(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、人によって騒音と感じる音の大きさはそれぞれ異なる。そのため、上記の特許文献に記載されているように一定のルールを用いてポリゴンモーターの回転数を落としたとしても、その音も人によっては騒音と感じる場合があり、問題解決にはなっていなかった。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、印刷時以外のポリゴンモーターの回転数を制御することによってポリゴンモーターから発する騒音の抑制を図った画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明の画像形成装置は、感光体が担持する静電潜像を現像剤によって顕像化して用紙に転写することによって、当該用紙に画像を形成する画像形成手段と、画像信号に応じた光を出射する光源と、前記光源が出射した光を前記感光体の表面に走査させるための複数の反射面を有する回転多面体と、前記回転多面体を回転駆動するモーターと
、ユーザーによる前記モーターが発する駆動音の大きさの変更を指示する変更入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段が受け付けた駆動音の大きさの変更入力と連動して、前記画像形成手段が前記用紙に画像を形成していない時の前記モーターの回転駆動を制御する回転数制御手段と、前記モーターが発しうる複数の異なる駆動音の大きさと、当該各駆動音の大きさに相当する音を発する時の前記モーターの回転数を対応付けて記憶する第1記憶手段と、
前記回転数制御手段による前記モーターの回転数の変更を、手動にて行うのか、自動にて行うのかの選択入力をユーザーに促す画面を表示部に表示させる表示制御手段と、前記画像形成装置の周辺環境の音の大きさを測定する音測定手段と、を備え、
前記回転数制御手段は、前記画像形成手段が前記用紙に画像を形成していない時に、前記受付手段が受け付けた駆動音の大きさの変更入力と連動して、当該受付手段が受け付けた駆動音の大きさと対応付けて記憶されている回転数を前記第1記憶手段から読み出し、前記モーターの回転数を当該読み出した回転数に逐次変更し、当該逐次変更した回転数にて前記モーターを回転駆動させ
、前記回転数制御手段は、前記選択入力をユーザーに促す画面において、ユーザーが前記自動にて行うことを選択した場合は、前記第1記憶手段が記憶する前記複数の異なる駆動音の大きさのうち、前記音測定手段が測定した音の大きさより小さい駆動音の大きさを1つ選択し、当該選択した駆動音の大きさと対応付けて記憶されている回転数を前記第1記憶手段から読み出し、前記画像形成手段が前記用紙に画像を形成していない時の前記モーターの回転数を、当該読み出した回転数に変更する。
【0010】
この構成によれば、回転数制御手段が画像を形成していない間のモーターの回転数を
受付手段が受け付けたユーザーによる駆動音の大きさの変更入力と連動して下げる方向に可変することにより、この間のモーターの駆動音をユーザー
による駆動音の大きさの変更入力に合わせて抑えることができる。
【0011】
ユーザーはモーターの駆動音を不快と感じると、受付手段により駆動音を小さくするよう変更入力を行
う。そして、回転数制御手段は、モーターの駆動音の大きさの変更入力に伴ってモーターの回転数を変更するため、ユーザーはモーターの駆動音を実際に聞きながら駆動音の大きさの変更入力をすることができる。
【0013】
請求項
2に記載の発明
の画像形成装置は、
感光体が担持する静電潜像を現像剤によって顕像化して用紙に転写することによって、当該用紙に画像を形成する画像形成手段と、画像信号に応じた光を出射する光源と、前記光源が出射した光を前記感光体の表面に走査させるための複数の反射面を有する回転多面体と、前記回転多面体を回転駆動するモーターと、ユーザーによる前記モーターが発する駆動音の大きさの変更を指示する変更入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段が受け付けた駆動音の大きさの変更入力と連動して、前記画像形成手段が前記用紙に画像を形成していない時の前記モーターの回転駆動を制御する回転数制御手段と、前記モーターが発しうる複数の異なる駆動音の大きさと、当該各駆動音の大きさに相当する音を発する時の前記モーターの回転数を対応付けて記憶する第1記憶手段と、前記回転数制御手段による前記モーターの回転数の変更を、手動にて行うのか、自動にて行うのかの選択入力をユーザーに促す画面を表示部に表示させる表示制御手段と、前記画像形成装置の周辺環境の音の大きさを測定する音測定手段と、を備え、前記音測定手段が測定した音の大きさが予め定められた値より大きな音であるとき、前記回転数制御手段は、前記第1記憶手段から読み出した回転数を無視し、前記画像形成手段が前記用紙に画像を形成していない時の前記モーターの回転数を印刷を実行する為に必要な回転数に変更す
る。
【0014】
設定されたモーターの回転数でモーターが回転したときに発する駆動音が、周辺環境の音の大きさよりはるかに小さい音である場合、駆動音は周辺環境の音にかき消されてしまうためモーターの回転数を抑える静音対策は無意味となり、更に印刷実行に必要な所要時間も無駄に費やされるだけになってしまう。従って、周辺環境の音の大きさが予め定められた音より大きな音である場合、回転数制御手段はモーターの回転数を通常の回転数とすることで、印刷実行に必要な所要時間が無駄に費やされることを防ぐことができる。
【0015】
尚、「予め定められた値」とは、モーターが画像形成に必要な回転数で回転したときに発する駆動音の大きさより大きな音であって、その駆動音がかき消されて分からなくなる程度の音の大きさを示す値をいう。
【発明の効果】
【0016】
この発明では、画像形成時以外のモーターの駆動音を抑える静音設定を、ユーザーは実際の駆動音を聞き、更に表示された印刷実行に必要な所要時間を見ながら簡単に行うことができる。また、周辺環境の音レベルに合わせた騒音対策も簡単に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。本発明に係る画像形成装置は、コピー機、プリンター、ファクシミリ及びこれらの機能を備えた複合機等の電子写真方式の画像形成装置であればよいが、本実施の形態ではプリンターを例にして説明する。また、本実施の形態ではカラープリンターを例に説明するが、モノクロプリンターにも本発明を適用可能である。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。画像形成装置1は、用紙貯留部10、画像形成部20、定着部30、排紙部40、用紙搬送路50及び制御部100を備え、用紙貯留部10、画像形成部20、定着部30、用紙搬送路50及び制御部100は、略箱形の装置本体1Aに内装され、排紙部40は、装置本体1Aの頂部に設けられている。
【0020】
用紙貯留部10は、印刷処理に供する転写材の一例としての用紙Pを貯留し、制御部100の制御により用紙Pを繰り出て給紙するものである。用紙貯留部10には、所定数(本実施形態では1つ)の用紙カセット11が装置本体1Aに対して挿脱自在に設けられている。用紙カセット11の上流端(
図1に示す例では用紙カセット11の左上方)には、用紙束から用紙Pを1枚ずつ繰り出させるピックアップローラ12が設けられている。このピックアップローラ12の駆動によって用紙カセット11から繰り出された用紙Pは、用紙搬送路50に給紙されるようになっている。
【0021】
画像形成部20は、制御部100の制御によって、コンピューター等の外部機器から後述するネットワークI/F部が受信した画像信号に基づき、用紙Pに対して印刷処理を施すものである。画像形成部20は、トナー像を形成する各色の画像形成ユニット21Y、21M、21C及び21K(以下、まとめて「画像形成ユニット21」という)、この画像形成ユニット21で形成されたトナー像を用紙Pに転写する転写装置27及び定着部30を備えて構成されている。
【0022】
画像形成ユニット21は、上流側(
図1の紙面の右側)から下流側へ向けて順次に略水平方向に配設されたイエロー用画像形成ユニット21Y、マゼンダ用画像形成ユニット21M、シアン用画像形成ユニット21C及びブラック用画像形成ユニット21Kを備える。更に、画像形成部20は、各画像形成ユニット21の下部位置に配設された露光装置24を備える。各画像形成ユニット21は、同様の構成であり、装置本体1A内における各機器に対して所定の相対的な位置関係で位置決めされて装着されている。
【0023】
各画像形成ユニット21は、それぞれ、感光体ドラム22、帯電器23、露光装置24、現像装置25及びクリーニング装置26を備え、感光体ドラム22は、前後方向(
図1の紙面と直交する方向)に延びるドラム軸回りに回転可能に設けられ、感光体ドラム22の周面に沿うように感光体ドラム22の直下位置から、感光体ドラム22の回転方向であ
る反時計方向に向けて、帯電器23、露光装置24、現像装置25及びクリーニング装置26が配設されている。
【0024】
感光体ドラム22は、周面に静電潜像及びこの静電潜像に従ったトナー像を形成させるものである。帯電器23は、ドラム軸回り反時計方向に回転している感光体ドラム22の周面に一様な電荷を形成させるものであり、例えば、周面が感光体ドラム22の周面と当接しながら従動回転しつつ感光体ドラム22へ電荷を付与する帯電ローラを備えて構成されている。現像装置25は、感光体ドラム22の周面にトナーを供給することによって周面の静電潜像が形成された部分にトナーを付着させ、これによって感光体ドラム22の周面にトナー像を形成するものである。
【0025】
本実施形態では、カラーに対応するために、イエロー用画像形成ユニット21Yの現像装置25には、イエロー(Y)のトナーが収容され、マゼンダ用画像形成ユニット21Mの現像装置25には、マゼンダ(M)のトナーが収容され、シアン用画像形成ユニット21Cの現像装置25には、シアン(C)のトナーが収容され、そして、ブラック用画像形成ユニット21Kの現像装置25には、ブラック(K)のトナーが収容されている。各現像装置25は、対応する感光体ドラム22に対してトナーを供給する。クリーニング装置26は、転写処理後の感光体ドラム22の周面に残留しているトナーを取り除いてクリーニングするためのものである。このクリーニング装置26によってクリーニングされた感光体ドラム22の周面は、次の画像形成処理のために再び帯電器23へ向かうことになる。
【0026】
露光装置24は、画像データに基づいて変調されたレーザー光を回転している感光体ドラム22の周面に照射し、感光体ドラム22の周面に静電潜像を形成する。露光装置24は、カラーに対応するために、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックの各色にそれぞれ対応した各レーザー光を各画像形成ユニット21における各感光体ドラム22に照射する。帯電した感光体ドラム22の周面にレーザー光を照射すると、その照射された部分の電荷がレーザー光の強度に応じて消去され、これによって感光体ドラム22の周面に静電潜像が形成される。画像データとは、後述するネットワークI/F部が受信した外部機器からの画像信号に公知の色補正処理等の処理を施すことによって生成されたイエロー、マゼンダ、シアン及びブラックの各画像データである。
【0027】
転写装置27は、感光体ドラム22の周面に形成されたトナー像を用紙Pに転写するための装置であって、中間転写ベルト271、一次転写ローラ272、駆動ローラ273、従動ローラ274及び二次転写ローラ275を備えている。中間転写ベルト271は、無端状であり、一次転写ローラ272、駆動ローラ273及び従動ローラ274によって各画像形成ユニット21の直上位置に張架されており、駆動ローラ273の回転駆動力によって時計方向に回転可能となっている。一次転写ローラ272は、各画像形成ユニット21の各感光体ドラム22に対応するようにそれぞれ設けられ、中間転写ベルト271を押さえ感光体ドラム22から中間転写ベルト271が浮き上がるのを防止するように配置されている。二次転写ローラ275は、中間転写ベルト271の外周面において駆動ローラ273に対向する位置に配置されている。
【0028】
駆動ローラ273は、接地されている。一次転写ローラ272は、画像領域におけるトナー像が感光体ドラム22から中間転写ベルト271へ一次転写される間、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が一次転写バイアスとして印加されるようになっている。また、二次転写ローラ275は、中間転写ベルト271上のトナー像が用紙Pへ二次転写される間、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が二次転写バイアスとして印加されるようになっている。このように本実施形態に係る画像形成装置1は、間接転写方式が採用されている。
【0029】
そして、従動ローラ274の紙面右側には、中間転写ベルト用クリーニング装置276が設けられており、用紙Pへトナー像を転写処理した後における中間転写ベルト271の表面に残留しているトナーがこの中間転写ベルト用クリーニング装置276によって取り除かれ、これによって清浄化した中間転写ベルト271が感光体ドラム22へ供給される。
【0030】
定着部30は、制御部100の制御により、上記転写処理の施された用紙Pのトナー像に、加熱による定着処理を施すものであり、内部に通電発熱体が装着された加熱ローラ31と、この加熱ローラ31と対向して周面同士が対向配置された加圧ローラ32とを備えている。転写処理後の用紙Pは、ローラ軸回りに時計方向に向けて駆動回転している加熱ローラ31と、ローラ軸回りに反時計方向に向けて従動回転している加圧ローラ32との間のニップ部を通過することによって、加熱ローラ31からの熱を得て定着処理が施される。定着処理の施された用紙Pは、用紙搬送路50によって排紙部40へ排出される。
【0031】
排紙部40は、定着部30で定着処理の施された用紙Pが排紙され、この排紙された用紙Pを貯留する。排紙部40は、装置本体1Aの頂部が凹没されることによって形成され、この凹没した凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ41が形成されている。
【0032】
用紙搬送路50は、制御部100の制御により、用紙貯留部10から給紙された用紙Pを画像形成部20及び定着部30を介して排紙部40まで搬送するものである。
【0033】
制御部100は、用紙貯留部10、画像形成部20、定着部30及び用紙搬送路50等に接続され、画像形成装置1全体の制御を司るものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、CPUによって実行される種々のプログラムやその実行に必要なデータ
等を予め記憶するROM(Read Only Memory)、CPUのいわゆるワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)及びその周辺回路等を備えたマイクロコンピュータによって構成される。
【0034】
画像形成装置1における画像形成動作について説明する。まず、帯電器23によって感光体ドラム22に帯電が行われた後、露光装置24によって露光が行われ、静電潜像が感光体ドラム22の表面に形成される。この静電潜像は、現像装置25でトナー像化され、感光体ドラム22の表面に形成されたトナー像は、一次転写ローラ272に印加された転写バイアスによって中間転写ベルト271上に転写される。このような露光、現像及び転写の動作がイエロー、マゼンダ、シアン及びブラックの各現像色に対して順次に行われ、中間転写ベルト271の表面には、各色のトナー像が重ねられ、中間転写ベルト271上にフルカラーのトナー像が形成される。
【0035】
フルカラーのトナー像が中間転写ベルト271に形成されると、二次転写ローラ275が中間転写ベルト271に当接され、タイミングを合わせて用紙貯留部10から用紙搬送路50によって転写位置まで搬送された用紙Pに、二次転写ローラ275に印加された二次転写バイアスにより中間転写ベルト271に形成されたフルカラーのトナー像が転写される。そして、用紙Pに転写されたフルカラーのトナー像は、定着部30による加熱及び加圧によって用紙Pに定着され、用紙Pは、排紙部40に排出される。
【0036】
図2は、露光装置24によるレーザビーム走査を示す斜視図である。露光装置24は、光源61、ポリゴンミラー62及びポリゴンモーターMと、f/θレンズやコリメーターレンズ等の光学レンズ(不図示)を備える。光源61は、例えば半導体レーザーが用いられ、画像データに基づいたレーザー光LBをポリゴンミラー62に向かって照射する。ポリゴンミラー62は、例えば6個の鏡面からなる反射面62aを有し、光源61が照射し
たレーザー光LBを感光体ドラム22の周面に向けて反射する。ポリゴンモーターMは、ポリゴンミラー62の回転軸63を中心に回転方向R1に回転させる。
【0037】
露光制御部120は、光源61にレーザー光LBを照射させて感光体ドラム22に静電潜像を描画させる制御をする。また、露光制御部120は、後に説明する回転数制御部を有し、この回転数制御部はポリゴンモーターMの駆動制御を行う。露光制御部120の制御により光源61が照射したレーザー光LBは、回転するポリゴンミラー62に照射され、反射面62aで反射されて、感光体ドラム22上に走査ラインSLを主走査方向D1に描画する。1つの反射面62aで1本の走査ラインSLが描画される。こうして回転する感光体ドラム22に1本の走査ラインSLの描画を繰り返すことにより、副走査方向に沿って静電潜像が描画される。副走査方向は感光体ドラム22の回転方向R2に対応している。
【0038】
BDセンサ71はフォトセンサであり、回転するポリゴンミラー62の反射面62aで反射されたレーザー光LBを受光すると、その受光信号を露光制御部120に出力する。露光制御部120は、この受光信号に基づいて感光体ドラム22に静電潜像を描画する際の主走査方向D1の書き出し位置を揃えるため書き出しタイミング(光源61によるレーザー光の照射タイミング)を調整する。
【0039】
ポリゴンミラー62はポリゴンモーターMによって回転駆動されるが、画像形成時は1分間に30000回転〜50000回転と高速回転が行われる。そのため、一度ポリゴンモーターMの回転駆動を停止すると、再び印刷に必要な回転数を得るまでに時間を要し、再起動に時間がかかってしまう。そのため、印刷ジョブ間や待機時の間であっても、ポリゴンモーターMは継続して回転駆動を行っている。
【0040】
しかし、この印刷ジョブ間や待機時におけるポリゴンモーターMの駆動音が問題となっている。印刷時は、感光体ドラム22や用紙搬送路50の他のユニットが発する駆動音によってポリゴンモーターMの駆動音はほとんど目立たないが、印刷ジョブ間や待機時等、各ユニットが停止しているときはポリゴンモーターMの駆動音が目立ち、この音が人によっては騒音として不快に感じる場合があった。
【0041】
このような騒音の対策として、印刷ジョブ間や待機時はポリゴンモーターMの回転数を単純に下げることとしても、不快に感じる駆動音の大きさは人や画像形成装置1の設置環境等によって異なる。従って、ポリゴンモーターMの回転数をどの値に設定すれば騒音が解消されるのかは判断が難しい。
【0042】
そこで、印刷ジョブ間や待機時におけるポリゴンモーターMの回転数をユーザーが任意に設定可能とし、ポリゴンモーターMは設定された回転数にて印刷ジョブ間や待機時のポリゴンミラー64の回転駆動を行う。以下、設定方法について詳しく説明する。
【0043】
図3は、画像形成装置1の電気的な構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、用紙貯留部10、画像読取部20、定着部30、用紙搬送路50、制御部100、入力操作部200、ネットワークI/F部300及びマイク400がバスによって相互に接続された構成を有する。用紙貯留部10、画像読取部20、定着部30及び用紙搬送路50に関しては
図1で説明しているので、説明を省略する。
【0044】
図4は、入力操作部200の正面図である。入力操作部200は、スタートキー401、テンキー402、ストップキー403及びリセットキー404等のハードキーからなる操作キーと表示パネル210を有する。表示パネル210はタッチパネルと一体的に構成されており、後述する表示制御部110の制御により各種の操作及び動作の内容やメッセージ、ソフトキーからなる操作キー等が表示される。入力操作部200は、ユーザーによるタッチパネルの押下位置情報や、ハードキーの押下信号を制御部100へ出力する。入力操作部200は、装置本体1Aの上側面の所定位置に配置される。
【0045】
ネットワークI/F部300は、LAN等のネットワークに接続されたパソコン等の外部装置との間で通信を実行するための通信インターフェイス回路である。マイク400は、画像形成装置1が設置された周辺環境の音を受信するものであり、受信した音を電気信号に変換して後述する音測定部140へ出力する。マイク400は、画像形成装置1の装置本体1Aを覆う筐体側面の所定位置に設置されている。
【0046】
制御部100は、画像形成装置1全体の動作制御を司るものであり、CPU、ROM及びRAM等によって構成される。また、制御部100は、表示制御部110、露光制御部120、記憶部130及び音測定部140を備える。表示制御部110は、表示パネル210に対して表示制御を行う。露光制御部120は、画像データに基づいて変調されたレーザー光を用いて感光体ドラム22に静電潜像を描画する制御を行うものであり、ポリゴンモーターMの回転駆動を制御する回転数制御部121を有する。記憶部130は、画像形成装置1の動作に必要な各種ソフトウェアを記憶するものであり、本実施の形態では回転数データテーブル131を記憶する。音測定部140は、マイク400から出力された電気信号に基づいて画像形成装置1が設置されている環境の音レベルを決定する。
【0047】
図5は、回転数データテーブル131のデータ構成の一例を示した図である。以下、本実施の形態では音圧レベル(dB)を用いて説明するが、音圧(Pa)を用いても構わない。以下では説明上「音圧レベル」を単に「音レベル」と表記する。
【0048】
回転数データテーブル131は、ポリゴンモーターMが回転しうる回転数の範囲(例えば、5000回転/分〜50000回転/分)を複数の段階で区切り、各回転数でポリゴンモーターMが回転した時に発する駆動音の音レベル(例えば、20dB〜70dB)と、各音レベルに該当する環境の目安、更に各回転数から印刷に必要な回転数(例えば50000回転/分)になるまでにかかる所要時間(起動時間)を対応付けて記憶したものである。例えば、ポリゴンモーターMが30000回転/分で回転しているときの音レベルは60dBであり、60dBに該当する環境の目安は「騒々しい事務所」、この時に印刷実行にかかる起動時間は2秒である。ポリゴンモーターMの各回転数における駆動音の音レベルと、各回転数からの起動時間は、装置設計時に測定が行われ、測定結果が回転数データテーブル131として記憶部130に記憶される。
【0049】
図6は、印刷時以外における静音設定処理の流れを説明したフローチャートである。「静音設定」とは、印刷時以外におけるポリゴンモーターMの回転数を下げることによって駆動音を小さくし、画像形成装置1から発せられる騒音を抑制する設定をいう。この静音設定処理は、印刷ジョブ間や待機時等の印刷時以外にユーザーが行った所定のキー操作に応答して制御部100が実行を開始する。
【0050】
まず、表示制御部110は、静音設定をマニュアル(手動)にて行うのか、自動で行うのかの選択入力をユーザーに促す画面を表示パネル210に表示させる(ステップS11)。
図7は、ステップS11にて表示パネル210に表示される画面例を示した図である。
【0051】
ユーザーがマニュアル設定キー501を選択した場合(ステップS12;マニュアル)、表示制御部110はマニュアル設定画面を表示パネル210に表示させる(ステップS13)。
図8は、ステップS13にて表示パネル210に表示されるマニュアル設定画面の一例を示した図である。表示制御部110は、表示パネル210にポリゴンモーターM
の駆動音を連続的に可変できるバー503及びカーソル504を表示させる。バー503は、例えば表示パネル210の横方向(長手方向)に延伸しており、バー503の上部(又は下部)にはポリゴンモーターMが発しうる駆動音の音レベル505が所定間隔ごとに表示される。
【0052】
更に、表示制御部110は、音レベル505の近くに、その音レベルに該当する環境例をユーザーに簡単に認識させるためのマーク506を表示させる。例えば、音レベル20dBの環境の目安は「郊外の深夜」であるため、表示制御部110は20dBを示す数字の上に夜を示す月マークを表示させる。このように、各音レベル505に該当する環境例を示すマーク506を表示することで、ユーザーはポリゴンモーターMの駆動音の音レベルをイメージしやすくなる。
【0053】
ユーザーが指Fでカーソル504にタッチし、タッチ状態のままバー503の延伸方向に沿って指Fをスライドさせると、表示制御部110は指Fのタッチ位置と連動してカーソル504の位置を変更させる。更に、入力操作部200は、カーソル504の位置情報を制御部100に出力し、回転数制御部121はこの位置情報に基づいてポリゴンモーターMの回転数を変更する(ステップS14;YES、ステップS15)。
【0054】
回転数制御部121は、カーソル504の位置情報と音レベルの関係を示したデータテーブルを予め記憶する。このデータテーブルは、
図9に示すようなグラフで表される。
図8に示すように、表示パネル210の長手方向をx軸、長手方向と直交する方向をy軸とすると、入力操作部200はカーソル504の位置情報をxy座標値を用いて制御部100へ出力する。本実施の形態においては、カーソル504はユーザーの操作によってx軸方向にのみ移動可能であるため、例えば、音レベル20を示すカーソル504の位置(バー503の最左端)のx座標をx1、音レベル70を示すカーソル504の位置(バー503の最右端)のx座標をx2とすると、x1〜x2の間の座標値と音レベルの値とが比例関係にあるデータテーブルを保持していればよい。このデータテーブルに基づいて、回転数制御部121はカーソル504の示す音レベルを決定し、この音レベルに相当する音を発するポリゴンモーターMの回転数を回転数データテーブル131から読み出して、ポリゴンモーターMの回転数を読み出した回転数に変更する。このように静音設定中であってもポリゴンモーターMの回転数をカーソル504の位置に合わせて逐次変更することにより、ユーザーは実際の駆動音を聞きながら設定変更を行うことができる。
【0055】
尚、本実施の形態では、カーソル504の移動をユーザーがタッチパネルを介して行うこととしたが、テンキー402等のハードキーを用いて操作を行うこととしてもよい。
【0056】
更に、表示制御部110は、上記データテーブルに基づいて位置情報から決定した音レベルに該当する環境の目安及び起動時間を回転数データテーブル131から読み出して、欄507及び欄508にそれぞれ表示させる。
図8では、ユーザーがカーソル504を40dBに合わせている場面を示している。
図5に示す回転数データテーブル131によると、40dBに該当する環境の目安は「静かな事務所」であり、起動時間は「15秒」である。表示制御部110は、回転数データテーブル131からこれらのデータを読み出して表示パネル210に表示させる。このように、カーソル504の位置に合わせて環境の目安を表示することによって、ユーザーは印刷時以外の駆動音をイメージしやすくなる。更に起動時間を表示することによって、ユーザーは所望の駆動音の大きさに設定した場合の印刷実行に必要な起動時間を即座に知ることができ、駆動音の大きさと起動時間の両方を考えながら最適な駆動音の大きさ(回転数)に設定することができる。
【0057】
そして、ユーザーによって設定キー509が選択されると(ステップS16;YES)、回転数制御部121は設定キー509が選択された時のカーソル504の位置情報から
音レベルを決定し、この音レベルに相当する音を発するポリゴンモーターMの回転数を回転数データテーブル131から読み出して、この回転数を印刷時以外のポリゴンモーターMの回転数とする(ステップS17)。そして、制御部100は処理を終了する。
【0058】
一方、ステップS12にて表示された
図7に示す画面において、ユーザーが自動設定キー502を選択した場合(ステップS12;自動)、制御部100はマイク400に対して画像形成装置1の周辺環境の音を受信させ、音測定部140はマイク400から出力された信号を用いて周辺環境の音レベルを測定する(ステップS18)。そして、回転数制御部121は、回転数データテーブル131が記憶する音レベルのうち、音測定部140が測定した音レベルより小さい音レベルの中から何れか1つの音レベルを選択し、選択した音レベルに対応する回転数を読み出し(ステップS19)、この回転数を印刷時以外のポリゴンモーターMの回転数に変更する(ステップS17)。そして、制御部100は処理を終了する。
【0059】
つまり、自動設定では、印刷時以外のポリゴンモーターMの駆動音の大きさが画像形成装置1の周辺環境の音レベルより小さくなるように設定される。これにより、ポリゴンモーターMの駆動音は、周辺環境の音にうもれて目立たなくなるため、ユーザーの不快感が低減される。そして、できるだけ起動時間を短くするために、回転数制御部121は、回転数データテーブル131が記憶する音レベルから1つの音レベルを選択する際、音測定部140が測定した音レベルより小さい音レベルの中から最も大きい音レベルを選択することが望ましい。例えば、音測定部140の測定結果が45dBであったとすると、回転数制御部121は、回転数データテーブル131が記憶する音レベルのうち40dB、30dB、20dBから音レベルを1つ選択することになるが、各音レベルに対応する回転数の起動時間は15秒、20秒、30秒であるため、最も起動時間の短い40dBを選択し、この40dBに対応付けて記憶されている15000回転/分を印刷時以外の回転数に設定する。
【0060】
以上、説明したように、静音設定を行う際に、回転数制御部121はユーザーによる入力変更と連動してポリゴンモーターMの駆動音を変化させることにより、ユーザーは実際の駆動音を聞きながら設定を行うことができる。更に、表示制御部110は、ユーザーの所望する音レベルに設定したときの起動時間を表示パネル210に表示させることにより、駆動音(静かさ)と起動時間(使いやすさ)というトレードオフの関係にある設定事項について、ユーザーは実際に駆動音を聞き、起動時間を確認しながら設定することができる。
【0061】
上記では、印刷時以外の静音設定について説明したが、静音設定の後、画像形成装置1の周辺環境がより騒音レベルの高い環境に変化した場合、印刷時以外のポリゴンモーターMの回転数が低い設定のままであると、印刷時に無駄に起動時間を費やすことになってしまう。そこで、マイク400と音測定部140が測定した周辺環境の音レベルが予め定められた閾値より大きい場合は、回転数制御部121は静音設定画面にて設定されたポリゴンモーターMの回転数を無視し、通常の回転数に変更することとする。
【0062】
具体的に説明する。
図10は、周辺環境の音レベルを測定して静音設定を適用するか否かを判断する処理の流れを示したフローチャートである。まず、制御部100はマイク400に対して画像形成装置1の周辺環境の音を受信させ、音測定部140はマイク400から出力された信号を用いて周辺環境の音レベルを測定する(ステップS21)。測定された音レベルが閾値より大きい場合(ステップS22;YES)、回転数制御部121は印刷時以外のポリゴンモーターMの回転数を通常の回転数に変更し(ステップS23)、処理を終了する。ここで、閾値とは、例えば騒々しい事務所に該当する60dB等であり、ポリゴンモーターMが通常の回転数で回転したときに発する駆動音をかき消してしまう程度の音レベルを示す。
【0063】
また、測定された音レベルが閾値以下の場合(ステップS22;NO)、回転数制御部121は静音設定画面にて設定された回転数を適用するため、そのまま処理を終了する。このように、画像形成装置1の周辺環境の音レベルが閾値より大きい場合は、ポリゴンモーターMの回転数を通常の回転数とすることにより、いたずらに起動時間を費やされることを防ぐことができる。