特許第5789628号(P5789628)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧 ▶ 株式会社小糸製作所の特許一覧

<>
  • 特許5789628-灯具 図000002
  • 特許5789628-灯具 図000003
  • 特許5789628-灯具 図000004
  • 特許5789628-灯具 図000005
  • 特許5789628-灯具 図000006
  • 特許5789628-灯具 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789628
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/10 20060101AFI20150917BHJP
   F21W 101/12 20060101ALN20150917BHJP
   F21W 101/14 20060101ALN20150917BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150917BHJP
【FI】
   F21S8/10 371
   F21S8/10 352
   F21W101:12
   F21W101:14
   F21Y101:02
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-47890(P2013-47890)
(22)【出願日】2013年3月11日
(65)【公開番号】特開2014-175204(P2014-175204A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2014年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 誠
(72)【発明者】
【氏名】寺井 英晃
(72)【発明者】
【氏名】内野 光二
(72)【発明者】
【氏名】西島 光彦
【審査官】 松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−277708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光が入射される入射面と、前記入射面から入射された光を出射する出射面と、前記入射面から入射された光を前記出射面へと導く導光部と、を有する導光体と、
前記入射面と対向する位置に設けられた前記光源と、
前記導光体が取り付けられる対象部材と、を有する灯具において、
前記導光体の前記出射面は、前記対象部材の表側から見える位置であって、前記対象部材の表側に露出する位置あるいは前記対象部材の裏側の位置、に配置されており、
前記出射面が前記対象部材の表側に露出する位置に配置されている場合、前記対象部材は不透明な部材または透明な部材で成形されており、前記対象部材の裏側における前記出射面の周囲は塗装または不透明部材による有色部にて覆われており、
前記出射面が前記対象部材の裏側の位置に配置されている場合、前記対象部材は透明な部材で成形されており、前記対象部材の裏側における前記出射面の周囲は前記塗装または前記不透明部材による前記有色部にて覆われており、
前記対象部材の表側から見た前記出射面が、周囲の色彩と同じ色彩に見えるように、前記対象部材の裏側に位置している前記導光部であって前記出射面の周囲となる前記導光部、の表面は前記塗装または前記不透明部材による前記有色部にて覆われており、
前記導光部は、前記出射面の正面方向から見た場合に前記入射面及び前記光源が前記出射面の奥の位置となることなく前記有色部の裏側に回り込んだ位置となるように、前記出射面に対して傾斜した形状あるいは前記出射面から前記入射面に至る経路が屈曲した形状を有している、
灯具。
【請求項2】
請求項1に記載の灯具であって、
前記導光体の前記出射面は、対象部材の表側における最も外側となる縁部に配置されている、
灯具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の灯具であって、
前記導光体の前記入射面には、前記入射面から前記導光部に入射された光を複数方向に屈折させるための表面処理が施されている、
灯具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の灯具であって、
前記導光体の前記出射面が対象部材の表側に露出する位置に配置されている場合、対象部材は透明または不透明な樹脂またはガラスであり、
前記導光体の前記出射面が対象部材の裏側の位置に配置されている場合、対象部材は透明な樹脂またはガラスである、
灯具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の灯具であって、
車両のリアウィンドであって、透明領域と不透明領域とを有して前記不透明領域が前記有色部によって形成されている前記リアウィンド、の前記不透明領域に適用され、
前記対象部材が透明な部材である、
灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂やガラス等の対象部材と、光源となるLEDと、入射面から入射された光を出射面へと導く導光体と、を有する灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば近年の車両の中には、差別化等の目的で、斬新な立体感の有る点灯状態を有する灯具を備えたものがある。
例えば特許文献1に記載された従来技術には、図6(A)に示すように、灯具110の前面に配置されたレンズ110A、灯具110の底面及び側面を構成しているボディ110B、灯具110内に収容されているLED111(発光ダイオード)、導光体114、遮熱板115、白熱電球116、を備えた車両用信号灯具が開示されている。この灯具110では、LED111から放射される光Lは、第1の一次反射面112Aにて円周方向に反射され、第2の一次反射面112Bにて斜め後方に反射される。そして円周方向に反射された光Lは、第1の二次反射面113Aにてレンズ110Aに向かう前方に反射され、斜め後方に反射された光Lは、第2の二次反射面113Bにてレンズ110Aに向かう前方に反射される。そして、第1及び第2の二次反射面にて前方に反射された光Lによって、立体感の有る点灯状態を実現している。
また例えば特許文献2に記載された従来技術には、図6(B)に示すように、車両のリアウィンド120の内側にホログラム128を貼り、ホログラム128の裏側からリアウィンド120の外側に向かう光源121からの光Lを導光する導光体124を備えた車両用警告灯が開示されている。また、ホログラム128の周囲は、黒セラミック隠蔽層126にて覆われており、ホログラム128及びホログラムの周囲の黒セラミック隠蔽層126は、枠体127にて覆われている。そして枠体127は、車体123に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−216510号公報
【特許文献2】特開平7−112640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年に無い斬新な灯具として、消灯時において他者から発光部であると視認されない位置を突然発光させる(他者が、まさか発光するとは予想もしていなかった位置を突然発光させる)という、従来には無い灯具の要望がある。
しかし、特許文献1に記載された従来技術では、レンズ110Aが明らかな凸レンズまたは凹レンズであれば、当該レンズ110Aを見た他者は、消灯時であっても、その位置が発光することを容易に予想できてしまう。またレンズ110Aが、凸レンズまたは凹レンズでなく単純な平面状の透明体であっても、他者は、透明体のレンズ110Aの裏側にある導光体114及びLED111を視認できるので、消灯時であっても、その位置が発光することを容易に予想できてしまう。
また特許文献2に記載された従来技術では、他者は、リアウィンド120の裏側に配置されたホログラム128を視認可能であり、ホログラムの周囲が黒セラミック隠蔽層で囲まれているので、消灯時であっても、黒セラミック隠蔽層で囲まれた位置が発光することを容易に予想できてしまう。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、消灯時において他者から発光部を視認されにくく、他者が発光するとは予想しなかった位置を発光させることができる灯具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る灯具は次の手段をとる。
まず、本発明の第1の発明は、光源からの光が入射される入射面と、前記入射面から入射された光を出射する出射面と、前記入射面から入射された光を前記出射面へと導く導光部と、を有する導光体と、前記入射面と対向する位置に設けられた前記光源と、前記導光体が取り付けられる対象部材と、を有する灯具である。
そして、前記導光体の前記出射面は、前記対象部材の表側から見える位置であって、前記対象部材の表側に露出する位置あるいは前記対象部材の裏側の位置、に配置されており、前記出射面が前記対象部材の表側に露出する位置に配置されている場合、前記対象部材は不透明な部材または透明な部材で成形されており、前記対象部材の裏側における前記出射面の周囲は塗装または不透明部材による有色部にて覆われており、前記出射面が前記対象部材の裏側の位置に配置されている場合、前記対象部材は透明な部材で成形されており、前記対象部材の裏側における前記出射面の周囲は前記塗装または前記不透明部材による前記有色部にて覆われており、前記対象部材の表側から見た前記出射面が、周囲の色彩と同じ色彩に見えるように、前記対象部材の裏側に位置している前記導光部であって前記出射面の周囲となる前記導光部、の表面は前記塗装または前記不透明部材による前記有色部にて覆われており、前記導光部は、前記出射面の正面方向から見た場合に前記入射面及び前記光源が前記出射面の奥の位置となることなく前記有色部の裏側に回り込んだ位置となるように、前記出射面に対して傾斜した形状あるいは前記出射面から前記入射面に至る経路が屈曲した形状を有している。
【0006】
この第1の発明では、導光体の出射面は、対象部材の表側に露出する位置または対象部材の裏側の位置に配置されている。また出射面は、周囲の色彩と同じ色彩に見えるように、対象部材の裏側に位置する導光部であって出射面の周囲の導光部の表面は、塗装または不透明部材による有色部にて覆われている。また出射面が対象部材の表側に露出する位置に配置されている場合、対象部材は不透明な部材または透明な部材で成形されており、出射面が対象部材の裏側の位置に配置されている場合、対象部材は透明な部材で成形されている。そして対象部材の裏側における出射面の周囲は塗装または不透明部材による有色部にて覆われている。
これにより、消灯時において他者から発光部を視認されにくく、他者が発光するとは予想しなかった位置を発光させることができる灯具を実現することができる。
【0007】
また、第1の発明に係る灯具は、前記導光体の前記導光部における前記入射面から前記出射面に至る形状は、屈曲した形状に形成されている、または導光部は出射面に対して傾斜した形状に形成されている。
【0008】
この第1の発明では、導光部を屈曲または傾斜させることで、確実に他者から直接的に見えない位置に光源を配置することができる等、光源の配置の自由度を上げることができる。
【0009】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る灯具であって、前記導光体の前記出射面は、対象部材の表側における最も外側となる縁部に配置されている。
【0010】
この第2の発明では、対象部材の表側における最も外側となる縁部に、出射面が配置されている。
これにより、例えば図6(A)に示すような従来の灯具では発光させることができなかった最も外側の縁部(図6(A)におけるボディ110Bの縁部)を発光させることができるので、他者が発光するとは予想しなかった位置を発光させることができる。
【0011】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係る灯具であって、前記導光体の前記入射面には、前記入射面から前記導光部に入射された光を複数方向に屈折させるための表面処理が施されている。
【0012】
この第3の発明では、導光体の入射面には、光を複数方向に屈折させる表面処理が施されている。
これにより、入射面にて光を複数方向に拡散させ、拡散された光を出射面から出射することで、出射面の全体を均一に発光させることができる。
【0013】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明〜第3の発明のいずれか1つに係る灯具であって、前記導光体の前記出射面が対象部材の表側に露出する位置に配置されている場合、対象部材は透明または不透明な樹脂またはガラスであり、前記導光体の前記出射面が対象部材の裏側の位置に配置されている場合、対象部材は透明な樹脂またはガラスである。
【0014】
この第4の発明では、出射面が対象部材の表側に露出している場合、対象部材は透明または不透明な樹脂またはガラスであり、出射面が対象部材の裏側に配置されて表側に露出していない場合、対象部材は透明な樹脂またはガラスである。
これにより、出射面が対象部材の表側に露出していない場合であっても、出射面からの光を対象部材の表側に透過させることができる。
次に、本発明の第5の発明は、上記第1の発明〜第4の発明のいずれか1つに係る灯具であって、車両のリアウィンドであって、透明領域と不透明領域とを有して前記不透明領域が前記有色部によって形成されている前記リアウィンド、の前記不透明領域に適用され、前記対象部材が透明な部材である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(A)は第1の実施の形態の灯具の外観及び灯具を構成する各要素の斜視図を示しており、(B)は(A)におけるA1−A1断面図を示しており、(C)は(B)のA2方向から見た図を示している。
図2】(A)は第2の実施の形態の灯具の外観及び灯具を構成する各要素の斜視図を示しており、(B)は(A)におけるB1−B1断面図を示しており、(C)は(B)のB2方向から見た図を示している。
図3】対象部材の裏側に導光体の出射面を配置した例を説明する図である。
図4】導光部を屈曲させる角度を変更した例を説明する図である。
図5】本発明の灯具を、車両のリアウィンドに適用した例を説明する図である。
図6】従来の灯具の構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。本発明は、消灯時において他者から発光部を視認されにくく、発光するとは予想しなかった位置を発光させることができる灯具である。
【0017】
●[第1の実施の形態の灯具10Aの構造(図1)]
図1(A)〜(C)に示すように、第1の実施の形態の灯具10Aは、導光体13Aと、導光体13Aが取り付けられる対象部材11A、12A(発光部を設けたい部材)と、LED20(発光ダイオードであり、光源に相当)と、を有している。
なお第1の実施の形態の灯具10Aは、導光体13Aの出射面13Nを、対象部材11A、12Aの表側に露出する位置に配置した例を示している。
本実施の形態の例では、発光部を設けたい対象部材は、板状の対象部材12Aと、対象部材12Aを収容可能な空洞部11Kを有する対象部材11Aとで構成されている。
対象部材11A、12Aは、透明または不透明な、樹脂またはガラスである。
そして図1(B)、(C)に示すように、対象部材11A、12Aの境界部には、導光体13Aの出射面13Nの側の縁部が挟み込まれており、出射面13Nが対象部材11A、12Aの表側に露出するように配置されている。
そして導光体13Aと対象部材11A、12Aは、二色成形等にて一体成形されている。一体成形することで、比較的容易に灯具10Aを製造することが可能であり、導光体13Aと対象部材11A、12Aとの境界も視認されにくくなる。
【0018】
導光体13Aは、例えば透明な樹脂であり、光源となるLED20からの光が入射される入射面13Mと、入射面13Mから入射された光を出射する出射面13Nと、入射面13Mから入射された光を出射面13Nへと導く導光部13Lと、を有している。
LED20は、入射面13Mと対向する位置に配置され、入射面13Mのサイズに応じて単数または複数が配置される。
なお導光体13Aは、図1(C)に示すように、対象部材11A、12Aの表側の視点Eyの方向から出射面13Nを見た場合に、出射面13Nの先にLED20が見えないように、屈曲した形状を有しており、入射面13M及びLED20は有色部30の裏側に回り込んだ位置に配置されている。
【0019】
さらに図1(C)に示すように、導光部13Lの表面及び対象部材11A、12Aの裏側であって、出射面13Nの周囲は、塗装または不透明部材(不透明な樹脂等)による有色部30にて覆われている。なお有色部30の色彩は、例えば黒色であるが、黒色に限定されず種々の色彩としてもよい。なお図1(A)及び(B)では有色部30の記載を省略している。また有色部30が不透明部材の場合、有色部30は、導光体13A及び対象部材11A、12Aと一体成形されていてもよいし、一体成形されていなくてもよい。
対象部材11A、12Aが不透明な樹脂またはガラスである場合、有色部30の色彩を、対象部材11A、12Aの色彩と同じ色彩にすることが好ましい。また、この場合、有色部30は、導光部13Lの表面のみを覆うようにしてもよい。
以上より、対象部材11Aの裏側に位置する出射面13Nの周囲の導光部13Lの表面は、塗装または不透明部材にて覆われている。また、対象部材11Aは不透明である部材で成形されている、あるいは出射面13Nの周囲の対象部材11Aの裏側は、導光部における出射面の周囲の表面を覆っている塗装または不透明部材にて覆われている。なお、対象部材11Aが不透明である部材で成形されている場合、不透明である部材は、有色部30にて用いられる不透明部材と同じ部材であってもよいし、異なる部材であってもよい。
対象部材11A、12Aが透明な樹脂またはガラスである場合、有色部30の色彩は、どのような色彩であってもよいが、黒色にすると、出射面13Nをより視認されにくくすることができるので好ましい。
【0020】
以上に説明したように、第1の実施の形態では、導光体13Aと対象部材11A、12Aとを一体成形して境界部を視認されにくくしている。また、有色部30を設けることで、表側の視点Eyの方向から出射面13Nを見た場合に、出射面13Nの奥に見える有色部30の色彩が、出射面13Nの周囲の色彩と同じ色彩に見えるようにしているので、出射面13Nの存在をさらに視認されにくくすることができる。
これにより、LED20の消灯時においては、対象部材の表側から出射面13N(発光部)を視認されにくく、発光するとは予想しなかった位置を発光させることができる。
なお図1の例では、2つの対象部材で導光体13Aを挟み込む構造の例を示したが、導光体は環状に限定されず、1つの対象部材にスリットを形成し、スリットに導光体を差し込んで出射面を露出させるように構成してもよい。
また、導光体13Aの導光部13Lを屈曲した形状(入射面13Mから出射面13Nに至る形状(経路)が屈曲した形状)としているので、視点Eyから直接視認できない位置への配置を所望する光源であるLED20について、配置に自由度を持たせることができる。
【0021】
●[第2の実施の形態の灯具10Bの構造(図2)]
図2(A)〜(C)に示すように、第2の実施の形態の灯具10Bは、図1に示す第1の実施の形態に対して、導光体13Bの出射面13Nを、対象部材12Bにおける表側の最も外側の縁部に配置している点が異なる。
以下、この相違点について主に説明する。
灯具10Bは、導光体13Bと、導光体13Bが取り付けられる対象部材12B、14B(発光部を設けたい部材)と、光源となるLED20と、を有している。
本実施の形態の例では、発光部を設けたい対象部材は、板状の対象部材12Bと、空洞部11Kを有する対象部材14Bとで構成されている。
図2(B)及び(C)に示すように、導光体13Bの出射面13Nに隣接する導光体13Bの内壁部に対象部材12Bの端面が接触するように導光体13Bと対象部材12Bとが一体成形されており、導光体13Bと対象部材12Bとの境界が視認されにくくされている。なお出射面13Nは、対象部材12Bの表側に露出するように配置されている。
また、導光体13Bの傾斜面13Pと対象部材14Bの縁部の傾斜面14Pが接触するように導光体13Bと対象部材14Bとが一体成形されている。
【0022】
導光体13Bは、図2(C)に示すように、対象部材12Bの表側の視点Eyの方向から出射面13Nを見た場合に、出射面13Nの先にLED20が見えないように、屈曲した形状を有しており、入射面13M及びLED20は有色部30の裏側に回り込んだ位置に配置されている。
さらに図2(C)に示すように、導光部13Lの表面及び対象部材12B、14Bの裏側であって、出射面13Nの周囲は、塗装または不透明部材による有色部30にて覆われている。なお有色部30の色彩は、第1の実施の形態と同様に、黒色に限定されず種々の色彩としてもよい。なお図2(A)及び(B)では有色部30の記載を省略している。
対象部材12B、14Bが不透明な樹脂またはガラスである場合、有色部30の色彩を、対象部材12B、14Bの色彩と同じ色彩にすることが好ましい。また、この場合、有色部30は、導光部13Lの表面のみを覆うようにしてもよい。
以上より、対象部材11Aの裏側に位置する出射面13Nの周囲の導光部13Lの表面は、塗装または不透明部材にて覆われている。また、対象部材11Aは不透明である部材で成形されている、あるいは出射面13Nの周囲の対象部材11Aの裏側は、導光部における出射面の周囲の表面を覆っている塗装または不透明部材にて覆われている。なお、対象部材11Aが不透明である部材で成形されている場合、不透明である部材は、有色部30にて用いられる不透明部材と同じ部材であってもよいし、異なる部材であってもよい。
対象部材12B、14Bが透明な樹脂またはガラスである場合、有色部30の色彩は、どのような色彩であってもよいが、黒色にすると、出射面13Nをより視認されにくくすることができるので好ましい。
【0023】
以上に説明したように、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、導光体13Bと対象部材12Bとの境界を、一体成形にて視認されにくくしている。また第1の実施の形態と同様に、有色部30を設けることで、出射面13Nの存在をさらに視認されにくくすることができる。
さらに第2の実施の形態では、出射面13Nの位置を、対象部材12Bの表側における最も外側の縁部に配置することで、図6(A)に示す灯具のように従来では発光させることができなかった領域に発光部を配置することができる。
これにより、LED20の消灯時においては、対象部材の表側から出射面13N(発光部)を視認されにくく、発光するとは予想しなかった位置を発光させることができる。
【0024】
●[導光体の出射面を対象部材の裏側に配置した例(図3)]
図1及び図2を用いて説明した第1及び第2の実施の形態では、出射面13Nを対象部材の表側に露出するように配置したが、対象部材が透明であれば、対象部材の裏側に出射面13Nを配置してもよい。この場合、対象部材の表側から出射面13N(発光部)を、さらに視認されにくくすることができる。
以下では、透明な樹脂またはガラスの対象部材の裏側の位置に、導光体の出射面13Nを配置した灯具の例を説明する。
【0025】
図3(A)は、透明な樹脂またはガラスの対象部材11Cの最も外側の縁部ではない位置の裏側に、導光体13Cの出射面13Nが接触するように、対象部材11Cと導光体13Cとを一体成形した灯具10Cの断面図を示している。なお有色部30については第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
対象部材11Cの表側の視点Eyの方向から出射面13Nを見た場合、入射面13M及びLED20が有色部30の裏側に回り込んだ位置に配置されているのでLED20は見えない。また、出射面13Nが対象部材の表側に露出されておらず、有色部30の色彩が見えるだけであるので、出射面13Nの存在をより一層、視認されにくくすることができる。
【0026】
図3(B)は、透明な樹脂またはガラスの対象部材12Cの最も外側の縁部の裏側に、導光体13Dの出射面13Nが接触するように、対象部材12Cと導光体13Dとを一体成形した灯具10Dの断面図を示している。なお、導光体13Dと対象部材14Bは、第2の実施の形態と同様に一体成形されている。この場合の対象部材14Bは、透明な樹脂またはガラスでもよいが、不透明な樹脂またはガラスでもよい。なお有色部30については第2の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
対象部材12Cの表側の視点Eyの方向から出射面13Nを見た場合、入射面13M及びLED20が有色部30の裏側に回り込んだ位置に配置されているのでLED20は見えない。また、出射面13Nが対象部材の表側に露出されておらず、有色部30の色彩や対象部材14Bの色彩が見えるだけであるので、出射面13Nの存在をより一層、視認されにくくすることができる。
【0027】
図3(C)の断面図にて示す灯具10Eは、図3(A)の断面図にて示す灯具10Cに対して、屈曲した形状でなく入射面13Mから出射面13Nまでの導光部13Lが直線状の導光体13Eを、対象部材11Cに対して傾斜角度θ1にて傾斜させて一体成形している点が異なる。
また、LED20の配置及び入射面13Mの角度を調整することでLED20から放射される光Lを視点Eyに合わせている。
この場合も、対象部材11Cの表側の視点Eyの方向から出射面13Nを見た場合、入射面13M及びLED20が有色部30の裏側に回り込んだ位置に配置されているのでLED20は見えない。また、出射面13Nが対象部材の表側に露出されておらず、有色部30の色彩が見えるだけであるので、出射面13Nを視認されにくくすることができる。
【0028】
図3(D)の断面図にて示す灯具10Fは、図3(B)の断面図にて示す灯具10Dに対して、屈曲した形状でなく入射面13Mから出射面13Nまでの導光部13Lが直線状の導光体13Fを、対象部材12Cに対して傾斜角度θ1にて傾斜させて一体成形している点が異なる。
また、LED20の配置及び入射面13Mの角度を調整することでLED20から放射される光Lを視点Eyに合わせている。
この場合も、対象部材12Cの表側の視点Eyの方向から出射面13Nを見た場合、入射面13M及びLED20が有色部30の裏側に回り込んだ位置に配置されているのでLED20は見えない。また、出射面13Nが対象部材の表側に露出されておらず、有色部30の色彩や対象部材14Cの色彩が見えるだけであるので、出射面13Nを視認されにくくすることができる。
なお、図3(C)の例に示す導光体13Eの出射面13Nを対象部材11Cの表側に露出させるように構成してもよく、図3(D)の例に示す導光体13Fの出射面13Nを対象部材12Cの表側に露出させるように構成してもよい。
【0029】
●[導光部を屈曲させる角度を変更した例(図4)]
図1及び図2を用いて説明した第1及び第2の実施の形態では、入射面13Mから出射面13Nに至る導光部13Lを直角に屈曲させた例を示したが、導光部を屈曲させる角度は直角でなくてもよい。
例えば導光体13Aを直角に屈曲させた図1(C)の断面図にて示す灯具10Aに対して、図4(A)の断面図にて示す灯具10Gのように導光体13Gを直角でない角度に屈曲させてもよい。
また導光体13Bを直角に屈曲させた図2(C)の断面図にて示す灯具10Bに対して、図4(B)の断面図にて示す灯具10Hのように導光体13Hを直角でない角度に屈曲させてもよい。
これにより、導光体の形状やLEDの配置位置の自由度が増す。
もちろん、図3(A)の断面図にて示す灯具10Cの導光体13Cや、図3(B)の断面図にて示す灯具10Dの導光体13Dにおける導光部13Lを、直角でない角度に屈曲させてもよい。
【0030】
また図4(C)の断面図にて示す灯具10Jは、図4(B)の断面図にて示す灯具10Hに対して、入射面13MCに入射された光を複数方向に屈折(拡散)させるためのレンズカット形状や、すりガラス形状にする表面処理が、入射面13MCに施されている例を示している。
図4(B)の断面図にて示す灯具10Hでは、入射面13Mに表面処理が施されていないので、他者が表側の視点Eyの方向から出射面13Nから出射された光を見た場合、発光しているLED20が、そのまま見える。つまり、発光しているLEDを、導光体をとおして見ている状態となり、出射面が均一に発光するものではない。
しかし図4(C)の断面図にて示す灯具10Jでは、入射面13MCに表面処理が施されて光が拡散されるので、他者が表側の視点Eyの方向から出射面13Nから出射された光を見た場合、出射面13Nの全体が均一に発光しているように見える。
なお、入射面に表面処理を施す処理は、上述した灯具10A〜10Hのいずれにも適用することができる。
【0031】
●[本発明の灯具を車両のリアウィンドに適用した例(図5)]
次に図5(A)及び(B)を用いて、本発明の灯具を車両のリアウィンドに適用した場合について説明する。
この場合、対象部材11Cは透明な樹脂またはガラスの透明体であり、例えば図3(A)に示す構造にて、対象部材11Cの裏側に導光体13Cの出射面13Nを配置して、透明体(対象部材11C)と導光体13Cとが二色成形等にて一体成形されている。そして出射面13Nの周囲の導光部の表面、及び出射面13Nの周囲における透明体(対象部材11C)の裏側には、有色部30が設けられている。また図示省略しているが、導光体13Cの入射面に対向する位置にはLEDが配置されている。
この例では、透明体(対象部材11C)と一体成形された導光体13Cと有色部30とLEDにて灯具80(この場合、リアウィンド)が構成されている。
【0032】
図5(A)の例は、LEDが消灯時の場合における灯具80(リアウィンド)の状態を示している。この場合、灯具80の表側の方向から灯具80を見た他者は、灯具80の有色部30の位置に、導光体13Cの出射面13Nが配置されていることを視認することは困難であり、特に有色部30が黒色である場合、出射面13Nを視認することは非常に困難である。従って、他者は、有色部30の一部が発光すると予想することは非常に困難である。
【0033】
図5(B)の例は、LEDが点灯時の場合における灯具80(リアウィンド)の状態を示している。LEDが点灯すると、有色部30の領域内に配置されている出射面13Nから鮮明な光が発光される。
例えば運転者のブレーキ操作に応じてLEDが点灯するようにすれば、後続車へのブレーキの警告として利用することができる。導光体の入射面に光を拡散する表面処理を施しておけば、出射面13Nの全体を均一に発光させることができるので、より好ましい。
この場合、後続車の運転者は、まさか発光するとは予想すらしていなかった有色部30の一部から、突然、鮮明な光が発光されるので、非常にインパクトが有り、大きな驚きを与えることが可能であり、後続車へのブレーキの警告として非常に有効である。
【0034】
このように、本発明の灯具は、消灯時において他者から発光部を視認されにくく、他者が発光するとは予想しなかった位置を(突然)発光させることができる。
また構造も非常にシンプルであり、対象部材と導光体を二色成形等にて一体成形するだけでよく、対象部材の材質も種々の樹脂やガラスを用いることができるので、生産性もよい。
また、出射面の配置位置の自由度が高く、従来では発光させることができなかった、対象部材の最も外側の縁部を発光させることもできる。
従って本発明の灯具は、車両に限らず種々の用途に適用することが可能である。
【0035】
本発明の灯具は、本実施の形態で説明した構成、構造、形状等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
また本実施の形態の説明では、光源としてLEDを用いたが、LED以外の光源を利用することもできる。
【符号の説明】
【0036】
10A〜10H、10J、80 灯具
11A、11C、12A、12B、12C、14B、14C 対象部材
13A〜13H、13J 導光体
13L 導光部
13M 入射面
13N 出射面
20 LED(光源)
30 有色部
図1
図2
図3
図4
図5
図6