(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789717
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】伝送ライン用スリーブの支持モジュール
(51)【国際特許分類】
H02G 11/00 20060101AFI20150917BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20150917BHJP
F16G 13/16 20060101ALI20150917BHJP
H01L 21/677 20060101ALN20150917BHJP
【FI】
H02G11/00 060
H02G3/04 075
F16G13/16
!H01L21/68 A
【請求項の数】17
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-514820(P2014-514820)
(86)(22)【出願日】2012年6月14日
(65)【公表番号】特表2014-525220(P2014-525220A)
(43)【公表日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】KR2012004676
(87)【国際公開番号】WO2012173393
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2013年12月4日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0058622
(32)【優先日】2011年6月16日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2011-0128958
(32)【優先日】2011年12月5日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2011-0128959
(32)【優先日】2011年12月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513306475
【氏名又は名称】シン ムヒョン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン ムヒョン
【審査官】
青木 重徳
(56)【参考文献】
【文献】
特表2006−507788(JP,A)
【文献】
特開2011−112224(JP,A)
【文献】
特開2003−299238(JP,A)
【文献】
特開2000−161447(JP,A)
【文献】
特開2001−003997(JP,A)
【文献】
韓国登録特許第10−0727362(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/00
F16G 13/16
H02G 3/04
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を有する伝送ライン用スリーブに形成された複数の収容空間の中で一部に挿入されて、前記伝送ライン用スリーブの垂れを防止する伝送ライン用スリーブの支持モジュールであって、
柔軟性を具備した平板と、
前記平板の長さ方向に沿って並べられるように前記平板に固定された複数のベースと、
前記平板の上部に位置するように前記ベースに結合され、前記平板の垂れを相互接触を通じて防止する複数の垂れ防止ブロックと、
前記平板の下部に位置するように前記ベース及び前記垂れ防止ブロックに結合され、前記平板の曲げ具合を相互接触を通じて制限する複数の曲げ具合制限ブロックと、
を含み、
前記平板の幅方向に沿って離隔した垂れ防止ブロックの左右側壁及び曲げ具合制限ブロックの左右側壁のいずれか一方には突起が具備され、他方には前記突起の係合のための係合孔が具備された
ことを特徴とする伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【請求項2】
前記ベースの上面及び下面には突出部が具備され、
前記垂れ防止ブロック及び曲げ具合制限ブロックには、前記突出部の挿入のための孔が具備された
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【請求項3】
前記曲げ具合制限ブロックの側面の中で、前記平板の幅方向に沿って延びる前後面は、前記平板から離れるほど互いに近くなるように傾いた傾斜面からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【請求項4】
前記曲げ具合制限ブロックの前面には突出部が形成され、
前記曲げ具合制限ブロックの後面には天井を具備した挿入溝が形成され、
前記突出部の上面は、前記前面から離れるほど前記平板から遠くなるように傾いた傾斜面からなる
ことを特徴とする請求項3に記載の伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【請求項5】
前記伝送ライン用スリーブの両端に結合されて前記ベースを固定する締め手段をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【請求項6】
前記締め手段は、前記伝送ライン用スリーブの両端及び該両端内に位置するベースを加圧しながら相互結合する上部ブロック及び下部ブロックを含む
ことを特徴とする請求項5に記載の伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【請求項7】
前記ベースの上面及び下面には突出部が具備され、
前記伝送ライン用スリーブの両端には前記突出部の通過のための通過孔が具備され、
前記上部ブロック及び前記下部ブロックには前記通過孔を通過した前記突出部が挿入されるための挿入孔が具備された
ことを特徴とする請求項6に記載の伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【請求項8】
前記締め手段は、前記上部ブロックから延びる上部蓋及び前記下部ブロックから延びる下部蓋を含み、
前記上部蓋と前記下部蓋との間には、最外郭垂れ防止ブロック及び最外郭曲げ具合制限ブロックを収容した伝送ライン用スリーブの部位が位置する
ことを特徴とする請求項6に記載の伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【請求項9】
前記上部蓋の両側面下端と前記下部蓋の両側面上端との間にはギャップが具備された
ことを特徴とする請求項8に記載の伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【請求項10】
柔軟性を有する伝送ライン用スリーブに形成された複数の収容空間の中で一部に挿入されて、前記伝送ライン用スリーブの垂れを防止する伝送ライン用スリーブの支持モジュールであって、
柔軟性を具備した平板と、
前記平板の上部で相互接触することで前記平板の垂れを防止する複数の垂れ防止ブロックとを含み、
前記平板の外面には、前記平板の長さ方向に沿って延びる扇形凸部が設けられた
ことを特徴とする伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【請求項11】
前記扇形凸部は前記平板の下面に設けられ、
前記平板の上面には、前記扇形凸部と向い合いつつ前記平板の長さ方向に沿って延びる扇形凹部が設けられた
ことを特徴とする請求項10に記載の伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【請求項12】
前記扇形凸部は前記平板の上面に設けられ、
前記平板の下面には前記扇形凸部と向い合いつつ前記平板の長さ方向に沿って延びる扇形凹部が設けられた
ことを特徴とする請求項10に記載の伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【請求項13】
前記扇形凸部は、前記平板の上面及び下面の両方に設けられた
ことを特徴とする請求項10に記載の伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【請求項14】
前記扇形凸部は、前記平板の中心線を基準として対称に位置する
ことを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【請求項15】
長さ方向に沿って並べられるように前記平板に固定され、前記垂れ防止ブロックと結合した複数のベースと、
前記平板の下部に位置するように前記ベース及び前記垂れ防止ブロックと結合し、前記平板の曲げ具合を相互接触を通じて制限する複数の曲げ具合制限ブロックとをさらに含む
ことを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【請求項16】
前記ベースの上面及び下面には突出部が具備され、
前記垂れ防止ブロック及び曲げ具合制限ブロックには、前記突出部の挿入のための孔が具備された
ことを特徴とする請求項15に記載の伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【請求項17】
前記平板の幅方向に沿って離隔した垂れ防止ブロックの左右側壁及び曲げ具合制限ブロックの左右側壁のいずれか一方には突起が具備され、他方には前記突起の係合のための係合孔が具備された
ことを特徴とする請求項15に記載の伝送ライン用スリーブの支持モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送ライン用スリーブ、即ち、粉塵と騒音の発生なしにケーブル、エアホースなどの伝送ラインを保護しながら曲げと伸びを繰り返して行うスリーブの垂れを防止する支持モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体装置、クリーンルーム設備、ロボットなどのような各種の産業機械には、エネルギー供給又は信号伝送のために、ケーブル、エアホースなどのような伝送ラインが使用されている。そして、このような伝送ラインを安全に保護しながら移動させるために、伝送ラインベア(transmission line veyor)が使用されている。伝送ラインベアは、ケーブルベア(cable veyor)とも称する。
【0003】
一般的に、伝送ラインベアは、一列に並べられた複数の単位ブロックと、これら複数の単位ブロックを連結するための連結部とを含む。連結部は、伝送ラインベアの曲げが可能になるように複数の単位ブロックを連結する。
【0004】
しかし、このように構成した伝送ラインベアによると、曲げと伸びとが繰り返される過程で、互いに隣接して位置する単位ブロック間の摩擦、単位ブロックと伝送ラインとの間の摩擦が伴われる。従って、前記伝送ラインベアによると、曲げと伸びとが繰り返される過程で騒音と粉塵とが発生することになる。この騒音は、作業環境の劣悪化をもたらし、粉塵は、産業機械の誤作動を誘発し得るので、これに対する改善策が求められる。
【0005】
柔軟性を有するスリーブ(sleeve)は、このような改善策の一環として、
図1及び
図2に示すような構造を有する。
図1は、伝送ライン用スリーブを示した側面図であり、
図2は、
図1のA−A’線による断面図である。
【0006】
伝送ライン用スリーブ10は、産業機械の固定部に固定される一端12と、産業機械の移動部に固定されて移動部と共に往復運動を行う反対端14とを具備する。また、このスリーブ10は、柔軟性を有する上部部材20と柔軟性を有する下部部材40とを含む。上部部材20の一部と下部部材40の一部とは、
図2に示すように互いに付着し、付着しない上部部材20の部位と下部部材40の部位との間の収容空間50には、伝送ライン16が挿入される。
【0007】
前記スリーブ10によると、関節の部材によって曲げと伸びとが繰り返される過程で粉塵及び騒音が殆ど発生しない。しかし、スリーブ10の長さが長く伝送ライン16が重い場合、スリーブ10には、伝送ライン16の自重により、
図1に示すように垂れが発生する。従って、スリーブ10の収容空間50の中で最外郭に位置する2つの収容空間には、垂れを防止するための支持モジュールが挿入される。以下に、従来技術による支持モジュールを
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は、従来技術による伝送ライン用スリーブの支持モジュールを示した側面図であり、
図4は、
図3のB−B’線による断面図である。
【0008】
従来のスリーブ支持モジュール60は、
図3及び
図4に示すように、柔軟性を具備した平板62と、この平板62の長さ方向に沿って並べられるように、平板62に固定された複数の垂れ防止ブロック64とを含む。平板62は、垂れ防止ブロック64の下端部位を貫通しながら延びることで、平板62と垂れ防止ブロック64との間の固定が行われる。
【0009】
前記平板62が曲げられれば、隣接する垂れ防止ブロック64は互いに離隔する。しかし、前記平板62が伸びれば、隣接して位置する垂れ防止ブロック64は互いに接触する。従って、前記支持モジュール60が伝送ライン用スリーブ10の収容空間50に挿入されれば、スリーブ10の垂れを防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、前記支持モジュール60によると、曲げられた平板62の曲率半径Rが制限されない。従って、支持モジュール60が
図3のように曲げられた状態で力を受ければ、平板62の部位の中で曲げられた部位62aが折れるという問題が発生する。
【0011】
また、前記支持モジュール60によると、平板62が垂れ防止ブロック64の下端部位を貫通しながら延びることで、垂れ防止ブロック64が平板62に固定される。従って、複数の垂れ防止ブロック64の中で一部のみを交替することができないという問題がある。
【0012】
また、スリーブ10に挿入されてから固定されなければ、支持モジュール60は、前記スリーブ反対端14の往復運動過程で収容空間50から引き出され得る。従って、前記支持モジュール60をスリーブ10に固定する手段が必要である。
【0013】
また、前記支持モジュール60によると、平板62の曲げられた部位62aと前記一端14との間に位置する部分の重さが、ただ曲げられただけの平板62の微弱な弾性復元力によってのみ相殺される。従って、前記支持モジュール60の場合は、スリーブ10の曲率半径Rが殆ど制限されない。
【0014】
また、前記支持モジュール60によると、垂れ防止ブロック64間の接触によってスリーブ10の垂れは防止されるが、この垂れ防止は、スリーブ10の長さが比較的短い場合のみになされる。従って、スリーブ10の長さが長い場合は、前記支持モジュール60が使用されてもスリーブ10の垂れが発生することになる。
【0015】
本発明の一実施形態は、曲率半径が制限されながら曲げられることができ、垂れ防止ブロックの中で一部のみの交替を可能にし、スリーブに堅固に固定され得る伝送ライン用スリーブの支持モジュールを提供することを目的としている。
【0016】
そして、本発明の他の実施形態は、スリーブの曲率半径を従来よりも制限しながら曲げられることができ、スリーブの垂れ防止を従来に比べて長い長さのスリーブに対しても実現することができる伝送ライン用スリーブの支持モジュールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一実施形態は、柔軟性を有する伝送ライン用スリーブに形成された複数の収容空間の中で一部に挿入されて、前記伝送ライン用スリーブの垂れを防止するためのものであって、柔軟性を具備した平板と、前記平板の長さ方向に沿って並べられるように前記平板に固定された複数のベースと、前記平板の上部に位置するように前記ベースに結合され、前記平板の垂れを相互接触を通じて防止する複数の垂れ防止ブロックと、前記平板の下部に位置するように前記ベース及び前記垂れ防止ブロックに結合され、前記平板の曲げ具合を相互接触を通じて制限する複数の曲げ具合制限ブロックとを含む。
【0018】
前記ベースの上面及び下面には突出部が具備され、前記垂れ防止ブロック及び曲げ具合制限ブロックには、前記突出部の挿入のための孔が具備される。
【0019】
前記平板の幅方向に沿って離隔した垂れ防止ブロックの左右側壁及び曲げ具合制限ブロックの左右側壁のいずれか一方には突起が具備され、他方には前記突起の係合のための係合孔が具備される。
【0020】
前記曲げ具合制限ブロックの側面の中で、前記平板の幅方向に沿って延びる前後面は、前記平板から離れるほど互いに近くなるように傾いた傾斜面からなる。
【0021】
前記曲げ具合制限ブロックの前面には突出部が形成され、前記曲げ具合制限ブロックの後面には天井を具備した挿入溝が形成され、前記突出部の上面は、前記前面から離れるほど前記平板から遠くなるように傾いた傾斜面からなる。
【0022】
前記本発明の一実施形態は、前記伝送ライン用スリーブの両端に結合されて前記ベースを固定する締め手段をさらに含む。
【0023】
前記締め手段は、前記伝送ライン用スリーブの両端及び該両端内に位置するベースを加圧しながら相互結合する上部ブロック及び下部ブロックを含む。
【0024】
前記ベースの上面及び下面には突出部が具備され、前記伝送ライン用スリーブの両端には前記突出部の通過のための通過孔が具備され、前記上部ブロック及び前記下部ブロックには前記通過孔を通過した前記突出部が挿入されるための挿入孔が具備される。
【0025】
前記締め手段は、前記上部ブロックから延びる上部蓋及び前記下部ブロックから延びる下部蓋を含み、前記上部蓋と前記下部蓋との間には、最外郭垂れ防止ブロック及び最外郭曲げ具合制限ブロックを収容した伝送ライン用スリーブの部位が位置する。
【0026】
前記上部蓋の両側面下端と前記下部蓋の両側面上端との間にはギャップが具備される。
【0027】
本発明の他の実施形態は、柔軟性を有する伝送ライン用スリーブに形成された複数の収容空間の中で一部に挿入されて、前記伝送ライン用スリーブの垂れを防止するための伝送ライン用スリーブの支持モジュールにおいて、柔軟性を具備した平板と、前記平板の上部で相互接触することで前記平板の垂れを防止する複数の垂れ防止ブロックとを含む。このとき、前記平板の外面には、前記平板の長さ方向に沿って延びる扇形凸部が設けられる。
【0028】
前記扇形凸部は前記平板の下面に設けられ、前記平板の上面には、前記扇形凸部と向い合いつつ前記平板の長さ方向に沿って延びる扇形凹部が設けられる。
【0029】
一方、前記扇形凸部は前記平板の上面に設けられ、前記平板の下面には前記扇形凸部と向い合いつつ前記平板の長さ方向に沿って延びる扇形凹部が設けられる。
【0030】
一方、扇形凹部なしに前記扇形凸部のみが前記平板の上面及び下面の両方に設けられる。
【0031】
一方、前記扇形凸部は、前記平板の中心線を基準として対称に位置する。
【0032】
前記本発明の他の実施形態は、長さ方向に沿って並べられるように前記平板に固定され、前記垂れ防止ブロックと結合した複数のベースと、前記平板の下部に位置するように前記ベース及び前記垂れ防止ブロックと結合し、前記平板の曲げ具合を相互接触を通じて制限する複数の曲げ具合制限ブロックとをさらに含む。
【0033】
前記ベースの上面及び下面には突出部が具備され、前記垂れ防止ブロック及び曲げ具合制限ブロックには、前記突出部の挿入のための孔が具備される。
【0034】
前記平板の幅方向に沿って離隔した垂れ防止ブロックの左右側壁及び曲げ具合制限ブロックの左右側壁のいずれか一方には突起が具備され、他方には前記突起の係合のための係合孔が具備される。
【発明の効果】
【0035】
本発明の一実施形態によると、曲げられた支持モジュールの曲率半径が曲げ具合制限ブロックによって制限され得る。
【0036】
また、本発明の一実施形態によると、支持モジュールが締め手段によってスリーブに堅固に固定され得る。
【0037】
また、本発明の一実施形態によると、締め手段の上部ブロック及び下部ブロックに作用する応力が上部蓋及び下部蓋に分散されるため、締め手段の寿命短縮を防止することができる。
【0038】
また、本発明の一実施形態によると、スリーブの上下方向の移動性が上部蓋と下部蓋との間である程度保障されるため、スリーブが上部蓋及び下部蓋から受ける衝撃が緩和され得る。
【0039】
本発明の他の実施形態において、扇形凸部及び扇形凹部は、平板の曲げられた部位では曲げを抑制し、残りの部位では垂れを抑制する。従って、本発明の他の実施形態によると、従来に比べてスリーブの曲率半径がさらに制限されるだけでなく、従来よりも長い長さのスリーブに対しても垂れが防止され得る。
【0040】
また、本発明の他の実施形態によると、扇形凸部及び扇形凹部とは別途に曲げ具合制限ブロックが具備されるため、スリーブの曲率半径がより確実に制限され得る。
【0041】
前記本発明の一実施形態及び他の実施形態によると、垂れ防止ブロック及び曲げ具合制限ブロックの着脱が可能であるため、前記垂れ防止ブロック及び曲げ具合制限ブロックの個別的な交替が可能である。
【0042】
また、前記本発明の一実施形態及び他の実施形態によると、垂れ防止ブロックと曲げ具合制限ブロックとの整列を平板上で容易に行うことができ、垂れ防止ブロック及び曲げ具合制限ブロックの組み立てを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】伝送ライン用スリーブを示した側面図である。
【
図3】従来技術による伝送ライン用スリーブの支持モジュールを示した側面図である。
【
図5】本発明による伝送ライン用スリーブの支持モジュールによって支持される伝送ライン用スリーブを示した側面図である。
【
図7】本発明による伝送ライン用スリーブの支持モジュールの第1実施形態を示した側面図である。
【
図8】
図7に示した支持モジュールの部分分解斜視図である。
【
図9】
図7に示した支持モジュールの部分縦断面図である。
【
図10】
図7に示した支持モジュールの締め手段を示した分解斜視図である。
【
図11】本発明による伝送ライン用スリーブの支持モジュールの第2実施形態に具備された平板を示した部分斜視図である。
【
図12】
図11に示した平板の変形例を示した部分斜視図である。
【
図13】
図11に示した平板の変形例を示した部分斜視図である。
【
図14】
図11の平板を具備した伝送ライン用スリーブの支持モジュールを示した部分分解斜視図である。
【
図15】
図14に示した支持モジュールの部分縦断面図である。
【
図16】
図11の平板を具備した別の伝送ライン用スリーブの支持モジュールを示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明による伝送ライン用スリーブの支持モジュールの好ましい実施形態を図面を参照して詳しく説明する。以下で使用された用語や単語は、通常であるか辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は、その自身の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜に定義することができるという原則に基づき、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈されるべきである。
【0045】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る支持モジュール200によって支持される伝送ライン用スリーブ100は、
図5に示すように、半導体装置、クリーンルーム設備、ロボット等のような各種の産業機械の固定部に固定される一端102と、前記産業機械の移動部に固定される反対端104とを具備する。伝送ライン用スリーブ100は、前記一端102から反対端104まで連続して延びるため、関節を具備しない。
【0046】
前記伝送ライン用スリーブ100は、
図6に示すように、ケーブル、エアホース等のような伝送ライン106を収容するために収容空間150を具備する。前記収容空間150は、スリーブ100の長さ方向に沿って延長し、幅方向に沿って平行に並べられる。また、前記収容空間150は、上部シート120と下部シート140とによって形成される。このとき、スリーブ100の曲げ及び伸びが可能になるように前記上部シート120及び下部シート140は柔軟性を有する。
【0047】
本実施形態に係る支持モジュール200は、上記のようになった柔軟性を有するスリーブ100に形成された複数の収容空間150の中で一部、例えば、
図6で最外郭に位置する2個の収容空間150に挿入されてスリーブ100の垂れを防止するためのものであって、平板210と、複数のベース230と、複数の垂れ防止ブロック250と、複数の曲げ具合制限ブロック270と、締め手段300とを含む。
【0048】
前記平板210は、ステンレス材質からなり、柔軟性を保有する程度の厚さで形成される。そして、前記複数のベース230は、平板210の長さ方向に沿って並べられ、前記平板210を通過させる形態で前記平板210に固定されている。また、前記ベース230の上面には上部突出部232が具備され、ベース230の下面には下部突出部234が具備されている。
【0049】
前記垂れ防止ブロック250は、前面254及び後面256を具備した胴体252を含む。前記前面254には突出部255が形成され、前記後面256には底257aを具備した挿入溝257が形成される。前記突出部255は、自身の前方に位置する前方垂れ防止ブロックに具備された挿入溝に挿入され、前記挿入溝257は、自身の後方に位置する後方垂れ防止ブロックに具備された突出部を収容する。
【0050】
平板210が伸びている場合、前記前面254は、前記前方垂れ防止ブロックに具備された後面と当接し、前記後面256は、前記後方垂れ防止ブロックに具備された前面と当接し、前記後方垂れ防止ブロックの前面に具備された突出部の下面は、前記挿入溝257の底257aと当接する。そして、このような当接により、伸びた平板210の垂れが防止される。
【0051】
一方、垂れ防止ブロック250の胴体252には孔258が具備される。前記孔258には、ベース230の上部突出部232が挿入される。また、垂れ防止ブロック250の胴体252の左右端には、下方向に突出した左右側壁260が具備され、前記左右側壁260には係合孔262が具備される。
【0052】
前記曲げ具合制限ブロック270は、前面274及び後面276を具備した胴体272を含む。前記後面276は、平板210から離れるほど前記前面274と近くなるように傾いた傾斜面からなり、前記前面274は、平板210から離れるほど前記後面276と近くなるように傾いた傾斜面からなる。
【0053】
曲げ具合制限ブロック270の胴体272の前面274には突出部275が形成され、その後面276には天井277aを具備した挿入溝277が形成される。このとき、前記突出部275の上面275aは、前面274から離れるほど平板210から遠くなるように傾いた傾斜面からなる。一方、前記突出部275は、自身の前方に位置する前方曲げ具合制限ブロックに具備された挿入溝に挿入され、前記挿入溝277は、自身の後方に位置する後方曲げ具合制限ブロックに具備された突出部を収容する。
【0054】
平板210が曲げられている場合、曲げ具合制限ブロック270の胴体272の後面276は、前記後方曲げ具合制限ブロックに具備された前面と当接し、曲げ具合制限ブロック270の胴体272の前面274は、前記前方曲げ具合制限ブロックに具備された後面と当接し、前記後方曲げ具合制限ブロックの前面に具備された突出部の上面は、前記挿入溝277の天井277aと当接する。そして、このような当接により曲げられた平板210の曲率半径が制限される。
【0055】
一方、曲げ具合制限ブロック270の胴体272には孔278が具備される。前記孔278にはベース230の下部突出部234が挿入される。また、曲げ具合制限ブロック270の胴体272の左右端には上方向に突出した左右側壁280が具備され、前記左右側壁280には突起282が具備される。この突起282は、垂れ防止ブロック250の胴体252の左右側壁260に具備された係合孔262と結合する。
【0056】
上述したような伝送ライン用スリーブの支持モジュール100は、平板210にベース230を固定させた後、前記ベース230に垂れ防止ブロック250及び曲げ具合制限ブロック270を結合させることで組み立てられる。ベース230は、インサート射出などの方法で平板210に固定される。そして、垂れ防止ブロック250がベース230と結合すれば、ベース230の上部突出部232が垂れ防止ブロック250の孔258に挿入される。以後、曲げ具合制限ブロック270が結合すれば、ベース230の下部突出部234が曲げ具合制限ブロック270の孔278に挿入され、曲げ具合制限ブロック270の左右側壁280の突起282は、垂れ防止ブロック250の左右側壁260に具備された係合孔262と結合する。
【0057】
上述したように、支持モジュール200は、伝送ライン用スリーブ100の収容空間150に挿入されて、前記伝送ライン用スリーブ100の垂れを防止して曲げを制限する。しかし、前記収容空間150に挿入された後、固定されなければ、支持モジュール200は、前記スリーブ反対端104の往復運動過程で収容空間150から引き出され得る。それで、前記支持モジュール200は、締め手段300をさらに含む。
【0058】
前記締め手段300は、前記ベース230を前記スリーブ100の両端に固定するためのもので、
図10に示すように、第1上部ブロック310a及び第2上部ブロック310bと、第1下部ブロック350a及び第2下部ブロック350bとを含む。
第1上部ブロック310a及び第2上部ブロック310bは、前記スリーブ上部シート120の一端外面及び反対端外面とそれぞれ当接するように位置する。そして、第1上部ブロック310aと第2上部ブロック310bとは、複数の挿入孔312a,312bを具備し、この挿入孔312a,312bには、平板210の一端及び反対端に固定されたベース230の上部突出部232が挿入される。前記上部突出部232が前記挿入孔312a,312bに挿入され得るように、平板210の一端及び反対端に固定されたベース230には垂れ防止ブロック250が結合されず、スリーブの上部シート120には上部突出部232を通過させるための通過孔122が具備される。
【0059】
第1下部ブロック350a及び第2下部ブロック350bは、スリーブ下部シート140の一端外面及び反対端外面とそれぞれ当接するように位置する。そして、第1下部ブロック350aと第2下部ブロック350bとは、複数の挿入孔352a,352bを具備し、この挿入孔352a,352bには、平板210の一端及び反対端に固定されたベース230の下部突出部234が挿入される。前記下部突出部234が前記挿入孔352a,352bに挿入され得るように、平板210の一端に固定されたベース230には曲げ具合制限ブロック270が結合されず、スリーブの下部シート140には下部突出部234を通過させるための通過孔(図示せず)が具備される。
【0060】
第1上部ブロック310aと第1下部ブロック350a、そして第2上部ブロック310bと第2下部ブロック350bは、ボルト372及びナット374を通じて互いに結合される。このとき、前記ボルト372は、上部ブロック310a,310bのボルト孔314a,314b、スリーブ100のボルト孔110、及び下部ブロック350a,350bのボルト孔354a,354bを順次に通過した後、前記ナット374と結合する。相互結合した上部ブロック310a,310b及び下部ブロック350a,350bは、スリーブ100の両端及び該両端内に位置するベース230を加圧することで、ベース230がスリーブ100の両端に固定される。
【0061】
前記第1上部ブロック310aの一端及び第1下部ブロック350aの一端には、孔316a,356aが具備される。第1上部ブロック310aの孔316aには、最外郭に位置する垂れ防止ブロック250の前面254に具備された突出部25が挿入され、第1下部ブロック350aの孔356aには、最外郭に位置する曲げ具合制限ブロック270の前面274に具備された突出部275が挿入される。
【0062】
また、前記第2上部ブロック310bの一端及び第2下部ブロック350bの一端には、突起356bが具備される。第2上部ブロック310bの突起(図示せず)は、最外郭に位置する別の垂れ防止ブロック250の後面256に具備された溝257に挿入され、第2下部ブロック350bの突起356bは、最外郭に位置する別の曲げ具合制限ブロック270の後面276に具備された溝277に挿入される。
【0063】
一方、前記締め手段300は、第1上部蓋320a及び第2上部蓋320bと、第1下部蓋360a及び第2下部蓋360bをさらに含む。
【0064】
第1上部蓋320aは、第1上部ブロック310aの一端から第2上部ブロック310b側にスリーブ100の長さ方向に沿って延長し、第2上部蓋320aは、第2上部ブロック310bの一端から第1上部ブロック310a側にスリーブ100の長さ方向に沿って延びる。そして、第1下部蓋360aは、第1下部ブロック350aの一端から第2下部ブロック350b側にスリーブ100の長さ方向に沿って延長し、第2下部蓋360bは、第2下部ブロック350bから第1下部ブロック350a側にスリーブ100の長さ方向に沿って延びる。第1上部蓋320aと第1下部蓋360aとの間には、前記最外郭垂れ防止ブロック及び曲げ具合制限ブロックを収容したスリーブ100の部位が位置し、第2上部蓋320bと第2下部蓋360bとの間には、前記別の最外郭垂れ防止ブロック及び曲げ具合制限ブロックを収容したスリーブ100の部位が位置する。
【0065】
締め手段300が上部蓋320a,320b及び下部蓋360a,360bを具備しなければ、前記スリーブ反対端104の往復運動が行われる間に上部ブロック310a,310b及び下部ブロック350a,350bに応力が集中するため、締め手段300の寿命が短縮され得る。しかし、締め手段300が上部蓋320a,320b及び下部蓋360a,360bを具備すれば、応力が上部蓋320a,320b及び下部蓋360a,360bに分散されるため、締め手段300の寿命短縮を防止することができる。
【0066】
一方、前記上部蓋320a,320bの両側面下端と前記下部蓋360a,360bの両側面上端との間には、ギャップ322a,362a,322b,362bが設けられることが好ましい。この場合、スリーブ100の上下方向の移動性が上部蓋320a,320bと下部蓋360a,360bとの間である程度保障されるため、スリーブ100が上部蓋320a,320b及び下部蓋360a,360bから受ける衝撃を緩和することができる。
【0067】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る支持モジュールによって支持される伝送ライン用スリーブ100は、第1実施形態の説明と同一である。従って、前記伝送ライン用スリーブ100に対する説明は省略する。
【0068】
本実施形態に係る伝送ライン用スリーブの支持モジュールは、前記スリーブ100に形成された複数の収容空間150の中で一部に挿入されて、スリーブ100の垂れを防止するためのもので、
図11に示すような平板210を含む。前記平板210は、ステンレス材質からなり、柔軟性を保有する程度の厚さで形成される。
【0069】
本実施形態において、前記平板210は、垂れを防止する機能及び曲げの程度を制限する機能を自体的に行う。そして、このため、前記平板210は、
図11に示すように、2個の扇形凸部212及び2個の扇形凹部214を具備する。このとき、前記扇形凸部212は、平板210の下面216に設けられ、平板210の長さ方向に沿って延びる。そして、前記扇形凹部214は、平板210の上面218に設けられ、扇形凸部212と向い合いつつ平板210の長さ方向に沿って延びる。一方、前記平板210の上面218は、平板210が曲げられたときに外方に向かう面を意味し、平板210の下面216は、平板210の上面と反対側の面を意味する。
【0070】
上述したようになった扇形凸部212及び扇形凹部214は、平板210の曲げられた部位では曲げを抑制し、残りの部位では垂れを抑制する。従って、前記平板210を含む伝送ライン用スリーブの支持モジュールは、従来に比べてスリーブ100の曲率半径をさらに制限するだけでなく、従来よりも長い長さのスリーブに対しても垂れを防止することができる。
【0071】
一方、前記扇形凸部212及び扇形凹部214の位置は、互いに変わっても構わない。即ち、
図12に示すように、扇形凸部212が平板210の上面218に設けられ、扇形凹部214が平板210の下面216に設けられても構わない。
【0072】
また、前記扇形凹部214なしに扇形凸部212のみが
図13に示すように平板210の上下面216,218の両方に具備されてもよい。
【0073】
また、図示してはいないが、扇形凹部214なしに扇形凸部212のみが平板210の上面218のみに、又は下面216のみに具備されてもよい。この形態は、
図11乃至
図13に示す形態よりは平板210の曲げ及び垂れを十分に抑制することはできないが、扇形凸部212及び扇形凹部214を両方とも具備していない従来の形態よりは抑制する。
【0074】
前記扇形凸部212及び扇形凹部214の個数は、曲げ抑制及び垂れ抑制の程度に応じて上記の説明よりも多いか少なく具備されてもよい。また、平板210の長さ方向に沿って延びる中心線220の両側で同じ程度の曲げ抑制及び垂れ抑制が行われるように、扇形凸部212及び扇形凹部214は、前記中心線220を基準として対称に位置する。
【0075】
本実施形態に係る伝送ライン用スリーブの支持モジュールは、上述したような形態の平板210を含む限り、多様な形態で具備され得る。
【0076】
例えば、本実施形態に係る伝送ライン用スリーブの支持モジュールは、第1実施形態の説明のように具備されてもよい。この場合は、
図14及び
図15に示すように、扇形凸部212及び扇形凹部214を具備した平板210に第1実施形態のベース230が固定され、このベース230に第1実施形態の垂れ防止ブロック250及び曲げ具合制限ブロック270が結合される。
【0077】
また、本実施形態に係る伝送ライン用スリーブの支持モジュールは、
図16に示すように、従来の支持モジュール60(
図3及び
図4参照)に具備された平板62を扇形凸部212及び扇形凹部214を具備した前記平板210に交替した形態でも具備することができる。
【0078】
一方、
図14乃至
図16には、
図11に示す平板210を含む支持モジュールのみが示されているが、これは便宜のために示しただけであり、本実施形態に係る伝送ライン用スリーブの支持モジュールが
図11に示す平板210のみを含むことができることを意味するわけではない。
【0079】
以上のように、本発明は、例えば限定された実施形態と図面によって説明されたが、本発明は、これによって限らず、本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者によって本発明の技術思想と下記に記載する特許請求の範囲の均等範囲内で多様に修正及び変形され得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、ケーブルやエアホースなどのような伝送ラインを収容したまま曲げと伸びを繰り返して行うスリーブの垂れを防止する手段として使用され得る。