(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5789905
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】風呂の追い焚きシステム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/00 20060101AFI20150917BHJP
F24J 2/42 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
F24H1/00 621J
F24J2/42 K
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-233676(P2014-233676)
(22)【出願日】2014年11月18日
【審査請求日】2014年11月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】312012726
【氏名又は名称】植松 康行
(72)【発明者】
【氏名】植松 康行
【審査官】
黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】
特開平8−136048(JP,A)
【文献】
実開昭62−100453(JP,U)
【文献】
特開2000−171099(JP,A)
【文献】
実開昭59−13916(JP,U)
【文献】
実開昭57−75341(JP,U)
【文献】
実開昭51−75445(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24J 2/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の垂直方向の高い位置に設けた太陽光温水器と、浴槽と、太陽光温水器からの温水の浴槽供給配管と、湯沸かし器と、浴槽から湯沸かし器への湯の戻り配管と湯沸かし器から浴槽への湯の供給配管からなる追い焚き部から構成される風呂の追い焚きシステムにおいて、
温水の浴槽供給配管から太陽光温水器の位置水頭が変換された速度水頭により追い焚き部の流速を上げるために分岐した温水の追い焚き配管を湯の戻り配管に接続し、湯の戻り配管の温水の追い焚き配管との接続位置と浴槽との間及び温水の追い焚き配管に弁を設けたことを特徴とする風呂の追い焚きシステム。
【請求項2】
弁を電磁弁とし制御装置により電磁弁の開閉を行うことを特徴とする、請求項1に記載の風呂の追い焚きシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の垂直方向の高い位置に設けた太陽光温水器の温水を浴槽に供給して、追い焚き部における循環量を上げて、大きな流速に値する高効率の熱量を得ることが出来る風呂の追い焚きシステムを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光を利用して水を熱する太陽光利用温水システムにおいて、水を蓄える水槽と、水槽の水を熱する加熱器と、太陽光を利用して水を熱する太陽光温水器と、水槽と太陽光温水器との間で水を循環させる循環装置とを備え、水を水槽と太陽光温水器間で循環させ、必要に応じて加熱器と併用して、水槽の水を熱することができることを特徴とする案もある。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の太陽光温水器は屋根の日光のあたる場所に設置して、日光のエネルギーを温水に変えて、風呂に落して利用しているのが主であり、天候に左右され、曇りの日にはそれなりの温度にしか昇温出来なくても、少しでもエネルギー的に付加された状態であれば風呂水として落して活用しているのが現状で太陽光温水器メーカーが存在する。(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
台所の炊事用、洗面所及び風呂用として温度調節機能を有して、温水器が広く利用されており、風呂に利用する場合は、風呂の適温としてちょうどよい温度に設定して風呂に落とす場合と、太陽光温水器より落とした低めの温水の追い焚き機能及び、落とした湯の温度降下の湯冷め分の追い焚きするものとしての湯沸かし器が存在する。(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
水道水圧力に耐える耐圧を擁して、水道水圧力を利用して高所に取り付けなくても済む太陽光温水器があって給湯器につなぐことが出来るものもある。(例えば、非特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003―139413号 公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】朝日ソーラー(株)インターネットHP 太陽熱温水器
【非特許文献2】(株)ノーリツ インターネットHP 製品情報 ふろ給湯器
【非特許文献3】(株)MMC インターネットHP MMC SOLAR
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のような従来の太陽光温水器を使用して、浴槽に温水を供給して追い焚きする場合は以下の課題を有する。
【0009】
天候不順で生ぬるい温度にしか昇温出来なかった温水を、太陽光温水器からの温水の浴槽供給配管で浴槽に供給して、浴槽から湯沸かし器への湯の戻り配管を通して追い焚きをしているが、追い焚き部においてはサーモサイフォンによる自然循環が発生し、その自然循環量分の流速に値する熱量しか得ることが出来ない。以上から追い焚き部における循環量を上げて大きな流速に値する高効率の熱量を得ることが出来る風呂の追い焚きシステムを提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を有する。
【0011】
第1の手段として、建物の垂直方向の高い位置に設けた太陽光温水器と、浴槽と、太陽光温水器からの温水の浴槽供給配管と、湯沸かし器と、浴槽から湯沸かし器への湯の戻り配管と湯沸かし器から浴槽への湯の供給配管からなる追い焚き部から構成される風呂の追い焚きシステムにおいて、
温水の浴槽供給配管から分岐した温水の追い焚き配管を湯の戻り配管に接続し、湯の戻り配管の温水の追い焚き配管との接続位置と浴槽との間及び温水の追い焚き配管に弁を設けたことを特徴とする。
【0012】
第2の手段として、弁を電磁弁とし制御装置により電磁弁の開閉を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本請求項1に係る風呂の追い焚きシステムによれば、太陽光温水器からの温水の浴槽供給配管から分岐した温水の追い焚き配管を浴槽から湯の戻り配管に接続したことによって、太陽光温水器の高水頭が従来のサーモサイフォンによる自然循環量の数倍の強制循環量となって追い焚き部の流速を高めて通過することになり、得られる熱量も流速倍の高効率にアップする。
また、本請求項1に係る湯の戻り配管の温水の追い焚き配管との接続位置と浴槽との間及び温水の追い焚き配管に設けた弁を請求項2において、電磁弁とすることにより制御装置によって高効率の追い焚きシステムを容易に選択、操作できる。
【0014】
本発明の請求項1、2に係る風呂の追い焚きシステムにおいて、燃料の省資源化を達成し、風呂に入れるまでの時間の短縮、および風呂に入ってからの太陽光温水器に残った温水の効果的な追い焚きにも活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の請求項1に係る太陽光温水器を活用した、風呂の高効率な追い焚きシステムの構成図である。
【
図2】本発明の請求項1に係る太陽光温水器を活用した別の実施形態の風呂の追い焚きシステムの構成図である。
【
図3】本発明の請求項2に係る太陽光温水器を活用した、風呂の高効率な追い焚きシステムの構成図である。
【
図4】従来技術における太陽光温水器を活用して、風呂の追い焚き湯沸かしをするシステムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を
図1〜
図4に基づいて説明する。
【0017】
最初に従来技術における太陽光温水器を活用して、風呂の追い焚き湯沸かしをするシステムを
図4に基づいて説明する。
図4は従来技術における太陽光温水器を活用して、風呂の追い焚き湯沸かしをするシステムを立面的にかつアイソメ的に太陽光温水器1、浴槽2、湯沸かし器3、追い焚き部4を表す。浴槽2のある建物の垂直方向の高い位置に設けた太陽光温水器1と太陽光温水器からの温水の浴槽供給配管8と、湯沸かし器3と、浴槽から湯沸かし器への湯の戻り配管1と湯沸かし器から浴槽への湯の供給配管13からなる追い焚き部4から構成される風呂の追い焚きシステムにおいて、上水供給部7より、太陽光温水器供給上水配管21によって、太陽光温水器供給上水22が太陽光温水器1に供給され、太陽熱によって昇温され、太陽光温水器1の上部より、太陽光温水器からの温水9となって、太陽光温水器からの温水の浴槽供給配管8にて、浴槽2に供給され、湯面36となって現れる。
浴槽2に供給された温水が生ぬるい場合は、浴槽から湯沸かし器への湯の戻り配管11を通じて、追い焚き部4にて昇温される。
昇温されると、その前後において温度差相当の密度差が生じ、サーモサイフォンと呼ばれる現象の浴槽への供給温水14の流れが追い焚き部4から浴槽2に向かって生じるが、自然循環であり、追い焚き部4において得られる熱量は限定される。
【0018】
図1は本発明の請求項1に係る太陽光温水器を活用した、風呂の高効率な追い焚きシステムの構成図である。
【0019】
浴槽2のある建物の垂直方向の高い位置に設けた太陽光温水器1と太陽光温水器からの温水の浴槽供給配管8と、湯沸かし器3と、浴槽から湯沸かし器への湯の戻り配管11と湯沸かし器から浴槽への湯の供給配管13からなる追い焚き部4から構成される風呂の追い焚きシステムにおいて、太陽光温水器からの温水の浴槽供給配管8から分岐した温水の追い焚き配管10を湯の戻り配管11に接続し、湯の戻り配管の温水の追い焚き配管10の接続位置と浴槽2との間及び温水の追い焚き配管10に弁を設けたことを示している。
【0020】
太陽光温水器からの温水の浴槽供給配管8から分岐した温水の追い焚き配管10を用いて追い焚するときは、太陽光温水器温水弁29を閉にし、更に浴槽から湯沸かし器への戻り温水配管弁31を閉にして、温水追い焚き配管弁32を開にすることによって得られる。その追い焚き時には太陽光温水器1の上部から、太陽光温水器からの温水の浴槽供給配管8から分岐した温水の追い焚き配管10の浴槽から湯沸かし器への湯の戻り配管11の接続部までの高さが、エネルギー的に見て位置水頭となって追い焚き部4に働き、位置水頭は速度水頭に変換されて、従来のサーモサイフォンによる自然循環量の数倍の強制循環量となって追い焚き部の流速を高めて通過することになり、得られる熱量も流速倍の高効率にアップする。
【0021】
図2は本発明の請求項1に係る太陽光温水器を活用した別の実施形態の風呂の追い焚きシステムの構成図である。太陽光温水器からの温水の浴槽供給配管8及び太陽光温水器からの温水の浴槽供給配管8から分岐した温水の追い焚き配管10を出来るだけ短くすることで位置水頭となって得たエネルギーを配管抵抗にて食われることなく追い焚き部4に働くようにした別の実施形態である。
【0022】
図3は本発明の請求項2に係る太陽光温水器を活用した、風呂の高効率な追い焚きシステムの構成図である。
湯の戻り配管11に接続し、湯の戻り配管の温水の追い焚き配管10の接続位置と浴槽2との間及び温水の追い焚き配管10に電磁弁を設けたことを示している。
太陽光温水器からの温水の浴槽供給配管8から分岐した温水の追い焚き配管10を用いて追い焚するときは、太陽光温水器温水弁29を閉にし、更に浴槽から湯沸かし器への戻り温水配管電磁弁33を閉にして、温水追い焚き配管電磁弁34を開にすることによって得られる。これらはいずれもスィッチ&制御装置5、制御配管35により、追い焚きをする、追い焚きをやめて元の状態に戻す等の操作の選択を簡便に行うようにした別の実施形態である。
【符号の説明】
【0023】
1 太陽光温水器
2 浴槽
3 湯沸かし器
4 追い焚き部
5 スィッチ & 制御装置
6 燃料ガス供給部
7 上水供給部
8 太陽光温水器からの温水の浴槽供給配管
9 太陽光温水器からの温水
10 温水追い焚き配管
11 浴槽から湯沸かし器への湯の戻り配管
12 浴槽から湯沸かし器への戻り温水
13 浴槽への供給配管
14 浴槽への供給温水
15 供給上水配管
16 供給上水
17 湯沸かし器供給上水配管
18 湯沸かし器供給上水
19 湯沸かし器からの浴槽への供給温水配管
20 湯沸かし器からの浴槽への供給温水
21 太陽光温水器供給上水配管
22 太陽光温水器供給上水
23 浴槽供給上水配管
24 浴槽供給上水
25 燃料ガス配管
26 燃料ガス
27 燃料ガス電磁弁
28 温水温度調節弁
29 太陽光温水器温水弁
30 供給上水弁
31 浴槽から湯沸かし器への戻り温水配管弁
32 温水追い焚き配管弁
33 浴槽から湯沸かし器への戻り温水配管電磁弁
34 温水追い焚き配管電磁弁
35 制御配管
36 湯面
【要約】
【課題】太陽光温水器からの温水の浴槽供給配管で浴槽に供給された生ぬるい温水は、浴槽から湯沸かし器への湯の戻り配管で追い焚きされるが、サーモサイフォンによる自然循環分の流速に値する熱量しか得ることが出来ない。以上から追い焚き部における循環量を上げて大きな流速に値する高効率の熱量を得ることが出来る風呂の追い焚きシステムを提供することが課題である。
【解決手段】生ぬるい温水の追い焚き時に、太陽光温水器からの温水の浴槽供給配管から分岐した温水の追い焚き配管を湯の戻り配管に接続することにより、太陽光温水器の高さよりなる高水頭を追い焚き部の強制循環・高流速に変換、高効率の熱量を得ることが出来、得られる熱量も流速倍にアップする。
【選択図】
図1