特許第5789714号(P5789714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789714
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】埋込可能な医療装置アンテナ
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/375 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
   A61N1/375
【請求項の数】22
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-508367(P2014-508367)
(86)(22)【出願日】2012年4月3日
(65)【公表番号】特表2014-516642(P2014-516642A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】US2012032007
(87)【国際公開番号】WO2013141884
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2013年12月16日
(31)【優先権主張番号】13/098,279
(32)【優先日】2011年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/328,241
(32)【優先日】2011年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508025585
【氏名又は名称】サイバーロニックス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ,ヒマンシュ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,エリック,ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン,クリント,ビー.
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0113886(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0161002(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00 ― 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋込可能な医療装置であって、
開口部の形成された導電性ハウジングを含むケースを備えており
導電性ハウジングに誘電材料が結合されて開口部を密封しており
誘電材料を通して外部との間で高周波信号を送信あるいは受信するためのアンテナがケース内で誘電材料の下配置されており
少なくとも一本の電極リード線を接続できるよう構成されたリード線接続用ブロックが誘電材料の上側でケース結合されていことを特徴とする医療装置。
【請求項2】
請求項1の埋込可能な医療装置であって、前記リード線接続用ブロックポリマー材料を含み、前記誘電材料セラミック材料を含み、前記導電性ハウジング金属材料又は金属合金材料を含むことを特徴とする医療装置。
【請求項3】
請求項1の埋込可能な医療装置であって、前記リード線接続用ブロック患者内に埋め込まれるときに第一機械的破損機構を有する第一材料で形成されており、前記誘電材料患者内に埋め込まれるときに第二機械的破損機構を有する第二材料で形成されることを特徴とする医療装置。
【請求項4】
請求項3の埋込可能な医療装置であって、前記第二材料体温で前記第一材料よりも脆いことを特徴とする医療装置。
【請求項5】
請求項1の埋込可能な医療装置であって、前記誘電材料の突発破損時にリード線接続用ブロックで誘電材料の破片を保持できるように構成されていることを特徴とする医療装置。
【請求項6】
請求項1の埋込可能な医療装置であって、前記開口部の少なくとも1つの寸法前記アンテナの放射素子の対応する寸法よりも大きいことを特徴とする医療装置。
【請求項7】
請求項1の埋込可能な医療装置であって、前記アンテナと前記導電性ハウジングの内部との間に絶縁層があることを特徴とする医療装置。
【請求項8】
請求項1の埋込可能な医療装置であって、前記アンテナ前記ケース内の回路基板に配置され1つ以上の導電素子を含む平面アンテナであることを特徴とする医療装置。
【請求項9】
請求項1の埋込可能な医療装置であって、前記ケース内前記アンテナ通信回路が接続されており
この通信回路が、前記ケースの外部にある外部装置に第一信号を送ることと、前記ケースの外部にある外部装置から第二信号を受信すること少なくとも1つを行うように作動可能であることを特徴とする医療装置。
【請求項10】
請求項9の埋込可能な医療装置であって、前記アンテナが回路基板の表面に導電層を含みこの導電放射スロットが形成されたスロットアンテナであることを特徴とする医療装置。
【請求項11】
請求項10の埋込可能な医療装置であって、前記開口部の少なくとも1つの寸法前記放射スロットの対応する寸法よりも大きいことを特徴とする医療装置。
【請求項12】
請求項10の埋込可能な医療装置であって、第二アンテナをさらに含み、この第二アンテナ前記開口部前記アンテナの放射スロットを通って伝えられる前記第二信号を受信できるように配置されていことを特徴とする医療装置。
【請求項13】
請求項12の埋込可能な医療装置であって、前記アンテナの導電前記回路基板の第一結合され、前記第二アンテナ前記回路基板の第一面とは反対側の第二結合されていることを特徴とする医療装置。
【請求項14】
請求項12の埋込可能な医療装置であって、前記ケース内前記第二アンテナウェイクアップ回路が接続されておりこのウェイクアップ回路が前記第二アンテナで受信される前記第二信号に応じて前記通信回路を非アクティブであるスリープ状態からアクティブであるアウェイク状態に移行させることができるように作動可能であることを特徴とする医療装置。
【請求項15】
請求項1の埋込可能な医療装置であって、前記ケース内に医療回路をさらに含み、この医療回路治療回路及び感知回路のうち少なくとも1つを含んでおり前記リード線接続用ブロックがこの医療回路結合されておりこのリード線接続用ブロック前記アンテナを少なくとも部分的に遮蔽することを特徴とする医療装置。
【請求項16】
請求項1の埋込可能な医療装置であって、前記ケース第一面とこの第一面の反対側の第二面とがあり、第凹部非凹部があって、第面と第の凹部との間の距が第面と第の非凹部との間の距離よりも小さくなっており、前記アンテナが第面と第の凹部との間に位置することを特徴とする医療装置。
【請求項17】
請求項16の埋込可能な医療装置であって、前記リード線接続用ブロックが第の凹部から第の非凹部とほぼ同一平面までを占めるよう配置されていることを特徴とする医療装置。
【請求項18】
開口部が形成された導電性ハウジングを含むケースを備えこの導電性ハウジングに誘電材料が結合されて開口部が密封される埋込可能な医療装置を構成する方法であって、
誘電材料を通して外部との間で高周波信号を送信あるいは受信するためのアンテナをケース内の誘電材料の下側に配置する手順と
ースを密封する手順と
少なくとも一本の電極リード線を接続できるよう構成されたリード線接続用ブロックを誘電材料の上側でケース結合する手順を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18の方法であって、前記ケースを密封する前に前記アンテナを前記ケース内の通信回路と結合する手順をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項18の方法であって、
前記1つ以上のリード線接続用ブロックを、前記ケースを通って延びる対応する1つ以上の密封されるフィードスルーと結合する手順と、
前記1つ以上の密封されるフィードスルーを、前記ケース内の刺激回路及び感知回路のうちの少なくとも1つと結合する手順をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
埋込可能な医療装置の作動方法であって、
埋込可能な医療装置が開口部の形成された導電性ハウジングを含むケースを備え、この導電性ハウジングに誘電材料が結合されて開口部が密封され、少なくとも一本の電極リード線を接続できるよう構成されたリード線接続用ブロックがこの誘電材料の上側に取り付けられ、誘電材料を通して外部との間で高周波信号を受信するための第一アンテナがケース内で誘電材料の下側かつリード線接続用ブロックの下側に位置しており、
埋込可能な医療装置内に密封され第一アンテナで外部からの外部信号を受信する過程と、
この外部信号に応じて医療装置の治療回路で動作信号生成する過程とを含むことを特徴とする作動方法。
【請求項22】
請求項21の作動方法であって、
前記信号を受信する前に、前記埋込可能な医療装置内密封され第二アンテナでウェイクアップ信号を受信する過程と、このウェイクアップ信号に応じて医療装置の通信回路を非アクティブであるスリープ状態から前記信号を受信する作可能なアウェイク状態に切り替える過程とを含み、
前記第一アンテナ放射スロットの形成された導電層を含むスロット型アンテナであり、前記ウェイクアップ信号前記開口部前記第一アンテナの放射スロットを通って伝わり第二アンテナで受信されることを特徴とする作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して内部アンテナを有する埋込可能な医療装置に関する。
【発明の概要】
【0002】
本開示の特定の実施形態は、開口部を規定する(電気)伝導性ハウジングを有するケースを含む埋込可能な医療装置に関する。誘電材料は伝導性ハウジングと連結し、開口部を密封する。アンテナはケース内で誘電材料の下方にある。ヘッダブロックは誘電材料の上方でケースと連結されている。
【0003】
本開示の他の特定の実施形態は、埋込可能な医療装置のケースの一部にアンテナを置くことを含む方法に関する。ケースは開口部を規定する伝導性ハウジングと、伝導性ハウジングと結合して開口部を密封する誘電材料とを含む。アンテナは誘電材料の下方に位置する。方法はまた、ケースを密封し、ヘッダブロックを誘電材料の上方でケースと結合することを含む。
【0004】
本開示の他の特定の実施形態は、埋込可能な医療装置内に密封される第一アンテナで、信号を受信することを含む方法に関する。埋込可能な医療装置は、開口部を規定する伝導性ハウジング、伝導性ハウジングと結合して開口部を密封する誘電材料、及び誘電材料の上方のヘッダブロックを含む。第一アンテナはケース内で誘電材料の下方及びヘッダブロックの下方に位置する。方法はまた、信号応じて埋込可能な医療装置で動作を実行することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示は、添付の図とともに以下の詳細な説明からより十分に理解されるであろう。
【0006】
図1】例示の実施形態による、埋込可能な医療装置及び外部充電装置のブロック図である。
図2A-2B】例示の実施形態による、大きな渦電流を有する埋込可能な医療装置と、より小さな渦電流を有する埋込可能な医療装置とを図示する図である。
図3】例示の実施形態による埋込可能な医療装置の略図である。
図4A-4B】例示の実施形態による、埋込可能な医療装置の側面図及び積層図を図示する図である。
図5A-5B】例示の実施形態による、埋込可能な医療装置の側面図及び積層図を図示する図である。
図6A-6B】例示の実施形態による、複数の切抜きを有する埋込可能な医療装置を図示する図である。
図7A-7C】例示の実施形態による、複数の切抜きを有する埋込可能な医療装置を図示する図である。
図8】例示の実施形態による、埋込可能な医療装置を製造する方法に関するフローチャートである。
図9】例示の実施形態による、再充電過程の間にスロットアンテナを介して通信する方法に関するフローチャートである。
図10】特定の実施形態による、埋込可能な医療装置及び外部充電装置のブロック図である。
図11】特定の実施形態による、ヘッダブロックが除かれた埋込可能な医療装置の上面図の略図である。
図12】特定の実施形態による、埋込可能な医療装置の断面側面図の略図である。
図13A-13E】様々な実施形態による、埋込可能な医療装置の内部で使用するためのアンテナシステムの略図である。
図14】特定の実施形態による、埋込可能な医療装置を製造する方法のフローチャートである。
図15】特定の実施形態による、埋込可能な医療装置と通信する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1を参照すると、例示の実施形態による埋込可能な医療装置(IMD)100及び外部充電装置120のブロック図が示されている。IMD100は、例示の一実施形態よる第二コイル102、ヘッダ104、再充電可能なバッテリ106、プロセッサ108、IMDケース内にあり誘電体で充たされている切抜き110、スロットアンテナ112、及び送受信機114を含み得る。外部充電装置120は、例示の実施形態による第一コイル122を含み得る。
【0008】
ヘッダ104は、1つ以上のリード線をIMD100と結合するように構成され得る。リード線は感知する、又は電気刺激を神経組織に伝達するなどの治療を伝達するために電極を含み得る。外部充電装置120の第一コイル122は、患者の皮膚などの患者の組織壁116を隔てて、IMD100の第二コイル120と誘導結合するように構成され得る。第一コイル122は第二コイル102に電流を誘導するように構成され得る。第二コイル102は再充電可能なバッテリ106と結合され、誘導電流を使用して再充電可能なバッテリ106を再充電するように作動し得る。プロセッサ108は再充電可能なバッテリ106の再充電を監視し、再充電可能なバッテリ106が十分に充電されたときにさらなる再充電を制限するように構成され得る。
【0009】
図2A−2Bに示すように、切抜き110はIMD100の伝導性ケースにある1つ以上の切抜きの場合がある。切抜き110は、再充電可能なバッテリ106を再充電する間に誘導され得る、IMD100の伝導性ケース内の渦電流の流れに抵抗をもたらす。切抜き110は、IMD100内に設置されるスロットアンテナ112が高周波信号を送信及び受信することをさらに許容する。送受信機114はスロットアンテナ112と結合されており、送信するために高周波信号をスロットアンテナ112に与え、スロットアンテナ112から高周波信号を受信するように構成され得る。例示の実施形態では、送受信機114は送信機及び受信機の組を含む場合がある。スロットアンテナ112は、誘電層によってIMD100の伝導性ケースから離されている場合がある。
【0010】
いくつかの実施形態では、IMD100は再充電可能なバッテリ106を再充電する間に、高周波信号を送信及び受信するように構成され得る。さらに、IMD100は高周波信号を外部充電装置120に送信するように構成され得る。送信される信号は、再充電可能なバッテリ106の再充電に関する情報をもたらすように構成され得る。情報は、再充電可能なバッテリ106が十分に充電されたことを外部充電装置120に知らせるため、IMD100の温度が許容範囲を超えたことを示すため、外部充電装置120が再充電のための共振周波数を決定するのを補助するため、又は再充電過程の間に有用であり得る他の指標をもたらすために使用され得る。外部充電装置120にフィードバックを与えることは、再充電過程の効率を上昇させ、充電時間を減らし、安全性を高める。
【0011】
図2A及び2Bを参照すると、例示の実施形態による種々の渦電流の図が示されている。図2Aでは、IMD100はヘッダ104及び伝導性ケース200を含む。伝導性ケース200はチタン、ステンレス鋼、又は埋込可能な装置のケースとして使用するのに適切な他の伝導性材料から製作され得る。伝導性ケース200は、図1の第二コイル102、再充電可能なバッテリ106、プロセッサ108、及びスロットアンテナ112などの、IMD100の様々な構成要素を収容するように構成され得る。再充電可能なバッテリ106を再充電する間に、渦電流202及び204の流れが伝導性ケース200内に誘導され、伝導性ケース200の加熱を生じる場合がある。伝導性ケース200の過度な加熱は、周辺組織に損傷をもたらし得る。渦電流の流れと、伝導性ケース200の結果として生じる加熱とは、図2Bの切抜き110などの1つ以上の切抜きを伝導性ケース200に設けることによって低減され得る。切抜き110はセラミックなどの誘電材料で充たされ得る。切抜き110は伝導性ケース200内の渦電流の流れに対する抵抗を上昇させ、渦電流206及び208の流れを減少させる結果になる。渦電流の流れに対する上昇した抵抗は、伝導性ケース200における加熱を低減させ得る。図1のスロットアンテナ112などのスロットアンテナは、スロットアンテナ112が高周波信号を送信及び受信するように、伝導性ケース200内に設置されて切抜き110と整列され得る。
【0012】
図3を参照すると、例示の実施形態による埋込可能な医療装置(IMD)100の略図が示されている。IMD100は、伝導性ケース200、ヘッダ104、誘電材料で充たされた切抜き110、及び伝導性ケース200内に設置されるスロットアンテナ112を含み得る。スロットアンテナ112は金属層304と、金属層304の一部を除去することで形成されるスロット306とを含み得る。誘電層302は伝導性ケース200と、スロット306を含む金属層304との間に備えられ得る。誘電層302は、伝導性ケース200の内壁に備えられる挿入物でも良く、又は金属層304及びスロット306に形成されても良い。スロットアンテナ112は、フィードライン308をさらに含む場合があり、フィードライン308は第二金属層に形成されて、スロット306への及びスロット306からの高周波信号を使用してデータ300を通信するように構成される。スロットアンテナ112はポートを含む場合があり、ポートは送受信機とフィードライン308との間の通信を容易にするためにフィードライン308と結合される。フィードライン308は、伝導性ビア310を使用して金属層304に短絡され得る。他の実施形態では、フィードライン308を金属層304に短絡する代わりに、図4Bにさらに示されるように、フィードライン308はある周波数において仮想短絡を生み出すフィード(又はスタブ)を含み得る。スロットアンテナ112は少なくとも2つの金属層を有するプリント基板から形成され得る。他の例示の実施形態では誘電層302は、化学蒸着(CVD)を使用して金属層304及びスロット306に形成される場合があり、化学蒸着(CVD)は、プラズマCVD及び低圧CVD、原子層蒸着(ALD)、並びに物理層蒸着(physicallayer deposition)(PLD)を含む。いかなる他のタイプの蒸着処理も、本開示の範囲から逸脱することなく、誘電層302を形成するために使用され得る。
【0013】
図4A−4Bを参照すると、例示の実施形態に従って、スロットアンテナ112を含むIMD100の一部の側面略図が示されている。IMD100は、セラミック材料などの誘電材料で充たされた切抜き110を有する伝導性ケース200を含む。IMD100は、切抜き110と整列するスロット306を有するスロットアンテナ112を収容するように構成され得る。スロットアンテナ112は誘電体基板412に備えられる金属層304を含む。金属層304の一部はスロット306を形成するために除去され得る。スロット306は誘電材料で満たされても良く、又は空のままで残されても良い。
【0014】
誘電層302は伝導性ケース200と、スロット306を含む金属層304との間に備えられ得る。誘電層302は、伝導性ケース200の内壁に備えられる挿入物でも良く、又は金属層304及びスロット306に蒸着、生成、又は形成されても良い。スロットアンテナ112は、フィードライン308をさらに含む場合があり、フィードライン308は第二金属層に形成され、スロット306への及びスロット306からの高周波信号を使用してデータ300を通信するように構成される。フィードライン308は、ある周波数において仮想短絡を生み出すフィード416(又はスタブ)を含み得る。フィード416の長さは、スロットアンテナ112によって送信される高周波信号の約四分の一の波長(例えばλ/4)と等しい大きさの場合があるが、様々な他の長さが使用され得る。フィードライン308及びフィード416の幅及び高さは、使用される伝導性材料のインピーダンスに基づいて決定され得る。
【0015】
図4Bのフィード416はフィードライン308に対して90°の角度であるが、フィード416は他の角度で延びる場合もあり、他の角度は直線状の金属線を形成するようにフィードライン308から180°を含む。他の実施形態では、スロットアンテナ112は少なくとも第三金属層を含む場合があり、フィード416が伝導性ビアを使用して第三金属層に延びる場合がある。さらに、フィード416は複数の伝導性ビアを使用して複数の金属層に延びる場合がある。フィード416はまた、フィードライン308に対してT字形状を形成する場合がある。誘電層414はフィードライン308を含む第二金属層に備えられ、IMD100内に収容される他の構成要素からスロットアンテナ112を絶縁させ得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、スロットアンテナ112は少なくとも2つの導電層を有するプリント基板を使用して形成され得る。金属層304及び、フィードライン308が形成される第二金属層などの導電層は、銅から製作され得る。誘電体基板412は、Teflon(商標登録)、FR-1、FR-2、FR-3、FR-4、FR-5、FR-6、CEM-1、CEM-2、CEM-3、CEM-4、CEM-5、及びG-10を含むがそれらに限定されない、様々な誘電材料から選定され得る。いくつかの実施形態では、誘電体基板412は可撓性プリント回路を形成するのに使用される可撓性プラスチック基板の場合がある。可撓性プラスチック基板はポリイミド材料、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)材料、又は他の適切な材料の場合がある。
【0017】
いくつかの実施形態では、IMD100に使用される様々な電子部品が多層プリント基板の層の1つ以上に備えられるように、スロットアンテナ112が多層プリント基板に形成され得る。
【0018】
図5A−5Bを参照すると、例示の実施形態に従って、IMD100の一部の他の側面略図が示されている。図4A―4Bについて既に記載されたように、IMD100は伝導性ケース200、伝導性ケース200内にあり誘電材料で充たされている切抜き110、誘電層302、金属層304の一部を除去することで形成されるスロット306を含む金属層304、誘電基板412、フィードライン308、及び誘電層414を含み得る。フィードライン308はスロット306への及びスロット306からの高周波信号を使用してデータ300を通信するように構成される。図5A−5Bは、フィードライン308を金属層304と結合するための伝導性ビア310をさらに図示する。フィードライン308を金属層304と結合することは、図4Bのフィード416(又はスタブ)との仮想短絡を形成する必要をなくす事によって、よりコンパクトな設計を許容する。
【0019】
図6A−6Bを参照すると、例示の実施形態に従って、複数の切抜き610を有するIMD100が示されている。伝導性ケース200の切抜き610は渦電流の流れの減少を最大にする、又は渦電流の流れをさらに減少させるように間隔を置いている場合がある。切抜き610はセラミックなどの誘電材料で充たされている場合がある。スロットアンテナ612のスロット606が切抜き610と整列するように、スロットアンテナ612は伝導性ケース200内に配置され得る。スロットアンテナ612は図4A−4B及び5A−5Bに示される複数の層を含む場合がある。簡易化のために、複数のスロット606、フィードライン608、及び複数のフィード616のみが示されている。スロット606は金属層の複数の部分を除去することで形成され得る。フィードライン608は、スロット606への及びスロット606からの高周波信号を使用してデータ300を通信するように構成され得る。フィードライン608と、スロット606が形成される金属層とは、誘電層又は基板によって離されている。フィードライン608は各スロットの下を通過し、フィード616を含む場合があり、フィード616はスロットアンテナ612によって送信される高周波信号の約四分の一の波長(例えばλ/4)の長さを有する大きさである場合があるが、様々な他の長さが使用され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のビアは、フィードライン608をスロット606が形成される金属層と結合するように使用され得る。あらゆる数の切抜き610が使用され得る。さらに、切抜き610はいかなる形状若しくは設計(例えば、湾曲した、ギザギザな、角のある、先細の幅)であり、又は放射状パターンを含むいかなるパターンも形成し得る。
【0020】
図7A−7Cを参照すると、例示の実施形態に従って、複数の切抜き710を有する他の埋込可能な医療装置100が示されている。伝導性ケース200内の切抜き710は放射状パターンを形成する。いくつかの実施形態では、放射状パターンは中心に位置しても良く、又は中心から外れた場所に位置しても良い。さらに、放射状パターンは、図1の第二コイル102を覆う伝導性ケース200の部分の中心にある場合がある。切抜き710はセラミックなどの誘電材料で充たされ得る。いくつかの実施形態では、放射状パターンを形成する切抜き710及び対応するスロット706の数は6より少ない場合があるが、他の実施形態では放射状パターンにある6個より多くの切抜き710及び対応するスロットがある場合がある。フィードライン708は、スロット706への及びスロット706からの高周波信号を使用してデータ300を通信するように構成され得る。スロットアンテナ712のスロット706が切抜き710と整列するように、スロットアンテナ712は伝導性ケース200内に配置され得る。図7B−7Cのスロットアンテナ712は図4A−4B及び5A−5Bに示される複数の層を含み得る。簡易化のために、複数のスロット706、フィードライン708、及び複数のフィード716のみが示されている。スロット706は金属層304などの金属層の複数の部分を除去することで形成され得る。フィードライン708と、スロット706が形成される金属層とは、誘電層又は基板によって離されている。フィードライン708はスロットの下を通過して円形パターンを形成し、フィード716を含む場合があり、フィード716はスロットアンテナ712によって送信される高周波信号の約四分の一の波長(例えばλ/4)の長さを有する大きさである場合があるが、様々な他の長さが使用され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のビアは、フィードライン708をスロット706が形成される金属層と結合するために使用され得る。図7Bのフィードライン708はデータ300の送信及び受信の両方をするために使用され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、図7Cのフィードライン720がデータ300を送信するように使用される場合があり、一方でフィードライン718がデータ300を受信するように使用される場合がある。フィードライン720及び718は半円形パターンを各々形成する。フィードライン720は、データ300を送信するために構成される複数のフィード722を含み得る。いくつかの実施形態では、フィード722の1つ以上が、図5A−5Bの伝導性ビア310などの伝導性ビアと置換される場合がある。フィードライン718は、データ300を受信するために構成される複数のフィード724を含み得る。いくつかの実施形態において、フィード724の1つ以上は、図5A−5Bの伝導性ビア310などの伝導性ビアと置換される場合がある。
【0022】
さらに、切抜き710及び対応するスロット706は、いかなる形状又は設計でも良い(例えば湾曲した、ギザギザの、角のある、先細の幅、U字型、L字型、T字型、ドッグボーン型)。スロット706の各々の長さは同じである必要はない。スロット706は切抜き710と同じ長さ又は幅である必要はない。
【0023】
図8を参照すると、例示の実施形態に従って、埋込可能な医療装置を製造する方法800に関する工程フローチャートが示されている。方法800は802において、埋込可能な医療装置の伝導性ケースに切抜きを形成することを含み得る。ケースはチタン又はステンレス鋼などの金属材料から製作される場合がある。代替の実施形態では、ケースは金属でない場合がある。方法800はまた804において、切抜きを誘電材料で充たして密封をもたらすことを含み得る。誘電材料はセラミック材料でも良く、又は密封状態を形成するのに適するいかなる他の誘電材料でも良い。方法800は806において、第一金属層の一部を除去してスロットアンテナのスロットを形成することを含み得る。例示の実施形態では、第一金属層は第一誘電層又は基板より上に設置され得る。第一金属層は銅で製作されても良い。方法800は808において、第二金属層の一部を除去してスロットアンテナのフィードラインを形成することを含み得る。例示の実施形態では、第二金属層は、第一誘電層又は基板より下に設置される場合があり、また銅から製作される場合がある。方法800はまた810において、第一誘電層に伝導性ビアを形成してフィードラインを第一金属層と結合させることを含み得る。方法800は812において、第一金属層とスロットアンテナのスロットとに亘って第二誘電層を形成することを含み得る。方法800は814において、第二金属層及びスロットアンテナのフィードラインより下に第三誘電層を形成することを含み得る。方法800は806において、スロットアンテナのスロットが埋込可能な医療ケースの切抜きと整列するように、スロットアンテナを埋込可能な医療装置内に設置することを含む。例示の実施形態では、スロットが形成される第一金属層は、伝導性ケースと接触していない場合がある。
【0024】
図9を参照すると、例示の実施形態に従って、再充電過程の間にスロットアンテナを介して通信する方法900に関する工程フローチャートが示されている。方法900は902において、埋込可能な医療装置の第二コイルで、外部装置の第一コイルから第一誘導再充電信号を受信することを含む場合がある。例示の実施形態では、第一誘導再充電信号は、再充電可能なバッテリなどの埋込可能な医療装置の補充可能な電源を再充電するように作用する場合がある。方法900はまた904において、埋込可能な医療装置のケースの切抜きを通って、埋込可能な医療装置に設置されるスロットアンテナから外部装置に第一高周波信号を送信することを含む。例示の実施形態では、第一高周波信号が補充可能な電源の充電に対応するデータを送信又は記号化し、第一高周波信号が送信され、一方で第二コイルが第一誘導再充電信号を受信する。方法900は906において、第二コイルで第一コイルから第二誘導再充電信号を受信し、第二誘導再充電信号は第一誘導再充電信号の対応する信号パラメータとは異なる少なくとも1つの信号パラメータを有し、第二誘導再充電信号の少なくとも1つの信号パラメータは、第一高周波信号によって与えられるデータに基づいて調整されることを含み得る。このように、再充電過程の間の安全性及び効率を維持するために、再充電フィードバックループが外部充電装置に与えられ得る。例示の実施形態では、埋込可能な医療装置のいかなる部分の温度も維持するように再充電過程を監視するために、再充電フィードバックループが利用され得る。いくつかの実施形態では、再充電過程における共振周波数を決定するため、そして再充電過程の間の共振周波数での、又は共振周波数近くの誘導再充電信号を維持するのを補助するために、再充電フィードバックループが使用され得る。
【0025】
再充電フィードバックループによってもたらされるデータを使用して、外部再充電装置は、埋込可能な医療装置及びその構成要素における誘導再充電信号の影響を監視し、誘導再充電信号を調整して再充電過程の安全性及び効率を改善するように構成され得る。例示の実施形態では、外部再充電装置は埋込可能な医療装置の温度を監視し、温度に基づいて誘導再充電信号のパラメータを調整するように構成され得る。例えば外部再充電装置は、再充電過程を中断すること、誘導再充電信号のデューティサイクルを低減すること、誘導再充電信号の周波数を調整して共振周波数とより近くで一致させること、及び誘導再充電信号の大きさを低減することによって、埋込可能な医療装置の温度を低減しようとする場合がある。外部再充電装置又は、埋込可能な医療装置と通信するように構成されるいかなる他の外部演算装置も、データを使用して埋込可能な医療装置の状況報告又は履歴報告を発生させ得る。状況報告及び/又は履歴報告は、温度データ、周波数データ、又は埋込可能な医療装置によって与えられるいかなる他のデータも含み得る。外部再充電装置、又は埋込可能な医療装置と通信するように構成されるいかなる他の外部演算装置もまた、埋込可能な医療装置の監視に基づいて再充電の要求を発生するように構成され得る。例えば、外部装置は再充電可能なバッテリの電力レベルが電力閾値より低く降下し、再充電の必要があることをユーザに知らせ得る。
【0026】
以下の記載において、“上方(over)”、“下方(under)”、“裏(behind)”、“真下(beneath)”及び同様の表現は、埋込可能な医療装置(IMD)が特定の方向(例えば、図12に図示される側面の方向)にあるときの特定の構成要素又は要素の相対位置を示すのに使用され、このような表現は特定の構成要素又は要素の絶対位置を示すものではない。例えば、本明細書で使用されるように、IMDが図12に図示される側面図の方向にあり、第一構成要素が第二構成要素よりもIMDの上表面(つまり図12のIMD1000の第一表面1220)の近くにあるとき、IMDの第一構成要素は第二構成要素の“上方”にある。当然、IMDが反転され、図12の第一表面1220及び第二表面1222の位置が第一及び第二構成要素の物理的配置を変更することなく逆転され得る。本明細書で表現が使用されるように、表現は図12に図示されるIMD1000の特定の方向に関して規定されるので、IMD1000の方向が逆転或いは変更されても、第一構成要素はなおも第二構成要素の“上方”にある。故に、記載の一貫性のため及び容易さのために、IMDの構成要素の相対位置は図12に図示される方向を参照しながら本明細書で規定及び記載される。
【0027】
図10は、特定の実施形態による埋込可能な医療装置(IMD)1000及び外部装置1020のブロック略図である。IMD1000は図1のIMD100と共通の特徴及び機能を有する場合がある。例えば、IMD1000は患者の組織壁116(例えば患者の皮膚及び/又は他の組織)の裏で患者内に埋め込まれる場合がある。特定の実施形態では、IMD1000は再充電可能なバッテリ106を含む。他の実施形態では、IMD1000は例えば再充電できないバッテリなどの、異なる電源を含む。IMD1000はまたプロセッサ108を含み得る。プロセッサ108は、バッテリの再充電、医療回路1046によってもたらされる感知又は刺激、通信回路1014によって実施される通信、ウェイクアップ回路1034に応じたIMD1000の構成要素の状態の変化、IMD1000の他の構成要素1048によって実施される他の処理、又はそのあらゆる組み合わせなどの、IMD1000の処理を制御する。
【0028】
IMD1000はまた、開口部1010を規定する伝導性ハウジング1002を含み得る。伝導性ハウジング1002は、金属又は金属合金(例えばチタン又はステンレス鋼)などの生体適合性を示す材料で形成され得る。IMD1000はまた、伝導性ハウジング1002内で密封される第一アンテナ1012及び第二アンテナ1032などの、1つ以上のアンテナを含み得る。
【0029】
誘電材料1030は、伝導性ハウジング1002と結合されて開口部1010を密封し得る。誘電材料1030及び伝導性ハウジング1002は共に、IMD1000のケースを形成する。誘電材料1030は、セラミック材料、ポリマー材料、又は伝導性ハウジング1002と密封状態を形成するのに適する他の誘電材料を含み得る。ポリマーと伝導性ハウジング1002などの金属との間の密封は、セラミックと金属との間の密封より信頼性が低い場合がある。誘電材料1030がセラミックであるとき、密封はろう付け又は溶接などのセラミック対金属の密封処理によって形成され得る。アンテナ1012、1032のうちの1つ以上は、ケース内で誘電材料1030の裏に位置する場合がある。開口部1010がないと、伝導性ハウジング1002は外部装置1020と、第一アンテナ1012、第二アンテナ1032、又は両方との間の通信を妨害し得る。誘電材料1030によって密封されている開口部1010は、伝導性ハウジング1002を通過する単一経路をもたらし、これは伝導性ハウジング1002を通して送信しようとすることによって経験され得るよりも信号強度の減少が著しく少ない結果になる。
【0030】
IMD1000はヘッダブロック1004を含み得る。ヘッダブロック1004は誘電材料1030上方でケースと連結され得る。誘電材料1030が、セラミックなどの比較的脆い材料で形成されるとき、ヘッダブロック1004は誘電材料1030の突発破損時に、誘電材料1030の破片を保持するように構成され得る。例えば、ヘッダブロック1004は、患者内に埋め込まれるときに第一機械的破損機構(例えばプラスチックの変形)を有する第一材料で形成される場合があり、誘電材料1030は、患者内に埋め込まれるときに第二機械的破損機構(例えば粉砕)を有する第二材料で形成される場合がある。第二材料は体温で第一材料よりも脆い場合がある。故に、ヘッダブロック1004は衝撃エネルギを吸収することによって誘電材料1030を突発破損から保護する場合があり、衝撃エネルギはさもないと誘電材料1030に吸収されて誘電材料を粉砕し得る。加えて、ヘッダブロック1004が誘電材料1030の破片が患者の組織に露出されることを防ぐように、ヘッダブロック1004は伝導性ハウジング1002と結合され得る。例えば、ヘッダブロック1004は圧入によって、1つ以上の接続部材(例えばねじ、リベット、又はスナップ)によって、粘着剤によって、又は他のポリマー対金属の接合処理若しくは技術によって、伝導性ハウジング1002と結合され得る。
【0031】
ヘッダブロック1004は複数のリードインターフェイスブロック(リード線接続用ブロック)1040を含み得る。リードインターフェイスブロック1040は電極1042から1つ以上の電極リード線1042を受けるのに適合し得る。リードインターフェイスブロック1040は、1つ以上の密封されるフィードスルー1044によって、伝導性ハウジング1002内の医療回路1046と結合され得る。電極1042は、刺激電極、感知電極、又はその組み合わせを含み得る。同様に、医療回路1046は治療回路、感知回路、又はその組み合わせを含み得る。特定の実施形態では、図11にさらに図示されるように、リードインターフェイスブロック1040の1つ以上がアンテナ1012、1032の1つ以上を少なくとも部分的に隠す場合がある。従って、リードインターフェイスブロック1040の1つ以上は、医療回路1046と電極1042との間の電気的結合をもたらすのに適するが、外部装置1020と、リードインターフェイスブロック1040によって部分的に隠され得る特定のアンテナ又は複数のアンテナ1012、1032との間で送信される信号の信号強度を著しく減少させない材料で形成され得る。例えば、リードインターフェイスブロック1040はステンレス鋼(例えば316Lステンレス鋼)、MP35N、又はチタンで形成される場合がある。他の実施形態では、リードインターフェイスブロック1040、アンテナ1012、1032は、リードインターフェイスブロック1040が外部装置1020とアンテナ1012、1032との間で送信される信号を妨害するのを制限するように置かれる。
【0032】
IMD1000は、ケース内にあり第一アンテナ1012と結合される通信回路1014を含み得る。通信回路1014は、外部装置1020などの伝導性ハウジング1002の外部にある装置に信号を送信し、伝導性ハウジング1002の外部にある装置から信号を受信する、又は信号の送信及び受信の両方をするように作動可能な場合がある。例えば、通信回路1014はデータを外部装置1020に送信するように操作可能な場合がある。送信されるデータは、患者に与えられる治療に関するデータ又はIMDの状態(例えば、再充電可能なバッテリ106の充電状況、IMD1000のケースの温度、又はIMD1000の構成要素の機能性)に関するデータなどの、電極1042によって検出される状態に応じて医療回路によって収集されるデータ、若しくはプロセッサによって発生されるデータを含む場合がある。他の例では、通信回路1014は外部装置1020からデータを受信するように作動可能な場合がある。受信されるデータは、刺激療法のパラメータ、IMD1000の他の構成要素1048の1つ以上を作動させる起動信号、他のデータ、又はその組み合わせを含み得る。
【0033】
IMD1000は伝導性ハウジング1002内にウェイクアップ回路1034を含み得る。ウェイクアップ回路1034は第二アンテナ1032と結合され得る。ウェイクアップ回路1034は、第二アンテナ1032で受信されるウェイクアップ信号に応じて、通信回路1014を、通信回路1014が非アクティブであるスリープ状態から、通信回路1014がアクティブであるアウェイク状態に移行させるように作動可能な場合がある。特定の実施形態では、ウェイクアップ回路1034はウェイクアップ信号に応じて、IMD1000の他の又は異なる構成要素をアウェイク状態にさせ得る。例えば、通信回路1014、プロセッサ108、医療回路1046、他の構成要素1048の1つ以上、又はその組み合わせは、電力を保存するため、又は他の目的のために、特定の時点でスリープ状態に移行し得る。ウェイクアップ信号は、ウェイクアップ信号が向けられるIMD1000のあらゆる構成要素をアウェイク状態にするために使用され得る。例示すると、外部装置1020から特定の期間に亘って通信が受信されないときに、通信回路1014はスリープ状態に入り得る。通信回路1014をアウェイク状態にするために(例えば、IMD1000によって実行される新しい治療プログラムを送信するために)、外部装置1020はまずウェイクアップ信号を送信し、さらなるデータを送信する前に、通信回路1014から通信回路1014がアクティブ状態にあることを示す確認を待機する。
【0034】
特定の実施形態では、第一アンテナ1012は平面アンテナである。平面アンテナを使用することは、伝導性ハウジング1002内のように利用可能な空間が制限されているところで有益な場合がある。例えば、第一アンテナ1012は回路基板上に設置される1つ以上の伝導性素子を含み得る。例示すると、第一アンテナ1012は、回路基板上に設置されるループ又はコイル型のアンテナの場合がある。他の例示的な例では、第一アンテナ1012は、回路基板の表面にある伝導層を含むスロット型アンテナの場合がある。伝導層は放射スロットを規定し得る。例えば、第一アンテナ1012は図4A及び4Bを参照しながら記載されるように形成され得る。
【0035】
特定の実施形態では、第二アンテナ1032は、第一アンテナ1012を通してウェイクアップ信号を受信するように配置され得る。例示すると、第一アンテナがスロット型のアンテナであるとき、ウェイクアップ信号は開口部1010を通って、そして第一アンテナ1012の放射スロットを通って伝わり、第二アンテナ1032によって受信され得る。故に、第二アンテナ1032を第一アンテナ1012の開口領域に位置させることで、IMD1000内の空間はさらに節減され、第一アンテナ1012及び第二アンテナ1032が、開口部1010及び誘電材料1030を通して信号を送信及び/又は受信することを許容する。
【0036】
図11は埋込可能な医療装置(IMD)1100の上面図の略図である。図12図11に示される切断線に沿ったIMD1100の断面側面図である。図11に図示される図では、IMD1000の伝導性ハウジング1102の内部にある構成要素は点線で示されている。加えて、図12はヘッダブロック1202を示すが、ヘッダブロック1202は図11には示されていない。
【0037】
IMD1100はバッテリ1128などの電源を含む。例えば、バッテリ1128は図1及び図10の再充電可能なバッテリ106などの再充電可能なバッテリの場合がある。IMD1100はまた、医療回路(例えば治療回路、感知回路、又は両者)などの機能回路1130、プロセッサ、メモリ、充電回路、他の構成要素、又はその組み合わせを含み得る。機能回路1130の医療回路は、1つ以上の密封されたフィードスルー(図11には示されていない)を介して、伝導性ハウジング1102の外部にある1つ以上のリードインターフェイスブロック1132と連結され得る。リードインターフェイスブロック1132は電極リード線1134を受けるのに適合し得る。電極リード線1134は電極(図11には示されていない)と結合される場合があり、電極は刺激される、又はデータを感知される患者の組織と結合又は隣接して位置する。
【0038】
IMD1100はまた通信回路1126を含み得る。例えば、通信回路1126は、受信機、送信機、送受信機、コーダ・デコーダ(CODEC)、IMD1100と患者の外部にある装置との間の通信を容易にするように作動する他の構成要素、又はその組み合わせを含み得る。通信回路1126はアンテナ1108などの1つ以上のアンテナと結合され得る。アンテナ及び通信回路の他の例は図13A−13Eを参照しながら記載される。
【0039】
特定の実施形態では、IMD1100の伝導性ハウジング1102は密封され得る。伝導性ハウジング1102は、誘電材料1106で密封され得る開口部1104を規定し得る。例えば、誘電材料1106は開口部1104を充たし、開口部1104の端部を越えて延び、伝導性ハウジング1102との密封を形成する。特定の実施形態では誘電材料1106は、セラミック対金属のろう付け又は溶接処理を使用して伝導性ハウジング1102に密封されている、セラミック材料である。
【0040】
アンテナ1108は伝導性ハウジング1102内で誘電材料1106の裏に位置する場合がある。特定の実施形態では、開口部1104の少なくとも1つの寸法(例えば長さ、幅、又は両者)は、アンテナ1108の放射素子の対応する寸法より大きい。例えば、図11に図示される特定の実施形態では、アンテナ1108はスロット型のアンテナであり、放射素子は伝導層の“I”字型切抜きとして示されている。故に、開口部1104の少なくとも1つの寸法は、伝導層の“I”字型切抜きの対応する寸法より大きい場合がある。
【0041】
患者に埋め込むのを容易にするため、及び患者の快適さのために、IMD1100は比較的小さなフォームファクタを有するのが要望され得る。従って、(図12における)ヘッダブロック1202は、伝導性ハウジング1102の凹部内に置かれ得る。例示すると、図12に示されるように、伝導性ハウジング1102は第一側1220と、第一側1220の反対側の第二側1222とを有する。第一側1220は(ヘッダブロック1202の下方にある)凹部1112と、非凹部1110とを有する。非凹部1110と第一側1220の凹部1112との間の距離は、第二側1222と第一側1220の非凹部1110との間の第二距離より、厚さT1204小さい。ヘッダブロック1202は第一側1102の凹部1112から、第一側1102の非凹部1110とほぼ同一な平面まで延び、故にリードインターフェイスブロック1132を収容するヘッダブロック1202が伝導性ハウジング1102と比較的平坦に一体化するように、比較的小さなフォームファクタをもたらす。アンテナ1108は、第二側1222と、厚さT1204を有する第一範囲1230にある第一側1220の凹部1112との間に位置する場合がある。IMD1000の他の構成要素は、厚さT1204より大きな厚さを有する第二範囲1232に位置する。
【0042】
アンテナ1108が第一範囲1230に嵌ることができるように、アンテナ1108は平面アンテナのように比較的薄い場合がある。特定の実施形態では、アンテナ1108は第一回路基板1120に形成され、第一回路基板1120は第一回路基板1120(又は第一回路基板1120の一部)を第一範囲1230内にスライドさせることによって第一範囲1230に置くことができる。IMD1000のアセンブリを簡易化するために、通信回路1126は第二回路基板1122と結合される場合があり、第二回路基板1122は可撓性回路1124を介して第一回路基板1120と通信可能に結合されている。第一回路基板1120、第二回路基板1122、及び可撓性基板1124の様々な構成が図13A−13Eに図示されている。
【0043】
特定の実施形態では、アンテナ1108を支持する回路はまた、第一回路基板1120上に形成される、又は結合され得る。例えば、第一回路基板1120は複数の層を含み得る。アンテナ1108は、回路基板1120の上表面(図12に図示される配列において)に形成される又は結合される伝導層を含み得る。フィードライン1208は回路基板1120の上表面、回路基板1120の低表面、又は回路基板1120の複数の層の間(例えば、回路基板1120の内部)に形成される場合がある。フィードライン1208はアンテナ1108とは異なる回路基板1120の層にあり、フィードライン1208は伝導性ビア1206によってアンテナ1108と結合される場合がある。整合要素1212などの、アンテナ1108の機能性を支持する他の構成要素はまた、回路基板1120に形成される、又は結合され得る。整合要素1212は誘導性素子、容量性素子、若しくはアンテナ1108のインピーダンス整合を容易にする他の素子、フィードライン1208及び通信回路1126などの他の通信要素を含み得る。フィードライン1208及び整合要素1212が回路基板1120の異なる層にあるとき、整合要素1212は伝導性ビア1210によってフィードライン1208と連結され得る。
【0044】
特定の実施形態では、絶縁層1214はアンテナ1108と、少なくとも第一範囲1230にある伝導性ハウジング1102の内部との間に位置する場合がある。絶縁層1214はアンテナ1108が伝導性ハウジング1102に対してショートするのを抑止する又は防ぎ得る。特定の実施形態では、誘電材料1106が伝導性ハウジング1102内に延びて、アンテナ1108が伝導性ハウジング1102と接触することが誘電材料1106よって防がれる。絶縁層1214はこの実施形態には存在しない場合がある。
【0045】
アンテナ1108を伝導性ハウジング1102内に置くことは、伝導性ハウジング1102の外部とは対照的に、アンテナ1108を通信回路1126と結合させるための結合要素を取り除くことを可能にする。このような結合要素は大きい傾向があり、破損しがちで、IMDの製造の間に共に作業するのが困難である。アンテナ1108が伝導性ハウジング1102内に位置するとき、伝導性ハウジング1102がアンテナ1108の性能を低減する場合がある。誘電材料1106で密封されている開口部1104を設けることは、伝導性ハウジング1102がアンテナ1108を介する通信を妨害することを低減する、又はなくす。ヘッダブロック1202は、誘電材料1106を損傷から保護し、誘電材料1106の突発破損時には患者を誘電材料1106の破片から保護する。故に、アンテナ1108を伝導性ハウジング1102内で誘電材料1106及びヘッダブロック1202の真下に位置させることで、効果的な通信が安全に、低い製造費用で、及び比較的小さなフォームファクタのIMD1000でもたらされる。
【0046】
図13A−13Eは、様々な実施形態による埋込可能な医療装置(IMD)内で使用するためのアンテナシステムの略図である。図13A−13Eに図示される複数のアンテナシステムは、第一回路基板1120上のアンテナ1108と、第二回路基板1122上の通信回路1126とを有する、2つの回路基板構成を各々使用する。第一回路基板1120は、可撓性回路1124によって第二回路基板1122と結合され得る。アンテナ1108及び通信回路1126が単一回路基板上にある、通信回路1126が2つ以上の回路基板に亘って配置される、又は可撓性回路1124よりもディスクリートワイヤを使用して通信回路1126をアンテナ1108と結合させるなど、アンテナ1108及び通信回路1126の他の構成が使用される場合がある。故に、図13A−13Eでは、図示される複数の実施形態の間の他の相違をより良く強調するために、2つの回路基板構成が使用される。
【0047】
特定の実施形態では、少なくとも第一回路基板1120は複数の層を有し得る。アンテナシステムの部分又は構成要素は、第一回路基板1120の異なる層に形成される、又は置かれる場合がある。図13A−13Eは、アンテナシステムの様々な実施形態の上面図として図示されており、上層にある構成要素は実線で図示され、中間又は内部層にある構成要素は破線で図示され、底層にある構成要素は点線で図示されている。図13A−13Eに図示されている第一回路基板1120の複数の層にある構成要素の特定の配置は、例示であり、他の配置が想定される。例えば、製造費用を節約するために、アンテナシステムの全ての構成要素が回路基板1120、1122の外表面に置かれ、中間又は内部層に位置する構成要素がない場合がある。加えて、図13A−13Eにおいて、アンテナ1108は第一回路基板1120の上表面にある伝導層1302を含むスロット型アンテナとして図示されており、伝導層1302は“I”字型の放射スロットを規定する。他のアンテナ構成が使用されても良い。例えば、スロット型アンテナよりも、ダイポールアンテナ、逆F字型アンテナ、ループアンテナ、コイルアンテナ、マイクロストリップ又はパッチアンテナなどの、他のタイプの平面アンテナが使用されても良い。加えて、スロット型アンテナが使用されるとき、1つ以上の矩形スロット、ボウタイ型スロット、逆“E”字型スロット、又はIMDの特定の構成における性能に対して最適化された他のスロットなどの、他の形状の放射スロットが使用されても良い。平面アンテナは、第一回路基板1120に配置される伝導性素子を含む場合がある。非平面アンテナが(図11及び12を参照しながら記載されるように)IMDの伝導性ハウジング内で伝導性ハウジングの開口部の真下に位置するように構成されている限り、非平面アンテナがまた使用され得る。
【0048】
図13Aはアンテナシステムの第一実施形態の上面図を図示する。上記で説明されたように、アンテナシステムは、アンテナ1108を含む第一回路基板1120と、通信回路1126を含む第二回路基板1122とを含む。第一回路基板1120は、可撓性回路1124によって第二回路基板1122と結合される。アンテナ1108は伝導性ビア1206によってフィードライン1208と結合し、整合要素1212はフィードライン1208と結合する。
【0049】
図13Bでは、第二アンテナ1310が図13Aに図示されるアンテナシステムに追加されている。図13Bに図示される図では、第二アンテナ1310はアンテナ1108(第二アンテナ1310と区別するためにここではまた“第一アンテナ”とも呼ばれる)の放射スロット内に位置している。特定の実施形態では、第二アンテナ1310が第一回路基板1120の底層に位置し、第一アンテナ1108が第一回路基板1120の上層に位置する場合がある。第二アンテナ1310は表面に取り付け可能なチップアンテナの場合があり、小さなフォームファクタのセラミック又はポリマーの容器の中に収容される場合がある。他の実施形態においてアンテナ1108は、第二アンテナ1310に対して回路基板120の同じ側又は回路基板120の他の層に置かれる。他の実施形態では、第二アンテナ1310は伝導性ハウジング1002の開口部1030の裏に位置していない、第一アンテナ1108の放射スロットの中若しくは裏に位置していない、又はその両方である。
【0050】
図13Bに図示される実施形態では、第一アンテナ1108が第一通信アンテナの場合があり、第二アンテナ1310がウェイクアップアンテナの場合がある。例えば第二アンテナ1310は、IMDが埋め込まれる患者の外部にある装置から、ウェイクアップ信号を受信するのに使用され得る。ウェイクアップ信号に応じて、ウェイクアップ回路1306は通信回路1126を、通信回路1126が非アクティブであるスリープ状態から、通信回路1126がアクティブであるアウェイク状態に移行させる場合がある。次に通信回路1126は信号を送信し、患者又は介護人の外側にある装置から受信し得る。例えば通信回路1126は、第一アンテナ1108を使用して、患者内又はIMD内で感知される状況に関する情報を、患者の外部にある装置に送信する場合がある。他の例では、通信回路1126は患者の外部にある装置から第一アンテナ1108を介して情報を受信し、IMDをプログラムし、患者の組織に刺激を与えるなどの、様々な治療機能を実施する場合がある。もしくは、第一アンテナ1108がウェイクアップアンテナの場合があり、第二アンテナ1310が第一通信アンテナの場合がある。
【0051】
図13Bに図示されるアンテナシステムが図11及び12のIMD1000の伝導性ハウジング1102内に位置するとき、ウェイクアップ信号は開口部1104を通って、及び第一アンテナ1108の放射スロットを通って伝わり、第二アンテナ1310によって受信され得る。故に、第一アンテナ1108の放射スロット内に第二アンテナ1310を置くことは、IMD1000内の空間の効率的な使用をさらに可能にする。第二アンテナ1310は、セラミックアンテナなどの表面に取付可能な構成要素でも良く、又は平面アンテナでも良い。
【0052】
図13Cに図示される実施形態は、第二アンテナ1312の他の構成を図示する。図13Cに図示される実施形態では、第二アンテナ1312は第一回路基板1120の層に形成される又は結合される、伝導性素子(例えば金属層)を含み得る。例えば、第二アンテナ1312は第一回路基板1120の底層に形成される又は結合される場合がある。第二整合要素1314は、ウェイクアップ信号の周波数における第二アンテナ1312の性能を向上するために、第二アンテナ1312と結合される。例えば、整合要素1212は約400MHzの周波数で第一アンテナ1108の通信を容易にし、第二整合構成要素1314は約2.45GHzの周波数で第二アンテナ1312の通信を容易にし得る。

【0053】
図13D及び13Eは、第一アンテナのフィードラインが第一アンテナ1108と同じ第一回路基板1120の表面に位置する、複数の実施形態を図示する。図13D及び13Eにおいて、第一アンテナ1108は、第一回路基板1120の上表面にある伝導層1302を含み、通信ライン1316は第一回路基板1120の上表面に位置する。図13Dでは、通信ライン1316は、第一回路基板1120の上表面に位置する端部開口のフィードライン1320を通信回路1126と結合する。図13Eでは、通信ライン1316は、第一回路基板1120の上表面に位置する短絡されたフィードライン1320を、通信回路1126と結合させる。
【0054】
図13D及び13Eに図示される実施形態はまた、図13Bの第二アンテナ1310又は図13Cの第二アンテナ1312などの、第二アンテナで使用され得る。第二アンテナが存在するとき、第二アンテナは第一アンテナと同じ第一回路基板1120の側に又は反対側に位置する場合がある。
【0055】
図14は、特定の実施形態による埋込可能な装置(IMD)を製造する方法のフローチャートである。方法は図10のIMD1000又は図11及び12のIMD1100を製造するのに使用され得る。方法は1402において、アンテナをIMDのケースの一部に置くことを含み得る。ケースは開口部を規定する伝導性ハウジングを含み得る。誘電材料は伝導性ハウジングと結合されて開口部を密封し、アンテナは誘電材料の下方に位置され得る。
【0056】
方法は1404においてまた、アンテナを通信回路と結合することを含み得る。例えばアンテナは、通信回路1014と結合され得る図10の第一アンテナ1012を含み得る。他の例においてアンテナは、ウェイクアップ回路1034と結合され得る第二アンテナ1032を含み得る。さらに他の例においてアンテナは、可撓性回路1124を介して通信回路1126又はウェイクアップ回路1306と結合され得る図11、12、又は13A−13Eのアンテナ1108、1310、又は1312のうち1つを含み得る。
【0057】
方法は1406において、ケースを通して延びる1つ以上の密封されるフィードスルーを、ケース内の刺激回路及び感知回路のうちの少なくとも1つと結合させることを含み得る。例えば、1つ以上の密封されるフィードスルーは図10のフィードスルー1044を含み得る。この例において、フィードスルー1044は医療回路1046と結合される場合があり、医療回路1046は感知回路、データを収集すること若しくは治療を患者に与えることに関する他の回路、又はその組み合わせを含み得る。フィードスルーが誘電材料を通って、伝導性ハウジングを通って延びる場合があり、フィードスルーのうちの1つ以上が誘電材料を通って延び、フィードスルーのうちの1つ以上が伝導性ハウジングを通って延びる場合がある。
【0058】
方法は1408において、ケースを密封することを含み得る。例えば、ケースの伝導性ハウジングは共に結合されて密封を形成する複数の要素を含み得る。伝導性ハウジングの要素は、溶接され、ろう付けされ、ハンダ付けされ、粘着され、又はあるいは共に密封される。
【0059】
方法は1410において、1つ以上のリードインターフェイスブロックを対応する1つ以上の密封されたフィードスルーと結合することを含み得る。例えばリードインターフェイスブロックは、フィードスルー1044を通って伝導性ハウジング1002内の医療回路1046と結合されている図10のリードインターフェイスブロック1040を含み得る。他の例においてリードインターフェイスブロックは、1つ以上の密封されたフィードスルー(図示なし)を介して伝導性ハウジング1102内の回路1130と結合され得る図11のリードインターフェイスブロック1132を含み得る。リードインターフェイスブロックは、ケースが密封される前又はケースが密封された後に、対応する密封されるフィードスルーと結合され得る。
【0060】
方法は1412において、ヘッダブロックを誘電材料の上方でケースと結合することを含む場合がある。例えば、ヘッダブロックは図12のヘッダブロック1202を含み得る。特定の実施形態では、リードインターフェイスブロックがフィードスルーと結合されるのと同時に、ヘッダブロックがケースと結合され得る。例えば、ヘッダブロックを位置づけることがまたリードインターフェイスブロックを位置づけるように、リードインターフェイスブロックはヘッダブロック内に組み込まれる又はヘッダブロックと一体化される場合がある。
【0061】
図15は、特定の実施形態による埋込可能な医療装置(IMD)と通信する方法のフローチャートである。方法は図10のIMD1000又は図11及び12のIMD1000によって実施され得る。方法は1502において、IMD内で密封されている第二アンテナでウェイクアップ信号を受信することを含み得る。例えば、IMDは図10のIMD1000でも良く、又は図11及び12のIMD1100でも良く、第二アンテナは図10の第二アンテナ1032、図13Bのウェイクアップアンテナ1310、又は図13Cのウェイクアップアンテナ1312と対応する場合がある。IMDは開口部を規定する伝導性ハウジングを有するケースを含み得る。誘電材料は伝導性ハウジングと結合して開口部を密封する場合があり、ヘッダブロックは誘電材料の上方に置かれ得る。第一アンテナ及び第二アンテナはケース内で誘電材料の下方及びヘッダブロックの下方に置かれる場合がある。特定の実施形態において、第一アンテナは、スロット型アンテナ又は他の平面アンテナなどの平面アンテナである。例示すると、第一アンテナは放射スロットを規定する伝導層を含み得る。この例において、第二アンテナは放射スロットの中又は真下に置かれ得る。故に、ウェイクアップ信号は伝導性ハウジングの開口部を通って、及び第一アンテナの放射スロットを通って伝わり、第二アンテナで受信され得る。
【0062】
ウェイクアップ信号に応じて、IMDの通信回路は1504において、通信回路が非アクティブであるスリープ状態から、通信回路が信号を受信するように作動可能なアウェイク状態に切り替えられ得る。特定の実施形態において、第一アンテナで受信される信号に応じて、又は特定の期間の経過などの他の事象に応じて、通信回路はアウェイク状態に移行し得る。本実施形態では、IMDは第二アンテナを含まない場合がある。例えば、第一アンテナのみがケース内で誘電材料の下方及びヘッダブロックの下方に置かれる場合がある。
【0063】
方法は1506において、IMD内で密封されている第一アンテナで信号を受信することを含み得る。IMDは1508において、信号に応じて動作を実行し得る。例えば、IMDは電気刺激を患者の神経組織に伝達し得る。他の例では、IMDは患者(例えば心拍数)又はIMD(例えばバッテリ充電レベル)の状態を感知し得る。
【0064】
上述の記載は多くの特定を含むが、これらの特定は本開示の例示の実施形態のいくつかを示すために利用され、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。本開示の範囲は請求項、法的な同等物、及び当業者に明らかになるであろう他の実施形態を十分に包含するという事実によって、決定されるべきである。方法又は装置は本開示によって包含される各々の及び全ての問題を対処しなくてもよい。当業者に周知である本開示の要素に対する全ての構造的な、化学的な、及び機能的な同等物は、参照によって本明細書に明確に導入され、本請求項によって包含されることを意図する。単数形の要素に対する参照は、そのように明確に記載されていない限り、1つ及び1つだけを意味する意図はないが、少なくとも1つを意味すると解釈されるべきである。本明細書の請求項の要素は、要素が”〜のための手段”という表現を使用して明らかに引用されていない限り、米国特許法第112条第6段落の条項の下で解釈されない。さらに、要素、構成要素、又は方法段階が請求項に明らかに引用されているか否かに関わらず、本開示の要素、構成要素、又は方法段階は公に捧げる意図はない。
【0065】
本開示は、図を参照しながら上記で説明される。これらの図は、本開示のシステムと方法とプログラムとを実施する特定の実施形態のある詳細を図示する。しかし、図で本開示を説明することは、図に存在し得るあらゆる限定を本開示に与えることとして解釈されるべきではない。本開示は、その操作を遂行するためのあらゆる機械可読の媒体の方法、システム及びプログラム製品を考慮する。本開示の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサを使用して、又はこれ若しくは他の目的のために導入される専用コンピュータプロセッサによって、若しくは配線システムによって、実施され得る。
【0066】
上記のように、本開示の範囲内の実施形態は、そこに保存されている機械実施可能な命令又はデータ構造を送信又は有するための、機械可読の媒体を含むプログラム製品を含む。このような機械可読の媒体は、汎用若しくは専用コンピュータ、又はプロセッサを有する他の機械でアクセスできる、いかなる入手可能な媒体でもよい。例として、このような機械可読の媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD ROM、若しくは他の光学ディスク記録装置、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、又はあらゆる他の媒体を含み、あらゆる他の媒体は、機械実施可能な命令又はデータ構造の形態で、要望されるプログラムコードを送信若しくは保存するように使用でき、汎用若しくは専用コンピュータ、又はプロセッサを有する他の機械によってアクセスできる。本開示は、非一時的な(non-transitory)媒体で利用され得る。情報が、ネットワーク又は他のコミュニケーション接続(有線、無線、又は有線若しくは無線の組み合わせ)に亘って機械に移送又は与えられるとき、機械は機械可読の媒体として接続を適切に見る。故に、あらゆるこのような接続は適切に機械可読の媒体と呼ばれる。上記の組み合わせはまた、機械可読の媒体の範囲内に含まれる。機械実施可能な命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は専用処理機械に、ある機能又は一群の機能を実行させる命令及びデータを含む。
【0067】
本開示の実施形態は、例えばネットワーク化された環境で機械によって実施されるプログラムモジュールの形態で、プログラムコードなどの機械実施可能な命令を含むプログラム製品によって一実施形態で実施され得る、方法段階の一般的状況で記載される。概して、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する又は特定の抽象データ型を実施する、ルーチン、プログラム、物体、構成要素、データ構造などを含む。機械実施可能な命令、関連データ構造、及びプログラムモジュールは、本明細書に開示される方法の段階を実施するためのプログラムコードの例を示す。このような実施可能な命令又は関連データ構造の特定の連続は、このような段階に記載される機能を実施するための対応する動作の例を示す。
【0068】
本開示の実施形態は、プロセッサを有する1つ以上のリモートコンピュータとの論理的な接続を使用して、ネットワーク化された環境で実施され得る。論理的な接続は、本明細書に例として且つ限定としてではなく示される、ローカルエリアネットワーク(LAN)及び広域ネットワーク(WAN)を含み得る。このようなネットワーク環境は、オフィス規模若しくは企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネット、及びインターネットで一般的であり、幅広い異なる通信プロトコルを使用し得る。当業者は、このようなネットワークコンピュータ環境は一般的に、パソコン、携帯用装置、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサを使用する若しくはプログラム可能な家庭用電化製品、ネットワークPC、サーバ、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む、コンピュータシステム構成の多くのタイプを包含することを理解するであろう。本開示の実施形態はまた、タスクが通信ネットワークを介して(有線接続、無線接続、又は有線若しくは無線接続の組み合わせによって)接続されるローカル且つリモートの処理装置によって実行される、分散コンピューティング環境で実行され得る。分散コンピューティング環境において、プログラムモジュールはローカル及びリモートのメモリ保存装置に置かれ得る。
【0069】
全体のシステム又は本開示の部分を実行するための例示のシステムは、処理装置と、システムメモリと、システムメモリを含む様々なシステム構成要素を処理装置と結合させるシステムバスとを含むコンピュータの形態で、汎用コンピューティング装置を含み得る。システムメモリは読取り専用メモリ(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RAM)を含み得る。コンピュータはまた、磁気ハードディスクの読取り及び書き込みのための磁気ハードディスクドライブ、除去可能な磁気ディスクの読取り又は書き込みのための磁気ディスクドライバ、及びCD ROM若しくは他の光学媒体などの除去可能な光学ディスクの読取り又は書き込みのための光学ディスクドライブを含み得る。ドライブ及びその関連する機械可読の媒体は、機械実施可能の命令、データ構造、プログラムモジュール、及びコンピュータのための他のデータの不揮発性記憶装置をもたらす。
【0070】
本明細書で与えられるフローチャートは方法段階の特定の順序を示すが、これらの段階の順序は図示されるものと異なる場合があると理解されることに留意されたい。また2つ以上の段階が同時に又は部分的に同時に実施される場合がある。このような変更は、選択されるソフトウェア及びハードウェアシステムと設計者の選択とによって決まる。全てのこのような変更は本開示の範囲内であることが理解される。同様に、本開示のソフトウェア及びウェブの実施は、規則に基づく論理及び、様々なデータベース検索段階、相関段階、比較段階、及び決定段階を遂行するための他の論理を伴う標準プログラム技術で遂行できる。本明細書及び請求項に使用される“構成要素”という単語は、ソフトウェアコード、及び/又はハードウェア実施、及び/又は手動入力のための装置の1つ以上のラインを使用して実施することを包含する意図があることに留意されたい。
【0071】
本開示の実施形態の前述の記載は、例示及び説明の目的のために示されている。排他的又は本開示を開示される明確な形態に限定する意図はなく、修正及び変更は、上記の教示に照らして可能であり又は本開示の実施から習得され得る。様々な実施形態において、考慮される特定の使用に適する様々な修正を伴う開示を、当業者が利用できるように、本開示及びその実際の適用の主題を説明する目的で、実施形態が選択及び記載された。
【0072】
本明細書に記載される実施形態の例は、様々な実施形態の構造の全般的な理解をもたらすことを意図している。例は、本明細書に記載の構造又は方法を利用する装置及びシステムの要素及び特徴の全てを完全に記載する意図はない。多くの他の実施形態が、開示を考察することによって当業者に明らかであろう。構造的且つ論理的な代用及び変更が、本開示の範囲から逸脱することなくなされ得るように、他の実施形態が利用され、本開示から派生する場合がある。例えば、方法の段階は図で示されるものと異なる順序で実施される場合があり、又は1つ以上の方法の段階が除かれる場合がある。従って、本開示及び図は制限するものとしてよりも例示として見なされるべきである。
【0073】
さらに、特定の実施形態が本明細書に図示され記載されているが、同じ又は同様の結果を達成することを目的とするいかなる後続のアレンジメントが、示される特定の実施形態の代替となり得ることを理解されたい。本開示は、任意の且つ全ての後続の適応又は、様々な実施形態の変更に及ぶことを意図している。上述の実施形態と、本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態との組合せは、記載を考察することで当業者に明らかであろう。
【0074】
本開示の要約は、請求項の範囲又は意味を解釈する又は制限するように使用されることがないという理解とともに提出される。加えて、前述の詳細な説明において、本開示を効率化する目的で、様々な特徴が共に分類され、又は単一の実施形態に記載されている。本開示は、請求項に係る実施形態が各請求項で明確に列挙されているより多くの特徴を要求する意図を示すものとして解釈されるべきでない。むしろ、続く請求項が示すように、請求項に係る主題は、開示される実施形態の任意の特徴の全てより少ないものを対象としている。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14
図15