特許第5789316号(P5789316)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5789316サーモグラフィ装置を有する路面仕上げ機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789316
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】サーモグラフィ装置を有する路面仕上げ機
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20150917BHJP
   E01C 23/01 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   E01C19/48 A
   E01C23/01
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-38165(P2014-38165)
(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-206044(P2014-206044A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2014年6月9日
(31)【優先権主張番号】13163570.8
(32)【優先日】2013年4月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596068349
【氏名又は名称】ヨゼフ フェゲーレ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100167025
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド ルッツ
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング デリアス
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ブッシュマン
(72)【発明者】
【氏名】トバイアス ゴッターバーム
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン パウリーク
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0142133(US,A1)
【文献】 特開2009−230244(JP,A)
【文献】 特開2013−232216(JP,A)
【文献】 特表2010−525321(JP,A)
【文献】 特開2008−003467(JP,A)
【文献】 特開2012−158920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/48
E01C 23/01
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装層の少なくとも1つの領域(8)の地理参照付きのサーモグラフデータ記録を記録するサーモグラフィ装置(5)が着脱可能に固定された路面仕上げ機(1)であって、
前記サーモグラフィ装置(5)は、前記サーモグラフデータ記録を検出する検出ユニット(27)と、前記サーモグラフデータ記録に関する空間関連データ記録を検出する他の検出ユニット(29)とが配設されたハウジング(6)を含んで構成され
前記サーモグラフデータ記録を検出する前記検出ユニット(27)は、赤外線カメラを含んで構成され、
前記ハウジング(6)内には、特に、前記サーモグラフデータ記録を検出する前記検出ユニット(27)から堆積物を除去する送風機(35)が設けられることを特徴とする路面仕上げ機。
【請求項2】
前記路面仕上げ機(1)は、屋根(3)を有する制御プラットフォーム(2)を含んで構成され、前記サーモグラフィ装置(5)は、前記屋根(3)に着脱可能に固定されることを特徴とする請求項1に記載の路面仕上げ機。
【請求項3】
前記サーモグラフィ装置(5)は、固定ユニット(11)を含んで構成され、該固定ユニットにより前記路面仕上げ機(1)に着脱可能に固定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の路面仕上げ機。
【請求項4】
前記ハウジング(6)内には、搭載コンピュータ(30)が配設され、該搭載コンピュータ(30)は、前記サーモグラフデータ記録を前記空間関連データ記録で地理参照するように構成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の路面仕上げ機。
【請求項5】
前記搭載コンピュータ(30)には、Linux(登録商標)オペレーティングシステムがインストールされることを特徴とする請求項4に記載の路面仕上げ機。
【請求項6】
前記搭載コンピュータ(30)は、少なくとも1つのインターフェース(31)を含んで構成され、該少なくとも1つのインターフェースを介して、前記路面仕上げ機(1)の他のユニットと通信することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の路面仕上げ機。
【請求項7】
前記インターフェース(31)は、一方向又は双方向データ通信を実現することを特徴とする請求項6に記載の路面仕上げ機。
【請求項8】
前記インターフェース(31)は、CAN−BUSインターフェースであることを特徴とする請求項7に記載の路面仕上げ機。
【請求項9】
前記赤外線カメラは、前記ハウジング(6)内に強固に配設されることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の路面仕上げ機。
【請求項10】
前記送風機(35)はノズル(35a)を含んで構成されることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の路面仕上げ機。
【請求項11】
前記空間関連データ記録を検出する前記他の検出ユニット(29)は、GNSS受信機(36)を含んで構成されることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載の路面仕上げ機。
【請求項12】
前記サーモグラフィ装置の前記ハウジング(6)は、第1及び第2のハウジングシェル(12,13)を含んで構成されることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1つに記載の路面仕上げ機。
【請求項13】
前記ハウジング(6)内には、防水性を有して密封されたボックス(41)が設置されることを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか1つに記載の路面仕上げ機。
【請求項14】
前記サーモグラフィ装置(5)の前記ハウジング(6)内には、サーモグラフデータ記録を検出する複数の、好ましくは、2つの検出ユニットが配設されることを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか1つに記載の路面仕上げ機。
【請求項15】
前記サーモグラフデータ記録を検出する前記検出ユニット(27)の設定角度、好ましくは、測定範囲は、前記路面仕上げ機(1)のスクリードの舗装幅に基づいて調整されることを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれか1つに記載の路面仕上げ機。
【請求項16】
前記サーモグラフィ装置(5)は、取付け部を用いることにより前記路面仕上げ機(1)のシャーシ(45)に取付けられ、前記サーモグラフィ装置(5)は、前記取付け部を用いることにより前記路面仕上げ機(1)の制御プラットフォームの屋根(3)の高さに配置されることを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれか1つに記載の路面仕上げ機。
【請求項17】
舗装層の少なくとも1つの領域(8)の地理参照付きのサーモグラフデータ記録を記録するサーモグラフィ装置(5)が着脱可能に固定された路面仕上げ機(1)であって、
前記サーモグラフィ装置(5)は、前記サーモグラフデータ記録を検出する検出ユニット(27)と、前記サーモグラフデータ記録に関する空間関連データ記録を検出する他の検出ユニット(29)とが配設されたハウジング(6)を含んで構成され、
前記サーモグラフデータ記録を検出する前記検出ユニット(27)は、赤外線カメラを含んで構成され、
前記ハウジング(6)内には、搭載コンピュータ(30)が配設され、該搭載コンピュータ(30)は、前記サーモグラフデータ記録を前記空間関連データ記録で地理参照するように構成されることを特徴とする路面仕上げ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のサーモグラフィ装置を有する路面仕上げ機に関する。
【背景技術】
【0002】
熱画像カメラを有する路面仕上げ機は、米国特許第6749364(B1)号明細書により知られている。熱画像カメラは、スクリードの後方の新たに敷設されたアスファルト層に向けられている。熱画像カメラは、熱画像カメラのサーモグラフデータを、位置データと結び付ける制御ユニットに接続されている。地理参照付きのデータは、制御ユニットに格納され、テレマティクスユニットを介して他の路面仕上げ車両又は締固め車両に任意に送信され、その結果、各車両は前記地理参照付きのデータに基づいて各舗装パラメータを調整できる。
【0003】
独国実用新案第202009016129(U1)号明細書には、加熱アスファルトの表面温度を測定する装置が開示されている。この装置は、赤外線温度検知ヘッドが移動可能に配設されたハウジングを含んで構成される。赤外線温度検知ヘッドは、モータを用いることにより前後に移動する。これは、定期的に潤滑油を差さなければならない複雑なベアリングを必要とする。
【0004】
アスファルトで舗装するシステム及び方法は、独国特許出願公開第102008058481(A1)号明細書により、位置温度モデルに基づいて作業領域をアスファルトで舗装する計画を立てることで知られている。ここでは、舗装層の温度データを検出する温度センサと、位置データを検出する受信機とを有する路面仕上げ機が開示されている。温度センサは、例えば、赤外線カメラにより形成されている。好ましくは、温度センサは、路面仕上げ機のスクリードに固定されている。さらに、路面仕上げ機は、温度データ及び位置データを路面仕上げ機のオペレータに示すことができるインジケータを含んで構成される。温度データ及び位置データは、送信機を介して後続の締固め用車両に送信され、前記車両は、それに応じて、締固めパラメータを調整する。温度データ及び機械の位置データを検出するために、具体的な実施形態によれば、アスファルト層上で、又は前記アスファルト層の近傍で走行する無人機(unmanned drone)を用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
米国特許第6749364(B1)号明細書及び独国特許出願公開第102008058481号(A1)明細書の各光学検出システムにおいて、温度データ及び位置データを検出する装置それぞれは、別々に路面仕上げ機に取付けられ、各制御ユニットを介して互いに機能的に接続されている。前記部品同士のケーブル接続は、多大な時間を要し、かつ複雑なものであり、特別な予備知識を有した専門家によってのみ行われる。さらに、路面仕上げ機に別々に配設される、位置及び温度データのための検出ユニットは保護されておらず、サイト上での荒れた周囲の状態のために増加した摩耗を受けてしまう。形はどうであれ、これらのシステムは、組み付けが困難であるものとみなされ、この場合、特に、温度及び位置データのための検出ユニットのそれぞれ分離した取付け、調整、及び接続が複雑となり、組み立てに多くの時間を要する。しばしば、高価な検出ユニットは、設置中に損傷するか、又は完全に固定されない。
【0006】
ここで、本発明は、新たに敷設された舗装層の熱画像を検出する簡単な構造手段を用いることにより具現化されるサーモグラフィ装置を有する路面仕上げ機であって、これらの手段は、十分に保護され、かつ容易に作動し、様々な種類の路面仕上げ機に容易に組み付けることができ、そして、容易に取り外すこと及び交換することができる路面仕上げ機を提供することを目的とする。
【0007】
この目的は請求項1に記載の特徴によって達成される。
【0008】
本発明を改良したさらなる発展形態は、従属項の特徴によってもたらされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、舗装層の少なくとも1つの領域の地理参照付きのサーモグラフデータ記録を記録するサーモグラフィ装置が着脱可能に固定された路面仕上げ機に関する。本発明によれば、前記サーモグラフィ装置は、前記サーモグラフデータ記録を検出する検出ユニットと、前記サーモグラフデータ記録に関する空間関連データ記録を検出する他の検出ユニットとが配設されたハウジングを含んで構成される。
【0010】
本発明による路面仕上げ機のサーモグラフィ装置は、前記路面仕上げ機に簡単に取付けられ、あらゆる専門知識を必要とせずに路面仕上げ機から取り外すことができる小型のサーモグラフィモジュールを形成する。これは、前記サーモグラフィ装置を、前記路面仕上げ機に組み付けること、又は修理及び保管のために取り外すことが重要となる場合に、特に利点となる。
【0011】
また、前記サーモグラフィ装置のハウジングにより、前記サーモグラフデータ記録を検出する検出ユニット、及び前記空間関連データ記録を検出する検出ユニットは良好に保護される。さらに、前記ハウジングにより、内部に配設された部品は熱から十分に保護される。
【0012】
本発明による路面仕上げ機は、新たに敷設された舗装層の熱画像の生成に非常に適しており、この場合、モジュラー設計の恩恵により簡易な手段が用いられ、誰でも容易に操作すること及び作動させることができる。
【0013】
好ましくは、ハウジングの内部には、サーモグラフィ装置の感湿アセンブリを収容するようになされたボックスが設けられる。特定の好適な実施形態によれば、前記ボックスは防水性を有し、特に、好ましくは、取り外し可能な蓋などのシーリング材によって密封することができる。特に、防水性ボックスは、以下で詳細に説明する搭載コンピュータ、電源、及び/又はRTKユニットを収容するようになされる。好ましくは、防水性のケーブルブッシングが、前記ボックスの蓋及び/又は前記ボックスそのものに形成される。これにより、前記ボックス内に配置されたアセンブリを、湿気から良好に保護することができ、したがって、その耐用年数が増加する。さらに、前記ボックスは、比較的簡易な防水構造を提供し、前記ハウジング全体に防水性をもたらすことよりも容易である。前記ボックス内ではなく前記ハウジングのすぐ真下に位置する部品は、対応する程度の保護を有し、したがって防水性も有する。
【0014】
防水性ボックスの少なくとも1つの側壁が、前記サーモグラフィ装置のハウジングと一体に、好ましくは、前記サーモグラフィ装置のハウジング底部と一体に形成されることはまた利点である。これにより、前記サーモグラフィ装置のハウジング内に、ボックスを極めて安定的に配置することができる。
【0015】
さらに、前記ハウジング内に、好ましくは、前記ハウジング底部の最下層ポイントに、あらゆる浸水した水を排水できる出口を形成することも利点である。これにより、前記サーモグラフィ装置のハウジング内において、そこに配置されたアセンブリに損傷を引き起こし、その機能に影響を与え得る水が溜まることを防止する。さらに、前記出口は、後述する送風ユニットのための吸気オプション(air intake option)を提供し、カメラの対物レンズ(objective)を洗浄するための空気を吸入する。これにより、簡単な方法で空気が送風ユニットに提供される。
【0016】
本発明の実施形態によれば、路面仕上げ機は、前記サーモグラフィ装置が着脱可能に固定された屋根を有する制御プラットフォームを含んで構成される。ここで、オペレータは、前記制御プラットフォームから前記サーモグラフィ装置に容易にアクセスでき、前記サーモグラフィ装置を容易に取付けるか、又は取り外すことができる。前記路面仕上げ機の屋根に前記サーモグラフィ装置を取付けることにより、敷設した高温の舗装層からの水蒸気が前記サーモグラフィ装置に達することを防止するための、スクリードまでの十分な距離が提供される。また、スクリードに対して露出した前記サーモグラフィ装置の取付けは、前記サーモグラフィ装置が過剰な熱にさらされることを防ぐ。また、前記サーモグラフィ装置を前記屋根に着脱可能に取付けることにより、保守作業のために迅速に取り外すことが可能となる。最後に、前記サーモグラフィ装置は、舗装層上での広い領域の熱画像を前記屋根から検出することができる。
【0017】
好ましくは、前記サーモグラフィ装置は、固定ユニットを含んで構成され、該固定ユニットにより路面仕上げ機に着脱可能に固定することができる。前記固定ユニットにより、路面仕上げ機が運転している間でも、前記サーモグラフィ装置を所望の位置に安定的に配置することができる。また、前記固定ユニットは、少なくとも1つの支持アームを含んで構成され、該少なくとも1つの指示アームにより、前記サーモグラフィ装置が、スクリードの上方から後方に十分離して路面仕上げ機に保持されることは利点である。これにより、スクリードのすぐ後方に新たに敷設された舗装層の熱画像の記録が可能となる。
【0018】
また、前記固定ユニットが、前記路面仕上げ機の屋根に直接隣接するか、又は前記屋根上にあるサーモグラフィ装置のハウジングを固定し、前記サーモグラフィ装置を記録ポイントから可能な限り離して保持することも可能であり、これにより、より広範囲な敷均しの領域又は幅を検出できる。対物レンズの形状は、特に、測定する領域の距離、サイズ及び数、測定する領域における角度有効範囲(angular coverage)及び/又は障害物によって変化し得る。
【0019】
本発明の他の実施形態によれば、前記サーモグラフィ装置の固定ユニットを取付けるために、少なくとも1つの取付け部が路面仕上げ機の屋根に設けられる。前記路面仕上げ機の屋根にサーモグラフィ装置を組み付ける間、前記固定ユニットはまず、前記取付け部に配置され、前記路面仕上げ機の屋根に対して完全に整列される。前記サーモグラフィ装置の固定ユニットが前記屋根の取付け部において正確に位置合わせされると、前記固定ユニットは、他の実施形態によれば、少なくとも1つのネジ継手を用いることにより、前記屋根に対して又は前記屋根の取付け部において安定的に固定される。これにより、オペレータは、前記サーモグラフィ装置の組み付け又は取り外しに関するあらゆる援助に頼ることなく、前記サーモグラフィ装置を路面仕上げ機に組み付けることが容易となる。前記ネジ継手以外に、又はそれに代えて、前記サーモグラフィ装置の固定ユニットは、代替的なクイックロック(quick locks)を有してもよい。例えば、前記ネジ継手に代えて、又はそれに追加して、バヨネットキャッチ(bayonet catch)、フック、シャックルクロージャ(shackle closure)を設け、前記固定ユニットを能動的及び/又は受動的に前記路面仕上げ機の屋根に取付けることができる。
【0020】
好ましくは、前記サーモグラフィ装置の固定ユニットは、第1に、前記屋根に設けられた鍵穴形状の長穴において屋根に懸架されるように設計される。前記サーモグラフィ装置がこの方法で吊り下げられる場合、保持する必要なく2つのネジレバー(screw lever)で固定できる。本発明の他の実施形態によれば、前記取付け部が設けられることにより、前記サーモグラフィ装置を、前記路面仕上げ機の後側で前記屋根と同じ高さに保持することができる。このような取付け部により、特に、前記屋根がない路面仕上げ機が設計された場合に、前記サーモグラフィ装置を多少高い位置に置くことができる。これにより、このような屋根がない路面仕上げ機において、前記サーモグラフィ装置を、前記屋根を有する路面仕上げ機の場合と同じ高さに保持することができる。
【0021】
本発明の他の実施形態によれば、前記ハウジング内には、搭載コンピュータが配設され、該搭載コンピュータは、前記サーモグラフデータ記録を前記空間関連データ記録で地理参照するように構成される。前記ハウジングは、悪天候による影響から前記搭載コンピュータを十分に保護するように考慮されている。前記ハウジング内に配置された搭載コンピュータと、前記2つの検出ユニットとの間で行われる短い距離での計算により、前記搭載コンピュータが、前記サーモグラフデータ記録を前記空間関連データ記録でリアルタイムに地理参照できることを可能にする。前記搭載コンピュータが前記サーモグラフィ装置のハウジング内に組み込まれることにより、前記サーモグラフィ装置を様々な路面仕上げ機に容易に用いることができ、そして、そのモジュラー設計の恩恵により、サーモグラフィ装置が今まで設けられなかった路面仕上げ機を改造する選択肢が提供される。
【0022】
好ましくは、前記搭載コンピュータには、Linux(登録商標)オペレーティングシステムがインストールされる。実際に、このようなオペレーティングシステムは、検出データ記録の特に迅速な地理参照が可能であって、非常に信頼性があることが示されている。
【0023】
本発明の他の実施形態によれば、前記搭載コンピュータは、少なくとも1つのインターフェースを含んで構成され、該少なくとも1つのインターフェースを介して前記路面仕上げ機の他のユニットと通信できる。特に、前記搭載コンピュータは、前記インターフェースを介して、地理参照付きのサーモグラフ測定結果を、前記路面仕上げ機の制御ユニットに送信できる。その結果に基づいて、前記制御ユニットは、例えば、タンパ速度、スクリードレベル、スクリードの熱出力、及び/又は拡散スクリューの速度等の、特定の舗装パラメータを自動的に調整及び有効とし、その結果、舗装材料の向上した敷設及び質の高い舗装層がもたらされる。
【0024】
本発明の他の実施形態によれば、一方向(unidirectional)又は双方向(bidirectional)データ通信を実現するインターフェースが提供される。これにより、前記路面仕上げ機のオペレータは、前記サーモグラフィ装置を自身でも制御でき、例えば、スクリード後方の舗装層のうち意図的に選択した領域を撮影できる。また、オペレータが、前記路面仕上げ機のオペレーティングシステムを用いることにより前記サーモグラフィ装置を制御又は起動し、前記サーモグラフィ装置により熱画像のスナップ写真を記録することも考えられる。
【0025】
好ましくは、前記インターフェースは、CAN−BUSインターフェースであり、それにより、特に、前記サーモグラフィ装置の全測定結果を、特に前記路面仕上げ機の制御ユニットに送信できる。
【0026】
好ましくは、前記路面仕上げ機の制御ユニットは、前記サーモグラフィ装置の地理参照付きのサーモグラフ測定結果を、例えば、前記路面仕上げ機の走行距離データなどの、前記路面仕上げ機の他の測定データと共に計算でき、前記路面仕上げ機の舗装された距離に沿った新たな舗装層の連続的な熱画像表示を計算する。
【0027】
本発明のさらに有利な実施形態において、前記路面仕上げ機は、前記サーモグラフィ装置の全測定結果を、好ましくは、リアルタイムかつカラーで表示可能な表示部を含んで構成される。好ましくは、前記サーモグラフィ装置を制御する入力は、前記表示部上でタッチ機能を用いることによりなされてよい。また、前記表示部は、好ましくは、オペレータに対し、例えば、タンパ速度、シリンダレベルの調整、及び/又は拡散スクリューの速度等の、前記サーモグラフィ装置の測定結果に基づく舗装パラメータの改善を示唆する可能性を示し、その後、オペレータは手動で上記示唆を承諾又は拒否することができる。これにより、オペレータにとって最適な路面仕上げ機の誘導が容易となる。
【0028】
また、前記搭載コンピュータが、少なくとも1つのUSBインターフェースを含んで構成されることも利点である。例えば、USBインターフェースを介して、前記搭載コンピュータ上に、オペレーティングシステムのアップデートをインストールでき、及び/又は、例えば、前記USBインターフェースを介して接続可能な外付けハードディスクなどの記憶媒体は、前記ハウジングに挿入され、前記サーモグラフィ装置の測定結果を記憶することができる。
【0029】
本発明の他の実施形態において、前記搭載コンピュータは、好ましくは、GSM(登録商標)又はWi−Fiアンテナなどのワイヤレスインターフェースを含んで構成され、前記搭載コンピュータは、前記ワイヤレスインターフェースを介して無線で制御され、前記サーモグラフィ装置の測定結果を無線で送信する。これにより、直接的に接続することなく、前記サーモグラフィ装置と外部のユニットとの通信が可能となる。
【0030】
例えば、前記搭載コンピュータは、前記ワイヤレスインターフェースを介して、前記サーモグラフィ装置の測定結果を、好ましくはGSM又はWi−Fiに基づいて、テレマティクスシステムに送信できる。この実施形態によれば、前記テレマティクスシステムは、前記路面仕上げ機と、舗装部分に沿った少なくとも1つの後続の締固め車両との間に設置される。これにより、各現場車両間でのデータの交換が可能となり、そのデータに基づいて、複数の作業パラメータの適合が各車両で実行される。例えば、前記テレマティクスシステムに組み込まれた締固め車両は、その転圧パターンを、先行する路面仕上げ機の地理参照付きのサーモグラフデータ記録に適合させることができる。
【0031】
空間関連の熱画像は、特に、前記サーモグラフデータ記録を検出する検出ユニットが赤外線カメラを含む場合に、本発明による路面仕上げ機のサーモグラフィ装置を用いることにより、舗装層の広範囲の領域に対して生成できる。前記赤外線カメラにより、ハウジング内でカメラを移動させる必要なく、スクリード後方の舗装層の全領域に亘る正確な熱画像を直ちに生成することが可能となる。
【0032】
複数の赤外線カメラ、例えば、2つの赤外線カメラを、前記サーモグラフィ装置のハウジング内に設置し、特に広範囲な舗装領域を検出することもまた可能である。この場合に、各赤外線カメラそれぞれは、特定の測定範囲を検出でき、前記サーモグラフィ装置内に設けられた搭載コンピュータが各測定範囲を計算すると共に、検出された全測定範囲の熱画像を得る。
【0033】
好ましくは、前記カメラの測定範囲(設定角度)を、前記路面仕上げ機の敷均し用の可変なスクリード幅に基づいて、任意に、自動で調整できる。これにより、前記カメラの測定範囲を、異なるスクリード幅毎に個別に適合させることができ、前記サーモグラフィ装置を様々な路面仕上げ機に用いる場合に特に利点となる。
【0034】
前記赤外線カメラが前記ハウジング内に強固に配設されることは特に利点であり、それにより、前記カメラを移動させるための追加の駆動ユニットが不要となる。前記赤外線カメラが前記サーモグラフィ装置のハウジング内に強固に配設されることにより、前記サーモグラフィ装置それ自体が、でこぼこな路上においても堅固なものとなる。
【0035】
任意に、前記赤外線カメラの向きを手動又はモータにより変更し、様々な道幅をスキャンすることができる。しかしながら、このような赤外線カメラの調整は、記録中に連続的に実行されず、記録を開始する前に方向を合わせるのみである。したがって、前記赤外線カメラ、特にそのベアリングにおいて、摩耗の徴候は見られないはずである。このように、前記赤外線カメラの調整は、主に、測定ポイントから前記路面仕上げ機のスクリードまでの距離を調整する役割を果たし、この場合、測定ポイントから前記路面仕上げ機のスクリードまでの距離に基づいて、前記カメラの検出範囲の広さを調整できる。測定ポイントの距離が長くなることにより、前記カメラの検出範囲もまた広くなる。
【0036】
本発明の改善された実施形態において、前記ハウジング内には、送風機が設けられ、例えば、前記サーモグラフデータ記録を検出する検出ユニットから堆積物を除去し、特に前記サーモグラフカメラの対物レンズをエアロゾルの堆積物から保護する。前記対物レンズ上の堆積物は、撮影の悪化を引き起こし、測定値を改悪してしまう。前記送風機はこれを防止できる。これにより、点検期間(対物レンズの洗浄)を特に延長でき、前記サーモグラフィ装置の保守のコストが低減される。前記送風機は、前記路面仕上げ機の電源からの直流又は交流電流によって駆動されてよい。あるいは、前記送風機は、また、例えば、バッテリなどの別個の電気駆動装置を含んで構成されるか、又は前記ハウジング内に別個に配設された電源ユニットによって給電されてよい。
【0037】
本発明の他の実施形態によれば、前記送風機ユニットは、前記カメラにエアロゾルを寄せ付けないフィルタを含んで構成される。これにより、前記送風機ユニットは、前記赤外線カメラのレンズに特に清浄な気流を送風し、前記レンズから堆積物を除去できる。
【0038】
前記送風機を用いることにより特に速くかつ方向付けられた気流を得るために、前記送風機は、例えば、前記赤外線カメラのレンズに向けられ、水蒸気で曇ることを防止するノズルを含んで構成される。有利な副次的効果として、前記送風機は、前記カメラを効果的に冷却できる。
【0039】
また、前記赤外線カメラのレンズを、前記ハウジング内の開口部に対して、又は開口部において調整可能であり、それにより、前記レンズは、前記送風機ユニットの気流が流れる一種のスリットダイアフラム(slit diaphragm)を形成し、前記レンズの周囲に連続的な気流を形成する。これにより、前記赤外線カメラのレンズから堆積物、特にエアロゾルを除去し続けることが可能になる。
【0040】
測定されたサーモグラフデータの位置的に正確な地理参照は、前記空間関連データ記録を検出する検出ユニットがGNSS受信機を含む場合に、特に可能となる。前記GNSS受信機は、例えば、GPS受信機として具現化され、そして、RTK無線受信機を付加的に補うことが好ましく、それにより、GPS座標を非常に高い精度で補正することができる。例えば、統合されたRTK無線受信機を介して、補正データを地域の基地局から受信することができる。あるいは、他の補正データサービスを使用することも可能である。前記RTK無線受信機と前記GNSS受信機とを共に使用することにより、前記サーモグラフィ装置の地理参照付きのサーモグラフ測定結果に基づいて、ワイヤレスに接続された複数の締固め車両の正確な運転指示、及び前記路面仕上げ機に対して最適な舗装パラメータの適合が可能になる。
【0041】
本発明による路面仕上げ機のサーモグラフィ装置は、それほど高価でなく、前記ハウジングが第1及び第2のハウジングシェルを含んで構成される場合に、組み立てが容易である。前記2つのハウジングシェルは、例えば、好ましくは、射出成形により製造可能なプラスチック製のシェルとして具現化される。
【0042】
好ましくは、前記第1及び第2のハウジングシェルは、相互に着脱可能に連結され、その結果、それらはサーモグラフィ装置を修理するために容易に解体でき、例えば、前記送風機のフィルタを交換又は洗浄するために、修理担当者は、前記ハウジングに配置された装置に対して容易にアクセスできる。
【0043】
本発明の他の実施形態によれば、密封リングが前記2つのハウジングシェルの間に挟持される。前記リングは、前記2つのハウジングシェルの防水密封を提供する。さらに、その消音効果により、前記密封リングは、舗装運転中の前記サーモグラフィ装置のハウジングで騒音が発生することを防止する。
【0044】
好ましくは、前記サーモグラフィ装置のハウジング内において、後方に前記赤外線カメラのレンズが配置されたウィンドウが具現化される。前記ウィンドウは、前記第1及び/又は第2のハウジングシェルのいずれかにおいて具現化できる。
【0045】
本発明の他の実施形態によれば、前記ウィンドウ上又は前記ウィンドウの代わりに、複数の剥ぎ取り式の薄膜(thin tear-off foils)を提供することができる。前記薄膜は、オートバイ用のヘルメット又はF1用のヘルメットにおける捨てバイザー(tear-off visors)と同様に、例えば、エアロゾルなどの汚れが付着した場合に次々に剥ぎ取られ、前記カメラの対物レンズにとってクリアな視界を提供する。このような実施形態において、上述した送風機をなくして、前記サーモグラフィ装置の簡易化した構造をもたらすことも可能である。
【0046】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】サーモグラフィ装置を有する本発明による路面仕上げ機を示す。
図2】サーモグラフィ装置を有する本発明による路面仕上げ機を示す第1の斜視図である。
図3】サーモグラフィ装置を有する本発明による路面仕上げ機を示す他の斜視図である。
図4】下側から見たサーモグラフィ装置を示す第1の斜視図である。
図5】下側から見たサーモグラフィ装置を示す第2の斜視図である。
図6】上側から見たサーモグラフィ装置を示す第3の斜視図である。
図7】舗装部品を有するサーモグラフィ装置を示す概略図である。
図8】サーモグラフィ装置のハウジング内部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、本発明による路面仕上げ機1を示す。本発明による路面仕上げ機1は、屋根3を有する制御プラットフォーム2を含み、屋根3は制御プラットフォーム2のフレーム4によって支持される。サーモグラフィ装置5が、制御プラットフォーム2の屋根3に締結される。サーモグラフィ装置5は、ウィンドウ7を有するハウジング6を含む。ウィンドウ7は、スクリード9の後方の領域8に向けられる。舗装運転中、領域8は、路面仕上げ機1によって新たに敷設された舗装層に位置する。
【0049】
舗装材は、材料バンカー10から、制御プラットフォーム2の下部にある図示しないコンベヤ装置を経由して、路面仕上げ機1のシャーシ45を通り、スクリード9の後部に運ばれる。それにより、舗装材は、サーモグラフィ装置5により撮影される領域8の位置で新たな舗装層に加工される。
【0050】
図2は、制御プラットフォーム2の屋根3に固定されたサーモグラフィ装置5を示す斜視図である。サーモグラフィ装置5は、固定ユニット11を用いることにより、路面仕上げ機1の屋根3に固定される。また、固定ユニット11を用いることにより、サーモグラフィ装置5を制御プラットフォーム2のフレーム4に直接固定できることは勿論である。図2において、サーモグラフィ装置5は、固定ユニット11を用いることにより固定され、屋根3に対して後方に突出する。あるいは、サーモグラフィ装置5はまた、そのハウジング6を屋根3上に直接搭載でき、そして、例えば、屋根上に直接搭載するために設けられた凹部(indentation)に固定するか、又は屋根3上に設けられたレール(rail)に固定することができる。しかしながら、図2に従って屋根3の下部にサーモグラフィ装置5を取付けることにより、オペレータが、制御プラットフォーム2から、サーモグラフィ装置5と、サーモグラフィ装置の固定ユニット11とに容易にアクセスできるようになり、オペレータのための、特に組立又は解体をするための補助となる。
【0051】
路面仕上げ機1の屋根3に固定されたサーモグラフィ装置5のさらなる斜視図が図3に示される。図2と同様に、サーモグラフィ装置5が固定ユニット11によって保持され、スクリード9の背後に向かって後方に突出することを図3でもまた容易に見ることができる。屋根3の略中央にサーモグラフィ装置5が固定されることを図3でもまた見ることができる。
【0052】
図4は、サーモグラフィ装置5を底部から見た斜視図を示す。サーモグラフィ装置5のハウジング6は、第1及び第2、又は下側及び上側のハウジングシェル12,13を有する。下側及び上側のハウジングシェル12,13は、ネジ14を用いることにより着脱可能に組み立てられる。下側のハウジングシェル12は、ウィンドウ7が設けられたキャビティ15を含む。キャビティ15の用途は、以下詳細に説明するように、特に、サーモグラフデータ記録を検出する少なくとも1つの検出ユニットを収容することと、検出ユニットをウィンドウ7に位置合わせをすることである。下側ハウジングシェル12と上側ハウジングシェル13との間には、ハウジングシェル12,13の間に挟持された密封リング16が設けられ、その結果、密封リング16に沿って防水密封が可能となる。
【0053】
図4は、また、固定ユニット11が、サーモグラフィ装置5のハウジング6から突出した第1及び第2の湾曲部17,18を含むことを示す。湾曲部17,18は、わずかに折れ曲がっており、このために設けられ、下側及び上側ハウジングシェル12,13の間で具現化された取付け部19に固定される。図4において、湾曲部17,18は、ネジ14により取付け部19に保持される。ハウジング6から離れた方に向く湾曲部17,18の端部には、取付けプレート20が設けられる。取付けプレート20は、例えば、湾曲部17,18の端部に溶接されてよい。取付けプレート20はバー21を支持し、バーは、取付けプレート20そのものと同様にクイックロックシステムを構成し、サーモグラフィ装置5を制御プラットフォーム2の屋根3又はフレーム4に着脱可能に固定する。サーモグラフィ装置5を着脱可能に固定するために、バー21は、少なくとも1つのフック取付け部22(図1を参照)に挿通される。フック取付け部22は、制御プラットフォーム2の屋根3又はフレーム4に具現化される。さらに、ネジ継手23が取付け部20に形成されることを図4で見ることができる(取付け部20の反対側にも存在するが、湾曲部17により隠れている)。前記ネジ継手を用いることにより、サーモグラフィ装置を屋根3又はフレーム4に着脱可能に固着できる。
【0054】
固定ユニット11のバー21及び/又は取付け部20は、位置決めの用途としてオペレータにより用いられてよく、オペレータが、前記ネジ継手23を用いることによりサーモグラフィ装置5を路面仕上げ機1の制御プラットフォーム2に最終的に固着する前に、路面仕上げ機1の制御プラットフォーム2に対してサーモグラフィ装置5を調整する。これにより、オペレータが、サーモグラフィ装置5を路面仕上げ機1の制御プラットフォーム2に容易に取付けることを可能にする。
【0055】
図5は、サーモグラフィ装置5を底部から見たさらなる斜視図を示す。湾曲部17,18が管部分として具現化されることを図5で見ることができる。湾曲部17は、管部分の内部に、サーモグラフィ装置5のハウジング6の内部に延在するケーブル24を収容する。ケーブル24は、湾曲部17の開口部25を通って外部に延在する。ケーブル24は、電源ケーブルとして、及び/又は好ましくは、双方向データ通信ケーブルとして実現されてよく、ハウジング6内に配設された各ユニットの少なくとも一部と路面仕上げ機1とを接続する。
【0056】
図6は、鍵穴形状の上述した取付け部を支持するための概略的な固定具26を示す。固定具26は、好ましくは、マッシュルーム型の形状を有し、したがって、鍵穴形状の取付け部に確実に挿通することができる。固定具24により、サーモグラフィ装置5を路面仕上げ機1の屋根につり下げることができ、その結果、サーモグラフィ装置5を同時に持ち上げる必要なく、クイックロックとして図示しないクランプレバーによる締結が可能となる。
【0057】
図7は、上側ハウジングシェル13及びボックス41がないサーモグラフィ装置5を上方から見た概略図を示す。上側ハウジングシェル13を取り除くことにより、サーモグラフィ装置5の内蔵部品を見ることができる。特に、レンズ28を有する赤外線カメラ27が、サーモグラフィ装置5の下側シェル12上に配置される。レンズ28は、ウィンドウ7に向けられる。
【0058】
赤外線カメラ27は、図8に従って、サーモグラフィ装置5内部の防水性ボックス41内に配置された搭載コンピュータ30に接続される。RTK受信機38もまた、そこに配置され、搭載コンピュータ30に接続される。サーモグラフィ装置5の全ての電子部品のための中央電源40もまた同様である。データ/電源ケーブル24は、ボックス41から路面仕上げ機に延在する。搭載コンピュータ30は、路面仕上げ機1からケーブル24を介して制御できる。次に、搭載コンピュータ30は、サーモグラフィ装置5内部の全ての機能を制御する。この方法において、サーモグラフィ装置5は、任意に、例えば、自身以外の他の機械と独立して作動できる。さらに、サーモグラフ測定データは、ケーブル24を介して赤外線カメラ27から路面仕上げ機1に送信でき、そして、図7において図示しない路面仕上げ機1の表示部42上に表示できる。このような表示部42は図1に示される。
【0059】
赤外線カメラ27のレンズ28は、ハウジング6のウィンドウ7に向けられ、その結果、赤外線カメラ27により、例えば、図1に示す領域8の完全な熱画像を検出できる。
【0060】
図7は、また、赤外線カメラ27を用いることにより検出可能なサーモグラフデータ記録のための空間関連データを検出する検出ユニット29を示す。検出ユニット29もまた、ケーブル24に接続される。検出ユニット29は、例えば、高精度な位置データを決定するRTK無線受信機によって任意に補われるGPS受信機である、GNSS受信機を含むことが好ましい。統合されたRTK無線受信機の場合、補正データを地域の基地局から受信する。あるいは、他の補正データのサービスを使用することもできる。
【0061】
サーモグラフィ装置5のハウジングに6おいて、搭載コンピュータ30がさらに図7に従って配設される。搭載コンピュータ30は、ケーブル24を介して、赤外線カメラとして具現化される検出ユニット27と、サーモグラフデータ記録に関する空間関連測定データを検出する検出ユニット29とに接続される。搭載コンピュータ30は、特に、検出ユニット27,29の検出されたデータ記録を計算すると共に、例えば、路面仕上げ機1の制御ユニットに、ケーブル24を介して送信可能な地理参照付きのサーモグラフデータ記録を生成するように構成される。さらに、RTK受信機38(例えば受信チャンネル)及びGPS受信機36の設定は、コンピュータ30を介して行われてよい。好ましくは、搭載コンピュータ30は、スクリード幅測定ユニットにより決定されたスクリード幅を用い、カメラのサーモグラフデータ、特に熱画像の幅を前記スクリード幅に規定する。
【0062】
図7はまた、搭載コンピュータ30がインターフェース31を含むことを示す。インターフェース31は、例えば、搭載コンピュータ30を路面仕上げ機1からケーブル24を介して制御できるCANバスインターフェースであってよく、例えば、それと機能的に結合した赤外線カメラ27でスナップ写真を撮影できる。同様に、検出ユニット27,29の測定結果を、搭載コンピュータ30によって計算し、CANバスインターフェース31及びケーブル24を介して路面仕上げ機1に自動的に送信することができる。それにより、測定結果を用いて、例えば、舗装パラメータが向上する。
【0063】
図7に示す搭載コンピュータ30は、さらに、記憶媒体33に接続されたUSBインターフェース32を含み、地理参照付きのサーモグラフデータ記録は該記憶媒体上で搭載コンピュータ30により記憶される。同様に、搭載コンピュータ30は、一実施形態に従って、指定の測定データ記録を記憶媒体33から読み出し、それらを現在の検出した地理参照付きのサーモグラフデータ記録と比較するように設計される。このような比較により、搭載コンピュータ30は、好ましくは、例えば、舗装パラメータをどのように変更するかを示す勧告を、ケーブル24を介して路面仕上げ機1に発することができる。
【0064】
USBインターフェース32を介して、搭載コンピュータ30のオペレーティングシステムをアップデートすることも可能である。
【0065】
図7に示す搭載コンピュータ30は、また、例えば、GSM又はWi−Fiを介して、領域8の地理参照付きのサーモグラフ写真の測定データ記録を、1以上の後続の締固め車両又はテレマティクスシステムに無線で送信するワイヤレスインターフェース43を含む。あるいは、まず、地理参照付きのサーモグラフデータを、搭載コンピュータからケーブル24を介して路面仕上げ機1の制御ユニットに送信することも考えられるが、この場合、制御ユニットから路面仕上げ機1に内蔵されたワイヤレスインターフェースを通ってデータが送信される。
【0066】
好ましくは、赤外線カメラを含む、サーモグラフデータ記録を検出する検出ユニット27は、固定ベアリング34によって、ハウジング6、特に、下側ハウジングシェル12に強固に固定されることを、図7で見ることもできる。検出ユニット27の強固な取付けにより、領域8上の熱画像の正確な写真がもたらされ、また、検出ユニット27のずれを防止する。あるいは、赤外線カメラにより舗装幅の少なくとも2つの異なる領域をカバーできるように、移動可能な、好ましくは、掛け金式の取付け(latching mounting)が考えられる。
【0067】
狭い領域
カメラは、路面仕上げ機1のスクリード9近傍の領域を表示する。測定ポイントからカメラまでの距離は短い。したがって、スキャンした幅は狭い。
【0068】
広い領域
カメラは、スクリード9のさらに後方の領域を表示する。測定ポイントからカメラまでの距離は長い。したがって、スキャンした幅もまた広い。
【0069】
あるいは、カメラは、また、搭載コンピュータ30を介して制御されたモータによって移動でき、したがって、適切な測定位置に調整される。
【0070】
検出ユニット27に隣接して、送風機35が下側ハウジングシェル12に配置される。送風機35の用途は、サーモグラフィ装置5のハウジング6内部、特に、ウィンドウ7及び赤外線カメラ27のレンズ28の領域に堆積物が生成されることを防ぐことにある。送風機35は、図7中、ケーブル24に接続され、それを介して電力を供給することができる。あるいは、例えばバッテリなどの別個の電源が、送風機35に設けられてよい。方向付け及び強い気流のために、送風機35はノズル35aを含んでよく、それにより、特に、ウィンドウ7及びレンズ28から堆積物が除去される。サーモグラフィ装置5のハウジング6で圧力が過剰に増大することを防止するために、送風機35から送られた気流は、湾曲部17,18の管部分を通過して路面仕上げ機1の屋根3の下部で外部に逃がすことができる。湾曲部17,18の管部分が路面仕上げ機1の屋根3の下部に延在していることにより、上方からの水滴が、管部分に侵入せず、したがって、サーモグラフィ装置5のハウジングに侵入しない。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、送風機35は、円形ノズル47(図4を参照)によってレンズ28の周囲に気流を送風する。この空気の流れにより、カメラ27のレンズ28は、エアロゾル(ビチューメン(bitumen))から保護される。送風機35は、本質的にハウジング底部(図4)の最下層位置に取付けられた開口部46(排水溝)、及びデータ/電源ケーブル24を含む管によって空気(吸入)を得る。また、エアロゾルも吸入された空気に含まれるので、送風機35は、送風機35の上流側に位置したフィルタ44を有する。
【0072】
外部から見てハウジング6と固定ユニット11とを基本的に含むサーモグラフィ装置5は、様々な路面仕上げ機に組み付けられるように最適化されたモジュラー設計を形成する。メンテナンス及び修理の用途、又は盗難防止のために、サーモグラフィ装置5は、さらに、路面仕上げ機1から迅速に取り外すことができ、再度、容易に取付けることもできる。これは、路面仕上げ機が非運転状態であるか、又は移送される場合に利点となる。コンパクトな設計により、本発明による路面仕上げ機1におけるサーモグラフィ装置5は、主に、路面仕上げ機におけるそのサイズ又は配置により路面仕上げ機の運転に影響しないという利点を提供し、この場合、路面仕上げ機1の他の機能的なアセンブリ及び測定システムは、サーモグラフィ装置5によるあらゆる規制を受けない。
【0073】
図8は、本発明による路面仕上げ機の随意的なサーモグラフィ装置5の他の概略的な斜視図を示し、ここでは、上側ハウジングシェル13を通して、ハウジング6及びサーモグラフィ装置5のボックス41の内部を見ることができる。ハウジング6の内部には、搭載コンピュータ30、赤外線カメラ27、送風機35、統合アンテナ37を有するGPS受信機36、RTKアンテナ39が接続されたRTK受信機38、及び電源40が配置される。サーモグラフィ装置5のハウジング6内の各部品を安定的に取付けるために、ボックス41がハウジング6のスペース内に設置される。しかしながら、ボックス41は、支持板として具現化されてよく、各部品にとって安定的な取付けを提供する。搭載コンピュータ30により地理参照された測定サーモグラフデータは、ケーブル24を介して湾曲部17の管部分を通り、路面仕上げ機1に設けられた制御ユニットに送信される。
【0074】
図8によると、ハウジング6内部の電子部品の作動に関する全電力は、電源40により供給される。このことは、主に、サーモグラフィ装置5がハウジング6外部からの電源に依存しないという利点を提供し、様々な路面仕上げ機における柔軟な適用性を向上させる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8