(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動制御部は、前記シートの先端部が、前記ニップ部よりも前記シート搬送方向下流側に配置され前記シートを挟持しながら前記シートを前記シート搬送方向に搬送するシート搬送部に至った後に、前記支持ユニットを前記第3回転軸回りに回転させることを特徴とする請求項1に記載のカール矯正装置。
前記駆動制御部は、前記検出部によって検出された前記特性値に応じて、前記支持ユニットの前記第3回転軸回りの回転角度を決定することを特徴とする請求項3に記載のカール矯正装置。
前記支持ユニットの前記第3回転軸回りの回転位置に応じて、前記第1ローラーの前記第2ローラーに対する押圧量を変化させる押圧量変更手段を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のカール矯正装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シートのカール量は、シートの材料組成や環境変動によって変動されやすい。特許文献1に記載されたカール矯正装置では、硬質ローラーと弾性ローラーとの間のニップ圧によって、カールの矯正量が決定される。この場合、上記のように、シートのカール量が変動されると、シートのカールが充分に矯正できないという課題があった。また、特許文献2に記載された技術では、ニップ量が変更されるために、大きなトルクを備えた専用の駆動モーターが必要とされるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、シートのカール量が変動する場合であっても、カールを安定して矯正することが可能なカール矯正装置、およびこれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係るカール矯正装置は、第1回転軸を備え、前記第1回転軸回りに回転され、弾性変形可能な第1ローラーと、前記第1回転軸と平行な第2回転軸を備え、前記第2回転軸回りに回転され、前記第1ローラーに押圧されることで前記第1ローラーを弾性変形させ、前記第1ローラーとの間で湾曲したニップ部を形成する第2ローラーと、シートが前記ニップ部を通過しながら所定のシート搬送方向に搬送されるシート搬送路と、前記第1および前記第2回転軸を軸支することで前記第1および前記第2ローラーを回転可能に支持し、かつ、前記第1回転軸と平行に配置された第3回転軸を備え、前記第3回転軸回りに回転可能とされる支持ユニットと、前記支持ユニットを前記第3回転軸回りに回転駆動させるユニット駆動部と、前記第2ローラーを前記第2回転軸回りに回転駆動させるローラー駆動部と、前記ユニット駆動部および前記ローラー駆動部を制御する駆動制御部と、を有し、
前記ニップ部よりも前記シート搬送方向上流側の前記シート搬送路を搬送される前記シートが、第1の面が内周側、前記第1の面とは反対側の第2の面が外周側となるようにカールしている場合に、前記駆動制御部は、
前記第1の面を前記第1ローラーに接触させ、前記第2の面を前記第2ローラーに接触させるとともに、前記シートが前記ニップ部に挟持されながら前記シート搬送路を搬送される状態で、前記第1ローラーが前記シート搬送方向の上流側に移動され、前記第2ローラーが前記シート搬送方向の下流側に移動されるように前記支持ユニットを前記第3回転軸回りに回転させることを特徴とする。
【0008】
本構成によれば、シートは、第1ローラーと第2ローラーとの間に形成されるニップ部を通過しながら、シート搬送路を所定の搬送方向に搬送される。第1ローラーおよび第2ローラーは支持ユニットに回転可能に支持される。第1ローラーは、第2ローラーに押圧されることによって、弾性変形される。このため、ニップ部は第2ローラーに沿った湾曲した形状を備える。この結果、ニップ部に進入されるシートがカールしている場合であっても、シートのカールが好適に矯正される。更に、駆動制御部は、シートがニップ部に挟持されながらシート搬送路を搬送される状態で、支持ユニットを第3回転軸回りに回転させる。このため、ニップ部に進入されるシートのカール量が変動する場合であっても、シートのカールが安定して矯正される。
特に、本構成によれば、シートが、第1の面が内周側、第2の面が外周側となるようにカールした場合に、シートの第1の面が第1ローラーに当接するように、支持ユニットが回転される。この結果、ニップ部の湾曲形状によって、シートのカールが好適に矯正される。また、本構成によれば、支持ユニットの回転に伴い、ニップ部を通過されるシートに回転力が付与される。該回転力によって、ニップ部の湾曲形状に沿って第1の面が外周側、第2の面が内周側となるように、シートに部分的な矯正力が付与される。この結果、シートのカールが一層矯正される。
【0009】
上記の構成において、前記駆動制御部は、前記シートの先端部が、前記ニップ部よりも前記シート搬送方向下流側に配置され前記シートを挟持しながら前記シートを前記シート搬送方向に搬送するシート搬送部に至った後に、前記支持ユニットを前記第3回転軸回りに回転させることが望ましい。
【0010】
本構成によれば、シートの先端部がシート搬送部に至った後に、支持ユニットが第3回転軸回りに回転される。したがって、ニップ部とシート搬送部との間にシートが跨った状態で支持ユニットが回転されるため、支持ユニットの回転に伴いシートの搬送が妨げられることが抑止される。
【0011】
上記の構成において、前記ニップ部よりも前記シート搬送方向の上流側に配置され、前記シートのカール量に応じた特性値を検出する検出部を有し、前記駆動制御部は、前記検出部によって検出された前記特性値に応じて、前記支持ユニットの前記第3回転軸回りの回転の実行を決定することが望ましい。
【0012】
本構成によれば、ニップ部に進入されるシートのカール量に応じて、支持ユニットの回転が好適に実行される。
【0013】
上記の構成において、前記駆動制御部は、前記検出部によって検出された前記特性値に応じて、前記支持ユニットの前記第3回転軸回りの回転角度を決定することが望ましい。
【0014】
本構成によれば、ニップ部に進入されるシートのカール量に応じて、支持ユニットの回転角度が調整される。このため、シートのカールが一層安定して矯正される。
【0015】
上記の構成において、前記支持ユニットの前記第3回転軸回りの回転位置に応じて、前記第1ローラーの前記第2ローラーに対する押圧量を変化させる押圧量変更手段を有することが望ましい。
【0016】
本構成によれば、支持ユニットの回転位置に応じて、ニップ部の押圧量が変化される。このため、支持ユニットの回転に応じて、カールの矯正力を変更することが可能となる。
【0017】
上記の構成において、前記支持ユニットは、前記第3回転軸の端部側において、前記第3回転軸と交差して配置される側壁部を備え、前記押圧力変更手段は、前記支持ユニットを回転可能に支持するフレームと、前記側壁部に形成され、前記第1回転軸と前記第2回転軸とを結ぶ方向に、前記第1回転軸を移動可能に支持する長穴と、前記側壁部に対向して前記フレームに配置され、前記支持ユニットの前記第3回転軸回りの回転に伴って前記第1回転軸に当接し、前記第1回転軸を前記長穴に沿って移動させるガイド部と、を有することが望ましい。
【0018】
本構成によれば、支持ユニットの回転に伴って、ガイド部が第1回転軸に当接する。そして、ガイド部は、第1回転軸を長穴に沿って移動させる。長穴は、第1回転軸と第2回転軸とを結ぶ方向に延設される。したがって、第1回転軸の長穴に沿った移動によって、第1ローラーの第2ローラーに対する押圧力が変化される。
【0019】
上記の構成において、前記ガイド部は、前記第1回転軸と交差する断面視において、前記第1回転軸と前記第2回転軸とを結ぶ直線が前記シート搬送方向と略直交するように前記支持ユニットの回転位置が配置され、かつ、前記シートが前記ニップ部に進入される第1の状態において、前記第1回転軸を前記第2ローラーに向かって付勢する第1ガイド部と、前記第1ガイド部に連設され、前記第1の状態から前記支持ユニットが前記第3回転軸回りに回転された第2の状態において、前記第1ガイド部よりも前記第2ローラーに近い位置で、前記第1回転軸を前記第2ローラーに向かって付勢する第2ガイド部と、を備えることが望ましい。
【0020】
本構成によれば、第1回転軸と第2回転軸とを結ぶ直線がシート搬送方向と略直交するように支持ユニットの回転位置が配置され、かつ、シートがニップ部に進入される第1の状態において、ガイド部の第1ガイド部が第1回転軸を第2ローラーに向かって付勢する。また、第1の状態から支持ユニットが第3回転軸回りに回転された第2の状態において、ガイド部の第2ガイド部が、第1ガイド部よりも第2ローラーに近い位置で、第1回転軸を第2ローラーに向かって付勢する。したがって、ガイド部の第1ガイド部および第2ガイド部によって、支持ユニットの回転に応じて、第1ローラーの第2ローラーに対する押圧力が好適に変化される。
【0021】
上記の構成において、前記駆動制御部は、前記シートの
一の面が前記第1ローラーに接触し、前記
一の面とは反対側の
他の面が前記第2ローラーに接触するように、前記シート搬送路に対して配置される前記支持ユニットの第1の姿勢と、前記シートの前記
他の面が前記第1ローラーに接触し、前記
一の面が前記第2ローラーに接触するように、前記シート搬送路に対して配置される前記支持ユニットの第2の姿勢と、の間で姿勢変更が可能となるように、前記支持ユニットを前記第3回転軸回りに回転させることが望ましい。
【0022】
本構成によれば、駆動制御部は、第1の姿勢と第2の姿勢との間で姿勢変更が可能となるように、支持ユニットを回転させる。このため、シートが上カールまたは下カールしている場合であっても、該カールを安定して矯正することができる。
【0027】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上記の何れかに記載のカール矯正装置と、前記シート搬送路に配置され、前記シートに画像を形成する画像形成部と、を有することを特徴とする。
【0028】
本構成によれば、画像形成装置内のシート搬送路を搬送されるシートのカールが好適に矯正される。
【0029】
上記の構成において、前記画像形成部は、シートにトナー像を転写する転写手段と、前記トナー像の前記シートに対する定着処理を施す定着手段と、を備え、前記カール矯正装置は、前記定着手段よりも前記シート搬送方向下流側に配置されることが望ましい。
【0030】
本構成によれば、定着手段における定着処理によって、シートがカールした場合であっても、定着手段よりも下流側に配置されるカール矯正装置によって、シートのカールが好適に矯正される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、シートのカール量が変動する場合であっても、カールを安定して矯正することが可能なカール矯正装置、およびこれを備える画像形成装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1として、プリンター機能と複写機能とを備えた複合機を例示するが、画像形成装置は、プリンター、複写機、ファクシミリ装置であってもよい。
【0034】
<画像形成装置の説明>
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体10と、装置本体10上に配置される自動原稿給送装置20と、を備える。装置本体10の内部には、複写する原稿画像を光学的に読み取る読取ユニット25と、シートにトナー像を形成する画像形成部30と、前記トナー像をシートに定着させる定着部60と、画像形成部30へ搬送される定型シートを貯留する給紙部40と、定型シートを給紙部40又は手差し給紙部46から画像形成部30及び定着部60を経由してシート排出口10Eまで搬送する搬送経路50と、この搬送経路50の一部を構成するシート搬送路を内部に有する搬送ユニット55とが収容されている。
【0035】
自動原稿給送装置(ADF)20は、装置本体10の上面に回動自在に取り付けられている。ADF20は、装置本体10における所定の原稿読取位置に向けて、複写される原稿シートを自動給送する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置に載置する場合は、ADF20は上方に開かれる。ADF20は、原稿シートが載置される原稿トレイ21と、自動原稿読取位置を経由して原稿シートを搬送する原稿搬送部22と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ23とを含む。
【0036】
読取ユニット25は、装置本体10の上面のADF20から自動給送される原稿シートの読取用のコンタクトガラス、又は手置きされる原稿シートの読取用のコンタクトガラス(不図示)を通して、原稿シートの画像を光学的に読み取る。読取ユニット25内には、光源、移動キャリッジ、反射ミラー等を含む走査機構と、撮像素子とが収容されている(図略)。走査機構は、原稿シートに光を照射し、その反射光を撮像素子に導く。撮像素子は、前記反射光をアナログ電気信号に光電変換する。前記アナログ電気信号は、A/D変換回路でデジタル電気信号に変換された後、画像形成部30に入力される。
【0037】
画像形成部30は、フルカラーのトナー画像を生成しこれをシート上に転写する処理を行うもので、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つのユニット32Y、32M、32C、32Bkを含む画像形成ユニット32と、該画像形成ユニット32の上に隣接して配置された中間転写ユニット33と、中間転写ユニット33上に配置されたトナー補給部34とを含む。
【0038】
各画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkは、感光体ドラム321と、この感光体ドラム321の周囲に配置された、帯電器322、露光器323、現像装置324、一次転写ローラー325及びクリーニング装置326とを含む。
【0039】
感光体ドラム321は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム321としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器322は、感光体ドラム321の表面を均一に帯電する。露光器323は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム321の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
【0040】
現像装置324は、感光体ドラム321上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム321の周面にトナーを供給する。現像装置324は、2成分現像剤用のものであり、スクリューフィーダー、磁気ローラー、及び現像ローラーを含む。
【0041】
一次転写ローラー325は、中間転写ユニット33に備えられている中間転写ベルト331を挟んで感光体ドラム321と一次転写ニップ部を形成し、感光体ドラム321上のトナー像を中間転写ベルト331上に一次転写する。クリーニング装置326は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム321の周面を清掃する。
【0042】
中間転写ユニット33は、中間転写ベルト331、駆動ローラー332及び従動ローラー333を備える。中間転写ベルト331は、駆動ローラー332及び従動ローラー333に架け渡された無端ベルトであって、該中間転写ベルト331の外周面には、複数の感光体ドラム321からトナー像が、同一箇所に重ねて転写される(一次転写)。
【0043】
駆動ローラー332の周面に対向して、二次転写ローラー35(転写手段)が配置されている。駆動ローラー332と二次転写ローラー35との二次転写ニップ部において、中間転写ベルト331に重ね塗りされたフルカラーのトナー像がシートに転写される。駆動ローラー332又は二次転写ローラー35のいずれか一方のローラーに、トナー像と逆極性の二次転写バイアス電位が印加され、他方のローラーは接地される。
【0044】
トナー補給部34は、イエロー用トナーコンテナ34Y、マゼンタ用トナーコンテナ34M、シアン用トナーコンテナ34C、及びブラック用トナーコンテナ34Bkを含む。これらトナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応する画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkの現像装置324に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。各トナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkには、当該コンテナ内のトナーを図略のトナー排出口へ搬送する搬送スクリュー341が備えられている。この搬送スクリュー341が不図示の駆動部によって回転駆動されることで、現像装置324内へトナーが補給される。
【0045】
給紙部40は、画像形成処理が施されるシートのうち、定型シートPを収容する2段の第1給紙カセット40A、第2給紙カセット40Bを備える。これらの給紙カセットは、装置本体10の前方から手前方向に引出可能である。
【0046】
第1給紙カセット40Aは、定型シートPが積層されてなるシート束を収納するシート収容部41と、給紙のために前記シート束をリフトアップするリフト板42とを備える。給紙カセット40Aの右端側の上部には、ピックアップローラー43と、給紙コロ44とリタードローラー45とのローラー対とが配置されている。ピックアップローラー43及び給紙コロ44の駆動により、給紙カセット40A内のシート束の最上層のシートPが1枚ずつ繰り出され、搬送経路50の上流端へ搬入される。なお、第2給紙カセット40Bも、第1給紙カセット40Aと同様の構成を備える。
【0047】
装置本体10の右側面10Rには、手差し給紙部46が配置される。手差し給紙部46は、手差し給紙用の手差しトレイ46Aと、給紙ローラー461とを備える。給紙トレイ46は、その下端部において装置本体10に対して開閉自在に取り付けられている。ユーザーは、手差し給紙を行う場合、図示の通り給紙トレイ46を開き、その上にシートを載置する。給紙トレイ46に載置されたシートは、給紙ローラー461及び搬送ローラー対462の駆動によって、手差しトレイ46Aから延設される手差しシート搬送路460へ搬入される。更に、シートは手差しシート搬送路460から搬送経路50に搬入される。
【0048】
搬送経路50は、給紙部40から画像形成部30を経由して定着部60の出口までシートPを搬送する主搬送路50Aと、シートに対して両面印刷を行う場合に片面印刷されたシートを画像形成部30に戻すための反転搬送路50Bと、主搬送路50Aの下流端から反転搬送路50Bの上流端へシートを向かわせるためのスイッチバック搬送路50Cと、主搬送路50Aの下流端から装置本体10の左側面10Lに設けられたシート排出口10Eまでシートを水平方向に搬送する水平搬送路50D(シート搬送路)とを含む。この水平搬送路50Dの大半は、搬送ユニット55の内部に備えられているシート搬送路で構成されている。
【0049】
主搬送路50Aの、二次転写ニップ部よりも上流側には、レジストローラー対51が配置されている。シートは、停止状態のレジストローラー対51にて一旦停止され、スキュー矯正が行われる。その後、画像転写のための所定のタイミングで、レジストローラー対51が駆動部(図略)で回転駆動されることで、シートは二次転写ニップ部に送り出される。この他、主搬送路50Aには、シートを搬送するためのシート搬送ローラー52が複数配置されている。
【0050】
搬送経路50の最下流端には、排紙ローラー53が配置されている。排紙ローラー53は、装置本体10の左側面10Lに配置される後記の後処理装置に、シート排出口10Eを通してシートを送り込む。なお、後処理装置が取り付けられない画像形成装置では、シート排出口10Eの下方に後記のシート排出トレイ10TR(
図2)が設けられる。
【0051】
搬送ユニット55は、定着部60から搬出されるシートを、シート排出口10Eまで搬送するユニットである。本実施形態の画像形成装置1は、定着部60が装置本体10の右側面10R側に配置され、シート排出口10Eは、右側面10Rと対向する装置本体10の左側面10L側に配置されている。従って、搬送ユニット55は、装置本体10の右側面10Rから左側面10Lに向けて、シートを水平方向に搬送する。
【0052】
画像形成装置1は、更に不図示の後処理装置を備える。前述のように後処理装置は、装置本体10の左側面10Lに配置される。後処理装置は、シート排出口10Eからシートを受け取り、該シートに所定の後処理を施したのち、該シートを積載する。前記シートへの後処理には、ステープル処理や、小冊子製本処理などが含まれる。換言すれば、前述の搬送ユニット55は、装置本体10と前記後処理装置とを繋ぐ搬送路に相当する。
【0053】
定着部60は、シートにトナー像を定着させる定着処理を施す誘導加熱方式の定着装置であって、加熱ローラー61、定着ローラー62、加圧ローラー63、定着ベルト64及び誘導加熱ユニット65を含む。定着ローラー62に対して加圧ローラー63が圧接され、定着ニップ部が形成されている。加熱ローラー61及び定着ベルト64は誘導加熱ユニット65によって誘導加熱され、その熱を前記定着ニップ部に与える。シートが定着ニップ部を通過することで、シートに転写されたトナー像が当該シートに定着される。
【0054】
更に、画像形成装置1は、カール矯正装置7を備える。
図2は、画像形成装置1内のカール矯正装置7の配置を示した模式的な断面図である。カール矯正装置7は、シートのカールを矯正する(デカーラ)機能を備える。カール矯正装置7は、搬送ユニット55の内部において、シート搬送方向の上流側に配置される。定着部60において定着処理が施されたシートは、定着部60の下流側に配置された搬送ローラー対50Rによって、搬送ユニット55に搬送される。カール矯正装置7は、搬送ローラー対50Rから受け渡されたシートのカールを矯正した後、搬送ユニット55内に配置された下流ローラー対55R(シート搬送部)に前記シートを搬送する。下流ローラー対55Rは、カール矯正装置7よりもシート搬送方向下流側の水平搬送路50Dに配置される。下流ローラー対55Rは、第1下流ローラー55R1、第2下流ローラー55R2から構成される。カール矯正装置7から搬送されたシートは、第1下流ローラー55R1と第2下流ローラー55R2との間に挟持されながら、シート排出口10Eに向かって搬送される。この後、シートPは、シート排出トレイ10TRに排紙される。
【0055】
定着部60において、シートに定着処理が施されるにあたり、定着ローラー62によってシートが加熱される。また、加圧ローラー63によって、シートが定着ローラー62に向かって押圧される。この際、シートのうち、定着ローラー62側の面にトナー像が定着される。トナー像が熱によって収縮されることによって、前記シートは、定着ローラー62に面する側(第1の面)が内周側、加圧ローラー63に面する側(第2の面)が外周側となるようにカール(湾曲)しやすい。シートがカールしている場合、シート排出トレイ10TR上に排出されたシートの収容性が悪化する。カール矯正装置7によって、該カールが矯正されることで、前記シートの収容性が安定して維持される。
【0056】
次に、
図3乃至
図9を参照して、本発明の第1の実施形態に係るカール矯正装置7について詳述する。カール矯正装置7は、矯正ユニット70(支持ユニット)、第1フレーム71(フレーム)、第2フレーム72を備える。
図3および
図4は、本実施形態に係る矯正ユニット70の斜視図である。
図5は、本発実施形態に係るカール矯正装置7の斜視図である。また、
図6は、矯正ユニット70が第1フレーム71に装着された状態の斜視図である。
図7は、第2フレーム72の斜視図である。また、
図8および
図9は、カール矯正装置7の拡大斜視図である。
【0057】
矯正ユニット70は、カール矯正装置7の本体部分である。矯正ユニット70は、搬送ユニット55の後側において、後記の第1フレーム71および第2フレーム72に装着される。また、矯正ユニット70は、搬送ユニット55の前側においても、不図示のフレームに装着される。矯正ユニット70は、前後方向に延伸される略円筒体形状からなる。矯正ユニット70は、ユニット軸700(第3回転軸)を備える。ユニット軸700は、矯正ユニット70の回転における回転軸となる。ユニット軸700は、矯正ユニット70の中心において前後方向に延伸される軸部である。なお、ユニット軸700は、後記の弾性ローラー軸701Aと硬質ローラー軸702Aとの間に弾性ローラー軸701Aと平行に配置される。更に、矯正ユニット70は、弾性ローラー701(第1ローラー)と、硬質ローラー702(第2ローラー)と、リアフランジ部703と、フロントフランジ部704と、第1ガイド部705と、第2ガイド部706と、を備える。
【0058】
弾性ローラー701は、弾性ローラー軸701A(第1回転軸)回りに回転され、弾性変形可能とされる。弾性ローラー軸701Aは、弾性ローラー701の回転における回転軸となる。弾性ローラー701は、後記のリアフランジ部703およびフロントフランジ部704に回転可能に支持される。弾性ローラー701は、弾性ローラー軸701Aの回りに配置されるローラー部材である。弾性ローラー701は、弾性ローラー軸701Aの軸方向(前後方向)において、間隔をおいて複数配置される。本実施形態では、弾性ローラー701は、ゴム部材からなる。
【0059】
硬質ローラー702は、弾性ローラー軸701Aと平行な硬質ローラー軸702A(第2回転軸)回りに回転される。硬質ローラー軸702Aは、硬質ローラー702の回転における回転軸となる。硬質ローラー702は、後記のリアフランジ部703およびフロントフランジ部704に回転可能に支持される。硬質ローラー702は、金属ローラーからなる。本実施形態では、硬質ローラー702はステンレス材から構成される。硬質ローラー702は、弾性ローラー701に押圧されることで、弾性ローラー701を弾性変形させる。この結果、弾性ローラー701と硬質ローラー702との間に、シートが通過されるニップ部Nが形成される(
図11参照)。弾性ローラー701が弾性変形されることで、ニップ部Nは硬質ローラー702の周面に沿って湾曲した形状となる。前述の水平搬送路50Dは、ニップ部Nを含む。シートは、ニップ部Nを通過しながら、水平搬送路50D内を所定のシート搬送方向(右方から左方)に搬送される。
【0060】
リアフランジ部703は、矯正ユニット70の後側端部において、ユニット軸700に直交して配置される側壁部である。リアフランジ部703は、前後方向に間隔をおいて配置される2枚の壁部からなる。詳しくは、リアフランジ部703は、第1リアフランジ703Aおよび第2リアフランジ703Bを備える。第1リアフランジ703Aは、リアフランジ部703のうち軸方向の外側に配置される壁部である。第2リアフランジ703Bは、リアフランジ部703のうち軸方向の内側に配置される壁部である。なお、
図3に示されるように、第1リアフランジ703Aは、周方向の一部が部分的に扇形に切りかかれた形状を備える。第1リアフランジ703Aと第2リアフランジ703Bとは、周方向に間隔をおいて配置された複数の連結棒(不図示)によって連設される。また、第1リアフランジ703Aの外周部には、複数のギア歯から構成される外周ギア部703G(
図4)が配置される。外周ギア部703Gが、後記の第1駆動シャフト721Aに係合されることで、矯正ユニット70が回転するための回転駆動力が外周ギア部703Gに伝達される。
【0061】
フロントフランジ部704は、矯正ユニット70の前側端部において、ユニット軸700に直交して配置される側壁部である。フロントフランジ部704は、前後方向に間隔をおいて配置される2枚の壁部からなる。詳しくは、フロントフランジ部704は、第1フロントフランジ704Aおよび第2フロントフランジ704Bを備える。第1フロントフランジ704Aは、フロントフランジ部704のうち軸方向の外側に配置される壁部である。第2フロントフランジ704Bは、フロントフランジ部704のうち軸方向の内側に配置される壁部である。第1フロントフランジ704Aと第2フロントフランジ704Bとは、周方向に間隔をおいて配置された複数の連結棒(不図示)によって連設される。
【0062】
第1ガイド部705は、第2リアフランジ703Bと第2フロントフランジ704Bとの間に延設される一対の板状部材である。詳しくは、第1ガイド部705は、第11ガイド705Aと第12ガイド705Bとを備える。第1ガイド部705は、水平搬送路50Dを搬送されるシートをニップ部Nに案内する機能を備える。また、第1ガイド部705は、ニップ部Nから搬出されたシートを再び水平搬送路50Dに案内する機能を備える。この際、シートは、第11ガイド705Aと第12ガイド705Bとの間を搬送される。
【0063】
第2ガイド部706は、第2リアフランジ703Bと第2フロントフランジ704Bとの間に延設される一対の板状部材である。詳しくは、第2ガイド部706は、第21ガイド706Aと第22ガイド706Bとを備える。第2ガイド部706は、水平搬送路50Dを搬送されるシートをニップ部Nに案内する機能を備える。また、第2ガイド部706は、ニップ部Nから搬出されたシートを再び水平搬送路50Dに案内する機能を備える。この際、シートは、第21ガイド706Aと第22ガイド706Bとの間を搬送される。
【0064】
矯正ユニット70について換言すれば、矯正ユニット70は、弾性ローラー軸701Aおよび硬質ローラー軸702Aを軸支することで、弾性ローラー701および硬質ローラー702を回転可能に支持する。また、矯正ユニット70は、弾性ローラー軸701Aと硬質ローラー軸702Aとの間に、弾性ローラー軸701Aと平行に配置されたユニット軸700を備える。矯正ユニット70は、ユニット軸700回りに回転可能とされる。
【0065】
更に、矯正ユニット70は、入力ギア707、中継ギア708、伝達ギア709(
図4)を備える。
【0066】
入力ギア707は、第1リアフランジ703Aの軸方向外側のユニット軸700に配置されるギアである。入力ギア707は、ユニット軸700に対して回転可能とされる。ユニット軸700は、後記の第2駆動シャフト722Aに連結される。
【0067】
中継ギア708は、第1リアフランジ703Aの前述の切り欠き部に配置されるギア部である。中継ギア708は、第2リアフランジ703Bに回転可能に支持される。中継ギア708は、第1中継ギア部708Aと、第2中継ギア部708Bとを備える。第1中継ギア部708Aと第2中継ギア部708Bとは、軸方向において隣接して配置されるギア部分である。第1中継ギア部708Aは、入力ギア707と係合される。第2中継ギア部708Bは、後記の伝達ギア709に係合される。中継ギア708は、入力ギア707から回転駆動力を受け、伝達ギア709に該回転駆動力を伝達する。
【0068】
伝達ギア709は、第1リアフランジ703Aと第2リアフランジ703Bとの間において、硬質ローラー軸702Aに固定されるギアである。伝達ギア709は、硬質ローラー軸702Aと一体的に回転される。中継ギア708から伝達ギア709に回転駆動力が伝達されると、該回転駆動力によって硬質ローラー702が回転される。硬質ローラー702の回転に伴って、弾性ローラー701は硬質ローラー702に従動して回転される。
【0069】
図8および
図9を参照して、第1フレーム71は、矯正ユニット70の後側で、矯正ユニット70を回転可能に支持する。
図5の矢印D51の方向に、矯正ユニット70が第1フレーム71に装着される。第1フレーム71は、前後方向に面する板状部材であり、第1フレーム71の上方部分は前方に屈曲されている。第1フレーム71は、ロータリーシャフト711と、ロータリーギア712と、ユニット軸受け部71Rと、開口部71Gとを備える。ロータリーシャフト711は、第1フレーム71の上下方向の中央部であって、第1フレーム71の左端部において、前方向に突設されるシャフト部である。ロータリーシャフト711には、ロータリーギア712が装着される。
【0070】
ロータリーギア712は、ロータリーシャフト711に回転可能に支持されるギアである。ロータリーギア712は、第1ギア部712Aと、第2ギア部712Bとを備える。第1ギア部712Aと第2ギア部712Bとは前後方向において隣接されるギア部である。第1ギア部712Aは、後記の第1駆動シャフト721Aに係合される。また、第2ギア部712Bは、矯正ユニット70の外周ギア部703Gに係合される。ロータリーギア712は、後記のロータリーモーター721によって発生された回転駆動力を矯正ユニット70に伝達する機能を備える。
【0071】
ユニット軸受け部71Rは、第1フレーム71の下端部かつ右端部に配置される軸受け部である。ユニット軸受け部71Rには、矯正ユニット70のユニット軸700が挿入される。この結果、矯正ユニット70が第1フレーム71に回転可能に支持される。
【0072】
開口部71Gは、ユニット軸受け部71Rの上方において、上下方向に開口される長穴である。開口部71Gには、後記の第2駆動シャフト722Aが挿通される。
【0073】
第2フレーム72は、第1フレーム71を支持する。第1フレーム71は不図示のスクリューによって第2フレーム72に固定される。第2フレーム72は、第1フレーム71よりも大きな面積をもって、前後方向に面される板状部材である。第2フレーム72は、ロータリーモーター721と、駆動モーター722と、揺動片75と、検知センサー76とを備える。
【0074】
ロータリーモーター721(ユニット駆動部)は、第2フレーム72の左端部であって、第2フレーム72の後側の面に配置される。ロータリーモーター721は、矯正ユニット70をユニット軸700回りに回転させる回転駆動力を発生するモーターである。ロータリーモーター721は、第1駆動シャフト721Aを備える。第1駆動シャフト721Aは、第2フレーム72を貫通して、第2フレーム72の前側に突出される。前述のように、第1駆動シャフト721Aが、ロータリーギア712の第1ギア部712Aに係合されることで、ロータリーギア712にロータリーモーター721の回転駆動力が伝達される。
【0075】
駆動モーター722(ローラー駆動部)は、第2フレーム72の中央よりもやや右側において、第2フレーム72の後側の面に配置される。駆動モーター722は、矯正ユニット70内の硬質ローラー702を硬質ローラー軸702A回りに回転させる回転駆動力を発生するモーターである。駆動モーター722は、第2駆動シャフト722Aを備える。第2駆動シャフト722Aは、第2フレーム72を貫通して、第2フレーム72の前側に突出される。第2駆動シャフト722Aは、前述の第1フレーム71の開口部71Gを貫通し、第1フレーム71の前側に突出される。第2駆動シャフト722Aは、矯正ユニット70の入力ギア707に係合されることで、入力ギア707に駆動モーター722の回転駆動力を伝達する。該回転駆動力は、入力ギア707から中継ギア708を介して伝達ギア709に伝達される。この結果、駆動モーター722の回転駆動力によって、硬質ローラー702が回転される。なお、入力ギア707が矯正ユニット70のユニット軸700と同軸上に配置されるため、矯正ユニット70が回転した場合であっても、第2駆動シャフト722Aから入力ギア707に安定して回転駆動力が入力される。
【0076】
揺動片75(
図7)は、第2駆動シャフト722Aの右側において、第2フレーム72に揺動可能に配置される。揺動片75は正面視でL字型形状からなる部材である。揺動片75は、支点部751と、検出片752とを備える。支点部751は、揺動片75の上端部に配置され、第2フレーム72から突設された軸部に固定される。支点部751は、揺動片75の揺動における回転軸となる。検出片752は、揺動片75の下端部に配置され、右方に向かって延設される。検出片752は、矯正ユニット70の1回転ごとに、右方に移動され、後記の検知センサー76によって検出される。
【0077】
検知センサー76は、揺動片75の右方に配置される。検知センサー76は、検出片752を検出するためのセンサーである。検知センサー76は、発光部761と、受光部762とを備える。発光部761から受光部762に向かって、検出光が照射される。該検出光が検出片752によって遮断されることによって、検出片752が検知センサー76によって検出される。矯正ユニット70が1回転される際に、矯正ユニット70の周上の所定の位置に対応して、検出片752が検知センサー76によって検出される。該検出タイミングに基づいて、後記のカウント部820がロータリーモーター721のステップ信号をカウントする。そして、該カウントに基づいて、後記の駆動制御部810が、ロータリーモーター721の回転角度を調整する。この結果、矯正ユニット70の回転角度が制御される。
【0078】
次に、
図10乃至
図12を参照して、本実施形態に係るカール矯正装置7のカール矯正動作について説明する。
図10は、制御部800の電気的なブロック図である。制御部800はカール矯正装置7を統括的に制御するもので、制御信号の送受先として、前述の検知センサー76、ロータリーモーター721、駆動モーター722に加え、カール量検出センサー77(検出部)に電気的に接続されている。
【0079】
図2を参照して、カール量検出センサー77は、定着部60よりもシート搬送方向の下流側に配置される。カール量検出センサー77は、シートのカール量に応じた特性値を検出する。本実施形態では、カール量検出センサー77は、装置本体10に配置された測距センサーである。カール量検出センサー77は、搬送されるシートのシート面に対して直交に配置される。カール量検出センサー77は、三角測量方式に基づき、不図示の発光素子と受光素子との組み合わせで構成される。発光素子には、半導体レーザーが用いられる。半導体レーザーの光は不図示の投光レンズを通し集光され、シートPに照射される。そして、シートPから拡散反射された光線の一部は不図示の受光レンズを通して受光素子上にスポットを結ぶ。この結果、カール量検出センサー77から対象物までの距離が検出される。カール量検出センサー77は、シートの搬送方向における先端部、中央部、後端部において、シート面の距離(位置)を測定する。予め、カール量検出センサー77が装着される位置が固定されることによって、前記複数の距離からシートのカール量が検出される。
【0080】
制御部800は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成され、CPUが前記制御プログラムを実行することにより、駆動制御部810、カウント部820、記憶部830を機能的に有するよう動作する。
【0081】
駆動制御部810は、ロータリーモーター721および駆動モーター722を制御することで、矯正ユニット70の回転および硬質ローラー702の回転を制御する。
【0082】
カウント部820は、検知センサー76が検出片752を検出するタイミングを基準に、ロータリーモーター721の回転のためのパルスステップ信号をカウントする。カウント部820のカウント結果に基づき、駆動制御部810がロータリーモーター721の回転を制御する。この結果、矯正ユニット70の回転角度(回転位置)が制御される。
【0083】
記憶部830は、カール量検出センサー77が検出する特性値(距離)に応じて、シートPのカール量を算出するためのテーブルを予め格納する。カール量検出センサー77の検出結果に基づいて、駆動制御部810は記憶部830に格納された前記テーブルを参照し、シートのカール量を導出する。該カール量に基づいて、矯正ユニット70の回転および矯正ユニット70の回転角度が決定される。
【0084】
次に、
図2および
図11、
図12を参照して、シートPのカール矯正について説明する。画像形成部32においてシートPにトナー像が形成された後、定着部60において該トナー像のシートPへの定着処理が施される。この際、前述のように、シートPは、第1の面P(1)が内周側に、第2の面P(2)が外周面となるようにカールされやすい。換言すれば、
図11に示されるように、シートPの先端が下方に反るような、いわゆる下カールの状態となりやすい。定着部60から排出されたシートPが、カール量検出センサー77が対向する位置を通過する際に、カール量検出センサー77によって、シートPの搬送方向の先端部、中央部、後端部と、カール量検出センサー77との距離が測定される。そして、駆動制御部810は、カール量検出センサー77の測定結果と、予め記憶部830に格納されるテーブルに基づいて、シートPのカール量を検出する。なお、カール量検出センサー77の検出する複数の距離の大小関係から、シートPの下カールまたは上カールが駆動制御部810によって判断される。駆動制御部810は、シートPのカール量が所定の値を超えている場合、矯正ユニット70の回転が必要であると判断する。また、駆動制御部810は、前記シートPのカール量に応じて、矯正ユニット70の回転角度を決定する。本実施形態では、シートPのカール量が大きい場合、矯正ユニット70の回転角度が大きく設定される。
【0085】
図11に示されるように、シートPが下カールの状態で搬送された場合、駆動制御部810は、予め、矯正ユニット70の回転角度を制御して、弾性ローラー701がシートPの第1の面P(1)に接触し、硬質ローラー702がシートPの第2の面P(2)に接触するように、矯正ユニット70を配置させる。なお、この矯正ユニット70の配置を第1の姿勢と定義する。
【0086】
シートPは、搬送ユニット55内に配置された第1案内部材551と第2案内部材552との間から、矯正ユニット70内に搬送される。シートPは、第11ガイド705Aと第12ガイド705Bとの間から、ニップ部Nに進入される。ニップ部Nは、下方に配置される弾性ローラー701が圧縮変形されることによって、上方に配置される硬質ローラー702の周面に沿った湾曲した形状を備える。このため、ニップ部Nの湾曲面に沿って、シートPの下カールが好適に矯正される。
【0087】
更に、本実施形態では、駆動制御部810は、シートPがニップ部Nに挟持されながら水平搬送路50Dを搬送される状態で、矯正ユニット70をユニット軸700回りに回転させる(
図12の矢印D121)。この結果、弾性ローラー701がシート搬送方向の上流側に移動され、硬質ローラー702がシート搬送方向の下流側に移動される。この際、ニップ部Nの湾曲形状に加え、矯正ユニット70の回転によって、シートPのカールが矯正される方向の回転力がシートPに更に付与される。該回転力によって、シートPのカールが一層矯正される。
【0088】
なお、上記の実施形態では、シートPが下カールの状態でカール矯正装置7に搬送される態様にて説明した。一方、第1の面P(1)が外周側で、第2の面P(2)が内周側となるようにシートPがカールしている場合、換言すれば、シートPの先端部が上方に反りあがった状態でシートPがカール矯正装置7に搬送された場合(上カール)には、駆動制御部810は、予め、
図11の状態から180度、矯正ユニット70を回転させる。この際の矯正ユニット70の姿勢が第2の姿勢と定義される。この場合、シートPの第1の面P(1)に硬質ローラー702が接触し、シートPの第2の面P(2)に弾性ローラー701が接触する。そして、上方に配置される弾性ローラー701が圧縮変形され、ニップ部Nが硬質ローラー702の周面に沿って湾曲することによって、ニップ部Nに進入されたシートPの上カールが好適に矯正される。更に、駆動制御部810によって、矯正ユニット70がユニット軸700回りに(
図12の矢印D121とは逆方向に)回転されることで、シートPのカールが更に矯正される。
【0089】
また、矯正ユニット70の回転は、シートPの先端部が、下流ローラー対55R(
図2)に至ったあとに、実行されることが好ましい。シートPの先端部が下流ローラー対55Rに至っていない段階で、矯正ユニット70が回転されると、シートPの搬送がわずかに不安定となる場合があるためである。したがって、シートPの先端部が下流ローラー対55Rに挟持された状態で、駆動制御部810が矯正ユニット70をユニット軸700回りに回転させることで、シートPの搬送とカール矯正とが安定して実現される。
【0090】
次に、
図13乃至
図15を参照して、本発明の第2の実施形態に係るカール矯正装置9について説明する。カール矯正装置9は、前述の第1フレーム71および第2フレーム72に、矯正ユニット90および押圧ガイド80(ガイド部)が装着されることで構成される。矯正ユニット90は、第1の実施形態の矯正ユニット70に相当する。
【0091】
矯正ユニット90は、ユニット軸900と、弾性ローラー901と、硬質ローラー902と、リアフランジ部903と、フロントフランジ部904と、第1ガイド部905と、第2ガイド部906と、を備える。これらは、矯正ユニット70のユニット軸700、弾性ローラー701、硬質ローラー702、リアフランジ部703、フロントフランジ部704、第1ガイド部705、第2ガイド部706にそれぞれ対応する。なお、矯正ユニット70のフロントフランジ部704を構成する第1フロントフランジ704Aと第2フロントフランジ704Bとは、周方向に沿って複数の連結棒によって連結されたが、矯正ユニット90のフロントフランジ部904を構成する第1フロントフランジ904Aと第2フロントフランジ904Bとは、径方向の中心付近に円環状に配置された不図示の連結部によって連結される。フロントフランジ部904は、ユニット軸900の前側の端部において、ユニット軸900と交差して配置される。また、弾性ローラー901の弾性ローラー軸901Aは、軸受け901Bに挿通される。軸受け901Bは、弾性ローラー軸901Aを回転可能に支持する軸受部材である。軸受け901Bは、第2フロントフランジ904Bに開口された後記の長穴907に移動可能に支持される。
【0092】
図13に示されるように、第1フロントフランジ904Aと第2フロントフランジ904Bとの間には、押圧ガイド80が配置される。押圧ガイド80は、押圧量変更手段8の一部を構成する部材である。
【0093】
押圧量変更手段8は、矯正ユニット90のユニット軸900回りの回転位置に応じて、弾性ローラー901の硬質ローラー902に対する押圧量を変化させる機能を備える。押圧量変更手段8は、前述の第1フレーム71と、長穴907と、押圧ガイド80とを備える。
【0094】
長穴907は、第2フロントフランジ904Bに形成される穴部である(
図14)。長穴907は、弾性ローラー軸901Aと硬質ローラー軸902Aとを結ぶ方向に、軸受け901B(弾性ローラー901)を移動可能に支持する。
【0095】
押圧ガイド80は、第1フレーム71のうち、前方に延設される領域に固定される。換言すれば、押圧ガイド80は、フロントフランジ部904に対向して第1フレーム71に配置される。押圧ガイド80は、矯正ユニット90のユニット軸900回りの回転に伴って弾性ローラー901の軸受け部901Bに当接する。この結果、押圧ガイド80は、弾性ローラー901を長穴907に沿って移動させる。
【0096】
図14を参照して、押圧ガイド80は、正面視で略矩形形状からなる板状部材である。押圧ガイド80の下端部の中央部分には、切欠き部80Aが配置される。切欠き部80Aは、押圧ガイド80の下端部が上方に向かって切りかかれた形状からなる。押圧ガイド80は切欠き部80Aに、移動ガイド部803と、第1ガイド部801と、第2ガイド部802とを備える。移動ガイド部803は、切欠き部80Aの右端部を構成する。移動ガイド部803は、略円弧形状からなる押圧ガイド80の壁部である。第1ガイド部801は、移動ガイド部803に連設され、切欠き部80Aの上端部を構成する。第1ガイド部801は僅かに湾曲しながら略水平方向に延設される壁部である。第2ガイド部802は、第1ガイド部801に連設される。第2ガイド部802は、切欠き部80Aの左端部を構成する。第2ガイド部802は僅かに湾曲しながら略鉛直方向に延設される壁部である。
【0097】
図14に示される状態が矯正ユニット90の第1の状態と定義される。この場合、弾性ローラー軸901Aと交差する断面視において、弾性ローラー軸901Aと硬質ローラー軸902Aとを結ぶ直線がシート搬送方向(
図14の矢印D141)と略直交するように矯正ユニット90の回転位置が配置される。そして、この第1の状態で、シートPがニップ部Nに向かって進入される(
図14の矢印D141)。
【0098】
この際、弾性ローラー901を支持する軸受け部901Bは、押圧ガイド80の切欠き部80Aの第1ガイド部801に当接されている。換言すれば、押圧ガイド80の第1ガイド部801は、弾性ローラー軸901Aを硬質ローラー902に向かって付勢する。そして、弾性ローラー901と硬質ローラー902との間には、ニップ部Nが形成される。なお、
図14では説明のために、弾性ローラー901は僅かに硬質ローラー902から離間されて示されているが、実際には、弾性ローラー901は硬質ローラー902に第1の押圧力P1をもって押圧されている。
【0099】
ニップ部NにシートPが進入されると、第1の実施形態と同様に、矯正ユニット90がユニット軸900回りに回転される(
図15の矢印D151)。
図15に示される状態が矯正ユニット90の第2の状態と定義される。この際、弾性ローラー901を支持する軸受け部901Bは、第2ガイド部802に当接される。この結果、軸受け部901Bが長穴907に沿って硬質ローラー902に向かって移動される(
図15の矢印D152)。換言すれば、押圧ガイド80の第2ガイド部802は、前記第1の状態から矯正ユニット90がユニット軸900回りに回転された第2の状態において、第1ガイド部801よりも硬質ローラー902に近い位置で、弾性ローラー901を硬質ローラー902に向かって付勢する。この結果、弾性ローラー901は硬質ローラー902に第1の押圧力P1よりも大きい第2の押圧力P2をもって押圧される。したがって、矯正ユニット90のユニット軸900回りの回転に伴って、弾性ローラー901の硬質ローラー902に対する押圧力が増大される。したがって、ニップ部Nを通過されるシートのカールを更に強い力で矯正することが可能となる。
【0100】
なお、
図14に示される矯正ユニット90の第1の状態から、弾性ローラー901がシート搬送方向上流側に、硬質ローラー902がシート搬送方向下流側に移動するように、矯正ユニット90が回転される場合は、弾性ローラー901を支持する軸受け部901Bは、切欠き部80Aの移動ガイド部803に沿って移動される(
図14の矢印D143)。
【0101】
以上、本発明の実施形態に係るカール矯正装置7、9およびこれを備えた画像形成装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0103】
(1)上記の実施形態では、シートPのカール量に応じた特性値を検出するセンサーとして、測距センサーであるカール量検出センサー77を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。カール量に応じた特性値として、その他のセンサーなどが使用されてもよい。たとえば、光反射式のセンサーが用いられ、シートPの先端部に向けて照射された光の反射角度からシートPのカール量が検出される態様であってもよい。
【0104】
(2)上記の第2の実施形態では、押圧ガイド80が1つ備えられる態様で説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。押圧ガイド80と同じ形状を備える他の押圧ガイドが、ユニット軸900に対して押圧ガイド80と点対称な位置に配置されてもよい。この場合、矯正ユニット90の第1の姿勢および第2の姿勢にそれぞれに対応して、2つの押圧ガイドが、弾性ローラー901の硬質ローラー902に対する押圧力を変更することが可能となる。