特許第5789627号(P5789627)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789627
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20150917BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20150917BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   G03G21/00 384
   G03G15/20 555
   G03G21/00 574
   G03G15/00 303
【請求項の数】14
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-46573(P2013-46573)
(22)【出願日】2013年3月8日
(65)【公開番号】特開2014-174317(P2014-174317A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2013年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】片山 純一
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−253951(JP,A)
【文献】 特開2009−104006(JP,A)
【文献】 特開2010−181883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/20
G03G 21/00
G03G 21/14
B41J 29/26
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
規定温度より高い変色温度の加熱により変色する変色材により画像を形成する第1のモード、加熱により変色しない非変色材により画像を形成する第2のモード、又は前記変色温度の加熱により前記変色材により形成されたシートの画像を変色させる変色モードを指定する指定手段と、
前記第1のモードを指定している場合に、前記変色材により画像をシートに形成し、前記第2のモードを指定している場合に、前記非変色材により画像をシートに形成する画像形成手段と、
下限温度から前記規定温度より低い上限温度までの範囲の定着温度で加熱して画像をシートへ定着させ、また、前記変色温度で加熱して変色材により形成されたシートの画像を変色させる定着手段と、
前記第1又は前記第2のモードを指定している場合に、前記定着手段を前記定着温度に制御し、前記変色モードを指定している場合に、前記定着手段を前記変色温度に制御する温度制御手段と、
前記第1のモードを指定している場合に、前記定着手段が前記定着温度になるまでの待ち時間において画像安定化処理を実行するよう制御する動作制御手段とを備え
前記動作制御手段は、前記第2のモードを指定している場合に、前記定着手段が前記定着温度より高くても前記第2のモードによる画像形成を実行する画像形成装置。
【請求項2】
規定温度より高い変色温度の加熱により変色する変色材により画像を形成する第1のモード、加熱により変色しない非変色材により画像を形成する第2のモード、又は前記変色温度の加熱により前記変色材により形成されたシートの画像を変色させる変色モードを指定する指定手段と、
前記第1のモードを指定している場合に、前記変色材により画像をシートに形成し、前記第2のモードを指定している場合に、前記非変色材により画像をシートに形成する画像形成手段と、
下限温度から前記規定温度より低い上限温度までの範囲の定着温度で加熱して画像をシートへ定着させ、また、前記変色温度で加熱して変色材により形成されたシートの画像を変色させる定着手段と、
前記第1又は前記第2のモードを指定している場合に、前記定着手段を前記定着温度に制御し、前記変色モードを指定している場合に、前記定着手段を前記変色温度に制御する温度制御手段と、
前記第1のモードを指定している場合に、前記定着手段が前記定着温度になるまでの待ち時間において画像安定化処理を実行するよう制御する動作制御手段とを備え、
前記動作制御手段は、前記第2のモードを指定している場合に、前記定着手段が前記定着温度より高くても前記画像安定化処理を実行しない画像形成装置。
【請求項3】
前記動作制御手段は、前記第1のモードによる画像形成中に、前記定着手段が前記定着温度より高くなると、前記第1のモードによる画像形成を中断する請求項1又は2の画像形成装置。
【請求項4】
前記動作制御手段は、前記定着手段が前記定着温度になると、前記第1のモードによる画像形成を再開する請求項の画像形成装置。
【請求項5】
前記動作制御手段は、前記第1のモードによる画像形成中に、前記定着手段が前記定着温度より高くなると、前記定着手段が前記定着温度より高い温度から前記定着温度になるまでの待ち時間において前記画像安定化処理を実行する請求項1乃至の何れか一つの画像形成装置。
【請求項6】
前記動作制御手段は、前記定着手段が前記定着温度になり、前記画像安定化処理が終了すると、前記第1のモードによる画像形成を再開する請求項の画像形成装置。
【請求項7】
前記動作制御手段は、前記定着手段が前記定着温度になると、前記画像安定化処理を中止し、前記第1のモードによる画像形成を再開する請求項の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像安定化処理の実行を案内する案内手段を備える請求項1乃至の何れか一つの画像形成装置。
【請求項9】
前記待ち時間において前記画像安定化処理の実行を有効又は無効に設定する設定手段を備え、
前記動作制御手段は、前記設定に基づき前記画像安定化処理を実行するよう制御する請求項1乃至の何れか一つの画像形成装置。
【請求項10】
前記動作制御手段は、前記画像安定化処理として、画質を調整する請求項1乃至の何れか一つの画像形成装置。
【請求項11】
前記動作制御手段は、前記画像安定化処理として、転写ベルト上にテストパターンを形成し、前記テストパターンを読み取り、前記テストパターンの読み取り結果に基づき画質を調整する請求項1乃至10の何れか一つの画像形成装置。
【請求項12】
前記変色材は、加熱により消色する色材である請求項1乃至11の何れか一つの画像形成装置。
【請求項13】
規定温度より高い変色温度の加熱により変色する変色材により画像を形成する第1のモード、加熱により変色しない非変色材により画像を形成する第2のモード、又は前記変色温度の加熱により変色材により形成されたシートの画像を変色させる変色モードを指定し、
前記第1又は第2のモードを指定している場合に、画像をシートへ定着させる定着手段を下限温度から規定温度より低い上限温度までの範囲の定着温度に制御し、前記変色モードを指定している場合に、前記定着手段を前記変色温度に制御し、
前記第2のモードを指定している場合に、前記非変色材により画像をシートに形成し、前記定着手段により定着温度で加熱して画像をシートへ定着させ、また、前記第2のモードを指定している場合に、前記定着手段が前記定着温度より高くても前記第2のモードによる画像形成を実行し、また、前記変色モードを指定している場合に、前記定着手段を前記変色温度に制御し、また、前記第1のモードを指定している場合に、前記定着手段が前記定着温度になるまでの待ち時間において画像安定化処理を実行するよう制御し、前記変色材により画像をシートに形成し、前記定着温度に制御された前記定着手段の加熱により画像をシートへ定着させる画像形成方法。
【請求項14】
規定温度より高い変色温度の加熱により変色する変色材により画像を形成する第1のモード、加熱により変色しない非変色材により画像を形成する第2のモード、又は前記変色温度の加熱により変色材により形成されたシートの画像を変色させる変色モードを指定し、
前記第1又は第2のモードを指定している場合に、画像をシートへ定着させる定着手段を下限温度から規定温度より低い上限温度までの範囲の定着温度に制御し、前記変色モードを指定している場合に、前記定着手段を前記変色温度に制御し、
前記第2のモードを指定している場合に、前記非変色材により画像をシートに形成し、前記定着手段により定着温度で加熱して画像をシートへ定着させ、また、前記第2のモードを指定している場合に、前記定着手段が前記定着温度より高くても画像安定化処理を実行しないよう制御し、また、前記変色モードを指定している場合に、前記定着手段を前記変色温度に制御し、また、前記第1のモードを指定している場合に、前記定着手段が前記定着温度になるまでの待ち時間において画像安定化処理を実行するよう制御し、前記変色材により画像をシートに形成し、前記定着温度に制御された前記定着手段の加熱により画像をシートへ定着させる画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消去可能な色材により画像を形成する画像形成装置が既に実用化されている。消去可能な色材として、加熱により透明化する色材が知られている。例えば、画像形成装置は、消去可能なBK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の色材により消去可能なフルカラー画像を形成することができる。
【0003】
画像形成装置は消去可能な色材、例えば消去可能なトナーにより転写ベルト上にトナー像を形成し、定着装置が転写ベルトからシートに転写されたトナー像を加熱し、トナー像をシートに固定(定着)させる。例えば、定着装置は、温度制御により150度〜180度の定着温度に制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−143231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、定着装置は、温度制御により150度〜180度の定着温度に制御されるが、定着装置の温度が定着温度の上限温度を超えてしまうこともある。例えば、消去可能な色材は、190度以上で加熱されると透明化する。
【0006】
本発明の目的は、定着装置の高温化による不具合を改善することができる画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の画像形成装置は、画像形成手段と、定着手段と、温度制御手段と、動作制御手段とを備える。前記画像形成手段は、規定温度より高い温度の加熱により変色する変色材により画像をシートに形成する。前記定着手段は、下限温度から前記規定温度より低い上限温度までの範囲の定着温度で加熱して画像をシートへ定着させる。前記温度制御手段は、前記定着手段を前記定着温度に制御する。前記動作制御手段は、前記定着手段が前記定着温度になるまでの待ち時間において画像安定化処理の実行を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る画像形成装置の概略構成の一例を示す図である。
図3】実施形態に係るトナーの定着可能温度等の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る定着装置の温度変化の一例を示す図である。
図5】実施形態に係る画像安定化処理の実行制御の一例を示すフローチャートである。
図6】実施形態に係る画像形成装置の内部構成の一例を示す図である。
図7】実施形態に係る画像形成装置の内部構成の一例を示す図である。
図8】実施形態に係る画像形成装置の機能ブロックの一例を示す図である。
図9】消去動作の一例を示す図である。
図10】消去動作から画像形成動作への復帰処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し実施形態について説明する。
【0010】
図1図2図6図8を参照して、実施形態に係る画像形成装置(マルチファンクショナルプリフェラル、MFP(multi-function peripherals)、以下、単にMFPと称する)1について説明する。
【0011】
図1は、実施形態に係る単色の消色(変色)トナー(消色材)によるモノクロの画像形成と単色の非消色(非変色)トナー(非消色材)によるモノクロの画像形成を理解し易くするための図である。図2は、実施形態に係る複数色の消色(変色)トナー(消色材)によるカラーの画像形成と複数色の非消色(非変色)トナー(非消色材)によるカラーの画像形成を理解し易くするための図である。
【0012】
図6図8は、複数色の消色(変色)トナー(消色材)によるカラーの画像形成と複数色の非消色(非変色)トナー(非消色材)によるカラーの画像形成を実現するためのMFP1の一例を示す図である。
【0013】
図1図2に示すMFP1と、図6図7に示すMFP1の外観及び内部構成は若干異なるが、同じであってもよい。
【0014】
例えば、図1に示すMFP1では、本体の左右方向に沿って(シート(用紙)の搬送方向に沿って)、色材51a、61aが配置され、これら色材51a、61aに対向する位置に第1及び第2の単色画像形成ステーション(図示省略)が配置される。例えば、色材51aが消色(変色)トナー(消色材)であり、色材51aがBK(ブラック)に対応する。また、色材61aは非消色(非変色)トナー(非消色材)であり、色材61aがBK(ブラック)に対応する。
【0015】
また、図2に示すMFP1では、本体の左右方向に沿って(シート(用紙)の搬送方向に沿って)、色材51a、51b、51c、51d、61a、61b、61c、61dが配置され、これら色材51a、51b、51c、51d、61a、61b、61c、61dに対向する位置に第1〜第8の単色画像形成ステーション(図示省略)が配置される。例えば、色材51a、51b、51c、51dが消色(変色)トナー(消色材)であり、材51a、51b、51c、51dがBK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)に対応する。また、色材61a、61b、61c、61dが非消色(非変色)トナー(非消色材)であり、色材61a、61b、61c、61dがBK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)に対応する。
【0016】
また、図1図2に示すMFP1では、排紙トレイT11、排紙トレイT12が、本体の側面に突出して設けられている。
【0017】
これに対して、図6図7に示すMFP1では、本体の左右方向に沿って(シート(用紙)の搬送方向に沿って)、色材51a、51b、51c、51dが配置され、色材51a、51b、51c、51dの後ろ側(奥)に、色材61a、61b、61c、61dが配置される。従って、図6図7では、色材61a、61b、61c、61dは、色材51a、51b、51c、51dの影に隠れた状態となっている。また、図6図7に示すMFP1では、色材51a、51b、51c、51dに対向する位置に、第1〜第4の単色画像形成ステーション321a、321b、321c、321dが配置され、色材51a、51b、51c、51dに対向する位置に、第5〜第8の単色画像形成ステーション322a、322b、322c、322dが配置される。従って、図6図7では、第5〜第8の単色画像形成ステーション322a、322b、322c、322dは、第1〜第4の単色画像形成ステーション321a、321b、321c、321dの影に隠れた状態となっている。また、図6図7に示すMFP1では、排紙トレイT11、T12が、本体に包み込まれる位置に設けられている。
【0018】
例えば、図6図7に示すMFP1では、第1の単色画像形成ステーション321aと第5の単色画像形成ステーション322aのうち、使用される方の第1の単色画像形成ステーション321a又は第5の単色画像形成ステーション322aが中間転写ベルト33の対向位置に移動し、使用されない方の第1の単色画像形成ステーション321a又は第5の単色画像形成ステーション322aは中間転写ベルト33の対向位置から外れた位置で待機状態となる。
【0019】
同様に、第2の単色画像形成ステーション321bと第6の単色画像形成ステーション322bのうち、使用される方の第2の単色画像形成ステーション321b又は第6の単色画像形成ステーション322bが中間転写ベルト33の対向位置に移動し、使用されない方の第2の単色画像形成ステーション321b又は第6の単色画像形成ステーション322bは中間転写ベルト33の対向位置から外れた位置で待機状態となる。
【0020】
同様に、第3の単色画像形成ステーション321cと第7の単色画像形成ステーション322cのうち、使用される方の第3の単色画像形成ステーション321c又は第7の単色画像形成ステーション322cが中間転写ベルト33の対向位置に移動し、使用されない方の第3の単色画像形成ステーション321c又は第7の単色画像形成ステーション322cは中間転写ベルト33の対向位置から外れた位置で待機状態となる。
【0021】
同様に、第4の単色画像形成ステーション321dと第8の単色画像形成ステーション322dのうち、使用される方の第4の単色画像形成ステーション321d又は第8の単色画像形成ステーション322dが中間転写ベルト33の対向位置に移動し、使用されない方の第4の単色画像形成ステーション321d又は第8の単色画像形成ステーション322dは中間転写ベルト33の対向位置から外れた位置で待機状態となる。
【0022】
図6図7に示すMFP1は、本体の左右方向(シートの搬送方向)のサイズを小さくでき、図2に示すMFP1は、本体の前後方向のサイズを小さくできる。なお、図1に示すMFP1のように、図6図7に示すMFP1を構成することもできるし、図2に示すMFP1のように、図6図7に示すMFP1を構成することもできる。
【0023】
例えば、図1に示すMFP1のように、図6図7に示すMFP1を構成する場合、図6図7に示すMFP1において、本体の左右方向に沿って(シート(用紙)の搬送方向に沿って)、色材51a、61aが配置され、これら色材51a、61aに対応する位置に第1、第2の単色画像形成ステーションが配置される。
【0024】
また、図2に示すMFP1のように、図6図7に示すMFP1を構成する場合、図6図7に示すMFP1において、本体の左右方向に沿って(シート(用紙)の搬送方向に沿って)、色材51a、51b、51c、51d、61a、61b、61c、61dが配置され、これら色材51a、51b、51c、51d、61a、61b、61c、61dに対応する位置に第1〜第8の単色画像形成ステーションが配置される。
【0025】
例えば、図1に示すMFP1は、BK(ブラック)の単色画像を形成する第1の単色画像形成ステーション321aを備え、用紙を搬送し、第1の単色画像形成ステーションが形成する画像を、搬送する用紙とともに移動する用紙搬送機構を備える。
【0026】
第1の単色画像形成ステーション321aが静電方式である場合、用紙は、ステーション321aからのトナー(色材)を支持した状態で、用紙搬送機構により、後段に位置する定着装置35に移動する。定着装置35は、用紙及びトナーに定着のための一定の熱を与え、トナーを用紙に固定(定着)する。
【0027】
第1の単色画像形成ステーション321aがインクジェット方式である場合、用紙搬送機構が移動する用紙に、インク(色材)により画像を形成する。
【0028】
なお、第1の単色画像形成ステーション321aが形成する単色画像の色は、任意である。MFP1の第1の単色画像形成ステーション321aが形成する画像、例えばBK(ブラック)画像は、ある条件において色材の色が消失(変色)する「消色(変色)」トナーまたはインクで形成される。即ち、色材51aが、「消色」トナーまたはインクであり、色材51aが、BK(ブラック)に対応する。
【0029】
また、MFP1の第5の単色画像形成ステーション322aが形成する画像、例えばBK(ブラック)画像は、ある条件でも色材の色が消失(変色)しない「非消色(非変色)」トナーまたはインクで形成される。即ち、色材61aが、「非消色」トナーまたはインクであり、色材61aが、BK(ブラック)に対応する。
【0030】
なお、ある条件の少なくとも1つは、温度(熱)である。また、ある条件の少なくとも1つは、光(紫外線等)である。例えば、トナーにおいては、定着時に定着装置が提供する温度よりも高い、所定温度において、色が消失或いは変色する。この場合、インクにおいては、トナーを用いる場合に比較して比較的低い温度においても、色が消失する或いは変色するよう(インクの組成を)組成できる。なお、インクの場合には、色材(染料)の組成により、紫外線等の照射で消色或いは変色できる場合もある。
【0031】
また、図2及び図6に示すMFP1は、BK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の単色画像を形成する第1〜第4の単色画像形成ステーション321a、321b、321c、321dを備え、用紙を搬送し、第1〜第4の単色画像形成ステーション321a、321b、321c、321dが形成する画像を、搬送する用紙とともに移動する用紙搬送機構を備える。
【0032】
第1〜第4の単色画像形成ステーション321a、321b、321c、321dが静電方式である場合、用紙は、各ステーション321a、321b、321c、321dからのトナー(色材)を支持した状態で、用紙搬送機構により、後段に位置する定着装置35に移動する。定着装置35は、用紙及びトナーに定着のための一定の熱を与え、トナーを用紙に固定(定着)する。
【0033】
第1〜第4の単色画像形成ステーション321a、321b、321c、321dがインクジェット方式である場合、用紙搬送機構が移動する用紙に、インク(色材)により画像を形成する。
【0034】
なお、第1〜第4の単色画像形成ステーション321a、321b、321c、321dが形成する単色画像の色は、任意であり、使用するトナーの特性やインクの色により、さまざまに組み合わせられる。
【0035】
MFP1の第1〜第4の単色画像形成ステーション321a、321b、321c、321dが形成する4つの画像、即ちBK(ブラック)画像、C(シアン)画像、M(マゼンタ)画像、Y(イエロー)画像は、ある条件において色材の色が消失(変色)する「消色(変色)」トナーまたはインクで形成される。即ち、色材51a、51b、51c、及び51dが、「消色」トナーまたはインクであり、色材51a、51b、51c、及び51dが、BK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)に対応する。
【0036】
また、MFP1の第5〜第8の単色画像形成ステーション322a、322b、322c、322dが形成する4つの画像、即ちBK(ブラック)画像、C(シアン)画像、M(マゼンタ)画像、Y(イエロー)画像は、ある条件でも色材の色が消失(変色)しない「非消色(非変色)」トナーまたはインクで形成される。即ち、色材61a、61b、61c、及び61dが、「非消色」トナーまたはインクであり、色材61a、61b、61c、及び61dが、BK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)に対応する。
【0037】
なお、ある条件の少なくとも1つは、温度(熱)である。また、ある条件の少なくとも1つは、光(紫外線等)である。例えば、トナーにおいては、定着時に定着装置が提供する温度よりも高い、所定温度において、色が消失或いは変色する。この場合、インクにおいては、トナーを用いる場合に比較して比較的低い温度においても、色が消失する或いは変色するよう(インクの組成を)組成できる。なお、インクの場合には、色材(染料)の組成により、紫外線等の照射で消色或いは変色できる場合もある。
【0038】
さらに、トナーの一例及び消色(変色して最後には透明になる(色が消える))原理について補足する。
【0039】
本トナーは、所定の温度に加熱すると変色を開始し、加熱温度を上げて、消去(消色)温度以上になると、色が透明になり、消色する(消去される)。トナーは、バインダ樹脂と色素を含む。バインダ樹脂は従来周知のトナーと同じであり、色素に特徴がある。色素は、呈色性化合物、顕色剤、変色温度調節剤(温度高トロール剤)含む。呈色性化合物は、発色剤であり、例えばロイコ染料が用いられる。顕色剤は、例えばフェノール類が用いられる。変色温度調節剤は、加熱されると呈色性化合物と相溶し、顕色剤と親和性を有さない物質が用いられる。トナーは、呈色性化合物と顕色剤との相互作用により発色し、所定の温度以上に加熱されることにより、呈色性化合物と顕色剤との相互作用が絶たれるため、消色(変色して最後には透明になる(色が消える))する。さらに、トナーは、変色温度調節剤を適宜組み合わせることにより、上記所定の温度を調節することができる。
【0040】
さらに、図8等に示すように、MFP1(図1図2図6図7に示すMFP1)は、画像形成部3、画像読取部5及び信号処理/動作制御部(回路基板部)7を、少なくとも有する。なお、MFP1の所定の位置に、操作部(表示パネル)9が位置する。
【0041】
画像形成部3は、紙や樹脂シートであるシートに、画像データに対応する可視像を形成する。画像データは、例えば画像読取部5が生成するデータであってもよいし外部からのデータであってもよい。外部からのデータは、半導体メモリ等の記憶(可搬)媒体が供給するデータであってもよいしネットワーク上の供給元がインタフェース71経由で供給するデータであってもよい。
【0042】
画像読取部5は、読取対象物の文字や画像を、光の明暗として取得し、明暗に対応する画像データを生成する。
【0043】
画像読取部5は、原稿テーブル(原稿ガラス)5aと、照明装置と、画像センサとを、少なくとも含む。画像センサは、照明装置が出力する照明光を、原稿テーブル5aが支持する原稿(読取対象)が反射する反射光(画像情報)を画像信号に変換する。画像センサは、例えばCCDセンサあるいはCMOS(Complementary metal-oxide Semiconductor)センサである。
【0044】
信号処理/動作制御部7が、画像読取部5が生成する画像信号を、画像形成部3による画像形成に適した画像データに変換する。信号処理/動作制御部7は、画像センサからの画像信号に対し、出力画像(プリントアウト)のために、例えば文字特定、輪郭補正、色調補正(色変換、RGB→CMY、濃度)、中間調(階調)、γ特性(入力濃度値対出力濃度)、等の所定の処理を施す。画像信号及び画像データは、図示しない記憶装置、例えばハードディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)や、MFP1から取り出し可能な半導体メモリ等が記憶する。
【0045】
図1のMFP1の画像形成部3は、露光装置31、第1の単色画像形成ステーション(可視像形成部)、第2の単色画像形成ステーション(可視像形成部)を備える。図2図6、及び図7のMFP1の画像形成部3は、露光装置31、第1〜第4の単色画像形成ステーション(可視像形成部)321a,321b,321c及び321d、第5〜第8の単色画像形成ステーション(可視像形成部)322a,322b,322c及び322dを備える。
【0046】
図1図2図6図7に示すMFP1は、中間転写ベルト(可視像保持(1次転写)部)33、シート転写装置(2次転写部)34、定着装置35、廃トナー収集機構36、中間転写ベルトクリーナ37及び廃トナー回収装置38、等を有する。
【0047】
図1図2図6図7に示すMFP1の画像形成部3はまた、自動両面ユニット(ADU、Automatically Duplex Unit)40、少なくとも1つのシートカセット41及びシートカセット毎に付属する給紙機構42、分離機構43、搬送機構44及びアライニング機構45を含む。なお、アライニング機構45の前段に、手差しトレイ46及び手差しトレイに付属する給紙機構47、分離機構48及びタイミング整合機構49が位置する。また、アライニング機構45の後段で、転写位置(中間転写ベルト33とシート転写装置34とが接する位置)と定着装置35との間に、図8を用いて説明する第2手差しトレイ146からのシートを定着装置35に供給する第2手差しトレイのタイミング整合機構149、分離機構148及び給紙機構148が位置する。なお、手差しトレイ46は、支点46aを中心として矢印A方向に旋回することが可能で、非使用時はMFP1の所定位置(機体側面)に、実質的に密着する。
【0048】
図1に示すMFP1の露光装置31は、信号処理/動作制御部7の画像処理部73が出力する画像データを光の強弱に変換し、第1の単色画像形成ステーションの感光体ドラム、又は第2の単色画像形成ステーションの感光体ドラムに照射する。これにより、それぞれの感光体ドラムが潜像(静電像)を形成(生起)する。
【0049】
例えば、第1の単色画像形成ステーションは、色材51aの色の可視像を形成する。つまり、第1の単色画像形成ステーションは、BK(黒(ブラック)、black)の色の可視像を形成する。第1の単色画像形成ステーションは、例えばレーザ光である露光装置31からの露光光すなわち画像光に対応する潜像を生起して保持する像担持体(感光体ドラム)、現像装置及び転写装置(1次転写部)を有する。現像装置は、感光体ドラムが保持する上述の潜像にトナーを供給して現像する。転写装置は、感光体ドラムが保持するトナー像(可視像)を、中間転写ベルト33に移動する。各ステーションの配列(位置)すなわち色の順は、画像形成プロセスやトナーの特性に応じて決定する。
【0050】
中間転写ベルト33は、第1の単色画像形成ステーション321aが形成するトナー像(可視像)を保持し、搬送する。
【0051】
同様に、第2の単色画像形成ステーションは、色材61aの色の可視像を形成する。つまり、第2の単色画像形成ステーションは、BK(黒(ブラック)、black)の色の可視像を形成する。
【0052】
第2の単色画像形成ステーションは、例えばレーザ光である露光装置31からの露光光すなわち画像光に対応する潜像を生起して保持する像担持体(感光体ドラム)、現像装置及び転写装置(1次転写部)を有する。現像装置は、感光体ドラムが保持する上述の潜像にトナーを供給して現像する。転写装置は、感光体ドラムが保持するトナー像(可視像)を、中間転写ベルト33に移動する。各ステーションの配列(位置)すなわち色の順は、画像形成プロセスやトナーの特性に応じて決定する。
【0053】
中間転写ベルト33は、第2のステーションが形成するトナー像(可視像)を保持し、搬送する。
【0054】
シート転写装置34は、中間転写ベルト33が搬送するトナー像を、シート(用紙)に移動する。
【0055】
定着装置35は、シート転写装置34により中間転写ベルト33からシートに移動したトナーすなわちトナー像をシートに固定(定着)する。
【0056】
廃トナー収集機構36は、第1、第2の単色画像形成ステーションの転写装置(1次転写部)の近傍においてクリーナが除去した感光体ドラムから中間転写ベルト33に移動することなく(個々の感光体ドラムに)残った転写残りトナー(余剰なトナー)を、廃トナー回収装置38が回収(保持)可能に収集する。
【0057】
中間転写ベルトクリーナ37は、シート転写装置(2次転写部)34の近傍において、中間転写ベルト33からシートに移動することなく中間転写ベルト33に残った転写残り(余剰な)トナーを、同様に、廃トナー回収装置38が回収(保持)可能に収集する。
【0058】
廃トナー回収装置38は、廃トナー収集機構36が収集した転写残りトナー、及び中間転写ベルトクリーナ37が収集した転写残りトナーを回収する。
【0059】
第1、第2の単色画像形成ステーションにおける画像形成動作に対応する所定タイミングで、給紙機構42が用紙カセット41からシートを引き出す。分離機構43がシートを1枚に分離し、搬送機構44が中間転写ベルト33とシート転写装置34とが接する転写位置に(シートを)移動する。すなわち、給紙機構42がシートカセット41から引き出し、分離機構43が1枚に分離したシートは、搬送機構44を通って転写位置に移動する。シートが転写位置に移動するタイミングは、アライニング機構45が第1、第2の単色画像形成ステーションにおける画像形成動作に対応して設定する。
【0060】
定着装置35は、シート及びシートに静電的に付着した状態のトナーを加熱し、圧力を与え、トナーをシートに固定する。すなわち、シート転写装置34が静電的に、シートに移動したトナー(トナー像)は、定着装置35が出力する熱で溶融し、顕色化材の作用を受けて発色する呈色性化合物(色素の前駆体化合物)への顕色剤の効力として所定の色を呈し、その状態(発色)を維持して、定着装置35からの圧力でシートに密着(熱融着)する。
【0061】
定着装置35が定着するトナー(トナー像)を保持したシートは、出力画像(プリントアウト)として、画像読取部5と画像形成部3との間の空間、もしくはADU(自動両面ユニット)40へ移動する。
【0062】
図2図6図7に示すMFP1の露光装置31は、露光装置31は、信号処理/動作制御部7の画像処理部73が出力する画像データを光の強弱に変換し、第1〜第4の単色画像形成ステーション321a,321b,321c及び321dの感光体ドラム、又は第5〜第8の単色画像形成ステーション322a,322b,322c及び322dの感光体ドラムに照射する。これにより、それぞれの感光体ドラムが潜像(静電像)を形成(生起)する。
【0063】
例えば、第1〜第4の単色画像形成ステーション321a,321b,321c及び321dは、それぞれ、色材51a、51b、51c、及び51dのそれぞれの色の可視像を形成する。つまり、第1〜第4の単色画像形成ステーション321a,321b,321c及び321dは、それぞれ、BK(黒(ブラック)、black)、C(シアン、cyan),M(マゼンタ、magenta),Y(イエロ、yellow),のそれぞれの色の可視像を形成する。第1〜第4の単色画像形成ステーション321a,321b,321c及び321dは、例えばレーザ光である露光装置31からの露光光すなわち画像光に対応する潜像を生起して保持する像担持体(感光体ドラム)、現像装置及び転写装置(1次転写部)を有する。現像装置は、感光体ドラムが保持する上述の潜像にトナーを供給して現像する。転写装置は、感光体ドラムが保持するトナー像(可視像)を、中間転写ベルト33に移動する。各ステーションの配列(位置)すなわち色の順は、画像形成プロセスやトナーの特性に応じて決定する。
【0064】
中間転写ベルト33は、第1〜第4の単色画像形成ステーション321a,321b,321c及び321dが形成するトナー像(可視像)を保持し、搬送する。
【0065】
同様に、第5〜第8の単色画像形成ステーション322a,322b,322c及び322dは、それぞれ、色材61a、61b、61c、及び61dのそれぞれの色の可視像を形成する。つまり、第5〜第8の単色画像形成ステーション322a,322b,322c及び322dは、それぞれ、BK(黒(ブラック)、black)、C(シアン、cyan),M(マゼンタ、magenta),Y(イエロ、yellow),のそれぞれの色の可視像を形成する。
【0066】
第5〜第8の単色画像形成ステーション322a,322b,322c及び322dは、例えばレーザ光である露光装置31からの露光光すなわち画像光に対応する潜像を生起して保持する像担持体(感光体ドラム)、現像装置及び転写装置(1次転写部)を有する。現像装置は、感光体ドラムが保持する上述の潜像にトナーを供給して現像する。転写装置は、感光体ドラムが保持するトナー像(可視像)を、中間転写ベルト33に移動する。各ステーションの配列(位置)すなわち色の順は、画像形成プロセスやトナーの特性に応じて決定する。
【0067】
中間転写ベルト33は、第5〜第8のステーション322a,322b,322c及び322dが形成するトナー像(可視像)を保持し、搬送する。
【0068】
シート転写装置34は、中間転写ベルト33が搬送するトナー像を、シート(用紙)に移動する。
【0069】
定着装置35は、シート転写装置34により中間転写ベルト33からシートに移動したトナーすなわちトナー像をシートに固定(定着)する。
【0070】
廃トナー収集機構36は、第1〜第8の単色画像形成ステーションの転写装置(1次転写部)の近傍においてクリーナが除去した感光体ドラムから中間転写ベルト33に移動することなく(個々の感光体ドラムに)残った転写残りトナー(余剰なトナー)を、廃トナー回収装置38が回収(保持)可能に収集する。
【0071】
中間転写ベルトクリーナ37は、シート転写装置(2次転写部)34の近傍において、中間転写ベルト33からシートに移動することなく中間転写ベルト33に残った転写残り(余剰な)トナーを、同様に、廃トナー回収装置38が回収(保持)可能に収集する。
【0072】
廃トナー回収装置38は、廃トナー収集機構36が収集した転写残りトナー、及び中間転写ベルトクリーナ37が収集した転写残りトナーを回収する。
【0073】
第1〜第8の単色画像形成ステーションにおける画像形成動作に対応する所定タイミングで、給紙機構42が用紙カセット41からシートを引き出す。分離機構43がシートを1枚に分離し、搬送機構44が中間転写ベルト33とシート転写装置34とが接する転写位置に(シートを)移動する。すなわち、給紙機構42がシートカセット41から引き出し、分離機構43が1枚に分離したシートは、搬送機構44を通って転写位置に移動する。シートが転写位置に移動するタイミングは、アライニング機構45が第1〜第8の単色画像形成ステーションにおける画像形成動作に対応して設定する。
【0074】
定着装置35は、シート及びシートに静電的に付着した状態のトナーを加熱し、圧力を与え、トナーをシートに固定する。すなわち、シート転写装置34が静電的に、シートに移動したトナー(トナー像)は、定着装置35が出力する熱で溶融し、顕色化材の作用を受けて発色する呈色性化合物(色素の前駆体化合物)への顕色剤の効力として所定の色を呈し、その状態(発色)を維持して、定着装置35からの圧力でシートに密着(熱融着)する。
【0075】
定着装置35が定着するトナー(トナー像)を保持したシートは、出力画像(プリントアウト)として、画像読取部5と画像形成部3との間の空間、もしくはADU(自動両面ユニット)40へ移動する。
【0076】
図1図2図6図7に示すMFP1のADU40は、第1の面にトナー像が密着したシートの第1の面の背面となる第2面にトナーが移動可能にシートの表裏を反転し、表裏が反転したシートを、アライニング機構45に移動(位置)する。ADU40は、図8に一例を示すが、例えばアライニング機構45の前段でのシートジャム等の発生時のシートの除去のため、支点40aを支点としてMFP1の機体側面から開放可能である。第2手差しトレイ146が位置する支点146aは、ADU40の通常使用時は、外部から見えない。すなわち、第2手差しトレイ146は、ADU40を開放することで使用可能である。なお、第2手差しトレイ146は、ADU40内に常時位置するものではなく、手差しトレイ46を支点46aから取り外し、開放したADU40内に位置する支点146aに装着することで利用可能であり、部品コストの低減を実現している。
【0077】
信号処理/動作制御部7は、図8に一例を示すが、例えばパーソナルコンピュータ(PC、Personal Computer)等の外部装置から、あるいはネットワーク等を経由して供給される画像データを受けつける画像入力部(入力インタフェース)71、画像読取部5が生成した画像信号あるいは入力インタフェース71からの画像データに、上述の、文字特定、輪郭補正、色調補正、γ特性、等について所定の処理を行う画像処理部73、画像処理部73が処理した画像データを、露光装置31による露光光として用いるための変調信号(露光信号)に変換する変調回路(露光信号生成部)75、等を含む。
【0078】
信号処理/動作制御部7はまた、入力インタフェース71、画像処理部73、露光信号生成部75、等の画像信号系を制御する制御装置(CPU、Central Processing Unit)77、及び画像形成部3と画像読取部5とを含むMFP1の全体の動作を制御する主制御装置(MPU、Main Processing Unit)79を有し、画像読取動作、画像形成動作、及び以下に説明する消色(変色)時の定着装置35の温度(定着→消去(変色)/消去(変色)→定着)等、を制御する。なお、MPU79は、MFP1に対する指示(操作)を受けつけるコントロールパネル(操作部)9からの制御入力に従い、MFP1の各部(要素)を制御する。また、操作部9は、例えば文字列あるいは記号(ピクトグラム、pictogram/アイコン、icon)等として広く知られている表示(ユーザインタフェース)により、MFP1の各部の状態、例えば消去→定着時の温度の変更のための待ち時間、等を表示する表示部9aを有し、ユーザによる制御入力の受けつけ及び受けつけた入力の表示及びMPU79の制御に従う、上記表示等を表示する。
【0079】
信号処理/動作制御部7はまた、ROM(Read Only Memory、読み出し専用(プログラム)メモリ)111、RAM(Random Access Memory、ランダムアクセスメモリ)113、NVM(Non-volatile Memory、不揮発性メモリ)115、画像処理部73における画像処理に用いるページメモリ(ワークメモリ)117、及び例えばADU40の開放を検出するセンサ(開放センサ)、手差しトレイ46及び第2手差しトレイ146のいずれか一方の使用可能状態(トレイが支点46aと支点146aのどちらに位置しているか)等を示すトレイセンサ出力を、等をMPU79に入力するI/Oポート119、等と接続する。
【0080】
MPU79は、任意のモータ131,133,・・・,139の回転を制御するモータドライバ121と接続する。図1のMFP1のモータ131は、例えば第1〜第4の単色画像形成ステーション321a,321b,321c及び321d,及び中間転写ベルト33等を駆動する。また、図2図6図7のMFP1のモータ131は、例えば第1〜第8の単色画像形成ステーション321a,321b,321c及び321d,及び中間転写ベルト33等を駆動する。モータ133は、シートの搬送に関わるカセットから定着装置35(ADU40)までの間の要素、例えば給紙機構42、分離機構43、搬送機構44、アライニング機構45及びシート転写装置34、同じく手差しトレイ46〜定着装置35までの間の要素、例えば給紙機構47、分離機構48及びタイミング整合機構49、同じく第2手差しトレイ146〜定着装置35までの間の要素、例えば給紙機構147、分離機構148及び第2のタイミング整合機構149等を駆動する。なお、定着装置35は、独立に、例えばモータ139が駆動する。また、手差しトレイ46〜定着装置35までの間の要素と、第2手差しトレイ146〜定着装置35までの間の要素と、を独立したモータで駆動することも可能である。
【0081】
MPU79はまた、定着装置35の温度を変化するためのヒータを駆動するヒータ制御装置123と接続する。
【0082】
図9に、消去動作時の動作の一例を示す。
【0083】
シート上のトナーが消色トナーである場合、シート及びトナーに所定の熱(温度)を与えることで、顕色剤の作用を受けて発色する呈色性化合物(色素の前駆体化合物)への顕色剤の効力を低減し、発色状態を解消して消色する。或いは、シート上のトナーが変色トナーである場合、シート及びトナーに所定の熱(温度)を与えることで、現在の色から異なる色(透明色)へ変色する。
【0084】
なお、消色(変色)温度(熱)は、定着装置35の例えばローラに組み込まれるヒータランプあるいはベルトの金属層もしくはローラの金属面に誘導熱を生じさせるIH(誘導加熱)ヒータ等が提供する。また、実施形態においては、消去装置を独立に持たず、定着装置35が提供する熱を定着温度より高い消色(変色)温度に変更することで、消色(変色)する。
【0085】
操作部9からの消去(変色)モードの選択に基づいて、例えば『ADU(自動両面ユニット)を開放してください』等のメッセージを、表示パネル9a(操作部)に表示する[01]。
【0086】
定着装置35の温度を、ヒータ制御装置123からのヒータへの制御指示に従い、消去(変色)温度まで上昇する制御(消色昇温制御(第1の温度制御))を開始する。[02]。
【0087】
ADUの開放を、センサ出力すなわちI/O119への入力に基づいて検出し、例えば『手差しトレイをADU内に装着してください』等の、消去(変色)動作の準備を促すメッセージを、表示パネル9aに表示する[03]。
【0088】
手差しトレイの消去(変色)時の位置(支点146a)へのセット(装着)を、センサ出力すなわちI/O119への入力に基づいて検出する[04]。
【0089】
定着装置35の温度が消色(変色)温度に達した(温度が消色(変色)温度まで上昇した)ことを検出し[05−YES]、『[スタート]ボタンをオンしてください』等の消色(変色)動作開始を促すメッセージを、表示パネル9a(操作部)に表示する[06]。
【0090】
以下、消色(変色)するシートの残りがある場合、消去(変色)動作を繰り返し[07−YES]、残りシートがなくなった場合[07−NO]、待機となる。
【0091】
なお、消去(変色)モード時は、ADUが開放状態であるため、モータ制御装置123がモータ139(定着装置)及びモータ133(第2手差しトレイ〜定着装置までの間の要素)のみを動作するよう、制御するものとする。これにより、画像形成ステーションを駆動するモータ131等が消費する電力が不要となり、節電となる。
【0092】
図10に、消去動作から画像形成動作への復帰動作の一例を示す。
【0093】
消色(変色)トナーの色を消去(変色)するため、定着装置35の温度は、定着動作に用いる温度よりも高い消去温度に変更されている。従って、画像形成が指示された場合、定着装置35の温度を、定着動作に適した温度に設定する温度低減制御(第2の温度制御)が必要である。
【0094】
操作部9からの消去(変色)モードの終了の選択に基づいて、例えば『手差しトレイをADUから取り外して、ADUを閉じてください』等のメッセージを、表示パネル9a(操作部)に表示する[11]。
【0095】
定着装置35の温度を、ヒータ制御装置123からのヒータへの制御指示に従い、定着温度に設定する制御(第2の温度制御)を開始する[12]。
【0096】
定着装置35の温度が、定着可能温度であることを検出する[13]。
【0097】
定着温度に達するまでの時間が一定時間よりも長いと予測できる(例えば定着温度よりも10%以上高い)温度である場合[13−NO]、モータ139を一定時間動作して、定着装置35のローラ(ベルト)を駆動する[14]。これにより、定着装置35の温度の低下が促進する。
【0098】
一定時間の定着装置35のローラ(ベルト)の駆動後、定着可能温度に達したことを検出する[15]。
【0099】
定着温度に達するまでの時間が一定時間よりも長いと予測できる(例えば定着温度よりも10%以上高い)温度である場合[15−NO]、モータ139のみを動作し、定着装置35のローラ(ベルト)を駆動する[14]。
【0100】
定着装置35の温度が定着温度に達するまでの時間が一定時間内である場合(定着温度よりも高いが10%未満である)温度である場合[13−YES]、[15−YES]、『コピーできます』等のユーザの動作を促すメッセージを、表示パネル9aに表示する[16]。この場合、定着装置35の温度が完全に定着温度に低下するまで、僅かなタイムラグが生じることがあるが、ユーザが、不所望に待ち時間を意識することがない。もちろん、例えば『10秒ほどお待ちください』等のメッセージを、表示してもかまわない。
【0101】
次に、定着温度制御と画像安定化処理の実行制御について説明する。
【0102】
図1図2図6図8に示すMFP1は、消色印刷モード又は非消色印刷モードで画像を形成することができる。例えば、ユーザは、操作部9を介して、表示部9aのモード選択画面から、消色印刷モードを指定したり、非消色印刷モードを指定したりすることができる。
【0103】
信号処理/動作制御部7は、消色印刷モードの指定に対応し、色材51a、及び色材51aに対向する位置の第1の単色画像形成ステーションにより画像を形成する。或いは、信号処理/動作制御部7は、消色印刷モードの指定に対応し、色材51a、51b、51c、51d、及び色材51a、51b、51c、51dに対向する位置の第1〜4の単色画像形成ステーションにより画像を形成する。
【0104】
また、信号処理/動作制御部7は、非消色印刷モードの指定に対応し、色材61a、及び色材61aに対向する位置の第2の単色画像形成ステーションにより画像を形成する。或いは、信号処理/動作制御部7は、非消色印刷モードの指定に対応し、色材61a、61b、61c、61d、及び色材61a、61b、61c、61dに対向する位置の第5〜8の単色画像形成ステーションにより画像を形成する。
【0105】
例えば、図3に示すように、消色トナーの定着可能温度(下限温度)が約150度、非消色トナーの定着可能温度(下限温度)が約170度、消色トナーの消去温度(規定温度より高い温度)が約190度であるとする。なお、本実施形態では、消色トナーの定着可能温度(下限温度)と非消色トナーの定着可能温度(下限温度)とが異なるケースについて説明するが、消色トナーの定着可能温度(下限温度)と非消色トナーの定着可能温度(下限温度)は同じであってもよい。
【0106】
消色印刷モードの指定又は実行中、或いは非消色印刷モードの指定又は実行中に、ヒータ制御装置123は、ヒータのオン/オフを制御し、定着装置35を第1の温度から第2の温度までの範囲の定着温度に制御する。例えば、ヒータ制御装置123は、定着装置35を150度(下限温度)から180度(上限温度)までの範囲の定着温度に制御する。ヒータ制御装置123は、ヒータの近傍及び定着装置35の近傍の温度を検出し、定着装置35を150度から180度までの範囲の定着温度に制御する。なお、消去動作時には、例えば、ヒータ制御装置123は、ヒータの近傍及び定着装置35の近傍の温度を検出し、定着装置35を190度から195度までの範囲の消去温度に制御する。
【0107】
連続印刷中に、定着装置35を一定の温度(定着温度)に保てないことがあり、場合によっては消色トナーによる画像形成モードの実行中に、定着装置35の温度が定着温度の上限(例えば180度)を超えてしまうこと、185度を超えてしまうこと、又は190度を超えてしまうことがある。このように、定着装置35の温度が、定着温度を超えてしまうと(消去温度には到達しない)、定着装置35による画像の定着時に、消色トナーにより印刷された画像が変色し劣化してしまうことがある。また、定着装置35の温度が、消去温度に到達してしまう、又は消去温度を超えてしまうと、定着装置35による画像の定着時に、消色トナーにより印刷された画像が消去されてしまう。
【0108】
そこで、消色印刷モードの実行中に、定着装置35の温度が定着温度を超えてしまった場合、定着装置35の温度が消色トナーの消去温度に到達してしまった場合、又は消去温度を超えてしまった場合、定着装置35の熱源をオフにして消色トナーによる画像形成を中断し、定着装置35の温度が定着温度の範囲に収まるまで、画像形成を再開しない。
【0109】
このような待ち時間において、MPU79は、画像安定化処理の実行を制御する。例えば、画像安定化処理は、画質を調整する処理である。つまり、画像安定化処理は、画像濃度を最適化する処理、又は色ずれを補正する処理などである。例えば、画像形成部3は、中間転写ベルト33にテストパターン(グラデーションパターン、ベタパターン)を形成し、センサS1がテストパターンを読み取り、テストパターンの読み取り結果に基づき画質(濃度、色ずれ)を調整(補正)する。
【0110】
また、MPU79は、画像形成の中断、画像安定化処理に対応する各種の案内の出力を制御する。これに対応して、表示部9aは、定着装置35の温度上昇による画像形成の中断、待ち時間を有効活用するための画像安定化処理の実行等のメッセージ(案内)を表示する。
【0111】
MPU79は、定着装置35の温度が定着温度の範囲に収まり、画像安定化制御が終了したら、消色印刷モードの画像形成を再開する。或いは、MPU79は、定着装置35の温度が定着温度の範囲に収まると、画像安定化制御を終了(強制終了)し、消色印刷モードの画像形成を再開する。
【0112】
なお、ユーザは、操作部9の表示部9aを介して、待ち時間を利用した画像安定化処理の実行の有効又は無効を入力することができる。MPU79は、画像安定化処理の有効の入力に対応して、画像安定化処理を実行することを有効に設定し、待ち時間のタイミングで画像安定化処理を実行する。また、MPU79は、画像安定化処理の無効の入力に対応して、画像安定化処理を実行することを無効に設定し、待ち時間のタイミングでも画像安定化処理を実行しない。
【0113】
このように、印刷不可状態において画像安定化処理を実行することにより、待ち時間を有効に使うことができる。
【0114】
なお、非消色印刷モードが指定又は実行されている場合に、定着装置35の温度が定着温度を超えてしまった場合、定着装置35の温度が消色トナーの消去温度に到達してしまった場合、又は消去温度を超えてしまった場合、MPU79は、定着装置35の熱源をオフにして、定着装置35の温度が定着温度に収まるように制御するが、非消色印刷モードの画像形成は中断せずに継続(実行)する。また、MPU79は、画像安定化処理を実行しない。
【0115】
図4は、定着装置35の温度変化の一例を示す図であり、図5は、画像安定化処理の実行制御の一例を示すフローチャートである。
【0116】
例えば、MFP1が起動すると、ヒータ制御装置123は、定着装置35の熱源の加熱を開始し、その後、熱源の加熱をオン/オフ制御し、定着装置35は待機温度に維持される(Ready中)。例えば、ユーザが、操作部9の表示部9aを介して、消色印刷モード又は非消色印刷モードで印刷開始を指示すると、ヒータ制御装置123は、待機温度に維持されている定着装置35の熱源の加熱をオン/オフ制御し、定着装置35は定着温度に維持される。定着装置35が定着可能温度に到達すると、印刷が可能となり、画像形成部3は印刷を開始する。
【0117】
ユーザが、操作部9の表示部9aを介して、消色印刷モードを選択し[101]、印刷開始を指示し[102]、定着装置35が、定着温度に維持されている間は[103−YES]、画像形成部3は消色トナーによる画像形成を実行し[104]、表示部9aは、「消色トナー印刷中」等のメッセージを表示する[105]。印刷ジョブが終了するまで継続される[110、111]。
【0118】
ユーザが、操作部9の表示部9aを介して、消色印刷モードを選択し[101]、印刷開始を指示し[102]、定着装置35が、消色温度を超えた場合[103−NO]、又は定着温度の上限温度を超えた場合、又は消色温度に近づいた場合には、定着装置35の熱源をオフにして、MPU79は、消色トナーによる画像形成を中断する。さらに、画像安定化処理の実行が無効に設定されている場合には[106−NO]、定着装置35の温度が定着温度の範囲に収まるまで、消色トナーによる画像形成を再開しない[107]。画像安定化処理の実行が有効に設定されている場合には[106−YES]、定着装置35の温度が定着温度の範囲に収まるまでの待ち時間において、MPU79は、画像安定化処理を実行し[108]、表示部9aは、「画像安定化制御実行中」等のメッセージを表示する[109]。
【0119】
上記説明では、定着装置35が定着温度の上限温度を超える、消色温度に近づく、又は消色温度を超える場合に、消色トナーによる画像形成を中断するケースについて説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、消色トナーによる高速印刷モードと、高画質印刷モードとを用意し、ユーザが、消色トナーによる高速印刷モードを選択した場合には、定着装置35が定着温度の上限温度を超えても、消色温度に近づかなければ(例えば185度以下であれば)、消色トナーによる画像形成を実行する。ユーザが、消色トナーによる高画質印刷モードを選択した場合には、定着装置35が定着温度の上限温度を超える場合には、消色トナーによる画像形成を中断する。
【0120】
また、定着装置35が定着温度の上限温度を超え、消去温度に近づいた状態で、画像を定着することにより、薄い色の印刷を実現することもできる。例えば、定着装置35を185度程度に加熱し、薄い色の印刷を実現することもできる。
【0121】
以下、本実施形態についてまとめる。
【0122】
本実施形態のMFP1によれば、定着装置の高温化による不具合を改善することができる。例えば、MFP1は、定着装置35が定着温度の上限温度を超える、消色温度に近づく、消色温度を超える場合に、消色トナーによる画像形成を中断する。これにより、消色トナーにより画質劣化した画像、消去されてしまった画像が形成されてしまうことを防止できる。
【0123】
また、MFP1は、定着装置35が定着温度になるまでの待ち時間において、画質安定化処理を実行するなどして、待ち時間を有効に使うことができる。さらに、待ち時間において、画質安定化処理を実行することにより、例えば中間転写ベルト、感光体ドラムが回転するなどして、機内に気流が生じ、定着装置35の温度の低下を促進することができる。
【0124】
なお、上述した「消色」トナーまたはインクすなわち画像形成材料は、呈色性化合物、顕色剤、バインダー樹脂等を含む。顕色剤の作用を受けて呈色性化合物が発色した状態の画像形成材料に熱を加えると、バインダー樹脂が軟化し、主に顕色剤がバインダー樹脂の内部から表面へ移動し易くなると供に、用紙中へ移動及びまたは拡散する。このため、呈色性化合物が顕色剤の作用を受けなくなり、呈色性化合物の色を認識できなくなる。
【0125】
呈色性化合物は、画像を形成する色素の前駆体化合物であり、例えばロイコオーラミン類、ジアリールフタリド類、ポリアリールカルビノール類、アシルオーラミン類、アリールオーラミン類、ローダミンB ラクタム類、インドリン類、スピロピラン類、フルオラン類等の電子供与性有機物を用いることが好ましい。
【0126】
顕色剤は、呈色性化合物との相互作用(主に電子またはプロトンの授受)により呈色性化合物を発色させる化合物であり、例えばフェノール類、フェノール金属塩類、カルボン酸金属塩類、ベンゾフェノン類、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類等を用いることが好ましい。
【0127】
また、バインダー樹脂は、呈色性化合物と顕色剤を発色状態で分散させるものであり、一定の熱が与えられることにより呈色性化合物と相溶し、顕色剤と親和性を有しない特性を示すものであればよい。
【0128】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
規定温度より高い温度の加熱により変色する変色材により画像をシートに形成する画像形成手段と、
下限温度から前記規定温度より低い上限温度までの範囲の定着温度で加熱して画像をシートへ定着させる定着手段と、
前記定着手段を前記定着温度に制御する温度制御手段と、
前記定着手段が前記定着温度になるまでの待ち時間において画像安定化処理の実行を制御する動作制御手段とを備える画像形成装置。
[2]
規定温度より高い温度の加熱により変色する変色材により画像を形成する第1のモード、又は加熱により変色しない非変色材により画像を形成する第2のモードを指定する指定手段を備え、
前記画像形成手段は、前記第1のモードの指定に対応して、前記変色材により画像をシートに形成し、前記第2のモードの指定に対応して、前記非変色材により画像をシートに形成し、
前記動作制御手段は、前記第1のモードの指定に対応して、前記定着手段が前記定着温度より高い温度から前記定着温度になるまでの待ち時間において前記画像安定化処理の実行を制御する[1]の画像形成装置。
[3]
前記動作制御手段は、前記第1のモードによる画像形成中に、前記定着手段が前記定着温度より高くなると、前記第1のモードによる画像形成を中断する[2]の画像形成装置。
[4]
前記動作制御手段は、前記定着手段が前記定着温度になると、前記第1のモードによる画像形成を再開する[3]の画像形成装置。
[5]
前記動作制御手段は、前記第1のモードによる画像形成中に、前記定着手段が前記定着温度より高くなると、前記定着手段が前記定着温度より高い温度から前記定着温度になるまでの待ち時間において前記画像安定化処理を実行する[1]乃至[4]の何れか一つの画像形成装置。
[6]
前記動作制御手段は、前記定着手段が前記定着温度になり、前記画像安定化処理が終了すると、前記第1のモードによる画像形成を再開する[5]の画像形成装置。
[7]
前記動作制御手段は、前記定着手段が前記定着温度になると、前記画像安定化処理を中止し、前記第1のモードによる画像形成を再開する[5]の画像形成装置。
[8]
前記画像安定化処理の実行を案内する案内手段を備える[1]乃至[7]の何れか一つの画像形成装置。
[9]
前記待ち時間において前記画像安定化処理の実行を有効又は無効に設定する設定手段を備え、
前記動作制御手段は、前記設定に基づき画像安定化処理の実行を制御する[1]乃至[8]の何れか一つの画像形成装置。
[10]
前記動作制御手段は、前記第2のモードの指定に対応して、前記定着手段が前記定着温度より高くても前記第1のモードによる画像形成を実行する[1]乃至[9]の何れか一つの画像形成装置。
[11]
前記動作制御手段は、前記第2のモードの指定に対応して、前記定着手段が前記定着温度より高くても前記画像安定化処理を実行しない[1]乃至[10]の何れか一つの画像形成装置。
[12]
前記動作制御手段は、前記画像安定化処理として、画質を調整する[1]乃至[11]の何れか一つの画像形成装置。
[13]
前記動作制御手段は、前記画像安定化処理として、転写ベルト上にテストパターンを形成し、前記テストパターンを読み取り、前記テストターンの読み取り結果に基づき画質を調整する[1]乃至[12]の何れか一つの画像形成装置。
[14]
前記変色材は、加熱により消色する色材である[1]乃至[13]の何れか一つの画像形成装置。
[15]
画像をシートへ定着させる定着手段を下限温度から規定温度より低い上限温度までの範囲の定着温度に制御し、
前記定着手段が前記定着温度になるまでの待ち時間において画像安定化処理の実行を制御し、
規定温度より高い温度の加熱により変色する変色材により画像をシートに形成し、
前記定着温度に制御された前記定着手段の加熱により画像をシートへ定着させる画像形成方法。
【符号の説明】
【0129】
1…MFP(画像形成装置)、3…画像形成部、7…制御(信号処理/動作制御)部、9…操作部、9a…表示部、34…シート転写装置、35…定着装置、40…自動両面ユニット、40a…自動両面ユニット支点、45…アライニング機構、46…手差しトレイ(消去用トレイ)、46a…手差しトレイ支点、49…タイミング整合機構、77…CPU(画像信号系制御装置)、79…MPU(主制御装置)、119…I/Oポート(入力検出/トレイ位置検出)、121…モータドライバ、123…ヒータ制御装置、146a…手差しトレイ(消去時利用)支点、149…(消去時用)タイミング整合機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10