【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この遮水マットは、アンカーピンによる孔から漏水を防止することが目的であることから、アンカーピン打設箇所のみの漏水を防止すればよく、上記のような遮水マットは、漏水防止シートが全面に配されるので、アンカーピンをどの箇所に打設しても漏水は発生しない利点があるものの、アンカーピンを打設しないほとんどの部分における漏水防止は余分であり、その余分な漏水防止シートについてコスト高になると共に、重量が増して作業性が悪いという欠点がある。
【0007】
また、アンカーピンの打設により、不織布の繊維がアンカーピンに絡みながら止水シートを穿孔状態となることから、止水シートの貫通時に、不織布の繊維が巻き込まれた状態となり、その繊維を通じて漏水が起こる欠点も有している。
【0008】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コストが安く、軽量で施工性、作業性に優れ、アンカーピンの打設による穴からの漏水を防止できる河川用止水マットの敷設方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
この発明の請求項1記載の河川用止水マットの敷設方法は、河川堤防護岸に敷設する河川用止水マット11の敷設方法であって、
前記護岸である地面27に対向する一方の面が凹凸面19で構成され遮水性を備える合成樹脂製の止水シート13と、
該止水シート13の他方の面21側に展設されるクッション性を備えた不織布よりなる保護マット15と、
を一体化して構成された河川用止水マット11を、所望の箇所に異形鉄筋よりなるアンカーピン25を打設して前記地面27に固定するにあたり、
前記アンカーピン25の打設位置となる保護マット15の所望の箇所にシーリング材17を注入し、
該シーリング材17注入箇所に前記アンカーピン25を打設することを特徴とする。
【0010】
この河川用止水マットの敷設方法では、止水シート13の凹凸面19によって、敷設箇所である地面27、例えば護岸の斜面など法面に対しての滑落が防止され、この斜面27が覆われた状態を維持できる。さらにアンカーピン25を打設することで、止水マット11は、その敷設位置からのズレが防止されることとなる。アンカーピン25の打設箇所には、その打設前にシーリング材17が注入される。止水マット11に打設されるアンカーピン25は、保護マット15を構成する不織布の繊維が絡み貫通する穴に巻き込むが、その打設箇所にはシーリング材17が注入され、含浸状態であることで、アンカーピン25にシーリング材17を含む不織布がシーリング材17とともに密着状態となり、また、止水シート13に穿設されることとなる貫通穴は拡がることがなく、シーリング材17が介在状態となる貫通穴とアンカーピン25外周面との間の部分からの漏水が、極微小、若しくは漏水することがないものとなる。
【0011】
参考例の河川用止水マットの敷設方法は、河川堤防護岸に敷設する河川用止水マット11の敷設方法であって、
前記護岸である地面27に対向する一方の面が凹凸面19で構成され遮水性を備える合成樹脂製の止水シート13と、
該止水シート13の他方の面21側に展設されるクッション性を備えた不織布よりなる保護マット15と、
を一体化して構成された河川用止水マット11を、所望の箇所に異形鉄筋よりなるアンカーピン25を打設して前記地面27に固定するにあたり、
前記アンカーピン25の表面にシーリング材18を塗布し、
該アンカーピン25を打設することを特徴とする。
【0012】
この河川用止水マットの敷設方法では、止水シート13の凹凸面19によって、敷設箇所である地面27、例えば護岸の斜面など法面に対しての滑落が防止され、この斜面27が覆われた状態を維持できる。さらにアンカーピン25を打設することで、止水マット11は、その敷設位置からのズレが防止されることとなる。アンカーピン25には、その打設以前にシーリング材17が表面に塗布される。止水マット11に打設されるアンカーピン25は、保護マット15を構成する不織布の繊維が絡み貫通する穴に巻き込むが、アンカーピン25の表面にシーリング材17が塗布されていることで、アンカーピン25に不織布がシーリング材17を介して密着状態となり、また、止水シート13に穿設されることとなる貫通穴は拡がることがなく、シーリング材17が介在状態となる貫通穴とアンカーピン25外周面との間の部分からの漏水が、極微小、若しくは漏水することがないものとなる。
【0013】
請求項
2記載の河川用止水マットの敷設方法は、請求項1記載の河川用止水マットの敷設方法において、
前記アンカーピン25は、表面にシーリング材17が塗布され、前記打設が行われることを特徴する。
【0014】
この河川用止水マットの敷設方法では、アンカーピン25の表面に塗布されるシーリング材17により、打設時に穿設されてしまう止水シート13の貫通穴とアンカーピン25との間に、保護マット15に含まれるシーリング材17とアンカーピン25表面のシーリング材17とが介在することになり、漏水をより効果的に防ぐこととなる。
【0015】
請求項
3記載の河川用止水マットの敷設方法は、請求項1
又は2に記載の河川用止水マットの敷設方法において、
前記シーリング材17は、一成分形のシーリング材よりなることを特徴とする。
【0016】
この河川用止水マットの敷設方法では、シーリング材17を一成分形のシーリング材としたことで、取り扱いが容易となり、施工性・作業性が向上する。
【0017】
請求項
4記載の河川用止水マットの敷設方法では、請求項
3記載の河川用止水マットの敷設方法において、
前記一成分形のシーリング材は、湿気硬化型水膨張性ポリウレタン樹脂系シーリング材であることを特徴とする。
【0018】
この河川用止水マットの敷設方法では、シーリング材が水膨張性樹脂系としたことで、マット敷設後のアンカーピンの打設による穿孔部分が、通水によって水膨張を起こしアンカーピンを通じての漏水が防止可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明による請求項1記載の河川用止水マットの敷設方法では、止水シートの凹凸面によって、敷設箇所である護岸の斜面など法面に対しての滑落が防止され、この斜面が覆われた状態を維持することが可能となる。さらにアンカーピンを打設することで、止水マットは、その敷設位置からのズレが防止されることとなる。アンカーピンの打設箇所には、その打設前にシーリング材が注入され、止水マットに打設されるアンカーピンは、保護マットを構成する不織布の繊維が絡み貫通する穴に巻き込むが、その打設箇所にはシーリング材が注入され、含浸状態であることで、アンカーピンにシーリング材を含む不織布がシーリング材とともに密着状態となり、また、止水シートに穿設されることとなる貫通穴は拡がることがなく、シーリング材が介在状態となる貫通穴とアンカーピン外周面との間の部分からの漏水が、極微小、若しくは漏水することがないものとなる。さらに、この河川用止水マットは、保護マットと防止シートとが不織布で構成されることで、軽量に構成させることができ、これにより施工性が向上することとなる。
【0020】
参考例の河川用止水マットの敷設方法では、止水シートの凹凸面によって、敷設箇所である護岸の斜面など法面に対しての滑落が防止され、この斜面が覆われた状態を維持することが可能となる。さらにアンカーピンを打設することで、止水マットは、その敷設位置からのズレが防止されることとなる。アンカーピンには、その打設以前にシーリング材が表面に塗布され、止水マットに打設される際に、保護マットを構成する不織布の繊維が絡み貫通する穴に巻き込むが、アンカーピンの表面にシーリング材が塗布されていることで、アンカーピンに不織布がシーリング材を介して密着状態となり、また、止水シートに穿設されることとなる貫通穴は拡がることがなく、シーリング材が介在状態となる貫通穴とアンカーピン外周面との間の部分からの漏水が、極微小、若しくは漏水することがないものとなる。
【0021】
請求項
2記載の河川用止水マットの敷設方法では、アンカーピンの表面に塗布されるシーリング材により、打設時に穿設されてしまう止水シートの貫通穴とアンカーピンとの間に、保護マットに含浸されるシーリング材とアンカーピン表面のシーリング材とが介在することになり、漏水をより効果的に防ぐこととなる。
【0022】
請求項
3記載の河川用止水マットの敷設方法では、シーリング材を一成分形のシーリング材としたことで、取り扱いが容易となり、施工性・作業性が向上する。
【0023】
請求項
4記載の河川用止水マットの敷設方法では、シーリング材が水膨張性樹脂系とされたことで、マット敷設後のアンカーピンの打設による穿孔部分が、通水によって水膨張しアンカーピンを通じての漏水が防止可能となる。