特許第5789631号(P5789631)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789631
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/00 20060101AFI20150917BHJP
   F04D 29/046 20060101ALI20150917BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   F04D13/00 D
   F04D29/046 B
   F04D29/66 E
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-78648(P2013-78648)
(22)【出願日】2013年4月4日
(65)【公開番号】特開2014-202129(P2014-202129A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2013年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】511309584
【氏名又は名称】KAWAMOTO GEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】高坂 茂
(72)【発明者】
【氏名】中地 功
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−219632(JP,A)
【文献】 特開2009−191730(JP,A)
【文献】 特開2007−085310(JP,A)
【文献】 特開平04−334792(JP,A)
【文献】 特開2006−009740(JP,A)
【文献】 特開2001−173660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 13/00
F04D 29/046
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容するタンク内に配置されたポンプ装置において、
軸方向に積層配置された筒状の複数のケーシングと、
これらのケーシング内に挿通される回転軸と、
前記複数のケーシングのうち少なくとも1つに収容され、前記回転軸にスリーブを介して取り付けられる第1インペラと、
前記複数のケーシングのうち少なくとも1つに収容され、前記回転軸に水中軸受を介して取り付けられる第2インペラとを備え、
前記水中軸受は、前記回転軸の外周面に取り付けられた円環状の回転部と、この回転部に対し、前記回転軸の径方向に離間して設けられ、前記ケーシングに取り付けられた円環状の固定部と、この固定部から前記回転部側に突出し、前記回転部の外周面に当接して形成されると共に、周方向に間隙をもって配置された複数の凸部とを具備し、前記第1インペラと前記スリーブとの間の流路断面積と、前記第2インペラと前記固定部との間の流路断面積及び前記凸部相互間の流路断面積の合計の比が、5:3であることを特徴とするポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容するタンク内に設置され、タンク内の液体を増圧して吐出するポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、工作機械の加工部位や、製造装置の発熱部等を冷却する冷却装置が知られている。このような冷却装置は、クーラント液を貯留させる貯留タンクと、貯留タンクのクーラント液を増圧するポンプ装置と、発熱部等にクーラント液を供給するとともに、供給されたクーラント液を貯留タンクに戻す配管とを備え、クーラント液を循環させるものが知られている。ポンプ装置は様々なタイプのものが知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0003】
冷却装置に用いられるポンプ装置は、貯留タンクの外部に固定されたモータ部と、貯留タンクの内部に配置されたポンプ部とを備えている。ポンプ部には、モータ部の回転軸に固定されたインペラと、当該インペラを収容するケーシング(筐体)とが配置されている。
【0004】
インペラが回転することで、貯留タンクのクーラント液はケーシング内に吸い込まれ、ケーシング内壁により案内されつつ増圧される。増圧されたクーラント液は、ケーシング上部の吐出口から、吐出配管を介して工作機械の加工部位等に送られる。
【0005】
工作機械に送られたクーラント液は、加工部位の冷却に用いられた後、貯留タンクに配管を介して再度供給される。
【0006】
図5は、一般的な冷却装置に設けられるポンプ装置200の要部を示す横断面図である。ポンプ装置200は、クーラント液のタンクに浸漬されたケーシング210と、このケーシング210に同軸的に設けられた回転軸220とを備えている。ケーシング210は、複数の中間ケーシング211が軸方向に沿って組み合わせられて設けられている。なお、中間ケーシング211には、水中軸受が設けられていないものと(図2参照)、水中軸受230が設けられているものがある。水中軸受230は、回転軸220の外周面に取り付けられた円環状の回転部231と、その外周に配置され、中間ケーシング211に取り付けられた円環状の固定部232とがすべり接触して回転することで軸心線の振れを防止している。なお、図5中211aは中間ケーシング211に設けられたシール取付台を示している。
【0007】
回転軸220には、各中間ケーシング211にそれぞれ収容されたステンレス鋼板製のインペラ213がスリーブ(図2参照)を介して位置決めされて設けられている。回転軸220が外部のモータ等により回転駆動されると、インペラ213と中間ケーシング211との間の作用により増圧されたクーラント液が外部に吐出されることになる。
【0008】
なお、吸い上げられるクーラント液は、水中軸受230が設けられていない中間ケーシング211においては、回転軸220の外周面とインペラ213の内周面との間を通流し(図2参照)、水中軸受230が設けられている中間ケーシング211においては、水中軸受230の回転部232との間を通流することとなる(図5参照)。すなわち、水中軸受230が設けられていない中間ケーシング211に比べて、水中軸受230が設けられている中間ケーシング211では、流路断面積が小さくなる(領域P)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−068629号公報
【特許文献2】特開2005−120862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したポンプ装置では、次のような問題があった。すなわち、ポンプ装置から吐出されたクーラント液は、配管を介して工作機械等に供給される。配管の途中には電磁弁が設けられており、電磁弁を開閉することでクーラント液の吐出開始・停止を行っている。
【0011】
上述したように、水中軸受230が設けられていない中間ケーシング211に比べて、水中軸受230が設けられている中間ケーシング211では、流路断面積が小さくなることから、電磁弁を急閉すると、水撃作用が生じ、インペラ213に大きな衝撃力が加わる。加わる衝撃力は流路断面積が小さい部分に集中的に影響し、インペラのボスが破損する虞がある。
【0012】
そこで本発明は、弁の開閉によって水撃作用が生じても、インペラに衝撃力が作用することを抑えることができるポンプ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明のポンプ装置は次のように構成されている。
【0014】
軸方向に積層配置された筒状の複数のケーシングと、これらのケーシング内に挿通される回転軸と、前記複数のケーシングのうち少なくとも1つに収容され、前記回転軸にスリーブを介して取り付けられる第1インペラと、前記複数のケーシングのうち少なくとも1つに収容され、前記回転軸に水中軸受を介して取り付けられる第2インペラとを備え、前記水中軸受は、前記回転軸の外周面に取り付けられた円環状の回転部と、この回転部に対し、前記回転軸の径方向に離間して設けられ、前記ケーシングに取り付けられた円環状の固定部と、この固定部から前記回転部側に突出し、前記回転部の外周面に当接して形成されると共に、周方向に間隙をもって配置された複数の凸部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、弁の開閉によって水撃作用が生じても、インペラに衝撃力が作用することを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本発明の一実施の形態に係るポンプ装置が組み込まれた冷却装置の構成を模式的に示す断面図。
図1B】同ポンプ装置の要部を示す断面図。
図2】同ポンプ装置を図1A及び図1BにおけるI−I線で切断し、矢印方向に見た断面図。
図3】同ポンプ装置を図1A及び図1BにおけるII−II線で切断し、矢印方向に見た断面図。
図4】同ポンプ装置に組み込まれた水中軸受を示す断面図。
図5】一般的なポンプ装置の要部を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1Aは本発明の一実施の形態に係るポンプ装置30が組み込まれた冷却装置10の構成を模式的に示す断面図、図1Bはポンプ装置30の要部を示す断面図、図2はポンプ装置30を図1A及び図1BにおけるI−I線で切断し、矢印方向に見た断面図、図3はポンプ装置30を図1A及び図1BにおけるII−II線で切断し、矢印方向に見た断面図、図4はポンプ装置30に組み込まれた水中軸受を示す断面図。なお、図1A中Wはクーラント液を示している。
【0018】
冷却装置10は図1Aに示すように、クーラント液Wを貯留する貯留タンク20と、貯留タンク20に取り付けられ、貯留タンク20内のクーラント液Wを増圧して外部に吐出するポンプ装置30とを備えている。なお、図1A中100はポンプ装置30の後述する吐出案内管61の吐出口に取り付けられた吐出配管、110は電磁弁(ソレノイドバルブ)を示している。
【0019】
ポンプ装置30は、貯留タンク20の天板に取り付けられたモータ部40と、ポンプ部50と、ポンプ部50を貯留タンク20内部に固定するためのブラケット90とを備えている。
【0020】
モータ部40は、モータケーシング41と、モータケーシング41内部の回転子に固定されて鉛直方向の軸を有する回転軸42とを備え、回転軸42は後述する各中間ケーシング70,80内部に挿通している。回転軸42の一部には水中軸受43及びスリーブ48が設けられている。水中軸受43は、回転軸42の外周面に取り付けられた円環状の回転部44と、この回転部44に対し、回転軸42の径方向に離間して設けられ、後述する第2ケーシング80に取り付けられた円環状の固定部45とを備えている。さらに、固定部45の内周面側には、回転部44側に突出し、回転部44の外周面に当接して形成されると共に、周方向に間隙をもって配置された3つの凸部46とが設けられている。
【0021】
ポンプ部50は、ケーシング60と、このケーシング60の上部に取り付けられた吐出案内管61とを備えている。ケーシング60は複数の第1の中間ケーシング70と、第2の中間ケーシング80とを積層配置して構成されている。
【0022】
第1の中間ケーシング70は、有底筒状に形成され、底部には第1のシール取付台70aが設けられている。また、第1の中間ケーシング70内部には第1インペラ71が回転軸42にスリーブ48を介して取り付けられている。図2に示すように、クーラント液Wが通流する部分はスリーブ48の外周面と第1インペラ71の内周面との間の領域Kとなり、十分な流路断面積が確保されている。
【0023】
第2の中間ケーシング80は、有底筒状に形成され、底部には第2のシール取付台80aが設けられている。また、第2の中間ケーシング80内部には第2インペラ81が回転軸42に取り付けられている。図3に示すように、クーラント液Wが通流する部分は水中軸受43の固定部45の外周面と第2インペラ81の内周面との間の領域S1と、水中軸受43における回転部44と固定部45と凸部46とに囲まれた3つの領域S2となる。このため、上述した領域Kよりは狭いが、十分な流路断面積が確保される。
【0024】
このように構成された冷却装置10は、次のように動作する。すなわち、モータ部40に電力が供給されることで回転軸42が回転し、回転軸42に固定された第1インペラ71及び第2インペラ81が回転する。第1インペラ71及び第2インペラ81が回転することで、貯留タンク20内に貯留されたクーラント液Wが、ケーシング60内に吸込まれて増圧され、吐出案内管61から吐出配管100へと移動し、外部の工作機械等へと供給される。
【0025】
この時、必要に応じて電磁弁110が開閉される。電磁弁110が急閉されると水撃作用が生じ、衝撃がケーシング60内部まで伝わる。この時、流路断面積が小さい部分に衝撃力が集中するが、第1の中間ケーシング70における領域Kの大きさに比べて、第2の中間ケーシング80における領域S1及びS2の大きさは小さいものの、その差はあまりない。したがって、衝撃力は各第1の中間ケーシング70及び第2の中間ケーシング80に分散され、第1インペラ71、第2インペラ81共に破損することを防止することができる。
【0026】
例えば、ケーシング60の外径を同径とした場合、各領域の断面積の比は、K:(S1+S2):P=5:3:2程度となり、改善が認められる。
【0027】
上述したように、本発明に係るポンプ装置によれば、水中軸受が設けられた中間ケーシング内の流路断面積を十分に確保するようにしているため、弁の開閉によって水撃作用が生じても、インペラに衝撃力が作用することを抑えることができる。
【0028】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
10…冷却装置、20…貯留タンク、30…ポンプ装置、40…モータ部、41…モータケーシング、42…回転軸、43…水中軸受、44…回転部、45…固定部、46…凸部、48…スリーブ、50…ポンプ部、60…ケーシング、61…吐出案内管、70…第1の中間ケーシング、70a…第1のシール取付台、80a…第2のシール取付台、71…第1インペラ、80…第2の中間ケーシング、81…第2インペラ、90…ブラケット、100…吐出配管、110…電磁弁。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5