特許第5789636号(P5789636)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789636
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
   G03G21/00 574
   G03G21/00 370
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-97756(P2013-97756)
(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公開番号】特開2014-219513(P2014-219513A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2014年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】今宮 弘二
【審査官】 三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−154485(JP,A)
【文献】 特開2011−232740(JP,A)
【文献】 特開平09−016037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を供給する供給部と、
熱消色可能な記録材または熱消色しない記録材を用いて前記媒体の表面に画像を形成する画像形成部と、
前記媒体を加熱する加熱部と、
消色モードにおいては、前記供給部に収納された熱消色可能な記録材で画像形成済みの媒体に前記画像形成部で画像を形成せずに前記加熱部で熱消色するように制御し、
画像形成モードにおいては、前記供給部に収納された媒体に前記画像形成部で画像を形成して前記加熱部で前記画像を定着するように制御する制御部と、
前記消色モードで熱消色された媒体の枚数を媒体のサイズに応じてカウントする消色カウンタと、
前記画像形成モードで画像が定着された媒体の枚数を媒体のサイズに応じてカウントする印刷カウンタと、
前記画像形成モードにおいて、画像が定着された媒体のサイズごとにユーザに課金するための枚数をカウントする課金カウンタと、
前記画像形成モードにおいては前記印刷カウンタでカウントされる枚数に基づいて消耗品ごとの動作量をカウントし、前記消色モードにおいては前記消色カウンタでカウントされる枚数に基づいて消耗品ごとの前記動作量をカウントする消耗品カウンタを更に備え、
前記消色モードにおける消耗品の前記動作量のカウント方法は、前記画像形成モードにおける消耗品の前記動作量のカウント方法とは異なる、
画像形成装置。
【請求項2】
前記消色モードにおける消耗品の前記動作量のカウント値は、前記画像形成モードにおける消耗品の前記動作量のカウント値に補正係数を乗じた値である、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補正係数は0以上の値であり、
前記加熱部に備えられる消耗品の前記補正係数は1以上の値である、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
媒体を供給し、
熱消色可能な記録材または熱消色しない記録材を用いて前記媒体の表面に画像を形成し、
前記媒体を加熱し、
消色モードにおいては、熱消色可能な記録材で画像形成済みの媒体に画像を形成せずに熱消色するように制御し、
画像形成モードにおいては、前記媒体に画像を形成して当該画像を定着するように制御し、
前記消色モードで熱消色された媒体の枚数を媒体のサイズに応じてカウントし、
前記画像形成モードで画像が定着された媒体の枚数を媒体のサイズに応じてカウント
前記画像形成モードにおいて、画像が定着された媒体のサイズごとにユーザに課金するための数をカウントし、
前記画像形成モードにおいては、前記画像形成モードで画像が定着された媒体の枚数に基づいて消耗品ごとの前記動作量をカウントし、
前記消色モードにおいては、前記画像形成モードにおける消耗品の前記動作量のカウント方法とは異なる方法で、前記消色モードで熱消色された媒体の枚数に基づいて消耗品ごとの動作量をカウントする、
画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消色可能な記録材(例えば、トナー)を用いて画像形成を行う画像形成装置、及び画像を発色状態から消色状態にできる画像消色装置が知られている。消色可能なトナーでは、色素と発色剤の結びつきが加熱によって断ち切られることで消色が行なわれる。従来の画像消色装置では、トナー像の消色のために、例えば用紙を120〜150℃で約2時間加熱することが必要である。
【0003】
上述のように画像消色に加熱に約2時間、冷却に約1時間の時間を要することなどの理由から、これまでは、画像形成装置と画像消色装置とはそれぞれ別の装置として提供されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−205625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、画像形成装置とは別に、画像消色装置を購入設置することはトータルとしてコストアップにつながる。そこで、消色が短時間で可能なトナーが使用できる場合は、画像形成装置と画像消色装置とを組み合わせて、設置コストの低減を図ると共に、画像形成機能と画像消色機能とが同一装置内で融合できるように装置を構成することのニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための実施形態によれば、媒体を供給する供給部と、熱消色可能な記録材または熱消色しない記録材を用いて前記媒体の表面に画像を形成する画像形成部と、前記媒体を加熱する加熱部と、消色モードにおいては、前記供給部に収納された熱消色可能な記録材で画像形成済みの媒体に前記画像形成部で画像を形成せずに前記加熱部で熱消色するように制御し、画像形成モードにおいては、前記供給部に収納された媒体に前記画像形成部で画像を形成して前記加熱部で前記画像を定着するように制御する制御部と、前記消色モードで熱消色された媒体の枚数を媒体のサイズに応じてカウントする消色カウンタと、前記画像形成モードで画像が定着された媒体の枚数を媒体のサイズに応じてカウントする印刷カウンタと、を備える画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態の画像形成装置の概略の形状を示す斜視図である。
図2】第1の実施の形態の画像形成装置の定着装置を示す構成図である。
図3】第1の実施の形態の画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図4】第1の実施の形態の画像形成装置に設けられたコントロールパネルの外観図である。
図5】第1の実施の形態の画像形成装置の画像消色動作を示すフローチャートである。
図6】第1の実施の形態のコントロールパネルに表示される画像消色操作画面を示す図である。
図7】第2の実施の形態の画像形成装置の画像消色動作を示すフローチャートである。
図8】第2の実施の形態の画像形成装置の画像消色動作を示すフローチャートである。
図9】第2の実施の形態の画像形成装置における消色状況表示画面を示す図である。
図10】第6の実施の形態の画像形成装置の定着装置の構成を示す図である。
図11】第6の実施の形態の画像形成装置の定着装置の加熱機構の構成を示す図である。
図12】第7の実施の形態の画像形成装置の概略構成図である。
図13】第7の実施の形態の画像形成装置のプロセスユニットの構成の一例を示す構成図である。
図14】第7の実施の形態の画像形成装置の概略構成図である。
図15】第1の実施の形態の画像形成装置における各種カウンタを示す図である。
図16】第1の実施の形態の画像形成装置における消耗品カウンタの補正係数を保存した消耗品カウンタ補正係数テーブルの内容を例示する図である。
図17】第1の実施の形態の画像形成装置の印刷動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態の画像形成装置の概略の形状を示す斜視図である。
画像形成装置1には、プリント部130、用紙トレイ200、スキャン部110、オートフィード部112及びコントロールパネル140が設けられている。
【0009】
プリント部130は、画像情報を、例えばハードコピーもしくはプリントアウトと称される出力画像として出力する。用紙トレイ200は、画像出力に用いられる任意サイズの用紙である出力媒体をプリント部130に対して供給する。スキャン部110は、原稿から画像情報を画像データとして取り込む。オートフィード部112は、読み取りが終了した原稿を読み取り位置から排出位置に送り出し、次の原稿を読み取り位置に案内する。コントロールパネル140は、プリント部130における画像形成の開始や、スキャン部110による原稿の画像情報の読み取りの開始など画像形成装置1の動作を指示するための指示入力部である。このコントロールパネル140には、指示を入力し、操作者に対して情報を表示するための表示部141が設けられている。
【0010】
図2は、第1の実施の形態の画像形成装置の画像形成部10と定着装置26とを示す構成図である。第1の実施の形態の画像形成装置1は、加熱により色が消色されるトナーを用いて画像形成を行う。また画像形成装置1は、トナー像を消色する機能を有する。
【0011】
画像形成部10の感光体ドラム11は、φ60mmの支持部材表面に有機感光体(OPC:Organic Photo Conductor)を備える。感光体ドラム11は、“第1の用紙搬送速度”周速215mm/secで矢印s方向に駆動される。感光体ドラム11周囲には、帯電チャージャ12、レーザ露光装置13、現像装置14、転写チャージャ16、剥離チャージャ17、クリーニングブレード18aを有するクリーナ18、除電LED19が配置されている。
【0012】
帯電チャージャ12は、感光体ドラム11の回転に従い順次感光体ドラム11を−750Vに一様に帯電する。レーザ露光装置13は、帯電された感光体ドラム11上の照射位置13bに画像情報に応じたレーザ光13aを照射する。
【0013】
給紙カセット装置20から記録媒体である用紙Pが給紙ローラ21により取り出される。感光ドラム11上にトナー像が形成されるのと同期して、用紙Pは、レジストローラ22により、画像形成部10の転写チャージャ16の位置に搬送される。画像形成部10により用紙Pには消色トナーからなる未定着のトナー像が形成される。給紙カセット装置20は、未使用の用紙及びリユースの用紙を共に給紙可能である。
【0014】
画像形成部10の上方には、定着装置26が配置される。定着装置26は、記録媒体である用紙Pを加熱加圧定着する。定着装置26は、定着回転体である定着ローラ27と、この定着ローラ27に圧接する加圧回転体である加圧ローラ28を有する。又定着装置26は、用紙Pを定着ローラ27と、加圧ローラ28間のニップに導く入り口ガイド26aを有する。
【0015】
定着ローラ27は鉄製の中空円筒シリンダーの表面にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)をコーティングして構成されている。定着ローラ27は内部にIHコイル(誘導加熱コイル)30を有している。定着ローラ27は、内部から直接誘導加熱される。サーミスタ31は定着ローラ27の表面の温度を検知する。サーミスタ31の出力によりIHコイル30の電流が制御され、定着ローラ27の表面の温度が、所定の温度に制御される。
【0016】
加圧ローラ28は、金属シャフト上に発泡シリコンスポンジゴム等からなる弾性体層を形成し、表面にPFA(テトラフルオルエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体)チューブを被覆して形成されている。加圧ローラ28の硬度はASKER−Cで約55°である。加圧ローラ28は、弾性体層によりニップを約6mmと大きく取れるようにして、省エネ定着の為の低熱容量化を図っている。
【0017】
定着装置26の用紙Pの搬送方向下流には、定着後用紙Pを所定方向に排出する排紙ローラ32が設けられる。
【0018】
図3は、第1の実施の形態の画像形成装置1の制御系の構成を示すブロック図である。
画像形成装置1は、上述のプリント部130、スキャン部110、コントロールパネル140と共に、更に、制御部100、ROM、DRAM、内部記憶装置(HDD)を備えている。そして、これらの各部はシステムバスを介して接続されている。
【0019】
制御部100は、システムバスを介して接続される各部を制御する。ROMは、画像形成装置1が動作するために必要な種々の制御プログラムを記憶する。このROM内には、後述する画像形成動作及び画像消色動作を制御するための各プログラムが記憶されている。各プログラムは、制御部100によって実行が制御される。DRAMは、各プログラムの実行時に発生するデータを一時的に記憶するバッファメモリである。
【0020】
図4は、第1の実施の形態の画像形成装置に設けられたコントロールパネル140の外観図である。コントロールパネル140には、タッチパネルディスプレイ141と操作部170とが設けられている。タッチパネルディスプレイ141はタッチパネルで構成され、画像形成装置1の状態、操作手順、ユーザに対する各種指示などが表示される。操作部170には、画像形成装置1を操作するためのスタートボタンを含む各種の操作ボタンが設けられている。
【0021】
例えば、スキャンボタン170aを押下すると、原稿をスキャンして画像データを取得して画像形成装置1のDRAMに記憶することができる。コピーボタン170bを押下すると、取得した画像データに基づいて媒体上に画像を形成することができる。ファクスボタン170cを押下すると、取得した画像データに基づいて形成した画像をファックス送信することができる。キーボード170dを操作すると、数字列を入力することができる。
【0022】
次に画像形成装置1による画像形成プロセスについて説明する。
【0023】
画像形成プロセスの開始により画像形成部10では“第1の用紙搬送速度”周速215mm/secで矢印s方向に回転する感光体ドラム11が、帯電装置12により一様に−750Vに帯電される。そして感光体ドラム11は、レーザ露光装置13により原稿情報に応じたレーザ光を照射され静電潜像を形成される。次いで静電潜像は現像装置14により消色トナーを用いて現像され、感光体ドラム11上には消色トナーからなるトナー像が形成される。
【0024】
第1の実施の形態では、消色トナーとして、以下のケミカル方法によって作成したカプセル式熱消色トナーを用いた。
【0025】
(1)バインダー樹脂、WAX微粒化液
バインダー樹脂としてPes系樹脂を用いた。Pes系樹脂、アニオン性乳化剤、中和剤を用いて高圧ホモジナイザーを用いて樹脂微粒化液を作成した。
【0026】
(2)WAX分散液の調整
ライスWAXを用いて上記樹脂と同様の方法で微粒化液を得た。
【0027】
(3)トナーの調整
ロイコ染料:CVL(クリスタルバイオレットラクトン)、顕色剤:4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、温度コントロール剤:ラウリン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル
上記を加熱溶融して、周知のコアセルベーション法によりカプセル化した。そのカプセル化した色材とトナーバインダー樹脂分散液、WAX分散液を硫酸Al〔Al2(SO4)3〕を用いて凝集、融着し、さらに洗浄、乾燥することによりトナーを得た。トナーには適宜外添剤を付与した。このトナーを以下カプセル式消色トナーと呼ぶ。
【0028】
なお、第1の実施の形態で使用するカプセル式消色トナーは、外添剤を付与する前のトナーの10wt%がカプセル化した色材の量となる様に製造した。
【0029】
現像装置14は、体積平均粒子径5〜12μmの上述のカプセル式消色トナーと体積平均粒子径30〜80μmの磁性キャリアの混合物である二成分現像剤を用いる。カプセル式消色トナーの真比重は約0.9から1.2g/cm3の範囲である。形成された用紙上の消色トナー像を90℃以上に加熱することによりカプセル内の色素と発色剤の結びつきが加熱によって断ち切られ、トナー像の色が消色される。現像装置14の現像ローラ14aには約−550Vの現像バイアスが印加され、反転現像により感光ドラム11上の静電潜像にトナー像を形成する。
【0030】
一方、給紙カセット装置20から用紙Pが供給される。用紙Pはレジストローラ22により感光体ドラム11上のトナー像の形成に同期して転写チャージャ16位置に送られ、感光体ドラム11上のトナー像を転写される。
【0031】
トナー像が転写された用紙Pは感光体ドラム11から剥離された後、定着装置26に送られる。なお、定着ローラの表面温度は140℃になるように制御されている。用紙Pは定着ローラ27及び加圧ローラ28間に挿通され、トナー像を加熱加圧定着される。定着ローラ27及び加圧ローラ28が逆クラウン形状となっているため、定着ローラ27と加圧ローラ28間のニップに挿通する際に、用紙Pは両端部が中央部より確実に先に引き込まれる。加圧ローラ28の逆クラウン形状により用紙Pは、中央から端部方向に引っ張られながら加熱加圧定着され、シワの発生を防止される。定着装置26にて、カプセル式消色トナーによるトナー像を定着終了後、用紙Pは排紙ローラ32により所定方向に排出される。
【0032】
転写終了後、感光体ドラム11は、クリーナ18により残留トナーをクリーニングされ、除電LED19により残留電荷を除去され、画像形成プロセスを終了する。
【0033】
“第1の用紙搬送速度”周速215mm/secでは、カプセル化した色材の温度が90℃を超える事はなく、画像形成時に消色する事はなかった。但し、本実施例の、カプセル式消色トナーによる定着後の画像濃度は、視認性の点でぎりぎり許容される程度の画像濃度(0.3)であった。これにより、画像の視認性を確保するためには、カプセル式消色トナーの色材の量は、10wt%以上であることが望ましい事がわかる。なお、画像の視認性は、測定器(例えば、X−rite)を用いて評価した。
【0034】
続いて、従来の画像消色プロセスについて説明する。
【0035】
これまで、カプセル式トナー像の色の消色は、例えば、(株)東芝製の専用消色装置「e−blue(登録商標)用消色装置:TMD−HE01」を用いて行われていた。この装置内で用紙Pは120〜150℃で約2時間加熱され、トナー像の色が消色される。その後、約1時間自動冷却が行われた。トナー像を消色した用紙Pをリユースする際には、加熱により若干貼り付いた用紙P同士をはがす為に軽くさばいて給紙カセット装置20に供給する。給紙カセット装置20に供給されたリユースの用紙Pは、上記画像形成プロセスに従い画像形成に供される。しかしながら、上述の消色装置による消色は時間がかかるため、すぐに用紙を再利用したい場合には対応できなかった。
【0036】
第1の実施の形態では、カプセル式消色トナーの瞬時消色性を活かして、画像形成装置1を用いて画像を消色する。
【0037】
図5は、第1の実施の形態の画像形成装置1の画像消色動作を示すフローチャートである。
なお、以下の動作は、画像形成装置1の制御部100が実行する。
【0038】
カプセル式消色トナーにより画像が形成された用紙Pは、活用終了後にトナー像を消色して再利用するために、給紙カセット装置20にセットされる。ユーザは、画像消色のための操作を実行する。画像が形成された用紙Pは、特定のカセット装置20あるいは手差し装置にセットするようにしても良い。
アクト01において、ユーザは、コントロールパネル140から消色モードの条件を設定する。
【0039】
図6は、第1の実施の形態のコントロールパネル140に表示される画像消色操作画面142を示す図である。
【0040】
ユーザは画像消色操作画面142から、画像消色モードボタンを押下し、更に給紙元カセットとして、カセット1〜4、手差しの内から再利用のための用紙Pが格納されたカセットを指定する。ここで、給紙元カセットは1つに限られず複数カセットを一括して指定することができる。ユーザは、消去する用紙Pの枚数を設定する。ユーザがキーボード170dから数字列を入力すると、その数字列が設定枚数欄142aに表示される。
【0041】
そして、ユーザがコントロールパネル140の操作部170に設けられたスタートボタンを押すと、アクト02において、消色モード(消色動作)が開始される。なお、この画像消色操作画面142は、この構成に限定されず、従来の操作画面に画像消色のための操作ボタンを組み込んで構成しても良い。また、カセットを指定せず、特定のカセットから再利用のための用紙Pを取り出すようにしても良い。
【0042】
アクト03において、定着ローラ27の加熱を開始する。第1の実施の形態では、画像形成装置1には消色トナー、または(消色しない)通常のトナーが用いられて画像形成動作が実行されている。従って、印刷モード(印刷動作)では、定着ローラ温度は100℃以下、例えば設定温度80℃となり、トナー像が消色温度である90℃以上とならないように制御されている。
【0043】
そこで、アクト04において、定着ローラ温度を消色トナーが消色するように140℃以上になるまで加熱する。そして、定着ローラ温度が140℃以上となったとき(アクト04でYES)、アクト05において、消色動作を実行する。
【0044】
画像消色モードでは、感光体ドラム11は、“第2の用紙搬送速度”周速21mm/secで矢印s方向に駆動される。画像消色モードでは、感光体ドラム11には、レーザ露光装置13による画像情報に応じた静電潜像は形成されない。即ち、用紙Pは、前述の画像形成時と同様のルートを経て、定着装置26に搬送される。
【0045】
画像消色モードでは、定着装置26も“第2の用紙搬送速度”21mm/secで用紙を加熱/加圧定着しつつ用紙を搬送する。この時の定着ローラ27の表面温度は同じ140℃である。画像形成プロセスよりも遅い搬送速度によって用紙を加熱することで用紙上のトナー像は90℃以上に加熱され、カプセル式消色トナーの瞬時消色性により、消色する。
【0046】
この消色動作に対応して、画像形成装置1に設けられた各種のカウンタがカウントアップされる。
【0047】
図15は、第1の実施の形態の画像形成装置1における各種カウンタを示す図である。画像形成装置10には、印刷カウンタ150、消色カウンタ151、課金カウンタ152、消耗品カウンタ155を備えている。なお、これらのカウンタは、ハードウエアとして設けられても良く、ソフトウエアを用いてカウントアップできるように、例えば、HDD、DRAM内に記憶されるデータとして設けられても良い。
【0048】
印刷カウンタ150は、用紙Pに画像を印刷する際、用紙サイズ(例えば、A3、A4、B5・・・)ごとに印刷した枚数をカウントする。消色カウンタ151は、用紙を消色する際、用紙サイズごとに消色した枚数をカウントする。課金カウンタ152は、用紙Pに画像を印刷する際、用紙サイズごとにユーザに課金するための枚数をカウントする。消耗品カウンタ155は、画像形成装置1が動作する際、消耗品の寿命を算定するための動作回数(用紙枚数)をカウントする。なお、消耗品カウンタの動作の詳細については後述する。
【0049】
ここで、画像形成装置1が印刷モードで動作するときは、印刷カウンタ150、課金カウンタ152、及び消耗品カウンタ155がカウントアップされる。画像形成装置1が消色モードで動作するときは、消色カウンタ151、及び消耗品カウンタ155がカウントアップされる。
【0050】
図5のアクト06において、制御部100は、消色した用紙のサイズごとに消色カウンタ151をカウントアップする。そして、アクト07において、制御部100は、消色した用紙の枚数ごとに消耗品カウンタ155をカウントアップする。なお、消色モードにおける消耗品カウンタ155のカウントアップでは、カウントする値は補正係数を用いた補正カウント値である。
【0051】
図16は、第1の実施の形態の画像形成装置1における消耗品カウンタ155の補正係数を保存した消耗品カウンタ補正係数テーブル156の内容を例示する図である。消耗品カウンタ補正係数テーブル156には、消耗品毎に消色モード時に使用する補正係数が設けられている。用紙枚数にこの補正係数を乗じた値が補正カウント値となる。
【0052】
以下に、それぞれの消耗品に関する補正係数の設定例について説明する。
【0053】
給紙ローラ21は用紙Pをカセットから抽出するために、消色モード、印刷モードによらず同じ動作を行う。従って、補正係数=1である。
【0054】
感光体ドラム11は、消色モードにおいても用紙を搬送するために動作する。但し、消色モードでは現像剤が供給されず、そのため、膜減りが少なくなる。従って、感光体ドラム11の補正係数=0.5〜1と設定される。帯電チャージャ12は、感光体ドラム11の稼動に対応して同じく稼動する場合と停止する場合とがある。従って、帯電チャージャ12の補正係数=1又は0である。ここで、補正係数=0は、当該帯電チャージャ12が動作しない(停止する)ことを示している。
【0055】
消色モードにおいては、現像装置14が停止するモードと、現像装置14が稼動状態を維持するモードとの2つの状態がありえる。現像装置14が停止するモードでは、現像剤の補正係数=0である。現像装置14が稼動状態を維持するモードでは、現像剤は現像装置内で新たな供給がされない状態で撹拌され、品質の劣化につながる可能性がある。従って、現像剤の補正係数=0.5〜1と設定される。
【0056】
転写部材(転写チャージャ16、剥離チャージャ17)は、消色モードでは動作しない。従って、補正係数=0と設定される。クリーニングブレード18aは、消色モードでは感光体ドラム11に現像剤が使用されないため、磨耗が少ない。従って、補正係数=0.5で設定される。
【0057】
定着ローラ27及び加圧ローラ28は、消色モード、印刷モードによらず用紙Pを加熱する。但し、消色モードでの定着温度は、印刷モードでの定着温度よりも高く、また定着速度も遅いため、消色モードでの熱負荷は、印刷モードでの熱負荷よりも高い。従って、補正係数=1〜1.5の範囲に設けられる。
【0058】
なお、後述するように、消色モードにおいて、用紙Pが感光体ドラム11を経ずに定着装置26に搬送される場合もありえる。このときは、消耗品カウンタ補正係数には、上述のような検討に基づいた適宜の値が設定されているものとする。
【0059】
図5のアクト08において、消色モードを終了するかどうかを調べる。例えば、設定された枚数の媒体を消色したときは消色モードを終了する。また設定された給紙元カセットに媒体がなくなったとき(エンプティになったとき)は、設定された枚数の媒体を消色していない場合であっても消色モードを終了する。
【0060】
消色モードを終了する条件でないときは(アクト08でNO)、アクト05に戻って消色動作を実行する。消色モードの終了条件が成立したときは(アクト08でYES)、アクト09において、消色モードを終了する。アクト10において、定着ローラ27の加熱を停止する。
【0061】
アクト11において、画像形成装置1に使用されているトナーは、消色トナーかどうかを調べる。消色トナーを使用しているかどうかは、例えば、トナーカセットに設けられたタグからトナーに関する情報(例えば、消色トナーか否か、消色温度など)を読み取ることによって画像形成装置1が自動で判断しても良く、また、ユーザがコントロールパネル140から設定しても良い。また、消色トナーを使用しているかどうかが不明のときは、消色トナーを使用していると判断しても良い。
【0062】
消色トナーを使用している場合は(アクト11でYES)、アクト12において、定着ローラ温度が100℃以下になるまで待機する。そして、定着ローラ温度が100℃以下になったときは(アクト12でYES)、定着装置26での加熱温度を消色トナーが消色しない温度以下であると判断することができる。アクト13において、印刷モードを開始する。
一方、消色トナーを使用していない場合は(アクト11でNO)、定着ローラ温度が100℃以下になるまで待機することなく、アクト13において、印刷モードを開始する。
【0063】
なお、定着ローラ温度が所定の温度にまで低下するまで待機するときの前記所定の温度は、トナーカセットに設けられたタグからトナーに関する情報(例えば、消色トナーか否か、消色温度など)を読み取ることによって画像形成装置1が自動で判断しても良く、また、ユーザがコントロールパネル140から設定しても良い。
【0064】
なお、上述の画像消色画面142には画像消色モードを強制的に終了させる強制終了ボタンが設けられている。この強制終了ボタンが操作されたときは、画像消色モードを終了して画像消色モード以外の所定のモード(通常印字モードやReadyモードや省エネモード等)へ復帰する。
【0065】
なお、上述の実施の形態では、定着ローラ27を加熱したが、加圧ローラ28も併せて加熱しても良い。用紙Pは、消色トナーが印字された面が定着ローラ27に直接接触するように用紙カセット20内にセットされたが、この形態に限られず、消色トナーが印字された面の裏面が定着ローラ27に直接接触するように用紙カセット20内にセットされていてもよい。定着ローラ27および加圧ローラ28の加熱の有無、加熱温度などの加熱条件、“第2の用紙搬送速度”の条件、用紙の厚さ、種類などを適宜選択することによって、用紙カセット20内の用紙の置き方に依存しない画像消色モードとすることができる。
【0066】
次に、上述の消色モードにおける画像形成装置1の動作と対応させて、印刷モードにおける画像形成装置1の動作を説明する。
【0067】
図17は、第1の実施の形態の画像形成装置1の印刷動作を示すフローチャートである。
なお、以下の動作は、画像形成装置1の制御部100が実行する。
【0068】
ユーザが原稿をオートフィード部112にセットして、コントロールパネル140の操作部170に設けられたスタートボタンを押すと、アクト52において、印刷モード(コピー動作)が開始される。
【0069】
アクト53において、定着ローラ27の加熱を開始する。第1の実施の形態では、画像形成装置1には消色トナー、または(消色しない)通常のトナーが用いられて画像形成動作が実行されている。従って、定着ローラ温度は100℃以下、例えば設定温度80℃となり、トナー像が消色温度である90℃以上とならないように制御される。
【0070】
そこで、アクト54において、定着ローラ温度を定着可能な温度である95℃以上になるまで加熱する。そして、定着ローラ温度が95℃以上となったとき(アクト54でYES)、アクト55において、印刷動作を実行する。
【0071】
この印刷動作に対応して、画像形成装置1に設けられた各種のカウンタがカウントアップされる。
【0072】
アクト56において、制御部100は、消色した用紙のサイズごとに印刷カウンタ150をカウントアップする。このとき、課金カウンタ152についても、同じくカウントアップを行う。そして、アクト57において、制御部100は、印刷した用紙の枚数ごとに消耗品カウンタ155をカウントアップする。なお、印刷モードにおける消耗品カウンタ155のカウントアップでは、消色モードとは異なり、カウントする値は補正係数を用いない。
【0073】
アクト58において、印刷モードを終了するかどうかを調べる。例えば、設定された枚数の媒体を印刷したときは印刷モードを終了する。
【0074】
印刷モードを終了する条件でないときは(アクト58でNO)、アクト55に戻って印刷動作を実行する。印刷モードの終了条件が成立したときは(アクト58でYES)、アクト59において、印刷モードを終了する。アクト60において、Readyモードに移行する。
【0075】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態では、本画像形成装置を用いて用紙を再使用するために消色することで得られる環境への貢献の程度をユーザに提示(見える化)する点が第1の実施の形態と異なっている。第1の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付して、その詳細の説明は省略する。
【0076】
図7図8は、第2の実施の形態の画像形成装置1の画像消色動作を示すフローチャートである。
【0077】
アクト21において、ユーザは、コントロールパネル140から消色モードの条件を設定する。ユーザが図6に示す画像消色操作画面142から、画像消色モードボタンを押下し、更に給紙元カセットとして、カセット1〜4、手差しの内から再利用のための用紙Pが格納されたカセットを指定する。ここで、給紙元カセットは1つに限られず複数カセットを一括して指定することができる。そして、ユーザがコントロールパネル140の操作部170に設けられたスタートボタンを押すと、アクト22において、消色モード(消色動作)が開始される。
【0078】
アクト23において、定着ローラ27の加熱を開始する。アクト24において、定着ローラ温度を消色トナーが消色するように140℃以上になるまで加熱する。そして、定着ローラ温度が140℃以上となったとき(アクト24でYES)、アクト25において、消色動作を実行する。この消色動作は、第1の実施の形態と同じであるため、その詳細の説明は省略する。
【0079】
アクト26において、消色した用紙のサイズごとに消色カウンタ151をカウントアップする。そして、アクト27において、制御部100は、消色した用紙の枚数ごとに消耗品カウンタ155をカウントアップする。なお、消色モードにおける消耗品カウンタ155のカウントアップでは、カウントする値は補正係数を用いた補正カウント値である。そして、カウントした用紙枚数をメモリに記憶し、アクト28において消色動作に合わせて消色した用紙の枚数を表示する。
【0080】
図9は、第2の実施の形態の画像形成装置における消色状況表示画面143を示す図である。
【0081】
消色状況表示画面143には、画像表示エリア143aと情報表示エリア143bとが設けられている。画像表示エリア143aには、画像形成装置1を表す図形144a、カセットを表す図形144b及び矢印を表す図形144cが表示されている。カセットを表す図形144bでは、それぞれのカセットに収納されている用紙のサイズが表示され、更に現在使用されているカセットが色替えして表されている。そして、矢印を表す図形144cでは、カセットから取り出された用紙の現在位置(カセット→画像形成部→定着装置→排出部)がリアルタイムでトラッキング表示される。
【0082】
情報表示エリア143bには、消色枚数と削減したCO2量とが上述の消色動作に応じてリアルタイムで表示される。消色枚数は、当該ジョブの開始以降に消色された用紙の枚数である。削減したCO2量は、次の式(1)で表される。
削減したCO2量=用紙1枚あたりの削減CO2量 × 消色した用紙枚数
用紙1枚あたりの削減CO2量=用紙1枚を製造するために必要なCO2量 − 用紙1枚を消色するために要したエネルギ(CO2量) ・・・式(1)
図7のアクト31において、消色モードを終了するかどうかを調べる。消色モードを終了する条件でないときは(アクト31でNO)、アクト25に戻って消色動作を実行する。消色モードの終了条件が成立したときは(アクト31でYES)、アクト32において、消色モードを終了する。アクト33において、定着ローラ27の加熱を停止する。
【0083】
アクト34において、画像形成装置1に使用されているトナーは、消色トナーかどうかを調べる。消色トナーを使用しているかどうかは、例えば、トナーカセットに設けられたタグの情報を読み取ることによって画像形成装置1が自動で判断しても良く、また、ユーザがコントロールパネル140から設定しても良い。また、消色トナーを使用しているかどうかが不明のときは、消色トナーを使用していると判断しても良い。
【0084】
消色トナーを使用している場合は(アクト34でYES)、アクト35において、定着ローラ温度が100℃以下になるまで待機する。そして、定着ローラ温度が100℃以下になったときは(アクト35でYES)、定着装置26での加熱温度を消色トナーが消色しない温度以下であると判断することができる。アクト36において、印刷モードを開始する。
一方、消色トナーを使用していない場合は(アクト34でNO)、定着ローラ温度が100℃以下になるまで待機することなく、アクト36において、印刷モードを開始する。
【0085】
アクト36の印刷モード開始以降において、ユーザが図6に示す画像消色操作画面142の消色用紙枚数表示ボタンを押下する(アクト42でYES)と、アクト43において、コントロールパネル140に累積消色用紙枚数が表示される。累積消色用紙枚数は、ユーザが任意に定めた初期時点から現在までに消色した用紙の枚数の累積値である。
【0086】
なお、消色状況表示画面143では、上述の形態に限定されず、消色した用紙の枚数を、各定型用紙サイズ毎にカウントし、積算の用紙消色枚数を表示したり、各定型用紙サイズ毎の積算用紙消色枚数を表示したり、消色により削減されたCO2量を表示したりすることができる。
【0087】
以上、第2の実施の形態では、環境貢献を見える化することでユーザに環境貢献への動機付けを与えることができる。また、累積消色枚数、累積削減CO2量などに応じてユーザにメリットを還元することで更に環境貢献への動機付けを与えることができる。
【0088】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態では、画像消色モードにおいて、用紙が感光体ドラム11を経由しない点が第1の実施の形態と異なっている。従って、第1の実施の形態と同一の部位は同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0089】
図2を参照しつつ第3の実施の形態の消色動作について説明する。
【0090】
カプセル式消色トナーにより形成されたトナー像を消色する際、用紙Pは図示されない給紙部にセットされる。画像消色モードの開始が入力されたときは、用紙Pは、感光体ドラム11を経ずに、紙パスP2に供給される。用紙Pは、紙パスP2上を移動し、ゲート41の切り替えにより、定着装置26に導かれる。この搬送速度は、画像形成時の“第1の用紙搬送速度”215mm/secとは異なる、“第2の用紙搬送速度”21mm/secであり、定着装置26も“第2の用紙搬送速度”21mm/secで用紙を加熱/加圧定着しつつ用紙を搬送する。
【0091】
定着装置26において、用紙P上のトナー像は加熱される。熱により色素と発色剤の結びつきが断ち切られ、画像は発色状態から消色状態に変化する。カプセル式トナー像の色が消色されることで画像消色が完了する。定着装置26の用紙Pの搬送方向下流に配置された排紙ローラ32により、画像消色された用紙Pが所定方向に排出される。この用紙を再び、給紙カセット装置20にセットすれば、画像形成用の用紙としてリユースする事ができる。
【0092】
なお、定着装置26の動作条件は、第1の実施の形態で説明した画像消色時の動作条件と同じである。また、第1の実施の形態と同様に、画像消色モード中は、FAXやPrint、CopyのJOBを受けたときは、画像消色モードは中断せず、それらのJOBを画像消色モードが終了(消色する用紙が無くなった時)し、印字可能状態となった後に、画像消色モード中に受けたJOBの印刷を開始するシーケンスを採用した。
【0093】
〔第4の実施の形態〕
第4の実施の形態では、カプセル式消色トナーの色材の量が第1の実施の形態と異なっている。従って、第1の実施の形態と同一の部位は同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0094】
第4の実施の形態では、カプセル式消色トナーは、外添剤を添加する前トナーの30wt%がカプセル化した色材の量となる様に製造されている。この色材の量が異なるカプセル式消色トナーを用いて、第1の実施の形態に記載の内容と同じ試験を実施した。
【0095】
得られた定着画像は、画像濃度も高く視認性の優れた画像であった。しかし、第1の実施の形態で説明した画像消色動作を実行してトナー像の色を消色した後の画像では、カプセルそのものの色が消え残りとして残存した。消色後画像濃度は、0.2であり、用紙をリユースするには、背景のノイズとしては許容範囲ぎりぎりであった。従って、画像有効に消色されるためには、カプセル式消色トナーの色材の量は、30wt%以下であることが望ましい。
【0096】
第1の実施の形態によれば、画像の視認性を確保するためには、カプセル式消色トナーの色材の量は、10wt%以上であることが望ましい。第4の実施の形態によれば、消色が有効に機能するためにはカプセル式消色トナーの色材の量は、30wt%以下であることが望ましい。従って、望ましいカプセル式消色トナーの色材の量は、10wt%〜30wt%と考えられる。
【0097】
〔第5の実施の形態〕
第5の実施の形態では、消色動作時においても、画像形成時と同じ搬送速度で用紙を搬送する点が第1の実施の形態と異なっている。従って、第1の実施の形態と同一の部位は同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0098】
第5の実施の形態では、カプセル式消色トナーは、外添剤を添加する前トナーの30wt%がカプセル化した色材の量となる様に製造されている。このカプセル式消色トナーにより形成されたトナー像を消色する際、用紙Pは給紙カセット装置20にセットされる。画像消色モードの開始が入力されたときは、画像形成部10の感光体ドラム11は、画像形成時と同じ“第1の用紙搬送速度”周速215mm/secで矢印s方向に駆動される。
【0099】
画像消色モードでは、感光体ドラム11には、レーザ露光装置13による画像情報に応じた静電潜像は形成されない。用紙Pは、前述の画像形成時と同様のプロセスを経て、“第1の用紙搬送速度”周速215mm/secで定着装置26に搬送される。画像消色モードでは、定着装置26は第1の実施の形態での定着温度よりも高い“第2の定着温度”190℃で用紙を加熱/加圧定着しつつ用紙を搬送する。この条件の下では、用紙上のトナー像は90℃以上に加熱され、カプセル式消色トナーの瞬時消色性により、用紙Pを消色することが出来た。
【0100】
ところで、画像消色モードにおいて搬送される用紙の間隔を、画像形成時での用紙の間隔と同じ約80mmにした場合は、排出された用紙同士がトナーにより貼り付いてしまう現象が発生した。これは、排出直後の用紙の温度が高いため、トナー樹脂が比較的柔らかく重なった用紙裏面に貼り付いてしまう為である。そこで、用紙間隔を種々の値に変更して試験を行なった結果、画像消色モード時の用紙間隔を約400mmとした場合は、連続100枚消色をしても、排出された用紙が貼り付くことは無かった。これは、排出された用紙が冷えた状態で、次の用紙が排出される為である。
【0101】
このことから、用紙を定着装置26に供給する時間間隔を約2秒(≒400/215秒)以上に変更することで、用紙同士が貼り付く現象を回避できることがわかる。
【0102】
〔第6の実施の形態〕
第6の実施の形態では、定着装置の構成が第1の実施の形態と異なっている。従って、第1の実施の形態と同一の部位は同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0103】
図10は、第6の実施の形態の画像形成装置1の定着装置26の構成を示す図である。
【0104】
定着装置26は、円筒状に形成した定着部材であるヒートローラ51と、無端回動する加圧部材である加圧ベルト52とを有する。加圧ベルト52はヒートローラ51の外周面に所定の範囲にわたって当接し、定着ニップ部を形成する。ヒートローラ51は内部に加熱源としてハロゲンランプで構成されるヒートローラ用ランプ53を内蔵する。
【0105】
加圧ベルト52は、搬送方向上流側に位置するベルトヒートローラ54と、搬送方向下流側に位置する加圧ローラ55と、テンションローラ56とに巻き掛けられ張架される。ベルトヒートローラ54と加圧ローラ55との間に定着ニップ部が形成される。加圧ローラ55は加圧ベルト52をヒートローラ51に加圧接触させて定着ニップ部の出ロを形成する。また、加圧ベルト52の内側に配置した加圧パッドホルダー57には加圧パッド58が保持される。加圧パッド58を定着ニップ部の中央部で加圧ベルト52の内周面に押し付けることで、加圧ベルト52がヒートローラ51に加圧接触する。
【0106】
ベルトヒートローラ54は、中空ローラ形状に形成され、加熱源であるハロゲンランプで構成される加圧ベルトランプ59を内蔵する。
【0107】
ヒートローラ51の表面温度は外周面に接触する定着部材用サーミスタ61により検知し、ベルトヒートローラ54における加圧ベルト52の表面温度は外周面に接触する加圧部材用サーミスタ62により検知する。
【0108】
図11は、第6の実施の形態の画像形成装置1の定着装置26の加熱機構の構成を示す図である。図11には定着装置26の内部の加熱機構と、この加熱機構への通電を制御する通電制御部50を記載している。
【0109】
ヒートローラ51に内蔵のハロゲンランプ53は、ヒートローラ51の長さ方向中央部を加熱するヒートローラ用センターランプ53Aと、ヒートローラ51の長さ方向両端部を加熱するヒートローラ用サイドランプ53Bの2本を有している。また、ベルトヒートローラ54に内蔵の加圧ベルトランプ59は、ベルトヒートローラ54を長さ方向の全長にわたり加熱する。
【0110】
ヒートローラ用センターランプ53A、ヒートローラ用サイドランプ53Bおよび加圧ベルトランプ59は、それぞれセンターランプ用スイッチング素子63A、サイドランプ用スイッチング素子63Bおよび加圧ベルトランプ用スイッチング素子64と電気的に接続する。温度制御器65がこれらのスイッチング素子を個々にON/OFF制御することにより、商用の交流電源を供給/停止して温度を制御する。なお、これらのスイッチング素子は、例えば双方向サイリスタを使用することができる。
【0111】
定着部材用サーミスタ61は、ヒートローラ51の長さ方向の中央部分の表面温度を検知するヒートローラ用センターサーミスタ61Aと、ヒートローラ51の長さ方向の片側端部の表面温度を検知するヒートローラ用サイドサーミスタ61Bとを有する。ヒートローラ用センターサーミスタ61Aとヒートローラ用サイドサーミスタ61Bの温度検知情報は温度制御器65に入力される。また、加圧部材用サーミスタ62は、加圧ベルト52の幅方向中央部分の表面温度を検知する。温度検知情報は温度制御器65に入力される。
【0112】
温度制御器65は、各サーミスタ61A、61B、62の温度検知情報に基づいてそれぞれのランプのON/OFFを制御して温度制御を実行する。なお、温度制御器65は、温度制御を実行するプログラムが格納されたROM(不図示)と、温度制御の制御パラメータが格納されたRAM(不図示)を備えている。
【0113】
〔第7の実施の形態〕
第7の実施の形態では、画像形成装置の構成が第1の実施の形態と異なっている。従って、第1の実施の形態と同一の部位は同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0114】
図12は、第7の実施の形態の画像形成装置の概略構成図である。画像形成装置1は複連タンデムプロセスを用いる画像形成装置である。この画像形成装置1は、複連タンデムプロセス120、ブレード112(トナー除去部)、制御装置114、給紙装置115、1次転写ベルト116、2次転写ローラ117、定着装置26を備える。また、複連タンデムプロセス120は、4個のプロセスユニット121,122,123,124を有する。
【0115】
なお、プロセスユニット121,122,123,124は、黄色(Y)トナー、マゼンダ(M)トナー、シアン(C)トナー及び消色トナーを用いる。即ち、第7の実施の形態では、トナーカセットを入れ替えることなく、消色トナーと非消色トナーとを切り替えて使用することができる。
【0116】
図13は、第7の実施の形態の画像形成装置のプロセスユニット121の構成の一例を示す構成図である。プロセスユニット121は、現像装置121a、感光体ドラム121b、帯電装置121c、露光装置121dを備える。
【0117】
プロセスユニット121において、感光体ドラム121b(像担持体)は、帯電装置121cにより所定の電位に帯電され、露光装置121dにより画像情報で強度変調されたレーザビームを照射される。これにより、出力すべき画像に対応した静電潜像が感光体ドラム121bに形成される。感光体ドラム121bに形成された静電潜像は、現像装置121aの磁気ブラシによりトナーを選択的に提供されて現像される。現像された感光体ドラム121b上のトナーは、電界により1次転写ベルト116に転写される。なお、プロセスユニット121は、クリーナレスタイプであるが、このタイプに限定されず、クリーナを備えていても良い。他のプロセスユニット122,123,124の構成及び動作も同様である。
【0118】
図12に示す画像形成装置1では、プロセスユニット121,122,123,124による作像工程を経て、各色トナーが1次転写ベルト116に転写される。その後、給紙、2次転写ローラ117による2次転写工程、定着装置26による定着工程を経て用紙が画像形成装置1から排紙される。
【0119】
なお、画像形成装置1は、図12に示す構成に限られず、図14に示す構成としても良い。図14に示す画像形成装置1は、複連タンデムプロセス120に代えて複連タンデムプロセス140を備えている。そして、複連タンデムプロセス140は、例えば、消色トナーを使用するプロセスユニット141と4色(Y,M,C,K)の非消色トナーを使用するプロセスユニット142,143,144,145で構成される。
【0120】
以上、各実施の形態の画像形成装置について説明した。画像消色モード時は、画像形成時と比べて、用紙搬送速度を遅くし、または定着温度を高くする。画像消色モード時においては、予め定めた第2の用紙搬送速度、または第2の定着温度の運転条件で運転する。しかしながら、画像消色モード時のこれら運転条件は、使用する媒体(種類、厚さ)、使用するトナーの物性などによって適正値が異なることが考えられる。
【0121】
そこで、例えば、使用する媒体の特性(種類、厚さ)、使用するトナーの物性(消色性能)を検知し、あるいはユーザの設定入力によって取得して、画像消色モード時の運転条件を切り替えても良い。その際、以下のような運転方法を運転条件に応じて適宜組み合わせることができる。
【0122】
(1)画像消色モード時は、画像形成時と比べて、用紙搬送速度を遅くした第2の搬送速度を搬送制御系に設定する。
(2)画像消色モード時は、画像形成時と比べて、定着温度を高くした第2の定着温度を定着器に設定する。
(3)画像消色モード時は、画像形成時と比べて、用紙搬送速度を遅くした第2の搬送速度を搬送制御系に設定し、かつ定着温度を高くした第2の定着温度を定着器に設定する。
【0123】
なお、上述の各実施の形態では、熱消色可能な記録材として熱消色可能なトナーを使用したが、この形態に限定されず、熱消色可能なインクを使用しても良い。
【0124】
なお、上述の各実施の形態において、図15に示す各カウンタは、媒体のサイズ毎にカウントしたが、例えば、サイズがA4より小さいものはA4としてカウントするなど適宜分類してカウントすることもある。従って、図15に示す各カウンタは、媒体のサイズに応じてカウントすると把握することができる。
【0125】
また、上述の各実施の形態において、消耗品カウンタは消耗品の動作回数をカウントしたが、消耗品の動作時間をカウントするようにしても良い。従って、消耗品カウンタは動作量をカウントすると把握することができる。
【0126】
また、上述の各実施の形態において、消色モードと対比して印刷モードについて説明した。ここで、印刷モードは、画像形成装置によっては画像形成モードと呼ばれる場合もある、従って、上述の印刷モードは画像形成モードと呼んでも良い。
【0127】
なお、上述の実施の形態で説明した各機能は、ハードウエアを用いて構成しても良く、また、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現しても良い。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
【0128】
更に、各機能は図示しない記録媒体に格納したプログラムをコンピュータに読み込ませることで実現させることもできる。ここで本実施の形態における記録媒体は、プログラムを記録でき、かつコンピュータが読み取り可能な記録媒体であれば、その記録形式は何れの形態であってもよい。
【0129】
尚、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0130】
1…画像形成装置、10…画像形成部、11…感光体ドラム、12…帯電チャージャ、13…レーザ露光装置、14…現像装置、16…転写チャージャ、17…剥離チャージャ、18…クリーナ、19…除電LED、20…給紙カセット装置、21…給紙ローラ、22…レジストローラ、26…定着装置、27…定着ローラ、28…加圧ローラ、30…IHコイル、31…サーミスタ、32…排紙ローラ、100…制御部、110…スキャン部、112…オートフィード部、130…プリント部、140…コントロールパネル、141…表示部、141…タッチパネルディスプレイ、50…通電制御部、51…ヒートローラ、52…加圧ベルト、53…ヒートローラ用ランプ、53…ハロゲンランプ、54…ベルトヒートローラ、55…加圧ローラ、56…テンションローラ、58…加圧パッド、61…定着部材用サーミスタ、62…加圧部材用サーミスタ、65…温度制御器、120…複連タンデムプロセス、140…複連タンデムプロセス。
図1
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