【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の例示的な一実施形態によれば、位相コントラスト画像のための格子装置が提供され、第1の格子要素と第2の格子要素とを有する。第1の格子要素と第2の格子要素の各々は、トレンチ構造を有し、そのトレンチ構造には、少なくとも1つのトレンチ領域と少なくとも1つのバリア領域とを有する。少なくとも1つのトレンチ領域と少なくとも1つのバリア領域とは、少なくとも局所的には、平行に配置され、そして、第1の格子要素と第2の格子要素とは、第1の格子要素のトレンチ構造と第2の格子要素のトレンチ構造とが角度αを有する非平行になるように配置される。
【0012】
本発明の更なる例示的な一実施形態によれば、X線システムが提供され、そのX線システムは、X線源と本発明に従った格子装置とを有し、更に、X線検出要素を有する。対象は、X線源と格子装置との間に配置可能であり、X線源と格子装置とは、対象の位相コントラスト画像が得られるように動作可能に接続される。
【0013】
本発明の更なる例示的な一実施形態によれば、本発明に従った格子装置が、X線システム、CTシステム及びトモシンセシスシステムのうち少なくとも1つに使用される。
【0014】
X線ビームの位相情報を取得するため、干渉計が使用されてもよい。好ましくは、コヒーレントなX線が、検査対象を通過し、続いて、X線検出器に到達する。位相情報は直接的に測定できないかもしれないので、2つ以上の波面の建設的又は破壊的な相互作用の関係が、おそらくは、X線検出器によって検出可能な強度変調をもたらし、使用されてもよい。
【0015】
対応する干渉は、位相シフト格子又はビームスプリッタ格子を検査対象とX線検出器との間に提供することにより得られてもよい。従って、ビームスプリッタ格子を通過するX線は、ビームスプリッタ格子の後ろに干渉パターンをもたらし、最小値と最大値の相対位置でのX線ビーム内の位相シフトに関する情報、即ち、X線ビームのそれぞれの局所的強度、を含む。もたらされる強度パターンは、典型的には凡そ数マイクロメータの距離を有する最小値及び最大値を含む。
【0016】
しかしながら、X線検出器は、凡そ50から150μmの解像度を有するだけで、それ故、生成される干渉パターンのこうした微細な構造を解像できないかもしれない。従って、位相アナライザ格子又は吸収格子が使用されてもよく、それらは伝達及び吸収ストリップ要素、又は、トレンチ領域及びバリア領域の周期的パターンを含み、干渉パターンの周期性と類似する周期性を有する。
【0017】
ビームスプリッタ格子の照明だけで、干渉パターンがアナライザ格子の位置で生成されてもよい、後者がない場合でさえ生成されてもよい。故に、アナライザ格子は、使用されるX線検出要素のために必要とされるだけでよく、そのX線検出要素は、ビームスプリッタ格子の干渉パターン又はフリンジ(縞模様)を直接に検出するほど、高い空間周波数解像度を供給しない。このため、アナライザが使用されてもよい。或る位相ステッピング位置で、アナライザは、フリンジ最大値を検出器に通過させ、横方向移動の後に、その最大値は金のトレンチに吸収されても良い。
【0018】
アナライザ格子の同様の周期性によって、強度変調パターンが、X線検出器の表面で、アナライザ格子の後ろに生成されてもよい。対応するパターンは、実質的により大きな周期性を有してもよく、その周期性は、従って、凡そ50から150μmの解像度を有するX線検出器によって検出されてもよい。X線検出要素ピクセルは、平均強度値として、干渉パターンを検出してもよい。位相コントラスト画像を得るため、詳しくは、差分位相シフトを得るため、アナライザ格子は、横方向にシフトされてもよく、即ち、アナライザ格子とビームスプリッタ格子の双方のグリッド又はストリップに対し垂直な方向にシフトされてもよく、それらの格子は、その格子ストリップに対して実質的に平行に格子ピッチpの比率で配置され、それは凡そ1μmでよい。例えば、或る格子ギャップ又はトレンチ領域から次の格子ギャップの位置は、例えば凡そ4倍又は8倍で変化しても良い。そうした格子ピッチpの比率での横方向のシフトは、位相ステッピングとして参照されてもよい。従って、単一の位相ステッピングの例において、格子を通過するX線ビームは、個々の位相ステッピング状態を有する。
【0019】
従って、位相シフトは、アナライザ格子の各位置に対して、例えば各位相ステッピング状態に対して、測定される位相ステッピングの間に双方のグリッドの後ろでX線検出要素に観察される強度変調から抽出されてもよい。詳しくは、複数の位置、例えば、異なる位相ステッピング状態を有する4又は8つの位置を測定することで、位相情報は得られても良い。X線の格子への入射角のため、視認性は、格子トレンチへの横方向の拡張に関して、より大きい軸外位置に対しては減少されるとみられる。充分な視認性と、従って、X線検出器によるX線位相の検出性を確保するため、視野は約6cmのサイズに限定されてもよく、例えば、システム長についてX線源とX線検出要素の間の距離は約1mで、約20−30kVpのエネルギーで、平行構造を有するトレンチ構造である。視野を増大する1つの解決法は、X線検出器を移動させ、従って、視野の複数のサブ領域を引き続いて得ることにより見られる。X線検出器の各位置で、個々の位相ステッピング、即ち例えば、異なる位相ステッピング状態を有する4又は8つの個々の画像取得が必要とされるかもしれないので、対応する位相ステッピングと組み合わされたX線検出器の対応する動き、変位、傾き、又は回転は、長時間のプロセスになるかもしれない。
【0020】
従来の吸収コントラスト照射画像においては、入射するX線の方向に沿った多数の対象構造は、伝達又は照射画像に重畳される。これは、しばしば、個々の構造を判定することを困難にするかもしれず、従って、対応するX線画像の可読性を損なうかもしれない。画像品質の向上は、対象の内部構造に関する深さ情報を向上するために、全体の放射線量を幾つかの角度の視野にわたって分配することにより、得られてもよい。対応する技術は、トモシンセシスとして参照されてもよく、特に、3次元の容積画像データを取得するために、使用されてもよい。対応するシステムは、X線源とX線検出器を必要としてもよく、それらは、検査対象の周りの回転のためガントリーに配置される。また、X線源は、シフトされてもよく、特に、検査対象に関して横方向にシフトされてもよい。
【0021】
位相コントラスト画像においても、単一の照射が重畳構造を有してもよく、従って、操作のトモシンセシスモードが有効であってもよい。従って、トモシンセシスが可能な位相コントラストシステムを使用することは、解剖学的な構造の重畳により損なわれた可読性を克服することがある。
【0022】
充分なフリンジの視認性の条件、例えば、位相コントラスト画像における充分に大きい強度変調、特に、差分位相コントラスト画像は、X線源と格子との間の相対運動の自由度に制限を加えるかもしれない。一般に、X線源の格子トレンチにそった相対運動は、許容されてもよい。それ故、格子のシリコングリッドのトレンチに平行な方向にトモシンセシスを移動させることにより、トモシンセシスと位相コントラスト画像との互換性が達成されてもよい。従って、トモシンセシススキャンの間、格子トレンチに対して垂直な平面の範囲内で測定される格子上へのX線の入射角が、所定のレベルを超えないことは有益であるとみられる。
【0023】
X線検出器を移動させること、従って、X線検出器を視野を通してスキャンすることによって視野を拡張することは、視野の範囲内で、X線検出器の各位置に対して位相ステッピングを実行することを必要とする。例えば、特定の位置では、それぞれ異なる位相ステッピング状態を有する4又は8つの画像取得ステップの位相ステッピングが必要とされてもよい。続いて、X線検出器は、視野のサブ領域を取得するよう移動されてもよく、そのサブ領域は視野の範囲内で実質的に前回の配置に近接しており、続いて、視野の第2サブ領域の位相コントラスト画像情報を得る為、4又は8つの画像取得ステップと共に位相ステッピングを使用する。
【0024】
しかしながら、X線検出器は、X線検出器の拡張の大きさで、又は、X線検出器それ自体の幅で移動されることは要求されないかもしれないが、むしろ、或る比率だけ、例えばX線検出器の拡張又はX線取得のアクティブ領域の1/4又は1/8で変位され、おそらくは、1つのX線検出要素ピクセルのみにより、同時の位相ステッピングでX線画像情報を取得し、そのX線画像情報は、視野の若干異なるサブ領域だけでなく、おそらくは以前のサブ領域と3/4又は7/8でオーバーラップしており、位相コントラストを使用するX線画像情報の引き続きの生成に必要とされる異なる位相ステッピング状態をも有する。ピクセルオフセットは、異なる位相ステッピング状態を可能にし、おそらくは若干異なる場所での同時検出を可能にする。1/4又は1/8の変位は、1ピクセルが、1/4又は1/8の位相ステップでの測定と同じような値を有するオフセットを取得したものとして解釈され、例えば対象が、サブピクセルを含む全体ピクセルのエリアで均一である場合である。これは、空間解像度を制限するかもしれない。所定のピクセル数による変位と減少された数の位相ステップとの組み合わせが、考えられるかもしれない、例えば、位相ステッピングでシーケンシャルなスキャンによるか、位相シフトされたサブピクセルで同時に全ステップを取得することによるか、又はその組み合わせのいずれかによる。
【0025】
実際の視点からは、例えば、本発明に従った装置の製造方法に関して、格子のトレンチは、好ましくは、X線検出器の平面に対して垂直であってもよい。
【0026】
通常、ビームスプリッタ格子とアナライザ格子とはシリコンウェハーから作製されてもよい。アナライザ格子には、トレンチを高吸収物質(例えば金)で充填するため、更なる電気メッキのプロセスが必要とされてもよい。製造プロセスは、例えば保護層の適用からはじめ、引き続いてエッチング処置を施してもよい。保護層によって覆われた領域は、エッチングプロセスによって影響をうけず、したがって、一般的に必要とされるトレンチパターンをもたらす。しかしながら、ウェハー表面に垂直な方向とは異なる方向でトレンチをエッチングすることは難しいかもしれない。錐形ビームのX線位相コントラストシステムは、エッチング方向は、ウェハー上の位置に強く依存し、そうしてトレンチは所定の位置にフォーカスされ、後でX線源の位置に合致するよう設計される。
【0027】
対応する装置は、約6cmの範囲で光軸から離れるとき、特に構造の視認性を低減するのに関与すると見られる。詳しくは、X線源とX線検出器の間の約1mの距離は、例えば約20−30keVの場合に、検出器のサイズを約6cmに限定してもよい。
【0028】
位相コントラスト画像は、コヒーレントなX線源を少なくとも部分的に使用するとき、有利に実施されてもよい。しかしながら、コヒーレントなX線源は、詳しくは、例えばシンクロトロンによって供給されるだけなので、別の格子、線源格子(ソースグレーティング)が、複数の個々のコヒーレントなX線源を生成するため、X線源とX線のビームパスにある対象との間に使用されてもよく、例えば、格子要素を用いて、そのトレンチは吸収素材で満たされ、複数のμ―焦点X線スポット又はラインを相互に隣接して構築する。代替的に、複数の個々の実質的にコヒーレントなX線源、例えば、カーボンナノチューブベースのエミッタのようなや分散型のX線源が使用されてもよい。
【0029】
次の位相コントラスト画像を得るため、詳しくは、位相コントラスト画像又は差分位相コントラスト画像を、取得した位相コントラスト画像情報から再構成可能にするために、
検出要素ピクセル又は少なくとも検出要素の行若しくは検出要素の列に関して、取得される各位相コントラスト画像に対して異なる位相ステッピング状態が必要とされる。換言すれば、固定された検出要素を考慮すると、次の位相コントラスト画像は、位相ステッピング状態の変化を必要とし、複数の取得画像情報のため、位相コントラスト画像の次の再構成を可能にする。固定された検出器の場合は、位相ステッピング状態の対応する差異、従って、個々の位相ステッピング状態は、ビームスプリッタ格子G
1をアナライザ格子G
2に対して格子周期pの比率で変位させることにより得られてもよい。
【0030】
移動するX線検出要素の場合は、対応する位相ステッピング、従って、位相ステッピング状態の変化は、本発明によってオンザフライで達成することが可能である。
【0031】
本発明によれば、各X線検出要素のピクセル、ピクセル行、又はピクセル列の個々の位相ステッピング状態は、格子要素のうちの1つのトレンチ構造を、他の格子のトレンチ構造に関して小角度αだけ傾けることにより得られる。詳しくは、角度αは、X線検出要素ピクセルのサイズ、格子ピッチ、及び必要な/所望の位相ステッピング状態の数といったパラメータに依存する。例えば、格子要素ピッチ変位は2μmで8ピクセル行にわたり、例えば、8つの異なる個々の位相ステッピング状態に対し、α最大値は約0.1°であり、仮想のピクセルサイズは150μmである。より小さいピクセルサイズの場合は、角度の値は増加する。
【0032】
対応する格子装置が、或るトレンチ構造を有し、そのトレンチ構造が他のトレンチ構造の位相ステッピングに対して傾いているか又は回転していることは、検出要素と格子要素のユニット、従って格子装置を検出器行(ロー)側方へ移動することにより提供されると考えられ、視野のスキャンの間に発生しても良い。換言すれば、例えばX線検出器と格子装置を単一のユニットとして、1つのX線検出要素ピクセルのサイズで例えば単一の行又は列で、移動方向に応じて、変位させるとき、ビームスプリッタ格子G
1とアナライザ格子G
2の各配置は、X線検出器、詳しくは、単一のピクセル、行又は列の方向にX線源からみて、相互に異なる相対的な配列を有する。更に、横方向の別々のトレンチシフト、例えば各ピクセル行を備えたトレンチ構造を有する格子要素が実施されてもよい。対応する別々の横方向のトレンチシフトは、従って、個々の位相ステッピング状態を表してもよい。
【0033】
例えば、検査対象の所定の構造が、ビームスプリッタ格子G
1とアナライザ格子G
2との規定配置を有するX線検出要素列(カラム)によって検出可能な場合は、スキャニング移動のシフト又は変位は、別のX線検出要素行(ロー)によって検出可能な同様の構造をもたらし(その変位のため)、そのX線検出要素行(ロー)は、互いに異なって配列される格子G
1とG
2を有する(その2つの格子の格子構造の傾き又は角度のため)。変位の対応するシフトは、詳しくは、線形のシフト又は回転の変位であってもよい。しかしながら、更なる任意の変位が考えられ、異なる位相ステッピング状態、例えば4又は8つの異なる位相ステッピング状態を有する2つの格子要素のアライメント位置を提供してもよい。
【0034】
従って、視野よりも小さいサイズを有するX線検出器を有する格子装置が、より大きいX線画像を取得するため、視野を通じてスキャンされるか又は移動されるとき、位相ステッピング状態は、スキャニング移動とともにオンザフライで変更されるものと見られる。個々の、従って、単一X線検出要素ピクセル、行、又は列の完全に固有の位相ステッピング状態は必要とされなくてもよい。例えば、4,8又は9の個々の位相コントラスト画像が、X線画像の引き続きの計算のために取得される場合、4,8又は9の個々の異なる固有の位相ステッピング状態が充分であるかもしれない。しかしながら、この場合、格子装置とX線検出要素を変位させることが必要であり、検査対象の所定の構造は、格子装置とX線検出器に対して配置され、そうして、異なる位相ステッピング状態が連動する。
【0035】
例えば、例示的な8つの個々の位相ステッピング状態が供給され、従って、個々のX線検出要素ピクセル、行又は列に対して、8の周期を有する格子装置の場合、格子装置とX線検出器をその周期に等しい又はその周期の倍数のピクセルによって変位することは避けられるべきである。例えば、8の周期の場合は、格子装置とX線検出要素を8ピクセルごとに変位させるスキャニング移動は避けられるべきであるが、同じ装置を9ピクセル、11ピクセル、13又は15ピクセル等々で変位させることは好ましいかもしれない。検出器も、1,2,3,4,5,6又は7ピクセルで変位されてもよい。
【0036】
更に、位相コントラスト画像は、1つの位相格子と1つの吸収格子の代わりに、2つの吸収格子を使用することによっても実行されてもよい。従って、本件特許出願に従った位相ステッピングが、同様に必要とされてもよい。
【0037】
また、X線を、移動するX線検出要素に関して、動的にコリメートすることが必要とされてもよく、そうして検出されるX線だけが対象を通過することが保証される。
【0038】
対象は、第1の格子要素と第2の格子要素との間に配置されてもよく、詳しくは、ビームスプリッタ格子とアナライザ格子との間に配置されてもよい。
【0039】
X線検出要素の視野を通った又は越えたスキャニング又は変位の動きは、純粋に横方向の移動である必要はないが、円形の動き、正弦曲線の動き、ジグザグの動き、又は、おそらくはコンピュータシステムによって制御される任意的な動きでもよい。また、上述の組み合わせの変位(移動)が用いられても良い。以下では、本発明の更に例示的な実施形態が、特に、格子装置とX線システムに関して説明される。しかしながら、対応する説明は、格子装置、X線システム、および格子装置の使用の全てに適用されることは留意されるべきである。
【0040】
クレームの、特に、クレームされたエンティティの間での単一又は複数の要素の任意の変形及び相互変換は考え得るものであり、本願発明の適用と開示の範囲内であることは留意されるべきである。
【0041】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、第1の格子要素と第2の格子要素とは、実質的に平行に配置されても良い。本発明の更なる例示的な実施形態によれば、第1の格子要素は、ビームスプリッタ格子として供給されてもよく、及び/又は、第2の格子要素は、アナライザ格子として供給されてもよい。
【0042】
ビームスプリッタ格子とアナライザ格子とを有する対応する装置は、位相コントラスト画像情報の取得を可能にしてもよい。
【0043】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、格子装置は、検出器のサイズを有するX線検出要素を更に含み、そのX線検出要素は、第1の格子要素と第2の格子要素とのうちの少なくとも1つと実質的に垂直に配置されてもよい。
【0044】
X線検出要素を格子装置に包含することは、コンパクトなユニットを供給することを可能にし、おそらくは、位相コントラスト画像情報を取得するため、個々の素子の相互の規定の関係を供給する。個々の素子は、互いに実質的に近接して配置されてもよく、又は、所定の距離を有して配置されてもよく、故に、個々の素子間のギャップが供給されてもよい。
【0045】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、第1の格子要素と第2の格子要素とのうちの少なくとも1つは適用されて、電磁放射線の振幅と位相とのうちの少なくとも1つのパラメータに影響を与える。
【0046】
従って、格子要素は、X線アクティブ要素として供給される。本発明の更なる例示的な実施形態によれば、αは、約1°から0.01°の範囲内、好ましくは、0.1°、0.2°又は0.3°でよい。本発明の更なる例示的な実施形態によれば、X線検出要素は、X線検出要素ピクセルのアレイを有し、X線検出要素ピクセル、X線検出要素ピクセル行、及びX線検出要素ピクセル列のうちの少なくとも1つが、1つの個別の位相ステッピング状態を有しても良い。
【0047】
換言すれば、X線検出要素の上に第1の格子要素と第2の格子要素を有する装置には、X線源と検査対象のそれぞれの方向からみたとき、個々の位相ステッピング状態が供給され、特に、X線検出要素ピクセル、X線検出要素ピクセル行、及び、X線検出要素ピクセル列の各々に固有の別個の位相ステッピング状態が供給される。しかしながら、1つの固有の位相ステッピング状態は必要とされず、むしろ、専用最小数の異なる位相ステッピング状態、例えば4又は8つで充分かもしれない。画像取得ステップの対応する数は、“準湾曲形状”曲線の強度値である場合のサンプリングとみられる。4つの異なる位相ステッピング状態で足り、より多くの個々のステップはより良い信号品質をもたらすが、取得に多くの時間間隔を要し、照射線量を増すかもしれない。使用される格子要素の形状(ジオメトリ)に応じて、複数の異なる位相ステッピング状態が同時に得られてもよい。
【0048】
例えば、異なる位相ステッピング状態の取得は、同時にしかし異なる位置で実行されてもよい。例えば、1ピクセルを構成する4つの近接するサブピクセルは、4つの異なる位相ステッピング状態を含んでもよい。従って、そのピクセルには、4つの異なる位相ステッピング状態が取得されてもよいが、おそらくは空間解像度は低減する。
【0049】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、X線システムは、検出器サイズよりも大きい視野を有する位相コントラスト画像を取得するために適用されてもよく、格子装置は変位可能でもよく、そして、その格子装置の変位(移動)によって、視野の位相コントラスト画像が得られてもよい。
【0050】
従って、格子装置の移動によって、詳しくはオンザフライの位相ステッピングのスキャニング移動によって、検出器サイズよりも大きい視野の位相コントラスト画像が得られてもよい。
【0051】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、X線検出要素は、視野のサブ領域を取得するために適用されても良い。
【0052】
従って、視野領域の全体は、X線検出要素のサイズよりも大きくても良い。
【0053】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、X線検出器及び/又は格子装置は、視野のスキャニングのために適用されてもよい。
【0054】
従って、スキャニング移動により、或る視野が得られ、その視野はX線検出要素のサイズによっては限定されないが、むしろスキャニング移動の実施によって制限されるかもしれない。
【0055】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、X線検出要素及び/又は格子装置は、第1のコントラスト画像情報を取得するための第1の位置及び/又は方向から、第2の位相コントラスト情報を取得する第2の位置及び/又は方向へ、変位してもよい。
【0056】
従って、変位によって、その変位は実質的にX線検出要素又はそのフラクションの大きさであってもよく、例えば1/4、1/8、若しくは1/9であり、又はたった1つのX線検出ピクセルでさえよく、その変位によって、異なる位相コントラスト情報が取得され、引き続いて、視野のX線画像を生成するために使用される。
【0057】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、X線システムは、更に、第3の格子要素を含んでもよく、詳しくは、線源格子又は線源格子要素である。
【0058】
線源格子を、X線ビームの経路のX線源と検査対象との間に供給することにより、おそらくはインコヒーレントなX線源が位相コントラスト画像のために使用されてもよい。
【0059】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、X線源及び/又は第3の格子要素は、第1の格子要素、第2の格子要素、及び第3の格子要素のうちの少なくとも1つに対して、変位可能でもよい。
【0060】
ここで、スキャニング移動は、例えば対象に対するX線源及び/又は第3の格子要素の移動によって実現されてもよく、そうしてX線の様々なビュー又は照射を供給し、それは対象を通過し、格子に、続いて、X線検出器に到達する。
【0061】
これらのそして他の本発明の側面は、本明細書で述べる実施形態群から明らかになり、その実施形態群を参照して明瞭になるだろう。
【0062】
本発明の例示の実施形態群は、次の図面を参照して以下で説明されるだろう。
【0063】
図面における表示は概略的なものである。異なる図面において、類似の又は同一の要素は類似の又は同一の参照番号が付される。
【0064】
図面は原寸通りではないが、定性的な比率を表してもよい。