(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の現像装置の場合、前記抑制部によるトナーの滞留領域がトナー補給口にまで達することがある。この状態でトナー補給口からトナーが補給されると、滞留したトナーが押し固められて、スクリューの周囲に沿ってトナーの塊であるトナー壁が形成されやすい。形成されたトナー壁によってトナー補給口が塞がれると、トナーが正常に現像装置に供給されずに現像装置内のトナー量が減少する。そして、画像かすれが発生し、印字品質の低下の原因となる。
【0006】
本発明の目的は、トナー補給口にトナー壁が形成されることを防ぎ、トナー補給の安定化を図った画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、周面にトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体の周面にトナーを供給する現像装置と、前記現像装置にトナーを補給するトナーコンテナと、を備え、前記現像装置は、トナーを担持するトナー担持体と、前記トナーを攪拌しながら搬送するものであって、第1回転軸と当該第1回転軸の外周に配置され当該第1回転軸と一体回転する攪拌羽根とを有する第1搬送部材と、前記第1搬送部材の上部に配置され、前記第1回転軸方向に延びて当該第1搬送部材を覆う天板を含み、前記トナー担持体及び前記第1搬送部材を収容するハウジングと、当該天板に設けられ、前記第1搬送部材上へ前記トナーを受け入れるためのトナー補給口と、を備え、前記トナーコンテナは、前記現像装置に補給するためのトナーを収容するトナー収容部と、前記トナー収容部に収容されたトナーを搬送するものであって、第2回転軸と、当該第2回転軸の外周に配置され当該第2回転軸と一体回転する搬送羽根とを有する第2搬送部材と、当該第2搬送部材を経由して送られたトナーを前記トナー補給口に向けて排出するトナー排出口と、を備え、前記現像装置と前記トナーコンテナとは、前記第1回転軸と前記第2回転軸が互いに直交する向きであって、前記トナー補給口と前記トナー排出口が上下方向に重なるように組み付けられ、
前記ハウジングは、前記第1搬送部材を収容する通路を備え、前記トナー補給口は、その開口範囲において、前記第1搬送部材によるトナー搬送方向において上流側部分と下流側部分とを備え、これら上流側部分及び下流側部分のいずれもが前記通路の上方に位置しており、前記攪拌羽根は、前記トナー補給口より前記トナー搬送方向下流側に前記トナーの搬送能力を局部的に抑制するための搬送能力抑制部を有し、この搬送能力抑制部は、当該搬送能力抑制部によって滞留されたトナーが前記トナー補給口の前記下流側部分から塞ぎ始めさせる部分であり、前記第2搬送部材は、前記トナー排出口から前記トナー補給口に前記トナーが排出される際、当該トナーが前記トナー補給口
の前記上流側部分に排出される向きに回転する。
【0008】
現像装置内において第1搬送部材によるトナーの搬送経路においてトナーが滞留する状況が生じた場合、トナー補給口は第1搬送部材のトナー搬送方向下流側からまず塞がれることになる。上記の構成によれば、トナー補給口における第1搬送部材のトナー搬送方向上流側からトナーが補給されるので、現像装置へのトナー補給経路を確保しやすくなる。つまり、トナー補給を安定的に行うことができる。
【0009】
上記構成において、
前記攪拌羽根による前記トナーの搬送方向が前記第1回転軸の延伸方向に向かって左から右の方向であり、且つ前記第2回転軸と直交する断面視において、前記第2回転軸は反時計回りに回転することが望ましい。
【0010】
この構成によれば、トナー補給口における第1搬送部材のトナー搬送方向上流側の位置にトナーを確実に排出することができる。従って、搬送能力抑制部の作用によって第1搬送部材に沿ったトナーの搬送経路上で滞留したトナーが、トナー補給口を第1搬送部材のトナー搬送方向下流側から塞いでしまっても、現像装置へのトナー補給を安定的に行うことができる。
【0011】
上記構成において、前記第1回転軸と直交する断面視において、前記攪拌羽根による攪拌領域を、前記第1回転軸を通る垂線を境界として、前記攪拌羽根が下から上へ回動する第1領域と、前記攪拌羽根が上から下へ回動する第2領域とに区分するとき、前記トナー補給口は、前記第2領域上の前記天板に設けられていることが望ましい。
【0012】
この構成によれば、第1搬送部材において撹拌羽根が上から下へ回動する側、即ち、トナーが低く堆積している位置へトナーを排出することができる。このため、排出されたトナーが第1搬送部材近傍のトナーを押し固めてトナー壁が形成されることを防ぎ、トナーの補給を安定して行うことができる。
【0013】
上記構成において、前記トナーコンテナのトナー収容部は、トナーの主な貯留場所となるコンテナ本体と、該コンテナ本体の一側面の下部から突設された筒状部とを備え、前記第2搬送部材は、前記コンテナ本体の下部及び前記筒状部に亘って配設され、前記トナー排出口は、前記筒状部の先端下面に設けられていることが望ましい。
【0014】
この構成によれば、トナー収容部が、トナー排出口を備える筒状部を有しているので、前記現像装置と前記トナーコンテナとの、前記第1回転軸と前記第2回転軸が互いに直交する向きであって、前記トナー補給口と前記トナー排出口が上下方向に重なるような組み付けを容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特別な装置を用いることなく、トナー補給口付近のトナー壁の形成を防ぐことができ、トナーコンテナから現像装置内へトナーを安定的に補給することができる。従って、現像装置内のトナーの減少等による画像かすれの発生を防ぐことができ、高品質な画像形成を行うことが可能な画像形成装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1としてモノクロプリンターを例示するが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよく、またカラー画像を形成する画像形成装置であっても良い。
【0018】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する本体ハウジング10と、この本体ハウジング10内に収容される給紙部20、画像形成部30、定着部40及びトナーコンテナ50とを含む。
【0019】
本体ハウジング10の前面側には前カバー11が、後面側には後カバー12が各々備えられている。ユーザーは、前カバー11を開放することで、トナー切れの際にトナーコンテナ50を本体ハウジング10の前面側から取り出すことができる。後カバー12は、シートジャムやメンテナンスの際に開放されるカバーである。画像形成部30及び定着部40の各ユニットは、後カバー12が開放されることで、本体ハウジング10の後面側から取り出し可能となる。また、本体ハウジング10の上面には、画像形成後のシートが排出される排紙部13が備えられている。
【0020】
給紙部20は、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット21を含む。この給紙カセット21は、本体ハウジング10の前方側から手前方向に引出可能である。給紙カセット21には、前記シートの束が収容されるシート収容空間、前記シートの束を給紙のためにリフトアップするリフト板等が備えられている。給紙カセット21の後端側の上部にはシート繰出部21Aが設けられている。このシート繰出部21Aには、給紙カセット21内のシート束の最上層のシートを1枚ずつ繰り出すためのピックアップローラー(図略)が配置されている。
【0021】
画像形成部30は、給紙部20から送り出されるシートにトナー画像を形成する画像形成処理を行う。画像形成部30は、感光体ドラム31(像担持体)と、この感光体ドラム31の周囲に配置された、帯電装置32、露光装置(
図1には表れていない)、現像装置33、転写ローラー34及びクリーニング装置35とを含む。
【0022】
感光体ドラム31は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム31としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電装置32は、感光体ドラム31の表面を均一に帯電するものであって、感光体ドラム31に当接する帯電ローラーを含む。露光装置は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム31の周面に、パーソナルコンピューター等の外部装置から与えられる画像データに基づいて変調された光を照射して、静電潜像を形成する。
【0023】
現像装置33は、感光体ドラム31上の前記静電潜像を現像してトナー像を形成するために、感光体ドラム31の周面にトナーを供給する。現像装置33は、現像ハウジング60(
図2〜
図5参照)と、感光体ドラム31に供給するトナーを担持する現像ローラー331(トナー担持体)と、現像ハウジング60の内部で現像剤(トナー)を攪拌しながら循環搬送する第1搬送スクリュー332(第1搬送部材)及び第2搬送スクリュー333とを含む。この現像装置33については後記で詳述する。
【0024】
転写ローラー34は、感光体ドラム31の周面に形成されたトナー像をシート上に転写させるためのローラーであって、感光体ドラム31と転写ニップ部を形成している。この転写ローラー34には、トナーと逆極性の転写バイアスが与えられる。クリーニング装置35は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム31の周面を清掃する。
【0025】
定着部40は、転写されたトナー像をシート上に定着する定着処理を行う。定着部40は、加熱源を内部に備えた定着ローラー41と、この定着ローラー41に対して圧接され、定着ローラー41との間に定着ニップ部を形成する加圧ローラー42とを含む。トナー像が転写されたシートが前記定着ニップ部に通紙されると、トナー像は、定着ローラー41による加熱及び加圧ローラー42による押圧により、シート上に定着される。
【0026】
トナーコンテナ50は、現像装置33に補給するトナーを貯留する。トナーコンテナ50は、トナーの主な貯留箇所となるコンテナ本体51(トナー収容部の一部)と、コンテナ本体51の一側面の下部から突設された筒状部52(トナー収容部の一部)と、コンテナ本体51の他の側面を覆う蓋部材53と、コンテナ内部に収容されトナーを搬送する第3搬送スクリュー54(第2搬送部材)とを含む。トナーコンテナ50内に貯留されたトナーは、第3搬送スクリュー54が回転駆動されることによって、筒状部52の先端下面に設けられたトナー排出口521から現像装置33内に供給される。このトナーコンテナ50についても後記で詳述する。
【0027】
本体ハウジング10内には、シートを搬送するために、主搬送路22F及び反転搬送路22Bが備えられている。主搬送路22Fは、給紙部20のシート繰出部21Aから画像形成部30及び定着部40を経由して、本体ハウジング10上面の排紙部13に対向して設けられている排紙口14まで延びている。反転搬送路22Bは、シートに対して両面印刷を行う場合に、片面印刷されたシートを主搬送路22Fにおける画像形成部30の上流側に戻すための搬送路である。
【0028】
主搬送路22Fの、感光体ドラム31と転写ローラー34との転写ニップ部よりも上流側には、レジストローラー対23が配置されている。シートは、レジストローラー対23にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、前記転写ニップ部に送り出される。主搬送路22F及び反転搬送路22Bの適所には、シートを搬送するための搬送ローラーが複数配置されており、例えば排紙口14の近傍には排紙ローラー対24が配置されている。
【0029】
反転搬送路22Bは、反転ユニット25の外側面と、本体ハウジング10の後カバー12の内面との間に形成されている。尚、反転ユニット25の内側面には転写ローラー34及びレジストローラー対23の一方のローラーが搭載されている。後カバー12及び反転ユニット25は、それらの下端に設けられた支点部121の軸回りに各々回動可能である。反転搬送路22Bにおいてシートジャムが発生した場合、後カバー12が開放される。主搬送路22Fでシートジャムが発生した場合、或いは感光体ドラム31のユニットや現像装置33が外部に取り出される場合には、後カバー12に加えて反転ユニット25も開放される。
【0030】
続いて、
図2〜
図7を参照して、現像装置33及びトナーコンテナ50の構造、並びにこれらの配置関係について説明する。
図2は現像装置33とトナーコンテナ50との組み付け状態を示す平面図、
図3はその斜視図、
図4は現像装置33単体の斜視図、
図5は現像装置33の内部構造を示す平面図、
図6はトナーコンテナ50単体の斜視図、
図7は現像装置33とトナーコンテナ50とが組み付けられた状態の内部構造を概略的に示す平面図をそれぞれ示している。
【0031】
現像装置33は、一方向(現像ローラー331の軸方向)に長尺の箱形形状を有する現像ハウジング60(ハウジング)を備える。現像ハウジング60は、その長手方向に延びる開口部が形成され、該開口部から現像ローラー331の周面の一部が露呈している。本実施形態において現像ハウジング60は、その長手方向が本体ハウジング10の左右方向と一致するよう、本体ハウジング10に組み付けられている。
【0032】
現像ハウジング60は、現像ローラー331、第1及び第2搬送スクリュー332、333を収容する。現像ハウジング60は、第1搬送スクリュー332の上部にその軸方向に沿って配置され、第1搬送スクリュー332を覆う天板60Tを備える。
【0033】
現像ハウジング60の左端付近の天板60Tには、トナーコンテナ50から供給されるトナーを当該ハウジング内に受け入れるためのトナー補給口60Hが穿孔されている。このトナー補給口60Hと、トナーコンテナ50のトナー排出口521とが上下方向に重なるように、現像装置33とトナーコンテナ50とが組み付けられる。トナーコンテナ50は、
図2に矢印Aで示すように、現像ハウジング60の長手方向と直交する方向(前後方向)において、現像装置33に対して着脱される。トナーコンテナ50は上面視で一方向に長いハウジング形状を備えるので、現像装置33にトナーコンテナ50が装着された状態では、上面視で略L字型の構造体を形成することになる(
図2参照)。
【0034】
天板60Tの上面には、左右方向にスライド移動が可能な現像シャッター板61が配置されている。現像シャッター板61は、付勢バネ62で常時左方向に付勢されている。付勢バネ62はコイルバネであって、現像シャッター板61の右端縁と、該現像シャッター板61に隣接するリブとに各々設けられたバネ座621、622に各端部が取り付けられている。
図4ではトナー補給口60Hが開放されている状態を示しているが、トナーコンテナ50が未装着の状態では、現像シャッター板61は付勢バネ62に付勢されて左方に位置し、トナー補給口60Hを塞ぐ。
【0035】
トナーコンテナ50の筒状部52の先端縁下部には、押圧板522が取り付けられている。また、筒状部52の先端面には、第3搬送スクリュー54に回転駆動力を入力するためのコンテナギア54Gが露出して配置されている。現像ハウジング60のトナー補給口60Hの左奥部には、入力ギア631とカップリング632とを備えるギアホルダー63が配置されている。カップリング632は、本体ハウジング10に備えられた図略のモーターからの回転駆動力が与えられる。入力ギア631は、トナーコンテナ50が現像装置33に装着された状態でコンテナギア54Gと歯合され、前記回転駆動力をコンテナギア54Gに伝達する。
【0036】
トナーコンテナ50が現像装置33に装着される際、トナー補給口60Hに対してトナーコンテナ50の筒状部52が前方から後方に進入する。この際、トナーコンテナ50の押圧板522が、トナー補給口60Hを塞いでいる状態の現像シャッター板61と干渉し、当該現像シャッター板61を右方へ移動させる。具体的には、現像シャッター板61の上面に突設されている斜行凸条623と押圧板522とが干渉し、付勢バネ62の付勢力に抗して現像シャッター板61が右方へ押し遣られる。トナーコンテナ50の筒状部52が所定位置まで進入すると、トナー補給口60Hは完全に開放されると共に、入力ギア631にコンテナギア54Gが歯合することになる。
【0037】
図5を参照して、現像ハウジング60は内部空間600を備える。一成分現像方式の場合、この内部空間600には、トナーが現像剤として充填される。トナーは、内部空間600内において攪拌搬送され、逐次現像ローラー331に供給されて消費され、その消費分はトナーコンテナ50から適宜供給される。
【0038】
現像ハウジング60の内部空間600は、左右方向に延びる仕切り板601によって、左右方向に長尺の第1通路602と第2通路603とに区画されている。仕切り板601は、現像ハウジング60の左右方向幅よりも短く、仕切り板601の右端及び左端には、第1通路602と第2通路603とをそれぞれ連通させる第1連通部604及び第2連通部605が備えられている。これにより、現像ハウジング60の内部には、第1通路602、第1連通部604、第2通路603及び第2連通部605に至る循環経路が形成されている。
【0039】
上述のトナー補給口60Hは、第1通路602の左端付近の上方に配置されている。第1通路602には第1搬送スクリュー332が収容され、第2通路603には第2搬送スクリュー333が収容されている。第1搬送スクリュー332は、回転軸332a(第1回転軸)と、この回転軸332aの外周上にスパイラル状に突設され回転軸332aと一体回転する羽根部材332b(攪拌羽根)とを含む(
図7〜
図9参照)。同様に、第2搬送スクリュー333は、回転軸333a及び羽根部材333bを含む。第1搬送スクリュー332は、回転軸回りに回転駆動されることで、
図5の矢印a方向に現像剤を搬送する。一方、第2搬送スクリュー333は、回転軸回りに回転駆動されることで、矢印b方向に現像剤を搬送する。
【0040】
第1、第2搬送スクリュー332、333が回転駆動されることで、上述の循環経路に沿ってトナーが循環搬送される。トナー補給口60Hから新たに補給されたトナーについて説明すると、当該トナーは第1通路602に落下して既存のトナーと混合され、第1搬送スクリュー332により矢印a方向に搬送される。この際、トナーは攪拌され、帯電される。次いでトナーは、第1通路602の下流端から第1連通部604を経て第2通路603に入り、第2搬送スクリュー333によって矢印b方向に搬送される。この搬送の際、トナーは同様に帯電される一方で、一部が現像ローラー331の周面に供給される。そして、残部のトナーは、第2連通部605を経て、第1通路602の上流端に戻される。
【0041】
第1搬送スクリュー332には、トナー補給口60Hよりもトナー搬送方向下流側であって、トナー補給口60Hの直ぐ近傍の位置に搬送能力抑制部400が設けられている。搬送能力抑制部400は、第1搬送スクリュー332の羽根部材の周縁部に回転軸と並行して付設された複数本の抑制ロッド401及び402を備えて構成される。本実施の形態では、搬送能力抑制部400は抑制ロッド401及び402の2本として説明するが、抑制ロッドの本数はこの限りではない。
【0042】
この搬送能力抑制部400を設けることで、第1通路602を矢印a方向へ搬送されるトナーは、搬送能力抑制部400に到達した時点で抑制ロッド401及び402によって進行を妨害され、滞留する。従って、トナーが補給されて現像ハウジング60内のトナー量が増えると、この滞留したトナーがトナー補給口60Hを塞ぐように作用し、それ以上のトナーの補給を抑制する。その後トナーが消費され、滞留したトナーが少なくなると、トナー補給口60Hを塞いでいたトナーが減り、再びトナーが補給されるようになる。なお、搬送能力抑制部400は、抑制ロッドの付設以外の態様であっても良く、例えば羽根部材の径を他の部分より小さくすることで、トナー搬送能力を減少させたものであっても良い。
【0043】
続いて、トナーコンテナ50の詳細構造について説明する。トナーコンテナ50は、現像装置33に補給するトナーの主な貯留箇所となるコンテナ本体51と、コンテナ本体51の一側面の下部から突設された筒状部52と、コンテナ本体51の他の側面を覆う蓋部材53と、コンテナ本体51の下部及び筒状部52に亘って配設され、コンテナ内部に収容されたトナーを搬送する第3搬送スクリュー54(第2搬送部材)とを含む。
【0044】
筒状部52の先端面には、第3搬送スクリュー54に連結されたコンテナギア54Gが配置されている。コンテナギア54Gは、トナーコンテナ50が現像装置33に装着された状態で入力ギア631と歯合され、入力ギア631から回転駆動力が伝達され、第3搬送スクリュー54を
図7の矢印P方向に回転させる。第3搬送スクリュー54は、回転軸54a(第2回転軸)と、この回転軸54aの周上にスパイラル状に突設された羽根部材54b(搬送羽根)とを含む。
【0045】
第3搬送スクリュー54が矢印P方向に回転することで、コンテナ本体51内に貯留されているトナーが
図7の矢印c方向、つまりトナー排出口521に向けて搬送される。トナー排出口521は、第3搬送スクリュー54によって搬送されたトナーを排出するものであって、筒状部52の先端下面に配置されている。このトナー排出口521は、トナー補給口60Hと上下方向に重なるように組み付けられているため、矢印c方向に搬送されたトナーはトナー排出口521からトナー補給口60Hを経由して現像ハウジング60内に取り込まれる。
【0046】
図8は、第3搬送スクリュー54の回転軸54aと直交する方向のトナーコンテナ50及び現像ハウジング60の断面図である。
図8に示すように、第1搬送スクリュー332の回転軸332aと第3搬送スクリュー54の回転軸54aとが、互いに直交する向きとなるように、現像装置33に対してトナーコンテナ50が組み付けられている。トナーコンテナ50が、コンテナ本体51と、コンテナ本体51に突設された筒状部52とを備え、筒状部52にトナー排出口521を有する構成を備えているので、このように直交方向の組み付けを容易に行うことができる。
【0047】
図8を用いてトナーの流れについて詳しく説明する。上記したように、現像ハウジング60内のトナー量が増えると、トナーTが搬送能力抑制部400の付近で滞留するようになる。そして、この滞留したトナーTが、トナー補給口60Hを塞ぎ始める。この時、トナーTはトナー補給口60Hの開口範囲のうち、第1通路602のトナー搬送方向下流側の部分から塞ぎ始める。
【0048】
このようにトナー補給口60Hの一部がトナーTによって塞がれている状態の時に、更にトナー排出口521からトナーが排出されると、この排出されたトナーがトナー補給口60Hを塞いでいるトナーTを押し固めてしまう。この押し固められた部分において、第1搬送スクリュー332の周囲に(現像ハウジング60の内壁に沿って)、トナーTが凝集したトナー壁が形成されてしまう。このようにトナーが押し固められて出来たトナー壁は、トナー補給口60Hへのトナー補給の妨げとなる。従って、次第に現像ハウジング60内のトナー量が減少し、トナーが不足する状態となる。これにより、画像かすれが発生し、印字品質の低下の原因となっていた。
【0049】
そこで本実施形態では、トナーコンテナ50から排出されるトナーが、トナー補給口60Hにおける第1通路602のトナー搬送方向上流側の位置(
図8の矢印dの位置)から補給されるようにする。そのために、
図8に示すように、第1通路602のトナー搬送方向が矢印aで示す通り回転軸332aの延伸方向に沿って左から右の方向である場合に、第3搬送スクリュー54の回転軸54aと直交する断面視において、回転軸54aは反時計回り(矢印Pの向き)に回転させるようにする。回転軸54aが矢印P方向に回転することによって、回転軸54aに付設された羽根部材54bも矢印P方向に回転し、トナーはトナー補給口60Hにおける第1通路602のトナー搬送方向上流側である矢印dの位置から落下することになる。こうすることで、搬送能力抑制部400によってトナーTが滞留して第1通路602のトナー搬送方向下流側からトナー補給口60Hを塞いでも、トナー補給口60Hにおけるトナー搬送方向上流側からトナーを補給することができ、現像ハウジング60内のトナー量を安定させることができる。
【0050】
また、本実施形態の現像装置33では、トナー補給口60Hの位置についても改良されている。
図9は、第1搬送スクリュー332の回転軸332aと直交する方向の、現像ハウジング60の断面図である。ここで、回転軸332aと直交する断面視において、羽根部材332bによる攪拌領域を、回転軸332aを通る垂線Vを境界として、羽根部材332bが下から上へ回動する第1領域R1と、羽根部材332bが上から下へ回動する第2領域R2とに区分するものとする。
【0051】
第1搬送スクリュー332の回転軸332aが矢印Q方向に回転すると、付設された羽根部材332bによって第1通路602の後ろ寄りの領域(第1領域R1)のトナーは下から上に向かって攪拌される。一方、第1通路602の前寄りの領域(第2領域R2)にあるトナーは上から下に向かって攪拌され、第1通路602の第1領域R1へ寄せられる。つまり、
図9に示すように、第1通路602のトナーは、第1通路602の第1領域R1が高く、第1通路602の第2領域R2が低くなる傾斜をもって堆積する。
【0052】
このように、第1領域R1が高く、第2領域R2が低くなってトナーが第1通路602に堆積するため、トナー補給口60Hから第1通路602の第1領域R1側からトナーが補給されると、トナーが高く堆積している位置へ更にトナーが加わることになる。このような補給態様では、トナー補給口60H付近でトナーを押し固めてしまうこととなり、トナー壁の形成の原因となる。そこで本実施形態では、トナー補給口60Hを第1通路602の前寄りの位置、即ち、第1搬送スクリュー332の回転軸332aを直交する断面視において、羽根部材332bが上から下へ回転する第2領域R2の上の天板60Tに設けている。こうすることによって、第1通路602においてトナーが低く堆積している位置へトナー補給口60Hからトナーが補給され、トナー壁の形成を防ぎ、安定してトナーを補給することができる。
【0053】
図10は、第3搬送スクリュー54の回転方向及びトナー補給口60Hの開口幅を変化させたときの、現像装置33内のトナーの重量とトナー補給口60Hに形成されたトナー壁の有無との関係を示した表形式の図である。第3搬送スクリュー54の回転方向において、正回転(実施例1、2)とは、トナー補給口60Hにおける第1通路602のトナー搬送方向上流側(
図8の矢印dの位置)にトナーが落下する時の回転方向であり、逆回転(比較例1、2)とはトナー補給口60Hにおける第1通路602のトナー搬送方向下流側にトナーが落下する時の回転方向である。
【0054】
実施例及び比較例では、トナーコンテナ50の筒状部52の外径が14mmであって、トナー補給口60Hの開口幅がこの外径より小さい10mm(実施例1及び比較例1)と、外径より大きい16mm(実施例2及び比較例2)の場合についてそれぞれ確認を行った。なお、この開口幅は、トナー補給口60Hの左右方向(現像ハウジング60の長手方向)に沿った長さを示している。筒状部52の外径よりトナー補給口60Hの開口幅の方が小さい場合は、第1搬送スクリュー332による搬送圧と、トナー排出口521からトナーが落下する時に発生する圧力によってトナー壁が発生しやすい。
【0055】
現像装置33内のトナー量は、通常の印字状態では40g〜60gである。トナー補給口60Hがトナーによって塞がれてトナー壁が形成されると、現像装置33へのトナー供給の妨げとなり、現像装置33内のトナー量が減少する。画像かすれは、現像装置33内のトナー量が20g以下になると発生する。
【0056】
実施例1に示すように、第3搬送スクリュー54の回転方向が正回転、トナー補給口60Hの開口幅10mmの場合、現像装置33内のトナー量は40gであり、トナー補給口60Hにトナー壁は形成されなかった。また画像かすれも発生しなかった。
【0057】
実施例2に示すように、第3搬送スクリュー54の回転方向が正回転、トナー補給口60Hの開口幅16mmの場合、現像装置33内のトナー量は67gであり、トナー補給口60Hにトナー壁は形成されなかった。また画像かすれも発生しなかった。しかし、現像装置33内のトナー量は、通常の印字状態時のトナー量40g〜60gを超えているため、若干過剰にトナーが供給されていることが分かる。
【0058】
比較例1に示すように、第3搬送スクリュー54の回転方向が逆回転、トナー補給口60Hの開口幅10mmの場合、現像装置33内のトナー量は10gであり、トナー補給口60Hにトナー壁が形成されていた。また、画像かすれも発生した。そして、比較例2に示すように、第3搬送スクリュー54の回転方向が逆回転、トナー補給口60Hの開口幅16mmの場合、現像装置33内のトナー量は15gであり、トナー補給口60Hにトナー壁が形成されていた。また、画像かすれも発生した。
【0059】
比較例1及び2に示すように、第3搬送スクリュー54の回転方向が逆回転ということは、トナー補給口60Hにおける第1通路602のトナー搬送方向下流側からトナーを補給するということである。この場合、搬送能力抑制部400によってトナーが滞留し、この滞留したトナーがトナー補給口60Hをトナー搬送方向下流側から塞いでしまうと、トナーの補給が行えないため、現像装置33内のトナー量が減少してしまう。この点が、比較例1及び2によって確認されたことが分かる。以上より、実施例1の条件が最も安定したトナー補給を行えることが分かる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態では、第1通路602におけるトナー搬送方向は、回転軸332aの延伸方向に沿った一の方向(
図8の矢印a)である。回転軸54aは、第3搬送スクリュー54の回転軸54aと直交する断面視において、回転軸54a周面の下半分の領域の移動方向が前記トナー搬送方向に沿い、上半分の領域の移動方向が前記トナー搬送方向と逆方向となる方向(反時計回りの方向)に回転される。これによって、トナー補給口60Hにおける第1通路602のトナー搬送方向上流側からトナーを落下させることができる。従って、搬送能力抑制部400によって滞留したトナーが第1通路602のトナー搬送方向下流側からトナー補給口60Hを塞いでも、トナー補給口60Hにおけるトナー搬送方向上流側からトナーを補給することができる。つまり、現像装置33へのトナー補給経路を確保でき、現像装置33へのトナー補給を安定して行うことができる。
【0061】
また、トナー補給口60Hは、第2通路603から離れた側の天板60Tの位置、即ち、第1搬送スクリュー332の回転軸332aを直交する断面視において、羽根部材332bが上から下へ回転する第2領域R2側の上方の天板60Tに設けられている。これによって、第1通路602においてトナーが低く堆積している位置へトナーを補給することができ、トナーを押し固めてトナー壁が形成されることを防いでトナー補給を安定して行うことができる。
【0062】
以上、本発明によれば、特別な装置を用いることなく、トナー補給口60H付近のトナー壁の形成を防ぐことができ、トナーコンテナから現像装置内へトナーを安定的に補給することができる。従って、現像装置33内のトナーの減少等による画像かすれの発生を防ぐことができ、高品質な画像形成を行うことが可能な画像形成装置1を提供できる。