高温せん断強度を測定する方法は特に制限されなく、例えば、次の方式で測定できる。先ず、本発明の粘着剤組成物から粘着剤を製造し、前記粘着剤を1in×1in(横×縦)の大きさに裁断して試片を製造する。その後、前記試片の一面をITO面が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムのITO面に付着し、前記試片の反対面をSUS面に付着した後、常温で24時間放置する。その後、100℃のオーブンでUTM(Universal Testing Machine,Zwick)を利用して5mm/minのクロスヘッド速度の条件で高温せん断強度を測定できる。より具体的には、本明細書の実施例に記載している高温せん断強度の物性測定方法に従い高温せん断強度を測定できる。
【0028】
本発明では、粘着剤の高温せん断強度を20Kg/in
2以上に制御し、特にタッチパネルに適用される用途において、各種被着体に対する濡れ性或いは接着性、導電層の抵抗性能維持性、電極層に対する腐食抵抗性及び皮脂抵抗性のような耐化学性に優れた粘着剤を提供できる。
【0029】
一方、本発明において前記高温せん断強度の上限は特に制限されなく、例えば、70Kg/in
2以下、好ましくは60Kg/in
2以下、より好ましくは50Kg/in
2以下に制御できる。
【0030】
本発明に使用されるアクリル系樹脂は、重量平均分子量が100万以上、好ましくは150万以上でもよい。本明細書において重量平均分子量は、GPC(gel permeation chromatography)によって測定したポリスチレン換算数値を意味する。本発明では、重量平均分子量が100万以上のアクリル系樹脂を使用し、高温又は高湿条件で耐久性に優れ、再剥離時等に被着体への転写による汚染を誘発しない粘着剤を提供できる。
【0031】
本発明において、前記アクリル系樹脂の重量平均分子量の上限は特に制限されないが、コーティング性等を考慮して、300万以下、好ましくは250万以下の範囲に制御できる。
【0032】
また、本発明では前記アクリル系樹脂のガラス転移温度が−60℃以上、好ましくは−55℃以上でもよい。本発明では、ガラス転移温度が−60℃以上のアクリル系樹脂を使用して、各種被着体に対する濡れ性及び接着性を含む諸般物性に優れた粘着剤を提供できる。
【0033】
本発明において、アクリル系樹脂のガラス転移温度の上限は特に制限されなく、例えば、−10℃以下、好ましくは−20℃以下の範囲で制御できる。
【0034】
本発明で使用できるアクリル系樹脂の具体的な組成は特に制限されない。本発明では、例えば、アクリル系樹脂として、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び架橋性単量体を含む単量体混合物の重合体を使用できる。
【0035】
本発明で使用できる(メタ)アクリル酸エステル系単量体の種類は特に限定されなく、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを使用できる。この場合、単量体に含まれるアルキル基が長すぎると、硬化物の凝集力が低下し、ガラス転移温度や粘着性の調節が困難になる恐れがあるため、炭素数が1〜14、好ましくは炭素数が1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを使用できる。このような単量体の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート又はイソノニル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、本発明では前記の一種又は二種以上の混合を使用することができる。
【0036】
本発明において単量体混合物に含まれる架橋性単量体は、分子構造内に共重合性官能基(ex.炭素−炭素二重結合)及び架橋性官能基を同時に含む単量体を意味し、前記単量体は重合体に多官能性架橋剤と反応し得る架橋性官能基を付与できる。
【0037】
本発明で使用できる架橋性単量体の例としては、ヒドロキシ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体又は窒素含有単量体等を挙げることができ、このうちの一種又は二種以上の混合を使用することができる。前記においてヒドロキシ基含有単量体の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート又は2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができ;カルボキシル基含有単量体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシアセト酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル酸、アクリル酸二重体、イタコン酸又はマレイン酸等を挙げることができ;窒素含有単量体の例としては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、3−イソシアネートプロピル(メタ)アクリレート、4−イソシアネートブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン又はN−ビニルカプロラクタム等を挙げることができるが、これに制限されるのではない。
【0038】
本発明において、前記単量体混合物は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体80重量部〜99.9重量部及び架橋性単量体0.1重量部〜20重量部、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル系単量体90重量部〜99.9重量部及び架橋性単量体0.1重量部〜20重量部を含むことができる。本発明では、単量体混合物内で単量体間の重量比率を前記のように制御することにより、優れた信頼性、取扱性、耐久性及び再剥離性を有し、初期接着力の減少による剥離又は浮きの発生を効果的に抑制できる粘着剤を提供できる。
【0039】
一方本明細書では、特に規定しない限り、単位「重量部」は「重量比率」を意味する。
【0040】
本発明において前記単量体混合物は、必要に応じて、ガラス転移温度の調節及びその他の機能性付与のために、下記一般式1で表される共単量体をさらに含むことができる。
【0042】
前記一般式1で、R
1〜R
3はそれぞれ独立して水素又はアルキルを表し、R
4はシアノ;アルキルで置換又は非置換されたフェニル;アセチルオキシ;又はCOR
5を表し、このときR
5はアルキル又はアルコキシアルキルで置換又は非置換されたアミノ又はグリシジルオキシを表す。
【0043】
前記式のR
1〜R
5の定義においてアルキル又はアルコキシは、炭素数1〜8のアルキル又はアルコキシを意味し、好ましくはメチル、エチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシである。
【0044】
本発明において使用できる一般式1の単量体の具体的な例としては、(メタ)アクリロニトリル、N−メチル(メタ)アクリルアミド又はN−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドのような窒素含有単量体;スチレン又はメチルスチレンのようなスチレン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート;又はビニルアセテートのようなカルボン酸ビニルエステル等の一種又は二種以上を挙げることができるが、これに制限されるのではない。前記のような単量体が本発明の単量体混合物に含まれる場合、その含量は、前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体又は架橋性単量体の含量対比20重量部以下であることが好ましい。本発明において、前記含量が20重量部を超えると、柔軟性及び/又は剥離力が低下する恐れがある。
【0045】
本発明において、前述のそれぞれの成分を含む単量体混合物を重合させアクリル系樹脂を製造する方法は特に限定されない。例えば、溶液重合、光重合、バルク重合、サスペンション重合又は乳化重合のような一般的な重合法を用いることができる。本発明では、透明性、耐水性、費用等の観点から、特に、溶液重合法を用いてアクリル系樹脂を製造することが好ましいが、これに制限されるのではない。
【0046】
本発明の粘着剤組成物は、多官能性架橋剤を含み、前記多官能性架橋剤の使用量によって硬化物の凝集力又は粘着特性を調節できる。
【0047】
本発明で使用され得る架橋剤の種類は特に限定されなく、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物及び金属キレート系化合物のような一般的な架橋剤を使用できる。前記において、イソシアネート系化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及び前記の一つ以上のイソシアネート化合物とポリオール(ex.トリメチロールプロパン)との反応物からなる群から選ばれた一つ以上を挙げることができ;エポキシ系化合物の例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジルエチレンジアミン及びグリセリンジグリシジルエーテルからなる群から選ばれた一つ以上を挙げることができ;アジリジン系化合物の例としては、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソプロタロイル−1−(2−メチルアジリジン)及びトリ−1−アジリジニルホスフィンオキシドからなる群から選ばれた一つ以上を挙げることができる。また、前記金属キレート系化合物の例としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、スズ、チタン、アンチモン、マグネシウム及び/又はバナジウムのような多価金属がアセチルアセトン又はアセト酢酸エチル等に配位している化合物を使用できるが、これに制限されるのではない。
【0048】
本発明において前記多官能性架橋剤は、アクリル系樹脂100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部、好ましくは0.01重量部〜5重量部で含まれ得る。本発明において、架橋剤の含量が0.01重量部未満だと、硬化物の凝集力が劣り高温条件で気泡が発生する恐れがあり、10重量部を超えると、粘着剤の硬化度が非常に高くなり接着力及び剥離力が低下し、層間剥離や浮き現象が発生する等、耐久信頼性が低下する恐れがある。
【0049】
本発明の粘着剤組成物はまた、前述の成分にさらにシラン系カップリング剤を含むことができる。このようなカップリング剤は、硬化物及び被着体間の密着性及び接着安定性を向上させ、耐熱性及び耐湿性を改善し、また、硬化物を高温及び/又は高湿下で長期間放置させると接着信頼性を向上させることができる。
【0050】
本発明で使用され得るシラン系カップリング剤の種類は特に限定されなく、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン又はγ−アセトアセテートプロピルトリメトキシシラン等の一種又は二種以上の混合を使用できる。
【0051】
本発明において、前記シラン系カップリング剤は、アクリル系樹脂100重量部に対して0.005重量部〜5重量部の量で組成物に含まれ得る。前記含量が0.005重量部未満だと粘着力増加効果が微々たるものになる恐れがあり、5重量部を超えると気泡又は剥離現象が発生する等、耐久信頼性が低下する恐れがある。
【0052】
本発明の粘着剤組成物はまた、粘着性能の調節の観点から、粘着性付与樹脂をさらに含むことができる。
【0053】
本発明で使用され得る粘着性付与樹脂の種類は特に限定されなく、例えば、ハイドロカーボン系樹脂又はその水素添加物;ロジン樹脂又はその水素添加物;ロジンエステル樹脂又はその水素添加物;テルペン樹脂又はその水素添加物;テルペンフェノール樹脂又はその水素添加物;重合ロジン樹脂又は重合ロジンエステル樹脂等の一種又は二種以上の混合物を使用できる。
【0054】
本発明において粘着性付与樹脂は、アクリル系樹脂100重量部に対して1重量部〜100重量部の含量で含むことができる。前記含量が1重量部未満だと添加効果が微々たるものになる恐れがあり、100重量部を超えると相溶性及び/又は凝集力向上効果が低下する恐れがある。
【0055】
本発明の粘着剤組成物はまた、発明の効果に影響を与えない範囲で、エポキシ樹脂、架橋剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤及び可塑剤からなる群から選ばれた一つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0056】
本発明はまた、基材フィルム;及び前記基材フィルムの一面又は両面に形成され、本発明にかかる粘着剤組成物の硬化物を含む粘着剤層を有するタッチパネル用粘着フィルムに関するものである。
【0057】
添付の
図1は、本発明の一態様にかかる粘着フィルム10の断面図を表す図面である。本発明の粘着フィルム10は、
図1に示した通り、基材フィルム11;及び前記基材フィルム11の両面に形成されている粘着剤層12を含み得る。しかし、前記
図1の粘着フィルムは本発明の一例示に過ぎない。つまり、本発明の粘着フィルムでは、基材フィルムの一面のみに粘着剤層が形成されてもよく、必要に応じて、基材フィルムを含まずシート状粘着剤層だけを含んでもよい。
【0058】
本発明において、粘着剤組成物を硬化させ、前記粘着剤層を製造する方法は特に制限されない。本発明では、例えば、前述の記粘着剤組成物又はそれを使用して製造したコーティング液を、バーコーター等の通常の手段によって適切な工程基材に塗布し、硬化させる方法により粘着剤層を製造できる。
【0059】
本発明において前記硬化過程は、粘着剤組成物又はコーティング液内部に含まれた揮発成分又は反応残留物のような気泡誘発成分を十分に除去した後に行うことが好ましい。これにより、粘着剤の架橋密度又は分子量等が非常に低く弾性率が劣り、高温状態で粘着界面に存在する気泡が大きくなり内部で散乱体を形成する問題点等が防止できる。
【0060】
また、前記で粘着剤組成物又はコーティング液を硬化させる方法は特に限定されなく、例えば、コーティング層に適切な熱を加えたり、所定条件で熟成(aging)する工程を経て硬化工程を行うことができる。
【0061】
本発明の粘着フィルムにおいて前記のように形成された粘着剤層は、厚みが20μm〜150μm、好ましくは20μm〜100μmでもよい。本発明では、粘着剤層の厚みを前述の範囲に制御することにより、薄型のタッチパネル又はタッチスクリーンに適用できると共に、耐化学性、接着性、濡れ性、抵抗性能維持性及び電極の腐食抵抗性等に優れた粘着フィルムを提供することができる。
【0062】
本発明において前記基材フィルムの具体的な種類は特に限定されず、例えば、本分野の一般的なプラスチックフィルムを使用できる。本発明では、例えば、前記基材フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−ビニルアセテートフィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルム、エチレン−アクリル酸エチル共重合体フィルム、エチレン−アクリル酸メチル共重合体フィルム又はポリイミドフィルム等を使用することができる。好ましくはポリエチレンテレフタレートフィルムを使用できるが、これに制限されるのではない。
【0063】
本発明の粘着フィルムにおいて、前記の基材フィルムは、厚みが5μm〜50μm、好ましくは10μm〜30mでもよい。本発明では、基材フィルムの厚みを前記の範囲に制御することにより、薄型のタッチパネル又はタッチスクリーンに適用できると共に、耐化学性、接着性、濡れ性、抵抗性能維持性及び電極の腐食抵抗性等に優れた粘着フィルムを提供できる。
【0064】
本発明の粘着フィルムは、必要に応じて、前記粘着剤層上に形成された離型フィルムをさらに含むことができる。
【0065】
添付の
図2は、本発明の他の態様にかかる粘着フィルム20を表す断面図である。本発明の粘着フィルム20は、
図2に示した通り、基材フィルム11;前記基材フィルム11の両面に形成された粘着剤層12;及び前記粘着剤層12上に形成された離型フィルム21a,21bを含むことができる。
【0066】
本発明で使用できる前記離型フィルムの具体的な種類は、特に限定されない。本発明では、例えば、前述の基材フィルムとして使用される各種プラスチックフィルムの一面に適切な離型処理を施し、離型フィルムとして使用できる。この場合、離型処理に使用される離型剤の例としては、アルキド系、シリコン系、フッ素系、不飽和エステル系、ポリオレフィン系又はワックス系離型剤等を挙げることができ、このうち耐熱性の面で、アルキド系、シリコン系又はフッ素系離型剤を使用することが好ましいが、これに制限されるのではない。
【0067】
本発明において、前記離型フィルムの厚みは特に限定されなく、適用される用途によって適切に選択できる。例えば、本発明において前記離型フィルムの厚みは、10μm〜100μm、好ましくは30μm〜90μm、より好ましくは40μm〜80μm程度でもよい。
【0068】
本発明はまた、一面に導電層が形成されている上部電導性フィルム;一面に導電層が形成されており、前記導電層が前記上部電導性フィルムの導電層と相互離隔された状態で対向するように配置された下部電導性フィルム;及び前記上部及び下部電導性フィルムの各エッジ部で前記上部及び下部電導性フィルムを付着しており、本発明にかかる粘着剤組成物の硬化物を含む粘着剤層を有するタッチパネルに関するものである。
【0069】
本発明のタッチパネルの具体的な構造は、本発明にかかる粘着剤組成物を使用して構成される限り、特に制限されない。
【0070】
添付の
図3は、本発明の一態様によって構成されたタッチパネルを例示的に示した図面である。
【0071】
図3に示した通り、本発明のタッチパネル30は、導電層31cが形成された面同士を相互離隔された状態で対向配置された2枚の電導性フィルム31a,31bが本発明にかかる粘着剤層12として積層された構造を含むことができる。この場合、
図3に示した通り、前記粘着剤層12は、各電導性フィルム31a,31bのエッジ部で前記導電層31cに付着された状態で配置できる。
【0072】
本発明で使用する前記電導性フィルムの具体的な種類は特に制限されず、本分野の一般的なフィルムを採択できる。本発明では、例えば、前記電導性フィルムとして、一面にITO電極層が形成された透明プラスチックフィルムを使用できる。
【0073】
本発明において、前記透明プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−ビニルアセテートフィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルム、エチレン−アクリル酸エチル共重合体フィルム、エチレン−アクリル酸メチル共重合体フィルム又はポリイミドフィルム等を使用できる。このうち、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用することが好ましいが、これに制限されるのではない。
【0074】
添付の
図4は、本発明の他の態様によって構成されたタッチパネル40を例示的に表す図面である。
図4に示した通り、本発明のタッチパネル40は、前記電導性フィルム31a,31bの導電層31c上に形成された電極層41をさらに含むことができる。この場合、前記電極層41は、
図4に示した通り、電導性フィルム31a,31bの導電層31cのエッジ部にそれぞれ形成できる。また、粘着剤層12は、
図4に示した通り、内部に前記電極層41をシール(sealing)した状態で、電導性フィルム31a,31bを付着していてもよい。本発明において、使用できる前記電極層の具体的な組成は特に制限されなく、例えば、銀ペースト(Ag paste)を使用して電極層を形成できる。
【0075】
添付の
図5は、本発明のまた別の態様によって構成されたタッチパネルを例示的に表す図面である。
図5に示した通り、本発明のタッチパネル50は、
図4に示したような電極層41が導電性層31cに形成され、前記電極層41は絶縁層51によってシールされていてもよい。この場合、前記粘着剤層12は、電極層41をシールしている絶縁層51に付着され、2枚の電導性フィルム31a,31bを対向配置させた状態で含むことができる。また、本発明において、前記絶縁層を構成する素材は特に制限されなく、本分野で使用される一般的な素材を使用することができる。
【実施例】
【0076】
以下、本発明にかかる実施例及び本発明にかからない比較例により本発明をより詳しく説明するが、本発明の範囲が下記に提示した実施例によって制限されるのではない。
【0077】
製造例1.アクリル系樹脂(A)の製造
窒素ガスが還流され、温度調節が容易になるように冷却装置を設置した1L反応器に、エチルヘキシルアクリレート(EHA)65重量部、メチルアクリレート(MA)25重量部及びアクリル酸(AA)10重量部を含む単量体混合物を投入した後、溶剤としてエチルアセテート(EAc)を投入した。次いで、酸素除去のために窒素ガスを1時間程度パージングし、温度を62℃に維持した状態で混合物を均一にし、反応開始剤としてエチルアセテートに50%の濃度に希釈させたアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.03重量部を投入した。続いて、前記混合物を8時間程度反応させて重量平均分子量が150万で、ガラス転移温度が−30℃のアクリル系樹脂(A)を製造した。
【0078】
製造例2〜3.アクリル系樹脂(B)〜(C)の製造
単量体組成を下記表1に示したように変更したことを除いては、製造例1のケースに準じて、アクリル系樹脂(B)〜(C)を製造した。
【0079】
【表1】
【0080】
実施例1.
製造例1で製造されたアクリル系樹脂(A)100重量部に対して、多官能性架橋剤として、2官能性アジリジン架橋剤0.4重量部、及びシラン系カップリング剤(KBM 403,ShinEtsu(製))0.2重量部を配合して粘着剤組成物を製造し、これを溶剤で希釈してコーティング液を製造した。次いで、製造されたコーティング液を離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:75μm)に乾燥後の厚みが約30μmになるようにコーティングした。その後、約100℃の温度で約5分以上乾燥させ、適正条件で熟成させて厚みが30μmの粘着剤層を形成した。その後、厚みが12μmのPETフィルムの両面に前記粘着剤層が付着するように圧着して、粘着フィルムを製造した。
【0081】
実施例2及び比較例1〜2
粘着剤組成物の組成を下記表2のように組成したことを除いては、実施例1に準じた方法で粘着フィルムを製造した。
【0082】
【表2】
【0083】
実施例及び比較例で製造された粘着フィルムに対して、下記に提示した方法でその物性を測定した。
【0084】
1.ゲル含量の測定
実施例及び比較例で製造された粘着剤を約7日間恒温恒湿室(23℃,60% R.H.)で保管した。次いで、粘着剤0.3gを採取し、これをステンレス200メッシュの鉄網に入れ、100mLのエチルアセテートに沈積させた後、常温の暗室で48時間保管した。続いて、不溶解分を分離した後、前記を120℃のオーブンで4時間乾燥させ、その乾燥質量を測定した。その後、前記各質量の測定結果を前述の式3に代入してゲル含量を測定した。
【0085】
2.高温せん断強度の測定
実施例及び比較例で製造された粘着フィルムを1in×1in×72μm(横×縦×厚み)の大きさに裁断し、離型フィルムを剥離した後、前記粘着フィルムの一面をITO面が形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのITO面に付着し、前記粘着フィルムのその反対面をSUS面に付着させた。このとき、粘着フィルムの付着はASTM D1002に基づいて、5kgのローラーを5回往復させて行った。その後、常温に24時間放置し、100℃のオーブンでUTM(Universal Testing Machine,Zwick)を利用して5mm/minのクロスヘッド速度で高温せん断強度を測定した。
【0086】
3.耐化学性評価
粘着剤の耐化学性は、
図3に示したようなTSP(Turch Screen Panel)を製造して評価した。具体的には、実施例及び比較例で製造された粘着フィルムを4cm×10cm(横×縦)の大きさに裁断した後、前記4cm×10cm(横×縦)の大きさを有する粘着フィルム中の、大きさが3.4cm×9.4cm(横×縦)の中央部分を除去して縁の幅が3mmになるように裁断した後、離型フィルムを剥離し、一面にITO層31cが形成された2枚の電導性PETフィルム31a,31bの間に
図3に示したように付着してTSPを製造した。その後、TSPの側面に人工皮脂(ESTASAN 3580,Kosher(製))を筆を利用して塗った。その後、TSPを恒温恒湿室(温度:60℃,相対湿度:90% R.H.)で150時間保管してから取り出してTSP上に50Kgの錘を12時間載せて置いた後、上部ITO PETフィルム31aと下部ITO PETフィルム31bの狭窄有無を観察して評価した。
【0087】
<耐化学性の評価基準>
○:狭窄未発生
×:狭窄発生
【0088】
前記のような方式で測定した結果を下記表3にまとめて記載した。
【0089】
【表3】
【0090】
前記表1の結果から、本発明にかかる実施例は、皮脂抵抗性のような耐化学性に優れることが確認できた。その反面、ゲル含量及び/又は高温せん断強度が本発明の範囲から外れる比較例1〜2は、共に劣悪な耐化学性を示した。