(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断手段と、前記剥離シートに仮着された前記接着シートを当該接着シートの繰出方向先端部から当該接着シートの内側領域に向かって剥離する剥離手段と、前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを含むシート貼付装置であって、
前記切断手段は、前記原反の帯状シート側に配置されて前記切込を形成可能な切断刃を有するダイカットローラと、前記原反を間に挟んで前記ダイカットローラと対向配置されて当該ダイカットローラの押圧力を受け止めるプラテンローラと、前記ダイカットローラ及びプラテンローラの少なくとも一方の外周面に装着されるとともに、これらダイカットローラとプラテンローラとの間に挟まれてそれらを間接的に接触させることで所定の間隔を維持可能なベアラとを備え、
前記ベアラは、装着されるダイカットローラの外周面又は、プラテンローラの外周面から接触面までの距離が不均一に設けられ、前記切込の形成にあたり、前記接着シートの繰出方向先端部に対応する切込の深さが、前記接着シートの内側領域に対応する切込の深さに比べて深い切込を形成可能に設けられていることを特徴とするシート貼付装置。
前記繰出手段は、前記切断手段と連動して1枚の接着シート形成に対し、前記接着シートの繰出方向先端部での切断を複数回行うことを特徴とする請求項1、2又は3記載のシート貼付装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、剥離シートRLにあっては、材料コストを低減するために、25μm前後の薄手のものが採用される機会が多くなっている。このような薄手の剥離シートRLが採用された原反を特許文献1の装置で使用すると、
図6(B)に示されるように、切断刃HCの刃先が剥離シートRLに入り込まなくなり、ピールプレートで切込CUの内側に形成された接着シートと、その外側に形成された不要シートとを確実に切り離すことができず、当該接着シートが不要シートと共に巻き取られてしまうことで、接着シートの貼付が行えなくなる、という不都合が発生する。
【0005】
ここで、
図6(B)において、切断刃HCの刃先が剥離シートRLに入り込むように当該切断刃HCとプラテンローラPRとの相対間隔を再調整することで、接着シートを確実に不要シートから切り離すようにできる。ところが、この場合、切込CUが形成された位置における剥離シートRLの厚みが薄くなり過ぎてしまうので、少しの外力を受けただけで接着シートとそれに対応する剥離シート部分とが原反RSから抜け落ちてしまったり、ピールプレートで接着シートを剥離するときに、当該接着シートと共に対応する剥離シート部分も抜けてしまい、剥離シート部分が付随した状態の接着シートが被着体に貼付されてしまったりするといった接着シートの貼付不良を発生してしまう、という不都合を招来する。
【0006】
[発明の目的]
本発明の目的は、剥離シートが薄厚化した場合でも、接着シートの形成、剥離及び貼付を良好に行うことができるシート貼付装置及び貼付方法、並びに、シート製造装置及び製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断手段と、前記剥離シートに仮着された前記接着シートを当該接着シートの繰出方向先端部から当該接着シートの内側領域に向かって剥離する剥離手段と、前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを含むシート貼付装置であって、
前記切断手段は、前記原反の帯状シート側に配置されて前記切込を形成可能な切断刃を有するダイカットローラと、前記原反を間に挟んで前記ダイカットローラと対向配置されて当該ダイカットローラの押圧力を受け止めるプラテンローラと、前記ダイカットローラ及びプラテンローラの少なくとも一方の外周面に装着されるとともに、これらダイカットローラとプラテンローラとの間に挟まれてそれらを間接的に接触させることで所定の間隔を維持可能なベアラとを備え、
前記ベアラは、装着されるダイカットローラの外周面又は、プラテンローラの外周面から接触面までの距離が不均一に設けられ、前記切込の形成にあたり、前記接着シートの繰出方向先端部に対応する切込の深さが、前記接着シートの内側領域に対応する切込の深さに比べて深い切込を形成可能に設けられる、という構成を採っている。
【0008】
本発明において、前記ベアラの接触面、ダイカットローラの外周面又はプラテンローラの外周面の付着物を除去可能な除去手段を有する、という構成を採ることが好ましい。
【0009】
また、前記除去手段を変位可能な変位手段を有するとよい。
【0010】
更に、前記繰出手段は、前記切断手段と連動して1枚の接着シート形成に対し、前記接着シートの繰出方向先端部での切断を複数回行うとよい。
【0011】
更に、本発明のシート貼付方法は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出工程と、
所定形状の切込を形成可能な切断刃を有するダイカットローラと、前記原反を間に挟んで前記ダイカットローラと対向配置されて当該ダイカットローラの押圧力を受け止めるプラテンローラとにより、前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断工程と、
前記剥離シートに仮着された前記接着シートを当該接着シートの繰出方向先端部から当該接着シートの内側領域に向かって剥離する剥離工程と、
前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧工程とを備え、
前記切断工程において、装着される前記ダイカットローラの外周面又は、プラテンローラの外周面から接触面までの距離が不均一に設けられたベアラをダイカットローラとプラテンローラとの間に挟んでそれらを間接的に接触させておき、前記接着シートの繰出方向先端部に対応する切込の深さが、前記接着シートの内側領域に対応する切込の深さに比べて深い切込を形成する、という方法を採っている。
【0012】
また、本発明のシート製造装置は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、
前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断手段とを含むシート製造装置であって、
前記切断手段は、前記原反の帯状シート側に配置されて前記切込を形成可能な切断刃を有するダイカットローラと、前記原反を間に挟んで前記ダイカットローラと対向配置されて当該ダイカットローラの押圧力を受け止めるプラテンローラと、前記ダイカットローラ及びプラテンローラの少なくとも一方の外周面に装着されるとともに、これらダイカットローラとプラテンローラとの間に挟まれてそれらを間接的に接触させることで所定の間隔を維持可能なベアラとを備え、
前記ベアラは、装着されるダイカットローラの外周面又は、プラテンローラの外周面から接触面までの距離が不均一に設けられ、前記切込の形成にあたり、前記接着シートの繰出方向先端部に対応する切込の深さが、前記接着シートの内側領域に対応する切込の深さに比べて深い切込を形成可能に設けられる、という構成を採っている。
【0013】
また、本発明のシート製造方法は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出工程と、
所定形状の切込を形成可能な切断刃を有するダイカットローラと、前記原反を間に挟んで前記ダイカットローラと対向配置されて当該ダイカットローラの押圧力を受け止めるプラテンローラとにより、前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断工程とを備え、
前記切断工程において、装着される前記ダイカットローラの外周面又は、プラテンローラの外周面から接触面までの距離が不均一に設けられたベアラをダイカットローラとプラテンローラとの間に挟んでそれらを間接的に接触させておき、前記接着シートの繰出方向先端部に対応する切込の深さが、前記接着シートの内側領域に対応する切込の深さに比べて深い切込を形成する、という方法を採っている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ダイカットローラとプラテンローラとの間隔をベアラにより変更させることにより、接着シートの繰出方向先端部に対応する切込の深さが接着シートの内側領域に対応する切込の深さより深く形成できるので、接着シートの繰出方向先端部を確実に不要シートから切り離すことができる。これにより、従来のように接着シートが不要シートと共に巻き取られてしまうことで、接着シートの貼付が行えなくなるといった不都合を解消することができる。このとき、接着シートの内側領域に対応する切込の深さは、接着シートの繰出方向先端部に対応する切込に比べて浅く形成されているが、接着シートの繰出方向先端部さえ不要シートと切り離しできれば、接着シートの剥離の進行に伴って当該接着シートは、接着シートの内側領域に対応する切込に沿って不要シートから切り離される。
また、接着シートの内側領域に対応する剥離シートの切込の深さが、接着シートの繰出方向先端部に対応する剥離シートの切込の深さより浅くなっているので、接着シートとそれに対応する剥離シート部分が原反から抜け落ちてしまったり、剥離シート部分が付随した状態の接着シートが被着体に貼付されてしまったりするといった接着シートの貼付不良を抑制することができる。このとき、特許文献1の装置のように、接着シートの繰出方向先端部に対応する剥離シート部分が、ピールプレートで接着シートと一緒に抜けてしまうことがあるが、接着シートの内側領域に対応する剥離シートの切込の深さが浅いので、接着シートと一緒に抜けてしまった剥離シート部分がそれ以上大きくなることはなく、当該剥離シート部分は剥離シートの正規の回収方向に引っ張って回収されるようになる。
なお、前記シート製造装置及び製造方法によれば、前述と同様に切込が形成された原反を準備でき、当該原反をシート貼付装置や貼付方法に用いた場合、前述したように接着シートの剥離及び貼付を難なく行えるようになる。
【0015】
更に、ベアラの接触面等の付着物を除去可能な除去手段を有する場合、ベアラと当該ベアラが接触する部材との間に付着物が挟まって、それらの間隔に誤差が生じることを防止でき、間隔を高精度に維持することができる。ここで、変位手段により除去手段を変位可能とした場合、ベアラの径寸法の変化等により、当該ベアラと除去手段との距離が変化しても、この変化に応じて除去手段を変位でき、付着物を安定して除去することが可能となる。
【0016】
また、初期剥離領域での切断を複数回行うことで、接着シートの繰出方向先端部をより確実に不要シートから切り離すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書において、特に明示しない限り、「左」、「右」、「上」、「下」は、
図1(A)を基準として用いる。
【0019】
図1〜
図5において、シート貼付装置10は、被着体としてのウエハWF及びリングフレームRFを吸着支持するテーブル11と、このテーブル11を左右方向に移動可能な駆動機器としての直動モータ12と、帯状の剥離シートRLと、その一方の面に仮着された帯状シートWSとにより構成された原反RSを繰り出し可能な繰出手段14と、この繰出手段14により繰り出された原反RSの帯状シートWSに切込CUを形成し、当該切込CUの内側に接着シートASを形成するとともに、当該切込CUの外側に不要シートUSを形成する切断手段15と、不要シートUSを巻き取り可能な巻取手段16と、剥離シートRLを折り返して接着シートASを剥離シートRLから剥離する剥離手段としての剥離板18と、この剥離板18で剥離された接着シートASをリングフレームRF及びウエハWFに押圧して貼付する押圧手段としての押圧ローラ19とを備えて構成されている。帯状シートWSは、基材シートBSと、この基材シートBSの一方の面に積層された接着剤層ADとを備え、当該接着剤層ADを介して剥離シートRLに仮着されている。なお、ウエハWFの下面には保護シートPSが貼付されている。
【0020】
前記繰出手段14は、原反RSを支持する支持軸25と、この支持軸25から繰り出されて切断手段15を通過する前の原反RSを挟み込む第1駆動ローラ27及び第1ピンチローラ28と、剥離板18を経た後の剥離シートRLを挟み込む第2駆動ローラ31及び第2ピンチローラ32と、これらを通過した後の剥離シートRLを図示しない駆動機器によって所定のトルクで巻き取る巻取軸34とを備えている。各駆動ローラ27、31は、駆動機器としての回動モータDM1、DM2を介して回転可能に設けられている。
【0021】
前記切断手段15は、繰り出される原反RSの帯状シートWS側に配置され、駆動機器としての回動モータDM3によって回転可能に設けられたダイカットローラ36と、原反RSを間に挟んでダイカットローラ36と対向配置され、ダイカットローラ36の押圧力を受け止めるプラテンローラ37と、ダイカットローラ36の外周面36Aに装着されて、ダイカットローラ36とプラテンローラ37との間に挟まれてそれらを間接的に接触させることで、これらダイカットローラ36とプラテンローラ37との間に所定の間隔を維持可能なベアラ38と、ダイカットローラ36及び回動モータDM3をプラテンローラ37側に付勢する付勢手段39とを備えている。なお、プラテンローラ37は、図示しない機構によりダイカットローラ36と連動して回転可能に設けられている。
【0022】
前記ダイカットローラ36は、外周面から突設する閉ループ状の切断刃40を備え、帯状シートWSにリングフレームRFの内径寸法よりも大きく、外形寸法よりも小さい略円形の切込CUを形成可能に設けられている。また、切断刃40は、例えば、ダイカットローラ36の回転方向に270°の範囲に亘って設けられ、その高さは、450μmに設定されている。
【0023】
ここで、切断刃40によって形成された接着シートASは、帯状シートWSの繰出方向(原反RSが支持軸25から巻取軸34に向かう方向)先端領域が切断刃40の先端40aにより形成される。この先端40aにより形成された接着シートAS部分が、剥離板18によって剥離シートRLから最初に剥離される接着シートの繰出方向先端部としての初期剥離領域Saとなり、この初期剥離領域Saに対応する切込CU部分が初期切込CU1とされる。また、初期剥離領域Saの剥離の次に剥離される領域、つまり、接着シートASにおいて初期剥離領域Sa以外の全領域が、接着シートの内側領域としての次期剥離領域Sbとなり、この次期剥離領域Sbに対応する切込CU部分が次期切込CU2とされ、接着シートの繰出方向後端部は、切断刃40の後端40bにより形成される。なお、次期剥離領域Sbは、初期剥離領域Sa以外の全領域に限られず、初期剥離領域Saに隣接して当該初期剥離領域Saの剥離の次に剥離される接着シートASの一部領域としてもよい。
【0024】
前記ベアラ38は、プラテンローラ37の外周面37Aに接触面38Aが接触し、当該プラテンローラ37とダイカットローラ36との間隔を確保可能に設けられている。また、
図3に示されるように、ベアラ38は、ダイカットローラ36の外周面36Aから接触面38Aまでのベアラ高さがその他の領域のベアラ高さよりも低い深切込領域42と、この深切込領域42よりもベアラ高さが高い浅切込領域43と、深切込領域42と浅切込領域43との間で次第にベアラ高さが変化する変位領域44とを備え、ダイカットローラ36の外周面36Aから接触面38Aまでの距離が不均一に設けられている。深切込領域42は、ダイカットローラ36の外周面36Aから切断刃40の頂点までの高さよりも5μm高いベアラ高さに設定され、
図3中切断刃40の先端40aから左回り5°の位置から右回りに50°の範囲に亘って形成されている。これにより、ベアラ38をプラテンローラ37に接した状態でダイカットローラ40を回転させることで、切断刃40の頂点とプラテンローラ37との間隔CL1を5μmに維持可能となっている(
図4(A)参照)。変位領域44は、深切込領域42の右回り及び左回り方向両側にそれぞれ20°の範囲に亘って形成されている。浅切込領域43は、ダイカットローラ36の外周面36Aから切断刃40の頂点までの高さよりも20μm高いベアラ高さに設定され、各変位領域44の間における深切込領域42の反対側で270°の範囲に亘って形成されている。これにより、ベアラ38をプラテンローラ37に接した状態でダイカットローラ40を回転させることで、切断刃40の頂点とプラテンローラ37との間隔CL2を20μmに維持可能となっている(
図4(B)参照)。
【0025】
前記付勢手段39は、ダイカットローラ36の回転軸線MCを中心に当該ダイカットローラ36を回転可能に支持するスライダ46と、このスライダ46を左右に移動可能に支持するレール部材47と、スライダ46に当接し、切断刃40をプラテンローラ37側に付勢するばね部材48とを備えている。
【0026】
ここで、切断手段15には図示しないエネルギー付与手段が設けられ、このエネルギー付与手段により原反RSにエネルギーを付与しながら切込CUを形成可能となっている。エネルギー付与手段としては、例えば、ダイカットローラ36及びプラテンローラ37の少なくとも一方に内蔵されるコイルヒータの他、これらローラ36、37から離れた位置から切込CUの形成位置に温風を送風する送風機器や紫外線、赤外線、マイクロ波等のエネルギー線等を照射する照射装置等が例示できる。
【0027】
前記巻取手段16は、切断手段15により切込CUを形成した後の不要シートUSに掛け回されて当該不要シートUSを剥離シートRLから剥離する剥離ローラ50と、剥離ローラ50を経た後の不要シートUSを巻き取る巻取軸51とを備えて構成されている。巻取軸51は、駆動機器としての回動モータDM4を介して回転可能に設けられ、所定のトルクで不要シートUSを巻き取り可能となっている。
【0028】
次に、本実施形態における接着シートASの貼付方法について説明する。
【0029】
まず、支持軸25に支持された原反RSを第1駆動ローラ27と第1ピンチローラ28との間、及び、ダイカットローラ36とプラテンローラ37との間を通過させる。そして、剥離シートRLから帯状シートWSを剥離し、当該帯状シートWSを剥離ローラ50に掛け回した後、そのリード端を巻取軸51に固定する。また、剥離シートRLは、剥離板18の先端で折り返して第2駆動ローラ31と第2ピンチローラ32との間を通過させ、そのリード端を巻取軸34に固定する。なお、本実施形態では、帯状シートWSの厚みは100μm、剥離シートRLの厚みは25μmのものが採用されている。本実施形態では、
図1に示されるように、ダイカットローラ36の回転方向における切断刃40が形成されていない領域の中央をダイカットローラ36のスタート位置Stとし、当該スタート位置Stがプラテンローラ37に再接近した状態で、ダイカットローラ36の回転を停止させておく。
【0030】
そして、回動モータDM1〜DM4を連動させて原反RSを繰り出すと、切断刃40により基材シートBS側から剥離シートRL側に向かって切込CUが形成され、帯状シートWSは、切込CUの内側の接着シートASと、切込CUの外側の不要シートUSとに区分される。この接着シートASの形成過程では、先ず、ベアラ38の深切込領域42がプラテンローラ37に当接した状態で、ダイカットローラ36が
図3(A)に示される矢印方向に回転し、スタート位置Stから45°回転した時点から切込CUの形成が開始される。切込CUの形成開始からダイカットローラ36が5°回転する間は、ベアラ38の深切込領域42がプラテンローラ37に当接しているので、切断刃40の頂点とプラテンローラ37との間隔CL1が5μmに維持され、帯状シートWSに初期切込CU1が形成されて初期剥離領域Saが形成される。これにより、初期切込CU1に対応する剥離シートRLには、切断刃40が20μm入り込むことにより、初期切込CU1が確実に剥離シートRLに入り込み、初期剥離領域Saが不要シートUSと切り離され易くなる。
【0031】
初期切込CU1の形成後は、ベアラ38の変位領域44がプラテンローラ37に当接した状態でダイカットローラ36が回転し、当該ダイカットローラ36とプラテンローラ37との間隔が徐々に大きくなり、ダイカットローラ36が20°回転した時点でプラテンローラ37に浅切込領域43が当接することとなる。そして、浅切込領域43がプラテンローラ37に当接した状態のまま更にダイカットローラ36が270°回転する間は、切断刃40の頂点とプラテンローラ37との間隔CL2が20μmに維持され、帯状シートWSに次期切込CU2が形成されて次期剥離領域Sbが形成される。これにより、次期切込CU2に対応する剥離シートRLには、切断刃40が5μmしか入り込まないので、次期剥離領域Sbに対応する剥離シートRL部分は、初期剥離領域Saに対応する剥離シートRL部分に比べて切断され難くなる。次期切込CU2の形成後は、ベアラ38の変位領域44がプラテンローラ37に当接した状態でダイカットローラ36が回転し、当該ダイカットローラ36とプラテンローラ37との間隔が徐々に小さくなり、ダイカットローラ36が20°回転した時点でダイカットローラ36がスタート位置Stに復帰する。
【0032】
切込CUの形成後、繰り出された原反RSは、剥離ローラ50で剥離シートRLから不要シートUSが剥離され、不要シートUSが巻取軸51に巻き取られる。このとき、剥離領域Saが不要シートUSと切り離され易くなっているので、接着シートASが不要シートUSと共に巻取軸51方向へ共上がりすることはない。次いで、不要シートUSが巻き取られた原反RSの接着シートASが剥離板18の先端から所定量剥離されて抜け出ると、図示しないセンサで当該接着シートASの先端が検出されて停止し、スタンバイ状態となる。このとき、初期切込CU1が確実に剥離シートRLに入り込んでいるので、初期剥離領域Saは確実に剥離シートRLから剥離され、剥離シートRLと共に第2駆動ローラ31方向に巻き取られるようなことはない。なお、初期剥離領域Saに対応する剥離シートRL部分も接着シートASと共に剥離板18から抜け出る場合がある。しかし、次期剥離領域Sbに対応する剥離シートRL部分が切断され難くなっているので、原反RSの繰出に伴って接着シートASと共に抜け出た剥離シート部分がそれ以上大きくなることはなく、この接着シートASと共に抜け出た剥離シート部分に剥離板18の先端から第2駆動ローラ31方向に引っ張る力が働き、初期剥離領域Saに対応する剥離シートRL部分を確実に接着シートASから剥離することができる。なお、スタンバイ状態のとき、ダイカットローラ36は、
図1に示されるように、切断刃40がない位置がプラテンローラ37側に位置するように設定され、図示しない駆動機器である切込位置調整手段によって、ダイカットローラ36及びプラテンローラ37の位置を上下方向に変位できるように構成されている。これによれば各接着シートASの間隔を任意に調整することができる上、接着シートASの繰出方向における長さに応じ、それらの位置を上下方向に変更できる。その後、図示しない搬送手段を介してリングクレームRFとウエハWFとがテーブル11上に載置され、吸着保持される。次いで、直動モータ12を介してテーブル11が剥離板18の下方を右側から左側に搬送される。テーブル11が所定の位置で図示しないセンサによって検知されると、テーブル11の搬送に同期して第1及び第2駆動ローラ27、31が回転して原反RSが繰り出され、剥離板18の先端で接着シートASが剥離される。そして、剥離された接着シートASが押圧ローラ19による押圧力を受け、リングクレームRF及びウエハWFの各上面に貼付され、接着シートASを介してウエハWFとリングクレームRFとが一体化される。このとき、初期剥離領域Saに対応する剥離シートRL部分が確実に接着シートASから剥離されているので、剥離シートRL部分が付随した状態の接着シートASが被着体に貼付されるようなことはない。
【0033】
従って、このような実施形態によれば、1の切込CUの形成中にベアラ38の形状に応じて切断刃40とプラテンローラ37との間隔CL1、CL2を前述のように変化することが可能となる。これにより、切断刃40による切断で初期剥離領域Saが次期剥離領域Sbより切込深さを深くできるので、接着シートASが不要シートUSと共に剥離され、当該接着シートASが貼付不能となることを防止することが可能となる。しかも、次期剥離領域Sbに対応する剥離シートRL部分への切断刃40の切込深さが浅いので、切断手段15を経た後の原反RSから、接着シートASが抜け落ち、当該接着シートASの貼付が行えなくなることを防止できる。このように、前記実施形態によれば、剥離シートRLが薄厚化しても、これに対応して接着シートASの形成、剥離及び貼付を良好に行うことができ、当該薄厚化によるコストダウンの要求に応じることが可能となる。
【0034】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0035】
例えば、前記巻取手段16を省略し、剥離シートRLから不要シートUSを剥離せずに、剥離板18で接着シートASを剥離し、剥離シートRLと不要シートUSとを巻取軸34で巻き取るようにしてもよい。このような場合にでも、剥離板18で初期剥離領域Saが剥離できず、接着シートASが不要シートUSと共に第2駆動ローラ31方向に巻き取れてしまうことを防止することができる。
【0036】
また、切込Cの形成にあっては、各回動モータDM1〜DM4を連動させて原反RSを繰り出し方向に往復動させ、1枚の接着シートAS形成に対し、初期剥離領域Saでの切断を複数回行ってもよい。
【0037】
更に、前記シート貼付装置10の剥離板18及び押圧ローラ19を省略することにより、シート製造装置を構成してもよい。同装置によれば、前記実施形態と同様に切断手段15によって接着シートASを形成した後、当該接着シートASが剥離シートRLに仮着された原反RSが巻取軸34に巻き取られる。巻取軸34に巻き取られた原反RSは、別途搬送、保管したり、切断手段を有しないシート貼付装置等で利用したりすることができる。このように、巻取軸34に巻き取られた原反RSをその状態のまま切断手段を有しないシート貼付装置等で利用する場合、繰出手段14の繰出方向後端部が当該シート貼付装置等の初期剥離領域Saとなるので、少なくとも接着シートASにおける繰出手段14の繰出方向後端部の切込CUが他の領域に比べて深くなるように、ベアラ38の形状を変更すればよい。
【0038】
また、切断刃40の平面形状は、帯状シートWSに切込CUを形成して当該切込CUの内側を接着シートASとして形成し得る限りにおいて、多角形状、楕円、長円、菱形、直線と曲線とを組み合わせた形状等、種々の変更が可能であり、刃の高さも任意に変更できる。
【0039】
更に、切断刃40は、エッチング加工の他、機械加工によって形成される彫刻刃や、ロータリダイの他、平らな板上に刃が形成された平刃や、トムソン刃等を使用してもよい。
【0040】
また、ベアラ38による切断刃40とプラテンローラ37との間隔は、原反RSの厚みや性質、特に剥離シートRSの厚みや性質等を考慮して適宜変更することができる。
更に、前記次期剥離領域Sbは、初期剥離領域Sa以外の全領域に限られず、初期剥離領域Saに隣接して当該初期剥離領域Saの剥離の次に剥離される接着シートASの一部領域としてもよい。例えば、前期実施形態のベアラ38における浅切込領域44中間部に深切込領域42より小さい径寸法となる領域を形成し、次期剥離領域Sbの次に剥離される接着シートAS部分の切込CUの深さを、次期切込CU2や初期切込CU1より深く形成してもよい。
【0041】
また、付勢手段39は、エアシリンダやモータ等の駆動機器を採用してもよい。
【0042】
更に、繰出手段14や剥離板18、押圧ローラ19は、種々の設計変更が可能である。
また、原反RSを構成する部材の厚みは、上記実施形態で例示したものに何ら限定されることはない。
更に、シート貼付装置10を移動させる駆動機器を設け、テーブル11を停止させた状態で、シート貼付装置10を
図1中右方向に移動させたり、テーブル11を左方向に移動させるとともに、シート貼付装置10を右方向に移動させたりして接着シートASを被着体に貼付するように構成してもよいし、
また、上記実施形態と同様のベアラ38をプラテンローラ37側にも装着し、ダイカットローラ36に装着したベアラ38に当接させ、切込CUの深さを変更するように構成したり、ダイカットローラ36にはベアラ38を装着せずに、プラテンローラ37に装着したベアラ38をダイカットローラ36の外周面36Aに当接させ、切込CUの深さを変更するように構成したりしてもよい。
【0043】
更に、
図5に示されるように、プラテンローラ37及びベアラ38の外周側に除去手段54を設けてもよい。この除去手段54は、プラテンローラ37の外周面37Aやベアラ38の外周面38Aに先端が当接する板状部材、ブラシ状部材等の当接手段55により構成されている。当接手段55は、変位手段57を介して先端が揺動可能に設けられている。この変位手段57は、当接手段55の基端側で当該当接手段55の揺動を許容し得る支持軸や弾性部材等の揺動手段58と、当接手段55の先端側をベアラ38等の外周面に付勢するばねや弾性部材等の除去部材付勢手段59とを備えている。当接手段55の先端側には、当接手段55によって除去された塵埃等を吸引可能な吸引手段60が設けられている。
【0044】
図5の構成において、プラテンローラ37及びベアラ38が回転して切込CUを形成する際、ベアラ38等の外周面の塵埃等の付着物があっても、当接手段55の先端で付着物を掻き取って除去可能となる。このとき、ベアラ38の径寸法が前述のように各領域42〜44で変化するが、当該変化に応じて変位手段57により当接手段55の先端が揺動可能となる。これにより、当接手段55とベアラ38との接触を確実に維持でき、付着物を確実に掻き取って当該付着物に起因する切込CUの精度低下を回避することができる。また、掻き取られた付着物は吸引手段60で吸引して装置の外部に排出でき、掻き取った付着物の再付着を防止することができる。なお、除去手段54及び変位手段57は、プラテンローラ37及びベアラ38の少なくとも一方に設ければよいが、それらの両方に設けた方が付着物をより良く除去できる点で有利となる。なお、除去手段54は、ダイカットローラ36にベアラ38を装着せずに、プラテンローラ37にベアラ38を装着した場合には、ダイカットローラ36の外周面36Aの外周側に除去手段54を設けてもよい。
【0045】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【0046】
更に、被着体は、ウエハWFやリングフレームRFに代えて、ガラス板、鋼板、または、樹脂板等、その他のものも対象とすることができ、半導体ウエハは、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハであってもよい。また、リングフレームRFに代えて、C字状やU字状等の別形状のフレームを用いてもよいし、リングフレームRFなしで単独の被着体を接着シートASの貼付対象としてもよい。