(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電解液供給装置は前記母板の一面又は両面に電解液を供給する電解液供給ノズルを含み、前記電解液供給ノズルは母板の進行方向と同一方向、反対方向又は両方向に電解液を供給する、請求項1に記載の水平電鋳装置。
前記電解液供給ノズルは、伝導性母板の移動方向に対して順方向及び逆方向に電解液を供給するように少なくとも末端部が分離されている、請求項14に記載の水平電鋳装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、水平セルを適用して電鋳法により金属箔を製造することにより金属箔の生産性を向上させることができる方法及び装置を提供することである。
【0008】
また、本発明の一具現例において高速で電解液を供給すると共に母板の上面及び下面に同時に電着層を形成することにより生産性を向上させて製造コストを節減することができる電鋳法を用いた金属箔の製造方法及び装置を提供することである。
【0009】
また、本発明の一具現例において電着可能な全ての金属材料を用いて連続的な工程で金属箔を製造することができる電鋳法を用いた金属箔の製造方法及び装置を提供することである。
【0010】
また、本発明の他の具現例において正極と負極の間に形成される電流密度を均一化することにより均一な組成、表面及び厚さを有する金属箔を製造することができる装置を提供することである。
【0011】
また、本発明の一具現例において高速で供給される電解液の流動場を安定化させ且つ渦流の形成を防止して電着面積を極大化させることにより生産性の向上を図ることができる水平電鋳装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、水平電鋳装置に関するものであり、上記水平電鋳装置は、カソード電極として提供される可撓性で伝導性の母板を一方向に連続的に水平供給する母板供給手段と、上記母板の幅方向のエッジ部と接触して母板を移送させながら母板に電流を供給するコンダクトロール、上記母板の一面又は両面に離隔して設置されたアノード電極、上記母板と上記アノード電極が形成する水平通路に金属イオンを含む電解液を供給する電解液供給装置、及び上記母板の一面又は両面に金属イオンの電解析出のために上記コンダクトロール及び上記アノード電極に電流を供給する電流供給装置を含む水平セルと、上記母板の一面又は両面に電着された金属箔を上記伝導性母板から分離する剥離手段と、を含む。
【0013】
上記電解液供給装置は上記母板の一面又は両面に電解液を供給する電解液供給ノズルを含み、上記電解液供給ノズルは母板の進行方向と同一方向、反対方向又は両方向に電解液を供給することができる。
【0014】
上記水平セルは、母板の進行方向に沿って直列に複数設置されることができる。
【0015】
また、上記母板上に電着された金属箔を誘導加熱、雰囲気加熱又は直接加熱によって熱処理する熱処理手段をさらに含むことができる。
【0016】
上記剥離手段は、伝導性母板と金属箔とのせん断応力差を付与する複数のローラーであれば良い。
【0017】
上記水平セルは、母板の幅方向の端に金属イオンの電解析出を防止するエッジマスクが設置されることができる。
【0018】
また、上記アノード電極としては、上記母板の幅方向に対して中心部から端に向かって厚さが減少する構造を有するものを用いることができる。
【0019】
上記アノード電極としては、母板の幅方向に複数に分割された分割電極を用いることができ、上記分割電極は、各電極別に電極のサイズが相違することができる。また、上記分割電極は、各電極別に相違する大きさの電流が供給されることが好ましい。
【0020】
上記アノード電極としては、母板の進行方向に複数に分割された分割電極を用いることができ、上記分割電極は、各電極別に電極のサイズが相違することができる。また、上記分割電極は、各電極別に相違する大きさの電流が供給されることができる。
【0021】
一方、上記電解液供給ノズルは、電解液が流動する方向に電解液を供給するように傾斜しているか又は屈曲していることができる。この際、上記電解液供給管は、伝導性母板の移動方向に対して順方向及び逆方向に電解液を供給するように少なくとも末端部が分離されており、上記末端部は、ドラバル(de Laval)ノズル状の断面を有することが好ましい。
【0022】
一方、本発明は、金属箔の製造方法に関するものであり、カソード電極として提供され、一方向に水平供給される可撓性で伝導性の母板の表面に金属イオンを含む電解液を供給する電解液供給段階と、上記母板の一面又は両面に離隔して設置されたアノード電極と上記母板との作用によって上記電解液の金属イオンが上記母板の一面又は両面に電解析出されて上記母板上に電着層が形成される電着段階と、上記電着層を上記母板から剥離する剥離段階と、を含む。
【0023】
上記母板は、一面又は両面に酸化皮膜が形成されていることが好ましい。
【0024】
本発明の方法は、上記剥離された金属箔を300〜600℃で熱処理する段階をさらに含むことができる。
【0025】
上記電解液は、母板とアノード電極によって形成される水平通路を介して母板の移動方向と同一方向及び反対方向に供給されることができる。
【0026】
上記母板の両面に供給される電解液は相違することができる。
【0027】
また、本発明の方法は、上記剥離段階の前に第2の電解液供給段階及び第2の電着段階をさらに含むことができ、上記第2の電解液供給段階で供給される電解液は、電解液供給段階の電解液と相違することができる。これにより、多層構造の金属箔が得られる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一具現例によれば、高速で金属箔を製造することができる。
【0029】
また、本発明の一具現例によれば、上下面に表面粗さに優れ且つ均一な組成と厚さを有する金属箔を高速で生産することができる。
【0030】
また、本発明の一具現例によれば、連続工程により金属箔の厚さを調節するか又は多層構造の金属箔を生産することができる。
【0031】
また、本発明の一具現例によれば、異種の金属箔を同時に生産することができる。
【0032】
また、本発明の一具現例によれば、電解液を高速で供給し且つ母板の振動を構造的に防止して電解液の流動場を均一化することができるため、安定した電解析出を誘導することができ、また、均一な組成、表面及び厚さを有する優れた品質の金属箔を生産することができる。
【0033】
また、本発明の一具現例によれば、電解析出反応が起こる面積を拡大することができるため、金属箔の生産性を向上させることができる。
【0034】
本発明の一具現例による水平電鋳装置によって、幅方向に均一な組成、表面及び厚さを有する金属箔を高速で生産することができる。
【0035】
また、本発明の一具現例による水平電鋳装置によって、幅方向に形成される不均一電流密度を構造的に防止することができるため、優れた品質の金属箔が得られると共に生産性を向上させることができる。
【0036】
さらに、本発明の一具現例によれば、母板の進行方向にも電流密度を制御することができるため、全体的に均一な電着層の形成を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、水平セル電鋳装置、及び電鋳装置に対して水平に供給される母板上に金属を電着することにより金属箔を得る方法を提供する。以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0039】
本発明の一実施形態による水平電鋳装置について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1及び
図2はそれぞれ本発明の一具現例による水平電鋳装置の一例を示す概略的な装置図である。
【0040】
本発明の水平電鋳装置100は、母板供給装置10、水平セル30、電解液供給装置、及び金属箔分離装置を含む。
【0041】
上記母板供給装置10によって電鋳セル30内に母板11が供給される。上記母板11の場合、一定サイズの母板11が断続的に供給されることもでき、連続的に供給されることもできる。この際、母板11の連続的な供給のために、コイル状に巻き取られている母板11を水平セル30内に供給することができ、また、上記母板11が全て供給される場合は、コイル状に巻き取られている他の母板11を、先に供給された母板11に続いて連続して供給することができるが、これに限定されない。
【0042】
この際、必要に応じて、先の母板11の後端と次の母板11の先端を溶接等のような所定の接合手段によって接合して上記水平セル30内に連続的に供給することができる。また、容易な接合のために、接合されるそれぞれの末端を適当な形状に加工することもできる。
【0043】
さらに、母板11に電着される電着層は母板11の表面粗さをそのまま転写するため、必要に応じて、上記母板11は一定の表面粗さを有することができる。このような一定の表面粗さは、母板11の表面を研磨することにより付与されることができる。したがって、母板11に適切な表面粗さを付与するための研磨手段を含むことができる。このように母板11の表面に粗さを付与する場合、電着によって得られる金属箔50は母板11に形成された表面粗さがそのまま転写されて得られる金属箔50に対しても母板と同等の表面粗さを付与することができる。
【0044】
上記母板11の表面に表面粗さを付与するために、特別な制限なく本技術分野に知られている適切な機械的、化学的又は機械化学的研磨手段を用いることができる。例えば、ポリシングのような機械的研磨、エッチングのような化学的研磨、半導体工程で主に用いられるCMP方法のような機械化学的研磨等を用いることができる。
【0045】
電鋳を用いた金属箔50の製造において、金属箔50の品質は、表面粗さによって相当に左右される。例えば、母板11に電着される電着層は母板11の表面粗さを転写するが、得られた金属箔50の表面粗さが不良な部位では電気的短絡が発生するため、母板11の表面粗さを損傷させ、電着層の不均一及び表面不良をもたらす恐れがある。この際、母板11に対する表面粗さは、得られる金属箔50の用途に応じて適宜調節可能であり、特に限定されない。例えば、ディスプレー機器の基板用素材の用途に用いる場合は通常4nm以下、ソーラーセルの基板用素材の用途に用いる場合は40nm以下の表面粗さを有するように母板11の表面を研磨することができる。
【0046】
このように母板11を研磨する場合は、研磨のため、母板11の表面に、研磨材や研磨液又は研磨による母材の残渣等の不純物が存在する可能性があるため、これを除去のための洗浄を行う必要がある。このために、本発明の水平電鋳装置100は、前洗浄装置を含むことができる。このような母板11の表面の洗浄には、希釈した塩酸又は硫酸のような酸性溶液及び水を用いることができる。
【0047】
また、上記洗浄された母板11の乾燥のために乾燥装置(図示せず)をさらに含むことができる。乾燥は、空気を高圧に加えるか高温のガスを加えることにより行われるか、又は母板11を加熱することにより行われることができる。
【0048】
本発明の電鋳によって金属箔50を形成するにあたり使用可能な母板11は、可撓性と伝導性を有するものであれば特別な制限なくいずれのものでも良い。例えば、ステンレス、チタニウム等を用いることができる。
【0049】
本発明は、金属箔50を得ようとするものであり、母板11上に電着によって形成される金属箔50が母板11と堅固に結合される場合はその金属箔50を母板11から分離するのが容易ではないため、母板11上に酸化皮膜が形成されていることが好ましい。このような酸化皮膜によって、母板11上に電着層が形成されても、母板11の表面に対する電着層の付着力が弱いため、母板11から電着層を容易に剥離して金属箔50を得ることができる。
【0050】
本発明の一具現例による水平電鋳装置100は、上記母板供給装置10とは分離されており、母板11上に金属を電着させる水平セル30を含む。
【0051】
本発明において、上記母板11は、電鋳セル30内に連続的に、また、一定の方向に供給される。ここで、上記「電鋳セル30」とは、母板11上に電解液が供給され、金属イオンが電解析出反応によって母板11の表面に電着されて金属の電着層を形成する反応が起こる単位電池を意味する。また、「一定の方向」とは、母板11が電鋳セル30内に供給された後、少なくとも上記水平セル30を抜け出るまで母板11の進行方向が変化することなく一方向に進行することを意味する。本明細書では、場合によって、このような母板11の進行方向を「水平方向」又は単に「水平」ともいい、母板11が電鋳セル30に対して水平方向に進行して電解液内の金属イオンが母板11に電解析出される場合は上記電鋳セル30を「水平セル30」ともいう。
【0052】
従来のドラムを用いた電鋳装置の場合は、ドラムの表面に表面粗さを付与するための研磨を行うときに発生した異物が電解液に混入されて電解液を汚染させるという問題があった。しかしながら、上記のように水平セル30を母板供給装置10と分離させることにより、上記のような問題を防止することができる。また、母板の交替が必要なとき、ドラムを用いた電鋳装置の場合はドラム自体を交替する必要があるため多くのコストを要するが、本発明の場合は母板11を容易に交替することができるためコストの節減を図ることができる。
【0053】
上記水平セル30は、母板11の移送とカソード電源の連結機能をするコンダクトロール(conduct roll)31、31’、上記母板11から一定の間隔で離隔し、母板11の一面又は両面に配置されるアノード電極32、上記コンダクトロール31、31’とアノード電極32にそれぞれ(−)電荷及び(+)電荷を帯びる電流を供給する電流供給装
置、及び電解反応のために電解液を収容する電解液供給装置を含む。
【0054】
上記コンダクトロール31、31’は、母板11を水平セル30内に移送させ且つ水平セル30から排出させる移送手段としての機能をすると共に、母板11と電流供給装
置のカソード電源を連結してアノード電極32と母板11との電解反応によって金属イオンが母板11に析出されるようにする電解析出反応を行う。このようなコンダクトロール31、31’は、母板11の幅方向の両端と接触して母板11を水平セル30内に移送させ且つ水平セル30から排出させる。
【0055】
本発明の一具現例では、母板11として可撓性の伝導性母板11を用いるため、水平セル30を通過するときに自重によって垂れ現象が発生し、母板11とアノード電極32との間隔が変化して電流密度差をもたらし、均一な厚さの金属箔50が得られない可能性がある。よって、母板11の垂れを防止するために、入口側コンダクトロール31と出口側コンダクトロール31’の回転速度を異ならせることができる。即ち、出口側コンダクトロール31’の回転速度を入口側コンダクトロール31の回転速度より速くすることにより、母板11の自重による垂れ現象を防止することができる。
【0056】
上記アノード電極32は、水平セル30を通過する母板11から一定の間隔で離隔して配置される。上記アノード電極32と母板11とが離隔することにより、それらの間に電解液が供給されて流通される流路を形成する。
【0057】
この際、母板11上に供給される電解液が母板11の幅方向に対して均一な量で供給されて初めて、電流密度の均一化を図ることができ、また、均一な厚さを有する金属箔50を得ることができる。しかしながら、電解液供給管35から母板11上に電解液が供給されるときに母板11の幅方向の端部に電解液が集中して幅方向に対して均一な電流密度が形成されず、幅方向に均一でない金属箔50が得られて製品の不良をもたらす可能性がある。よって、母板11の幅方向に均一な電流密度が形成されるようにする必要がある。このために、端領域にマスク等を設置することにより、過電流密度によって不均一な厚さの電着層が形成されることを抑制することができる。
【0058】
また、上記アノード電極32としては、母板11の幅方向に対して中心部から端方向に向かって電極の厚さが減少する構造を有する電極を用いることができる。上記のようにアノード電極32の厚さが端に向かって減少するように構成することにより、カソード電極として機能する母板11との間隔が端方向に向かって大きくなるため、電解液の集中による電流密度の増大を相殺することができ、その結果、母板11に電着される電着量を制御することができる。
【0059】
例えば、
図3に示されているように、母板11の幅方向に対して中心部から端に向かって電極の厚さが連続的に減少し且つ曲率を有する形態のアノード電極32a(曲率アノード電極32a)であれば良い。この際、上記曲率アノード電極32aは、全体的に一定の曲率を有する必要はない。このように母板11の幅方向に電極の厚さを変化させることにより、端への電解液の集中による電流密度の集中を解消することができるため、カソード電極である母板11とアノード電極の間での金属の析出速度及び組成を均一に維持することができ、その結果、幅方向に電流密度が不均一に形成されることにより発生する金属箔50の表面欠陥を防止することができる。
【0060】
上記曲率アノード電極32aのように電極の厚さが中心部から端方向に向かって減少するように形成することにより電流密度の均一化を顕著に改善することができるが、より精密な電流密度の均一化のために、
図3に示されているように上記アノード電極32として幅方向に複数に分割された分割アノード電極32a(単に、「幅方向分割アノード電極」ともいう)を用いることもできる。上記分割電極は、電極の分割幅が同一でも相違しても良い。この際、分割された全ての電極のサイズが相違する必要はなく、必要に応じて、一部の電極のみのサイズを異ならせても良い。図
3には曲率を有し且つ幅方向に分割されたアノード電極を例に挙げて示したが、これに限定されず、アノード電極が曲率のみを有しても良く、曲率を有することなく幅方向に分割された電極でも良い。
【0061】
このようにアノード電極32が分割されていることにより、分割された各アノード電極32aに供給される電流を個別的に制御することができるため、より精密な電流密度の均一化を図ることができる。即ち、電流供給装
置から分割アノード電極32aに供給される電流の大きさを幅方向の電着量により個別的に制御することにより、母板11に電解析出される金属の電着量を母板11の幅方向に対して均一に調節することができるため、均一な厚さを有する金属箔50が得られる。
【0062】
一方、
図4に示されているように、本発明のアノード電極32は、長さ方向、即ち、母板11の進行方向に分割されている分割アノード電極32b(単に、「母板進行方向分割アノード電極」ともいう)でも良く、上記幅方向に厚さが変化するアノード電極32aが母板進行方向分割アノード電極32bでも良い。上記母板進行方向分割アノード電極32bは、幅方向分割アノード電極32aと同様に、分割された各電極のサイズが相違しても良く、分割された各電極別に供給される電流の大きさが異なって良い。
【0063】
母板11が水平セル30に供給されるときに初期に電着された金属成分がそれ以降の電着に対する電着核として作用して水平セル30を通過しながら継続的で安定的で迅速な電着を行うことができ、また、電解液を高速で供給しても電着層が剥離されて脱落する現象を抑制することができる。
【0064】
また、電着速度は、電解液と母板11の移動速度との相対速度によって影響を受ける。即ち、本発明において、電解液は、母板11の進行方向と同一方向又は反対方向に流動するように供給されることもでき、両方向に流動するように供給されることもできる。この際、電解液が母板11の進行方向と逆方向に供給される領域では電解液が母板11と接触する時間が相対的に短くて電着性能が低下する可能性があるため、上記のように母板11の進行方向に沿ってアノード電極32を分割して分割電極にし、各分割電極別に電流量を異ならせて供給することにより迅速な電着を図ることができる。
【0065】
一方、電解液が母板11の進行方向に対して順方向に供給される領域では母板11と電解液の接触時間が相対的に長いためより速い電着速度が得られるが、電解液内の金属イオンの濃度が減少してそれ以前の電着量に比べて電着量が低下する可能性がある。よって、母板11の進行方向に沿ってアノード電極32を分割し、それぞれ分割された電極別に電流量を異ならせて供給することにより、電着速度の向上を図ることができる。
【0066】
また、必要に応じて、上記アノード電極32を母板11の幅方向に対して中心部から端方向に向かって電極の厚さが減少するように構成することもでき、幅方向に分割された電極と長さ方向に分割された電極を同時に具現することもできる。この場合、アノード電極32の電流密度を複数の領域で個別的に制御することができるため、より均一な厚さを有する金属箔50が得られる。
【0067】
上述したようにカソード電極である母板11との作用によって電解液内の金属イオンを母板11に電解析出させる電解反応が起こり、電解液が高速で供給される場合は新たな電解液の供給によって母板11の表面への金属イオンの電着速度を増加させることができる。
【0068】
従来のドラムセルを用いた電鋳の場合は、カソードに提供される母板がドラム状で曲率を有することから、電解液の流路も曲率を形成し、これにより、電解液の流速が次第に遅くなるため、電着速度の低下をもたらし、また、得られる金属箔の厚さが不均一になるという問題がある。
【0069】
しかしながら、本発明のように水平セル30を用いる場合は、水平に形成された流路を有する水平セル30によって、電解液の流動速度が減少することなく電解液を高速で供給することができるため、金属イオンの電着速度を増加させることができる。電解液の供給速度はレイノルズ数(Re)で最大5,000であり、母板11の進行速度により相対速度を適切に増加又は減少させることができる。また、電着反応の状態により電解液を層流(水が揺動せずに一直線に供給される流体の流動で直進性を有する)の流動速度で供給することもでき、安定した電着反応が形成された後には高速の乱流(水が左右に揺動しながら供給される流体の流動)の流動速度で供給することもできる。
【0070】
初期電着時に電解液の流動場の速度を大きくすると、電着層の剥離が発生して電着を行うことができず、電着層が数マイクロレベルで成長すると、電着層に発生した応力によって密着性が向上して高速の流動場を用いることができる。一方、高速の流動場を用いるときに制限される流体供給速度は、電着層と母板11の間の表面張力を超える流動速度以下に設定されることが好ましい。電着層と母板11の間の表面張力を超える流動速度で電解液を供給する場合は、電解液の供給による流動場と電着層の間のせん断応力が電着層と母板11の間の表面張力を超えて電着層の剥離をもたらす可能性がある。
【0071】
一方、上記電流供給装
置はコンダクトロール31、31’とアノード電極32にそれぞれ(−)電流と(+)電流を供給するものであり、一般に適用可能なものであれば特別な制限なく本発明にも適用可能であるため、ここではその具体的な説明を省略する。
【0072】
この際、上記水平セル30内に供給された母板11のいずれか一つの面に電解液を供給して母板11の一面のみに金属を電解析出させることにより金属箔50を得ることができる上、上記母板11の両面ともに電解液を供給して母板11の両面に金属を電解析出させることにより金属箔50の生産速度を増大させることができる。
【0073】
上記のように水平セル30内に母板11が供給されると、母板11の一面又は両面に電解液供給ノズル37を用いて電解液を供給し、母板11とアノード電極32によって形成された水平流路を介して電解液が移動しながらカソード電極の役割をする母板11とアノード電極32による電解析出によって金属イオンが母板11の表面に析出されて電着層を形成する。
【0074】
このために、上記電解液供給装置は、電解液を貯蔵及び収容する電解液貯蔵槽40、及び電解液を母板11の表面に供給する電解液供給ノズル37を含む。上記電解液貯蔵槽40に貯蔵された電解液は、電解液供給管35を介して電解液供給ノズル37に移動して水平セル30から母板11上に供給される。上記電解液供給ノズル37は、上記電解液を母板11の一面のみに供給するように設置されることもでき、上記電解液を母板11の両面に供給するように両面に設置されることもできる。
【0075】
本発明の図面には一つの電解液貯蔵槽40から電解液が母板11の両面に供給される例のみを示したが、母板11の両面にそれぞれ異なる電解液を供給することにより母板11の両面に対して相違する金属の電着を行うことを図ることもでき、これにより、2種の金属箔50を同時に得ることもできる。
【0076】
上記電解液供給ノズル37は、母板11とアノード電極32が形成する水平通路を介して電解液を高速で供給する。この際、母板11の進行方向と同一方向又は反対方向に電解液が流動するようにすることができる上、電解液供給ノズル37を中心に母板11の進行方向と同一方向(順方向)及び反対方向(逆方向)に電解液が流動するように電解液を供給することができる。
【0077】
電解液が母板11の進行方向に対して両方向に流動する場合は、実質的に2回の電着効果が得られる。即ち、反対方向に供給された電解液と母板11との相対速度差によって電解液が母板11と接触する時間が短くなることから相対的に少ない量が電着される1次電着の効果が得られ、同一方向への供給によって電解液が母板11と接触する時間が長くなることから1次電着に比べて相対的に多い量が電着される2次電着の効果が得られる。
【0078】
本発明の電解液供給管35は、母板11の進行方向に対して順方向及び逆方向に供給するように区分されることができる。このように電解液供給管35を母板11の進行方向に対して順方向及び逆方向に区分して電解液を供給することにより、電解液が母板11に供給されるときの電解液の不均一な流動場による母板11への不均一な電解析出を減少させることができるため、より均一な厚さを有する金属箔50を形成することができる。
【0079】
このために、
図5に示されているように、上記電解液供給管35は、末端部が、母板11の進行方向に対して順方向及び逆方向に傾斜している傾斜型電解液供給ノズル37aであることが好ましい。また、
図6に示されているように、電解液供給管35は、母板11とアノード電極32との間に電解液を供給できるように母板11の進行方向に対して順方向及び逆方向に曲がっている屈曲型電解液供給ノズル37bであることがより好ましい。このような屈曲型電解液供給ノズル37bを電解液供給管35の末端に形成することにより、母板11とアノード電極32との間に供給される電解液の不均一な流動場を抑制して流動場の安定化を図ることができる。
【0080】
このような電解液の流動場の安定化により、母板11の表面に電解液を供給するときに電解液の渦流が形成されることを防止することができるため、均一に接触する面積を拡大することができ、その結果、電解析出による電着速度の増大が得られる。また、これにより、均一な組成、表面及び厚さを有する金属箔50が得られる。また、母板11の上部と下部の両面に電解液が垂直に供給される場合は上下部に供給される電解液の圧力差によって母板11の振動が発生して不均一な電着をもたらす可能性があるが、屈曲型電解液供給ノズル37bを形成して水平方向に電解液を供給することにより、上記のような問題をより抑制することができる。
【0081】
上記のような本発明の具現例による屈曲型電解液供給ノズル37bを有する場合に流動場が安定化することを、以下の実施例に記載したように実験により確認した。
【0082】
本発明の他の具現例によれば、上記電解液供給管35は、その末端にディスペンサー38を備えることができる。上記ディスペンサー38は、電解液供給管35を介して母板11の表面に供給される電解液を母板11の幅方向に均一に分配することができる。電解液が電解液供給管35を介してアノード電極32と母板11によって形成される電解液の流路に供給されても、母板11の幅方向に供給される電解液と中心部に供給される電解液の流量が相違して流速差が発生する可能性があり、この場合、母板11の端と中心部での電流密度差によって電着層の均一性を確保するのが困難となる可能性がある。しかしながら、ディスペンサー38を用いる場合、母板11全体に均一に電解液を供給することができる。
【0083】
上記ディスペンサー38は、
図7に示されているように断面がドラバルノズルのような形状を有することが好ましい。上記ディスペンサー38がドラバルノズルの形状を有することにより、電解液供給管35を介して供給された電解液を母板11の幅方向に均一に供給し、且つ電解液の流動場を減少させることなく供給することができる。
【0084】
上記ディスペンサー38は、上記具現例において電解液供給管35の末端に形成された屈曲型電解液供給ノズル37bの末端に備えられることもできる。このような構成を有することにより、電解液の流動場の安定化を図ると共に、電解液を母板11全体に均一に供給して母板11の幅方向に対する均一な電解液の流速を図ることができる。
【0085】
上記のように、電解液供給管35の末端に傾斜型電解液供給ノズル37a、屈曲型電解液供給ノズル37b、ディスペンサー38又はこれらの組み合わせを備えることにより、前述したような本発明で得ようとする効果の全部又は一部を達成することができる。また、電解液が垂直に供給されるとき、電解液の不安定な流動場が安定化するまで起こる可能性のある不均一な電着をより抑制することができるため、最終的に得られる金属箔50の厚さをより均一化することができる。
【0086】
また、本発明の電解液供給管35は、その内部にハニカム36を含むことができる。上記ハニカム36を含むことにより、電解液供給管35を介して母板11の表面に供給される電解液が層流を形成するように誘導することができる。このように電解液が層流を形成するように供給される場合、上述したように母板11の表面に電解液の渦流が形成されて流動場を不安定にする現象を最小化することができる。また、電解液が高速で供給されても、電解液が母板11の表面にぶつかるときに発生する母板11の振動を抑制させることができるため、不均一な電着を抑制することができる効果も得られる。
【0087】
上記のような水平セル30による電着過程は、
図8に示されているように水平セル30、130を直列に複数設置することにより連続的に複数回行われることができる。このように水平セル30、130による電着過程を複数回行う場合、それぞれの水平セル30、130で電着が行われることにより、金属箔50の厚さを増加させることができる。したがって、必要に応じて、金属箔50の厚さを制御することができ、母板11をより高速で供給しても、所望の厚さを有する金属箔50が得られるため、生産性を向上させることができる。例えば、第1の水平セル30及び第2の水平セル130を設置し、第1の水平セル30では母板11上に金属を電着し、第2の水平セル130では第1の水平セル30における電解液と同じ電解液を供給して電着層が形成された母板15上に電着された電着層上に金属をさらに電着して、所望の電着層が形成された母板15’を形成することにより金属箔50を得ることができる。
【0088】
また、水平セル30、130別に相違する電解液を供給して電着させることもできるため、複数の層を有する金属箔50を得ることもでき、これにより、金属箔50に多様な機能を付与することができる。例えば、第1の水平セル30及び第2の水平セル130を設置し、第1の水平セル30では第1の電解液を供給して母板11上に第1の電着層15を電着し、第2の水平セル30では第1の水平セル30における電解液とは異なる第2の電解液を供給して上記第1の電着層上に第2の電着層15’を電着させることができる。このように複数の水平セル30、130を設置することにより、相違する金属が複数の層で形成された金属箔50が得られる。
【0089】
上記電解液内に含まれる金属イオンは、電鋳が可能なものであれば特に限定されず、例えば、Cu、Fe、Ni、Zn、Cr、Co、Ag、Pd、Al、Sn又はこれらの合金等であれば良い。
【0090】
一方、電解液貯蔵槽40は、電解液の加熱のための電解液加熱器41、電解液に含まれたスラッジ等の不純物を除去するための電解液ろ過器42、電解液を水平セル30に供給するための電解液ポンプ43等をさらに含むことができる。
【0091】
また、必要に応じて、電着に用いられた電解液を再び電解液貯蔵槽40に回収することができる。このために、電解液回収管45を備えることができる。この際、回収される電解液は金属イオンが電着に消耗されることにより電解液貯蔵槽40内の金属イオンの濃度が電着に求められる濃度より低くなるため、金属イオンを適切に補充することにより所定の濃度に調節することができる。
【0092】
上記のようにして電着層が形成された母板11は、出口側コンダクトロール31’によって水平セル30から排出される。水平セル30から排出された母板11から金属箔分離装置を用いて金属箔50を分離することにより金属箔50を得ることができる。上記金属箔50は表面に酸化皮膜が形成されている母板11上に表面張力により結合されており、金属箔50と母板11とのせん断力差を用いてこれらを分離することができる。したがって、上記金属箔分離装置としては、母板11から金属箔50を分離するためのせん断応力を付与できるものを用いることが好ましく、例えば、複数のローラーからなる剥離ロール51を用いることができる。また、生成されたせん断力によりこれらを分離することもできる。また、金属箔50と母板11との移動速度差を発生させることにより母板11の一面又は両面に電着された金属箔50を同時に又は時間差をおいて分離することもできる。
【0093】
上記金属箔50を母板11から分離した後に金属箔50及び母板11を巻き取る金属箔巻取装置55及び母板巻取装置72を含むことができる。例えば、シリンダー状の巻取器に巻くことができる。上記それぞれの巻取装置55、72の巻取量により適当な量で巻き取り、切断した後、他の巻取器に巻くことができる。また、上記切断のために、必要に応じて、金属箔切断装置54及び母板切断装置71を含むことができる。母板11の場合は接着部位で切断することが好ましい。
【0094】
また、本発明の一具現例による水平電鋳装置100の場合、必要に応じて、水平セル30から排出されてから金属箔50を分離する前又は分離した後に、必要に応じて、金属箔50の後処理装置を設置することができる。このような後処理装置としては、後洗浄装置52及び乾燥装置(図示せず)、熱処理装置53等を用いることができる。
【0095】
上記母板11上に電着された金属箔50は表面に電解液が残留する可能性があるため、金属箔50の表面を洗浄することが好ましい。このために、金属箔50の表面に存在する可能性のある電解液及び異物を酸性溶液及び水を用いて除去する後洗浄装置52を備えることができる。また、残留する電解液を効果的に除去するために、柔軟なブラシ(brush)等を用いることもできる。このような洗浄は、母板11上に金属が電着されて電着層が形成された状態で行うこともでき、金属箔50を母板11から分離した後に行うこともできる。
【0096】
上記洗浄後に金属箔50の表面に存在する水分を除去するために、空気を高圧に噴射するか高温ガスを噴射する噴射手段、又は加熱等の方法により金属箔50を乾燥する加熱手段をさらに含むことができる。これにより、上記金属箔50を乾燥することができる。
【0097】
電鋳によって形成された金属箔50はナノ構造を有し、得られた金属箔50に対して目標とする微細組織を確保するために適切な熱処理を行うことができる。電鋳によって形成された金属箔50は、用途に応じて作業工程温度が多様である。例えば、Fe等の金属箔50の場合は、300〜600℃で異常結晶粒の成長が発生して金属箔50のナノ構造の微細組織がマイクロ構造の組織に変化する可能性がある。このような異常結晶粒の成長による微細組織の変化は、金属箔50を用いて目的とする製品を製造する工程中に製品に不良を発生させる可能性がある。例えば、金属箔50に電子回路等が形成された場合は、高温の工程中に当該回路の剥離又は断線をもたらす可能性がある。
【0098】
よって、異常結晶粒の成長をもたらす温度領域で得られた金属箔50が用いられる場合は、金属箔50を予め熱処理してマイクロ構造の微細組織に予め変化させることにより工程中に微細組織が変化することを予め防止するのが良い。このために、必要に応じて、熱処理装置53を含むことができる。上記のような熱処理は、目的とする微細組織に応じて変わっても良く、特に制限されないが、300〜600℃の温度で行われることが好ましい。上記熱処理の際には、表面が酸化することを防止するために窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気を用いるのが良く、熱処理方法として誘導加熱、直接加熱、接触加熱を用いることができる。
【0099】
以上、本発明の各具現例による電鋳法による金属箔50の製造方法及び水平電鋳装置100について説明したが、上記方法及び装置は上記具現例に限定されず、本発明の属する分野の技術者によって適宜変更されることができる。
【実施例】
【0100】
以下、実施例を挙げて、本発明の一部の具現例をより具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0101】
実施例1
幅方向に対して全体的に均一な厚さを有するアノード電極(水平アノード電極)と本発明の一具現例による
図3のような曲率アノード電極(但し、分割電極ではない)を用いたことを除いて、同一の設備を用いて母板とアノード電極の間に電解液を供給する条件に設定してシミュレーションした。
【0102】
この際、母板の全幅は1000mmであり、電解液はレイノルズ数でRe=1000の層流条件で供給されるように設定した。
【0103】
実験結果から母板の幅方向に対する電流密度分布を測定して
図9に示した。
図9において位置は電解液供給管を基準とした母板の幅方向への位置であり、母板の半幅に対する結果を示している。
【0104】
図9を参照すると、水平アノード電極を用いた場合は、母板の中心部から端の方へ約300mmの地点を通過するときに電流密度が急激に増加することが分かる。しかしながら、曲率アノード電極を用いた場合は、電流密度が、母板全体に対して略一定に維持され、400mmの地点に達してから徐々に増加することが分かる。
【0105】
また、曲率アノード電極を用いた場合は、500mmの地点の電流密度が水平アノード電極の電流密度に比べて35%程度減少し、均一な分布を示す区間が増加する結果を示すことが分かる。
【0106】
このような結果から、カソード電極とアノード電極の間の間隔においてアノード電極の形状を変化させた場合は、水平アノード電極を用いた場合に比べて電流密度分布をより均一化できることが分かる。
【0107】
実施例2
電解液供給管として
図10の(a)のような構造の電解液供給ノズルと(b)及び(c)のような構造の曲率を有する噴射ノズルを用いて電解液を供給したときの電解液の流動場の安定化程度を分析するために、各ノズルを用いて層流及び乱流流動で電解液を供給した場合をシミュレーションした。
【0108】
上記シミュレーションによる電解液の流動場の流線を
図11及び
図12にそれぞれ示した。
図11はレイノルズ数でRe=1000の層流流動で電解液を供給したときの流線を示し、
図12はレイノルズ数でRe=5000の乱流流動で電解液を供給したときの流線を示すものである。
【0109】
各ノズルを用いて層流流動の流動場で電解液を供給した場合において、
図10の(a)のような構造の電解液供給ノズルを用いた場合は、
図11の(a)に示されているように電解液が0.15m程度流れた後に流動場が安定化することが分かる。これに対し、
図10の(b)のような構造の屈曲型電解液供給ノズルを用いた場合は、
図11の(b)に示されているように電解液が0.03m程度流れた後に流動場が安定化し、
図10の(c)のような構造の屈曲型電解液供給ノズルを用いた場合も、
図11の(c)に示されているように電解液が0.03m程度流れた後に流動場が安定化することが分かる。
【0110】
このような結果から、電解液が層流流動で供給された場合においては、
図11に示されているように
図10の(b)及び(c)のような曲率を有する電解液供給ノズルを用いた場合が
図10の(a)のような構造の電解液供給ノズルを用いた場合よりも迅速な流動場の安定化を図ることができることが分かり、さらに、均一な電着が得られる面積も増加することを予想することができる。
【0111】
各ノズルを用いて乱流流動の流動場で電解液を供給した場合において、
図10の(a)のような構造の電解液供給管を用いた場合は、
図12の(a)に示されているように電解液が0.15m程度流れた後に流動場が安定化することが分かる。これに対し、
図10の(b)のような構造の屈曲型電解液供給ノズルを用いた場合は、
図12の(b)に示されているように電解液が0.05m程度流れた後に流動場が安定化し、
図10の(c)のような構造の屈曲型電解液供給ノズルを用いた場合も、
図12の(c)に示されているように電解液が約0.05m程度流れた後に流動場が安定化することが分かる。
【0112】
このような結果から、電解液が乱流流動で供給された場合においては、本発明の具現例による曲率を有する噴射ノズルを用いた場合が垂直構造の電解液供給管を用いた場合よりも迅速な流動場の安定化を図ることができることが分かり、さらに、均一な電着が得られる面積も増加することを予想することができる。