特許第5789306号(P5789306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5789306バイオマスの発酵およびゼオライト触媒作用によって有機化合物を生成するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789306
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】バイオマスの発酵およびゼオライト触媒作用によって有機化合物を生成するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/02 20060101AFI20150917BHJP
   C07C 1/20 20060101ALI20150917BHJP
   C07C 9/14 20060101ALI20150917BHJP
   C07C 15/04 20060101ALI20150917BHJP
   C07C 15/06 20060101ALI20150917BHJP
   C07C 15/08 20060101ALI20150917BHJP
   C07C 15/02 20060101ALI20150917BHJP
   C07C 9/02 20060101ALI20150917BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20150917BHJP
   C10G 3/00 20060101ALI20150917BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20150917BHJP
【FI】
   C12P7/02
   C07C1/20
   C07C9/14
   C07C15/04
   C07C15/06
   C07C15/08
   C07C15/02
   C07C9/02
   C07C11/02
   C10G3/00 B
   !C07B61/00 300
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-545431(P2013-545431)
(86)(22)【出願日】2011年12月23日
(65)【公表番号】特表2014-508120(P2014-508120A)
(43)【公表日】2014年4月3日
(86)【国際出願番号】EP2011073963
(87)【国際公開番号】WO2012085275
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2013年8月22日
(31)【優先権主張番号】10196776.8
(32)【優先日】2010年12月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】598109501
【氏名又は名称】クラリアント・プロドゥクテ(ドイチュラント)ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Clariant Produkte (Deutschland)GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100173635
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 樹里
(72)【発明者】
【氏名】ザブレル,ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】フランケ,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】リヒター,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,ミハエル
【審査官】 菅原 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−128063(JP,A)
【文献】 特開平09−010553(JP,A)
【文献】 特開平07−169495(JP,A)
【文献】 特開2009−024079(JP,A)
【文献】 米国特許第04621164(US,A)
【文献】 国際公開第2008/066581(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/037635(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−1/42
C12P 7/00−7/66
C07C
B01D 53/00−53/96
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機化合物を生成するための方法であって、次の方法ステップ:
a.生物反応器内における、バイオマスの揮発性有機化合物への発酵による転換;
b.担体ガスを用いたガスストリッピングによる揮発性有機化合物の除去;
c.ガス流からの揮発性有機化合物の吸着;
d.吸着された揮発性有機化合物の吸着剤からの脱着;
e.揮発性有機化合物の触媒反応;
を含む上記方法。
【請求項2】
前記方法ステップdにおいて、脱着流体中の揮発性有機化合物の比率が、10%(w/w)〜90%(w/w)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法ステップa〜eに続いて、生成物流体の凝縮を行い、該凝縮に続いて、相分離を行う、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法ステップa〜eを並行して行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項5】
前記揮発性有機化合物が、アルコールおよび/またはケトンおよび/またはアルデヒドおよび/または有機酸である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
吸着後および/または触媒反応後に単数もしくは複数の担体ガスを再循環させ、および/または、発酵排ガスを担体ガスとして用いる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの個々の方法ステップを以下の条件下:
a.10〜70℃の温度で発酵を行い、
b.ガスストリッピング時には、所定通気量が0.1〜10vvmであり、
c.吸着時の温度が10〜100℃であり、圧力が0.5〜10barであり、
d.温度上昇および/または圧力低下により脱着を行い、
e.150〜500℃の温度、0.5〜100barの絶対圧、および100〜20000−1GHSVにより触媒反応を行い、
f.温度低下および/または圧力上昇により凝縮を行い、
g.デカンテーション時に、より軽量な相である有機化合物を分離する、
でさらに実施する、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
吸着剤がゼオライトである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
触媒がゼオライトである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
触媒反応のために、アンモニアが吸着されないように吸着剤を選択する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ゼオライト吸着剤とゼオライト触媒とが同一の材料である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
複数の並列したカラム内にゼオライト材を充填し、リボルバー方式の場合のように、複数の方法ステップの間に互いに時間的にずらしてカラムを入れ代え、吸着、脱着、触媒反応、および場合によっては再生から前記方法ステップを選択する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
吸着、脱着および触媒反応を時間的にずらしてそれぞれ同じカラムで行う、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
吸着、脱着および触媒反応を単一の装置内で行う、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記装置が、ラジアル吸着器、移動床反応器または噴流床反応器である、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスから有機化合物を生成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発酵により得られたアルコールから有機化合物を生成するプロセスが文献により既知である。これらのプロセスは、基本的に、糖発酵、発酵媒体の蒸留、熱分離されたアルコールの有機化合物への触媒転換、プロセス水からの有機化合物の分離というステップを含む(例えば、US3,936,353、CA2,360,981参照)。
【0003】
これとは異なり、米国特許第4,690,903号明細書によれば、発酵により得られたアルコールは、発酵ブロスから吸着剤への吸着により取り出すことができ、吸着は発酵ブロス内で直接に行われる。ゼオライトが吸着剤である場合には、負荷されたゼオライトは反応領域に移動され、この反応領域で、吸着されたアルコールがゼオライトにより有機化合物に触媒転換される。
【0004】
アルコールを低い酸素‐炭素比を備える有機化合物に転換するためには、特に脱水反応が適している。アルコール(多くはエタノール)をこのように脱水するためには、上記文献には、水素型(H‐ZSM‐5、SiO/Al>10)のMFI型ゼオライトが触媒として記載されている(例えば、US3,936,353;US4,690,903;US4,621,164;Oudejans et al., App. Catalysis Vol. 3, 1982, p. 109; Aguayo et al., J. Chem. Technol. Biotechnol. Vol. 77, 2002, p. 211)。さらに、例えば、金属/酸化金属またはリン酸を用いた含浸によるゼオライトH‐ZSM‐5の変成も公知であり、このような含浸により、エテンへの転換(US4,698,452)の選択性または芳香族への転換(WO2007/137566A1)の選択性に影響を及ぼすことができる。H‐ZSM‐5ゼオライトの他に、エタノール脱水のための他の触媒として、他の型のゼオライト(US4,621,164;Oudejans et al., App. Catalysis Vol. 3, 1982, p. 109)、メソ多孔質分子ふるい(Varisli et al.; Chem. Eng. Sci. Vol. 65, 2010, p. 153)およびヒドロキシアパタイト(Tsuchida et al., Ind. Eng. Chem. Res. Vol. 47; 2008, p. 1443)も調査された。
【0005】
従来技術によれば、固定床反応器における脱水は、150℃〜500℃の温度、1bar〜100barの絶対圧、0.5h−1〜50h−1の範囲の液時空間速度(LHSV=液状反応物体積流量/触媒体積)で行われる(例えば、US4,621,164;Oudejans et al., App. Catalysis Vol. 3, 1982, p. 109参照)。
【0006】
エタノールインプット流体(input stream)に水を混入することにより、生成流体中の芳香族比率を増大し、炭化による触媒不活性化を低減することができる(Oudejans et al., App. Catalysis Vol. 3, 1982, p. 109)。同様に水の比率を変化させることにより、液状有機化合物の収率に影響を及ぼすことができる(US4,621,164)。水の低い比率は、有機化合物の高い比率をもたらし、またその逆のことがいえる。
【0007】
WO2008/066581A1は、少なくともブチレンを生成するための方法を記載しており、この場合、ブチレンおよび水が反応する。この場合、試薬は発酵ブロスに由来してもよく、一実施形態では、このために、ガスストリッピングを用いることが可能である。このガス流は、直接に反応のために使用されるか、またはあらかじめ蒸留される。
【0008】
糖から有機化合物を生成するための従来技術による全ての方法では、液状の発酵副産物(例えばフラン)ならびに発酵の際に一般に使用される揮発性添加物(例えば、pH調節剤としてアンモニア)を選択的に分離することができないことが欠点である。このことは、後の触媒反応時に(ゼオライト)触媒の不活性化、ひいては触媒活性および選択性の低下をもたらす(例えば、Hutchings, Studies in Surface Science and Catalysis Vol. 61, 1991, p. 405参照)。
【0009】
同様に、従来技術では、アルコールを生成するために不可欠な発酵を触媒反応に直接に結びつけることができないことは不利である。しかしながら、発酵は、中間生成物の濃度がより高い場合には一般に抑制され、これにより、有機化合物の収率および生産性(空時収量)は制限される。例えば、ドミンゲス等(Biotech. Bioeng., 2000, Vol. 67, S. 336-343)は、酵母ピキア・スティピティスによるC5糖のエタノールへの転換は、エタノールが2%(w/v)のみの場合には抑制されることを示している。同様に、クロストリジンを用いたアセトン、ブタノールおよびエタノール発酵では、得られた生成物の抑制作用、および有毒作用の増大を観察することができ、したがって1.5%(w/v)のブタノール濃度は一般に超過されない(Haggstrom L., Biotech. Advs., 1985, Vol. 3, pp. 13-28)。
【0010】
発酵媒体内でアルコールを吸着するためにゼオライトを使用した場合、ファウリングプロセスによる寿命の増大に伴いゼオライトの吸着特性が弱まることもさらなる欠点である。同様に、発酵媒体に含有されている他の固体(例えば、セル、物質代謝副産物、栄養培地成分)からのゼオライトの分離は技術的に手間がかかる。さらに、発酵媒体からアルコールを分離するための従来技術に記載の熱分離法では、一回の脱水時に脱水流の組成が初期濃度および熱力学的な物質平衡によって制限されていることが欠点である。複数回の蒸留もしくは精留を用いることにより、蒸留流体の組成を変化させることができる。しかしながら、この場合、この方法に基づいた蒸留液の複数回の凝縮により高いエネルギーインプットが不可欠となることが特に欠点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】US3,936,353
【特許文献2】CA2,360,981
【特許文献3】US4,690,903
【特許文献4】US4,621,164
【特許文献5】US4,698,452
【特許文献6】WO2007/137566A1
【特許文献7】WO2008/066581A1
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Oudejans et al., App. Catalysis Vol. 3, 1982, p. 109
【非特許文献2】Aguayo et al., J. Chem. Technol. Biotechnol. Vol. 77, 2002, p. 211
【非特許文献3】Varisli et al.; Chem. Eng. Sci. Vol. 65, 2010, p. 153
【非特許文献4】Tsuchida et al., Ind. Eng. Chem. Res. Vol. 47; 2008, p. 1443
【非特許文献5】Hutchings, Studies in Surface Science and Catalysis Vol. 61, 1991, p. 405
【非特許文献6】Biotech. Bioeng., 2000, Vol. 67, S. 336-343
【非特許文献7】Haggstrom L., Biotech. Advs., 1985, Vol. 3, pp. 13-28
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このようなことを背景として、本発明の課題は、バイオマスから有機化合物を生成するための経済的な方法において、従来技術の欠点を除去し、必要な機器の費用をできるだけ低く抑えて有機化合物の高い収率を可能にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、驚くべきことに、発酵と、ガスストリッピング、吸着、脱着および触媒反応による生成物分離とを組み合わせ、これによりバイオマスを有機化合物に転換することを可能し、この場合に全ての方法ステップを並行して行うことができることにより解決される。
【0015】
したがって、本発明によれば、有機化合物を生成するための方法が提供され、この方法は次の方法ステップ:
a.生物反応器内における、バイオマスの揮発性有機化合物への発酵による転換;
b.担体ガスを用いたガスストリッピングによる揮発性有機化合物の除去;
c.ガス流からの揮発性有機化合物の吸着;
d.吸着された揮発性有機化合物の吸着剤からの脱着;
e.揮発性有機化合物の触媒反応;を含む。
【0016】
方法ステップdでは、脱着流体(desorbate stream)中の揮発性有機化合物の比率は、10%(w/w)〜90%(w/w)、特に好ましくは30%(w/w)〜70%(w/w)、さらに好ましくは35%(w/w)〜60%(w/w)である。
【0017】
次いで触媒反応の生成物は、例えば、生成物の凝縮および相分離によって、好ましくはデカンテーションを用いて、処理することができる。
【0018】
本発明の範囲内では、以下の方法ステップ:
a.生物反応器内における、バイオマスの揮発性有機化合物への発酵による転換;
b.担体ガスを用いたガスストリッピングによる揮発性有機化合物の除去;
c.ガス流からの揮発性有機化合物の吸着;
d.吸着された揮発性有機化合物の吸着剤からの脱着;
e.揮発性有機化合物の触媒反応;
を含む有機化合物を生成するための方法が提供される。個々の方法ステップを以下に詳細に説明する。
【0019】
a.発酵
発酵のために、バイオマスを含む溶液が準備される。ここでは、バイオマスは1つ以上の以下の成分:セルロース、ヘミセルロース、リグニン、ペクチン、スターチ、サッカロース、キチン、タンパク質および他の生体高分子、ならびに脂肪および油を含む生体物質として理解される。さらに、この概念は、糖、特にC5糖およびC6糖、アミノ酸、脂肪酸および他のバイオモノマー(biological monomer)を含有しているか、または好ましくは、加水分解によってこれらのモノマーを得ることができる生体物質を含む。好ましくは、溶液は、発酵の開始時には200g/L未満の糖、特に100g/L未満の糖を含む。好ましい実施形態では、溶液は、リグノセルロース系バイオマスから得られる糖を含み、糖は、特に好ましくは事前の酵素加水分解によって得られる。同様に好ましい方法は、加水分解および発酵が同時に行われるように発酵と酵素加水分解とを組み合わせることである。すなわち、以下にさらに説明する好ましい実施形態では、発酵が以下のステップと同時に行われる場合には、これらの実施形態を組み合わせることも可能である。すなわち、加水分解および発酵は以下のステップと同時に行われる。
【0020】
別の好ましい実施形態では、発酵液は、1つ以上の低分子炭素源、および随意に、1つ以上の低分子窒素源を含む。好ましい低分子炭素源は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、マンノースなどの単糖類、サッカロース、ラクトース、マルトース、セロビオースなどの二糖類、ガラクツロン酸、グルコン酸などの糖酸、グリセリン、ソルビトールなどのポリオール、ならびに油、脂肪および脂肪酸である。好ましい窒素源は、アンモニア、アンモニア塩、硝酸塩、アミノ酸、尿素およびタンパク質加水分解物である。低分子とは、分子量が、好ましくは2500未満、特に好ましくは1000未満であるものとして理解される。
【0021】
この場合、アンモニアは特に窒素源として好ましい。なぜならアンモニアは、発酵前のpH値が低い場合には同時にpH調整剤として用いること、すなわち添加することができるからである。さらにアンモニアは、特別な実施形態では、発酵した微生物の物質代謝活性によってpH値が降下した場合には発酵中に添加することもできる。これにより、発酵の継続時間にわたってpHを調整もしくは制御することができる。発酵液には、微生物および酵素と並んで、他のpH調整剤および消泡剤などのさらなる添加剤を添加してもよい。微生物としては、酵母、菌類および/またはバクテリアが適している。アルコール、ケトン、アルデヒドおよび/または有機酸を生成する微生物が好ましい。特に好ましい生成物は、エタノールおよび/またはアセトンおよび/またはブタノールなどの低揮発性有機化合物である。この場合、揮発性化合物とは、20℃で1.0hPa、好ましくは5.0hPaよりも高い蒸気圧を有する化合物として理解される。このような揮発性化合物は、20℃で1‐ブタノールの蒸気圧以上の蒸気圧を有する化合物、例えば、2‐ブタノール、tert‐ブタノール、エタノール、1‐プロパノール、イソプロパノールおよびアセトンなどを含む。すなわち、好ましい実施形態では、さらに本発明は、揮発性有機化合物が、アルコールおよび/またはケトンおよび/またはアルデヒドおよび/または有機酸であり、好ましくはエタノールおよび/またはブタノールおよび/またはアセトンであることを特徴とする方法を含む。ブタノールは、さらに特定されていない限りは、全てのブタノールを含み、しかしながら、特に好ましくは1‐ブタノールである。
【0022】
発酵は、概して10〜70℃、好ましくは20〜60℃、特に好ましくは30〜50℃の温度で行われる。発酵は、好ましくはバッチ操作で行われる。別の好ましい実施形態では、栄養培地は発酵中に連続的に供給される(流加操作)。さらに、発酵の連続的な操作は好ましい。さらに、反復バッチ、反復流加バッチなどの操作方式ならびに2段階方式およびカスケードが好ましい。
【0023】
発酵は、発酵液のために加えられた単離酵素によって行ってもよい。しかしながら、好ましくは、発酵は少なくとも1つの微生物を用いて行われる。この少なくとも1つの微生物は、好ましくは、好中温生物および好熱生物から選択される。好中温生物および好熱生物は、細菌、古細菌および真核生物からなるグループより選択することができ、この場合、真核生物は、特に菌類、とりわけ酵母が好ましい。特に好ましくは、例えばサッカロミケス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae:出芽酵母)、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)、ピキア・セゴビエンシス(Pichia segobiensis)、カンジダ・シャハタエ(Candida shehatae)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・ボイディニイ(Candida boidinii)、カンジダ・テヌイス(Candida tenuis)、パキソレン・タンノフィラス(Pachysolen tannophilus)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、カンジダ・ファマタ(Candida famata)、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)、カンジダ・ソノレンシス(Candida sonorensis)、イサタケンキア・テリコーラ(Issatchenkia terricola)、クロエッケラ・アピス(Kloeckera apis)、ピキア・バルケリ(Pichia barkeri)、ピキア・カクトフィラ(Pichia cactophila)、ピキア・デセルティコラ(Pichia deserticola)、ピキア・ノルベゲンシス(Pichia norvegensis)、ピキア・メンブラナエファシエンス(Pichia membranaefaciens)、ピキア・メキシカーナ(Pichia Mexicana)およびトルラスポラ・デルブルエッキイ(Torulaspora delbrueckii)などの好中温性酵母が使用される。好中温性細菌は、例えば、クロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)、クロストリジウム・ベイジェリンキイ(Clostridium beijerincki)、クロストリジウム・サッカロブチリクム(Clostridium saccharobutylicum)、クロストリジウム・サッカロペルブチルアセトニクム(Clostridicum saccharoperbutylacetonicum)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)である。特に好ましい代替的な実施形態では、好熱生物が用いられる。好熱性酵母は、例えば、カンジダ・ボビナ(candida bovina)、カンジダ・ピカコエンシス(Candida picachoensis)、カンジダ・エンベロルム(Candida emberorum)、カンジダ・ピントロペシイ(Candida pintolopesii)、カンジダ・サーモフィラ(Candida thermophila)、クルイベロミセス・マルキアヌス(Kluyveromyces marxianus)、クルイベロミセス・フラジリス(Kluyveromyces fragilis)、 カザフスタニア・テルリス(Kazachstania telluris)、イサチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)およびラチャンケア・サーモレランス(Lachancea thermolerans)である。好熱性細菌は、とりわけクロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)、クロストリジウム・サーモヒドロスルフリクム(Clostridium thermohydrosulphuricum)、クロストリジウム・サーモサッカロリチキウム(Clostridium thermosaccharolyticium)、サーモアナエロビウム・ブロッキイ(Thermoanaerobium brockii)、テルモバクテロイデス・アセトエチリクス(Thermobacteroides acetoethylicus)、サーモアナエロバクター・エタノリクス(Thermoanaerobacter ethanolicus)、クロストリジウム・サーモアセチクム(Clostridium thermoaceticum)、クロストリジウム・サーモアウトトロフィクム(Clostridium thermoautotrophicum)、アセトゲニウム・キブイ(Acetogenium kivui)、 デスルホトマクルム・ニグリフィカンス(Desulfotomaculum nigrificans)およびデスルホビブリオ・サーモフィルス(Desulfovibrio thermophilus)、サーモアナエロバクター・テンコンジェンシス(Thermoanaerobacter tengcongensis)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)およびサーモアナエロバクター・マトラニイ(Thermoanaerobacter mathranii)である。さらに好ましい代替的な実施形態では、遺伝子法によって変更された微生物が使用される。
【0024】
b.ガスストリッピング
本発明によれば、揮発性成分、特に揮発性有機生成物は、担体ガスによるストリッピングによってガス相へ移送される。ストリッピングとも呼ばれるガスストリッピングでは、揮発性化合物はガスを通過させることによって液相から除去され、ガス相に移送される。本実施形態では、このような移送は連続的に行ってもよい。この場合、揮発性成分の連続的な除去とは、発酵による揮発性成分の生成と並行したガスストリッピングによる揮発性成分の除去を意味する。担体ガスとしては、例えば、二酸化炭素、ヘリウム、水素、窒素または空気などの不活性ガス、およびこれらのガスの混合物が考慮される。この場合、極めて反応性の低い、すなわち、化学反応にほとんど関与することができないガスが不活性とみなされる。必要に応じて微好気的条件を調節することができる二酸化炭素および二酸化酸素と空気との混合物が特に好ましい。本発明による方法の利点は、発酵中に生成された発酵排ガスを直接に担体ガスとして使用できることである。すなわち、特別な実施形態では、発酵ガスが担体ガスとして使用される。
【0025】
本発明による方法では、発酵およびガスストリッピングは、好ましくは、撹拌タンク反応器、ループ反応器、エアリフト反応器またはバブルカラム反応器からなるグループから選択された反応器で行われる。特に好ましくは、ガスバブルの分散は、例えば、スパージャおよび/または適宜な撹拌機によって行われる。さらに、ガスストリッピングは、生体反応器に結合された外部のガスストリッピングカラムによって行うことが可能であり、ガスストリッピングカラムには随意に、発酵液を連続的に供給し、生成物を再び生物反応器内に再循環させることができる。特に好ましくは、このような外部のガスストリッピングカラムは、対流モードで、および/または、充填材、好ましくはラシヒリングと組み合わせて、物質移動速度を高めるために作動される。
【0026】
所定通気量(ガス体積流量)は、好ましくは0.1〜10vvm、特に好ましくは0.5〜5vvm(vvmは、「ガス体積/生物反応器体積/分」を意味する)である。ガスストリッピングは、好ましくは0.05〜10bar、特に好ましくは0.5〜1.3barの圧力で実施される。特に好ましくは、ガスストリッピングは低圧(もしくは負圧)で、すなわち、概して約1barである周辺の基準圧力よりも低い圧力で行われる。好ましくは、ガスストリッピングは発酵温度で行われる。さらに好ましい代替的な実施形態では、ガスストリッピングは、発酵液が付加的に加熱されるように行われる。このような付加的な加熱は、温度が上昇され、ガスストリッピングが実施される外部のカラムに発酵液の一部が移送されることによって行われ、これにより、ガスストリッピングは発酵温度の場合よりも効率的に行われる。
【0027】
本発明による方法の別の利点は、液体からガス相への揮発性化合物の変化により得られた蒸発エンタルピーが生物反応器を冷却するために役立てられ、これにより、生物反応器内の温度を一定に保つために必要な冷却出力が減じられることである。本発明による方法の特に好ましい実施形態では、消散された蒸発エンタルピーと周辺への熱損失との合計が生物学的に生成された熱よりも大きいので、冷却出力はもはや必要ではない。
【0028】
c.吸着
本発明による方法によれば、生物反応器を出たガス流は、1つ以上の吸着剤が充填された1つ以上のカラムを通過する。吸着剤としては、ゼオライト、シリカ、ベントナイト、シリカライト、クレイ、ハイドロタルサイト、ケイ酸アルミニウム、酸化物粉末、マイカ、ガラス、アルミン酸塩、クリノプチロライト、ギスモンド沸石、石英、活性炭、骨炭、モンモリロナイト、ポリスチロール、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、ポリビニルピリジンまたはこれらの混合物が適している。好ましい実施形態では、ゼオライトが吸着剤として使用される。ベータ型またはMFI型のゼオライトが特に好ましい。好ましくは、ゼオライトは、5〜1000のSiO/Al比を備え、特に好ましくは100〜900のSiO/Al比を備える。US7,244,409に記載の合成ゼオライトは特に好ましい。
【0029】
吸着剤と吸着されるエタノールとの質量比は、好ましくは1〜1000、特に好ましくは2〜20である。エタノール吸着時の温度は、好ましくは10〜100℃、特に好ましくは20〜70℃である。圧力は、好ましくは0.5〜10bar、特に好ましくは1〜2barである。
【0030】
吸着材料は、複数のカラム内に含まれていてもよい。好ましくは、複数のカラム、特に好ましくは2個以上のカラム、さらに好ましくは2〜6個のカラムを使用してもよい。これらのカラムは、直列または並列に接続されていてもよい。並列接続の利点は、いわば連続的な作動が可能となり、この場合に2個以上のカラムが吸着と脱着(ポイントdにさらに詳しく説明する)との間で入れ代り、したがって、異なるカラムで吸着と脱着とを同時に行うことができることである。これらのカラムは、好ましくはリボルバー配置で提供されている。特に好ましい実施形態では、2〜6個のカラムが接続され、吸着が行われている1個または複数のカラムは、脱着が行われている1個または複数のカラムに並行に接続される。2個以上のカラムで吸着が行われる場合、これらのカラムを直列または並列に接続してもよい。したがって、例えば6個のカラムを「リボルバー」方式で使用した場合には、カラム1〜3で吸着を行い、カラム4を脱着のために加熱し、カラム5では脱着を行うことができ、カラム6は冷却させる。吸着剤の充填量があらかじめ規定された値に達した場合、または遅くとも完全に充填され、揮発性有機化合物がカラム端部から飛び出し、すなわち、もはや揮発性有機化合物を完全に吸着することができなくなったときに、吸着カラムは交換される。
【0031】
概して、ガス流は、揮発性有機化合物よりも多くの水を含み、したがって、吸着剤はまず水により飽和される。次いで第2期間で、揮発性有機化合物の充填量は、この場合にも飽和されるまで連続的に増大する。この第2期間で、揮発性化合物と水との比率は連続的に増大する。後続の触媒反応に関して、この方法の特に好ましい実施形態では、適切なサイクル時間および/または適切な吸着剤量の選択により、揮発性有機化合物と水との間の比率は調節され、これにより、触媒反応のために特に適した揮発性有機化合物の混合比、すなわち、特に適した、または最適な比率が得られる。触媒反応のために特に好ましい、または最適なサイクル時間および/または吸着剤量を予備試験によって決定することができる。特に適した揮発性有機化合物の比率は、10%(w/w)〜90%(w/w)、特に好ましくは30%〜70%(w/w)、さらに好ましくは35%(w/w)〜60%(w/w)である。残りの比率は、水および/または担体ガスから構成される。
【0032】
使用される吸着材料は、好ましくは、選択的な吸着が可能である。吸着材料における選択的な吸着とは、この場合、吸着材料が、不都合な化合物よりも高い質量分率で所望の化合物をガス流から吸着することができることとして理解される。本発明における所望の化合物は、揮発性有機化合物である。本発明における不都合な化合物とは、以下の段落で特定するように、例えばアンモニアなどの触媒毒である。すなわち、ガス流が、等しい質量分率の揮発性有機化合物と不都合な化合物とからなっている場合には、不都合な有機化合物より多く揮発性有機化合物が吸着される。好ましくは、揮発性有機化合物と不都合な化合物との比率は少なくとも5:1、特に好ましくは、少なくとも20:1である。
【0033】
好ましい実施形態では、吸着材料は、後続の触媒反応のために不都合な化合物、例えば触媒毒が、無視できる量または測定不能な量しか吸着されないように選択される。単独で、または結合して触媒毒と生じる場合のある典型的な不都合な化合物は、アンモニア、フラン、フルフラールおよびヒドロキシメチルフルフラール(HMF)などのフルフラールの誘導体である。特に好ましい実施形態では、わずかな酸性中心を備える吸着材料が使用された場合、アンモニアの吸着が広範囲に防止されるか、または完全に防止される。このためには、例えば、少なくとも100のSiO/Al比を備えるゼオライトが適している。それ故、これらのゼオライトは、この実施形態のための吸着材料として特に好ましい。吸着剤および触媒の両方がゼオライトである場合、一実施形態では、好ましくは、吸着剤は触媒のSiO/Al比よりも大きいSiO/Alを備える。
【0034】
図4および図5は、ゼオライトがエタノールの選択的吸着に適しており、不都合な化合物であるアンモニアの吸収を無視できることを示す。
【0035】
揮発性有機化合物が低減されたガス流が吸着器から流出する。上記選択的吸着が可能となることにより、このような流出時に、さらに処理される生成物流れ(以下のd.およびe.で説明する)から上記の不都合な化合物が低減されるか、または除去される。ステップdおよびステップeにより、すなわち、例えばWO2008/066581A1に記載された随意の蒸留とは異なり、不都合な化合物が効果的に低減または除去される。吸着カラムから流出した後に生物反応器に再循環させることができ、次いで再びガスストリッピングのために使用することができる。吸着は、流動床で行ってもよい。同様に、ラジアル吸着器または回転吸着器を使用してもよい。この実施形態では、再循環されたガス流の有機化合物は低減されているので、ガス再循環にも関わらず発酵媒体中の揮発性有機化合物の濃度を低く保持することができる。
【0036】
ゼオライトにおけるin situ ガスストリッピングと吸着とを本発明にしたがって組み合わせることにより、発酵液中の揮発性有機化合物の濃度を発酵継続時間にわたって所定値未満に保持することができる。このことは、例えばエタノール、ブタノールまたはアセトンの場合のように、揮発性有機化合物が微生物に対して阻害性または毒性作用を及ぼす場合には特に好ましい。吸着は、好ましくは少なくとも揮発性有機化合物の生成継続時間にわたって、すなわち、揮発性有機化合物が生じている間は実施される。発酵媒体中の揮発性有機化合物の低濃度とは、例えば、発酵媒体中の揮発性有機化合物の総量が10%(w/v)未満、好ましくは発酵媒体中の揮発性有機化合物が5%(w/v)未満、特に好ましくは発酵媒体中の揮発性有機化合物が3.5%(w/v)未満、最も好ましくは発酵媒体中の揮発性有機化合物が2%(w/v)未満であることを意味する。個々の成分に関しては、発酵媒体中のエタノールが、好ましくは10%(w/v)未満、より好ましくは5%(w/v)未満、もしくは発酵媒体中のブタノールが好ましくは3%(w/v)未満、より好ましくは2%(w/v)未満、さらに好ましくは1.5%(w/v)未満として理解され、この場合、ブタノールは、ここでは全てのブタノール、すなわち、1‐ブタノール、2‐ブタノールおよびtert‐ブタノールを含む。
【0037】
d.脱着
本発明による方法は、吸着剤からの揮発性有機化合物の脱着を可能にする。この場合、脱着流体中の揮発性有機化合物の比率は、本発明による方法の方法ステップd.では、好ましくは10%(w/w)〜90%(w/w)、特に好ましくは30%(w/w)〜70%(w/w)、さらに好ましくは35%(w/w)〜60%(w/w)である。
【0038】
脱着は、カラム内の温度の上昇および/または圧力の低減によって行うことができる。好ましくは、温度は、25〜300℃、絶対圧は0〜10barである。特に好ましくは、温度は80〜300℃、絶対圧は0.1〜3barである。
【0039】
本発明による方法の好ましい実施形態では、脱着された揮発性有機化合物をカラムから除去するためには担体ガスが使用される。特に好ましくは、この場合、ガスストリッピングにも使用される担体ガスと同じ不活性の担体ガスが使用される。「同じ担体ガス」とは、同様のガスが使用されるという意味である。例えば、ステップb.の担体ガスがガスA(二酸化炭素であってもよい)の場合、「同じ」担体ガスの実施形態ではガスはステップd.においてもガスA(二酸化炭素であってもよい)である。しかしながら、好ましくはステップd.では、ステップb.で使用されたガス流と同じガス流が使用されないことが重要である。その理由は、ステップb.で使用されたガス流は、後続のステップc.(すなわち、ガス流が吸着器を出る際)では、上述のように概して不都合な化合物を含むことである。これにより、ステップd.で脱着のために使用され、ステップe.(以下に説明する)に供給されるガス流中の不都合な化合物は低減されている。本発明による方法の別の好ましい実施形態では、担体ガスの温度および絶対圧は、カラム内の上記温度および絶対圧に応じて調節される。このためには、上流側の熱交換器および/または絞りもしくはコンプレッサが適している。
【0040】
脱着は、流動床モードで行ってもよい。同様にラジアル吸着器または回転吸着器を使用してもよい。
【0041】
e.触媒反応
本発明にしたがって、セクションdで説明した脱着流体は、触媒を充填された1つ以上の反応器に移送され、この場合、流入した流体を随意に上流側の熱交換器および絞りもしくはコンプレッサにより反応温度および反応圧力に設定することができる。選択した反応条件に応じて、反応器内には、特にオレフィン類、脂肪族、芳香族、酸素化物のグループに割り当てることのできる個々の有機化合物またはこれらの混合物が生じる。
【0042】
反応器としては、好ましくは、流動床反応器、ラジアルフロー反応器、噴流床反応器、移動床反応器、ループ反応器または固定床反応器を使用してもよい。同じまたは異なる構成の複数の反応器を組み合わせることも可能である。
【0043】
触媒としては、例えば、ゼオライト、シリカ‐アルミナ、アルミナ、メソ多孔質の分子ふるい、ヒドロキシアパタイト、ベントナイト、硫酸化ジルコニアおよびシリカアルミノフォスフェートなどのブロンステッド酸および/またはルイス酸が適している。好ましい実施形態では、ゼオライトが触媒として使用される。好ましいゼオライトは、水素型(H‐ZSM‐5)のMFI型ゼオライトである。好ましくは、ゼオライトは、5以上、例えば5〜1000のSiO/Al比、特に好ましくは20〜200のSiO/Al比を有する。好ましくは、吸着剤および触媒の両方がゼオライトである場合、触媒‐ゼオライトは、吸着器‐ゼオライトよりも低いSiO/Al比を有する。しかしながら、特にこの実施形態では、上記比率に制限されておらず、触媒‐ゼオライトは、100よりも低い値のSiO/Al比を有する。
【0044】
触媒反応のために好ましい反応条件は、150℃〜500℃の温度、0.5〜100barの絶対圧、および100〜20000h−1の気体時空間速度(gas hourly space velocity)(GHSV=気体反応物フローレート/触媒容積)である。特に好ましい実施形態では、温度は、250℃〜350℃の範囲、絶対圧は1〜5barの範囲、GHSVは2000〜8000h−1の範囲である。
【0045】
従来技術に対して本発明の利点は、セクションc/dに記載の吸着/脱着と本明細書に記載の触媒反応とを組み合わせたことである。吸着もしくは脱着条件の意図的な選択により、脱着流体中、ひいては触媒反応のインプット流体中の水の比率および揮発性有機化合物の比率を調節することがはじめて可能となる。揮発性有機化合物の比率を適宜に選択することにより、揮発性有機化合物の収率に著しい影響が及ぼされ、水の比率を適宜に選択することにより、触媒の失活特性に著しい影響が及ぼされる。セクションc/dに記載の吸着/脱着と本明細書に記載の触媒反応とを組み合わせることにより、ガス流から不都合な化合物を取り除くこともできる。これにより、触媒が、例えば、吸着ステップを含まないWO2008/066581A1に記載の方法のように、触媒毒にさらされることが防止される。
【0046】
触媒反応は、150〜500℃、好ましくは250〜350℃の温度、0.5〜100bar、好ましくは1〜5barの絶対圧、および100〜20000h−1、好ましくは2000〜8000h−1のGHSVにより行われる。
【0047】
好ましい実施形態では、インプット流体中の揮発性有機化合物の比率は、10〜90%(w/w)、特に好ましい実施形態では30〜70%(w/w)、さらに好ましい実施形態では35〜60%(w/w)である。100%(w/w)の内それぞれ残りの比率は、水もしくは担体ガスの比率から構成される。
【0048】
f.凝縮
本発明による方法は、好ましい実施形態では、さらに、上記方法ステップa〜eに続いて、随意に温度低下および/または圧力増大によって行うこともできる生成物流体の凝縮が行われることを特徴としていてもよい。この場合、温度を周辺温度未満の温度レベル、特に好ましくは10℃未満に低下させることが好ましい。このような冷却のためには、並流式、向流式または直交流式に作動する熱交換器が使用される。本発明による方法の好ましい実施形態では、凝縮は段階的に行われ、異なる材料組成を備える複数の留分が得られる。
【0049】
本発明は、さらに吸着後および/または触媒反応後に単数もしくは複数の担体ガスを再循環させることができることを特徴とする方法をも含む。この場合、発酵排ガスが担体ガスとして使用されることが好ましい。好ましくは、ガス流における凝縮できない部分は、好ましくは、触媒反応カラムに再循環されることにより、さらに触媒反応が行われる。
【0050】
本発明による方法の別の好ましい実施形態によれば、これらの凝縮できない部分は、反応物として1つ以上の他の化学反応、例えば重合反応のために使用される。エチレンからポリエチレンへの重合またはプロペンからポリプロピレンへの重合が特に好ましい。別の好ましい実施形態によれば、凝縮できない部分は燃焼させることにより熱として使用される。これら全ての実施形態では、成分を増大させるために別の吸着およびこれに続く脱着を行うことも可能である。この場合、吸着剤としてゼオライト様材料が使用される。特に好ましくは、cおよび/またはeに記載の方法ステップのためには同じ材料が使用される。
【0051】
本発明にしたがって、生じた凝縮物が収集される。好ましい実施形態では、生じた凝縮物は、蒸発による損失を防止するために冷却保持される。
【0052】
g.相分離
さらに、fで説明した方法は、別の好ましい実施形態では、凝縮に続いて相分離が行われることを特徴としていてもよい。有機化合物と水との間の溶解度間隙により、凝縮後には、好ましくは、有機相および水性相の2つの相が形成される。本発明による方法にしたがって、これらの相は互いに分離される。分離は、単純なデカンテーションによって行ってもよいし、遠心分離または専門家に既知の他の液液分離法によって行ってもよい。特に好ましい実施形態では、デカンテーション時に、より軽量の相、すなわち、水様相よりも軽量の相である有機化合物が分離される。本発明による方法の特別な利点は、これにより、高いエネルギー消費なしに大量の水を生成物から分離できることである。
【0053】
水様相は、プロセス水として他の方法段階に再循環させることができる。好ましい実施形態によれば、ガスストリッピングによって、場合によってはまだ水様相内に溶解している揮発性炭化水素が水様相から除去される。この方法の特に好ましい実施形態によれば、これらの揮発性炭化水素は再循環され、特にセクションcの脱着またはセクションeの触媒反応のために再循環され、この場合、担体ガス流としては、生物反応器のガスストリッピングのための場合と同じ担体ガス流が用いられるか、または触媒反応の場合と同じ担体ガス流が用いられる。
【0054】
有機相は、直接に得ることができるか、または別の処理の後に生成物として得ることができる。好ましい別の処理は、有機混合物を、それぞれ様々に用いることができる複数の留分および/または成分に分離することである。
【0055】
生成物または留分を燃料または燃料のための添加剤として用いることは、特に有利である。燃料は、ガソリン、ディーゼル燃料、航空燃料または類似の燃料であってもよい。さらに、生成物を燃料として、例えば加熱油として用いることも可能である。本発明による代替的な用途は、特に重合体を生成するために、後続の化学反応の際にさらに使用することである。
【0056】
並行配置
本発明による方法一般、および付加的に上記ステップfおよびgを含む本発明の実施形態は、さらに方法ステップaおよびeが並行して行われることを特徴としていてもよい。これについて、特に好ましい、しかしながら限定的ではない実施形態が以下に示されている。
これらに限定されるものではないが、本発明は以下の態様の発明を包含する。
[1]有機化合物を生成するための方法であって、次の方法ステップ:
a.生物反応器内における、バイオマスの揮発性有機化合物への発酵による転換;
b.担体ガスを用いたガスストリッピングによる揮発性有機化合物の除去;
c.ガス流からの揮発性有機化合物の吸着;
d.吸着された揮発性有機化合物の吸着剤からの脱着;
e.揮発性有機化合物の触媒反応;
を含む上記方法。
[2]前記方法ステップdにおいて、脱着流体中の揮発性有機化合物の比率が、好ましくは10%(w/w)〜90%(w/w)、特に好ましくは30%(w/w)〜70%(w/w)、さらに好ましくは35%(w/w)〜60%(w/w)である、[1]に記載の方法。
[3]前記方法ステップa〜eに続いて、生成物流体の凝縮を行い、該凝縮に続いて、好ましくは相分離を行う、[2]に記載の方法。
[4]前記方法ステップa〜eを並行して行う、[1]〜[3]のいずれかに記載の
方法。
[5]前記揮発性有機化合物が、アルコールおよび/またはケトンおよび/またはアルデヒドおよび/または有機酸であり、好ましくはエタノールおよび/またはブタノールおよび/またはアセトンである、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]吸着後および/または触媒反応後に単数もしくは複数の担体ガスを再循環させ、および/または、特に好ましくは発酵排ガスを担体ガスとして用いる、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つ、さらに好ましくは4つ、さらに好ましくは5つ以上の個々の方法ステップを以下の条件下:
a.10〜70℃、好ましくは20〜60℃、特に好ましくは30〜50℃の温度で発酵を行い、
b.ガスストリッピング時には、所定通気量が0.1〜10vvm、好ましくは0.5〜5vvmであり、
c.吸着時の温度が10〜100℃、好ましくは20〜70℃であり、圧力が0.5〜10bar、好ましくは1〜2barであり、
d.温度上昇および/または圧力低下により脱着を行い、
e.150〜500℃、好ましくは250〜350℃の温度、0.5〜100bar、好ましくは1〜5barの絶対圧、および100〜20000h−1、好ましくは2000〜8000h−1のGHSVにより触媒反応を行い、
f.温度低下および/または圧力上昇により凝縮を行い、
g.デカンテーション時に、より軽量な相である有機化合物を分離する、
で実施する、[3]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]吸着剤がゼオライトであり、該ゼオライトが、好ましくは5〜1000、特に好ましくは100〜900のSiO/Al比を備える、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]触媒がゼオライトであり、該ゼオライトが、好ましくはMFI型ゼオライトであり、特に好ましくは水素型のMFI型ゼオライトであり、
ゼオライト触媒は、好ましくは、5〜1000、特に好ましくは20〜200のSiO/Al比を備える、[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10]触媒反応のために、触媒毒が吸着されないように吸着剤を選択する、[8]に記載の方法。
[11]ゼオライト吸着剤とゼオライト触媒とが同一の材料である、[1]〜[9]のいずれかに記載の方法。
[12]複数の並列したカラム内にゼオライト材を充填し、リボルバー方式の場合のように、複数の方法ステップの間に互いに時間的にずらしてカラムを入れ代え、吸着、脱着、触媒反応、および場合によっては再生から前記方法ステップを選択する、[11]に記載の方法。
[13]吸着、脱着および触媒反応を時間的にずらしてそれぞれ同じカラムで行い、好ましくは、脱着後にガス流を同じカラムに再循環させ、次いで該カラム内で触媒反応を行う、[11]に記載の方法。
[14]吸着、脱着および触媒反応を単一の装置内で行い、好ましくは、該装置が、ストリッピングガス流からの吸着を行うより低温の領域と、脱着および触媒反応を行うより高温の領域とを備える、[11]に記載の方法。
[15]前記装置が、ラジアル吸着器、移動床反応器または噴流床反応器である、[14]に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1aは、生物反応器(1a)でガスストリッピングを行い、図1bは、外部のガスストリッピングカラム(1b)でガスストリッピングを行う本発明による方法の実施例を示す。
図2】レボルバー配置による本発明の実施形態を示す図である。
図3】同じカラムへ脱着ガス流を再循環させる本発明による実施形態を示す図である。
図4】ラジアル吸着器を備える本発明による実施形態を示す図である。
図5】噴流床反応器を備える本発明による実施形態を示す図である。
図6】移動床反応器を備える本発明による実施形態を示す図である。
図7】異なる吸着温度を用いたエタノール比率および水比率の調節を示す実施例1にしたがった図である。
図8】ガスストリッピングによりエタノールの連続的な分離および吸着を伴わない(上部)、および伴う(下部;短い破線で示したエタノール曲線は、溶液中のエタノールの合計を考慮しており、吸着剤に関連している)パチソレン・タノフィルスを用いた2つの発酵の比較を示す実施例2にしたがった図である。
図9】エタノール使用量に関連した揮発性有機相の収率に対するガス状の脱着流量中のエタノール比率の影響を示す実施例3にしたがった図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1aは、本発明による方法の可能な実施形態を示す。不活性担体ガス流(1)がガスストリッピングのために生物反応器(2)に吹き込まれる。生物反応器内ではバイオマスが発酵され、揮発性有機化合物が生成され、この場合、pH調整剤などの添加剤(3)が添加される。揮発性有機化合物および他の揮発性成分を含有するガスは、生物反応器を出て、揮発性有機化合物が選択的に吸着される吸着カラム(4)を通過する。低減されたガス流は、次いで生物反応器に再循環される。ほぼ連続的な運転を保障するために、2つ以上のカラムが並列および/または直列に接続される。担体ガス流の一部は、発酵により発酵排ガスが生成されたことにより排出される(5)。吸着された揮発性有機性化合物を脱着するために、カラム(4)の内部の温度および/または圧力が変更される。脱着された揮発性有機化合物を搬出するために不可欠な担体ガス流(10)が、熱交換器(6)および/または絞りを介して適宜に調節される。
【0059】
ガスは脱着時にカラムを出て、次いで1つ以上の反応器(7)で触媒的に反応する。この場合に生成された有機生成物は、熱交換器(8)で凝縮される。凝縮物は、次いで相分離(9)される。有機相は、生成物(11)として取り出され、水性相(12)はさらに使用される。再生された担体ガス流(10)は再循環される。
【0060】
図1bは、本発明による方法の別の可能な実施形態を示し、この場合、ガストリッピングは、生物反応器に接続された外部のガスストリッピングカラム(13)内で行われる。この場合、発酵液は外部のガスストリッピングカラムに供給され、次いで放散された溶液は生物反応器に再循環される。他の全ての方法ステップは図1aと類似している。
【0061】
本発明による方法によれば、特に好ましい実施形態では、吸着および触媒反応のためには担体および触媒として同じ活性材料が使用される。これにより、本発明による方法の特に好ましい以下のさらなる実施形態が可能である。
【0062】
図2は、本発明による方法の他の可能な実施形態:4つ(A‐D)またはそれ以上のカラムが使用されたリボルバー方式を示す。まず、カラムAおよびBは吸着(1)を行い、この場合、カラムは直列または並列に接続されていてもよい。カラムCは脱着(2)を行い、担体ガス流が高温時または低圧時に吹き込まれる。カラムDでは触媒反応が行われ、脱着されたガス流が吹き込まれる。サイクル時間の終了後に、カラムBは脱着(2)に、カラムCは触媒反応(3)に、およびカラムDは吸着(1)に移行する。吸着のためには、次いでカラムDおよびカラムAが接続される。提供されているカラムの数のサイクル時間後に、最初と同じカラムが脱着され、これにより、サイクルは完了し、新たなサイクルが始まる。
【0063】
図3は、本発明による方法の別の可能な実施形態を示し、3つ(A‐C)または以上のカラムが使用され、脱着および触媒反応は同じカラムで同時に行われる。まず、カラムAおよびBは吸着(1)を行い、この場合、これらのカラムは直列または並列に接続されていてもよい。カラムCでは、温度上昇により揮発性有機化合物が脱着され、同時に触媒的に反応する(3)。所定の滞留時間分布(residence time distribution)を調節できるように、脱着ガス流の一部がカラムCに再循環される。サイクル時間の終了後に、カラムBは脱着および触媒反応(2)に、カラムCは吸着(1)に移行する。次いで吸着のためにカラムCおよびAが接続される。提供されているカラムの数だけ多くのサイクル時間後に、最初と同じカラムが吸着され、これにより、サイクルは完了し、新たなサイクルが始まる。
【0064】
図4は、本発明による方法の別の可能な実施形態を示す。この実施形態では2つの区画からなるラジアル吸着器(radial adsorber)を使用している。区画Aでは、揮発性有機化合物を含有するガス流(1)からの吸着が行われ、区画Bでは、脱着および生成物ガス流(2)への触媒反応が同時に行われる。装置の回転により、連続的に充填された吸着材料は吸着区画(A)から脱着‐および触媒反応区画(B)に到達し、またその逆のことがいえる。
【0065】
図5は、本発明による方法の別の可能な実施形態を示す。この実施形態では、吸着区画(A)および反応区画(B)を有する噴流床反応器が使用されている。吸着区画(A)では、ガス流(1)からの揮発性有機化合物の吸着が行われ、区画Bでは、熱い担体ガス流(2)の吹き込みにより脱着および触媒反応が行われ、この場合、熱い担体ガス流は粒子を連行し、いわゆる「ライザー」の内部で上方へ搬送する。この場合、ガス(破線で示す)および粒子(実線で示す)は同じ流れにより搬送される。ライザーのヘッド部では粒子析出が行われる。次いで粒子は吸着区画(A)に戻され、これにより全体として粒子の閉ループ循環が生じる。
【0066】
図6は、本発明による方法の別の可能な実施形態を示す。この実施形態では、吸着区画(A)および反応区画(B)を有する移動床反応器を使用している。より低温の吸着区画(A)では、担体ガス(1)からの揮発性有機化合物の吸着が行われる。充填された粒子は、次いで、より高温の反応区画(B)に移動し、反応区画(B)で脱着および触媒反応が行われる。担体ガス流(2)によって有機生成物が反応器から排出される。粒子は、反応区画の下流側で反応器から搬出され、適宜な固体搬送技術によって再び吸着区画(A)に搬送され、これにより全体として粒子の閉ループ循環が生じる。
【0067】
別の好ましい実施形態では、本発明による方法は、1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つ、さらに好ましくは4つ、さらに好ましくは5つ以上の個々の方法ステップが以下の条件下に実施されることを特徴としている:
a.10〜70℃、好ましくは20〜60℃、特に好ましくは30〜50℃の温度で発酵を行い、
b.ガスストリッピング時には、所定通気量が0.1〜10vvm、好ましくは0.5〜5vvmであり、
c.吸着時の温度が10〜100℃、好ましくは20〜70℃であり、圧力が0.5〜10bar、好ましくは1〜2barであり、
d.脱着が、温度上昇および/または圧力低下により行われ、
e.触媒反応が、150〜500℃、好ましくは250〜350℃の温度、0.5〜100bar、好ましくは1〜5barの絶対圧、および100〜20000h−1、好ましくは2000〜8000h−1のGHSVにより行われ、
f.凝縮が、温度低下および/または圧力上昇によって行われ、
g.デカンテーション時に、より軽量な相である有機化合物が分離される。
【0068】
本発明によれば、上記段落に記載の条件を、図1図6に示したいずれかの好ましい反応器と組み合わせることが可能である。
【実施例】
【0069】
実施例1:異なる温度におけるガスストリッピングおよび吸着
5%(w/v)のエタノール水溶液500mLが1L/minの体積流量により24時間にわたって放散された。ダイアフラムポンプ(KNF,ドイツ)、体積流量制御器(スウェージロック、ドイツ)およびガス洗浄ビン(VWR、ドイツ)が使用された。ガス流は、ガスカラム(VWR、ドイツ)を通過させられ、ガスカラムには、200gのゼオライト‐粒子(ZSM‐5、水素型;SiO2/Al=200;結合剤:ベントナイト;直径2〜4mm;製造者:ズュート‐ヒェミー・アクチェンゲゼルシャフト、ドイツ)が充填された。ガス流は、閉ループ循環によりガス洗浄ボトルに再循環され、システムは閉鎖された。ガラスカラムは、加熱スリーブ(モーア・アンド・コー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング、ドイツ)によって異なる温度に加熱される。ガス洗浄ボトル内におけるガスストリッピングは30℃で行われた。試験の終了後に、溶液中のエタノール濃度がガス‐クロマトログラフ(トレースGC,サーモフィッシャー、ドイツ)によって決定された。さらに、ゼオライトおよび溶液の重量増加が決定された。質量バランスによって、ゼオライトへの水およびエタノールの充填量が計算され、これにより、水の比率および揮発性有機化合物エタノールの比率が計算された。
【0070】
図7は、吸着温度に依存して得られた水の比率および揮発性有機器化合物の比率を示す。これによれば、水の比率もしくは揮発性有機化合物の比率は吸着温度によって調節することができる。
【0071】
実施例2:ガスストリッピングおよび吸着によるin situ 発酵
パチソレン・タノフィルス(DSM70352、DSMZ、ブラウンシュヴァイク、ドイツ)が、ガスストリッピングおよび吸着によるエタノールの連続的な分離を伴う場合と、伴わない場合に、その他の点では同一条件下に30℃およびpH6において100時間にわたって発酵された。基質として、前処理され、加水分解され、約70g/Lのグルコースおよび約30g/Lのキシロースを含有するリグノセルロース系バイオマスが使用された。生物反応器としては、それぞれ0.8Lの充填容積を有する生物反応器が使用された。連続的な分離を伴う発酵時には、ダイアフラムポンプ(KNF、ドイツ)を用いて1vvmの所定通気量によりガスストリッピングが行われた。実施例1の場合と同様に、ガス流がガスカラムを通過させられ、次いで再循環された。ガスカラムには、535gのゼオライト粒子(ZSM‐5、水素型;SiO/Al=200;結合剤:ベントナイト;直径2〜4mm;製造者:ズュート‐ヒェミー・アクチェンゲゼルシャフト、ドイツ)が充填された。発酵時には、試料が取り出され、エタノール‐含有量がガスクロマトグラフによって計量され、糖がHPLCによって計量された。さらに、ゼオライトの重量増加および吸着された混合物中の水の比率がカール‐フィッシャー滴定法(ショット・インツルメンツ、ドイツ)によって決定された。予備テストにより、水およびエタノールのみが所与の条件下で吸着されることが知られている。これにより、水含有量からエタノール比率を推定することができる。
【0072】
図8は、得られた濃度曲線を示す。この場合、発酵、ガスストリッピングおよび吸着を同時的に実施することが有利であり、所与の条件下では、揮発性化合物の連続的分離を伴う発酵にでは、より高い空時収量が得られることがわかる。
【0073】
実施例3:触媒反応
触媒反応のためには、ILS社(インテグレイティド・ラブ・ソリューションズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング)の固定床反応器(長さ=50cm、内径=2.5cm)が使用された。液状モデル脱着剤(40重量%のEtOH、60重量%の水)がHPLCポンプ(スマートライン・ポンプ100、ヴィッセンシャフトリッヒェ・ゲレートバウ・Dr.Ing.ヘルベルト・クナウアー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング)によって反応管内に配量され、この場合、液状モデル脱着剤は加熱された不活性SiCプリパッケージを用いて蒸発され、4重量%の窒素が含まれるように窒素を混合され、300℃の反応温度および3barの絶対圧に設定された。このようにして得られたガス状の脱着流体は、最終的に5800h−1の気体時空間速度(GHSV)により、10gのゼオライト‐押出成形体(zeolite extrudate)(ゼオライトZSM‐5、水素型、SiO/Al=90;結合剤Al;直径=1/16インチ;製造者:ズュート‐ヒェミー・アクチェンゲゼルシャフト)の充填層を通過させられた。ガス状の生成物流体は、固定床反応器の下流側に配置されたガス/液体‐セパレータで10℃に冷却され、この場合に液状生成物は凝縮され、ガス状生成物から分離された。次いで、液状有機相がデカンテーションにより水性層から分離された。試験は、全体として24時間のタイム・オン・ストリーム(TOS)で実施された。
【0074】
この期間に生じた液状有機相は、最終的に、質量分析計に接続されたガスクロマトグラフによって分析された(組成については表1参照)。評価が示すように、この試験条件下では、99%を超えるエタノール転換率、および使用したエタノール量に対して34重量%の液状有機相の収率が得られた。
【0075】
【表1】
【0076】
別の実験では、その他は同一の条件下にガス状脱着流体中のエタノール比率が変更され、この場合、異なるモデル脱着剤が加熱されたプリパッケージ内で蒸発され、異なる窒素量が混合された。図9は、液状有機相の収率に対するガス状脱着流体中のエタノール比率の影響を示す。高いエタノール比率は、液状有機相の収率に有利に作用することがわかる。
【0077】
実施例4:ゼオライトにおける吸着
実施例1で説明した構成では、5%(w/v)のエタノール水溶液500mLがダイアフラムポンプ(KNFノイベルガー、フライブルク、ドイツ)および容積流制御器(スウェージロック、ガーヒンク、ドイツ)を用いて、30℃および1vvmにおいて24時間にわたって放散された。ガス流は、それぞれ200グラムの吸着剤(SiO/Alを備えるゼオライト)を充填されたガスカラム(ガスナー・グラーステヒニーク、ミュンヒェン、ドイツ)を通過させられた。カラムは、加熱スリーブ(モーア・アンド・コー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング)によって40℃に調節された。24時間後に試験は終了され、パッケージの重量増加が決定され、エタノール濃度がガスクロマトグラフ(トレースGC,サーモフィッシャー)によって計量された。システムは閉じられているので、溶液から放散されたエタノールは吸着剤で吸着される必要がある。残りの重量増加は水に起因している。それ故、質量バランスによって、エタノールおよび水の吸着量が計算され、これにより、次の容量が決定された。
【0078】
【表2】
【0079】
上記のように、エタノールは水に対して選択的に吸着される。すなわち、ゼオライトは、吸着剤として特に良く適している。
【0080】
実施例5
5%(w/v)のアンモニア水溶液400mLに、1000のSiO/Al比を備える本発明によるゼオライト40gが加えられる。この混合物は、1時間にわたって室温で懸濁される。次いで、ゼオライトは再び分離される。残りの溶液50mLにそれぞれ5モルの塩酸が加えられ、pH指示薬であるメチルレッドにより滴定される。等量点を示すインジケータの色が変化した場合には塩酸の追加量が読み取られる。これにより、アンモニアの物質量に相当する塩酸の物質量が計算される;これにより、アンモニア溶液の濃度が決定される。
【0081】
45.15+/−0.88g/Lのアンモニア濃度が得られる。
【0082】
試験で使用されたアンモニア溶液のうちゼオライトと接触していなかったアンモニア溶液のために4回の滴定が繰り返される。この場合、46.13+/−0.33g/Lのアンモニア濃度が生じる。
【0083】
試験は、ゼオライトがアンモニアを吸着しなかったことを示す。さもなければ、ゼオライトと接触した溶液中のアンモニア濃度はより低いはずだからである。
【0084】
実施例4および5は、ゼオライトがエタノールの選択的吸着に適しており、同時にこの吸着剤における不都合な化合物、アンモニアの吸着は無視できることを示している。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9