特許第5789728号(P5789728)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5789728
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】遊技機検査システム及び検査プログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
   A63F7/02 330
【請求項の数】10
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-41479(P2015-41479)
(22)【出願日】2015年3月3日
【審査請求日】2015年6月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593145799
【氏名又は名称】フィールズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514284707
【氏名又は名称】東京デバッグ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136744
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 佳正
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】石倉 満
【審査官】 尾崎 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−319220(JP,A)
【文献】 特開2008−29387(JP,A)
【文献】 特開2013−70894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の演出不具合の有無を検査する検査システムであって、
前記検査システムは、少なくともメイン制御基板ないし疑似メイン制御基板と、前記メイン制御基板ないし疑似メイン制御基板からの送信コマンドに基づいて演出コンテンツを決定するサブ制御基板と、前記サブ制御基板で決定された演出コンテンツを再生するためのディスプレイ部と、前記ディスプレイ部で再生される演出コンテンツを撮影するためのカメラユニットと、前記カメラユニットで撮影された撮像データを保存するための検査情報管理装置とを有し、
前記サブ制御基板は、前記送信コマンドと、前記決定した演出コンテンツ内容とを含むステータス情報をエンコードするためのエンコード部を備え、かつ、前記演出コンテンツを前記ディスプレイ部で再生する際に、前記演出コンテンツに重畳して前記エンコードされたステータス情報を再生する
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ステータス情報には、前記カメラユニットで撮影された撮像データを先頭から再生開始した場合のオフセット情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記エンコードは、前記ステータス情報の文字イメージまたは2次元コードへのエンコードであることを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記検査情報管理装置は、前記カメラユニットで撮影された撮像データの再生時に、任意のタイミングで前記エンコードされたステータス情報をデコードすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記サブ制御基板は、前記演出コンテンツを前記ディスプレイ部で再生する際に、前記送信コマンドごとに前記演出コンテンツを2回ずつ繰り返して再生し、前記演出コンテンツに重畳して再生するステータス情報を、前記2回のうちの1回目の再生時と前記2回のうちの2回目の再生時とにおいてそれぞれ別の位置に再生することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
少なくともメイン制御基板ないし疑似メイン制御基板と、前記メイン制御基板ないし疑似メイン制御基板からの送信コマンドに基づいて演出コンテンツを決定するサブ制御基板と、前記サブ制御基板で決定された演出コンテンツを再生するためのディスプレイ部と、前記ディスプレイ部で再生される演出コンテンツを撮影するためのカメラユニットと、前記カメラユニットで撮影された撮像データを保存するための検査情報管理装置とを有する遊技機検査システムで実行される、遊技機の演出不具合の有無を検査するための検査プログラムであって、前記プログラムが前記遊技機検査システム上で実行されたとき、
前記サブ制御基板に、前記送信コマンドと、前記決定した演出コンテンツ内容とを含むステータス情報をエンコードさせるステップと、前記演出コンテンツを前記ディスプレイ部に再生させる際に、前記演出コンテンツに重畳して前記エンコードされたステータス情報を再生させるステップと
を実行することを特徴とするプログラム。
【請求項7】
前記ステータス情報には、前記カメラユニットで撮影された撮像データを先頭から再生開始した場合のオフセット情報が含まれることを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記エンコードは、前記ステータス情報の文字イメージまたは2次元コードへのエンコードであることを特徴とする請求項6または7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記検査情報管理装置に、前記カメラユニットで撮影された撮像データを再生させる時に、任意のタイミングで前記エンコードされたステータス情報をデコードさせるステップを実行することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記サブ制御基板に、前記演出コンテンツを前記ディスプレイ部で再生させる際に、前記送信コマンドごとに前記演出コンテンツを2回ずつ繰り返して再生させ、前記演出コンテンツに重畳して再生させるステータス情報を、前記2回のうちの1回目の再生時と前記2回のうちの2回目の再生時とにおいてそれぞれ別の位置に再生させるステップを実行することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機を検査するシステムに関し、より詳細には、遊技機の表示部(ディスプレイ)に表示される情報等の演出不具合の有無を検査するための検査システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機を検査するための装置や方法が様々に提案されてきた。
【0003】
例えば、遊技機の可変表示装置の表示内容を検査する際に、表示内容の種類は膨大な数に上るため、検査完了までに要する時間も膨大なものとなってしまうことを課題として、可変表示装置を有する遊技機の検査において、全ての表示内容を容易に短時間で確認できる遊技機検査装置が提案されている(特許文献1)。
【0004】
すわなち、特許文献1には、表示状態が変化可能な可変表示装置を制御する可変表示制御手段を有する遊技機を検査する遊技機検査装置であって、遊技機検査用プログラムを有する遊技機検査制御手段と、前記遊技機検査用プログラムを記憶する遊技機検査用プログラム記憶手段とを備え、前記遊技機検査用プログラムは、遊技機の可変表示装置に表示される表示内容を指定する表示内容指定手段と、表示内容指定手段によって指定された表示内容に応じて遊技機の可変表示制御手段に送出する表示指令を作成する表示指令作成手段とを含み、前記表示指令作成手段は、作成した表示指令を所定の操作にもとづいて遊技機の可変表示制御手段に送出する遊技機検査装置が開示されている。
【0005】
また、遊技機の表示装置の検査を自動的に、且つ、信頼性をもって効率よく行なうことができる遊技機の表示検査装置も提案されている(特許文献2)。
【0006】
すなわち、特許文献2には、表示制御手段から画像表示用の信号を入力して画像を表示する表示装置を備えた遊技機の表示検査装置であって、該遊技機の該表示装置の表示画像を撮像し、画像信号を出力する撮像装置と、該撮像装置が該表示装置の表示画像を撮像した際、該撮像装置から出力された撮像画像の画像信号と該表示制御手段から出力された画像表示用の信号とを対比して、該表示装置の表示機能の良否を判定する良否判定手段と、該良否判定手段が判定した該表示装置の表示機能の良否の判定結果を表示し記憶する検査結果表示記憶手段とを備えたことを特徴とする遊技機の表示検査装置が開示されている。
【0007】
そして、従来の遊技機の表示部の検査システムの中には、表示不具合が生じる原因となる遊技機内部のステータス情報を特定するために、コマンドログと表示部の表示内容とを一組の情報セットとして記録するものも存在する。
かかる遊技機検査システムのシステム構成例を図9に示す。図9(A)及び(B)に開示されたシステムは、共にコマンドロガー(Command Logger)と呼ばれるデータ信号を計測・収集する専用回路基板が使用されている(905、955)。そして、同図(A)の検査システムでは、遊技機のメイン制御基板901とサブ制御基板(表示制御回路が含まれる)902とを結線するハーネス904を介してコマンドロガー905が接続され、このコマンドロガー905がメイン制御基板901からサブ制御基板902へ送信されるコマンド信号やサブ制御基板で実施される演出抽せん結果情報(あるいは演出指示コマンド)を計測及び収集し、通信回線909を介してPC(パーソナルコンピュータ)907へ送信する。一方で、サブ制御基板902において処理される演出コンテンツは遊技機のディスプレイ903へ送信されて映像として再生されるので、これをカメラ906によって撮影し、その撮像データを、通信回線908を介してPC907へ送信する。PC907では、コマンドロガー905から送信されるコマンド信号及び演出抽せん結果情報(あるいは演出指示コマンド)と、カメラ906から送信される撮像データとを組にして保存管理する。
【0008】
また、図9(B)の検査システムでは、遊技機のメイン制御基板に替わって疑似メイン制御基板(コマンド送信治具とも呼ばれる)951が使用されている。この疑似メイン制御基板951によって、メイン制御基板で実施される抽せん処理及びサブ制御基板への送信コマンドを疑似的に生成してサブ制御基板952へ送信することができる。同図に示されるように、疑似メイン制御基板951を使用した場合には、ハーネスを介したコマンドデータ等の直接の取り込みの必要がなくなり、さらに、コマンドを生成及び送信する側の疑似制御基板951への介入の自由度が向上するので、システム構成は簡素となり使い勝手は向上する。このとき、コマンドロガー955は、サブ制御基板952におけるコマンド信号や演出抽せん結果情報(あるいは演出指示コマンド)を計測及び収集して、通信回線959を介してPC957へ送信する。
一方で、サブ制御基板952において処理される演出コンテンツは遊技機のディスプレイ953へ送信されて映像として再生されるので、これをカメラ956によって撮影し、その撮像データを、通信回線958を介してPC957へ送信する。PC957では、コマンドロガー955から送信されるコマンド信号及び演出抽せん結果情報(あるいは演出指示コマンド)と、カメラ956から送信される撮像データとが組にされて保存管理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−272253号公報
【特許文献2】特開2007−319220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従前の遊技機検査システム(特許文献1、2)では、検査時間の短縮化を自動化がある程度は達成されるものの、人手で検査することによる検査精度には及ばず、また、検査した結果異常が見つかった場合の異常箇所の正確な特定及びかかる異常箇所データ等の管理(第三者によっても検索しやすくすることなども含まれる)が課題となっていた。
【0011】
また、図9(A)及び(B)に示された検査システムにおいても、遊技機のメイン制御基板及び/又はサブ制御基板にコマンドロガーを接続してデータ信号の計測及び収集をする必要があり、システムの簡潔化及びデータの保全性等において、更なる改善が期待される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明の一実施形態にかかる遊技機検査システムは、遊技機の演出不具合の有無を検査する検査システムであって、前記検査システムは、少なくともメイン制御基板ないし疑似メイン制御基板と、前記メイン制御基板ないし疑似メイン制御基板からの送信コマンドに基づいて演出コンテンツを決定するサブ制御基板と、前記サブ制御基板で決定された演出コンテンツを再生するためのディスプレイ部と、前記ディスプレイ部で再生される演出コンテンツを撮影するためのカメラユニットと、前記カメラユニットで撮影された撮像データを保存するための検査情報管理装置とを有し、前記サブ制御基板は、前記送信コマンドと、前記決定した演出コンテンツ内容とを含むステータス情報をエンコードするためのエンコード部を備え、かつ、前記演出コンテンツを前記ディスプレイ部で再生する際に、前記演出コンテンツに重畳して前記エンコードされたステータス情報を再生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態にかかる遊技機検査システム等によれば、簡便なシステム構成で遊技機の検査を効率よく行うことができ、かつ、第三者による検査結果データの検索性や編集性も向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態にかかる遊技機検査システムの全体構成のバリエーション例を説明する説明図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる遊技機検査システムにおける検査情報管理装置の外観構成を説明する説明図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる遊技機検査システムにおける検査情報管理装置の機能ブロックを説明する説明図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる遊技機検査の検査対象となる遊技機の外観構成を説明する説明図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる遊技機検査の検査対象となる遊技機の機能ブロックを説明する説明図である。
図6A】本発明の一実施形態にかかる遊技機検査システムの動作例を説明する説明図である。
図6B】本発明の一実施形態にかかる遊技機検査システムの動作例を説明する説明図である。
図7】本発明の一実施形態にかかる遊技機検査システムにおける遊技機ディスプレイの表示例を説明する説明図である。
図8】本発明の他の実施形態にかかる遊技機検査システムにおける遊技機ディスプレイの表示例を説明する説明図である。
図9】従来の遊技機検査システムのシステム構成例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態にかかる遊技機検査システム及び検査プログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1(A)及び(B)に、本発明の一実施形態にかかる遊技機検査システムの全体構成のバリエーション例を示す。図1(A)及び(B)に示されるシステムは、図9(A)及び(B)に示されるシステムとは異なり、コマンドロガーを必要としない点が第1の特徴となっている。また、本発明は、これに限定されるものではないが、遊技機のメイン制御基板に替えて疑似メイン制御基板(コマンド送信治具)が使用される(もちろん、図9(A)のように、メイン制御基板を使用して検査することもできる)。
【0017】
そして、図1(A)においては、サブ制御基板102において処理される演出コンテンツがディスプレイ103へ送信されて映像及び音声として再生され、この映像及び音声をカメラ104によって撮影し、その撮像データ(映像及び音声が含まれる。以下、同じ)を、通信回線106aを介してPC105へ送信する。本発明の一実施形態にかかる遊技機検査システムではコマンドロガーを必要としないことを上述したが、従来コマンドロガーを使用して計測・収集していたコマンド信号や演出抽せん結果情報(あるいは演出指示コマンド)は、後述するとおりの手法によりディスプレイ103に表示再生され、演出コンテンツとともにカメラ104によって撮影されて、通信回線106aを介してPC105へ送信され、PC105内のメモリに保存管理される。
【0018】
なお、本発明における必須の構成ではないが、必要に応じて、PC105から疑似メイン制御基板101への疑似コマンド等の指示送信のために回線106bによって両者を接続することもできる。
【0019】
また、図1(B)においては、カメラ104及びPC105に替えて、カメラ付きタブレット端末107が使用される(同図には表れていないが、カメラはタブレット端末107の裏面に設置されており、ちょうどディスプレイ103上に再生される映像及び音声を撮影できる位置関係になっている)。同図においても、サブ制御基板102において処理される演出コンテンツがディスプレイ103へ送信されて映像及び音声として再生され、この映像及び音声をタブレット端末107の付属カメラによって撮影し、その撮像データがタブレット端末107内のメモリに保存される。
【0020】
なお、本発明における必須の構成ではないが、必要に応じて、PC105から疑似メイン制御基板101への疑似コマンド等の指示送信のために回線106c(図1(A)においても適用可能であるが、有線接続ではなく、近距離無線通信による接続も可能である)によって両者を接続することもできる(同図(B)では近距離無線通信を想定し、接続の様子を破線によって表わした)。
【0021】
また、本発明の実施に必要なプログラムないしソフトウェアは、通常、遊技機(特に、メイン制御基板、疑似メイン制御基板、サブ制御基板)のメモリ(ROM等)やPC・タブレット端末等の情報端末の記憶部におけるHDDないしSSD等にインストールないし記憶され、プログラムないしソフトウェアの実行時には、必要に応じて記憶部内のメモリにその全部又は一部のソフトウェアモジュールとして読み出され、各装置や制御基板のCPU等において演算実行される。
【0022】
なお、演算実行は、必ずしもCPU等の中央処理部で行われる必要はなく、図示しないディジタルシグナルプロセッサ(DSP)等の補助演算装置を用いることもできる。
【0023】
図2に、本発明の一実施形態にかかる遊技機検査システムにおける検査情報管理装置としてのタブレット端末の外観構成を示す。図2において、検査情報管理装置(タブレット端末)107は、筐体部1071とディスプレイ1072と筐体1071の下部中央部に設けられたハードウェアボタン1073とからなる。ディスプレイ1072は典型的には液晶ディスプレイ(LCD)等で構成され、文字や画像など様々な情報を表示することができる。また、ディスプレイ1072にメニューボタンやソフトウェアキーボードを表示させ、これを指ないしタッチペン(不図示)等で触れることによりタブレット端末107への指示(コマンド)とすることができる。この点で上記ハードウェアボタン1073は必須の構成要素ではないが、本発明の説明の便宜上、一定の機能を担うボタンとして実装されている。もちろん、これらハードウェアボタン1073を、ディスプレイ1072の一部に表示させたメニューボタンで代替させることも可能である。
【0024】
また、ディスプレイ1072には、マルチタッチ入力パネルが含まれており、タッチ入力パネル上でのタッチ入力位置座標が入力デバイスインタフェース(不図示)を介してタブレット端末107の処理系(CPU)へ送信され処理される。そして、このマルチタッチ入力パネルは、パネルに対する複数の接触点を同時に感知することができるよう構成されている。この検出(センサ)については様々な方法で実現することができ、必ずしも接触センサに限られず、例えば、光学式のセンサを利用してパネルに対する指示点を抽出することも可能である。さらに、センサには、接触式のセンサや光学式のセンサのほか、人の肌の接触を感知する静電容量方式のセンサを用いることも可能である。
【0025】
また、図2には現れていないが、タブレット端末107は、マイクやスピーカを備えることもできる。この場合にはマイクより拾ったユーザの声などを判別して入力コマンドとすることも可能である。さらに、図2には現れていないが、タブレット端末107の背面(ディスプレイ1072の反対側の面)には、CMOS等のカメラデバイスが実装されている(必要に応じて、ディスプレイ1072側の同じ側の面にもサブカメラ等を実装可能である)。
【0026】
図3に、本発明の一実施形態にかかるタブレット端末107を構成するハードウェアの機能ブロック図を例示する。タブレット端末107の動作は、以下に説明するハードウェアの個々の動作、及びこれらのハードウェアとソフトウェアの連携動作によって実現されている。
【0027】
図3において、ハードウェアブロック全体としてのタブレット端末300は、大別すると、図2におけるハードウェアボタン1073、ディスプレイ1072に設けられたマルチタッチ入力パネル、マイク等で構成される入力部301と、プログラムやデータ等を記憶するためのハードディスク、RAM及び/又はROM等で構成される記憶部302と、プログラムによって様々な数値計算や論理演算を行うCPUによって構成される中央処理部303と、ディスプレイ1072等で構成される表示部304と、チップや電気系統等の制御を行うための制御部305と、インターネットにアクセスするためのスロットや光通信を行うためのポート、及び通信インタフェースから構成される通信インタフェース部306と、スピーカやバイブレーション等の出力部307と、時刻等を計時するための計時部308と、CMOS等のイメージセンサからなるセンサ部309と、装置内の各モジュールに電源を供給するための電源部310とからなり、これらのモジュールは必要に応じて適宜通信バスや給電線(図3においては、便宜上各線が適宜区分された結線311としてひとまとめに表す)によって接続されている。
なお、センサ部309には、タブレット端末300(107)の位置を特定するためのGPSセンサモジュールを含めることとしても良い。また、センサ部309を構成するCMOS等のイメージセンサによって検知された信号は、入力部301において入力情報として処理される。
【0028】
また、本発明の実施に必要なプログラムないしソフトウェアは、通常、記憶部302を構成するハードディスクディスク等にインストールないし記憶され、プログラムないしソフトウェアの実行時には、必要に応じて記憶部302内のメモリにその全部又は一部のソフトウェアモジュールとして読み出され、CPU303において演算実行される。
【0029】
なお、演算実行は必ずしもCPU等の中央処理部303で行われる必要はなく、図示しないディジタルシグナルプロセッサ(DSP)等の補助演算装置を用いることもできる。
【0030】
図4に、本発明の一実施形態にかかる遊技機の外観構成を示す。図4において、本発明の一実施形態にかかる遊技機40は、例示的に、遊技盤400上に特別図柄を抽せんする「始動口1」(いわゆる「ヘソ」)401と、特別図柄を抽せんする「始動口2」(いわゆる「電チュー」)402と、大入賞口(いわゆる「アタッカー」)403とを備える。なお、時短とは、スルーに遊技球が通過した際に抽せんされる普通図柄の変動時間が短縮される状態を言う。
【0031】
かかる遊技盤400を備えた遊技機40は、一例として、ベース枠に対して回動自在に取り付けられた本体枠を有する。盤面の正面扉には、例えばその上部が開口する略円形状の窓(この窓には、一例としてガラス板等の透明部材が嵌め込まれる)が形成される。遊技者は、この窓を介して本体枠に取り付けられた遊技盤400を視認することになる。
【0032】
なお、遊技機40前面の遊技盤周辺には、演出効果のためのランプ類やスピーカ類(図4において不図示)を設置することができる。
【0033】
また、遊技機40の下部には、遊技媒体である遊技球を貯留するための上部球受皿407が配置される。さらに、上部球受皿407の下方には上部球受皿から溢れた遊技球を貯留するための下部球受皿408が配置される。上部球受皿407に貯留された遊技球は、遊技機40の内部に設けられた遊技球発射装置ないし弾球装置(図4において、不図示)に1球ずつ供給され、上部球受皿407の右側に設けられた発射ハンドル409の回動リング4091を遊技者が軸線回りに回転させることにより、回転させた角度に応じた強度で遊技球発射装置ないし弾球装置から遊技球が遊技盤400に向かって1球ずつ発射される。
【0034】
発射ハンドル409は、適宜指掛け用の突起を1以上有する回動リング4091を備える。この回動リング4091は、コイルバネ等の付勢力により原点位置へ戻るように構成されている。
【0035】
また、発射ハンドル409は、遊技球の打ち出しを停止するための発射停止スイッチ4092と、図示しないタッチセンサとを備える。一実施形態として、タッチセンサに手が触れることを条件に、回動リング4091を図中時計回りに回動すると、操作検出器(図4において不図示)によって検出された、回動リング4091の回転角度(原点位置からの操作量)に応じた発射強度で遊技球が遊技盤400上に打ち出される。
【0036】
また、図4には図示しないが、遊技盤400の周縁には、弾球装置から発射された遊技球を遊技盤400の左側上部へ導くための円弧状のガイドレールが配置されている。さらに、遊技盤400には、多数本の障害釘(不図示)が配設され、ガイドレールに沿って遊技盤400の左側上部から右上方に放たれた遊技球は、遊技盤400の盤面に沿って多数本の障害釘の間を通って下方へと落下していく。
【0037】
そして、遊技盤400の中央部には、後述するメイン制御部(メイン制御基板)で実行される大当たり抽せんの結果を、サブ制御部(サブ制御基板)において管理されている演出として表示するためのディスプレイ部404が設けられる。また、ディスプレイ部404の下部には4つのヘソ用保留ランプ405a及び電チュー用の保留ランプ405bが設けられる。なお、保留ランプ405の設置位置は、ディスプレイ部の上部でもよく、或いは、ディスプレイ部の枠内でも差し支えない。
【0038】
ディスプレイ部404の下方には、特別図柄を抽せんする「始動口1」401が設けられている。また、「始動口1」の下部(であって、大入賞口403の上部)には、特別図柄を抽せんする「始動口2」402が設けられている。この「始動口2」402は、ディスプレイ部404の右上部に設置することもできる。
【0039】
本発明の一実施形態として、「始動口1」401に遊技球が入賞すると、所定個数の賞球が払い出されると共に、大当たり抽せんに用いる大当たり抽せん乱数を含む種々の乱数が一例として最大4個まで取得され(取得された乱数に対する演出処理が未完了の場合の後続の取得乱数の個数は、ヘソ用保留ランプ405aの点灯によって示される)、取得した乱数の値に基づく種々の抽せん及び演出処理が実行される。なお、405bは、電チュー用の保留ランプであり、典型的にはヘソ用保留ランプ405aと同様に最大4個まで保留することができる。
【0040】
また、「始動口2」402は、図4に示されるように、一例として、一対の可動羽根を備えた電チューを備える。この電チューは、両可動羽根が遊技球の直径よりもやや広い間隔をもって互いに近接した「閉状態」と、両可動羽根が「閉状態」よりも互いに離間した「開状態」とを形成するよう駆動制御される。「閉状態」となるか「開状態」となるかの抽せんは、典型的には、遊技球がスルー410a又は410b(後述)を通過することを契機として実施される。
一般的に、閉状態となっている電チューが開状態になると、閉状態の場合に比べ「始動口2」402への入賞が容易となる。
【0041】
「始動口1」401の下方には、大当たり遊技中に複数回開放される矩形状の大入賞口403が設けられている。大入賞口403には、通常開閉板が設けられ、大入賞口403を閉塞する「閉状態」と、大入賞口403を開放すると共に遊技盤400の上方から流れ落ちる遊技球を案内する「開状態」とに遷移可能に駆動制御される。
【0042】
また、図4に示すように、ディスプレイ部404の左右にはスルー410a及び410bが配置される。スルーは入賞口ではないので賞球はないが、スルー内に設置されたセンサを遊技球が通過することで、普通図柄の抽せんを行っている(電チューの開放の有無を抽せんしている)。一例ではあるが、確率変動中の電チュー開放率は、通常時の開放率に比べて上昇するよう制御される。
さらに、図4に示すように、大入賞口403の左右部には、合わせて4つの普通入賞口411a〜411dが配置される。一例として、遊技盤には、通常時に入賞可能な入賞口が5つ設けられる。遊技盤400では、特別図柄を抽せんする「始動口1」401、及び普通入賞口411a〜411dがこれに該当する。
なお、図4には示さないが、ディスプレイ部404の左側には、遊技球の流れに影響を与えるための風車を配置することもできる。
【0043】
図4において、遊技盤400の最下部には、いずれの始動口にも入らなかった遊技球(アウト球)を回収するためのアウト球回収口406が設けられている。
【0044】
続いて、図5を参照して、本発明の一実施形態における遊技機の機能ブロックを説明する。図5において、本発明の一実施形態にかかる遊技機における制御部500は、メイン制御部(メイン制御基板)510とサブ制御部(サブ制御基板)520とからなり、メイン制御部510及びサブ制御部520は、メイン制御部510からサブ制御部520への一方向通信経路(ハーネス)によって電気的に接続されている。メイン制御部510は、主として遊技制御を行い、サブ制御部520は、メイン制御部510からの指令に基づき、主にディスプレイ部571、音声出力部572、照明部573等の演出制御を行う。
【0045】
さらに、メイン制御部510は、CPU511と、RAM512と、ROM513とを有し、図示しない入力ポート及び出力ポートを備える。また、メイン制御部510は、図示しない接続端子を介し、外部へ情報を出力するための外部接続端子590へ接続されている。
【0046】
メイン制御部510の入力ポートには、図5に示すように、特別図柄(特図)を抽せんする「始動口1」401への入賞を検知する「始動口1」センサ531と、「始動口2」402への入賞を検知する時短中の「始動口2」センサ532と、大入賞口403への入賞を検知する大入賞口センサ533と、1以上の普通入賞口(図5において、不図示)への入賞を検知する1以上の普通入賞口センサ534とが、それぞれ電気的に接続されている。
【0047】
メイン制御部510の出力ポートには、特別図柄(特図)表示部541と、保留表示部542と、「始動口2」402の電チューの可動羽根を開閉駆動するための「始動口2」役物駆動部551と、大入賞口403の開閉板を開閉駆動するための大入賞口役物駆動部552とが、それぞれ電気的に接続されている。
【0048】
また、メイン制御部510のCPU511は、ROM513に格納された遊技プログラムを適宜、RAM512に読み出して、入力ポートに接続された各種センサの検出信号に応じて、出力ポートに接続された各表示部及び駆動部の制御、並びに、サブ制御部520へのコマンド送信を行う。
【0049】
また、RAM512には、遊技プログラムの実行に必要な情報が逐次読み出されて記憶される。また、メイン制御部510には、図示は省略するが、抽せん手段、抽せん結果判断手段、特別遊技開始/終了手段、当せん確率制御手段等のプログラム制御手段が、ソフトウェアとして実装されている。
【0050】
同様に、サブ制御部520は、CPU521と、RAM522と、ROM523と、データ通信バス等の制御やディスプレイやスピーカ等の各種デバイス制御を行う制御部524と、照明等の駆動を行う入出力部525と、ディスプレイ部571の駆動を行うディスプレイ駆動部526と、音声出力部573から音声や効果音等を発生させるための音源を格納した音源IC527とを有し、図示しない入力ポート及び出力ポートを備える。
【0051】
サブ制御部520の主な機能は、メイン制御部510で判定された抽せん結果に基づく演出等である。具体的には、サブ制御部520のROM523には、ディスプレイ部571、音声出力部572、及び照明部573によって様々な演出を行うための画像データ等からなる演出データも格納されており、メイン制御部510から出力される信号及び当該信号に基づくサブ制御部での演出抽せん処理によって、ROM523内部に格納されている演出データから演出内容を決定し、決定された演出内容に基づいて、ディスプレイ部571、音声出力部572、及び照明部573の駆動処理を行う。この場合、後述する押しボタン561の押下入力によって表示や音声が変化するような動的な演出処理も含まれる。
かかる、ディスプレイ部571、音声出力部572、及び照明部573によってなされる演出は、コンピュータプログラムとしてROM523等に記憶されており、CPU521によって、適宜、RAM522等へ呼び出され実行されることにより実現される。
【0052】
また、サブ制御部520の入力ポートには、ボタン(図4において不図示)に対する操作の有無をそれぞれ検出する押しボタン(及びセンサ)561が電気的に接続されている。
【0053】
押しボタン(及びセンサ)561は、これに限定されるものではないが、一例として、演出に応じて遊技者が遊技に参加するために使用される「演出」ボタンを備えることができる。これは、「チャンスボタン」とも言われ、リーチ演出時にディスプレイ部571(404)等を介して遊技者に押下を促し、遊技に対する興趣を高める役割を果たす。
【0054】
なお、押しボタン561は、あくまでも操作手段としての例示であり、必ずしも「押しボタン」である必要なく、レバーやタッチセンサ等様々な入力デバイスを採用することができる。
【0055】
サブ制御部520の出力ポートには、ディスプレイ部571と、スピーカ等の音声出力部572と、演出ランプ等の照明部573とが、それぞれ電気的に接続されている。また、サブ制御部520のCPU521は、ROM523に格納された演出プログラムを適宜、RAM522に読み出して、メイン制御部510からのコマンドと入力ポートに接続された各種センサからの検出信号とに応じて、出力ポートに接続されたディスプレイ部571、音声出力部572、及び照明部573を制御する。また、RAM522には、演出プログラムの実行に必要な情報が逐次読み出されて記憶される。
【0056】
次に、メイン制御部510のCPU511によって実行される、基本的な抽せん処理等について説明する。メイン制御部510のCPU511によって実行される基本的な抽せん処理は、特別図柄を抽せんする始動口への入賞によって実行される抽せん処理であり、具体的には、各種乱数の取得処理、並びに、賞球払出処理である。
【0057】
まず、「始動口1」の入賞センサ531が入賞を検知すると、既に入賞センサ531の検知により取得され大当たり抽せんを保留している大当たり抽せん乱数の数(以下、特図保留数という)が4未満か否かを判断し、YESと判断した場合には、特図保留数をインクリメントする。そして、大当たり抽せん乱数R1を取得してRAM512の特図保留記憶領域に記憶する。そして、賞球払出処理を実行する。
【0058】
ここで、大当たり抽せん乱数R1は、メイン制御部510のCPU511に内蔵されている乱数発生器によって生成されるハード乱数であって、一例として、0〜700の数値範囲を有する。一方、大当たり抽せん乱数R1の他、他の抽せん乱数を上述した遊技プログラム内で逐次発生可能なカウンタ型のソフト乱数によって決定することもできる。
【0059】
本発明の一実施形態にかかる遊技機では、上述の乱数によって、初当たり(初回の大当たり)は下表のように決定される。なお、発明の理解の容易のために、乱数発生器による数値発生の範囲は0〜700としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、実装上は、2バイト幅(0〜65535)の範囲で数値を発生させ、そのうちの特定の範囲の数値を当たりとすることができる。
【表1】
【0060】
再び図5を参照し、賞球制御、及び遊技球の発射制御について説明する。図5において、賞球制御部581は、出力側に、賞球モータ5811、及び外部接続端子590が接続され、入力側に、メイン制御部510、及び賞球払い出しセンサ5812が接続される。なお、メイン制御部510と賞球制御部581とは、メイン制御部510から賞球制御部581への片方向もしくは双方向通信可能に接続されている。
【0061】
賞球制御部581は、「始動口1」センサ531、「始動口2」センサ532、大入賞口センサ533又は普通入賞口センサ534による遊技球の検出があった場合に、メイン制御部510から送信される賞球コマンドに従って賞球モータ5811を駆動制御して、賞球として設定された遊技球数を遊技者に払い出す。
【0062】
なお、図示していないが、清算装置から球貸要求(コマンド)があった場合には、この球貸要求に従って賞球モータ5811を駆動制御して貸し球として設定された遊技球数を遊技者に貸し出す。
【0063】
また、賞球制御部581は、賞球払い出しセンサ5812による遊技球の検出によって、賞球として設定された遊技球数を払い出したか否かを判定する。代替的に、賞球払い出しセンサ5812による遊技球の検出信号をメイン制御部510に入力する構成とすることもできる。あるいは、メイン制御部510及び賞球制御部581の双方に入力する構成とすることもできる。
【0064】
発射制御部582は、出力側に、発射ユニット5821が接続され、入力側に、発射停止指示部5823、操作検出器5824及びタッチセンサ5825が接続される。
【0065】
発射制御部582の役割は、遊技球を打ち出す発射ユニット5821を駆動制御すると共に、遊技者が操作する回動リング4091の操作量に応じて遊技球を打ち出す発射強度を変化させることである。
【0066】
さらに、遊技者が発射停止指示部5823より遊技球の発射停止を指示したとき、発射制御部582は、遊技球の発射を停止させるよう制御する。
【0067】
図6Aに、本発明の一実施形態にかかる遊技機検査システムの動作例(検査記録処理フローであり、本発明の特徴的なエンコード処理を含む)を示す。本動作例では、説明の便宜上、図1(B)に示された構成(コマンド送信側として疑似メイン制御基板を採用し、検査情報管理装置としてタブレット端末を採用した場合)における動作例を説明する。
【0068】
図6Aの時刻t1において、検査情報管理装置としてのカメラ付きタブレット端末での録画が開始され(ステップS601a)、疑似メイン制御基板(コマンド送信治具)では、予め治具内に設定されたテストコマンドリストに従うか、あるいは検査情報管理装置から手動ないし自動によって送信されるコマンド生成指示により、サブ制御基板へのコマンドが生成される(ステップS602)。本発明はこれらに限定されるものではないが、一例として、コマンドはメイン制御基板で実施されるメイン抽せんの結果フラグに基づいて生成される。典型的には、既に説明したように「当たり」と「ハズレ」があり、付随的に演出生成に対する指示も含まれる場合がある。そして、時刻t2において、このメイン抽せん結果フラグに基づき生成されたコマンドがサブ制御基板へ送信される(ステップS603)。
【0069】
時刻t2〜t3において、サブ制御基板では、メイン制御基板(ここでは、コマンド送信治具)から送信されてきたコマンドに基づいて演出抽せん処理を行う(ステップS604)。ここでは、大きくは「当たり」の場合の「当たり抽せん」と「ハズレ」の場合の「ハズレ抽せん」とがある。
【0070】
本発明は、これに限定されるものではないが、上述した遊技機スペックに基づいて、当たり演出やハズレ演出及びその出現確率を例示すると、下表に示すとおりである。
【表2】
【0071】
上表に示すように出現確率を設定した場合には、演出E1は「ノーマルリーチ演出」、演出E2は「ショートリーチ演出(期待度低)」、演出E3は「ロングリーチ演出(期待度中)」、演出E4は「激アツリーチ演出(期待度高)」、演出Sは「鉄板リーチ演出」などと位置付けることができる。また、上表では、出現率0.1%未満で設定した演出ナシの大当たりは、「突発大当たり」「直撃大当たり」などと呼ばれることがある。
実際には、上表に示した種別の演出に限定されるものではなく、もっと多くの種別の演出が用意されている。そして、本発明の一実施形態においては、かかる演出映像及び演出音声の品質を確認するために、疑似メイン制御基板からサブ制御基板に対して疑似的にコマンドを送信して、サブ制御基板において抽せんされて選択実行される各種の演出内容を検査情報管理装置に付属するカメラで撮影することにより同装置内のメモリに保存管理していく。
その保存管理までの過程をさらに詳述する。
【0072】
時刻t3〜t4においては、サブ制御基板において、ステップS604の抽せんにおいて決定された演出内容(演出コマンド)及び疑似メイン制御基板から送信されてきたコマンド(以下、ステータス情報ともいう)がエンコードされる。本発明の一実施形態における特徴はこの点にもあり、ステータス情報のエンコード手法については、文字や記号イメージへのエンコードや2次元コードへのエンコードなど、様々なエンコード手法を採用することができる(ステップS605)。
なお、このエンコード処理は、専用チップ等のハードウェアないしソフトウェアとしてのエンコード部によって処理され、ソフトウェアプログラムの場合にはサブ制御部520のROM523に格納される。また、このエンコード処理を実施する際には、サブ制御部の状態をテストモードないしデバッグモードにするなどのハードないしソフト上のスイッチングによって作動するように実装することができる。
【0073】
そして、時刻t4〜t5において、サブ制御基板の制御に基づいて、ステップS604の抽せんにおいて決定された演出内容が、ステップS605においてエンコードされたステータス情報とともに遊技機のディスプレイ部に再生される(ステップS606)。
ステップS606において遊技機のディスプレイ部に再生される演出コンテンツは、ディスプレイの一部にエンコードされた文字イメージないし2次元コードが重畳されて表示ないし再生される点を除けば、遊技場等に設置された場合に実演される演出と同じコンテンツである。従って、ここで発生する描画ムラ等の不具合を見つけ、その不具合発生のきっかけとなるステータス情報を特定することが重要な検査内容となる。
なお、ステップS606においる遊技機のディスプレイ部での表示例は、図7〜8を参照して詳述する。
【0074】
時刻t1から時刻t5まで、検査情報管理装置としてのカメラ付きタブレット端末では、遊技機のディスプレイ部で再生される演出の内容がエンコードされたステータス情報とともに録画されており、特段の中止指示がない限り録画は継続される(ステップS601a〜ステップS601b)。
【0075】
図6Aにおける時刻t6〜t10までのステップS607〜ステップS611までの処理は、それぞれステップS602〜ステップS606に対応する同様の処理であるので詳しい説明は割愛する(ただし、疑似メイン制御基板からサブ制御基板へは同じコマンドないし別のコマンドが送信されるとともに、そのコマンドを受信したサブ制御基板での抽せん処理結果は通常前回とは異なるものとなる)。同図における検査処理では、予め治具内に設定されたテストコマンドリストか、あるいは検査情報管理装置から手動ないし自動によって送信されるコマンド生成指示によって、コマンド生成から演出コンテンツ再生までを1セットとする任意のセット数のテストを繰り返すことができる。
【0076】
図6Bに、本発明の一実施形態にかかる遊技機検査システムの動作例(チェック処理フローであり、本発明の特徴的なデコード処理を含む)を示す。同図の処理フローは、図6Aにおいて遊技機のディスプレイ部の再生内容を撮影し、撮像データとして保存管理している検査情報管理装置における同撮像データの再生及び指示操作を説明する動作処理フローである。
【0077】
図6BのステップS651において検査情報管理装置に保存管理されている遊技機ディスプレイ部の再生内容を撮影した撮像データを再生することによりチェック処理を開始すると、ステップS652においては、原則として操作者の目視による確認を行う。
【0078】
次に、ステップS653において、操作者が、再生される撮像データにおける異常を発見した場合(Yes)にはステップS654へ進むが、そうでない(No)場合にはステップS652の操作者による目視チェックを継続する。
【0079】
ステップS654では、再生される撮像データに異常があったと操作者が判断した場合なので、その異常が認められる再生映像(例えば、再生コマ落ちやブレなど)そのものを操作者がタップしたり、一時停止して別途コマンドメニューを表示させたりするなどの指示コマンドを介して、その映像に重畳して映し出されているエンコード情報(典型的には、文字イメージないし2次元コード)のデコード処理を検査情報管理装置に行わせる(ステップS654)。この場合、エンコード情報が文字イメージである場合には既知の文字認識処理によるデコードを実施し、エンコード情報が2次元コードである場合には既知のデコード処理を実施する。
【0080】
ステップS655では、検査情報管理装置において、デコード処理後の情報からステータス情報(典型的には、メイン制御基板から発信されるコマンド、サブ制御基板で実施された抽せん処理等の結果情報ないし演出コマンドが含まれる)を抽出する。
【0081】
次に、ステップS656において、デコード処理後の情報から抽出された上述のステータス情報を検査情報管理装置内のメモリに保存する。このとき、再生されている撮像データを先頭から再生開始した場合のオフセット情報(再生時間やインデックスカウンタ値)を併せて保存するようにしてもよい。一例として、ステップS656において装置内のメモリに保存されるステータス情報は、下表のとおりである。
【表3】
【0082】
そして、ステップS657に進み、操作者の指示コマンド等による検査終了かどうかが判断され、終了(Yes)の場合には、ステップS658へ進み検査処理を終了するが、そうでない(No)の場合にはステップS652へ復帰して操作者による目視チェックを継続する。
なお、ステップS654〜ステップ656までの処理は、装置に対する操作者の指示によって任意のタイミングで実施することができることは言うまでもない。
【0083】
図7に、本発明の一実施形態にかかる遊技機検査システムにおける遊技機ディスプレイの表示例を示す。本図の表示例は、図6AのステップS606やステップS611において表示されるディスプレイ画面例であり、表示されるコンテンツ内容は、検査情報管理装置の付属カメラによって撮影され保存管理される。
【0084】
図7(A)において、遊技機のディスプレイ部701には、サブ制御基板によって決定された演出抽せん結果情報(演出コマンド)に基づいて再生される演出映像及び音声とともに、かかるコンテンツに重畳するように2次元コードにエンコードされたステータス情報702が画面右上に表示ないし再生されている。
【0085】
なお、このステータス情報702は、2次元コード以外にも文字や記号のイメージ画像であっても良い。この様子が、図7(B)に示されている。同図においては、遊技機のディスプレイ部703に、サブ制御基板によって決定された演出抽せん結果情報(演出コマンド)に基づいて再生される演出映像及び音声とともに、かかるコンテンツに重畳するように文字イメージとしてエンコードされたステータス情報704が画面中央上部に表示ないし再生されている。
【0086】
図8に、本発明の他の実施形態にかかる遊技機検査システムにおける遊技機ディスプレイの表示例を示す。同図(A)及び(B)に示されたディスプレイ表示は、それぞれ図7(A)及び(B)に示されたディスプレイ表示との対として実施される。つまり、図7(A)や(B)に示したように、サブ制御基板によって決定された演出抽せん結果情報(演出コマンド)に基づいて再生される演出映像及び音声とともに、かかるコンテンツに重畳するように2次元コードにエンコードされたステータス情報をディスプレイ上に表示ないし再生すると、まさに重畳した部分に映像の不具合等があった場合に見落としてしまう恐れがある。
【0087】
そこで、図8に示す実施形態では、例えば、図7(A)に示される表示(画面右上に2次元コード702が重畳表示ないし再生されている)を行った後、同じコンテンツを再生するとともに図8(A)に示されるようなディスプレイ部801上の別の位置にエンコードされた2次元コード803を表示するように制御するものである(同図中、画面左下に同じ2次元コード803が重畳表示ないし再生されている)。
あるいは、図7(B)に示される表示(画面中央上部に文字イメージ704が重畳表示ないし再生されている)を行った後、同じコンテンツを再生するとともに図8(B)に示されるようなディスプレイ部802上の別の位置にエンコードされた2次元コード804を表示するように制御することもできる(画面中央下部に同じ文字イメージ804が重畳表示ないし再生されている)。
【0088】
かかる処理は、例えば、図6のステップS606やステップS611において、同じ演出コンテンツをメイン制御基板(ないし疑似メイン制御基板)からサブ制御基板への送信コマンドごとに2回ずつ繰り返すようにサブ制御基板内でプログラム制御することによって実現できる(一例として、デバッグモードないしテストモードに設定するなどして実施することができる)。そして、前記演出コンテンツに重畳して再生されるステータス情報は、1回目の再生時と2回目の再生時とにおいてそれぞれ別の位置に再生するように制御されるものである。
【0089】
なお、エンコードされたステータス情報702や704を半透明処理してディスプレイ部に表示することもできる。この場合は、半透明にされたエンコード情報(文字イメージないし2次元コード)702や704を透かしてその背景にある演出コンテンツの様子を確認することができるので、図8(A)や同図(B)に示された別の位置に表示し直さなくても良好な検査を実施できる場合がある。
【0090】
[他の応用例]
図6Aにおける検査情報管理装置の録画処理(ステップS601a〜ステップS601b)の他の処理例として、ディスプレイ上に再生される演出コンテンツ映像を単に録画保存するだけでなく、録画しながらコマンドごとにステータス情報をデコード処理することもできる。この場合、ディスプレイ上に再生される演出コンテンツ映像(撮像データ)の再生時間ないしインデックスカウンタといった、撮像データを先頭から再生開始した場合のオフセット情報をキーとして、映像データとデコードされたステータス情報とを分離保存することができる。この場合に検査情報管理装置に保存される2つのファイル構造は一例として下表のとおりである。
【表4】
【0091】
上表のように映像データとステータス情報とを分離管理した場合の検査処理フロー(図6Bに対応するフロー)は次のとおりとなる。
(A)目視チェックを開始する(映像データを目視確認する)。
(B)異常があった場合は、その映像データに対してタップしたり、一時停止して別途コマンドメニューを表示させたりするなどして、不具合があった映像データを特定する。
(C)特定された映像データに対する再生時間/インデックスカウンタをファイルAから読み出し、読み出された再生時間/インデックスカウンタといったオフセット情報をキーとしてファイルBから対応するステータス情報を読み出す。
【0092】
このように管理すれば、不具合があった映像に対してのみ必要に応じてステータス情報との関連付けを行うことができるので、管理上の煩雑さが軽減されて検査結果情報の管理等に好適となる。
【0093】
以上、具体例に基づき、遊技機検査システム及び検査プログラム等の実施形態を説明したが、本発明の実施形態としては、システム又は装置を実施するための方法又はプログラムの他、プログラムが記録された記憶媒体(一例として、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、ハードディスク、メモリカード)等としての実施態様をとることも可能である。
【0094】
また、プログラムの実装形態としては、コンパイラによってコンパイルされるオブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード等のアプリケーションプログラムに限定されることはなく、オペレーティングシステムに組み込まれるプログラムモジュール等の形態であっても良い。
【0095】
さらに、プログラムは、必ずしも制御基板上のCPUにおいてのみ、全ての処理が実施される必要はなく、必要に応じて基板に付加された拡張ボードや拡張ユニットに実装された別の処理ユニット(DSP等)によってその一部又は全部が実施される構成とすることもできる。
【0096】
本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された構成要件の全て及び/又は開示された全ての方法又は処理の全てのステップについては、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。
【0097】
また、本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された特徴の各々は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、または類似する目的のために働く代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一又は均等となる特徴の一例にすぎない。
【0098】
さらに、本発明は、上述した実施形態のいずれの具体的構成にも制限されるものではない。本発明は、本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された全ての新規な特徴又はそれらの組合せ、あるいは記載された全ての新規な方法又は処理のステップ、又はそれらの組合せに拡張することができる。
【符号の説明】
【0099】
101 疑似メイン制御基板(コマンド送信治具)
102 サブ制御基板
103 ディスプレイ
104 カメラ
105 PC
107 検査情報管理装置(タブレット端末)
【要約】
【課題】 簡便なシステム構成で遊技機の検査結果の管理等を効率よく行う。
【解決手段】 遊技機の演出不具合の有無を検査する検査システムであって、少なくともメイン制御基板ないし疑似メイン制御基板と、メイン制御基板ないし疑似メイン制御基板からの送信コマンドに基づいて演出コンテンツを決定するサブ制御基板と、サブ制御基板で決定された演出コンテンツを再生するためのディスプレイ部と、ディスプレイ部で再生される演出コンテンツを撮影するためのカメラユニットと、カメラユニットで撮影された撮像データを保存するための検査情報管理装置とを有し、サブ制御基板は、送信コマンドと決定した演出コンテンツ内容とを含むステータス情報をエンコードするためのエンコード部を備え、かつ、演出コンテンツをディスプレイ部で再生する際に演出コンテンツに重畳してエンコードされたステータス情報を再生する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9