(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外部から印刷を行うための電子データを受信し、修正前の電子データである修正前データと前記修正前データが修正された電子データである修正後データを受信する通信部と、
前記修正前データ及び前記修正後データに基づき印刷を行う印刷部と、
前記修正前データに基づく印刷物であり、確認者により確認され、指摘が書き込まれた確認原稿を読み取って画像データとしてのスキャンデータを生成する画像読取部と、
前記修正前データと前記修正後データと前記スキャンデータを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記修正前データと前記修正後データと前記スキャンデータを比較し、前記修正後データのうち、前記指摘に対応して前記修正前データから修正された修正箇所である確認箇所を認識する比較処理部と、を含み、
前記印刷部は前記修正後データのうち、前記比較処理部が認識した前記確認箇所を含むページのみ印刷し、
前記比較処理部は前記修正前データと前記スキャンデータを比較して、前記スキャンデータで前記指摘のあった部分に対応する前記修正前データ中の指摘箇所を認識するとともに、前記修正前データと前記修正後データを比較して、前記修正前データ中の被修正箇所と前記修正後データ中の前記被修正箇所に対応する修正箇所を認識し、更に、前記修正後データ中、前記修正前データでの前記指摘箇所であり前記被修正箇所でもある箇所に対応する前記修正箇所を前記確認箇所として認識することを特徴とする画像形成装置。
前記通信部は複数人分の前記スキャンデータごとの前記指摘の位置、内容を示すデータを集約した集約データを、前記修正後データを作成するための情報処理装置に向けて送信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1〜
図8を用いて本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、複合機1(画像形成装置に相当)とコンピューター2(情報処理装置に相当)を含む画像形成システム3を例に挙げて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0014】
(画像形成システム3の概要)
まず、
図1を用いて、実施形態に係る画像形成システム3の一例を説明する。
図1は画像形成システム3の一例の概要を示す説明図である。尚、
図1では、データの流れを白抜矢印で示している。
【0015】
例えば、画像形成システム3は複合機1と1又は複数のコンピューター2(例えば、パーソナルコンピューターやサーバー)を含む。複合機1とコンピューター2はネットワークやケーブル等により通信可能に接続される。
【0016】
コンピューター2には、複合機1をプリンターとして利用するためのドライバーソフトウェアがインストールされる。ドライバーソフトウェアやコンピューター2にインストールされた各種アプリケーション(例えば、文章作成アプリケーション)を用いて、コンピューター2で印刷を行う文書の指定や、用紙サイズや拡大、縮小等の印刷に関する設定を行うことができる。
【0017】
ドライバーソフトウェアや各種アプリケーションで印刷の実行が指示されると、コンピューター2は複合機1に向けて、複合機1に印刷を行わせる文書の電子データや、印刷の設定に関するデータを送信する。複合機1はこれらのデータを受信し、受信したデータに基づき、印刷を行う。
【0018】
又、本実施形態の複合機1はコンピューター2から受信した文書の電子データを記憶できる。又、複合機1は原稿(紙文書)を読み取って、画像データを生成する。そして、複合機1は生成した画像データを記憶できる。
【0019】
(複合機1の概略)
次に、
図2に基づき、実施形態に係る複合機1の概略を説明する。
図2は複合機1の一例を示す模型的正面断面図である。
【0020】
図2に示すように、本実施形態の複合機1は最上部に原稿搬送部4aを有する。又、原稿搬送部4aの下方に画像読取部4b、操作パネル5(破線で図示、入力部に相当)が設けられる。又、複合機1の内部には、印刷を行う印刷部60(例えば、給紙部6a、搬送部6b、画像形成部7a、定着部7b等)が設けられる。
【0021】
図2に破線で示すように、操作パネル5は複合機1の正面上方に設けられる。そして、操作パネル5は複合機1の状態や各種メッセージを表示する液晶表示部51を備える。又、液晶表示部51は、機能の選択、設定や文字入力等を行うためのキーを1又は複数表示できる。そして、液晶表示部51の上面にタッチパネル部52(例えば、抵抗膜方式)が設けられる。タッチパネル部52は液晶表示部51で押された部分の位置、座標を抽出するためのものである。タッチパネル部52の出力に基づき、押されたキーを認識することができる。又、操作パネル5には、コピー等の各種機能の実行開始を指示するためのスタートキー53等、各種のハードキーも設けられる。これら液晶表示部51に表示されるソフトキーや、操作パネル5に設けられるハードキーを用いて、操作パネル5に対する使用者の入力が受け付けられる。
【0022】
原稿搬送部4aは原稿搬送部4a上部に載置された原稿束から、原稿を1枚ずつ送り読取用コンタクトガラス41(読み取り位置)に向けて連続的、自動的に搬送する。これにより、連続的に原稿を読み取ることができる。又、載置読取用コンタクトガラス42に原稿を載置し、載置後の原稿を押さえるため、原稿搬送部4aは正面側の端部を自由端として上下方向に開閉可能である。
【0023】
画像読取部4bは文書(原稿)を読み取り、原稿の画像データを形成する。又、画像読取部4b内にはランプ、ミラー、レンズ、イメージセンサ(例えば、CCD)等の光学系部材(不図示)が設けられる。画像読取部4bは載置読取用コンタクトガラス42に載置される原稿や、送り読取用コンタクトガラス41を通過する原稿に光を照射する。又、これらの光学系部材を用い、原稿の反射光をイメージセンサーに導き、反射光を受けた各画素の出力値をA/D変換し、画像データを生成する。このように、本実施形態の複合機1では、原稿を読み取って画像データを生成することができる。尚、本実施形態の画像読取部4bはR、G、Bの各色のイメージセンサーを含み、カラーでの読み取りに対応している。
【0024】
給紙部6aは複数の用紙(例えば、コピー用紙、普通紙、再生紙、厚紙、OHPシート等の各種シート)を収容し、1枚ずつ搬送部6bに送り込む。搬送部6bは給紙部6aから排出トレイ61まで用紙を搬送する通路である。そして、搬送部6bには、用紙搬送の際に回転駆動する搬送ローラー対62や、搬送されてくる用紙を画像形成部7aの手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせて用紙を送り出すレジストローラー対63等が設けられる。
【0025】
画像形成部7aは画像データに基づきトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。画像形成部7aはトナー像形成のため、感光体ドラム71と、その周囲に配設された帯電装置72、露光装置73、現像装置74、転写ローラー75、清掃装置76等を備える。
【0026】
定着部7bは用紙に転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着部7bは主として発熱体を内蔵する加熱ローラー77と加圧ローラー78で構成される。加熱ローラー77と加圧ローラー78は圧接しニップを形成する。そして、用紙が、このニップを通過することで、用紙表面のトナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は、排出トレイ61が受け止める。このようにして、コピー機能、プリンター機能の使用時、画像形成(印刷)が行われる。
【0027】
(複合機100のハードウェア構成)
次に、
図3に基づき、実施形態に係る画像形成システム3のハードウェア構成の一例を説明する。
図3は画像形成システム3の構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
まず、複合機1から説明する。複合機1内に、主制御部8(比較処理部に相当)が設けられる。主制御部8は複合機1の動作制御を司る。主制御部8はCPU81、画像処理部82等を含む。尚、全体制御や画像処理を行うメイン制御部や、画像形成や各種回転体を回転させるモータ等のON/OFF等を制御するエンジン制御部等、機能ごとに主制御部8を分割し、制御を行う部分が複数種設けられてもよい。
【0029】
CPU81は中央演算処理装置であって、記憶部9に格納され、展開されるプログラムやデータに基づき複合機1の各部の制御や、各種の演算処理を行う。例えば、画像処理部82は画像データに関する処理を行う。例えば、画像処理部82は濃度変換や拡大、縮小等、印刷を行う画像データへの画像処理や、画像読取部4bで読み取られた画像データの形式変換などの処理を行える。
【0030】
又、主制御部8はCPU81や画像処理部82を用いて、作成した文書内容を示す電子データ(以下、「修正前データ100」と称する)と修正前データ100を修正した、修正後の電子データ(以下、「修正後データ140」と称する)との比較や、修正後データ140とスキャンデータ120(原稿読み取りにより得られた画像データ)との比較の処理を行う(詳細は後述)。
【0031】
記憶部9はROM91、RAM92、HDD93等を含み、不揮発性と揮発性の記憶装置を組み合わせて構成される。記憶部9は複合機1の制御用等の各種のプログラムやデータ、設定データ、画像データ等の各種データを記憶する。又、記憶部9は修正前データ100や、スキャンデータ120を不揮発的に記憶し、蓄積できる。
【0032】
又、主制御部8は操作パネル5、原稿搬送部4a、画像読取部4b、印刷部60(給紙部6a、搬送部6b、画像形成部7a、定着部7b)等の各部とバスや信号線等で接続され各部、各装置を制御して複合機1の動作(例えば、スキャン動作や印刷動作)を制御する。
【0033】
更に、主制御部8は、各種コネクタ、ソケット、通信制御用のチップ等を備えた通信部83(入力部に相当)と接続される。通信部83はネットワークや公衆回線やケーブル等により、コンピューター2のデータ通信部25と通信可能に接続される。通信部83はコンピューター2からの修正前データ100や修正後データ140の受信等、コンピューター2と各種データのやり取りを行える。
【0034】
次に、コンピューター2を説明する。例えば、コンピューター2はパーソナルコンピューターである。例えば、コンピューター2はCPU21を備えた制御部20(基板)や、HDDやRAMやROMで構成される記憶部22や、キーボードやマウス等の入力装置23や、表示装置としてのディスプレイ24や、外部と通信を行うためのインターフェイスであるデータ通信部25を含む。
【0035】
例えば、制御部20はCPU21などの回路、チップが実装された基板である。制御部20はコンピューター2での演算や制御などの処理を行う。記憶部22はコンピューター2を動作させ、利用するために必要なプログラム、データを記憶する。又、記憶部22には、複合機1を利用するためのドライバーソフトウェアや、文書の電子データ(修正前データ100や修正後データ140)の作成や修正等を行うためのアプリケーションプログラムがインストールされる。
【0036】
(修正前データ100に基づく印刷と印刷物の確認)
次に、
図4を用いて、実施形態に係る複合機1を用いた修正前データ100に基づく印刷と印刷物の確認の流れの一例を説明する。
図4は修正前データ100に基づく印刷と確認者による印刷物の確認の流れの一例を示す説明図である。
【0037】
以下の説明では、3部を印刷し、A、B、Cの3人が電子データ(修正前データ100)に基づく印刷物の確認を行う例を説明する。言い換えると、A、B、Cの3人を確認者とする例を説明する。尚、修正前データ100に基づく印刷物の確認を行う者は1人でもよいし、3人以外の複数人でもよい(例えば、2人や4人以上)。
【0038】
文書作成者はコンピューター2を用いて文書を作成する。作成した文書の印刷を複合機1に行わせるとき、文書作成者はコンピューター2を操作する。例えば、ドライバーソフトウェアやアプリケーション上で、作成した文書内容を示す電子データ(修正前データ100)の印刷実行指示がなされると、コンピューター2の制御部20は複合機1に向けて送信するデータを生成する。
【0039】
制御部20は印刷内容を示す修正前データ100に、ドライバーソフトウェア等で設定された印刷での設定に関するデータ(例えば、部数や印刷での用紙サイズを示すデータ等)を付加して、複合機1に送信する送信用データを生成する。ここで、修正前データ100は文書作成アプリケーションや表計算ソフト等により作成されたファイルでありテキストデータ等を含むデータである。そして、コンピューター2の制御部20は生成した修正前データ100等をデータ通信部25から複合機1に向けて送信させる。
【0040】
一方、複合機1の通信部83はコンピューター2からの修正前データ100(印刷を行うための電子データ)等を受信する。本実施形態の複合機1では、通信部83が受信した修正前データ100は記憶される。例えば、記憶部9のHDD93が不揮発的に修正前データ100を記憶する。
【0041】
そして、設定に合わせ、主制御部8(例えば、画像処理部82)は修正前データ100に基づき、印刷を行うための画像データを生成する。例えば、主制御部8は修正前データ100に基づき、テキストデータ等からラスターデータを生成する。又、主制御部8(画像処理部82)は生成したラスターデータに対し、濃度変換等の各種画像処理を行い、露光装置73での露光に用いる画像データ(レーザーの点消灯を示すデータ)を生成する。そして、生成した画像データを最終的に露光装置73に入力する。
【0042】
そして、主制御部8は修正前データ100に基づき、印刷部60を制御して、確認者A用と確認者B用と確認者C用の印刷物を印刷する。尚、
図4において、確認者A用の印刷物を「確認原稿110a」と図示し、確認者B用の印刷物を「確認原稿110b」と図示し、確認者C用の印刷物を「確認原稿110c」と図示している。各確認者は印刷された印刷物を確認する。そして、各確認者は修正すべき点や気になった部分などをチェックし、手書きにより修正前データ100の印刷物に指摘を書き込む。尚、以下では、便宜上、a、b、cの符号は省略する。
【0043】
次に、主制御部8は各確認者(確認者A、確認者B、確認者C)がチェックした印刷物(確認原稿110)を画像読取部4bに読み取らせ、画像データとしてのスキャンデータ120を生成させる。例えば、文書作成者や各確認者は手書きにより指摘が書き込まれた確認原稿110を原稿搬送部4aにセットする。そして、操作パネル5でスタートキー53を押し、セットした原稿の読み取りの実行指示を操作パネル5は受け付ける。
【0044】
原稿の読み取り実行指示を受け付けた旨が操作パネル5から主制御部8に伝達される。主制御部8はこの指示を受けて、原稿搬送部4aに1枚ずつ原稿を搬送させるとともに、画像読取部4bに1枚ずつ原稿を読み取らせ、各ページの画像データを生成させる。そして、確認者一人分の確認原稿110の各ページの画像データ(確認原稿110が1ページのみなら1ページ分のみの画像データ)を束ねて、1つのスキャンデータ120(ページの画像データの束)が生成される。記憶部9は確認者ごとのスキャンデータ120を記憶する。
【0045】
尚、
図4において、確認者Aが指摘を書き込んだ印刷物のスキャンデータ120を「スキャンデータ120a」と図示し、確認者Bが指摘を書き込んだ印刷物のスキャンデータ120を「スキャンデータ120b」と図示し、確認者Cが指摘を書き込んだ印刷物のスキャンデータ120を「スキャンデータ120c」と図示している。尚、以下では、便宜上、a、b、cの符号は省略する。
【0046】
これらのスキャンデータ120の生成の際、操作パネル5は生成しようとするスキャンデータ120に対応させる修正前データ100の設定を受け付けてもよい。上述のように、記憶部9は修正前データ100を記憶している。そこで、どの修正前データ100に基づき印刷された確認原稿110のスキャンデータ120であるかの設定を操作パネル5が受け付けてもよい。そして、記憶部9(例えば、HDD93)は修正前データ100とスキャンデータ120を対応付ける(関連付ける)を示すデータを記憶する。
【0047】
尚、一度に複数人分の確認原稿110を原稿搬送部4aにセットすると、確認者ごとの区切りが分からないので、確認原稿110の読み取り及び画像データ(スキャンデータ120)の生成は確認者ごとに行われる。言い換えると、確認者ごとに原稿をセットし、1人分の原稿の読み取りが完了すると、他の確認者の原稿がセットされ、別途原稿の読み取りとスキャンデータ120の生成が行われる。
【0048】
そして、複合機1の主制御部8(画像処理部82)は1又は複数のスキャンデータ120に基づき、スキャンデータ120ごとに、確認原稿110で手書きによる指摘のあった位置や内容を示すデータを集約した集約データ130を生成する。
【0049】
各スキャンデータ120から、指摘部分P120の抽出処理は様々な方法があり、公知の抽出処理を適用して、各スキャンデータ120から指摘部分P120を抽出し、集約することができる。尚、以下にスキャンデータ120から手書きの指摘部分P120を抽出し集約する処理の一例を挙げておく。
【0050】
まず、確認原稿110を印刷するための修正前データ100は記憶部9に記憶される。そこで、指摘部分P120を抽出し集約するとき、主制御部8(画像処理部82)は記憶部9に記憶され、対応する修正前データ100を読み出し、修正前データ100に基づき、修正前データ100の印刷物を読み取ったときに得られる画像データを生成する。例えば、主制御部8は修正前データ100に基づき、ページごとにラスターデータを生成する。そして、主制御部8はラスターデータに基づき、修正前データ100に基づき印刷された印刷物を読み取ったときに得られる画像データに近似する画像データを生成する。例えば、記憶部9に生成されたラスターデータの各画素に対し、印刷特性や画像読取部4bの読み取り特性を考慮した濃度変換テーブルを記憶させる、そして、主制御部8は濃度変換テーブルを用いて、ラスターデータの各画素に対し濃度変換処理を行って、ページごとに近似する画像データ(以下、「近似画像データ」と称する)を生成する。
【0051】
そして、主制御部8(画像処理部82)は近似画像データとこれに対応するページのスキャンデータ120を比較(修正前データ100のnページ目に対してはスキャンデータ120のnページ目を比較)する。具体的に、主制御部8は近似画像データのnページ目とスキャンデータ120のnページ目の画像データの対応する位置の画素同士の画素値を比較する。
【0052】
例えば、確認者は手書きで○印や波線や文字等を用いて、指摘を確認原稿110に書き込む。そこで、主制御部8はスキャンデータ120のうち、近似画像データと画素値が予め定められた閾値以上異なる画素が予め定められた画素数以上つながっている部分を手書きの指摘部分P120と認識する。
【0053】
あるいは、修正前データ100の印刷物に対して、一定のルールで書き込むことにより、各スキャンデータ120からの指摘部分P120の抽出の正確性を高めてもよい。例えば、修正前データ100の印刷物(原稿)に対する指摘を特定の色(例えば、赤色)で行うと予め定めておく。そして、主制御部8(画像処理部82)はスキャンデータ120の各ページの画像データのうち、赤色の部分を手書きの指摘部分P120と認識してもよい。
【0054】
そして、主制御部8(画像処理部82)はスキャンデータ120の各ページの画像データのうち、確認原稿110での指摘部分P120を含むページ、又は、指摘がある部分と認識した画素を含む一定の大きさの領域(例えば、半ページや1/4ページの領域)の画像データを、指摘があった部分ごとに抽出してゆく。そして、抽出した画像データをひとまとめにして、主制御部8(画像処理部82)はスキャンデータ120ごとに、確認原稿110で手書きによる指摘のあった部分や位置や内容を示すデータを集約した集約データ130を生成する。尚、主制御部8は複数のスキャンデータ120のそれぞれの集約データ130をまとめ、1つの集約データ130を生成してもよい。
【0055】
複合機1の主制御部8は通信部83から生成した集約データ130を、修正前データ100を送信したコンピューター2に送信する。複合機1の記憶部9は修正前データ100を記憶するとき、修正前データ100を送信したコンピューター名やコンピューター2のアドレス情報を記憶しておき、記憶したコンピューター2名やアドレス情報に基づき、通信部83は修正前データ100を送信したコンピューター2に集約データ130を送信してもよい。あるいは、スキャンデータ120の生成の際に、操作パネル5で集約データ130の送信先を設定する入力を操作パネル5で受け付け、通信部83は入力された送信先としてのコンピューター2に集約データ130を送信してもよい。
【0056】
この集約データ130の内容を確認することで、文書作成者は全ての確認者の指摘を確認できる。そして、集約データ130の内容を確認すれば、各確認者の確認原稿110を1ページずつめくって指摘箇所P101を確認せずに、全ての確認者の指摘を認識したうえで文書の電子データ(修正前データ100)の修正を行うことができる。
【0057】
(修正後データ140に基づく印刷)
次に、
図5〜
図7を用いて、実施形態に係る複合機1での修正後データ140に基づく印刷の流れの一例を説明する。
図5は指摘箇所P101の確認のための修正後データ140に基づく印刷の流れの一例を示す説明図である。
図6、
図7は比較処理の一例を示す説明図である。
【0058】
図5に示すように、文書作成者はコンピューター2の入力装置23(キーボードやマウス等)を用いて、テキストデータ等を含む電子データ(修正前データ100)を修正する。そして、文書作成者は修正後データ140を新たに作成する。このとき、上述のように、文書作成者は集約データ130や各確認者が書き込みを行った確認原稿110を見て修正を行う。
【0059】
ここで、文書作成者が各確認者に修正が適切に行われたか否かの確認を受けるとき、各確認者分の部数で、修正後データ140の全てのページを印刷することは無駄か多い。しかし、従来、修正後データ140のページ数が数十ページや数百ページに及ぶときでも、修正後データ140の印刷物の確認を行うため、修正後データ140の全ページを確認者数の部数だけ印刷することが行われている。
【0060】
確認者にとっては、指摘に基づき適切に修正されているか否か等を確認できればよい。そのため、修正後データ140のページのうち、指摘した部分に対応するページだけ印刷するようにすれば、各確認者にとって十分である。
【0061】
しかし、従来、修正後データ140のページのうち、指摘に基づく修正箇所P140を含むページだけ印刷するには、印刷者が修正後データ140の各ページのうち、どのページに指摘に基づく修正箇所P140が含まれるかを逐一確認する必要がある。そして、印刷者がアプリケーションプログラムや複合機1のドライバープログラム上で、印刷するページを設定する必要がある。しかし、確認者ごとに指摘の位置は異なり、又、修正後データ140は修正前データ100とは、修正により行やページが変わるので、従来、確認者ごとに、必要なページのみを印刷するのに多くの手間を要する。
【0062】
そこで、本実施形態の画像形成システム3、複合機1では、修正後データ140のページのうち、修正前データ100の印刷物(確認原稿110)で指摘された部分に対応して修正された修正箇所P140を含むページだけ、自動的に印刷する。これにより、印刷者に負担をかけること無く、各確認者にとって必要なページのみを印刷することができ、無駄を無くすことができる。
【0063】
そこで、文書作成者は修正後データ140を複合機1に送信する。具体的には、文書作成者はコンピューター2を操作し、ドライバーソフトウェアやアプリケーション上で、確認者にとって必要なページのみを印刷するモード(以下、「限定印刷モード」と称する。)で印刷する設定を行う。尚、限定印刷モードでの印刷実行(複合機1を限定印刷モードで印刷にする)設定を操作パネル5が受け付けてもよい。
【0064】
そして、修正後データ140に基づき、各確認者の指摘により修正された修正箇所P140を含むページのみの印刷を複合機1に行わせる(限定印刷モードでの印刷を行う)指示がなされると、コンピューター2の制御部20は複合機1に向けて送信するデータを生成する。具体的に、制御部20は印刷内容を示す修正後データ140に、限定印刷モードで印刷すべき旨を示すデータや、ドライバーソフトウェア等で設定された印刷での設定に関するデータ(例えば、部数や印刷での用紙サイズを示すデータ等)を付加して、複合機1に送信するデータを生成する。
【0065】
尚、修正後データ140も修正前データ100と同様に、文書作成アプリケーションや表計算ソフト等により作成されたファイルであり、テキストデータを含むデータである。
【0066】
そして、コンピューター2の制御部20は修正後データ140や限定印刷モードで印刷すべき旨を示すデータを含むデータをデータ通信部25から複合機1に向けて送信させる。複合機1の通信部83はこれらのデータを受信する。言い換えると、通信部83は修正前データ100が修正された電子データである修正後データ140を受信する。
【0067】
通信部83での受信により、複合機1の主制御部8は修正後データ140に基づき限定印刷モードで印刷すべきことを認識する。尚、限定印刷モードで印刷すべき旨のデータが付加されていなければ、主制御部8は設定にあわせ、例えば、印刷部60に修正後データ140の全ページの印刷を行わせる。
【0068】
限定印刷モードで印刷するとき、複合機1の主制御部8は修正前データ100と修正後データ140を比較して、修正前データ100での修正された箇所である被修正箇所P100と、修正後データ140で修正している箇所である修正箇所P140を認識する。
【0069】
そこで、
図6を用いて、修正前データ100内の被修正箇所P100と修正後データ140内の修正箇所P140の認識について説明する。まず、上述のように、修正前データ100と修正後データ140はいずれも、テキストデータ等の複数の部分の羅列により特定の意味を持つ情報を含むデータである。そのため、修正前データ100と修正後データ140同士で違っている箇所(データが異なる部分)は修正に関する箇所となる。
【0070】
例えば、
図6では、あるページで、修正前データ100では「あいうえお」と記載され、修正後データ140では「かきくけこ」と記載されている例を示している。このように修正前データ100と修正後データ140の差異の部分は修正前データ100では被修正箇所P100(修正された部分)であり、修正後データ140では修正箇所P140(修正した部分)となる。一方、修正前データ100のうち、修正後データ140と異なる部分(
図6の「あいうえお」部分や「かきくけこ」部分の前後の部分)は修正後データ140と一致する(例えば、差異部分の前後では複数文字分のテキストデータが一致)ので、主制御部8は修正のない部分を修正箇所P140や被修正箇所P100と認識しない。
【0071】
このように、修正により行やページにずれか生じても、主制御部8は容易に修正前データ100と修正後データ140の差を認識できる。そして主制御部8は差異部分を修正前データ100での被修正箇所P100と認識し、修正後データ140での修正箇所P140を認識と認識する。
【0072】
更に、限定印刷モードで印刷するとき、複合機1の主制御部8は修正前データ100と各確認者のスキャンデータ120を比較して、修正前データ100内での指摘箇所P101を認識する。そこで、
図7を用いて、修正前データ100内の指摘箇所P101の認識について説明する。
【0073】
まず、スキャンデータ120は修正前データ100に基づいた印刷物を読み取ったものなので、修正前データ100の各ページの内容とスキャンデータ120の各ページの内容は基本的に同じである。例えば、
図7に示すように、修正前データ100とスキャンデータ120では、記載内容の行や列の位置や、ページの位置やページ数は一致する。
【0074】
そして、スキャンデータ120には手書きにより指摘が書き込まれている点のみ、スキャンデータ120の各ページの内容と修正前データ100の各ページの内容が異なる。そこで、主制御部8はスキャンデータ120内の手書きによる指摘部分P120の位置を認識する。そして、主制御部8は修正前データ100の各ページのうち、認識したスキャンデータ120内の指摘部分P120の位置と同じ位置を修正前データ100中の指摘箇所P101と認識する。
【0075】
ここで、スキャンデータ120内の指摘箇所P101の認識の手法は様々である。例えば、集約データ130を作成するときと同様に、主制御部8(画像処理部82)は記憶部9に記憶され、スキャンデータ120に対応する修正前データ100を読み出し、修正前データ100に基づき、修正前データ100の印刷物を読み取ったときに得られる画像データを生成する。例えば、主制御部8は修正前データ100に基づき、ページごとにラスターデータを生成する。そして、主制御部8はラスターデータに基づき、修正前データ100に基づき印刷された印刷物を読み取ったときに得られる画像データに近似する画像データを生成する。例えば、記憶部9に生成されたラスターデータの各画素に対し、印刷特性や画像読取部4bの読み取り特性を考慮した濃度変換テーブルを記憶させる、そして、主制御部8は濃度変換テーブルを用いて、ラスターデータの各画素に対し濃度変換処理を行って、ページごとに近似する画像データ(以下、「近似画像データ」と称する)を生成する。
【0076】
そして、主制御部8(画像処理部82)は近似画像データとこれに対応するページのスキャンデータ120を比較(修正前データ100のnページ目に対してはスキャンデータ120のnページ目を比較)する。具体的に、主制御部8は近似画像データのnページ目とスキャンデータ120のnページ目の画像データの対応する位置の画素同士の画素値を比較する。
【0077】
例えば、確認者は手書きで○印や波線や文字等を用いて、指摘を確認原稿110に書き込む。そこで、主制御部8はスキャンデータ120のうち、近似画像データと画素値が予め定められた閾値以上異なる画素が予め定められた画素数以上つながっている部分を手書きの指摘部分P120と認識する。
【0078】
あるいは、修正前データ100の印刷物に対して、一定のルールで書き込むことにより、各スキャンデータ120からの指摘部分P120の抽出の正確性を高めてもよい。例えば、修正前データ100の印刷物(原稿)に対する指摘を特定の色(例えば、赤色)で行うと予め定めておく。そして、主制御部8(画像処理部82)はスキャンデータ120の各ページの画像データのうち、赤色の部分を手書きの指摘部分P120と認識してもよい。
【0079】
尚、集約データ130の生成のときと同様の処理を行うのであれば、集約データ130や集約データ130作成時に認識したスキャンデータ120ごとの指摘部分P120の位置を示すデータを記憶部9に記憶しておいてもよい(残しておいてもよい)。この場合、主制御部8は既に修正前データ100とスキャンデータ120を比較して処理した結果を利用して、修正前データ100内での指摘箇所P101を認識することができる。
【0080】
主制御部8はスキャンデータ120内の指摘部分P120の位置を認識すると、修正前データ100中の対応する位置を指摘箇所P101と認識する。言い換えると、主制御部8はスキャンデータ120内での指摘位置の認識結果に基づき、修正前データ100内での指摘箇所P101を認識する。このように、主制御部8はオリジナルとしての修正前データ100とスキャンデータ120を比較して指摘箇所P101を認識するので、指摘箇所P101を正確に認識することができる。
【0081】
尚、同じ内容の確認原稿110(紙文書)に基づくスキャンデータ120が複数有るとき、主制御部8はスキャンデータ120ごとに修正前データ100中の指摘箇所P101を認識する。
【0082】
そして、主制御部8は修正前データ100中、指摘箇所P101でもあり被修正箇所P100でもある部分を認識する。そして、主制御部8は修正箇所P140と被修正箇所P100の対応関係の認識結果に基づき、修正後データ140中の、指摘箇所P101でもある被修正箇所P100に対応する箇所を確認箇所P141と認識する。言い換えると、主制御部8は修正前データ100内での被修正箇所P100をたどって修正後データ140内での確認箇所P141に到る。
【0083】
そして、主制御部8は修正後データ140中、確認箇所P141が記載されたページのみを印刷する制御を行う、具体的に、主制御部8(画像処理部82)は確認箇所P141が記載されたページのみラスターデータを生成するとともに、設定にあわせ画像処理を行って、露光装置73に画像データを出力する。そして、主制御部8(CPU81等)は印刷部60を制御して、印刷部60に確認箇所P141が記載されたページのみの印刷を行わせる(限定印刷モードで印刷させる)。
【0084】
尚、同じ内容の確認原稿110に基づくスキャンデータ120が複数有るとき、主制御部8はスキャンデータ120ごとに確認箇所P141を認識する。そして、主制御部8はスキャンデータ120ごとに(確認者ごとに)、修正後データ140のうち確認箇所P141が記載されたページ(確認箇所P141を含むページ)のみを印刷する。
【0085】
例えば、
図7の例では、確認者Aのスキャンデータ120aと確認者Cのスキャンデータ120cを見ても分かるように、手書きで「あいうえお」部分の指摘がなされている。
そして、修正前データ100で「あいうえお」部分に対応して、修正後データ140での「かきくけこ」部分が確認箇所P141であれば、修正後データ140に基づき、確認者Aと確認者Cに対して、「かきくけこ」部分が記載されたページが印刷される。
【0086】
一方、
図7の例では、確認者Bのスキャンデータ120bを見ても分かるように、「あいうえお」部分に対しては指摘がなされていない。そのため、修正前データ100で「あいうえお」部分に対応して、修正後データ140で「かきくけこ」部分が修正されていても確認者Bに対して、「かきくけこ」部分が記載されたページは印刷されない。
【0087】
(限定印刷モードでのスキャンデータ120や修正前データ100の特定)
次に、
図8を用いて、限定印刷モードで用いるスキャンデータ120や修正前データ100の特定について説明する。
図8は限定印刷モードの設定画面S1の一例を示す説明図である。
【0088】
上述のように、本実施形態の複合機1は受信した修正前データ100や画像読取部4bによる読み取りで得られた画像データをスキャンデータ120として記憶する。そして、記憶部9は複数種の修正前データ100や複数種のスキャンデータ120を記憶できる。
【0089】
修正後データ140を送信したとき、修正後データ140に対応する修正前データ100を自動的に探し当てることはできる。例えば、主制御部8は修正前データ100と修正後データ140の2つの電子データ同士を比較し、記憶部9に記憶された修正前データ100のうち、最も修正後データ140と一致率が高い修正前データ100を、受信した修正後データ140に対応する修正前データ100と認識できる。
【0090】
又、自動的に対応する修正前データ100を探し当てることができれば、主制御部8はスキャンデータ120と修正前データ100に基づくラスターデータを比較したり、スキャンデータ120生成時の修正前データ100との関連を示すデータを参照して、修正後データ140に対応するスキャンデータ120を探し当てることができる。
【0091】
しかし、修正後データ140を受信するたびに、主制御部8が記憶部9に記憶された全ての種類の修正前データ100との対応関係の照合処理を行うと、主制御部8の処理負荷が大きくなる。又、修正前データ100のデータ量が大きい場合や記憶部9が記憶している修正前データ100の数が多い場合、主制御部8の処理負荷が大きくなる。
【0092】
そこで、本実施形態の画像形成システム3、複合機1では、修正後データ140に対応するスキャンデータ120や修正前データ100を設定したうえで限定印刷モードを実行することができる。
【0093】
図8は限定印刷モードで用いるデータ(ファイル)を設定するための設定画面の一例を示す。例えば、アプリケーションソフトやドライバーソフトウェアを操作することにより、設定画面S1をコンピューター2のディスプレイ24に表示させることができる。
【0094】
設定画面S1には、限定印刷モードで用いる修正前データ100、修正後データ140、スキャンデータ120を特定(指定)することができる。設定画面S1には限定印刷モードで用いる修正前データ100の記憶場所やファイル名を表示する修正前データ表示欄C1が設けられる。修正前データ表示欄C1の右側には場所キーK1が設けられる。マウス等で場所キーK1が押されると、制御部20は複合機1内部のフォルダやディレクトリの階層やフォルダに格納されるファイル名を表示する。そして、マウスやキーボードを操作することにより、使用者はディスプレイ24に所望の修正前データ100の格納場所を表示させることができる。そして、所望のファイル(修正前データ100)を特定する操作が修正前データ100を設定する操作として、コンピューター2の入力装置23で受け付けられる。
【0095】
又、設定画面S1には限定印刷モードで用いる修正後データ140の記憶場所やファイル名を表示する修正後データ表示欄C2が設けられる。修正後データ表示欄C2の右側には場所キーK2が設けられる。マウス等で場所キーK2が押されると、制御部20はコンピューター2内部のフォルダやディレクトリの階層やフォルダに格納されるファイル名を表示する。そして、マウスやキーボードを操作することにより、使用者はディスプレイ24に所望の修正後データ140の格納場所を表示させることができる。そして、所望のファイル(修正後データ140)を特定する操作が修正後データ140を設定する操作として、コンピューター2の入力装置23で受け付けられる。
【0096】
又、設定画面S1には限定印刷モードで用いるスキャンデータ120の記憶場所やファイル名を表示するスキャンデータ表示欄C3が複数設けられる。各スキャンデータ表示欄C3の右側には、それぞれ、場所キーK3が設けられる。マウス等で場所キーK3が押されると、制御部20は複合機1内部のフォルダやディレクトリの階層やフォルダに格納されるファイル名を表示する。そして、マウスやキーボードを操作することにより、使用者はディスプレイ24に所望のスキャンデータ120の格納場所を表示させることができる。そして、所望のファイル(スキャンデータ120)を特定する操作が修正前データ100を設定する操作として、コンピューター2の入力装置23で受け付けられる。
【0097】
OKキーK4が押されると、設定画面S1が閉じられ、限定印刷モードで用いる修正前データ100、修正後データ140、スキャンデータ120の設定が受け付けられる。そして、コンピューター2のデータ通信部25は修正後データ140や限定印刷モードで印刷を行う旨のデータとともに、設定された(特定された)修正前データ100とスキャンデータ120の複合機1内での格納位置(記憶位置)を示すデータを複合機1の通信部83に送信する。そのため、複合機1の通信部83は限定印刷モードで用いる修正前データ100、スキャンデータ120の設定入力を受け付ける入力部として機能する。
【0098】
尚、上記の説明では、設定画面S1をコンピューター2に表示する例を説明したが、設定画面は複合機1の操作パネル5(の液晶表示部51)に表示させてもよい。この場合、操作パネル5が限定印刷モードで用いる修正前データ100、修正後データ140、スキャンデータ120の設定入力を受け付ける入力部として機能する。
【0099】
このようにして、本実施形態の画像形成装置(複合機1)は外部から印刷を行うための電子データを受信し、修正前の電子データである修正前データ100と修正前データ100が修正された電子データである修正後データ140を受信する通信部83と、修正前データ100及び修正後データ140に基づき印刷を行う印刷部60と、修正前データ100に基づく印刷物であり、確認者により確認され、指摘が書き込まれた確認原稿110を読み取って画像データとしてのスキャンデータ120を生成する画像読取部4bと、修正前データ100と修正後データ140とスキャンデータ120を記憶する記憶部9と、記憶部9に記憶された修正前データ100と修正後データ140とスキャンデータ120を比較し、修正後データ140のうち、指摘に対応して修正前データ100から修正された修正箇所P140である確認箇所P141を認識する比較処理部(主制御部8)と、を含み、印刷部60は修正後データ140のうち、比較処理部が認識した確認箇所P141を含むページのみ印刷する。
【0100】
これにより、修正後データ140のページのうち、修正前の文書で指摘のあった箇所に対応する記載(確認箇所P141)があるページのみが印刷される。従って、確認者は修正後データ140の全ページの中から逐一、指摘した箇所や修正された箇所(ページ)を探しださずに済む。又、確認者は確認箇所P141を含み、印刷されたページを確認するだけで修正後データ140の確認を行うことができ、修正後の文書の印刷物を確認する作業を円滑に行うことができる。しかも、文書の確認を行う上で、修正後データ140の全ページを印刷せずに済むので、確認に不要なページの印刷を行わないようにして、用紙、エネルギー、時間の無駄を無くすことができる。又、修正後データ140のうち、どのページに確認箇所P141が含まれるか、修正前データ100やスキャンデータ120を逐一確認する作業を行うことなく、確認箇所P141を含むページのみを自動的に印刷することができる。従って、印刷を行う者が修正後データ140の中から、確認箇所P141を含むページを選び出す作業を行わなくて済む。
【0101】
又、比較処理部(主制御部8)は修正前データ100とスキャンデータ120を比較して、スキャンデータ120で指摘のあった部分に対応する修正前データ100中の指摘箇所P101を認識するとともに、修正前データ100と修正後データ140を比較して、修正前データ100中の被修正箇所P100と修正後データ140中の被修正箇所P100に対応する修正箇所P140を認識し、更に、修正後データ140中、修正前データ100での指摘箇所P101であり被修正箇所P100でもある箇所に対応する修正箇所P140を確認箇所P141として認識する。これにより、修正前データ100とスキャンデータ120の異なる部分に着目し、正確に修正前データ100内の指摘箇所P101の位置を認識することができる。又、比較処理部は同様のデータである修正前データ100と修正後データ140を比較し、差を認識することで、修正後データ140中の修正箇所P140と修正箇所P140に対応する修正前データ100中の被修正箇所P100を正確に認識することができる。そして、指摘箇所P101、被修正箇所P100、修正箇所P140が正確に認識されたうえで確認箇所P141が認識されるので、修正後データ140のうち、修正により確認すべきページのみを正確に印刷することができる。
【0102】
又、記憶部9は複数人分のスキャンデータ120を記憶し、比較処理部(主制御部8)は確認者ごとに、確認箇所P141を認識し、印刷部60は比較処理部(主制御部8)が認識した確認箇所P141に基づき、確認者ごとに確認箇所P141を含むページを印刷する。これにより、確認者が複数であっても、修正後データ140を確認するうえで必要なページを確認者ごとに印刷することができる。従って、確認者が複数でも、それぞれの確認者は修正後の文書の印刷物を確認する作業を円滑に行えるように、修正後の確認に必要なページのみを印刷することができる。
【0103】
又、修正後データ140のうち、確認箇所P141を含むページのみ印刷するとき、記憶部9に記憶された修正前データ100とスキャンデータ120のうち、用いる修正前データ100とスキャンデータ120を特定するための入力部(通信部83、操作パネル5等)を含む。これにより、所望の修正前データ100とスキャンデータ120と、修正後データ140とを比較させることができる。
【0104】
又、通信部83は複数人分のスキャンデータ120ごとの指摘の位置、内容を示すデータを集約した集約データ130を、修正後データ140を作成するための情報処理装置(コンピューター2)に向けて送信する。これにより、確認者が複数人であっても、文書作成者は集約データ130を参照して、漏れなく文書の修正を行うことができる。又、確認者が確認した印刷物が手元に無くても、文書作成者は正確に文書の修正を行うことができる。
【0105】
又、修正前データ100と修正後データ140はテキストデータを含むデータである。これにより、比較処理部(主制御部8)はテキストデータ同士を対比して、修正後データ140での修正箇所P140や修正前データ100での被修正箇所P100を正確に認識することができる。
【0106】
又、画像形成システム3は上述の画像形成装置(複合機1)と、画像形成装置と通信し、修正前データ100と修正後データ140を送信する情報処理装置(コンピューター2)を含む。この画像形成システム3では、画像形成装置(複合機1)で修正のために確認が必要なページのみを印刷することができ、情報処理装置(コンピューター2)で文書データを修正することができる。従って、使い勝手のよい画像形成システム3を提供することができる。
【0107】
次に、他の実施形態を説明する。上記の実施形態では、主制御部8が各種比較を行い、被修正箇所P100や修正箇所P140や指摘箇所P101を認識する例を説明している。しかし、
図3に示すように、各種比較を行い、被修正箇所P100や修正箇所P140や指摘箇所P101を認識する処理、演算を行う専用部分、専用回路(
図3において、比較処理演算部8aとして図示、主制御部8外に設けてもよい)を設けてもよい。
【0108】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。