(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(i)分岐又は非分岐、飽和又は不飽和の8〜22員の炭素鎖;(ii)3〜9個のアミノ酸残基(その内の少なくとも1つが荷電している);及び(iii)酸性C末端又はアミドC末端から成るオリゴマーアシル化バイオサーファクタントを含むヘアケア製剤であって、
前記オリゴマーアシル化バイオサーファクタントが、配列番号75;配列番号99;配列番号69;及び配列番号85から成る群より選択される少なくとも1種である、ヘアケア製剤。
マスカラ、まつ毛伸長剤、まつ毛コンディショナー、アイライナー、アイブローペンシル、クリーム、ローション、ゲル、美容液、メーキャップ、コンディショニングヘアパック又はコンディショニングマスカラである、請求項1〜4のいずれかに記載のヘアケア製剤。
指で塗る、拭く、軽くたたくことにより、あるいは、スポンジ又はスポンジを先に付けた塗布具、スワブ、ペン、ブラシ、ティッシュ、パッド又はペーパータオルにより、皮膚又は毛髪に接触して置かれる、請求項1〜5のいずれかに記載のヘアケア製剤。
(i)分岐又は非分岐、飽和又は不飽和の8〜22員の炭素鎖;(ii)3〜9個のアミノ酸残基(その内の少なくとも1つが荷電している);及び(iii)酸性C末端又はアミドC末端から成る、配列番号75;配列番号99;配列番号69;及び配列番号85から成る群より選択される少なくとも1種のオリゴマーアシル化バイオサーファクタントを含む毛髪の成長刺激剤。
(i)分岐又は非分岐、飽和又は不飽和の8〜22員の炭素鎖;(ii)3〜9個のアミノ酸残基(その内の少なくとも1つが荷電している);及び(iii)酸性C末端又はアミドC末端から成る、配列番号75;配列番号99;配列番号69;及び配列番号85から成る群より選択される少なくとも1種のオリゴマーアシル化バイオサーファクタントを含む脱毛症又は薄毛の処置又は改善剤。
(i)分岐又は非分岐、飽和又は不飽和の8〜22員の炭素鎖;(ii)3〜9個のアミノ酸残基(その内の少なくとも1つが荷電している);及び(iii)酸性C末端又はアミドC末端から成る、配列番号75;配列番号99;配列番号69;及び配列番号85から成る群より選択される少なくとも1種のオリゴマーアシル化バイオサーファクタントを含む毛髪の喪失の阻害又は低下剤。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2008年5月29日に出願された米国仮出願第61/071,985号の優先権を主張する。本願は、また、米国特許出願第12/227,825号の一部継続出願、2008年11月28日に35USC§371の下で出願された米国国内段階出願である。米国特許出願第12/227,825号は国際出願PCT/US2007/012799に基づき、2007年5月31日に出願された。米国特許出願第12/227,825号及びPCT/US2007/012799の両方が、2006年6月1日に出願された米国仮出願第60/809,825号の優先権を主張する。米国出願第61/071,985号、第60/809,825号、及び第12/227,825号ならびにPCT/US2007/012799の開示は、それらの全体において参照により本明細書に含まれる。
【0002】
発明の属する技術分野
本発明は、オリゴマーミセル構造中に自己集合又は自己会合することができるバイオサーファクタント及び局所適用される皮膚科用製品におけるそれらの使用に関する。本発明は、特に、水性MEM環境中での表面張力を約50ダイン/cm
2未満まで下げることができ、代謝性可溶性タンパク質及び/又は細胞外皮膚マトリックスタンパク質の合成及び/又は細胞ターンオーバー速度を増加させる能力を有し、一方で同時に、比較的低い毒性、好ましくは37歳の女性の線維芽細胞において200ppmを上回るLD
50を示す、基礎培地の水溶液において約1.0ppm〜約200ppm、好ましくは約50ppm未満の低い臨界ミセル濃度(「CMC」)を有するオリゴマーアシル化バイオサーファクタント(「OAB」)に関する。本発明の別の態様は、局所適用される製剤中でのOABの使用に関し、その製剤とは、皮膚、毛髪、及び爪ならびに目、耳、鼻、口、肛門、及び腟の粘膜と直接接触するように置かれる製剤を意味する。
【0003】
発明の背景
PCT/US2007/012799は、国際特許出願WO/2007/143006として公開されており、(i)水性MEM環境中での表面張力を約50ダイン/cm
2未満まで下げることができ、(ii)代謝性可溶性タンパク質を増加させる能力を有する、基礎培地(MEM)の水性環境において低い臨界ミセル濃度(主に約100ppm未満)を有するOABの使用を記載する。各々が異なる特性を有する、特定のOABを含むクリーム、ローション、ゲル、及び美容液が開示される。WO/2007/143006において開示されるOABの特性には、皮膚マトリックスタンパク質(例、エラスチン、フィブロネクチン、コラーゲン)の合成を増加させ、及び/又は細胞ターンオーバー速度を増加させる能力を有するが、これらのタンパク質を分解する酵素(例、マトリクスメタロプロテイナーゼ)の合成を同時に増加させない。また、開示されるOABのいくつかが(i)炎症性タンパク質(特にインターロイキン6及びインターロイキン8)の増加を引き起こさず、及び/又は(ii)広域スペクトラムの抗菌活性(即ち、種々の微生物の増殖を阻害する又は殺す能力)を有することが教示される。
【0004】
WO/2007/143006において考察されている通り、局所適用される処方及び非薬用(即ち、化粧品スキンケア製品)におけるアシル化及び非アシル化されたアミノ酸配列の使用が当技術分野において公知である。そのような配列の一部は、アシル化部分(例えば、アセチル、ミリストイル、パルミトイル)として市販されている。一般的に、アシル化は、水を好む又は親水性の成分の皮膚への浸透を増強するための当業者に周知の技術である。正常な皮膚の表面は高度に疎水性であり、親水性物質による著しい浸透を阻止する。しかし、アシル化アミノ酸配列の特性は、毒性の点で非常に大きく変わることがあり、さらに、その最終的な有用性に影響を与える。驚くべきことに、かつ予期せぬことに、本発明のオリゴマーアシル化バイオサーファクタントの多くが、哺乳動物細胞に対して比較的低い毒性(LD
50>200程度)を示すが、同時に原核生物の生命体に対して比較的高度の毒性を維持している。
【0005】
局所適用される製品中で使用される先行技術のアシル化アミノ酸配列とは異なり、本発明のOABは、(i)水性MEM環境中での表面張力を約50ダイン/cm
2未満まで下げることができ、(ii)代謝性可溶性タンパク質を増加させる能力を有する基礎培地(MEM)における皮膚の合成を増加させる能力を有する。各々が異なる特性を有する、特定のOABを含むクリーム、ローション、ゲル、及び美容液が開示される。OABの特性のうち、WO/2007/143006において、皮膚マトリックスタンパク質(例、エラスチン、フィブロネクチン、コラーゲン)の合成を増加させ、及び/又はこれらのタンパク質を分解する酵素(例、マトリクスメタロプロテイナーゼ)の合成の同時増加を引き起こさずに細胞ターンオーバー速度を増加させる能力が開示される。また、驚くべきことに、かつ重要なことに、本発明のOABは、炎症性タンパク質、特にインターロイキン6及びインターロイキン8の増加を引き起こさない。この特性の組み合わせによって、これらの化合物はスキンケア適用に特異に適したものとなる。
【0006】
低いCMCで効果的に表面をぬらす本発明のOABの能力は、別の驚くべき、予想外の特性−広域スペクトルの抗菌活性を与える。本発明のオリゴマーバイオサーファクタントは、Escherichia coli(E. coli)、Pseudomonas aeruginosa(P. aeruginosa)、Pseudomonas cepacia(P. cepacia)、メチシリン耐性S.aureus(MRSA)(ATCC BAA−41;ATCC BAA−44;ATCC−BAA−39を含む)を含むStaphylococcus aureus(S. aureus)、Staphylococcus epidermidis(S. epidermidis)、及びCandida albicans(C. albicans)を含む、種々の微生物の増殖を阻害し、又は殺す能力を有する。
【0007】
WO/2007/143006についてのInternational Search Reportでは、5つの先行技術の参考文献、4つの特許参考文献(i)WO2004/099237(「Ziegler」);(ii)米国特許出願公開第2004/0229808号(「Owen」);(iii)米国特許出願公開第2005/0142081号(「Breton」)及び(iv)米国特許出願公開第2002/0111309号(「Castillo」)及び1つの非特許文献Brown, "Biosurfactants for cosmetic applications" Intl. J Cosmet. Sci. Vol. 13, No. 2, pp.61-64(「Brown」)が特定された(本明細書において参照される付与された米国特許及び公開された米国特許出願は、関連する範囲で、参照により組み入れられる)。
【0008】
ZieglerのWO出願では、Lys−Val−Lys(KVK)、Lys−Thr−Lys(KTK)、Lys−Val−Arg(KVR)、Lys−Leu−Lys(KLK)、Lys−Ile−Lys(KIK)、Lys−Ala−Lys(KAK)、Lys−Ser−Lys(KSK)、及びArg−Val−Arg(RVR)を含む、特異的なアシル化トリペプチド配列の使用が教示される。
【0009】
Bretonの米国出願では、N−アシルアミノアミドエラスターゼインヒビター及び少なくとも1つのメタロプロテイナーゼインヒビター(アダパレン又は類似のペプチドを含む)を含む組成物が教示される。
【0010】
OwenのWO出願は、現在は米国特許第7,354,903号であり、2001年3月28日に出願された米国特許出願第09/820,053号の継続であり、現在は米国特許第6,875,744号である。WO/2007/143006のパラグラフ[0087]で考察される通り、本発明のOAGは、米国特許第6,875,744号に記載される、溶液中で自己会合しない「FLAK」ペプチド(即ち、フェニルアラニン、ロイシン、アラニン、及びリジン残基を含むもの)とは異なる。
【0011】
Castilloの米国出願には、ベータ−アミロイドタンパク質形成、沈着、又は蓄積に関連する疾患(アルツハイマー病及びダウン症を含む)を、10個のラミニン由来非アシル化ポリペプチドの1つを用いて処置する方法を開示している。静脈適用が好ましいことが教示されるが、しかしながら、局所、動脈内、腹腔内、経口、リンパ管内、筋肉内、リンパ内、及び腰椎内投与も開示される。ISRには、具体的に、3,075個のアミノ酸残基を含む配列番号5のポリペプチドが指摘される。残りの配列の内、配列番号1が最も短く、11個のアミノ酸を含む。残りの開示される配列の内で次に最も短いものは、100個超のアミノ酸残基を含む。本発明のOAGは、3〜9個のアミノ酸長である。
【0012】
Brownの文献では、Bacillus、Penicillium及びCornybacteriumの種を含む、微生物により産生されるバイオサーファクタントが開示される。本発明のOAGは、3〜9個の残基長の短いアミノ酸配列であり、合成的に作られる。
【0013】
国際特許出願公開WO/2007/093839では、化学式:A−(Xaa)
n−Lys−X−Lys−Bのポリペプチドが開示される。AはNH2、NH3+、又はNH−Dと定義され、ここでDはアシル基、ビオチン又はアルキルC
2−C
22のいずれかである。BはH、O、OR
1、又はNR
2R
3と定義され、式中、R
1、R
2、及びR
3は非依存的にH又はアルキル鎖(C
1−C
24)のいずれかである。(Xaa)
nは、任意の天然の又は合成のアミノ酸を含むが、しかし、アルギニン及びリジンを除く、アミノ酸鎖であり、ここでnは0〜3の間の整数である。Xは、2つのアミノ酸の鎖(Xaa
1Xaa
2)と定義され、それは、同じ又は異なりうるが、アルギニン、リジンを除き、Xaa
1Xaa
2=Thr−Thr、Gly−His、及びGlu−Hisを除き、又はXは、ベータ−アラニル(β−Ala)、5−アミノ−バレロイル(「Ava」)、4−アミノ−シクロヘキサノイル、4−アミノ−ブチロイル(「Abu」)、6−アミノ−カプロイル(「Aca」)、及びその誘導体の中から選択されるスペーサーである。特に、WO/2007/093839では、化学式A−Lys−Xaa
1Xaa
2−Lys−Bのアシル化テトラペプチドが開示され、式中、XaaとXaa
2のいずれもArg又はLysではない。また、この化学式からテトラペプチド配列:Lys−Thr−Thr−Lys;Lys−Gly−His−Lys;及びLys−Glu−His−Lysが除外される。パルミトイル(「Pal」)又はエライドイル(「Ela」)部分を用いてアシル化された以下のテトラペプチド配列を具体的に開示する:Pal−Lys−Thr−Phe−Lys;Ela−Lys−Thr−Phe−Lys;Ela−Lys−Thr−Ala−Lys;Pal−Lys−Ava−Lys;Ela−Lys−Ala−Tyr−Lys;Ela−Lys−Phe−Tyr−Lys;Pal−Lys−β−Ala−Lys;Pal−Lys−Abu−Lys;及びPal−Lys−Aca−Lys。WO/2007/093839について出されたInternational Search Reportでは、2つの先行技術の参考文献が引用されており、それらの両方がテトラペプチド配列Lys−Thr−Phe−Lys(「KTFK」)を教示する。
【0014】
本発明の一態様は、毛髪の喪失を阻害又は低下させ、毛髪の成長を刺激し、及び/又はより健康で、輝き、及び/又はふっくらした毛幹の外観を作り、及び/又は細った毛髪の外観を減らすための、OABを含むヘアケア組成物並びに局所適用処方及び化粧品におけるOABの使用に関する。本発明のOABのこの適用は、WO/2007/143006において主張又は示唆されない。
【0015】
少なくとも2つの荷電アミノ酸残基を有する、WO/2007/143006において開示される特定のOABは、現時点で、細胞の増殖及び分化に関連する遺伝子(KRT1、KRT14、FGF2、GRN、及びDEFB1)の発現を増加することは見出されていない。理論により拘束されることを望まないが、出願人は、この驚くべきかつ予想外の特性が、部分的に、毛髪の喪失を阻害又は低下させ、毛髪の成長を刺激し、及び/又はより健康で、輝き、及び/又はふっくらした毛幹の外観を作り、及び/又は細った毛髪の外観を減らすことを助ける本発明のOABの能力に寄与すると考えている。
【0016】
科学文献及び特許文献では、ペプチドの局所使用が毛髪の成長を刺激することが報告されている。WO/2007/143006における発明の背景のサブセクションは、「スキンケア製品において使用される先行技術のアミノ酸配列(Prior Art Amino Acid Sequences Used in Skin Care Products)」の表題が付けられている。考察される先行技術の参考文献には米国特許出願公開第2006/0067905号があり、そこではオレアノール酸、アピゲニン、及びビオチニル−Gly−His−Lysを投与することによる毛髪の喪失を処置するための方法が記載される。ビオチニルトリペプチドは、トリペプチドGly−His−LysにビタミンH(ビオチン)をグラフトすることにより形成される。WO/2007/143006において説明される通り、この化合物上のビオチニル部分は、バイオサーファクタント特性を生じるのに十分な疎水性を与えない。
【0017】
国際特許出願PCT/JP2005/004033(WO/2005/082395として公開)では、毛髪の成長を促進させ、毛髪の喪失を阻害するためのヘキサペプチドRPLKPW(Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trp)の使用が教示される。
【0018】
国際特許出願PCT/KR2006/004352(WO/2007/049905として公開)では、毛髪の成長を促進させるためのチモシンベータ−4模倣オクタペプチドKLKLTETG(Lys−Leu−Lys−Leu−Thr−Glu−Thr−Gln)の使用が教示される。
【0019】
Procyte Corp.に譲渡された米国特許第5,538,945号では、特に雄性発生脱毛症、円形脱毛症、女性型禿頭症、及び二次脱毛症を有するヒトにおいて毛髪の成長を刺激する銅ペプチド複合体の局所投与が教示される。開示された銅ペプチド複合体は、化学式[R
1−R
2−R
3]:銅(II)(式中、R
1は、アミノ酸又はアミノ酸誘導体である;R
2は、ヒスチジン又はアルギニンである;及びR
3は、R
2にペプチド結合により結合された少なくとも1つのアミノ酸又はアミノ酸誘導体であり、R
2がヒスチジルであり、及び、R
3がリジン、リジル−プロリル−バリル−フェニルアラニル−バリン、リジル−バリル−フェニルアラニルバリン、リジル−トリプトファン、又はリジル−(グリシル)1−2−トリプトファンである場合、R
1はグリシル、アラニル、セリル、又はバリルでないという条件で、ならびに、さらに、R
2がヒスチジルであり、及び、R
3がグリシン、グリシル−プロリル−バリル−フェニルアラニル−バリン、グリシル−バリル−フェニルアラニル−バリン、グリシルトリプトファン、又はグリシル−(グリシル)1−2−トリプトファンである場合、R
1はリシルではないという条件である)で示される。
【0020】
国際出願PCT/US2003/035558(WO/2004/043415として公開された)では、ミノキシジル(6−アミノ−1,2−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2−イミノ−4−ピペリジノピリミジン)と組み合わせた、パラグラフ[0008]に記載される銅ペプチド複合体の局所適用が教示される。
【0021】
ヘキサペプチドArg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trp(RPLKPW)は、2週間にわたる1mg/kgの用量での給餌後、剪毛されたマウスにおいて毛の成長を刺激することが報告されている。Y. Masaaki, et al., "RPLKPW, a Designed Hypotensive Peptide Relaxes Artery and Stimulates Hair Growth via Angiotensin AT2 Receptor" J. Pept. Sci., Vol. 2004, pp.99-102。
【0022】
本発明は、WO/2007/143006において先に開示されなかったOAB(配列番号1〜配列番号96)ならびにその出願において開示されたOAB(配列番号97〜配列番号129)の新たな使用に関する。これらのOABは、パラグラフ[0019]中の配列表において提示され、水性環境中での表面張力を約50ダイン/cm
2未満まで低下させる基礎培地(「MEM」)溶液(以下で定義する)の水性環境において約200ppm未満、好ましくは約50ppm未満の臨界ミセル濃度を有する。特に、OABは、本質的に、(i)分岐又は非分岐、飽和又は不飽和、好ましくはミリストイル化(「Myr」と略される)又はパルミトイル化(「Pal」と略される)した8〜22員の炭素鎖;(ii)3〜9個のアミノ酸残基(その内の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つが荷電している);及び(iii)酸性C末端又はアミドC末端から成る。
【0023】
本願において使用される、荷電アミノ酸によりとは、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、及びグルタミン酸を意味する。
【0024】
驚くべきことに、本発明のOABは、代謝性可溶性タンパク質を少なくとも約20%増加させる能力を有する一方で、哺乳動物細胞に対して比較的低い毒性、好ましくは、37歳の女性の線維芽細胞において200ppmを上回るLD
50を示すことが見出されている。
【0025】
また、驚くべきことに、本発明の多くのOABが、皮膚マトリックスタンパク質の合成を増加させ、及び/又は分解を遅延する能力を有する。
【0026】
以下の配列表は明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様をさらに例示するために含まれる。本発明は、以下に提示する発明の詳細な説明と組み合わせ、これらの配列の1つ又は複数の参照によりより良く理解されうる。
【表1】
【0027】
本発明のOABにおけるアミノ酸配列は、例えば、米国特許第6,620,419号に記載される固体状態ペプチド合成を含む、当業者に周知の技術により合成的に作ることができる(本明細書において参照される付与された米国特許及び公開された米国特許出願は、関連する範囲で、参照により組み入れられる)。特に指摘のない場合、OAB中のアミノ酸はL形態である。当業者により理解される通り、アミノ酸は一般的に1つ又は3つの文字配列により表される:
A Ala アラニン
D Asp アスパラギン酸
E Glu グルタミン酸
G Gly グリシン
H His ヒスチジン
I Ile イソロイシン
K lys リジン
L Leu ロイシン
M Met メチオニン
R Arg アルギニン
P Pro プロリン
S Ser セリン
T Thr スレオニン
V Val バリン
【0028】
発明の詳細な説明
本発明は、MEM溶液の表面張力を約50ダイン/cm
2未満まで低下させ、MEM溶液の水性環境において約200ppm未満、好ましくは約50ppm未満の臨界ミセル濃度を有するオリゴマーアシル化バイオサーファクタント(「OAB」)に関し、ここでOABは本質的に(i)分岐又は非分岐、飽和又は不飽和、好ましくはミリストイル化した8〜22員の炭素鎖;(ii)3〜9個のアミノ酸残基(その内の少なくとも1つ、好ましくは2つが荷電している);及び(iii)酸性C末端又はアミドC末端から成る。
【0029】
本願において使用される、「MEM溶液」は、10グラムのMEM粉末(以下で定義する)を950mlの脱イオン蒸留水に室温で加え、穏やかな撹拌により混合することにより調製された1,000mlの溶液である。この混合物に、2.2gのNaHCO
3及び10mlのペニシリン−ストレプトマイシン溶液(以下で定義する)を加える。脱イオン蒸留水を、次に、最終溶液1,000mlに達するのに十分な量で加える。MEM溶液の最終pHを、1N NaOH又は1N HClのいずれかを撹拌しながらゆっくり加えることにより7.4〜7.6に調整する。MEM溶液を、陽圧システムを使用し、0.2μmフィルターを通じた膜ろ過により処理する。Invitrogen, Inc.(Carlsbad, Calif.)から商標名GIBCO41500で入手可能な「MEM粉末」は、以下の成分を列挙した濃度で含む:
【表2】
「ペニシリン−ストレプトマイシン溶液」は、0.85%生理食塩水中5,000μg/mlのペニシリンGナトリウム及び5,000μg/mlの硫酸ストレプトマイシンから成る調製物であり、同じくInvitrogenから入手可能である。
【0030】
本願において使用される、「バイオサーファクタント」という用語は、好ましくは約8〜22個の炭素原子長の荷電した親水性頭部及び長鎖炭素疎水性尾部を有する分子を意味する。これらの分子はバイオサーファクタントとして記載される。なぜなら、それらは、それらの臨界ミセル濃度を上回ると、オリゴマー構造中に自己会合するからである。この点に関して、本発明の組成物は、米国特許第6,875,744号に記載される、溶液中で自己会合しない「FLAK」ペプチド(即ち、フェニルアラニン、ロイシン、アラニン、及びリジン残基を含むもの)と区別されうる。
【0031】
本願において使用される、「酸性C末端」という用語は、官能基−COOHを意味する。
【0032】
本願において使用される、「アミドC末端」という用語は、−CONH
2、−CONHR、−CONR
2(式中、Rはアルキル、アリール、又はアルキル−アリール部である)より選択される官能基を意味する。
【0033】
アミノ酸配列の最後のアミノ酸のカルボキシ末端を保護する目的のために、酸性C末端又はアミドC末端は好ましくはOABに付加している。保護基の付加、エステル化(−OR)、及びアミド化(−NHR)のためのプロセスは、当業者に周知である。
【0034】
アシル化は、アミノ酸配列のN末端を保護し、その基とのさらなる反応を阻止するための当業者に周知のプロセスである。アシル官能基は化学式R(C=O)−(式中、Rは有機基である)を有する。それらは、有機酸からのカルボキシ水酸基の除去により形成される。
【0035】
アミノ酸又はアミノ酸配列のN末端にアシル部分を付加する方法は、当該技術分野において周知である。これらのうち、共に塩化アシルを用いるFriedel−Craft及びSchotten−Baumann反応が当業者に公知である。例えば、米国特許第4,126,628号、日本特許JP11140032、ドイツ特許DE19749556を参照のこと。例えば、Iyer, V. N., et al., J. Indian Chem. Soc. 59: 856-859 (1982); Paquet A. et al., Can. J. Chem. 60: 1806-1808 (1982)を参照のこと。
【0036】
本発明において有用な好ましいアシル基は、分岐又は非分岐、飽和又は不飽和8〜22個の炭素原子を有する。より好ましくは、アシル部は、ミリストイル(「Myr」)及びパルミトイル(「Myr」)から成る群より選択される。
【0037】
本発明の第1の態様は、代謝性可溶性タンパク質を少なくとも約20%増加させる能力を有するOABに関する。本発明の目的のために、代謝性可溶性タンパク質はMolecular Probes, Inc.(Eugene, OR)のCBQCA Protein Quantitation Assayを使用して測定される。このアッセイは、キノリン−2−カルボキシアルデヒド誘導体に基づき、それは一級アミンと特異的に反応し、電気泳動分析又はクロマトグラフ分析が可能な抱合体を形成する。より具体的には、シアン化物陰イオンの存在下で、キノリン−2−カルボキシアルデヒド誘導体は、一級アミン(タンパク質上のものを含む)と反応し、550nmで高度な蛍光発光を生み出す。この基準を満たすOABは、Myr−GAR−酸(P257);Myr−GAR−酸(P322);Myr−RRR−アミド(P342);Myr−KKK−酸(P348);Myr−DAD−酸(P388);配列番号1(P291);配列番号2(P362);配列番号3(P363);配列番号4(P371);配列番号5(P372);配列番号6(P389);配列番号7(P398);配列番号8(P399);配列番号9(P400);配列番号11(P190);配列番号12(P228);配列番号13(P263);配列番号14(P266);配列番号15(P293);配列番号16(P328) 配列番号17(P349);44(P351)の配列番号18;配列番号19(P361);配列番号20(P365);配列番号21(P374);配列番号22(P382);配列番号23(P387);配列番号24(P390);配列番号25(P394);配列番号26(P395);配列番号27(P401);配列番号28(P414);配列番号29(P418);配列番号30(P252);配列番号31(P256);配列番号32(P286);配列番号33(P296);配列番号34(P364);配列番号35(P396);配列番号36(P402);配列番号37(P404);配列番号38(P406);配列番号39(P408);配列番号40(P411);配列番号41(P412);配列番号42(P417);配列番号54(P397);配列番号55(P333);及び配列番号56(P380)から成る群より選択される。
【0038】
この第1の態様内の1つの好ましい実施態様は、Myr−GAR−酸(P257);Myr−GAR−酸(P322);Myr−RRR−アミド(P342);Myr−KKK−酸(P348);及びMyr−DAD−酸(P388)から成る群より選択される3つのアミノ酸残基から本質的に成るOABに関する。
【0039】
この第1の態様内の別の好ましい実施態様は、配列番号1(P291);配列番号2(P362);配列番号3(P363);配列番号4(P371);配列番号5(P372);配列番号6(P389);配列番号7(P398);配列番号8(P399);配列番号9(P400);配列番号10(P405);及び配列番号54(P397)から成る群より選択される4つのアミノ酸残基から本質的に成るOABに関する。
【0040】
この第1の態様内のさらなる好ましい実施態様は、配列番号11(P190);配列番号12(P228);配列番号13(P263);配列番号14(P266);配列番号20(P293);配列番号16(P328)配列番号17(P349);配列番号18(P351);配列番号19(P361);配列番号20(P365);配列番号21(P374);配列番号22(P382);配列番号23(P387);配列番号24(P390);配列番号25(P394);配列番号26(P395);配列番号27(P401);配列番号28(P414);配列番号29(P418);及び配列番号55(P333)から成る群より選択される5つのアミノ酸残基から本質的に成るOABに関する。
【0041】
この第1の態様内のさらなる好ましい実施態様は、配列番号30(P252);配列番号31(P256);配列番号32(P286);配列番号33(P296);配列番号34(P364);配列番号35(P396);配列番号36(P402);配列番号37(P404);配列番号38(P406);配列番号39(P408);配列番号40(P411);配列番号41(P412);配列番号42(P417);及び配列番号56(P380)から成る群より選択される6つのアミノ酸残基から本質的に成るOABに関する。
【0042】
LD
50(試験集団の細胞の半分又は50%の死をもたらす投与用量)は、通常用いられる細胞毒性の測定値である。本発明の第2の態様は、CellTiter Blue Assay(Promega Corp., Madison, WI)を使用し、37歳の女性の線維芽細胞(ATCC CRL−2122)において200ppmを上回るLD
50を有する第1の態様のOABに関する。Promega CellTiter Blue Assayは、指示色素アラマーブルー(別名レサズリン)(細胞の細胞代謝活性に応答して蛍光比色シグナルを産生するレドックス指示薬)に基づく。より具体的には、色素は、細胞の細胞膜及び核膜の両方に浸透し、ミトコンドリア及び細胞質内ミクロソームの両方により代謝される。代謝されたとき、色素は、590nmでの発光を伴う蛍光定量種を形成する。蛍光強度を測定することにより、細胞の生存を定量化することができる。当業者により理解される通り、他の類似の細胞毒性アッセイ、例えばBiosource International及びTrek Diagnostic Systemsから入手可能なAlamar Blue Assaysなども使用してよい。
【0043】
CellTiter Blue Assayを使用し、37歳の女性の線維芽細胞(ATCC CRL−2122)において約200ppmを上回るLD
50を有する本発明の第2の態様のOABは、Myr−GAR−酸(P257);Myr−KKK−酸(P348);Myr−DAD−酸(P388);配列番号1(P291);配列番号2(P362);配列番号3(P363);配列番号4(P371);配列番号6(P389);配列番号7(P398);配列番号11(P190);配列番号12(P228);配列番号13(P263);配列番号14(P266);配列番号15(P293);配列番号16(P328);配列番号17(P349);配列番号18(P351);配列番号20(P365);配列番号21(P374);配列番号22(P382);配列番号23(P387);配列番号24(P390);配列番号25(P394);配列番号26(P395);配列番号27(P401);配列番号28(P414);配列番号29(P418);配列番号30(P252);配列番号31(P256);配列番号33(P296);配列番号34(P364);配列番号35(P396);配列番号36(P402);配列番号37(P404);配列番号38(P406);配列番号39(P408);配列番号40(P411);配列番号41(P412);及び配列番号42(P417)からなる群より選択される。
【0044】
本発明の第2の態様の特に好ましいOABは、CellTiter Blue Assayを使用し、37歳の女性の線維芽細胞(ATCC CRL−2122)において約300ppmを上回るLD
50を有し、そしてMyr-GAR-酸(P257);Myr−KKK−酸(P348);Myr−DAD−酸(P388);配列番号1(P291);配列番号2(P362);配列番号3(P363);配列番号4(P371);配列番号6(P389);配列番号11(P190);配列番号12(P228);配列番号15(P293);配列番号16(P328);配列番号17(P349);配列番号18(P351);配列番号20(P365);配列番号22(P382);配列番号23(P387);配列番号24(P390);配列番号25(P394);配列番号26(P395);配列番号27(P401);配列番号28(P414);配列番号29(P418);配列番号30(P252);配列番号31(P256);配列番号33(P296);配列番号34(P364);配列番号36(P402);配列番号37(P404);配列番号39(P408);配列番号40(P411);配列番号41(P412);及び配列番号42(P417)からなる群より選択される。
【0045】
本発明の第2の態様のさらに特に好ましいOABは、CellTiter Blue Assayを使用し、37歳の女性の線維芽細胞(ATCC CRL−2122)において約500ppmを上回るLD
50を有し、そしてMyr-GAR−酸(P257);Myr−DAD−酸(P388);配列番号4(P371);配列番号6(P389);配列番号15(P293);配列番号16(P328);配列番号20(P365);配列番号29(P418);配列番号40(P411);配列番号41(P412);配列番号42(P417)からなる群より選択される。
【0046】
本発明の第3の態様は、線維芽細胞の増殖も増加させる本発明の第1の態様のOABに関する。本発明の目的のために、増殖を、Molecular ProbesのCyquant(登録商標)Cell Proliferation Assayを使用して評価する。このアッセイでは、細胞核酸の産生増加(それは回りまわって蛍光色素の結合の増加をもたらす)を測定する。この基準を満たすOABは、Myr−GAR−酸(P257);Myr−GAR−酸(P322);Myr−RRR−アミド(P342);Myr−KKK−酸(P348);Myr−DAD−酸(P388);配列番号6(P291);配列番号2(P362);配列番号3(P363);配列番号4(P371);配列番号5(P372);配列番号6(P389);配列番号7(P398);配列番号8(P399);配列番号9(P400);配列番号10(P405);配列番号11(P190);配列番号12(P228);配列番号13(P263);配列番号14(P266);配列番号15(P293);配列番号16(P328) 配列番号17(P349);配列番号18(P351);配列番号19(P361);配列番号21(P374);配列番号22(P382);配列番号23(P387);配列番号24(P390);配列番号25(P394);配列番号26(P395);配列番号27(P401);配列番号28(P414);配列番号29(P418);配列番号30(P252);配列番号31(P256);配列番号33(P296);配列番号35(P396);配列番号36(P402);配列番号37(P404);配列番号38(P406);配列番号39(P408);配列番号40(P411);配列番号41(P412);配列番号42(P417);配列番号54(P397);配列番号55(P333);及び配列番号56(P380)から成る群より選択される。
【0047】
本発明のこの第3の態様の特に好ましいOABは、Cyquant(登録商標)Cell Proliferation Assayに従い線維芽細胞の増殖を少なくとも20%増加させ、Myr−GAR−酸(P257);Myr−GAR−酸(P322);Myr−RRR−アミド(P342);Myr−KKK−酸(P348);Myr−DAD−酸(P388);配列番号6(P291);配列番号6(P389);配列番号7(P398);配列番号8(P399);配列番号9(P400);配列番号10(P405);配列番号12(P228);配列番号14(P266);配列番号15(P293);配列番号16(P328);配列番号23(P387);配列番号24(P390);配列番号25(P394);配列番号26(P395);配列番号27(P401);配列番号28(P414);配列番号33(P296);配列番号35(P396);配列番号36(P402);配列番号37(P404);配列番号39(P408);配列番号40(P411);配列番号41(P412);配列番号54(P397);配列番号55(P333);及び配列番号56(P380)から成る群より選択される。
【0048】
本発明の第4の態様は、アミドC末端を有するOABに関する。理論に結び付けられるべき願望なしに、出願人は、アミノ酸配列の末端にカルボキシアミド基を有するOABが加水分解、特に生理学的pH未満のpH値で不安定である可能性が低いと考える。さらに、上で考察した通り、特定のアミド末端化OABは哺乳動物細胞に対して高いLD
50(即ち、約300ppmを上回る及び約500ppmを上回る)を有することが見い出された。
【0049】
本発明の第5の態様は、E. coli、P.aeruginosa、P. cepacia、S. aureus(MRSAを含む)、S. epidermidis、及びC. albicansから成る群より選択される少なくとも1種、好ましくは2種、より好ましくは少なくとも3種の微生物に対して抗菌活性を有する本発明の第1のOABに関する。
【0050】
「抗菌」活性は、E.coli、P.aeruginosa、S.aureus、及びC.albicansから成る群より選択される少なくとも1つの微生物の増殖を阻害する能力を意味し、光学密度測定値(「OD」)により確認される。
【0051】
「増殖の阻害」は、OD(サンプル中に存在する微生物細胞の量に比例する混濁の無次元測定値)の低下又は5%を上回る増加の非存在を意味する。例示的な目的のために、本発明のOABを、E. coliが約5×10
3cfu/mlの最終濃度で存在する培養プレートに加える。次に、プレートを約37℃で約24時間インキュベートし、その時間でE. coliが振盪により再懸濁され、そしてODを約600nmで測定する。このように、ODの低下又は5%を上回る増加の非存在によってE. coliに関するOABの抗菌性質が確認される。
【0052】
最小阻止濃度(「MIC」)は、抗菌活性を表現するための当業者に周知の方法である。テストすべき化合物を増殖培地中で連続希釈し、培養物を用いて接種し、次にインキュベートする。MICは、標的微生物の増殖を阻害又は阻止する、化合物の最低希釈度である。
【0053】
WO/2007/143006において考察される通り、OAB上の複数の荷電アミノ酸残基の存在は、抗菌活性を含む所望の特性を与える。しかしながら、立体効果及び他の生物学的相互作用のため、荷電アミノ酸残基の数に基づく抗菌活性(ならびに他の特性)は予想不可能であることが証明されている。
【0054】
本発明のこの第5の態様の1つの好ましい実施態様は、100ppm以下のMIC(E. coli)を有するOABに関し、本発明のMyr−GAR−酸(P322);Myr−RRR−アミド(P342);Myr−KKK−酸(P348);配列番号6(P291);配列番号2(P362);配列番号3(P363);配列番号4(P371);配列番号5(P372);配列番号7(P398);配列番号8(P399);配列番号9(P400);配列番号10(P405);配列番号11(P190);配列番号15(P293);配列番号16(P328);配列番号17(P349);配列番号18(P351);配列番号19(P361);配列番号20(P365);配列番号21(P374);配列番号24(P390);配列番号25(P394);配列番号26(P395);配列番号27(P401);配列番号29(P418);配列番号30(P252);配列番号31(P256);配列番号32(P286);配列番号33(P296);配列番号34(P364);配列番号35(P396);配列番号36(P402);配列番号37(P404);配列番号38(P406);配列番号39(P408);配列番号42(P417)から成る群より選択され、E. coliが約5×10
3cfu/mlの最終濃度で存在する培養プレートに加えられる。次に、プレートを約37℃で約24時間にインキュベートし、その時間でE. coliが振盪により再懸濁され、そしてODを約600nmで測定する。このように、ODの低下又は5%より大きい増加の非存在によってE. coliに関するOABの抗菌性質が確認される。
【0055】
本発明のこの第5の態様の別の好ましい実施態様は、100ppm以下のMIC(S. aureus)を有するOABに関し、Myr−GAR−酸(P322);Myr−RRR−アミド(P342);Myr−KKK−酸(P348);配列番号6(P291);配列番号2(P362);配列番号3(P363);配列番号4(P371);配列番号5(P372);配列番号7(P398);配列番号8(P399);配列番号9(P400);配列番号10(P405);配列番号11(P190);配列番号14(P266);配列番号15(P293);配列番号17(P349);配列番号18(P351);配列番号19(P361);配列番号20(P365);配列番号21(P374);配列番号24(P390);配列番号25(P394);配列番号26(P395);配列番号27(P401);配列番号30(P252);配列番号31(P256);配列番号32(P286);配列番号33(P296);配列番号34(P364);配列番号35(P396);配列番号36(P402);配列番号37(P404);配列番号38(P406);及び配列番号39(P408)から成る群より選択される。
【0056】
本発明のこの第5の態様のさらに別の好ましい実施態様は、100ppm以下のMIC(P.cepacia)を有するOABに関し、Myr−GAR−酸(P322);Myr−RRR−アミド(P342);Myr−KKK−酸(P348);配列番号6(P291);配列番号2(P362);配列番号3(P363);配列番号4(P371);配列番号50(P372);配列番号7(P398);配列番号8(P399);配列番号9(P400);配列番号11(P190);配列番号16(P328);配列番号17(P349);配列番号18(P351);配列番号19(P361);配列番号20(P365);配列番号21(P374);配列番号24(P390);配列番号25(P394);配列番号26(P395);配列番号32(P286);配列番号33(P296);配列番号34(P364);配列番号35(P396);配列番号36(P402);配列番号37(P404);及び配列番号39(P408)から成る群より選択される。
【0057】
本発明のOABは水性MEM環境において驚くべき、かつ予想外に低いCMCを有する(一部では約25ppm未満)。本発明の第6の態様は、水性MEM環境において約25ppm未満のCMCを有する本発明の第1の態様の以下のOABに関し、Myr−GAR−酸(P322);Myr−RRR−アミド(P342);Myr−KKK−酸(P348);配列番号6(P291);配列番号2(P362);配列番号3(P363);配列番号12(P228);配列番号13(P263);配列番号14(P266);配列番号15(P293);配列番号18(P351);配列番号19(P361);配列番号20(P365);配列番号21(P374);配列番号30(P252);配列番号32(P286);配列番号33(P296);及び配列番号34(P364)から成る群より選択される。
【0058】
本発明の第7の態様は、約100ppm未満の濃度でP.acnesの増殖を阻害することができる本発明の第1の態様のOABに関する。この基準を満たすOABは、Myr−GAR−酸(P322);Myr−RRR−アミド(P342);Myr−KKK−酸(P348);配列番号6(P291);配列番号2(P362);配列番号3(P363);配列番号4(P371);配列番号5(P372);配列番号7(P398);配列番号8(P399);配列番号9(P400);配列番号10(P405);配列番号16(P328);配列番号17(P349);配列番号18(P351);配列番号19(P361);配列番号20(P365);配列番号21(P374);配列番号24(P390);配列番号25(P394);配列番号26(P395);配列番号27(P401);配列番号28(P414);配列番号30(P252);配列番号32(P286);配列番号33(P296);配列番号34(P364);配列番号35(P396);配列番号36(P402);配列番号37(P404);配列番号38(P406);及び配列番号39(P408)から成る群より選択される。
【0059】
本発明の第8の態様は、本発明の第1の態様のOABに関し、それは、可溶性タンパク質及び/又は細胞増殖を増加させることに加え、コラーゲン、エラスチン、又はフィブロネクチン(COL1(コラーゲン)、フィブロネクチン(FN1)、及びエラスチン(ELN))をコードする1つ又は複数の遺伝子の発現も増加させる。遺伝子発現レベルをDNAマイクロアレイ及び当業者に周知の種々の他の技術を使用して測定することができる。例えば、Perou et al., Nature (London) 06: 747-752 (2000)を参照のこと。
【0060】
本発明のこの第8の態様のより好ましい実施態様は、COL1、ELN、又はFN1の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの少なくとも20パーセントの増加を引き起こし、そしてまた、MMP1の発現を下方制御するOABに関する。
【0061】
バイオサーファクタントは、IL6及びIL8の発現の増加において現れる炎症反応を生じることができる。本発明の第9の態様は、IL6及びIL8の発現の増加を引き起こさない本発明の第1の態様のOABに関する。
【0062】
炎症性遺伝子(例、IL6及びIL8)の慢性的な上方制御は、CASP1などのアポトーシス遺伝子の上方制御と相関することが観察されている。炎症促進性遺伝子IL−6及びIL−8及び/又はカスパーゼ1(CASP1)などのアポトーシス関連遺伝子の有意な上方調節は望ましくない。Lyer, V. R. et al., Science 283: 83-87 (1999); Mathy-Hartert M et al., Inflamm Res. 52(3): 111-8 (2003); Raqib et al., Infection and Immunity June 2002, pp 3199-3207。本発明の第10の態様は、CASP1の発現の増加を引き起こさない本発明の第1の態様のOABに関する。
【0063】
本発明の第11の態様は、3〜9個のアミノ酸残基から本質的に成るオリゴマーアシル化バイオサーファクタントに関し、そのアミノ酸残基の少なくとも1つ、好ましくは2つが荷電しており、ここでOABは本発明の第1の態様内ではなく、Cyquant(登録商標)Cell Proliferation Assay(Molecular Probes)に基づき、線維芽細胞の増殖を少なくとも20%増加させる。この基準を満たすOABは、Myr−AHR−酸(P258);Pal−GRK−アミド(P304);Myr−KHR−アミド(P321);Pal−AHR−アミド(P323);Myr−KKK−アミド(P340);Pal−KKK−アミド(P341);Myr−SDD−酸(P413);配列番号43(P410);配列番号44(P352);配列番号45(P358);配列番号46(P378);配列番号47(P385);配列番号48(P409);配列番号49(P295);配列番号50(P355);配列番号51(P403);配列番号52(P407);及び配列番号53(P415)から成る群より選択される。
【0064】
本発明の第12の態様は、2又は1個のアミノ酸残基から本質的に成るオリゴマーアシル化バイオサーファクタントに関し、その少なくとも1つが荷電しており、CellTiter Blue Assayを用いた37歳の女性の線維芽細胞(ATCC CRL−2122)において200ppmを上回るLD
50を有し、また、(i)Cyquant(登録商標)Cell Proliferation Assayに基づき、線維芽細胞の増殖を少なくとも20%増加させ、(ii)CBQCA Protein Quantitation Assayに基づき、代謝性可溶性タンパク質を少なくとも20%増加させる。この基準を満たすOABは、Pal−R−アミド(P392)及びMyr−DD−酸(P386)から成る群より選択される。
【0065】
本発明の別の態様は、MEM溶液中での表面張力を約50ダイン/cm
2未満まで低下させ、MEM溶液の水性環境において200ppm未満のCMCを有するオリゴマーアシル化バイオサーファクタントに関し、ここでOABは2つ又は1つのアミノ酸残基から本質的に成り、その少なくとも1つが荷電しており、(i)Cyquant(登録商標)Cell Proliferation Assayに基づき、線維芽細胞の増殖を少なくとも約30%増加させ、(ii)また、CBQCA Protein Quantitation Assayに基づき、代謝性の可溶性タンパク質を増加させる。この基準を満たすOABは、Myr−R−アミド(P391);Pal−KK−アミド(P316);Pal−RR−アミド(P318)、及びMyr−RH−アミド(P393)から成る群より選択される。
【0066】
驚くべきことに、かつ予想外に、Myr−III−アミド、Myr−III−アミド(P420)(荷電アミノ酸残基を有さないOAB)が、代謝性可溶性タンパク質を、CBQCA Protein Quantitation Assayに基づき、少なくとも20%増加させることが見出されている。
【0067】
驚くべきことに、かつ予想外に、Pal−VGVAPG−アミド、配列番号68(P247)(荷電アミノ酸残基を有さない別のOAB)が、線維芽細胞増殖を、Cyquant(登録商標)Cell Proliferation Assayに基づき、少なくとも30%増加させることが見出されている。
【0068】
本発明のさらなる態様は、MEM溶液の表面張力を約50ダイン/cm
2未満まで低下させ、MEM溶液の水性環境において約100ppm未満のCMCを有するオリゴマーアシル化バイオサーファクタントに関し、ここでOABは2〜9つのアミノ酸残基から本質的に成り、その少なくとも1つが荷電しており、以下の微生物の少なくとも2つについて100ppm未満のMICを有する:E. coli、P.aeruginosa、P.cepacia、S.aureus(MRSAを含む)、S.epidermidis及びC.albicans。この基準を満たすOABは、Myr−GR−アミド(P300);Myr−KK−アミド(P315);Pal−HR−アミド(P320);Myr−KK−酸(P347);配列番号79(P367);Myr−GHR−アミド(P245);Pal−GHR−アミド(P250);Myr−GRK−アミド(P303);Pal−G−H−[R]
D−アミド(P366);配列番号84(368);配列番号58(P370);配列番号59(P360);配列番号60(P373);配列番号61(P376);配列番号62(P369);配列番号63(P379);配列番号64(P381);配列番号65(P416);配列番号66(P383);及び配列番号67(P289)から成る群より選択される。
【0069】
本発明のこの態様の好ましい実施態様において、OABは、約50ppm未満のCMCを有し、Myr−KK−アミド(P315);Pal−HR−アミド(P320);Pal−GHR−アミド(P250);Myr−GRK−アミド(P303);Pal−G−H−[R]
D−アミド(P366);配列番号58(P370);配列番号59(P360);配列番号60(P373);配列番号61(P376);配列番号62(P369);配列番号63(P379);及び配列番号64(P381)から成る群より選択される。
【0070】
本発明のこの態様のさらに好ましい実施態様において、OABは、約25ppm未満のCMCを有し、Myr−KK−アミド(P315);Pal−GHR−アミド(P250);Myr−GRK−アミド(P303);Pal−G−H−[R]
D−アミド(P366);配列番号58(P370);配列番号59(P360);配列番号60(P373);配列番号61(P376);配列番号62(P369);配列番号63(P379);配列番号64(P381)から成る群より選択される。
【0071】
本発明のさらなる態様は、5つのアミノ酸残基を含む本発明の第1の態様のジカチオン又はトリカチオンOABに関し、そしてそれは化学式Acyl−Lys−Lys−Gly−aa
n−Term(式中、nは2であり、aa
nは、Glu、Met、Ile、Lys、d−Lys、及びLeuから成る群より選択されるアミノ酸であり、AcylはMyr又はPalであり、Termは酸又はアミドである)に従う。この基準を満たすOABは、配列番号77(P225)、配列番号13(P263)、配列番号15(P293)、配列番号21(P374)、配列番号46(P378)、配列番号24(P390)、及び配列番号25(P394)から成る群より選択される。
【0072】
本発明の別の態様は、4〜6個のアミノ酸残基を含む本発明の第1の態様のOABに関し、ここでオリゴマーバイオサーファクタントは少なくとも2つのカチオン性アミノ酸残基を含み、化学式Acyl−aa
r−Lys−aa
s−Ala−Lys−Lys−aa
t−Term(式中、rは0又は1である;aa
rはLeuである;sは0又は1である;aa
sはIle又はLeuである;tは0又は1である;及びaa
tはAla又はLeuである;AcylはMyr又はPalである;及びTermはアミド又は酸である)に従う。この基準を満たすOABは、配列番号75(P226)、配列番号86(P234)、配列番号30(P252)、配列番号76(P261)、配列番号93(P285)、配列番号49(P295)、配列番号18(P351)、配列番号50(P355)、配列番号47(P385)、配列番号35(P396)、配列番号27(P401)、及び配列番号28(P414)から成る群より選択される。
【0073】
本発明のさらなる態様は、4〜6個のアミノ酸残基を含む本発明の第1の態様のOABに関し、ここでオリゴマーバイオサーファクタントは少なくとも2つのリシニルアミノ酸残基を含み、化学式Acyl−aa
x−Leu−aa
y−Lys−Lys−aa
y−Term(式中、xは0〜2の整数である;aa
xはLys及びLeuから成る群より選択されるアミノ酸である;yは0又は1である;aa
yはAla及びSerから成る群より選択されるアミノ酸である;vは0又は1である;aa
vはAla及びLeuから成る群より選択されるアミノ酸である;AcylはMyr又はPalである;及びTermはアミド又は酸である)に従う。
【0074】
本発明のこの態様の好ましいOABは、配列番号75(P226)、配列番号86(P234)、配列番号30(P252)、配列番号76(P261)、配列番号93(P285)、配列番号49(P295)、配列番号18(P351)、配列番号50(P355)、配列番号5(P372)、配列番号35(P396)、及び配列番号28(P414)から成る群より選択される。
【0075】
本発明のさらなる態様は、4〜6個のアミノ酸残基を含む本発明の第1の態様のOABに関し、ここでオリゴマーバイオサーファクタントは少なくとも2つのリシニルアミノ酸残基を含み、化学式Acyl−aa
p−Lys−Lys−aa
ff−Leu−aa
q−Term(式中、pは0又は1である;aa
pはAla、Gly、Leu、及びProから成る群より選択されるアミノ酸残基である;ffは0又は1である;aa
ffはAla又はGlyの群より選択されるアミノ酸残基である;qは0、1、又は2である;aa
qはAla、Lys、及びLeuから成る群より選択されるアミノ酸残基である;AcylはMyr又はPalである;及びTermはアミド又は酸である)に従う。この基準を満たすOABは、配列番号88(P251)、配列番号32(P286)、配列番号1(P291)、配列番号81(P329)、配列番号44(P352)、配列番号45(P358)、配列番号98(P359)、配列番号59(P360)、配列番号19(P361)、配列番号2(P362)、配列番号34(P364)、配列番号62(P369)、配列番号63(P379)、配列番号56(P380)、配列番号36(P402)、配列番号37(P404)、及び配列番号52(P407)から成る群より選択される。
【0076】
本発明のこの態様の1つの好ましい実施態様において、オリゴマーバイオサーファクタントは5又は6個のアミノ酸残基を含み、その内の3つのアミノ酸残基がリシニルであり、オリゴマーバイオサーファクタントは化学式Acyl−aa
p−Lys−Lys−Ala−Leu−Lys−aa
q−Term(式中、pは0又は1である;aa
pはAla、Gly、及びProの群より選択されるアミノ酸残基である;qは0又は1である;aa
qはAla及びLeuの群より選択されるアミノ酸残基である;ただし、p+q=1である)に従う。
【0077】
本発明のこの態様の特に好ましい実施態様において、オリゴマーバイオサーファクタントは5又は6個のアミノ酸残基を含み、その内の3つのアミノ酸残基がリシニルであり、オリゴマーバイオサーファクタントは化学式Acyl−Lys−Lys−Ala−Leu−Lys−aa
q−Term(式中、qは0又は1である;及びaa
qはAla及びLeuの群より選択されるアミノ酸残基である)に従う。
【0078】
本発明のこの態様のさらに別の特に好ましい実施態様において、本発明の第1の態様のOABは5つのアミノ酸残基を含み、その内の3つのアミノ酸残基がリシニルであり、オリゴマーバイオサーファクタントは化学式Acyl−Lys−Lys−Ala−Leu−Lys−Termに従う。
【0079】
本発明の別の態様は、4〜6個のアミノ酸残基を含む本発明の第1の態様のOABに関し、その内の少なくとも2つのアミノ酸残基がリシニルであり、オリゴマーバイオサーファクタントは化学式Acyl−aa
f−Lys−aa
g−Leu−Lys−aa
h−Term(式中、fは0、1、又は2である;aa
fはAla、Gly、Lys、及びProから成る群より選択されるアミノ酸である;gは0又は1である;aa
gはAla、Gly、及びSerから成る群より選択されるアミノ酸である;hは0又は1である;aa
hはAla及びLeuの群より選択されるアミノ酸である;AcylはMyr又はPalである;及びTermはアミド又は酸である)に従う。この基準を満たすOABは、配列番号88(P251)、配列番号82(P262)、配列番号32(P286)、配列番号81(P329)、配列番号44(P352)、配列番号45(P358)、配列番号98(P359)、配列番号59(P360)、配列番号19(P361)、配列番号34(P364)、配列番号62(P369)、配列番号60(P373)、配列番号63(P379)、配列番号56(P380)、配列番号26(P395)、配列番号36(P402)、配列番号37(P404)、配列番号10(P405)、及び配列番号52(P407)から成る群より選択される。
【0080】
本発明の別の態様は、5又は6個のアミノ酸残基を含む本発明の第1の態様のOABに関し、その内の3つのアミノ酸残基がリシニルであり、オリゴマーは化学式Acyl−aa
d−Lys−Lys−Leu−Ala−Lys−Term(式中、dは0又は1である;aa
dはAlaである;AcylはMyr又はPalである;及びTermはアミド又は酸である)に従う。この基準を満たすOABは、配列番号83(P215)、配列番号31(P256)、配列番号55(P333)、配列番号87(P350)、及び配列番号20(P365)から成る群より選択される。
【0081】
本発明のさらなる態様は、4つのアミノ酸残基を含む本発明の第1の態様のOABに関し、その内の2つのアミノ酸残基がリシニルであり、オリゴマーは化学式Acyl−aa
k−Lys−Ala−Lys−aa
k−Term(式中、kは1であり、aa
kはAla及びLeuから成る群より選択される;AcylはMyr又はPalである;及びTermはアミド又は酸である)に従う。この基準を満たすOABは、配列番号70(P287)、配列番号69(P288)、配列番号100(P290)、及び配列番号57(P368)から成る群より選択される。
【0082】
本発明のさらに別の態様は、3〜6のアミノ酸残基を含む本発明の第1の態様のOABに関し、その内の2つのアミノ酸がArg−Lys及びLys−Argから成る群より選択されるジカチオン配列を形成し、アミノ酸の少なくとも1つがGlyであり、少なくとも1つのGlyがArg又はLysに結合しており、オリゴマーバイオサーファクタントは化学式Acyl−aa
m−Lys−Arg−aa
n−Term又は化学式Acyl−aa
m−Arg−Lys−aa
n−Term(式中、mは0又は1である;aa
mはGlyである;nは0、1、又は2である;aa
nはAsp、Gly、Lys、及びProから成る群より選択される;AcylはMyr又はPalである;及びTermはアミド又は酸である)に従う。
【0083】
本発明のこの態様の好ましい実施態様において、オリゴマーバイオサーファクタントは、配列番号78(P216)、配列番号85(P222)、配列番号95(P238)、配列番号79(P260)、配列番号84(P264)、配列番号14(P266)、配列番号72(P294)、Myr−GRK−アミド(P303)、Pal−GRK−アミド(P304)、及び配列番号71(P306)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0084】
本発明のさらなる態様は、3〜6のアミノ酸残基を含む本発明の第1の態様のOABに関し、化学式Acyl−Gly−Arg−aa
dd−Term(式中、ddは1〜4の整数であり、基aa
dd内のアミノ酸はGly、Asp、Ser、及びLysから成る群より選択される(ただし、アミノ酸残基のaa
dd基の少なくとも1つが荷電されており、Lys及びAspより選択される);Acylはオクタノイル化(「Oct」と略される)、Myr又はPalである;及びTermはアミド又は酸である)に従う。この基準を満たすOABは、配列番号85(P222)、配列番号84(P264)、配列番号72(P294)、Myr−GRK−アミド(P303)、Pal−GRK−アミド(P304)、配列番号71(P306)、配列番号22(P382)、及び配列番号23(P387)から成る群より選択される。
【0085】
本発明の別の態様は、4〜8個のアミノ酸残基を含む本発明の第1の態様のOABに関し、その内の2つのアミノ酸がジカチオンアミノ酸配列Lys−Lysを形成し、オリゴマーバイオサーファクタントは少なくとも1つの非荷電アミノ酸配列Leu−Alaを含み、そしてオリゴマーバイオサーファクタントは化学式Acyl−aa
pp−Leu−Ala−aa
qq−Lys−Lys−aa
rr−Term(式中、ppは0、1、又は2である;aa
ppはLeu、Ala、及びLysから成る群より選択される;qqは0又は1である;aa
qqはIleである;rrは0〜4の整数である;aa
rrはLeu、Ala、Lys、及びPheから成る群より選択される;AcylはMyr又はPalである;及びTermはアミド又は酸である)に従う。この基準を満たすOABは、配列番号91(P187)、配列番号92(P189)、配列番号1(P291)、配列番号73(P292)、配列番号3(P363)、配列番号58(P370)、及び配列番号61(P376)から成る群より選択される。
【0086】
本発明のさらなる態様は、4〜6個のアミノ酸残基を含む本発明の第1の態様のOABに関し、その内の2つのアミノ酸がリシニルであり、オリゴマーバイオサーファクタントは少なくとも1つのアミノ酸配列Leu−Lysを含み、少なくとも1つのLysがArgに結合しており、そしてオリゴマーバイオサーファクタントは化学式Acyl−Leu−Lys−aa
ss−Lys(式中、ssは0、1、又は2であり、aa
ssはAla、Lys、又はLeuである;AcylはMyr又はPalである;及びTermはアミド又は酸である)に従う。この基準を満たすOABは、配列番号99(P235)、配列番号67(P289)、配列番号33(P296)、配列番号64(P381)、配列番号51(P403)、及び配列番号38(P406)から成る群より選択される。
【0087】
本発明のさらなる態様は、3〜6個のアミノ酸残基を含む本発明の第1の態様のOABに関し、その内の2つのアミノ酸がAspであり、オリゴマーバイオサーファクタントは少なくともAla又はSerを含み、そしてオリゴマーバイオサーファクタントは化学式Acyl−Asp−aa
tt−Asp−aa
vv(式中、ttは0又は1である;aa
ttはAla又はSerである;vvは0〜4の整数である;aa
vvはAla、Asp、Lys、及びSerから成る群より選択される;AcylはMyr又はPalである;及びTermはアミド又は酸である)に従う。この基準を満たすOABは、Myr−DAD−酸(P388)、配列番号6(P389)、配列番号43(P410)、配列番号40(P411)、及び配列番号41(P412)から成る群より選択される。
【0088】
本発明のさらなる態様は、4つのアミノ酸残基を含む本発明の第1の態様のOABに関し、ここで2つのアミノ酸がArg−Lys及びLys−Argから成る群より選択されるジカチオン配列を形成し、アミノ酸の2つが配列Ala−Alaを形成し、少なくとも1つのAlaがArg又はLysに結合している;AcylはMyr又はPalである;Termは酸又はアミドである;そしてオリゴマーバイオサーファクタントはAcyl−Ala−Ala−Lys−Arg−Term及びAcyl−Ala−Ala−Arg−Lys−Termから成る群より選択される。この基準を満たすOABは、配列番号54(P397)、配列番号7(P398)及び配列番号9(P400)から成る群より選択される。
【0089】
本発明の別の態様は、化学式Acyl−aa
ww−Arg−Termに従う本発明の第1の態様のOABに関し、ここでオリゴマーバイオサーファクタントはモノカチオンであり、アルギニル残基を含む;Ala−His、Gly−His、及びGly−Alaから成る群より選択されるアミノ酸配列(aa
ww)が、アルギニル残基の前にある(ただし、Ala又はHisはアルギニル残基に結合している);AcylはMyr又はPalである;Termは酸又はアミドである。この基準を満たすOABは、Myr−GHR−アミド(P245)、Pal−GHR−アミド(P250)、Myr−GAR−酸(P257)、Myr−AHR−酸(P258)、Myr−AHR−アミド(P322)、Pal−AHR−アミド(P323)、及びPal−G−H−[R]
D−アミド(P366)から成る群より選択される。
【0090】
本発明の別の態様は、5つ又は6つのアミノ酸残基を含む本発明の第1の態様のアシル化されたアミド末端化オリゴマーバイオサーファクタントに関し、残基はIle又はLysのいずれかであり、ここでオリゴマーバイオサーファクタントは少なくとも3つのIle残基及び少なくとも1つのLys残基を含む。本発明のこの態様の好ましい実施態様において、アシル化されたアミド末端化オリゴマーバイオサーファクタントは、配列番号65(P416)、配列番号42(P417)、及び配列番号29(P418)から成る群より選択される。
【0091】
本発明のさらなる態様は、4又は6個のアミノ酸残基を含む本発明の第1の態様のアシル化されたアミド末端化オリゴマーバイオサーファクタントに関し、ここでオリゴマーバイオサーファクタントはIle残基及び少なくとも2つのN末端Lys残基から成り、残りの非末端残基はIle、Lys、及びAlaから成る群より選択される。本発明のこの態様の好ましい実施態様において、アシル化されたアミド末端化オリゴマーバイオサーファクタントは、配列番号4(P371)、配列番号65(P416)、及び配列番号29(P418)から成る群より選択される。
【0092】
本発明の別の態様は、加齢の外観の低減を含む、皮膚科又は他の健康関連の状態を処置及び/又は予防する目的のために、化粧品ならびに皮膚科医により調剤される処方物におけるOABの局所治療適用に関する。本発明の少なくとも1つのOABを含む組成物は局所適用されてもよく、それにより、指で塗る、拭く、軽くたたくことにより、あるいは器具、その非限定的な例として、スポンジ又はスポンジを先に付けた塗布具、スワブ(例えば綿を先に付けたスワブ)、ペン(任意に泡又はスポンジ塗布器を含む)、ブラシ、ティッシュ、
パッド又はペーパータオルにより、皮膚、毛髪又は爪ならびに目、耳、鼻、口、肛門及び/又は腟の粘膜に接触して置かれることを意味する。本発明の範囲内の1つ又は複数のOABを含む製剤の局所適用により処置、改善、又は維持されうる状態の非限定的な例は:皮膚の柔軟性;皮膚の堅さ;皮膚の水分;皮膚の乾燥;そう痒症;しみ;小じわ及びしわ;ほくろ;染み;にきび;酒さ;色素過剰症の皮膚;角化症(光線性角化症を含む);皮膚癌(メラノーマ、基底細胞癌、扁平上皮癌を含む);脱毛症(円形脱毛症及び男性ホルモン性脱毛症を含む);薄毛;皮膚病(アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、及び脂漏性皮膚炎を含む);炎症性皮膚状態(多形性紅斑及び乾癬を含む);浮腫;腫瘍性皮膚状態(ここで、罹患した細胞は(i)内骨格タンパク質をコードする遺伝子の発現を低下させ、(ii)基底膜を分解するプロテイナーゼをコードする遺伝子の発現を増加させ、及び/又は(iii)テロメラーゼ活性に関連する遺伝子の発現を増加させる);皮膚萎縮症;創傷治癒;傷跡;線条症;脂肪性浮腫;強皮症;いぼ;単純疱疹;皮膚真菌症(限定はされないがカンジダ症、爪糸状菌症、白癬感染症を含む);悪臭(歯周、腋窩、及び生殖器周辺の細菌を原因とする臭気を含む)である。また、上で記載した通り、本発明のOABを含む局所組成物は、Freedberg et al., Fitzpatrick's Dermatology in General Medicine (2008); Kerdel, et al., Dermatologic Therapeutics (2005)、及びHardman et al.,Lazo et al. Goodman & Gilman's: The Pharmacological Basis of Therapeutics (11thEdition 2005)において記載される健康関連状態の局所処置において用いられてもよい。
【0093】
本発明の範囲内のOABは、単相液体担体(例、水性分散液又は無水組成物)、ならびにニ又は三相乳剤(油中水型、水中油型、シリコーン中水型、水中シリコーン型、水中油中水型、又は油中水中油型)として製剤化されてもよい。「無水」という用語は、水が意図的に組成物に加えられないことを意味する。「単相」という用語は、組成物が1つの均質相(例えば油相など)として存在することを意味する。
【0094】
本発明の1つの態様は、より太い毛髪の外観を生み出し、及び/又は薄毛の外観を低下させるための、頭部の皮膚
もしくは毛髪(即ち、頭皮
)又は顔
の毛髪(眉毛、睫毛、顎ひげ、及び口ひげ)に局所適用される少なくとも1つのOABを含む化粧用ヘアケア製剤に関する。毛髪は、2つの部分を含む:幹(表皮上に突き出ている死んだ角化構造)及び毛包(表皮における管様開口部、ここで毛幹が発生し、皮脂腺が開く)。毛包の一番下の部分である毛球は、素早く分裂する未分化な毛母細胞を含む。これらの細胞は分裂し、毛包の上方へ移動し、毛細胞又は内部の上皮鞘細胞に分化する。ヘアケア製剤において使用されうる本発明のOABの非限定的な例は、配列番号80(P214);配列番号83(P215);配列番号85(P222);配列番号77(P225);配列番号75(P226);配列番号89(P230);配列番号86(P234);配列番号99(P235);及び配列番号69(P288)を含む。本発明のこの態様の好ましい実施態様において、ヘアケア製剤は、KRT1、KRT14、FGF2、GRN、及びDEFB1
の群より選択される少なくとも1つの遺伝子の発現において50%を上回る増加を生み出すことが見出されている以下のOABの1つを含む:配列番号80(P214);配列番号85(P222);配列番号77(P225);及び配列番号86(P234)。
【0095】
本発明のOABの局所適用は、BALB/cモデルにおけるテストに基づき、毛の再成長速度を加速することが見いだされている。BALB/cマウスを麻酔し、マウスの背中を電気バリカンを用いて剪毛し、2つの部分に分けた。1,000ppmの本発明のOABを含む増粘した水性分散液(ヒドロキシエチルセルロースを用いて約9:2の比率で増粘した生理食塩水)100μlを、片側の剪毛した皮膚の1cm
2パッチに適用した。対照として、本発明のOABを含まない同様に増粘した水性分散液を、他の側に適用した。21日間にわたり写真を撮った。OAB製剤を適用した片側での毛の再成長速度がより速いことが観察された。
【0096】
本発明の範囲内の少なくとも1つのOABを含むヘアケア製剤は、the Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association(現在、Personal Care Products Council)により刊行された10th Edition of the International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(2004)において「毛髪固定剤」として、及び/又は国際特許出願公開WO2007/010494において「毛髪固定ポリマー」として記載される1つ又は複数のポリマーを含んでいてもよい。毛髪固定ポリマーの内、カチオン又は非イオン性ポリマーが好ましい。
【0097】
本発明の範囲内の1つ又は複数のOABを含むヘアケア製剤は、毛髪をより扱いやすくし、「放出(fly away)」静電気を最小限にし、及び/又は毛髪のもつれをほぐすための、当業者に公知の1つ又は複数のヘアコンディショニング剤を含んでいてもよい。また、そのようなヘアケア製剤は以下の1つ又は複数を含んでいてもよい:米国特許出願公開第2007/0264210号(「Robinson」)のパラグラフ[0042]において開示されるペプチド及びペプチド誘導体;Robinsonの[0052]において開示される発毛調整剤(その内、パンテノール及びパントテン酸、ならびにそれらの異性体、塩、及び誘導体が好ましい)、ならびに6−アミノ−1,2−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2−イミノ−4−ピペリジノピリミジン(ミノキシジル);Robinsonの[0051]において開示される非ビタミン抗酸化剤及びフリーラジカル捕捉剤;Robinsonの[0041]において開示されるビタミン(その内、ビタミンA、ならびにその天然及び/又は合成の類似体、ならびにビタミンB3及びB5が好ましく、レチノール、レチニルパルミテート及びレチノイン酸が特に好ましい);Robinsonの[0053]において開示される無機物、無機複合体、塩、及び誘導体(その内、亜鉛及びカルシウムが好ましい);Robinsonの[0053]において開示される糖アミン(限定はされないが、N−アセチル−グルコサミンを含む);Robinsonの[0057]において開示される抗炎症剤;Robinsonの[0054]において開示されるフィトステロール及び/又は植物ホルモン;ならびに米国特許出願公開第2007/0264210号及び米国特許第6,492,326号における他の活性成分。
【0098】
The 10th Edition of the International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbookでは、多種多様な非限定的な化粧用及び医薬用成分が記載されており、そしてそれは、必要に応じて、本発明のOABを含む局所適用製剤における使用に適している。これらの成分分類の例は以下を含む:ペプチド及びペプチド誘導体;ビタミン;無機物;抗酸化剤及びフリーラジカルクエンチャー;擦傷剤;表皮剥脱剤及び角質溶解剤(好ましくは、ヒドロキシ酸を含む);吸収剤;収斂剤;保存剤及び殺生物剤(Steinberg, Preservatives for Cosmetics (2nd Edition, 2006)に記載されるものを含む);抗菌剤(局所抗生剤を含み、その非限定的な例は、バシトラシン、ネオマイシン、エリスロマイシン、ムピロシン(Bactroban(登録商標))、クリンダマイシン、及びポリミキシンB、バンコマイシン、過酸化ベンゾイル、ならびにその組み合わせ、ビグアナイド、ならびにアシルアルギニンアルキルエステル及び塩を含む);皮膚脱色及び美白剤;外用鎮痛剤;日焼け止め活性成分(即ち、290nm〜400nmの紫外線を吸収する有機化合物、紫外線を散乱又は遮断する無機化合物);膜形成剤及び皮膚に対する局所組成物の持続性を増加させる他のポリマー材料;湿潤剤;増粘剤;キレーター、EDTA及びクエン酸を含む;保湿剤;pH調整剤;皮膚コンディショニング剤;皮膚緩和剤及び/又は治癒剤;抗にきび剤;及び皮膚浸透促進剤(EW Smith and HI Maibach, Percutaneous Penetration Enhancers (2nd Edition, 2005)に記載されるものを含む、その内、ジメチルイソソルビド、オレイルアルコール、及びオレイン酸が好ましい)。米国特許第6,974,799号及び米国特許出願公開第2005/0142095号において開示される化粧用及び/又は医薬用成分も、本発明のOABを含む製剤において使用してよい。目(例、マスカラ、まつ毛伸長剤、まつ毛コンディショナー、アイライナー、アイブローペンシル)、皮膚(例、クリーム、ローション、ゲル、美容液、メーキャップを含む)、及び唇(例、リップスティック、リップグロス、リップライナー)の外観を引き立てるために局所適用されることが意図される製品における使用に適した膜形成ポリマー、増粘剤、粒子賦形剤、及び揮発性溶媒が、当業者に周知であり、米国特許第6,726,900号及び第6,492,326号において記載される。
【0099】
理論により拘束されることを望まないが、出願人は、驚くべきことに、本発明のOABが、βディフェンシン(角化細胞及び免疫細胞により産生される抗菌活性を有する天然(即ち、固有)タンパク質のクラス)の合成に関連する遺伝子の発現を上方調節することが見出されていることから、本発明のOABの局所適用は治癒を加速すると考えている。次の3つのβディフェンシン、DEFB4、DEFB1、及びDEFB103の少なくとも1つの発現を少なくとも40%上方調節する本発明のOABの非限定的な例は、配列番号80(P214);配列番号85(P222);配列番号77(P225);及び配列番号86(P234)を含む。創傷皮膚(即ち、擦りむいた、裂けた、切られた、切開された、刺された、切り裂かれた、火傷した、その他では突き刺された皮膚)の治癒を促進することを意図した本発明の少なくとも1つのOABを含む局所適用組成物は、さらに、過酸化水素又は過酸化水素を生成する酵素(即ち、グルコースオキシダーゼ/ラクトペルオキシダーゼ)を含んでいてもよい。
【0100】
本発明のOABは、また、DNAウイルス感染症(ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルス、ポリオーマウイルスにより引き起こされる感染症を含むが、これに限定されない);RNAウイルス感染症;AIDS関連の日和見感染症;重複感染;ウイルス性肺炎;性感染病;ウイルス性眼感染症を含む二重脂質エンベロープウイルスにより引き起こされる感染症を処置及び/又は予防する際に使用してよい:。
【0101】
実施例
以下の実施例は、本発明をさらに例示する。構成成分及び特定の成分が典型的であるとして提示され、種々の改変は、前述の開示に照らして本発明の範囲内でもたらされ得る。特に指摘のない限り、パーセンテージは全組成物の重量による。
【0102】
実施例1−ナノ粒子濃縮物
A相
脱イオン水 70〜90%
B相
中鎖トリグリセリド(C6−C12) 2〜8%
レシチン2〜8%中鎖脂肪酸(C6−C12) 2〜8%
リジン又はアルギニン 1〜2%
配列番号12(P228) 10〜1,000ppm
*
*Therapeutic Peptides Inc.(Baton Rouge, LA)から
30〜40℃で約10分間10,000〜1200rpmの高速ホモジナイザーを用いてB相をA相中に混合する。次に、得られた混合物をコロイドミル中で、約10,000psi超で処理し、約200nm未満のサイズの粒子を作成する。得られた濃縮物を、濃度約1%〜約20%で通常のマクロエマルジョンクリームに加える。
【0103】
実施例2−抗加齢フェイシャルゲル
1.脱イオン水 95〜98%
2.キサンタンガム 0.1〜0.3%
3.アスコルビン酸リン酸マグネシウム 1〜3%
4.配列番号14(P266)
* 10〜1,000ppm
5.ヒドロキシメチルグリシンナトリウム
** 0.3〜1%
*Therapeutic Peptides Inc.(Baton Rouge, LA)から
**Sutton Labs(Chatham, NJ)からのSuttocide A
成分2〜5を、均質になるまでSilversonミキサー中で1,000rpmで混合しながら脱イオン水に加える。
【0104】
実施例3−ナイトアイクリーム
パートA
アスコルビン酸パルミテート 1.00
BHT 0.20
SDアルコール40−B 1.50
パートB
Sesamum Indicum(ゴマ)種油 1.00
セラミド3 0.50
パートC
グリセリン 1.50
PEG−60アーモンドグリセリド 1.00
イソプロピルパラベン、イソブチルパラベン、
ブチルパラベン 1.00
パートD
レチニルパルミテート 1.00
酢酸トコフェロール 1.00
C
30−45アルキルメチコン 1.00
C
12−15安息香酸アルキル 7.50
ジメチコン 2.00
パートE
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 3.00
エチルヘキシルパルミテート、トリベヘニン、ソルビタン
イソステアリン酸、配列番号22(P382) 3.00
パートF
SDアルコール40−B、配列番号23(P387) 0.50
PEG−60アーモンドグリセリド、
配列番号25(P394) 0.04
シクロメチコン、ジメチコンクロスポリマー 71.81
ダイズ油、レチノール 1.00
香料 0.45
A相の成分を主容器に加える、45〜55℃に加熱しながら400rpmで混合する。続いて、400〜800rpmで混合しながらパートB、次にパートC、次にパートDを主容器に加える。パートEを加えながら、Silversonミキサーを用いて2500rpmでホモジナイズする。1000〜1700rpmで混合しながらパートFを加え、2500rpmでホモジナイズする。
【0105】
実施例4−SPF25サンスクリーン
パートA
シクロペンタシロキサン、二酸化チタン、アルミナ、
PEG−10ジメチコン、メチコン 60.00
酸化亜鉛、シクロペンタシロキサン、
PEG−10ジメチコン、メチコン 8.00
シクロメチコン、ジメチコノール 1.00
イソステアリン酸ソルビタン 1.50
パートB
ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー 4.00
酸化鉄(黒) 0.02
酸化鉄(赤) 0.09
酸化鉄(黄) 0.25
パートC
シクロメチコン、ジメチコンクロスポリマー 21.90
パートD
トリベヘニン、ベヘン酸カルシウム 2.25
パートE
レシチン、SDアルコール40−B 0.50
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、セラミドIIIA、
コレステロール、酢酸トコフェロール、スクアレン、
レチニルパルミテート、配列番号1(P291) 10.50
パートAを主容器に加える。300〜600rpmで混合しながら110℃まで加熱する。パートBの成分を一緒に、Silversonミキサーを用いてホモジナイズする。パートBをパートAに加える。パートC及びDをパートA及びBに加える。Silversonミキサーを用いて1500〜2500rpmでホモジナイズする。混合しながら70℃まで冷却する。パートEを上記混合物に加え、均質になるまで混合を続ける。
【0106】
実施例5−抗加齢クリーム
パートA
水 70.27
1,3−β−D−グルカン乳酸(非酵母由来) 0.04
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.40
パートB
ベヘノキシジメチコン 1.60
シクロメチコン 5.10
酢酸トコフェロール 0.20
ベヘントリモニウムメトサルフェート、セテアリルアルコール 3.60
ジメチコン 2.10
ベヘニルアルコール 1.60
グリセリン、レシチン、パルミトイル ミリスチルセリナート 0.50
パルミトイル加水分解コムギタンパク質 0.30
セテアリルアルコール、セテアリルグルコシド 2.00
パートC
PEG−7ヤシ脂肪酸グリセリル、PPG−2−セテアレス−9、
シマセンブリ(Centaurium Erythraea)抽出物 4.00
グリセリン、水、Siegesbeckia Orientalis抽出物 4.00
ポリメタクリル酸グリセリル、PEG−8、
配列番号60(P373) 2.00
PEG−60アーモンドグリセリド、
配列番号27(P401) 1.00
パートD
フェノキシエタノール、メチルパラベン、ブチルパラベン、
エチルパラベン、プロピルパラベン、イソブチルパラベン 0.70
香料 0.50
パートAの成分を主容器に加える。70℃まで加熱しながら500rpmで混合する。パートBの成分を75℃まで500rpmで混合及び加熱する。500〜1500rpmで混合しながらパートBをパートAに加える。1200〜1600rpmで混合しながら55℃まで冷却する。1200〜1600rpmで混合しながらパートCを加える。1200〜1600rpmで混合しながら45℃まで冷却する。パートDをA−B−Cに加え、Silversonオーバーヘッドホモジナイザーを用いて3000rpmで10kg当たり5分間ホモジナイズする。
【0107】
実施例6−コンディショニングヘアパック
A相
クオタニウム−91(及び)セトリモニウムメトサルフェート
(及び)セテアリルアルコール
1 1.50
ベヘントリモニウムメトサルフェート(及び)セチルアルコール
(及び)ブチレングリコール
2 0.80
クオタニウム−93(及び)ジプロピレングリコール
3 0.50
ステアラミドプロピルジメチルアミン 0.30
セチルエステル 1.50
ステアリルアルコール 3.00
PPG−3ミリスチン酸ベンジルエーテル 4.00
Olea Europea(オリーブ)果実油 1.00
Prunus Amygdalus Dulcis(スイートアーモンド)油 1.00
Limnanthes Alba(メドウフォーム)種油 1.00
B相
脱イオン水 100mlにするのに十分な量
クエン酸結晶 0.05
C相
グリセリン(及び)水(及び)Camellia sinensis抽出物
4 0.05
プロピレングリコール(及び)水及びRheum Palmatum抽出物
5 0.05
ブチレングリコール(及び)水(及び)Chamomilla Recutita
6 0.05
フェノキシエタノール(及び)メチルパラベン(及び)エチルパラベン
(及び)プロピルパラベン(及び)ブチルパラベン
(及び)イソブチルパラベン
7 0.05
配列番号75(P226) 10〜1,000ppm
配列番号69(P288) 10〜1,000ppm
D相
加水分解された植物タンパク質PG−プロピルシラントリオール
1,2,3,4それぞれ商標名Crodazosoft DBQ、Incroquat Behenyl TMS-50、Incroquat 18-MEA-40、及びCrodarom Green Teaの下でCroda Inc.(Edison, NJ)から市販されている。
5,6商標名Actiphyte of Rhubarb PG50及びActiphyte of Chamomile BG50の下でActive Organics LP(Lewisville, TX)から市販されている。
7PhenonipとしてClariant Corp.(Mount Holly, NC)から市販されている。
75〜80℃まで混合及び加熱しながらA及びB相の成分を別々に合わせる。B相をA相に加えて、十分に混合する。50℃まで冷却し、混合しながら成分をC相に加える。35℃まで冷却し、D相を加える。室温まで冷却し、必要に応じてpHを4.5に調整する。
【0108】
実施例7−コンディショニングマスカラ
A相
水素化ポリシクロペンタジエン(及び)イソドデカン 14.29
イソドデカン 24.64
B相
リチウムケイ酸マグネシウム 2.00
SDアルコール 1.00
C相
酸化鉄[C.I.77499] 7.00
ポリメチルシルセスキオキサン 2.00
シリカ 1.00
雲母(及び)二酸化チタン 1.00
シクロメチコン(及び)ポリエチレングリコール/
PPG−20/15ジメチコン 3.00
イソドデカン 10.00
D相
塩化ナトリウム 0.25
脱イオン水 11.50
メチルパラベン 0.10
E相
C
18−36トリグリセリド 5.00
密ろうSP422 6.00
カルナウバロウ 3.00
ポリエチレン617A 3.00
プロピルパラベン 0.10
F相
脱イオン水 2.00
パンテノール 0.35
イミダゾリジニル尿素 0.25
配列番号85(P222) 10〜1,000ppm
配列番号80(P214) 10〜1,000ppm
G相
イソドデカン 2.00
セルロース 0.50
A相の材料を合わせる。少しずつリチウムケイ酸マグネシウムを加える。高速で20分間撹拌する。SDアルコールを加え、さらに20分間撹拌する。C相の成分を合わせ、高速で45分間撹拌する。ゲル相(A−B)をC相に加え、基剤を形成する。D相の成分を合わせ、透明になるまで撹拌する。少しずつD相を基剤(A−B−C相)に加え、85℃まで加熱しながらホモジナイズを続ける。ろう(E相)を70℃で基剤(A−B−C−D相)に加え、ホモジナイズを続ける。空冷を開始する。65℃で、QS溶媒を飛ばす。42℃で、F相の溶液を加える。38℃で、G相のスラリーを加える。ホモジナイズを続け、25℃まで冷却する。
【0109】
実施例8−加齢の徴候における改善
【0110】
加齢の徴候を低下させる際の、治療的有効量の本発明のオリゴマーアシル化バイオサーファクタントを含む局所組成物の有効性は、「目尻のしわ(Crow's Feet)」部位における表在性のしわの重症度の低下、皮膚のきめ及び色合いの臨床評価、及び自己評価により測定可能である。外観におけるこれらの改善に加えて、生物物理学的パラメーター(皮膚の張り及び弾性を含む)における改善は、Twistometerを用いて測定可能である。
【0111】
20人の成人女性の白人被検者(年齢30代半ばから60代後半に及ぶ)が、試験に参加する。プロトコールにおいて定められた通りに、軽度から中程度の光損傷について彼女らを選択する。治験責任医師により又は治験担当者により、各試験来診時に被検者を臨床的に評価する。「目尻のしわ」(眼窩周囲)部位における表在性の顔のしわ(SFL)をPackman及びGansの方法により評価する。Packman, E. W., and Gans, E. H, "Topical moisturizers: quantification of their effect on superficial facial lines" J. Soc. Cosmet. Chem. 9: 1-11 (1978).SFLスコアは、3つのクラスの線/しわの数の加重和であり、それは重症度が増すに伴い、浅い(nxl)、明確(nx2)、及び深い(nx3)である。皮膚表面のきめ及び色合いにおいてグループ化された傷の重症度を、0〜10のアナログスケールを用いてスコア化する。
【0112】
カラー写真を、Nikon D70デジタルカメラを用いて標準条件下で撮り、カメラをフォーカスステージに取り付け、再現率(拡大率)が毎回同じであることを保証する。白黒写真を、同様に、Nikon F-100フィルムカメラを用いて、T-max 100プリントフィルムを使用し、カメラレンズ上にUVAフィルターを使用して撮る。
【0113】
8週間の試験終了時、専門家の採点者が、カラー写真を使用し、ベースラインからの外観における全体的な改善を評価する。個々の皮膚特徴における変化(皮膚がより滑らかになること、しわが少なくなること、毛穴が目立たなくなること、皮膚色が一様に見えることにまで及び、それらを含む)について評価する。
【0114】
皮膚の張り及び弾性を、Finlayにより記載された型のTwistometerを用いて測定する。Finlay, J. B. "The torsional characteristics of human skin in vivo." Biomed. Eng. 6: 567-573 (1971).粘着テープを用いて皮膚表面にくっつけ、一定時間、一定に保った少量の電流により回転させるディスクを用いて、ねじれ伸縮性及び反発を測定する。くっつけたディスクが回転できる角度は、皮膚の張りと反比例し、ねじれた皮膚の弾性は、電流を止めたときの反発の程度と直接関連する。従って、ねじれ伸縮性の減少は、皮膚がより張る(堅くなる)ことを、そして反発の増加は、皮膚の弾力性が増すことを示す。
【0115】
Twistometer測定を除き、ノンパラメトリック検定(ウィルコクソンの符号付順位検定、又は50%確率検定)を、皮膚状態の変化の統計的有意性を評価するために使用する。これらの検定は正規分布の前提を必要とせず、順序尺度又は名義尺度を用いて、あるいは「イエスかノー」の回答について行われるスコアリング分析に適している。機器測定値について、同じ被検者での「事前」と「事後」のスコアを比較するための2点識別「t検定」分析を用いる。
【0116】
本発明の例示的な実施態様が、具体的に記載されており、種々の改変が当業者には明らかであり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者により容易に作製されることが理解されるであろう。従って、本明細書に添付される請求の範囲は、上に記載される実施例及び説明に限定されることが意図されず、むしろ、特許請求の範囲は、本明細書中に存在する特許可能な新規性の全ての特徴(本発明に関連する当業者によりその等価物として扱われうる全ての特徴を含む)を包含すると解釈される。