(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789336
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】反応剤を計量分配するためのポンプアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
F04B 17/04 20060101AFI20150917BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
F04B17/04
F01N3/08 B
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-500397(P2014-500397)
(86)(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公表番号】特表2014-517888(P2014-517888A)
(43)【公表日】2014年7月24日
(86)【国際出願番号】EP2012055141
(87)【国際公開番号】WO2012127010
(87)【国際公開日】20120927
【審査請求日】2013年11月27日
(31)【優先権主張番号】11159223.4
(32)【優先日】2011年3月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514160386
【氏名又は名称】デルファイ・インターナショナル・オペレーションズ・ルクセンブルク・エス・アー・エール・エル
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(72)【発明者】
【氏名】ライト,キース・イー
(72)【発明者】
【氏名】クック,マイケル・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ニーダム,デヴィッド・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ハーディ,マーティン・ピー
【審査官】
所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−019866(JP,A)
【文献】
特表平06−510583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 17/04
F01N 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的触媒還元システムで使用するためのポンプアッセンブリ(100)であって、
本体部分(106)と、前記本体部分(106)から延びてポンプ軸線(A)を形成するノズル部分(108)とを有する、ポンプハウジング(104)と、
前記ポンプハウジング(104)を受け入れるためのキャビティ(132)を含むジャケット(130)と、
冷却流体用の第1及び第2のポート(232、230)と、
前記ジャケット(130)と前記ポンプハウジング(104)との間に配置された流れガイド(200)と、
部分的に前記流れガイド(200)によって、及び部分的に前記ポンプハウジング(104)によって形成された、前記第1ポート(230)と流体連通した、冷却流体用の第1区画室(220)と、
部分的に前記流れガイド(200)によって、及び部分的に前記ジャケット(130)によって形成された、冷却流体用の第2区画室(224)とを備え、
前記第1区画室(220)は、前記第2区画室(224)によって前記第2ポート(232)と流体連通している、ポンプアッセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプアッセンブリ(100)において、
使用時に、冷却流体が、前記第1区画室(220)を通って前記ポンプ軸線(A)とほぼ平行な第1方向に、及び前記第2区画室(224)を通って前記第1方向とほぼ逆方向の第2方向に流れるように構成されている、ポンプアッセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のポンプアッセンブリにおいて、更に、
部分的に前記流れガイド(200)によって、及び部分的に前記ジャケット(130)によって形成された冷却流体用の第3区画室(222)を備え、
前記第1区画室(220)は、前記第3区画室(222)によって前記第1ポート(230)と流体連通している、ポンプアッセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載のポンプアッセンブリ(100)において、
使用時に、冷却流体が、前記第1区画室(220)を通って前記ポンプ軸線(A)とほぼ平行な第1方向に、及び前記第2及び第3の区画室(224、222)を通って前記第1方向とほぼ逆方向の第2方向に流れるように構成されている、ポンプアッセンブリ。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載のポンプアッセンブリにおいて、
前記第1区画室(220)は、前記ポンプハウジング(104)の前記ノズル部分(108)に沿って延びている、ポンプアッセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のポンプアッセンブリにおいて、
前記流れガイド(200)は、前記ポンプハウジング(104)の前記ノズル部分(108)を中心として同心に配置されたほぼチューブ状の部分(202)を含み、
前記第2区画室(224)は、部分的に、前記ほぼチューブ状の部分(202)によって形成される、ポンプアッセンブリ。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載のポンプアッセンブリにおいて、
前記流れガイド(200)は、前記ポンプハウジング(104)の前記本体部分(106)を中心として同心に配置された拡径部分(204)を含む、ポンプアッセンブリ。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載のポンプアッセンブリにおいて、
前記流れガイド(200)は、前記ジャケット(130)と協働して前記流れガイド(200)をキャビティ(132)内で支持する支持手段(206、208)を備える、ポンプアッセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載のポンプアッセンブリにおいて、
前記支持手段は、前記流れガイド(200)に設けられた環状フランジ(206)を備える、ポンプアッセンブリ。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のポンプアッセンブリにおいて、
前記ジャケット(130)は、第1ジャケット部品(140)と、前記ジャケット(130)の継手(180)のところで前記第1ジャケット部品(140)に対してシールする第2ジャケット部品(142)とを備え、
前記支持手段(206)は、前記継手(180)のところで前記ジャケット(130)と協働する、ポンプアッセンブリ。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載のポンプアッセンブリにおいて、
前記ジャケット(130)は、前記ポンプハウジング(104)の前記ノズル部分(108)を中心として同心に配置されたほぼチューブ状の部分(144)を備える、ポンプアッセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載のポンプアッセンブリにおいて、
前記ジャケット(130)の前記ほぼチューブ状の部分(144)は、前記ポンプハウジング(104)の前記ノズル部分(108)の出口端(118)を保持するための保持手段(146、148)を備える、ポンプアッセンブリ。
【請求項13】
請求項1乃至12のうちのいずれか一項に記載のポンプアッセンブリにおいて、
前記キャビティ(132)の少なくとも一部は円形断面を有し、
前記第1及び第2のポート(230、232)のうちの少なくとも一方が、前記キャビティ(132)に関して実質的に接線方向に配置されている、ポンプアッセンブリ。
【請求項14】
請求項1乃至13のうちのいずれか一項に記載のポンプアッセンブリにおいて、
前記第1及び第2のポート(230、232)は、互いに隣接している、ポンプアッセンブリ。
【請求項15】
請求項1乃至14のうちのいずれか一項に記載のポンプアッセンブリ(100)において、
前記ジャケット(130)は、前記ポンプ軸線(A)に沿った前記ポンプハウジング(104)の膨張に対し、前記ポンプハウジング(104)を支持するように構成されている、ポンプアッセンブリ。
【請求項16】
請求項12に従属する請求項15に記載のポンプアッセンブリにおいて、
前記保持手段(146、148)は、前記ノズル部分(108)が前記本体部分(106)から遠ざかる方向に移動しないようにする、ポンプアッセンブリ。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のポンプアッセンブリにおいて、
前記ジャケット(130)は、前記ポンプハウジング(104)の前記本体部分(106)の面(114)を支持するための支持手段(156)を備え、これによって、前記本体部分(106)が前記ノズル部分(108)から遠ざかる方向に移動しないようにする、ポンプアッセンブリ。
【請求項18】
請求項17に記載のポンプアッセンブリにおいて、
前記支持手段(156)は、前記ポンプハウジング(104)の反応剤入口手段(112)と協働する反応剤通路(170)を備える、ポンプアッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却手段を持つポンプアッセンブリに関する。更に詳細には、本発明は、冷却ジャケット構成を備えた選択的触媒還元システム用の計量分配(または注入)ポンプに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジンからの排気ガスには、環境に有害であり、公衆衛生を脅かす恐れがある物質が含まれていることが知られている。自動車産業では、多年に亘り、排気ガス中に含まれる有害物質の大気中への放出量を減少するためのたゆまぬ努力が払われてきた。これは、燃焼プロセス自体を部分的に変更し、有害な燃焼生成物の発生量を減少すること、及び排気ガスを大気中への放出前に処理すること、例えば有害成分、特に窒素酸化物(NOx)の無害な化合物への化学的分解を促進する触媒を提供することの両方によって行われてきた。
【0003】
NOxエミッションを低減するための選択的触媒還元即ちSCRとして既知の一つの方法は、還元剤、代表的には尿素水等の液体アンモニア源を含む反応剤を排気ガス流に導入する工程を含む。SCR触媒として既知の排気ガス触媒の上流で還元剤を排気ガスに注入する。SCR触媒は、代表的には、セラミック製ハニカム構造に固定した酸化チタン、酸化バナジウム、及び酸化タングステン等の触媒粉体の混合物を含む。排気ガス中の窒素酸化物に触媒還元作用が加わり、SCR触媒上でアンモニア源と反応し、気体窒素及び水を形成する。SCRシステムの一例が、欧州特許出願公開第EP−A−2131020号に記載されている。出典を明示することにより、この出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0004】
SCRシステムは、代表的には、反応剤を排気ガス流に送出するための、反応剤を計量分配(注入)するポンプを含む。こうしたポンプの例は、本出願人の欧州特許出願公開第EP−A−1878920号に記載されている。出典を明示することにより、この出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0005】
一つの既知の反応剤計量分配(反応剤注入)ポンプには、反応剤の圧力を上昇するソレノイド作動式の圧送装置が設けられており、ポンプは、圧送装置から反応剤を受け取って、これを出口端から排気ガス流中に送出する、噴霧用のノズルを有している。噴霧用のノズルは、圧送装置に連結されており、これによって、噴霧用のノズルと圧送装置は、単一のユニットを形成している。ノズルの出口端は、圧送装置が、排気ガスを搬送する排気管の外側と近付けて配置されるように、排気ガス流中に直接的に位置決めされていてもよい。
【0006】
このような場合には、反応剤計量分配ポンプは排気システムの近傍で発生する高温に露呈され、そのため、使用時に反応剤に高温が加わるということは理解されよう。
【0007】
尿素を基剤とした還元剤を使用できる最高温度には限度がある。溶液の温度が約70℃よりも高い場合、尿素の結晶が沈殿し易い。沈殿物により、送出システムが、代表的には噴霧ノズルの出口端に設けられた例えば小径の出口で詰まってしまうため、沈殿は望ましくない。更に、沈殿物が形成されると残りの溶液の濃度が変化してしまい、排気流に送出される有効アンモニア量が不確実になる。これにより、触媒作用が非効率的になり、NOxエミッションの減少が不十分になる。
【0008】
従って、多くの場合において、SCRシステム内の、詳細には反応剤計量分配ポンプ内の反応剤を冷却し、反応剤の過熱を阻止するための冷却手段を提供するのが望ましい。更に、ソレノイド作動式圧送装置が使用される場合、更に、ソレノイドのコイルを冷却するのが望ましい。これは、ソレノイドアクチュエータの性能が高温で低下するためである。
【0009】
幾つかの構成では、SCRシステムの反応剤計量分配ポンプは、車輛のボディの下の排気管に取り付けられていてもよい。ガスがエンジンから反応剤計量分配ポンプの位置まで流れるため、排気ガスは或る程度冷却される。これにより、反応剤計量分配ポンプ及び従って反応剤が露呈される温度を或る程度制限する。このような構成では、反応剤計量分配ポンプの周囲の冷却空気流によって、及び/又は排気管から反応剤計量分配ポンプへの熱伝達を減少するための適当な断熱手段を設けることによって、反応剤計量分配ポンプを十分に冷却できる可能性がる。
【0010】
他の構成では、反応剤計量分配ポンプを車輛のエンジンルーム内に配置するのが望ましい。こうした場合には、反応剤計量分配ポンプは、計量分配ポンプが更にエンジンの近くに配置されるため、更に高い温度に露呈される。冷却空気流を反応剤計量分配ポンプに提供するのが更に困難である。従って、使用時に反応剤が過熱される危険が、ボディの下に配置される場合よりも高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開第EP−A−2131020号
【特許文献2】欧州特許出願公開第EP−A−1878920号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、SCRシステムの反応剤計量分配ポンプとして使用するのに適した、改良冷却装置を持つポンプアッセンブリを提供するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この背景技術に対し、本発明は、選択的触媒還元システムで使用するための第1の態様のポンプアッセンブリを提供する。ポンプアッセンブリは、本体部分とこの本体部分から延びるノズル部分とを持ち、ポンプ軸線を形成するポンプハウジングと、ポンプハウジングを受け入れるためのキャビティを含むジャケットと、冷却流体用の第1及び第2のポートと、ジャケットとポンプハウジングとの間に配置された流れガイドとを含む。
【0014】
冷却流体用の第1区画室が、部分的に流れガイドによって、及び部分的にポンプハウジングによって形成される。第1区画室は、第1ポートと流体連通している。冷却流体用の第2区画室は、部分的に流れガイドによって、及び部分的にジャケットによって形成される。第1区画室は、第2区画室によって第2ポートと流体連通している。
【0015】
使用では、第1ポート又は第2ポートのいずれかが冷却流体源に連結され、他方のポートは、冷却流体用の出口として機能する。冷却流体は、流れガイドによって案内され、第1区画室を通って流れるとき、ポンプハウジングと隣接して通過する。かくして、本発明による流れガイドをポンプアッセンブリに設けることによって、ポンプハウジングの冷却を最適化できる。
【0016】
一実施例では、第1ポートは、冷却流体をキャビティに供給するための入口ポートを含み、第2ポートは、冷却流体をキャビティから排出するための出口ポートを含む。使用時には、冷却流体が、ポンプハウジングと隣接した第1区画室を通って流れ、ポンプハウジングを冷却し、次いで第2ポートを通ってポンプアッセンブリを離れる前に第2区画室を通って流れる。別の実施例では、第2ポートは冷却流体をキャビティに供給するための入口ポートを含み、第1ポートは冷却流体をキャビティから排出するための出口ポートを含む。
【0017】
ポンプアッセンブリは、更に、冷却流体用の第3区画室を備えることができ、この第3区画室は、部分的に流れガイドによって、及び部分的にジャケットによって形成され、その場合、第1区画室は、第3区画室によって第1ポートと流体連通してもよい。冷却流体用の第3区画室を提供することによって、ポンプハウジングの冷却を最大にするように冷却流体の流れを更に最適化できる。
【0018】
好ましくは、ポンプアッセンブリは、使用時に、冷却流体が、第1区画室を通ってポンプ軸線とほぼ平行な第1方向に流れ、第2区画室を通って第1方向とほぼ逆方向の第2方向に流れるように構成されている。第3区画室が存在する場合には、ポンプアッセンブリは、使用時に、冷却流体が第3区画室を通って第2方向に流れるように構成されていてもよい。
【0019】
第1区画室は、ポンプハウジングのノズル部分に沿って延びていてもよい。このようにして、流れガイドの構成により、冷却流体をポンプハウジングのノズル部分に亘って、好ましくは、ノズル部分のほぼ全長に沿って流す。
【0020】
流れガイドは、例えば、ポンプハウジングのノズル部分を中心として同心に配置されたほぼチューブ状(管状)の部分を含んでいてもよい。第2区画室は、部分的に、ほぼチューブ状(管状)の部分によって形成されていてもよい。流れガイドは、ポンプハウジングの本体部分を中心として同心に配置された拡径部分を含んでいてもよい。従って、流れガイドは、ほぼベル形状であってもよい。
【0021】
流れガイドは、ジャケットと協働して流れガイドをキャビティ内で支持する支持手段を含んでいてもよい。例えば、流れガイドがほぼチューブ状の部分を備えている場合、流れガイドをキャビティ内で支持するため、ジャケットと協働するタブ形態の支持手段が設けられていてもよい。別の態様では、又は好ましくは、これに加えて、支持手段は、流れガイドに設けられた環状フランジを含んでいてもよい。環状フランジは、流れが第2区画室と第1区画室との間のフランジを通って流れるように、又はフランジが設けられている場合、第3区画室がなくされるか或いは制限されるように、部分的に、第2区画室を形成してもよい。
【0022】
ジャケットは、第1ジャケット部品と、ジャケットの継手のところで第1ジャケット部品に対してシールするか或いは第1ジャケット部品ととともにシールを形成する第2ジャケット部品とを含んでいてもよい。こうした構成は、このような構成を備えている場合、製造上の目的で有利である。支持手段を設ける場合、支持手段は、継手のところでジャケットと協働してもよい。例えば、環状フランジが設けられている場合には、フランジは、継手のところで第1及び第2のジャケット部分間に保持されていてもよい。
【0023】
ジャケットは、便利には、ポンプハウジングのノズル部分を中心として同心に配置されたほぼチューブ状の部分を含んでいてもよい。ジャケットのほぼチューブ状の部分は、ポンプハウジングのノズル部分の出口端を保持するための保持手段を含んでいてもよい。1実施例では、例えば、出口端はノズル部分の縮径部分であり、保持手段は、出口端を受け入れるための穴を持つフランジ部材を含む。
【0024】
第1及び第2のポートは、ポンプ軸線に対して垂直であってもよく、ポンプ軸線からオフセットしていてもよい。換言すると、第1及び第2のポートは、夫々、第1及び第2の流体流れ軸線を形成してもよく、各流体流れ軸線は、ポンプ軸線と垂直であってもよく、及び/又はポンプ軸線からオフセットしていてもよい。
【0025】
好ましくは、キャビティの少なくとも一部は円形断面を有し、第1及び第2のポートのうちの少なくとも一方が、キャビティに関して実質的に接線方向に配置されている。このようにして、これらのポートを通して冷却流体をキャビティに比較的障害なく流入させたりキャビティから流出させたりできる。1つの構成では、第1ポート及び第2のポートの両方が、キャビティに関して実質的に接線方向に配置されている。
【0026】
第1ポートは第2ポートと平行であってもよく、便利には、第1及び第2のポートは、互いに隣接している。このようにして、コンパクトなポンプアッセンブリを提供でき、ポンプアッセンブリへの冷却流体連結部をポンプアッセンブリの一方の側部にだけ連結しさえすればよい。別の構成では、第1ポートは第2ポートに対して垂直である。
【0027】
ジャケットは、反応剤用の入口ポートを備えていてもよい。反応剤入口ポートは、ポンプハウジングに設けられた反応剤入口手段と流体連通していてもよい。例えば、反応剤を反応剤入口ポートからポンプハウジングに搬送するため、反応剤通路がジャケットに設けられていてもよい。反応剤入口ポートは、冷却流体用の第1ポート又は第2ポートと平行であってもよく、及び/又はこれと隣接していてもよい。一例では、反応剤入口ポートは、冷却流体用の第1ポート及び第2ポートの両方と平行であり、及び/又はこれらのポートと隣接している。
【0028】
換言すると、本発明は、選択的触媒還元システムで使用するためのポンプ装置に関する。このポンプ装置は、本体部分及びこの本体部分から延びるノズル部分を持つポンプハウジングと、ポンプハウジングを受け入れ、冷却流体用の容積部を形成するためのジャケットと、冷却流体用の第1及び第2のポートと、第1ポートから第2ポートまでの容積部内の流体の流れを実質的にポンプハウジングの全面に沿って案内するための流れガイド手段とを含む。
【0029】
SCRシステムで使用される反応剤は、代表的には水性であり、従って、低温で凍結する恐れがある。反応剤が反応剤計量分配ポンプ内で凍結すると、凍結により反応剤の容積が膨張することによりポンプが損傷する危険がある。
【0030】
本発明の第2の態様から、選択的触媒還元システムで使用するためのポンプアッセンブリを提供する。この第2の態様では、ポンプアッセンブリは、本体部分とこの本体部分から延びるノズル部分とを持ち、ポンプ軸線を形成するポンプハウジングと、ポンプハウジングを受け入れるためのキャビティを含むジャケットとを含む。ジャケットは、ポンプ軸線に沿ったポンプハウジングの膨張に対してポンプハウジングを支持するように構成されている。
【0031】
ジャケットがポンプハウジングを軸線方向膨張力に対してポンプ軸線に沿って支持するため、反応剤がポンプハウジング内で凍結した場合にポンプハウジングが損傷する危険が低減される。
【0032】
ジャケットは、ポンプハウジングのノズル部分の出口端を保持するための保持手段を備えることができ、これによって、ノズル部分が本体部分から遠ざかる方向に移動しないようにする。
【0033】
同様に、ジャケットは、ポンプハウジングの本体部分の面を支持するための支持手段を含んでいてもよく、これによって、本体部分がノズル部分から遠ざかる方向に移動しないようにする。便利には、支持手段は、ポンプハウジングの反応剤入口手段と協働する反応剤通路を含んでいてもよい。
【0034】
他の態様では、本発明の各態様の好ましい特徴及び/又は随意の特徴を、単独で、又は適当な組み合わせで使用してもよい。
【0035】
次に、本発明の実施例を、同様の部品に対して同様の参照番号を付した添付図面を参照して単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明によるポンプアッセンブリの一部を切欠いた斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のポンプアッセンブリの部分断面図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、夫々、
図1のポンプアッセンブリの部分を形成する流れガイドの斜視図及び一部を切欠いた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の第1実施例によるポンプアッセンブリを
図1乃至
図3に示す。
【0038】
先ず最初に
図1及び
図2を参照すると、ポンプアッセンブリ100は、ポンプ及びノズル装置を一体化した反応剤計量分配ユニットを含む。以下、これを反応剤計量分配ポンプ102と呼ぶ。ポンプ102は、任意の適当な種類の、例えばEP−A−1878920に記載された種類の反応剤計量分配ポンプであり、このポンプ102の詳細について、これを参照されたい。
【0039】
ポンプ102は、ポンプ軸線(
図2にAで示す)を形成するほぼ円筒形のポンプ本体部分106と、ポンプ軸線Aに沿って本体部分106の第1面110から延びるほぼ円筒形のノズル部分108とを含むポンプハウジング104を有する。ノズル部分108は、本体部分106と比較して、比較的小径である。
【0040】
ポンプハウジング104の本体部分106は、ソレノイド作動式圧送機構等の圧送機構(図示せず)を収容している。使用では、圧送機構は、第1面110とは反対側の本体部分106の第2面114に設けられた反応剤入口112を通して反応剤を受け取る。更に、圧送機構のソレノイドアクチュエータに電流を提供するため、本体部分106の第2面114(
図1には示さず)には、電気接続点116が配置されている。EP−A−1878920から既知であるように、圧送機構は、プランジャーやピストン等の往復動する圧送エレメントを含む。圧送エレメントは、圧送エレメントの各サイクル時に所定量の反応剤の圧力を上昇するように構成されている。
【0041】
ポンプハウジング104のノズル部分108には、送出通路(図示せず)が設けられている。送出通路は、使用時に、加圧反応剤を圧送機構から受け取り、これをノズル部分108の縮径出口端118まで搬送する。出口端118には、反応剤がポンプ102を出るときに反応剤を噴霧する噴霧ノズル120が設けられている。
【0042】
ポンプアッセンブリ100は、更に、ポンプ102が受け入れられる内部キャビティ132を持つジャケット130を含む。キャビティ132は、ジャケット130の内壁134によって形成される。大まかに言うと、キャビティ132の形状は、ポンプハウジング104が形成する形状を拡大した態様をなしている。このようにして、キャビティ132の内壁134は、ポンプハウジング104から間隔が隔てられており、冷却流体用の容積部136をその間に形成する。
【0043】
ジャケット130は二部品アッセンブリであり、随意であるが、鋳造ステンレス鋼で形成され、ポンプハウジング104のノズル部分108及び本体部分106の一部を受け入れる第1ジャケット部品140と、本体部分106の残りの部分を受け入れる第2ジャケット部品142とを含む。
【0044】
第1ジャケット部品140は、ポンプハウジング104のノズル部分108の一部を受け入れるため、ポンプ軸線Aに沿って延びるチューブ状(管状)部分144を含む。チューブ状部分144の一端には、内方に差し向けられたフランジ146が設けられている。フランジ146には、縮径出口端118を受け入れる中央穴148が設けられている。出口端118は、穴148に締り嵌めし、更に、レーザー溶接等でフランジ146に固定されていてもよい。出口端118とフランジ146との間のインターフェースは流体密であり、冷却流体用の容積部136をポンプ102の出口端118のところでシールする。
【0045】
第1ジャケット部品140は、更に、ポンプ102の出口端118から離れた場所で軸線Aに沿って延びる拡径部分150を含む。拡径部分150は、本体部分106の第1面110を含むポンプハウジング104の本体部分106の一部を受け入れる。
【0046】
第1ジャケット部品140には、第1ジャケット部品140のチューブ状部分144と拡径部分150とが出合う場所と隣接して、外方に差し向けられたフランジの形態の取り付けボス152が設けられている。使用では、取り付けボス152は、反応剤を排気ガス流中に計量分配するのに適した位置に噴霧ノズル120が位置決めされるように、排気管又はマニホールド(図示せず)のポートに取り付けられる。取り付けでは、随意であるが、シーリングガスケットが使用される。定位タブ154が、取り付けボス152から突出しており、ポートの対応する定位凹所(図示せず)と係合する。これにより、使用時にポンプアッセンブリ100が排気管に関して正しく配向(方向決め)されるようにする。
【0047】
第2ジャケット部品142はほぼカップ形状をなしており、ポンプ102の出口端118とは反対側の端部を包囲する。従って、第2ジャケット部品142は、本体部分106の第2面114を含むポンプハウジング104の本体部分106の一部を受け入れる。
【0048】
突出部即ちランド156が、第2ジャケット部品142のキャビティ132の内壁134から軸線方向にポンプの出口端118に向かって延びており、ハウジングポンプ本体部分106の第2面114に設けられた入口ポート112と出合う。ランド156を受け入れるカラー158(
図2に最も明瞭に示す)が、ポンプ本体部分106の第2面114に設けられている。カラー158とランド156との間に流体密シールを形成するため、O−リング160が設けられている。
【0049】
図3を追加に参照すると、出口端118から遠方の第2ジャケット部品142の端部には、ほぼ立方体形状の連結ブロック162が設けられている。連結ブロック162の上面には、チューブ状反応剤入口コネクタ166を受け入れる反応剤入口ポート164が設けられている。入口コネクタ166は、ポンプ軸線Aに関して半径方向に延びており、使用時に反応剤供給ライン(図示せず)に連結される。
【0050】
図1及び
図2に示すように、連結ブロック162の入口ポート164は、第2ジャケット部品142の第1及び第2の通路168、170によって、ポンプ102の反応剤入口112と流体連通している。第1通路168は、連結ブロック162の入口ポート164から半径方向内方に延びてポンプ軸線Aと交差し、第2通路170は、ポンプ軸線Aに沿って第1通路168から連結ブロック162及びランド156を通って延びており、ポンプ102の反応剤入口112に連結する。O−リング160が提供するシールは、反応剤が、第2ジャケット部品142のランド156とポンプハウジング104のカラー158との間の冷却流体容積部136に漏洩しないようにする。
【0051】
入口コネクタ166とポンプ102の反応剤入口112との間の流路にフィルタ172が配置されている。この実施例では、フィルタ172は、入口ポート164に受け入れられている。フィルタ172は、便利には、尿素の結晶等の反応剤中の粒子状汚染物質が、ポンプ102に入り込まないように構成されたディスクフィルタである。
【0052】
連結ブロック162には、更に、電気コネクタ176用のドリル穴174が設けられている。電気コネクタ176は、ポンプ102の電気接続点116に接続する。ドリル穴174内で電気コネクタ176をシールするため、別のO−リング178が設けられている。
【0053】
第1及び第2のジャケット部品140、142は、環状の重ね継手180のところで出合う。継手180のところで、第1ジャケット部品140のリップ182が、第2ジャケット部品142の対応するリップ184に被さって嵌着する。継手180は、適当な手段によって、例えばレーザー溶接によって、又はリップ182、184間に接着剤層を設けることによって固定され且つシールされていてもよい。
【0054】
以下に説明するように、ポンプアッセンブリ100は、使用時に、ポンプ102の冷却が最適化されるように、ジャケット130の内壁134とポンプハウジング104との間に形成される容積部136を通して冷却流体を流すように構成されている。
【0055】
ポンプアッセンブリ100は、ポンプハウジング104とジャケット130との間に取り付けられたほぼベル形状の流れガイド200を含む。
図4(a)及び
図4(b)に斜視図で示す流れガイド200は両端が開放しており、ポンプハウジング104のノズル部分108の一部を受け入れるチューブ状部分202と、ポンプハウジング104の本体部分106を受け入れる拡径部分204とを含む。
【0056】
拡径部分204には、外方に差し向けられた環状支持体、即ち取り付けフランジ206が設けられている。取り付けフランジ206は、重ね継手180のところで第1及び第2のジャケット部品140、142間に保持される。これにより、流れガイド200をジャケットキャビティ132内で所定位置に固定できる。
図2に最も明瞭に示すように、取り付けフランジ206は、ポンプ102の出口端118に最も近い第2ジャケット部品142の端部と、リップ182が第1ハウジング部品140の残りと出合う場所に形成された第1ハウジング部品140の内部肩部190との間に係合する。
【0057】
流れガイド200のチューブ状部分202は、ハウジングノズル部分108の出口端118の手前で終端する。
図4(a)及び
図4(b)に示すように、チューブ状部分202の端部の周囲に、外方に延びる四つの支持タブ208が設けられている。組み立てたとき、
図1及び
図2に示すように、支持タブ208は、キャビティ壁134に押し付けられ、流れガイド200に対し、ジャケットキャビティ132内で追加の支持を提供する。
【0058】
流れガイド200は、便利には、射出成形プラスチック材料で形成される。流れガイド200の剛性を向上するため、チューブ状部分202から流れガイドの拡径部分204まで延びる支持リブ210が設けられている。ポンプ102の電気接続点116を受け入れるため、拡径部分204には切欠き部212が形成されている。流れガイド200は、取り付けフランジ206及び支持タブ208がジャケット130と係合する場所を除き、流れガイド200とポンプハウジング104との間、及び流れガイド200とキャビティ壁134との間に隙間が形成されるような寸法を備えている。
【0059】
取り付けフランジ206は、ジャケット部品140、142間に締り嵌めする。そのため、取り付けフランジ206とジャケット130との間の流体流れは、阻止されるか或いは少なくとも大幅に制限される。これとは対照的に、支持タブ208が設けられた流れガイド200の端部の周囲で比較的制限されていない流体流れが可能である。これは、流体がタブ208間の隙間を通って流れることができるためである。
【0060】
流れガイド200は、冷却流体容積部136を三つの企画室に分割する。第1区画室即ち内区画室220は、部分的にポンプハウジング104によって、及び部分的に流れガイド200の最内面によって形成される。従って、内区画室220は、ポンプハウジング104の周囲に同心に配置される。
【0061】
内区画室220の外側の、流れガイド200とキャビティ132の壁134との間の冷却流体容積部136の残りの部分は、取り付けフランジ206によって、入口区画室222及び出口区画室224に分割される。入口区画室222は、ポンプ102の出口端118から最も遠く、出口区画室224は、ポンプ102の出口端118に最も近い。入口区画室222及び出口区画室224は、各々、内区画室220の周囲に同心に配置されている。
【0062】
入口区画室222は、部分的に流れガイド200の拡径部分204の最外面によって、及び部分的に第2ジャケット部品142のキャビティ壁134によって形成される。出口区画室224は、部分的に流れガイド200の拡径部分204の最外面によって、及び部分的に流れガイドのチューブ状部分202の最外面によって、及び部分的に第1ジャケット部品140のキャビティ壁134によって形成される。
【0063】
入口区画室222は、流れガイド200の拡径部分204の開放端によって内区画室220と流体連通しており、内区画室220は、流れガイド200のチューブ状部分202の開放端によって出口区画室224と流体連通している。入口区画室222と出口区画室224との間の流体流れは、取り付けフランジ206が重ね継手180のところでジャケット130と係合することによって阻止され、又は実質的に制限される。
【0064】
冷却流体用の入口ポート230及び出口ポート232は、第1及び第2のジャケット部品140、142の夫々に設けられている。各ポート230、232は、各ジャケット部品140、142の周囲に設けられた夫々のブロック231、233に形成された通路又はドリル穴(図示せず)を含む。チューブ状入口コネクタ234が入口ポート230に受け入れられ、チューブ状出口コネクタ236が出口ポート232に受け入れられる。これらのコネクタ234、236は、保持ナット238、240によって、ジャケット130に固定される。使用では、入口コネクタ234は、冷却流体供給ラインによってエンジンの冷却水システム等の冷却流体源に連結され、出口コネクタ236は、冷却流体用戻しラインに連結される。有利には、コネクタ234、236は、プレス嵌めによって流体ラインに連結され、又はコネクタ234、236と嵌合する流体ラインの端部に設けられた適当な継手によって、流体ラインに連結される。
【0065】
各ポート230、232は、ジャケット130に設けられた夫々の通路(図示せず)によって、ジャケット130内の冷却流体容積部136と連通する。入口ポート230からの通路は、入口区画室222内に開放しており、出口ポート232からの通路は、出口区画室224内に開放している。
【0066】
図3に最も明瞭に示すように、入口ポート230及び出口ポート232は、冷却流体がポンプ軸線Aに対して実質的に垂直であり且つこれからオフセットした方向で、容積部136に流入し又は流出するように構成されている。
【0067】
換言すると、入口ポート230及びその夫々の通路(図示せず)は、流体が、ポンプ軸線Aに対して垂直であるがこれと交差しない流れ軸線に沿って、入口コネクタ234から入口区画室222に流入するように構成されている。その代わり、流れ軸線はポンプ軸線Aからオフセットしており、入口区画室222に対してほぼ接線方向であり、そのため、流体は、入口区画室222内に及び入口区画室222の周囲に環状をなして比較的自由に、流体の流れを妨げる流路内の障害物に出合うことなく、流れることができる。
【0068】
同様に、出口ポート232及びその夫々の通路(図示せず)は、流体が、ポンプ軸線Aに対して垂直であるがこれからオフセットした、即ち出口区画室224に対してほぼ接線方向の流れ軸線に沿って、出口区画室224からノズルコネクタ236に流入するように構成されている。このようにして、流体は、出口区画室224の周囲を比較的自由に環状をなして流れ、流れを妨げる障害物に出合うことなく、出口区画室224の外に流れることができる。
【0069】
使用時に冷却流体容積部136を通る流体の流れを更に改善するため、尖った角よりも、ジャケットキャビティ132の壁134及び流れガイド200の表面の両方を滑らかにし、角や縁部を丸くする。例えば、拡径部分150が第1ジャケット部品140のチューブ状部分144と出合う場所には、丸みを付けた移行領域151が設けられ、出口区画室224内の流体流れに対する抵抗を小さくする。同様に、拡径部分204が流れガイド200のチューブ状部分202と出合う場所には、丸みを付けた移行領域205が設けられている(
図4(a)及び
図4(b)を参照されたい)。
【0070】
使用時に、冷却流体が入口ポート230を通ってポンプアッセンブリ100に入り、先ず最初に入口区画室222に流入する。冷却流体は、次いで、内区画室220に流入し、流れガイド200とポンプハウジング104との間を通過し、ポンプ102から冷却流体に熱を伝達する。流体は、流れガイド200のチューブ状部分202の端部に到達すると、内区画室220から出て出口区画室224に入る。このとき、流体は、先ず最初に流れガイド200及び第1ジャケット部品140の夫々のチューブ状部分202、144の間を通過し、次いで、流れガイド200及び第1ジャケット部品140の夫々の拡径部分204、150の間を通過する。冷却流体は、次いで、出口ポート232を通ってポンプアッセンブリ100から出る。
【0071】
入口ポート230及び出口ポート232が入口区画室222及び出口区画室224に関してほぼ接線方向に配置されているため、冷却流体は、冷却流体容積部136を通って螺旋状流路を流れる傾向がある。有利なことには、これにより、ポンプアッセンブリ100を流体が通過するのに要する時間が長くなり、従って、ポンプ102から流体に熱を伝達する上で利用可能な時間が、ポンプ軸線Aと実質的に平行な方向に冷却流体を流す場合と比較して長くなる。
【0072】
ガイド200により、冷却流体は、内区画室220を通って流れるとき、ポンプハウジング104の表面のほぼ全体に亘って案内される。従って、有利には、流れガイド200により、ポンプ102から冷却流体に熱が効率的に伝達される。流れガイド200が、ポンプ102の出口端118に向かって延びているため、流れガイド200は、ポンプハウジング104のノズル部分108の長さに沿って冷却流体を流すのを補助し、これによって、噴霧ノズル120の近くの反応剤を過熱から保護する。
【0073】
更に、熱を発生するソレノイドアクチュエータを収容するポンプ本体部分106は、ポンプハウジング104のノズル部分108よりも強力に冷却する必要がある。従って、この実施例では、流れガイド200の構成により、冷却流体は、先ず最初にポンプ本体部分106の周囲を通過した後、出口ポート232を通って出る前にポンプハウジング104のノズル部分108の周囲を通過する。このようにして、冷却流体流の冷却能力を最適化する。
【0074】
図3からわかるように、冷却流体用の入口ポート230及び出口ポート232は、便利には、入口コネクタ234及び出口コネクタ236が互いに平行に延びるように、ポンプアッセンブリ100の同じ側に設けられる。更に、流れガイド200により、冷却流体は、内区画室220内でポンプ102の出口端118に向かって軸線Aと平行な第1方向に移動し、次いで、第1方向と平行でない、又は第1方向とは逆方向の第2方向に沿って移動する。従って、冷却流体は、入口ポート230に向かって戻される。従って、入口ポート230及び出口ポート232、及びこれらのポートの夫々のコネクタ234、236を互いに隣接して位置決めできる。
【0075】
このようにして、空間を効率的に利用する態様(space-efficient manner)で、流体供給ライン及び流体戻しライン(図示せず)をポンプアッセンブリ100に連結できる。これは、これらのラインをポンプアッセンブリ100の一方の側に取り付けさえすればよいためである。
【0076】
同様に、反応剤用入口コネクタ166は、ポンプアッセンブリ100から、入口コネクタ234及び出口コネクタ236と同じ方向に延びており、そのため、反応剤供給ライン(図示せず)もまた、ポンプアッセンブリ100に空間を効率的に利用する態様で連結できる。
【0077】
図2を再度参照すると、ジャケット130は、ポンプハウジング104の各端をクランプするのに役立つということがわかるであろう。ハウジング104のノズル部分108の出口端118は、第1ジャケット部品140のフランジ146の穴148に保持されるのに対し、ハウジング104の本体部分106の第2面114は、第2ジャケット部品142のランド156に当接する。このようにして、ジャケット130は、反応剤がポンプ102の内部で凍結した場合に生じるポンプ軸線Aに沿った膨張や変形に対し、ポンプハウジング104を支持する。従って、こうした状況でポンプハウジング104が機械的に損傷する危険を低減する。詳細には、ノズル部分108が本体部分106から押し離される危険がなくなるまたは緩和される。フランジ146は、本体部分106から離れる方向のハウジング104のノズル部分108の移動に対して高度の抵抗を提供するため、
図1に最も明瞭に示すように、凹状形状を備えていてもよい。
【0078】
本発明の多くの変形及び変更が考えられるということは理解されよう。
【0079】
例えば、冷却流体容積部の入口区画室をなくしてもよい。これは、例えば、取り付けフランジの位置で切った流れガイドを提供することによって行われる。こうした場合には、流体は、入口ポートから内区画室に直接流入する。しかし、流れガイドは、それでも、冷却流入がポンプハウジングのほぼ全面と確実に接触するようにする。
【0080】
本発明の例示の実施例の入口ポート及び出口ポートの位置を逆にすると、冷却流体は、ポンプ本体部分の前にポンプハウジングのノズル部分を通って流れる。これは、幾つかの用途において望ましい。例えば、使用時にノズル部分がポンプ本体部分と比較して特に高い温度に露呈される場合、又はポンプアッセンブリから空冷又は他の手段によって熱を或る程度放散でき、水冷がノズル部分でしか必要とされない場合に、望ましい。
【0081】
流れガイドは、便利には、別体の構成要素として提供される。しかしながら、幾つかの実施例では、流れガイドは、ジャケットの部品を形成し、又はジャケットと一体であり、又はポンプハウジングの部品を形成し、又はポンプハウジングと一体である。流れガイドは、例示の実施例におけるように、単一のピースとして形成されていてもよく、又は、互いに係合するか又は何らかの態様で協働する二つ又はそれ以上の部品で形成されていてもよい。
【0082】
上文中に説明した実施例では、ジャケットは二部品である。これは製造上の理由により便利であるためである。しかしながら、ジャケットは任意の適当な別の形態を備えていてもよいということは理解されよう。例えば、三つ又はそれ以上のピースから形成されたジャケットを提供してもよい。
【0083】
入口ポート及び出口ポート、反応剤入口ポート、及びポンプアクチュエータへの電気接続部の構成は、任意の特定の用途に合わせて選択されてもよい。例えば、入口ポート及び出口ポートを、ポンプアッセンブリに沿って、同じ軸線方向距離のところに配置してもよい。その場合、流れガイドには、冷却流体容積部を適当な入口区画室及び出口区画室に分割するため、軸線方向に延びるリブやバッフルが設けられていてもよい。
【0084】
例示の実施例では、冷却流体用の入口ポート及び出口ポートは、冷却流体が冷却流体容積部に、ポンプ軸線に対して実質的に垂直であり且つポンプ軸線からオフセットした方向で、流入し流出するように、ジャケットの周囲に互いに隣接して配置されている。しかしながら、入口ポート及び出口ポートの様々な構成が可能である。
【0085】
キャビティの少なくとも部分的に円形断面である場合には、冷却流体用の入口ポート及び出口ポートの少なくとも一方をキャビティに関して実質的に接線方向に配置することが、キャビティ内の流体流れの最適化に関して有利である。しかしながら、特定の用途では、例えばデバイスを車輛のエンジンルーム内の特定の位置に位置決めできるように、これらのポートの一方又は両方を非接線方向位置に配置するのが適当であるということは理解されよう。これらのポートの一方又は両方は、例えばポンプ軸線に対して垂直であり且つポンプ軸線と交差する夫々の軸線に沿って配置されてもよい。
【0086】
別の例では、入口ポート及び出口ポートの一方又は両方が、ポンプ軸線と平行に配置されてもよく、ポンプハウジングのノズル部分とは反対側のジャケットの端部から延びていてもよく、又はこの端部に位置決めされていてもよい。
【0087】
一つの特定の構成(図示せず)では、入口ポートの位置を、例示の実施例に示す位置から、デバイスのノズル端とは反対側のジャケットの端面に移し、内区画室内に直接開放する。出口ポートは、例示の実施例を参照して上文中に説明したように配置されている。この構成では、冷却流体は、入口ポートを通ってポンプ軸線と実質的に平行な方向で冷却流体容積部に流入し、出口ポートを通って(出口区画室によって)、ポンプ軸線に対して実質的に垂直であり且つポンプ軸線からオフセットした方向で冷却流体容積部を出る。入口流体ライン用のコネクタが、入口ポートと同軸に配置されていてもよい。別の態様では、入口流体ラインをポンプ軸線と平行でない配向でデバイスに連結できるように、適当な別の通路及び/又は適当な角度をなしたコネクタが設けられていてもよい。この構成の変形例では、入口ポート及び出口ポートの位置が逆になっている。
【0088】
本発明の例示の実施例では、流れガイドの取り付けフランジが入口区画室及び出口区画室を分け、流れガイドの本体が内区画室を入口区画室及び出口区画室の両区画室から分ける。しかしながら、区画室の別の分離方法が考えられる。例えば、他の実施例では、入口区画室及び出口区画室を、ジャケットに設けられた内方に差し向けられたフランジ又は押縁によって分けてもよく、又は流れガイドに受け入れられたO−リング等の別体の分離部材によって分けてもよい。
【0089】
更に、添付の特許請求の範囲に定義した本発明の範囲から逸脱することなく、上文中に明瞭には説明していないこの他の態様及び変形例が考えられる。
【符号の説明】
【0090】
100 ポンプアッセンブリ
104 ポンプハウジング
106 本体部分
108 ノズル部分
130 ジャケット
132 キャビティ
200 流れガイド
220 第1区画室
224 第2区画室
230 入口ポート
232 出口ポート