(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789644
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】像再生方法
(51)【国際特許分類】
G02B 27/22 20060101AFI20150917BHJP
G02B 17/06 20060101ALI20150917BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
G02B27/22
G02B17/06
G02B5/08 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-143728(P2013-143728)
(22)【出願日】2013年7月9日
(65)【公開番号】特開2015-18038(P2015-18038A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2014年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】598033848
【氏名又は名称】株式会社アスカネット
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(72)【発明者】
【氏名】大坪 誠
【審査官】
堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−191404(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0320322(US,A1)
【文献】
国際公開第2009/131128(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/073362(WO,A1)
【文献】
特開2014−145936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/22 − 27/26
G02B 5/08 − 5/10
G02B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ透明板内に、該透明板の厚み方向に対して傾斜した帯状反射面が隙間を有して平行に設けられた第1、第2の光制御パネルを、該第1、第2の光制御パネルの前記帯状反射面が平面視して交差する状態で当接して又は平行に近接して配置された倍率変更型光学結像装置を用いて、該倍率変更型光学結像装置の入力側空間に形成する入力像を、該倍率変更型光学結像装置の出力側空間に実像として形成する像再生方法であって、
前記出力側空間の各出力点の位置(X、Y、Z)と、前記出力点の位置(X、Y、Z)に対応する前記入力側空間の各入力点の位置(pX、qY、rZ)をそれぞれ求める第1工程と、
前記出力側空間に表示する正規の歪みのない実像を形成する前記出力点の位置(X1、Y1、Z1)に対する前記各入力点の位置(pX1、qY1、rZ1)を順次求めて、該位置(pX1、qY1、rZ1)に合成又は予め用意された画像を配置する第2工程とを有することを特徴とする像再生方法。
【請求項2】
それぞれ透明板内に、該透明板の厚み方向に対して傾斜した帯状反射面が隙間を有して平行に設けられた第1、第2の光制御パネルを、該第1、第2の光制御パネルの前記帯状反射面が平面視して交差する状態で当接して又は平行に近接して配置された倍率変更型光学結像装置を用いて、該倍率変更型光学結像装置の入力側空間に形成する入力像を、該倍率変更型光学結像装置の出力側空間に歪みのない実像として形成する像再生方法であって、
予め設定した間隔で分布する複数の入力点からなる前記入力側空間を形成し、該入力点毎に表示する微小像が前記倍率変更型光学結像装置を介して表示される出力点を求めて、該出力点の分布からなる前記出力側空間を形成する工程と、
前記出力側空間に前記実像を再生する領域を設定し、該実像の表面に存在する複数の前記出力点を表示出力点としてそれぞれ抽出する工程と、
前記表示出力点にそれぞれ対応する前記入力側空間の前記入力点を表示入力点として抽出する工程と、
前記表示入力点にそれぞれ、前記表示出力点に表示される前記実像の基になる原画像の部分原画像を表示して前記入力側空間に前記入力像を形成する工程とを有することを特徴とする像再生方法。
【請求項3】
請求項2記載の像再生方法において、前記微小像は、前記倍率変更型光学結像装置の一方側に該倍率変更型光学結像装置に対して平行かつ進退自在に配置したスクリーンに表示手段を用いて表示することを特徴とする像再生方法。
【請求項4】
請求項3記載の像再生方法において、前記出力点は、前記倍率変更型光学結像装置の他方側に該倍率変更型光学結像装置に対向して配置した撮像手段を用いて求めることを特徴とする像再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倍率変更された歪のない実像を表示する像再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
それぞれ透明板の内部に、透明板の厚み方向に平行となるように(透明板の表面に対して垂直となるように)帯状反射面が隙間を有して平行に設けられた第1、第2の光制御パネルを、第1、第2の光制御パネルの帯状反射面が直交する状態で当接配置し、例えば、第1の光制御パネルの外側に配置した物体を第2の光制御パネルの外側に立体像として結像する光学結像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再表2009/131128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載された光学結像装置では、結像する立体像の大きさを変えようと(拡大又は縮小を行おうと)すると、物体の大きさを変える必要があり、光学結像装置の普及を図る上での大きな妨げとなっている。そこで、帯状反射面を、透明板の厚み方向に対して傾斜させて透明板内に設けることにより、光学結像装置に対して結像位置を変化させることができ、物体の大きさを変えずに立体像の大きさを調節することが可能になる。しかしながら、帯状反射面の間隔及び傾斜角度を透明板内で一定にすることは不可能で、通常は、帯状反射面の間隔及び傾斜角度のそれぞれの設定値からのずれ量が、透明板の場所により変動している。このため、透明板に対して同一方向から光が入射しても、帯状反射面で反射した反射光の方向は、透明板内の入射位置により異なる。
【0005】
従って、帯状反射面の間隔及び傾斜角度が透明板の場所により変動している第1、第2の光制御パネルを用いて光学結像装置を構成した場合、第1の光制御パネル側に配置した物体の各部位の結像位置は、各部位相互間の位置関係(各部位相互間の距離、各部位と第1の光制御パネルとの間の距離)と、物体の各部位から放射される光の結像に関与する第1、第2の光制御パネル内の帯状反射面のそれぞれの位置の影響を受ける。その結果、第2の光制御パネル側に形成される立体像は、拡大又は縮小されると共に歪んだ状態になるという問題を有する。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、倍率変更(等倍率変更の場合も含む)された歪のない実像を表示することが可能な像再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係る像再生方法は、それぞれ透明板内に、該透明板の厚み方向に対して傾斜した帯状反射面が隙間を有して平行に設けられた第1、第2の光制御パネルを、該第1、第2の光制御パネルの前記帯状反射面が平面視して交差する状態で当接して又は平行に近接して配置された倍率変更型光学結像装置を用いて、該倍率変更型光学結像装置の入力側空間に形成する入力像を、該倍率変更型光学結像装置の出力側空間に実像として形成する像再生方法であって、
前記出力側空間の各出力点の位置(X、Y、Z)と、前記出力点の位置(X、Y、Z)に対応する前記入力側空間の各入力点の位置(pX、qY、rZ)をそれぞれ求める第1工程と、
前記出力側空間に表示する正規の歪みのない実像を形成する前記出力点の位置(X1、Y1、Z1)に対する前記各入力点の位置(pX1、qY1、rZ1)を順次求めて、該位置(pX1、qY1、rZ1)に合成又は予め用意された画像を配置する第2工程とを有する。
【0008】
前記目的に沿う第2の発明に係る像再生方法は、それぞれ透明板内に、該透明板の厚み方向に対して傾斜した帯状反射面が隙間を有して平行に設けられた第1、第2の光制御パネルを、該第1、第2の光制御パネルの前記帯状反射面が平面視して交差する状態で当接して又は平行に近接して配置された倍率変更型光学結像装置を用いて、該倍率変更型光学結像装置の入力側空間に形成する入力像を、該倍率変更型光学結像装置の出力側空間に歪みのない実像として形成する像再生方法であって、
予め設定した間隔で分布する複数の入力点からなる前記入力側空間を形成し、該入力点毎に表示する微小像が前記倍率変更型光学結像装置を介して表示される出力点を求めて、該出力点の分布からなる前記出力側空間を形成する工程と、
前記出力側空間に前記実像を再生する領域を設定し、該実像の表面に存在する複数の前記出力点を表示出力点としてそれぞれ抽出する工程と、
前記表示出力点にそれぞれ対応する前記入力側空間の前記入力点を表示入力点として抽出する工程と、
前記表示入力点にそれぞれ、前記表示出力点に表示される前記実像の基になる原画像の部分原画像を表示して前記入力側空間に前記入力像を形成する工程とを有する。
【0009】
第2の発明に係る像再生方法において、前記微小像は、前記倍率変更型光学結像装置の一方側に該倍率変更型光学結像装置に対して平行かつ進退自在に配置したスクリーンに表示手段を用いて表示することが好ましい。
【0010】
第2の発明に係る像再生方法において、前記出力点は、前記倍率変更型光学結像装置の他方側に該倍率変更型光学結像装置に対向して配置した撮像手段を用いて求めることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明に係る像再生方法においては、出力側空間の各出力点の位置(X、Y、Z)と、出力点の位置(X、Y、Z)に対応する入力側空間の各入力点の位置(pX、qY、rZ)をそれぞれ求めて、出力点と入力点との1対1の対応関係を予め求めておき、出力側空間に表示する正規の歪みのない実像を形成する出力点の位置(X1、Y1、Z1)に対する各入力点の位置(pX1、qY1、rZ1)を順次求めて、この位置(pX1、qY1、rZ1)に合成又は予め用意された画像を配置して入力側空間に入力像を形成するので、第2の発明に係る像再生方法においては、入力像を表示する入力側空間を構成する入力点と、実像が表示される出力側空間を構成する出力点との1対1の対応関係を予め求めておき、出力側空間に再生する歪みのない実像の表面に存在する出力点を表示出力点として設定し、各表示出力点に対応する入力側空間の表示入力点に、表示出力点にそれぞれ表示される実像の基になる原画像の部分原画像を表示することにより入力側空間に入力像を形成するので、出力側空間に歪みのない実像を形成することができる。
【0012】
第2の発明に係る像再生方法において、微小像を、倍率変更型光学結像装置の一方側に倍率変更型光学結像装置に対して平行かつ進退自在に配置したスクリーンに表示手段を用いて表示する場合、微小像の位置を正確に設定しながら効率的に形成することができる。
【0013】
第2の発明に係る像再生方法において、出力点を、倍率変更型光学結像装置の他方側に倍率変更型光学結像装置に対向して配置した撮像手段を用いて求める場合、出力点の位置を容易かつ正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(A)、(B)、(C)は本発明の第1、第2の実施の形態に係る像再生方法に用いられる倍率変更型光学結像装置の要部を示す平面図、正断面図、側断面図である。
【
図2】同倍率変更型光学結像装置による光制御状態を示す説明図である。
【
図3】本発明の第1、第2の実施の形態に係る像再生方法に用いられる他の倍率変更型光学結像装置による光制御状態を示す説明図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る像再生方法における入力側空間と出力側空間の説明図である。
【
図5】同像再生方法における表示入力点と表示出力点の関係を示す説明図である。
【
図6】同像再生方法における入力側空間と出力側空間の形成方法の説明図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態に係る像再生方法における入力側空間と出力側空間の説明図である。
【
図8】同像再生方法における表示入力点と表示出力点の関係を示す説明図である。
【
図9】同像再生方法における入力側空間と出力側空間の形成方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明の第1、第2の実施の形態に係る像再生方法について説明する。
図1(A)、(B)、(C)に示すように、本発明の第1、第2の像再生方法に用いられる倍率変更型光学結像装置10は、当接して配置された第1、第2の光制御パネル11、12を有している。そして、第1、第2の制御パネル11、12は、それぞれ透明板11a、12aと、透明板11a、12a内に、透明板11a、12aの厚み方向に傾斜(第1、第2の制御パネル11、12の当接面16に対する傾斜角度はβ度)し、それぞれ所定間隔で平行配置された複数の帯状反射面13、14を有し、第1、第2の光制御パネル11、12の各帯状反射面13、14は、平面視して直交状態で交差している。なお、第1、第2の制御パネル11、12は、透明な接着剤を用いて接合するのが好ましいが、第1、第2の制御パネル11、12を単に当接させても、隙間を有して平行に近接させてもよい。
【0016】
ここで、傾斜角度β度は、90度未満で30度以上、好ましくは、55〜89度、更に好ましくは75〜88度(以下同様)であるが、場合によっては、30度未満でもよい。そして、
図1(B)に示すように、帯状反射面13、14の厚み方向に平行な面に対する傾斜角度をα度とすると、α=90−βとなる。このような構成では、倍率変更型光学結像装置10の一方側(
図1(B)では、第1の光制御パネル11の外側、即ち第1の光制御パネル11の第2の光制御パネル12と接する側とは反対側の外側)を倍率変更する前の入力像を形成(表示)する入力側空間、倍率変更型光学結像装置10の他方側(
図1(B)では、第2の光制御パネル12の外側、即ち第2の光制御パネル12の第1の光制御パネル11と接する側とは反対側の外側)を倍率変更された実像が形成(再生)される出力側空間に設定すると、帯状反射面13、14は入力像の軸心mを中心にして内側にα度傾斜して(即ち、光の進行方向(結像方向)に対して内側に向かうように)形成されている。
【0017】
図2には、倍率変更型光学結像装置10を帯状反射面14の長手方向に沿った方向から側面視した場合において、第1の光制御パネル11の外側の入力側空間にある入力像の1点Pから放出された光が、帯状反射面13、14で反射して、第2の光制御パネル12の外側の出力側空間に放射される際の状況を示している。帯状反射面13の反射光が帯状反射面14に入射する際の入射角度をθとすると、帯状反射面14で反射されて出力側空間に放射される反射光と倍率変更型光学結像装置10(第1、第2の光制御パネル11、12)のなす角度γは、(θ−α)度となる。
【0018】
一方、第1、第2の光制御パネル11、12の厚み方向に平行に帯状反射面が形成されている場合(αが0度である場合)は、第2の光制御パネル12の帯状反射面で反射されて出力側空間に放射される反射光と第2の光制御パネル12のなす角度γは、θ度である。従って、帯状反射面14の傾斜角度が90度未満のβ(90−α)度であると、帯状反射面が傾斜していない場合と比較して、出力側空間に放射される反射光の光路は第2の光制御パネル12に接近し、出力側空間に形成される実像の1点P´は倍率変更型光学結像装置10に近い側に形成される。その結果、出力側空間に形成される実像は、入力像より小さくなる(縮小される)。
【0019】
本発明の第1、第2の実施の形態に係る像再生方法に用いられる他の倍率変更型光学結像装置17は、倍率変更型光学結像装置10と比較して、
図3に示すように、第1、第2の光制御パネル18、19にそれぞれ設けられる帯状反射面20、21の傾斜角度であるβ度が90度を超え、150度以下であることが特徴となっている。このため、帯状反射面20、21の厚み方向に平行な面に対する傾斜角度をα度とすると、α=β−90となる。このような構成では、倍率変更型光学結像装置17の一方側(
図3では、第1の光制御パネル18の外側)を倍率変更する前の入力像を形成(表示)する入力側空間、他方側(
図3では、第2の光制御パネル19の外側)を倍率変更された実像が形成(再生)される出力側空間に設定すると、帯状反射面20、21は入力像の軸心mを中心にして外側にα度傾斜して(即ち、光の進行方向(結像方向)に対して外側に開くように)形成されている。
【0020】
図3には、倍率変更型光学結像装置17を帯状反射面21の長手方向に沿った方向から側面視した場合において、第1の光制御パネル18側にある入力像の1点Sから放出された光が、帯状反射面20、21で反射して、第2の光制御パネル19側の出力側空間に放射される際の状況を示している。帯状反射面20の反射光が帯状反射面21に入射する際の入射角度をθとすると、帯状反射面21で反射されて出力側空間に放射される反射光と倍率変更型光学結像装置17(第1、第2の光制御パネル18、19)のなす角度γは、(θ+α)度となる。従って、帯状反射面21の傾斜角度が90度を超えるβ(90+α)度であると、帯状反射面が傾斜していない場合と比較して、出力側空間に放射される反射光の光路は第2の光制御パネル19から遠ざかり、出力側空間に形成される実像の1点S´は倍率変更型光学結像装置17から離れる側に形成される。その結果、出力側空間に形成される実像は、入力像より大きくなる(拡大される)。なお、符号22は、第1の光制御パネル18と第2の光制御パネル19の当接面である。
【0021】
続いて、倍率変更型光学結像装置10、17を用いた本発明の第1の実施の形態に係る像再生方法について説明する。この像再生方法は、
図4に示すように、出力側空間26aの各出力点25aの位置(X、Y、Z)と、出力点25aの位置(X、Y、Z)に対応する入力側空間24aの各入力点23aの位置(pX、qY、rZ)をそれぞれ求める第1工程と、
図5に示すように、出力側空間26aに表示する正規の歪みのない実像、例えば、直方体画像を形成する出力点25bの位置(X1、Y1、Z1)に対する入力側空間24aの各入力点23bの位置(pX1、qY1、rZ1)を順次求めて、各入力点23bの位置(pX1、qY1、rZ1)に合成又は予め用意された画像を配置する第2工程とを有する。以下、詳細に説明する。
【0022】
第1工程では、倍率変更型光学結像装置10、17の一方側に出力側空間26aを設定し、出力側空間26aの複数の位置(X、Y、Z)にそれぞれ出力点25aを配置し、出力点25a毎に表示する微小像が倍率変更型光学結像装置10、17を介して倍率変更型光学結像装置10、17の他方側に形成される入力側空間24aに結像する入力点23aの位置(pX、qY、rZ)を求める。
【0023】
例えば、
図6に示すように、微小像は出力点25aに表示される、例えば、光点であって、倍率変更型光学結像装置10、17の出力側空間26aに倍率変更型光学結像装置10、17に対して平行かつ進退自在に配置したスクリーン31aに表示手段の一例であるプロジェクタ32aを用いて表示する。そして、表示された光点から放射される光は、倍率変更型光学結像装置10、17を介して、倍率変更型光学結像装置10、17の入力側空間24aの入力点23aに光点像として結像するので、第1の光制御パネル11、18の外側に第1の光制御パネル11、18ステレオカメラ33aを用いて光点像を撮影する。なお、ステレオカメラ33aは、単にカメラであってもよい。
【0024】
ここで、出力側空間26aの出力点25aに形成される光点の位置は、スクリーン31aの第2の光制御パネル12、19に対する位置とスクリーン31a上の光点位置から特定することができる。また、入力側空間24aの入力点23aに形成される光点像の位置は、ステレオカメラ33aの第1の光制御パネル11、18に対する位置と、ステレオカメラ33aで撮影される撮影像内の位置から求められる。
【0025】
そして、倍率変更型光学結像装置10、17の第2の光制御パネル12、19に対して平行に配置したスクリーン31aを、出力側空間26a内で予め設定したピッチで第2の光制御パネル12、19に対して進退させながら、スクリーン31aの位置毎にプロジェクタ32aでスクリーン31a上に表示する光点の位置を予め設定した間隔で縦横に変えて、入力側空間24aの入力点23aに結像される光点像の位置を順次特定することにより、
図4に示すように、出力側空間26aの出力点25aの位置(X、Y、Z)と、入力側空間24aの入力点23aの位置(pX、qY、rZ)の関係が求められる。
【0026】
第2工程は、出力側空間26aに直方体画像を形成する領域を設定し、直方体画像の表面に存在する複数の出力点25bを抽出するサブ工程と、出力点25bにそれぞれ対応する入力側空間24aの入力点23bを抽出するサブ工程と、入力点23bにそれぞれ直方体画像の各部位に対応する部分画像を表示して入力側空間24aに入力像を形成するサブ工程とを有している。なお、
図5に示すように、入力側空間24a内の入力点23bの位置関係は、出力側空間26aの出力点25bの位置関係が保存されず、入力像は歪んだ状態となる。
【0027】
次いで、倍率変更型光学結像装置10、17を用いた本発明の第2の実施の形態に係る像再生方法について説明する。この像再生方法は、
図7に示すように、予め設定した間隔で分布する複数の入力点23からなる入力側空間24を形成し、入力点23毎に表示する微小像が倍率変更型光学結像装置10、17を介して表示される出力点25を求めて、出力点25の分布からなる出力側空間26を形成する工程と、
図8に示すように、出力側空間26に実像、例えば、矩形枠体27を再生する領域を設定し、矩形枠体27の枠部(表面)に存在する複数の出力点25を表示出力点28としてそれぞれ抽出する工程と、
図8に示すように、表示出力点28にそれぞれ対応する入力側空間24の入力点23を表示入力点29として抽出する工程と、表示入力点29にそれぞれ、表示出力点28に表示される矩形枠体27の基になる原画像の部分原画像を表示して入力側空間24に入力像30を形成する工程とを有している。以下、詳細に説明する。
【0028】
図9に示すように、微小像は入力点23に表示される、例えば、光点であって、倍率変更型光学結像装置10、17の一方側(第1の光制御パネル11、18の外側)、即ち、入力側空間24に倍率変更型光学結像装置10、17に対して平行かつ進退自在に配置したスクリーン31に表示手段の一例であるプロジェクタ32を用いて表示する。そして、表示された光点から放射される光は、倍率変更型光学結像装置10、17を介して、倍率変更型光学結像装置10、17の他方側(第2の光制御パネル12、19の外側)、即ち、出力側空間26の出力点25に光点像として結像するので、第2の光制御パネル12、19の外側に第2の光制御パネル12、19に対向して配置した撮像手段の一例であるカメラ33を用いて光点像を撮影する。なお、カメラ33はステレオカメラであってもよい。
【0029】
ここで、入力側空間24の入力点23に形成される光点の位置は、スクリーン31の第1の光制御パネル11、18に対する位置とスクリーン31上の光点位置から特定することができる。また、出力側空間26の出力点25に形成される光点像の位置は、カメラ33の第2の光制御パネル12、19に対する位置と、カメラ33で撮影される撮影像内の位置から求められる。これにより、入力側空間24の入力点23の位置と、出力側空間26の出力点25の位置の関係が求められる。
【0030】
そして、倍率変更型光学結像装置10、17の第1の光制御パネル11、18に対して平行に配置したスクリーン31を、入力側空間24内で予め設定したピッチで第1の光制御パネル11、18に対して進退させながら、スクリーン31の位置毎にプロジェクタ32でスクリーン31上に表示する光点の位置を予め設定した間隔で縦横に変えて、出力側空間26の出力点25に結像される光点像の位置を順次特定することにより、
図7に示すように、入力像を表示する入力側空間24の入力点23と、実像が表示される出力側空間26の出力点25との1対1の対応関係、例えば、a
11がa´
11、b
11がb´
11、c
11がc´
11、d
11がd´
11、e
11がe´
11、a
21がa´
21、b
21がb´
21、c
21がc´
21、d
21がd´
21、e
21がe´
21、・・・が決まる。
【0031】
図8に示すように、出力側空間26に歪みのない実像である矩形枠体27の再生領域を設定し、矩形枠体27の表面、即ち枠部に存在する複数の出力点25を表示出力点28としてそれぞれ抽出する。次いで、表示出力点28にそれぞれ対応する入力側空間24の入力点23を表示入力点29として抽出する。そして、表示出力点28に表示される矩形枠体27の基になる原画像の部分原画像を、それぞれ表示入力点29に表示することにより、入力側空間24に、矩形枠体27の入力像30が形成される。なお、入力側空間24内の表示入力点29の位置関係は、出力側空間26の表示出力点28の位置関係が保存されず、入力像30は歪んだ状態となる。
【0032】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
更に、本実施の形態とその他の実施の形態や変形例にそれぞれ含まれる構成要素を組合わせたものも、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
10:倍率変更型光学結像装置、11:第1の光制御パネル、11a:透明板、12:第2の光制御パネル、12a:透明板、13、14:帯状反射面、16:当接面、17:倍率変更型光学結像装置、18:第1の光制御パネル、19:第2の光制御パネル、20、21:帯状反射面、22:当接面、23、23a、23b:入力点、24、24a:入力側空間、25、25a、25b:出力点、26、26a:出力側空間、27:矩形枠体、28:表示出力点、29:表示入力点、30:入力像、31、31a:スクリーン、32、32a:プロジェクタ、33:カメラ、33a:ステレオカメラ