特許第5789915号(P5789915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5789915楽譜表示装置および楽譜表示方法を実現するためのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789915
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】楽譜表示装置および楽譜表示方法を実現するためのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G10G 1/00 20060101AFI20150917BHJP
   G10H 1/00 20060101ALI20150917BHJP
   G10H 1/18 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   G10G1/00
   G10H1/00 Z
   G10H1/18 Z
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2010-80308(P2010-80308)
(22)【出願日】2010年3月31日
(65)【公開番号】特開2011-215181(P2011-215181A)
(43)【公開日】2011年10月27日
【審査請求日】2013年2月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】ギャリー グレッグソン
【審査官】 間宮 嘉誉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−264234(JP,A)
【文献】 特開2004−85825(JP,A)
【文献】 特開2007−108292(JP,A)
【文献】 特開2006−53696(JP,A)
【文献】 特開2004−364184(JP,A)
【文献】 特開2003−177745(JP,A)
【文献】 特開2006−215210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 11/00−15/08
G10G 1/00− 7/02
G10H 1/00− 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲の楽譜を表示するための表示データを複数曲分記憶するとともに、前記楽譜に関するコメントを示すコメントデータであって、そのコメントの作成日時を示す日付情報を含むものを1つの楽譜について複数登録できるものを複数曲分記憶する外部記憶装置と通信回線を介して接続する接続手段と、
前記複数曲分の表示データのうち、ユーザが選択したいずれか1曲分の表示データを前記外部記憶装置から取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段によって取得された1曲分の表示データによって表示される楽譜に関する複数のコメントデータを前記外部記憶装置から取得する第2の取得手段と、
所定の表示範囲の楽譜を表示する楽譜表示領域とコメントを表示するコメント表示領域を備え、前記第1の取得手段によって取得された表示データに基づいて楽譜を前記楽譜表示領域に表示するとともに、前記第2の取得手段によって取得された複数のコメントデータに含まれる日付情報のそれぞれに基づいて当該コメントデータが示すコメントを規定された表示態様で前記コメント表示領域に表示する表示手段と
を有し、
前記外部記憶装置は、前記楽譜表示領域に表示される楽譜の一部であって、前記コメントの対象となる楽譜表示要素毎に複数のコメントデータを記憶することが可能であり、
前記表示手段は、前記楽譜表示領域に複数の楽譜表示要素を表示できるとともに、当該楽譜表示要素毎にコメントを表示できるものであり、表示対象となる楽譜表示要素のコメントデータが複数記憶されているときには、当該コメントデータに含まれる日付情報のそれぞれに基づく順に当該コメントデータが示すコメントを前記コメント表示領域に表示する
ことを特徴とする楽譜表示装置。
【請求項2】
前記楽譜表示領域で表示する楽譜の表示範囲を設定する第1の設定手段と、
前記コメント表示領域で表示する日付の期間を設定する第2の設定手段と
をさらに有し、
前記表示手段は、前記第1の設定手段で設定された表示範囲の楽譜を表示するとともに、前記第2の設定手段で設定された日付の期間内に作成されたコメントを表示することを特徴とする請求項1に記載の楽譜表示装置。
【請求項3】
前記外部記憶装置に記憶されるコメントデータは、常に登録および更新が可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の楽譜表示装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記第2の取得手段によって取得された複数のコメントデータがそれぞれ示すコメントを、当該各コメントデータに含まれる日付情報が示す作成日時に従って経時的に表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の楽譜表示装置。
【請求項5】
表示する楽譜の複雑さの度合いを示す楽譜表示レベルを設定する第3の設定手段をさらに有し、
前記表示手段は、前記第1の取得手段によって取得された表示データのうち、前記第3の設定手段によって設定された楽譜表示レベルに対応する表示データに基づいて、楽譜を前記楽譜表示領域に表示するとともに、前記第2の取得手段によって取得された複数のコメントデータのうち、前記第3の設定手段によって設定された楽譜表示レベルに対応するコメントデータが示すコメントを前記コメント表示領域に表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の楽譜表示装置。
【請求項6】
曲の楽譜を表示するための表示データを複数曲分記憶するとともに、前記楽譜に関するコメントを示すコメントデータであって、そのコメントの作成日時を示す日付情報を含むものを1つの楽譜について複数登録できるものを複数曲分記憶する外部記憶装置と通信回線および接続手段を介して接続する接続手順と、
前記複数曲分の表示データのうち、ユーザが選択したいずれか1曲分の表示データを前記外部記憶装置から取得する第1の取得手順と、
前記第1の取得手順によって取得された1曲分の表示データによって表示される楽譜に関するコメントデータ群に含まれる複数のコメントデータを前記外部記憶装置から取得する第2の取得手順と、
所定の表示範囲の楽譜を表示する楽譜表示領域とコメントを表示するコメント表示領域を備える表示手段に対して、前記第1の取得手順によって取得された表示データに基づいて楽譜を前記楽譜表示領域に表示させるとともに、前記第2の取得手順によって取得された複数のコメントデータに含まれる日付情報のそれぞれに基づいて当該コメントデータが示すコメントを規定された表示態様で前記コメント表示領域に表示させる表示手順と
をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記外部記憶装置は、前記楽譜表示領域に表示される楽譜の一部であって、前記コメントの対象となる楽譜表示要素毎に複数のコメントデータを記憶することが可能であり、
前記表示手順は前記楽譜表示領域に複数の楽譜表示要素を表示できるとともに、当該楽譜表示要素毎にコメントを表示できるものであり、表示対象となる楽譜表示要素のコメントデータが複数記憶されているときには、当該コメントデータに含まれる日付情報のそれぞれに基づく順に当該コメントデータが示すコメントを前記コメント表示領域に表示する
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の楽譜表示レベルのそれぞれに応じた楽譜表示を行う楽譜表示装置および楽譜表示方法を実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の楽譜表示レベルのそれぞれに応じた楽譜表示を行う楽譜表示装置は、従来から知られている。
【0003】
このような楽譜表示装置として、A(高)〜E(低)の5段階に分けられた音楽スキルレベルのそれぞれと、表示すべき楽譜情報の種類とを対応付けたテーブルを予め用意しておき、ユーザがいずれかの音楽スキルレベルを選択すると、上記テーブルを検索することにより、選択された音楽スキルレベルで表示すべき楽譜情報の種類を決定し、決定した種類の楽譜情報を楽譜上に表示するようにした楽譜表示制御装置がある(たとえば、特許文献1参照)。楽譜情報としては、「コード」、「強弱記号」、「運指」、「ペダル」および「ドレミ読み」の5種類が例示されている。
【0004】
また、楽譜とともにアドバイスアイコンを表示し、アドバイスアイコンが指示されると、指示されたアドバイスアイコンに対応するアドバイス情報を表示するようにした演奏独習装置もある(たとえば、特許文献2参照)。各アドバイス情報は、インターネット経由で得ることもでき、曲中の位置を示すタイミング情報、譜面上の何に対応するものかを特定する記号IDおよび当該アドバイス情報の閲覧ページであるファイル名やURLによって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−330454号公報
【特許文献2】特開2004−102046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の楽譜表示制御装置では、ユーザの演奏上達を主たる目的としているために、練習パートの楽譜のみを表示し、その表示された練習パートの楽譜上に、選択された音楽スキルレベルに応じて決定された種類の音楽記号を表示しているので、ユーザが他のパートの楽譜や曲のすべてのパートの楽譜を見たいとしても、そのユーザの要望に応えることはできなかった。
【0007】
一方、上記従来の演奏独習装置では、表示されたアドバイス情報はいつ作成されたものか分からないので、アドバイス情報が人のコメントである場合のように、いつ作成されたか分かる方がユーザにとって都合がよいとしても、そのユーザの要望に応えることはできなかった。
【0008】
本発明は、この点に着目してなされたものであり、一部パートから全パートに亘って多段階に楽譜を表示するとともに、表示楽譜に関するコメントをその作成日時に基づいて表示することが可能となる楽譜表示装置および楽譜表示方法を実現するためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の楽譜表示装置は、曲の楽譜を表示するための表示データを複数曲分記憶するとともに、前記楽譜に関するコメントを示すコメントデータであって、そのコメントの作成日時を示す日付情報を含むものを1つの楽譜について複数登録できるものを複数曲分記憶する外部記憶装置と通信回線を介して接続する接続手段と、前記複数曲分の表示データのうち、ユーザが選択したいずれか1曲分の表示データを前記外部記憶装置から取得する第1の取得手段と、前記第1の取得手段によって取得された1曲分の表示データによって表示される楽譜に関する複数のコメントデータを前記外部記憶装置から取得する第2の取得手段と、所定の表示範囲の楽譜を表示する楽譜表示領域とコメントを表示するコメント表示領域を備え、前記第1の取得手段によって取得された表示データに基づいて楽譜を前記楽譜表示領域に表示するとともに、前記第2の取得手段によって取得された複数のコメントデータに含まれる日付情報のそれぞれに基づいて当該コメントデータが示すコメントを規定された表示態様で前記コメント表示領域に表示する表示手段とを有し、前記外部記憶装置は、前記楽譜表示領域に表示される楽譜の一部であって、前記コメントの対象となる楽譜表示要素毎に複数のコメントデータを記憶することが可能であり、前記表示手段は、前記楽譜表示領域に複数の楽譜表示要素を表示できるとともに、当該楽譜表示要素毎にコメントを表示できるものであり、表示対象となる楽譜表示要素のコメントデータが複数記憶されているときには、当該コメントデータに含まれる日付情報のそれぞれに基づく順に当該コメントデータが示すコメントを前記コメント表示領域に表示することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の楽譜表示装置は、請求項1の楽譜表示装置において、前記楽譜表示領域で表示する楽譜の表示範囲を設定する第1の設定手段と、前記コメント表示領域で表示する日付の期間を設定する第2の設定手段とをさらに有し、前記表示手段は、前記第1の設定手段で設定された表示範囲の楽譜を表示するとともに、前記第2の設定手段で設定された日付の期間内に作成されたコメントを表示することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の楽譜表示装置は、請求項1または2の楽譜表示装置において、前記外部記憶装置に記憶されるコメントデータは、常に登録および更新が可能であることを特徴とする
【0012】
請求項4に記載の楽譜表示装置は、請求項1〜3の楽譜表示装置において、前記表示手段は、前記第2の取得手段によって取得された複数のコメントデータがそれぞれ示すコメントを、当該各コメントデータに含まれる日付情報が示す作成日時に従って経時的に表示することを特徴とする。
請求項5に記載の楽譜表示装置は、請求項1〜4の楽譜表示装置において、表示する楽譜の複雑さの度合いを示す楽譜表示レベルを設定する第3の設定手段をさらに有し、前記表示手段は、前記第1の取得手段によって取得された表示データのうち、前記第3の設定手段によって設定された楽譜表示レベルに対応する表示データに基づいて、楽譜を前記楽譜表示領域に表示するとともに、前記第2の取得手段によって取得された複数のコメントデータのうち、前記第3の設定手段によって設定された楽譜表示レベルに対応するコメントデータが示すコメントを前記コメント表示領域に表示することを特徴とする。
上記目的を達成するため、請求項に記載のプログラムは、請求項1と同様の技術的思想によって実現できる。
【発明の効果】
【0013】
発明において、さらに表示する楽譜の複雑さの度合を複数の楽譜表示レベルのそれぞれと対応付け、ユーザがいずれかの楽譜表示レベルを選択すると、選択された楽譜表示レベルに対応する複雑さの楽譜を表示するようにすれば、ユーザは自分の目的に合った複雑さの楽譜表示を手軽に得ることができる。また、現在表示中の複雑さの楽譜が気に入らないなどの理由で、別の複雑さの楽譜を表示したいときには、ユーザは別の楽譜表示レベルを選択するだけでよいので、別の楽譜表示レベルの楽譜表示に簡単に切り替えることができる。さらに、楽譜表示の対象とする曲が複数パートからなるものである場合に、最高の楽譜表示レベルに曲のすべてのパートの楽譜表示を対応付けておけば、ユーザはこの最高の楽譜表示レベルを選択するだけで、その曲のすべてのパートの楽譜が表示されるので、ユーザはいつでも、曲全体の楽譜表示を見ることができる。
【0014】
所望の楽曲の楽譜とともに、当該楽譜に含まれる各楽譜表示要素に対応するコメントを表示し、そのコメント表示はコメントデータに含まれる日付情報に基づいてなされるので、ユーザは楽譜を見ながらコメントを確認でき、コメントはその新旧も一目で確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態に係る楽譜表示装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】楽譜表示データのフォーマットの一例を示す図である。
図3】表示レベルとして最高レベル7が選択されたときに図1中のディスプレイ上に表示された楽譜の一例を示す図である。
図4a図1の楽譜表示装置、特にCPUが実行する楽譜表示データ表示処理の手順を示すフローチャートである。
図4b図4aの楽譜表示データ表示処理の続きの手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係る楽譜表示装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0018】
同図に示すように、楽譜表示装置100は、文字入力用キーボード、マウス等のポインティングデバイス、鍵盤等の演奏操作子および各種スイッチ等の設定操作子からなる入力操作部1と、装置全体の制御を司るCPU2と、該CPU2が実行する制御プログラムや各種テーブルデータ等を記憶するROM3と、前記演奏操作子を用いて入力された演奏情報、各種入力情報および演算結果等を一時的に記憶するRAM4と、前記制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや各種楽曲データ、各種データ等を記憶する記憶装置5と、各種情報等を表示する、たとえばLCD(liquid crystal display)およびLED(light emitting diode)等を備えたディスプレイ6と、通信ネットワーク300を介して、楽譜データ供給装置200とデータの送受信を行う通信インターフェース(I/F)7と、前記演奏操作子を用いて入力された演奏情報や、前記記憶装置5に記憶されたいずれかの楽曲データを再生して得られた演奏情報等を楽音信号に変換する音源回路8と、該音源回路8からの楽音信号に各種効果を付与するための効果回路9と、該効果回路9からの楽音信号を音響に変換する、たとえば、DAC(digital-to-analog converter)やアンプ、スピーカ等のサウンドシステム10とにより構成されている。
【0019】
上記構成要素1〜9は、バス11を介して相互に接続され、通信I/F7には通信ネットワーク300が接続され、音源回路8には効果回路9が接続され、効果回路9にはサウンドシステム10が接続されている。
【0020】
記憶装置5は、たとえば、フレキシブルディスク(FD)、ハードディスク(HD)、CD−ROM、DVD(digital versatile disc)、光磁気ディスク(MO)および半導体メモリなどの記憶媒体とその駆動装置である。記憶媒体は駆動装置から着脱可能であってもよいし、記憶装置5自体が楽譜表示装置100から着脱可能であってもよい。あるいは、記憶媒体も記憶装置5も着脱不可能であってもよい。なお記憶装置5(の記憶媒体)には、前述のように、CPU2が実行する制御プログラムも記憶でき、ROM3に制御プログラムが記憶されていない場合には、この記憶装置5に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM4に読み込むことにより、ROM3に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU2にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。
【0021】
通信I/F7は、前述のように、たとえばLAN(local area network)やインターネット、電話回線等の通信ネットワーク300に接続されており、該通信ネットワーク300には、楽譜データ供給装置200が接続されている。したがって、楽譜表示装置100は、通信I/F7および通信ネットワーク300を介して楽譜データ供給装置200と接続されている。楽譜データ供給装置200は、複数種類の楽譜表示データを予め記憶し、楽譜表示装置100からの要求に応じて1つあるいは複数の楽譜表示データを読み出し、読み出した楽譜表示データを楽譜表示装置100に供給する。楽譜データ供給装置200は、本実施の形態では、楽譜表示データを供給するための専用の装置として構成しているが、これに限らず、汎用的なサーバコンピュータ内に構築した一機能(楽譜データ供給サイト)として構成してもよい。このように、汎用的なサーバコンピュータを採用し、その一機能として楽譜データ供給装置200を構成した場合、記憶装置5に前記各プログラムや各種パラメータが記憶されていなければ、それらをサーバコンピュータから取得するようにしてもよい。このとき、通信I/F7はサーバコンピュータからプログラムやパラメータをダウンロードするために用いられる。クライアントとなる楽譜表示装置100は、通信I/F7および通信ネットワーク300を介してサーバコンピュータへとプログラムやパラメータのダウンロードを要求するコマンドを送信する。サーバコンピュータは、このコマンドを受け、要求されたプログラムやパラメータを、通信ネットワーク300を介して楽譜表示装置100へと配信し、楽譜表示装置100が通信I/F7を介して、これらプログラムやパラメータを受信して記憶装置5に蓄積することにより、ダウンロードが完了する。
【0022】
なお、楽譜表示装置100は、上述の構成から分かるように、専用の装置上に構築されたものであるが、これに限らず、鍵盤を接続した汎用的なパーソナルコンピュータ上に構築してもよい。
【0023】
楽譜データ供給装置200は、楽譜表示装置100の上記構成と同様に構成すればよいが、楽譜データ供給装置200には、演奏操作子、設定操作子、音源回路8、効果回路9およびサウンドシステム10は必要ないので、これらを除いて構成してもよい。また、楽譜データ供給装置200は、本実施の形態では1台によって構成されているが、これに限らず、複数台によって構成されていてもよい。
【0024】
図2は、楽譜データ供給装置200に記憶される楽譜表示データのフォーマットの一例を示す図であり、同図には、ある曲の1曲分の楽譜表示データ210が示されている。
【0025】
楽譜表示データ210は主として、書誌データ210a、表示データ210b、演奏データ210c、レベル対応データ210dおよびコメントデータ210eによって構成されている。
【0026】
書誌データ210aは、当該楽譜表示データの書誌的事項を示すものであり、具体的には、タイトル(名称)および識別情報(ファイル名やカテゴリなど)を含んでいる。
【0027】
表示データ210bは、楽譜を表示させるためのデータである。本実施の形態では、楽譜表示の対象とする曲は複数パートからなる曲を想定しているので、表示データ210bも、ボーカルパート、ピアノ(右手/左手)パートおよびギターパートについての表示データ、具体的には、ボーカルパートの楽譜表示データ、歌詞表示データ、ピアノ右手パートの楽譜表示データ、ピアノ左手パートの楽譜表示データ、ピアノ用コード(和音)表示データ、ギター用コード表示データおよびギター用コードフォーム表示データを含んでいる。さらに表示データ210bは、各パートについての表示データの他にも楽譜表示に必要なデータ、具体的には、速度記号表示データ、反復記号表示データおよび楽節記号表示データなどを含んでいる。楽譜を表示するための表示データの典型的なものに、楽譜論理データと楽譜画像データがある。楽譜論理データとは、楽譜を構成する各種要素(音符や休符、その他の音楽記号)を表示するために必要な、各要素の種類を示す種類情報とその表示位置を示す位置情報からなるデータである。一方、楽譜画像データとは、そのまま表示するだけで、楽譜が表示される種類のデータであり、そのデータ形式には、たとえば、BMP(bitmap)、JPEG(JointPhotographic Expert Group)、GIF(graphics interchange format)、TIFF(tagged image file format)、PDF(portable document format)などがある。楽譜表示データとして、そのいずれを採用してもよいが、本実施の形態では便宜上、楽譜論理データを採用することにする。また、歌詞表示データの典型的なものに、歌詞テキストデータと歌詞画像データがあり、そのいずれを採用してもよいが、本実施の形態では便宜上、歌詞テキストデータを採用することにする。
【0028】
演奏データ210cは、表示データ210bによって楽譜の表示される曲を自動演奏する際に用いる自動演奏データであり、パート毎に独立して設けられている。もちろん、パート毎に独立して設けるのではなく、すべてのパートを混在させて1曲分の演奏データとして構成してもよい。この場合、演奏データを構成する各イベントデータに、当該イベントデータがどのパートに属するかを示す情報を付随させて、そのイベントデータを演奏順に1列に配列して(パート別ではなく)演奏データを構成するようにすればよい。また、本発明の主たる目的は楽譜表示にあるので、演奏データ210cを省略して、楽譜表示中に自動演奏することができないようにしてもよい。
【0029】
レベル対応データ210dは、楽譜表示についての複数の表示レベル(本実施の形態では、“1”から“7”までの7レベル設けられ、“1”が最低レベルを示し、“7”が最高レベルを示している)のそれぞれで、何を表示するかを規定するデータである。本実施の形態では、表示レベルと表示内容とを次のように対応付けている。すなわち、
レベル1:ボーカルパートの楽譜と歌詞を表示
レベル2:レベル1の表示内容に、ピアノ用コードを追加して表示
レベル3:レベル2の表示内容に、ピアノ右手パートの楽譜を追加して表示
レベル4:レベル3の表示内容に、ピアノ左手パートの楽譜を追加して表示
レベル5:レベル4の表示内容に、装飾音と強弱記号を追加して表示
レベル6:レベル5の表示内容に、奏法記号(アルペジオやグリッサンドなど)を追加して表示、つまりギターパートの楽譜表示要素以外を表示
レベル7:表示データ210bに含まれる楽譜表示要素をすべて表示
である。もちろん、この対応付けは一例に過ぎず、他の対応付けを採用するようにしてもよい。また、表示対象の楽譜表示データが変われば、一般的にパート構成も変わるので、その場合には、各表示レベルと各パートの対応付けも当然ながら変動する。要するに、表示レベルは、表示する楽譜の、特に曲のパート数に関する複雑さ(あるいは詳細さ)のレベルを示している。
【0030】
コメントデータ210eは、表示データ210bによって表示される楽譜についての様々な人の意見やアドバイスなどを示すものであり、各コメントデータ210eは、たとえば、作成日時、コメント対象、作成者、表示態様およびコメント内容の各情報によって構成されている。コメントデータ210eは、本実施の形態では、作成日時、作成者およびコメント対象のうちのいずれか1つでも異なれば、異なったコメントデータが生成されるようにしている。たとえば、同一作成者が同日の異なる時刻t1およびt2に同じコメント対象についてコメントした場合には、2つの異なったコメントデータが作成されて、当該楽譜表示データに登録される。
【0031】
コメントデータ210eに含まれる「作成者」は、その作成者を特定できる情報であれば、どのようなものを採用してもよいが、たとえば、名前やIDなどを挙げることができる。「コメント対象」は、コメント対象物がどのような種類のもの(具体的には、パート、音符、音楽記号、楽譜上の範囲、歌詞およびコードなど)であり、その対象物がどこにあるか(具体的には、曲中の位置(小節や拍など)や、対象物と1対1で対応付けられたIDなど)を特定する情報である。「表示態様」は、当該コメントデータを表示する際の態様を規定するものであり、たとえば、アイコンの種類やIDなどを挙げることができる。「コメント内容」は、コメントの内容とその表現態様を示すものである。表現態様としては、たとえば、テキスト、音声、静止画像および動画像(音声も含む)などを挙げることができる。
【0032】
コメントの各対象物とそのコメント内容の例としては、たとえば、次のようなものを挙げることができる。すなわち、
パート:パートそのものや曲の中での役割についてのコメント
音符:音符の音高、音長あるいは弾き方についてのコメント、あるいは装飾音符の弾き方についてのコメントなど
音楽記号:単独の音符に付加するタイプの記号(スタッカート、トリル、臨時記号など)あるいは隣接する複数の音符付加するタイプの記号(アルペジオ、スラー、オクターブシフトなど)の意味や弾き方などについてのコメント
範囲:楽譜中の任意の範囲についてのコメント、あるパートのある範囲にかかる強弱記号(クレッシェンド、デクレッシェンドなど)や発想記号、音部記号などの意味や弾き方など、もしくは曲全体のある範囲にかかる速度記号の意味や弾き方の注意などについてのコメント
歌詞:歌い方のアドバイスやミュートの案内など
コード:コードの説明や押さえ方(弾き方)などについてのコメント
である。
【0033】
コメントデータは、楽譜データ供給装置200にログインできるクライアント端末(楽譜表示装置100を含む)から自由にアップロードすることができるようになっているので、コメントデータ210eは常に登録および更新(削除や編集)される。このように、コメントデータは曲データに元々付加されているものに加えて、同じ曲データを参照したユーザ(複数の可能性あり)により登録および更新が可能なので、自由度が高く、豊富な情報が期待できる。
【0034】
なお、本実施の形態では上述のように、楽譜表示データ210は、表示データ210b、演奏データ210c、レベル対応データ210dおよびコメントデータ210eをすべて含んでいるとしたが、これに限らず、各データ210b〜210eが別々に記憶されていて、それらの対応関係が分かるような仕組みになっていてもよい。特に、レベル対応データは、曲データ共通で用意されていてもよい。その場合には、楽譜表示装置100は、楽譜表示時に、曲データ共通で用意されているレベル対応データにアクセスし、このレベル対応データのうち、そのとき選択されている表示レベルに対応するものを参照し、表示データ210bから表示すべき(複雑さの)楽譜に必要なものを抽出して表示するようにすればよい。
【0035】
また、レベル対応データ210dを省略し、表示データ210bを表示レベル毎に個別に用意しておくようにしてもよい。これにより、表示レベルが決まれば、楽譜表示に用いるべき表示データが一意的に決まるので、CPU2は、それを読み出して、楽譜論理データから表示用のデータに変換した後、ディスプレイ6に供給すればよい。
【0036】
以上のように構成された楽譜表示装置100が実行する制御処理を、まず図3を参照してその概要を説明し、次に図4aおよび図4bを参照して詳細に説明する。
【0037】
ユーザが楽譜表示装置100から楽譜データ供給装置200に対して楽譜表示データの供給を指示すると、楽譜データ供給装置200は、この指示に応じた楽譜表示データを楽譜表示装置100に送信する。楽譜表示装置100は、楽譜データ供給装置200からの楽譜表示データを、通信ネットワーク300および通信I/F7を介して受信し、一時的に保存するとともに、ディスプレイ6の前記LCD上に表示する。
【0038】
図3は、図2の楽譜表示データ210に基づいてディスプレイ6(のLCD)上に表示された楽譜表示画面61の一例を示す図であり、表示レベルとして最高レベル7が選択されたときの画面例を示している。
【0039】
楽譜表示画面61は、表示楽譜上の表示要素(コメント対象物)についての様々な人のコメントを規定された表示態様(図示例では、どのコメントであっても、その外形がアイコン形状)で表示する第1の表示領域と、パート毎の楽譜を表示する第2の表示領域とによって構成されている。
【0040】
第1の表示領域には、タイムライン61aが表示される。タイムライン61aは、ユーザによって(あるいはデフォルトで)設定された範囲(期間)を経時的なライン(時間軸)で表現したものである。図示例では、タイムライン61aの先頭(左端)が、当該設定期間内で最も古い日時を示し、末尾(右端)が最も新しい日時を示している。これとは逆に、タイムライン61aの末尾から先頭に至るに従って、日時が新しくなって行くように設定することもできる。タイムライン61a上には、設定期間内に作成されたコメントデータ、つまり楽譜表示データ210内のコメントデータ210eのうち、当該設定期間内に作成されたものが、作成日時に相当する位置にアイコン形状(以下、「コメントアイコン」という)61bで表示される。第1の表示領域にはさらに、タイムライン61aの時間的な範囲をより古い時刻に戻す指示を行う「戻る」ボタン61dと、より新しい時刻に進める指示を行う「進める」タン61eとが表示されている。
【0041】
第2の表示領域には、ユーザによって(あるいはデフォルトで)設定された表示範囲内の楽譜がパート毎に表示される。楽譜表示データ210は前述のように、ボーカルパート、ピアノ(右手/左手)パートおよびギターパートの3つ(ただし、「ピアノ右手パート」と「ピアノ左手パート」を別パートと見なした場合には、4つ)のパートによって構成されているので、最大3つのパートの楽譜が表示される。第2の表示領域にはさらに、レベル1〜7のそれぞれが対応付けられ、いずれかの表示レベルを選択するためのレベル選択ボタン61cと、楽譜が全体のうちの一部のみ表示されているときに、隠れている楽譜を表示させるために表示楽譜を戻す指示を行う「戻る」ボタン61hと、表示楽譜を進める指示を行う「進める」タン61iとが表示されている。
【0042】
本発明の1つの特徴は、表示する楽譜の、特に曲のパート数に関する複雑さの度合を各表示レベルと対応付け、選択された表示レベルに対応する複雑さの楽譜を表示する点にある。楽譜表示画面61は、表示する楽譜の複雑さとして最高レベル7が選択されたときの楽譜表示を示しているので、楽譜表示データ210に含まれるすべてのパートの楽譜を表示している。このとき、ユーザがカーソルCをレベル選択ボタン61cのうち、“1”の付けられたボタンに合わせてクリックすると、最低レベル1が選択され、第2の表示領域には、ボーカルパートの楽譜と歌詞のみが表示されることになる。つまり、楽譜表示画面61の第2の表示領域に表示されていた、ギターパートに関する「ギターコード」および「コードフォーム」と、ピアノパートに関する「コード」、「ピアノパート高音部譜表」および「ピアノパート低音部譜表」は消去される。なお、楽譜表示画面61の第2の表示領域に「文字」で記載されている、「ギターコード1,2」、「コードフォーム1,2」、「コード1,2」、「全休符」、「(ボーカル)メロディの楽譜」…などは、図面の作成上そのように表現しているのであって、実際には、対応する記号や音符の「絵」が表示されている。
【0043】
本発明のもう1つの特徴は、楽譜表示データに含まれるすべてのコメントデータから、選択された表示レベルに応じた一部あるいは全部のコメントデータを読み出し、読み出したコメントデータを所定の表示態様でタイムライン上に経時的に表示する点にある。したがって、楽譜表示画面61の第1の表示領域に表示されたタイムライン61a上には、すべてのパートに関するコメントアイコン61bが表示されるが、表示レベルが、上述のようにレベル7からレベル1に変更されると、これに伴って、コメントアイコン61bのうち、消去されたパートに関するものは、タイムライン61a上から消去される。
【0044】
表示楽譜についてのコメント内容は、ユーザが次のいずれかの操作を行ったときに表示される。すなわち
(a)カーソルCをタイムライン61a上に表示されているコメントアイコン61bのいずれかに合わせてダブルクリック操作
(b)カーソルCを楽譜上のコメント対象物のいずれかに合わせてダブルクリック操作
である。
【0045】
ユーザが、たとえば、コメントアイコン61bのうち、「コメント3」のアイコンをダブルクリックした場合、「コメント3」のアイコンに対応するコメントデータ210eに含まれる「コメント対象」情報によって示されるコメント対象物(楽譜表示画面61では、破線で描かれた円61g内の8分音符)の近傍にコメント内容61fが表示される。一方、ユーザは円61g内をカーソルCでダブルクリックしても同様に、その近傍にコメント内容61fが表示される。
【0046】
このように本実施の形態では、表示する楽譜の、特に曲のパート数に関する複雑さの度合を各表示レベルと対応付け、ユーザがいずれかの表示レベルを選択すると、選択された表示レベルに対応する複雑さの楽譜を表示するようにしたので、ユーザは自分の目的に合った複雑さの楽譜表示を手軽に得ることができる。また、現在表示中の複雑さの楽譜が気に入らないなどの理由で、別の複雑さの楽譜を表示したいときには、ユーザは別の表示レベルに対応するレベル選択ボタン61cを操作するだけでよいので、別の表示レベルの楽譜表示にワンタッチで簡単に切り替えることができる。さらに、最高の表示レベルに対応するレベル選択ボタン61cが操作された場合には、楽譜の表示対象となっている曲のすべてのパートの楽譜が表示されるので、ユーザはいつでも、曲全体の楽譜表示を見ることができる。
【0047】
またタイムライン61a上には、コメントアイコン61bが当該コメントデータ210eの作成順に表示されるので、ユーザはコメントアイコン61bの並びを見るだけで、各コメントの作成日時の新旧を一目で確認することができる。さらに、楽譜上のコメント対象物が同じであっても、コメントの作成日時が異なればコメントアイコン61bも異なった位置にそれぞれ表示されるので、ユーザは同じコメント対象物についてのコメントの新旧も一目で確認することができる。
【0048】
次に、この制御処理を詳細に説明する。
【0049】
図4aおよび図4bは、楽譜表示装置100、特にCPU2が実行する楽譜表示データ表示処理の手順を示すフローチャートである。
【0050】
本楽譜表示データ表示処理は、主として、
(1)楽譜データ供給装置200へのログイン処理(ステップS1)
(2)初期設定処理(ステップS3,S4)
(3)楽譜表示データのダウンロード処理(ステップS5)
(4)楽譜表示処理(ステップS6)
(5)タイムライン表示処理(ステップS7)
(6)コメント内容表示処理(ステップS9〜S21)
(7)表示レベルの変更処理(ステップS23,S28,S6,S7)
(8)楽譜表示範囲の変更処理(ステップS25,S28,S6,S7)
(9)タイムライン範囲の変更処理(ステップS27,S29,S7)
(10)楽譜表示データ表示処理の終了処理(ステップS35)
によって構成されている。
【0051】
本楽譜表示データ表示処理は、たとえば前記入力操作部1に含まれる電源スイッチ(図示せず)によって電源がオンされたときに起動される。起動後、前記(1)の楽譜データ供給装置200へのログイン処理が1回実行され、これに続いて、前記(2)〜(9)の各処理が適宜実行される。そして(2)〜(9)の各処理は、楽譜表示データ表示処理の終了が指示されるまで、あるいは電源スイッチによって電源がオフされるまで、適宜繰り返し実行される。なお、楽譜表示データ表示処理の終了が指示されると、前記(10)の楽譜表示データ表示処理の終了処理が実行された後、本楽譜表示データ表示処理は終了する。
【0052】
本楽譜表示データ表示処理が起動すると、CPU2は、処理を前記(1)の楽譜データ供給装置200へのログイン処理に進める。この(1)楽譜データ供給装置200へのログイン処理では、まずCPU2は、前記通信I/F7を介して通信ネットワーク300に接続し、通信ネットワーク300上にある楽譜データ供給装置200を探し出してアクセスする。次にCPU2は、所定のログイン手続(たとえば、ログインIDおよびパスワードの入力)を楽譜データ供給装置200に行うことで、楽譜データ供給装置200にログインする。これに応じて楽譜データ供給装置200は、供給可能な楽譜表示データのリスト(名称の一覧)を楽譜表示装置100に送信する。楽譜表示装置100は、その楽譜表示データのリストを受信して、前記RAM4に一時的に保存するとともに、ディスプレイ6(の前記LCD)上に表示する。
【0053】
ユーザが楽譜表示データのリストからいずれか1つの楽譜表示データの名称を選択すると、CPU2は、処理を前記(2)の初期設定処理に進める(ステップS2→S3)。この(2)初期設定処理では、CPU2は、選択された楽譜表示データの名称をRAM4に保存した(ステップS3)後、初期設定を行う(ステップS4)。この初期設定では、表示レベルの設定、楽譜の表示範囲の設定およびタイムラインの範囲の設定などを行う。
【0054】
表示レベルの設定とは、レベル1からレベル7までの7種類の表示レベルから、いずれか1つを選択して設定することであるが、本実施の形態では説明の都合上、いずれの表示レベルが選択されるかはデフォルトで決まっているものとする。もちろんこれに限らず、処理がステップS4の初期設定に進む度に、ユーザに表示レベルの選択を促し、これに応じてユーザが選択したものを設定するようにしてもよい。あるいは、本楽譜表示データ表示処理が終了するときに選択されている表示レベルを保存しておき、本楽譜表示データ表示処理を次回起動するときに、保存している表示レベルを読み出して設定するようにしてもよい。さらに、ステップS4の初期設定は、本楽譜表示データ表示処理が起動した直後に実行されるだけではなく、別の楽譜表示データが選択された場合にも実行される(後述するステップS31参照)が、この場合には、現在選択されている表示レベルが維持される方が好ましいので、ステップS4の初期設定で、デフォルトの表示レベルが選択設定されるようになっていたとしても、何もせずに、現在の表示レベルが維持されるようにすればよい(以上の事情は、次の「楽譜の表示範囲の設定」および「タイムラインの範囲の設定」についても同様である)。
【0055】
楽譜の表示範囲とは、LCDの画面に一度に表示する楽譜の範囲のことであり、たとえば、1〜4小節というように、表示する楽譜の先頭と末尾を指定して設定する。
【0056】
タイムラインの範囲とは、LCDの画面に一度に表示する時間軸の範囲のことであり、たとえば、2009年1月〜2009年12月というように、表示する時間軸の先頭と末尾を指定して設定する。
【0057】
次にCPU2は、処理を前記(3)の楽譜表示データのダウンロード処理に進める(ステップS5)。この(3)楽譜表示データのダウンロード処理では、まずCPU2は、名称の保存されている楽譜表示データを楽譜データ供給装置200から取得するように、楽譜データ供給装置200に対してダウンロード指示を行う。これに応じて楽譜データ供給装置200は、当該楽譜表示データを自身の記憶装置から読み出して楽譜表示装置100に送信する。CPU2は、この楽譜表示データを受信して、RAM4に確保した楽譜表示データ格納領域(図示せず)に格納する。
【0058】
次にCPU2は、処理を前記(4)の楽譜表示処理に進める(ステップS6)。この(4)楽譜表示処理では、CPU2は、上記楽譜表示データ格納領域に格納されている楽譜表示データ(以下、この楽譜表示データは前記図2の楽譜表示データ210であるとする)内のレベル対応データ210dのうち、現在設定されている表示レベルに対応するものによって規定される表示内容(楽譜の複雑さ)を表示するのに必要な表示データであって、現在設定されている楽譜の表示範囲内の表示データを表示データ210bから抽出し、抽出した表示データに基づいて楽譜を表示する。
【0059】
次にCPU2は、処理を前記(5)のタイムライン表示処理に進める(ステップS7)。この(5)タイムライン表示処理では、CPU2は、楽譜表示データ210に含まれる各コメントデータ210eについて、
(21)当該コメントデータ210eが現在設定されているタイムライン61aの表示範囲内のものであるかどうかを、当該コメントデータ210eに含まれる「作成日時」情報に基づいてチェックする
(22)上記(21)のチェックが通った場合にはさらに、当該コメントデータ210eが現在設定されている表示レベルに適合するかどうか(表示すべきものであるかどうか)を、レベル対応データ210d(のうち、現在設定されている表示レベルに対応するもの)と当該コメントデータ210eに含まれる「コメント対象」情報の「対象物の種類」に関する情報に基づいてチェックする
(23)上記(22)のチェックが通った場合には、タイムライン61a内での当該コメントデータ210eの表示位置を、上記「作成日時」情報およびタイムラインの範囲に基づいて算出し、算出した位置に対応する表示画面61上の位置に当該コメントデータ210eを、当該コメントデータ210eに含まれる「表示態様」情報に応じた表示態様で表示する。
【0060】
ただし、上記(21)と(22)のチェックのいずれか1つでも通らなかった場合には、当該コメントデータ210eはタイムライン61aへ表示すべきものではないと判定し、当該コメントデータ210eに対するそれ以降の処理を中止する。
【0061】
なお本実施の形態では、「表示態様」情報によって示される表示態様は、どのコメントデータであっても、同じアイコン形状である(したがって、前記図3のタイムライン61a上には、コメントの作成者が異なっても、同じアイコン形状のコメントアイコン61bが複数表示されている)が、(外形の)形状は同じアイコン形状であっても、そのデザインや貼り付ける画像などの違いが「表示態様」情報に反映されているので、この「表示態様」情報だけで、そのコメントデータ210eの作成者を特定できるものとする。また、各コメントアイコン61bには通常、「プロパティ」として各種情報を付随させて記憶しておくことができるので、本実施の形態では、前記(23)の処理で、コメントデータ210eのコメントアイコン61bを表示するときに、そのコメントアイコン61bに「作成日時」情報および「表示態様」情報を付随させて記憶しておくことにする。
【0062】
次にCPU2は、ユーザによってコメント内容の表示が指示されたかどうかをチェックする(ステップS8)。コメント内容は、制御処理の概要で前述したように、ユーザが(a)カーソルCをタイムライン61a上に表示されているコメントアイコン61bのいずれかに合わせてダブルクリックしたとき、あるいは(b)カーソルCを楽譜上のコメント対象物のいずれかに合わせてダブルクリックしたときに表示される。したがって、ステップS8では、ユーザが上記(a)あるいは(b)のいずれかの操作をしたかどうかをチェックしている。
【0063】
ステップS8のチェックの結果、ユーザによってコメント内容の表示が指示されたときには、CPU2は処理を前記(6)のコメント内容表示処理に進める(図4bのステップS9)一方、ユーザによってコメント内容の表示が指示されないときには、CPU2は処理をステップS34に進める。
【0064】
(6)コメント内容表示処理は、上記(a)の操作がなされたときに実行される第1のコメント内容表示処理(ステップS11,S12,S21)と、上記(b)の操作がなされたときに実行される第2のコメント内容表示処理(ステップS13〜S21)とによって構成されている。ただし、(6)コメント内容表示処理には、選択されたコメント表示対象をRAM4に保存する処理(ステップS9)と、保存されたコメント表示対象に基づいて、ユーザが上記(a)または(b)のいずれの操作を行ったかをチェックする処理(ステップS10)も含まれている。
【0065】
ユーザが上記(a)の操作を行うことにより、処理が(6)コメント内容表示処理に進むと、まずCPU2は、選択されたコメント表示対象をRAM4に確保したコメント表示対象保存領域(図示せず)に保存する(ステップS9)。ここで、選択されたコメント表示対象はコメントアイコン61bであるので、コメント表示対象保存領域には、そのコメントアイコン61bを特定する情報と前記「プロパティ」の情報が保存される。次にCPU2は、コメント表示対象格納領域に保存された情報に基づいて、タイムライン61a上のコメントアイコン61bが選択されたかどうかをチェックする(ステップS10)。このとき、コメント表示対象格納領域にはコメントアイコン61bを特定する情報が保存されているので、CPU2は処理を前記第1のコメント内容表示処理に進める(ステップS10→S11)。
【0066】
この第1のコメント内容表示処理では、まずCPU2は、選択されたコメントアイコン61bから「作成日時」情報を抽出する(ステップS11)。コメントアイコン61bには、「プロパティ」として「作成日時」情報が付随して記憶され、「プロパティ」の情報は、上述のようにコメント表示対象格納領域に保存されているので、上記ステップS11では、CPU2は、コメント表示対象格納領域に保存された「プロパティ」から「作成日時」情報を抽出している。次にCPU2は、抽出した「作成日時」情報を持ち、選択されたコメントアイコン61bと同じ「表示態様」情報を持つコメントデータ210eを楽譜表示データ210から検索し、検索したコメントデータ210eからコメント内容情報を抽出して表示する(ステップS12)。コメント内容を表示する位置は、本実施の形態では、コメントアイコン61bが表示されているタイムライン61a上の位置の近傍ではなく、コメント対象物が表示されている楽譜上の位置の近傍であるので、上記ステップS12では、CPU2は、検索したコメントデータ210eに含まれる「コメント対象」情報の「位置」に関する情報に基づいて、コメント対象物が表示されている楽譜上の位置を特定し、その位置の近傍に「コメント内容」を表示する。そして、コメント内容表示を終了させるための条件(たとえば、所定の時間が経過したこと)が満たされると、CPU2はコメント内容表示を終了させる(ステップS21)。
【0067】
一方、ユーザが上記(b)の操作を行うことにより、処理が(6)コメント内容表示処理に進むと、CPU2は処理を前記ステップS9に進め、選択されたコメント表示対象をコメント表示対象保存領域に保存する。ここで、選択されたコメント表示対象は楽譜上のコメント対象物であるので、次のステップS10のチェックでは、タイムライン61a上のコメントアイコン61bが選択されていないことになり、CPU2は処理を前記第2のコメント内容表示処理に進める(ステップS10→S13)。
【0068】
この第2のコメント内容表示処理では、まずCPU2は、楽譜上の選択されたコメント対象物を抽出し、このコメント対象物に関連するコメントデータをすべて、楽譜表示データ210内の各コメントデータ210eに含まれる「コメント対象」情報に基づいて抽出する(ステップS13)。次にCPU2は、抽出したコメントデータの個数に従って次のような制御処理を行う。すなわち、
(31)コメントデータの個数が0個:コメント内容表示を終了させる(ステップS14→S16→S21)
(32)コメントデータの個数が1個:楽譜上の選択されたコメント対象物の近傍に、抽出したコメントデータに含まれるコメント内容情報を表示させた(ステップS14→S15)後、(コメント内容表示を終了させるための前記条件が満たされたときに)コメント内容表示を終了させる(ステップS21)
(33)コメントデータの個数が2個以上:抽出した各コメントデータに含まれる「作成日時」情報を参照し、当該各コメントデータを作成日時の新しい順もしくは古い順にソートし(ステップS14→S16→S17)、楽譜上の選択されたコメント対象物の近傍に、ソート後の先頭に位置するコメントデータに含まれるコメント内容情報を表示させる(ステップS18)。そして、同一のコメント対象物について次のコメント内容の表示が指示される度に、現在のコメント内容表示を終了させて、同じ位置に、ソート後の順番で次に位置するコメントデータに含まれるコメント内容情報を1つ表示させる(ステップS19→S20→S19)。一方、同一のコメント対象物について次のコメント内容の表示が指示されなければ、(コメント内容表示を終了させるための前記条件が満たされたときに)コメント内容表示を終了させる(ステップS19→S21)。
【0069】
上記ステップS19における「次のコメント内容の表示の指示」は、たとえば、ユーザが表示されたコメント内容(前記図3では、コメント内容61f)上をダブルクリックすることでなされる。このとき、上記ステップS18,S20の処理によれば、複数のコメント内容が重なって表示されるので、ユーザは、コメント内容が複数個あるのか単数個しかないのか、分かり難い。したがってこの場合、コメント内容上あるいはその近傍に、個数を表示したり、あるいは各コメント内容の表示位置を少しずつずらしながら重ねて表示したりすればよい。
【0070】
なお、ユーザが前記(b)の操作をする場合、楽譜上のどの表示要素がコメント対象物であるか、つまりコメントのついている表示要素がどれであるか判別し難いので、音楽記号や音符に関するコメントは、対象の音楽記号や音符をまず選択状態にしてコメントを表示させるようにしたり、初めから吹き出しなどでそれぞれの音楽記号や音符の近くにコメントを表示させるようにした方が好ましい。
【0071】
前記図4aのステップS22では、CPU2は、表示レベルの変更が指示されたかどうかをチェックする。表示レベルの変更の指示は、本実施の形態では前述のように、ユーザが前記図3のレベル選択ボタン61cのいずれかにカーソルCを合わせてクリック操作することでなされるので、ステップS22では、CPU2は当該ユーザ操作があったかどうかをチェックする。このチェックの結果、当該ユーザ操作があったときには、CPU2は処理を前記(7)の表示レベルの変更処理に進める(ステップS22→S23)一方、当該ユーザ操作がなかったときには、CPU2は処理をステップS24に進める。
【0072】
この(7)表示レベルの変更処理では、CPU2は、指示された新しいレベルを(現在の)表示レベルとして更新する(ステップS23)。表示レベルが新しいレベルに更新されると、その後のステップS28のチェックで、CPU2は、表示レベルが現在の楽譜表示以降設定変更されたと判定し、処理を前記(4)の楽譜表示処理に戻す(ステップS28→S6)。これにより、CPU2は、新たなレベルに基づいて楽譜表示画面61を再生成し、ディスプレイ6上に表示する。
【0073】
前記ステップS24では、CPU2は、楽譜の表示範囲の変更が指示されたかどうかをチェックする。楽譜の表示範囲の変更の指示は、本実施の形態では前述のように、ユーザが図3の「戻る」ボタン61hあるいは「進める」ボタン61iのいずれかにカーソルCを合わせてクリック操作することでなされるので、ステップS24では、CPU2は当該ユーザ操作があったかどうかをチェックする。このチェックの結果、当該ユーザ操作があったときには、CPU2は処理を前記(8)の楽譜表示範囲の変更処理に進める(ステップS24→S25)一方、当該ユーザ操作がなかったときには、CPU2は処理をステップS26に進める。
【0074】
この(8)楽譜表示範囲の変更処理では、CPU2は、指示された表示範囲を(現在の)楽譜の表示範囲として更新する(ステップS25)。楽譜の表示範囲が新しい表示範囲に更新されると、その後のステップS28のチェックで、CPU2は、楽譜の表示範囲が現在の楽譜表示以降設定変更されたと判定し、処理を前記(4)の楽譜表示処理に戻す(ステップS28→S6)。これにより、CPU2は、新たな楽譜の表示範囲に基づいて楽譜表示画面61を再生成し、ディスプレイ6上に表示する。
【0075】
前記ステップS26では、CPU2は、タイムラインの範囲の変更が指示されたかどうかをチェックする。タイムラインの範囲の変更の指示は、本実施の形態では前述のように、ユーザが図3の「戻る」ボタン61dあるいは「進める」ボタン61eのいずれかにカーソルCを合わせてクリック操作することでなされるので、ステップS26では、CPU2は当該ユーザ操作があったかどうかをチェックする。このチェックの結果、当該ユーザ操作があったときには、CPU2は処理を前記(9)のタイムライン範囲の変更処理に進める(ステップS26→S27)一方、当該ユーザ操作がなかったときには、CPU2は処理をステップS28に進める。
【0076】
この(9)タイムライン範囲の変更処理では、CPU2は、指示された新しい時間範囲を(現在の)タイムラインの範囲として更新する(ステップS27)。タイムラインの範囲が新しい時間範囲に更新されると、その後のステップS29のチェックで、CPU2は、タイムラインの範囲が現在の楽譜表示以降設定変更されたと判定し、処理を前記(5)のタイムライン表示処理に戻す(ステップS29→S7)。これにより、CPU2は、新たな時間範囲に基づいて、楽譜表示画面61のうち、タイムライン61a内の表示を更新する。
【0077】
表示レベル、楽譜の表示範囲およびタイムラインの範囲のいずれも、現在の楽譜表示以降設定変更されないときには、CPU2は処理をステップS30に進める(ステップS28→S29→S30)。ステップS30では、CPU2は、楽譜表示データ210に含まれる演奏データ210cを再生する再生処理などのその他の処理を実行する。再生処理は、たとえば、ユーザが楽譜表示画面61内に表示された再生ボタン(図示せず)にカーソルCを合わせてクリックしたときに起動され開始される。制御処理の概要で前述したように、楽譜表示画面61内の楽譜は、表示レベルが低くなればなるほど、少ないパート数で表示されるが、すべてのパートの楽譜が表示されていなくても、再生処理では、すべてのパートの自動演奏データを再生するようにしている。もちろんこれに限らず、楽譜表示されているパートの自動演奏データのみ再生するようにしてもよい。なお、本発明の特徴は再生処理の仕方にある訳ではなく、演奏データ210cのフォーマットに応じた公知の再生方法を用いて再生処理を構成すればよいので、再生処理の具体的な方法についての説明は省略する。このように本実施の形態では、選択された表示レベルにより楽譜表示されていないパートがあったとしても、再生時には全パートの演奏データが自動演奏されるので、ユーザは曲そのものを楽しむことができる。
【0078】
続くステップS31では、CPU2は、別の楽譜表示データが選択されたかどうかをチェックする。現在楽譜が表示されているときに、別の楽譜表示データを選択する方法としては、たとえば、ユーザが楽譜表示画面61上の任意の位置にカーソルCを合わせ、前記マウスの右ボタンをクリックすると、ポップアップメニューが表示され、そのメニュー内に記載されている「楽譜表示データの選択」の項目を選択すると、前記(1)の楽譜データ供給装置200へのログイン処理で説明した、楽譜表示データのリスト(RAM4に保存されているもの)が表示され、そのリストからいずれか1つの楽譜表示データの名称を選択する方法が考えられる。ステップS31のチェックの結果、別の楽譜表示データが選択されたときには、CPU2は処理を前記(2)の初期設定処理に進める(ステップS2)。これにより、CPU2は、新たな別の楽譜表示データに基づいて楽譜表示画面61を再生成し、ディスプレイ6上に表示する。一方、別の楽譜表示データが選択されなかったときには、CPU2は処理をステップS32に進める。
【0079】
ステップS32では、CPU2は、コメントデータを更新すべきかどうかチェックする。本発明は、楽譜データ供給装置200から常に最新のコメントデータを取得して表示することも1つの特徴としている。ステップS32の処理は、この特徴を担保するものである。コメントデータを更新すべきかどうかの判定基準としては、所定の時間(たとえば、1分)毎が考えられる。ステップS32のチェックの結果、コメントデータを更新すべきときには、CPU2は処理を前記(3)の楽譜表示データのダウンロード処理に進める(ステップS32→S5)。これにより、CPU2は、新たにダウンロードした楽譜表示データから最新のコメントデータを取得し、このコメントデータに基づいて、タイムライン61a上にコメントアイコンを表示する。ただしこの場合、前記(4)の楽譜表示処理も実行されるが、ダウンロードされた楽譜表示データ中、コメントデータ以外は変わっていないので、この(4)楽譜表示処理が実行されたとしても、楽譜表示自体は変わらない。このため、この場合には(4)楽譜表示処理を実行しないようにしてもよい。
【0080】
一方、ステップS32のチェックの結果、コメントデータを更新すべきでないときには、CPU2は処理をステップS33に進める。ステップS33では、CPU2は、本楽譜表示データ表示処理の終了が指示されたかどうかをチェックする。このチェックの結果、本楽譜表示データ表示処理の終了が指示されたときには、CPU2は処理を前記(10)の楽譜表示データ表示処理の終了処理に進める(ステップS33→S35)一方、本楽譜表示データ表示処理の終了が指示されないときには、CPU2は処理を前記ステップS8に進める。
【0081】
(10)楽譜表示データ表示処理の終了処理では、CPU2は、所定のログオフ手続を楽譜データ供給装置200に行うことで、楽譜データ供給装置200からログオフしたり、現在選択中の表示レベル、楽譜の表示範囲およびタイムラインの範囲などを記憶装置5に記憶させたりする。後者の処理によれば、本楽譜表示データ表示処理が次回起動されたときに、直前の選択状態および設定状態を再現することができる。
【0082】
前記ステップS2のチェックの結果、楽譜表示データが選択されていなければ、CPU2は処理をステップS34に進める。ステップS34では、前記ステップS33と同様に、CPU2は、本楽譜表示データ表示処理の終了が指示されたかどうかをチェックする。このチェックの結果、本楽譜表示データ表示処理の終了が指示されたときには、CPU2は処理を前記(10)の楽譜表示データ表示処理の終了処理に進める(ステップS34→S35)一方、本楽譜表示データ表示処理の終了が指示されないときには、CPU2は処理を前記ステップS2に戻す。(10)楽譜表示データ表示処理の終了処理については、既に説明したので、ここでは繰り返さない。
【0083】
本実施の形態では、主として楽譜表示データ表示処理について説明したので、コメントデータを楽譜データ供給装置200にアップロードする処理については説明していない。しかし、楽譜表示装置100も、楽譜データ供給装置200のクライアント端末の1つであるので、楽譜表示装置100からでも、楽譜データ供給装置200にコメントデータをアップロードすることができる。このアップロード処理としては、たとえば、ユーザの指示に応じてコメントアップ用のウィンドウが開き、ユーザが、前記図2に示すようなコメントデータを特定するのに必要な情報を記入した後、アップロードの指示を行うと、当該コメントデータが楽譜データ供給装置200に送信されるという処理が考えられる。なお、楽譜データ供給装置200のような専用の装置(サイト)以外のサイトにアップロードされたコメントデータについては、楽譜データ供給装置200などのサーバ側で自動的に回収するような仕組みを採用してもよい。
【0084】
なお本実施の形態では、タイムライン61a上のコメント表示(コメントアイコン61b)は、楽譜上のあるエリア(第1の表示領域)に常に表示されるようにしたが、これに限らず、表示レベルの段階に応じて表示/非表示を切り替えてもよい。または、表示レベルの段階に関係なく、表示画面上に表示した切替スイッチを操作することで、表示/非表示を切り替えるようにしてもよい。
【0085】
また、複雑さの段階は、本実施の形態で挙げた“7”段階に限らず、それより多くても少なくてもよい。ただし、“1”段階では本発の目的を達成することができないので、複数段階である必要がある。さらに本実施の形態では、1つのパート内で複数段階に分ける例については説明しなかったが、たとえば、ピアノパートを「単音」、「多くて2音まで」および「全部」というような複数段階に分けて表示レベルと対応付け、この表示レベルに基づいて楽譜表示するようにしてもよい。その他、速度記号や発想記号なども考慮に入れてもよい。
【0086】
さらに本実施の形態では、パート構成を「ピアノ」、「ボーカル」および「ギター」の3パート構成としたが、これに限らず、たとえば管楽器や弦楽器の多重奏のパート構成であってもよい。
【0087】
また、画面のサイズや楽譜表示段数の変更といったレイアウト変更時、楽譜上に表示されていたコメント情報も、レイアウト変更に合わせて表示変更されるようにした方が好ましい。
【0088】
さらに、コメント内容が、たとえば「弾かなくてもよい」や「ミュートしてもよい」などの削除系のコメントであれば、楽譜上の対応する部分(記号、音符、歌詞)に取消線を加えて表示するようにしてもよい。
【0089】
なお、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0090】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードおよび該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0091】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、たとえば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。また、通信ネットワークを介してサーバコンピュータからプログラムコードが供給されるようにしてもよい。
【0092】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0093】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0094】
2…CPU(接続手段、第1の取得手段、第2の取得手段、第1の設定手段、第2の設定手段、第3の設定手段、表示手段),6…ディスプレイ(表示手段),7…通信I/F(接続手段)
図1
図2
図3
図4a
図4b