特許第5789920号(P5789920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789920
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】検証器
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20150917BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   G01N21/84 D
   G02B5/30
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-133854(P2010-133854)
(22)【出願日】2010年6月11日
(65)【公開番号】特開2011-257344(P2011-257344A)
(43)【公開日】2011年12月22日
【審査請求日】2013年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 忠彦
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−055272(JP,A)
【文献】 特開2006−142599(JP,A)
【文献】 特開2009−234146(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0158545(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84
G02B 5/30
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に固定された偽造防止媒体であって、光反射膜の上に位相差膜を設けて構成される偽造防止媒体に重ね、この偽造防止媒体からの反射光を検査して、この物品の真偽又は真贋を検証する検証器において、
前記偽造防止媒体を照明する照明光を透過する照明光用偏光膜と、照明された偽造防止媒体からの反射光を透過する反射光用偏光膜とを備え、
これら照明光用偏光膜と反射光用偏光膜とが、互いに交差する角度に配置されており、前記照明光用偏光膜の外側に光拡散板が接着されており、前記光拡散板は、合成樹脂マトリクス中に、粒径0.1〜1.0μmの粒子を分散させて製造したシート又はフィルムを使用したことを特徴とする検証器。
【請求項2】
前記照明光用偏光膜の透過軸と反射光用偏光膜の透過軸とが互いに直交する向きに、配置されていることを特徴とする請求項1に記載の検証器。
【請求項3】
光源が固定されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の検証器。
【請求項4】
前記照明光用偏光膜の外側に、光源が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の検証器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に固定された偽造防止媒体に重ね、この偽造防止媒体からの反射光を検査して、この物品の真偽又は真贋を検証する器具に関するものである。
【0002】
本発明の検証器が対象とする偽造防止媒体は、光反射膜の上に位相差膜を設けたものである。本発明の検証器を透過した光を偽造防止媒体の位相差膜に入射させ、光反射膜によって反射した反射光を再び検証器を通して観察すると、検証器と偽造防止媒体の重ね合わせ角度に応じて、観察される光の強度が変化する。
【背景技術】
【0003】
光反射膜の上に位相差膜を設けて構成される偽造防止媒体は、例えば、特許文献1に記載されている。位相差膜はその面内に進相軸と遅相軸とを有し、遅相軸に振動面(偏光面)を有する直線偏光S1の速度は、進相軸に偏光面を有する直線偏光S2の速度に比較して遅い。典型的には、進相軸と遅相軸とは互いに直交している。このため、位相差膜に入射した光は、遅相軸に偏光面を有する直線偏光S2と進相軸に偏光面を有する直線偏光S1とに分離され、位相差膜を出射するときには、この直線偏光S2と直線偏光S1との間で位相のずれを生じる。この位相のずれは「位相差」または「リタデーション」と呼ばれており、直線偏光S2に対する屈折率と直線偏光S1に対する屈折率との差を屈折率差として、この屈折率差と位相差膜の厚み(nm)との積(nm)である。一般には、設計波長の光に着目して、その波長の光のうち、直線偏光S2と直線偏光S1との位相角の差(度)で表わされる。典型的には、設計波長の1/4であり、このような位相差膜は1/4波長板と呼ばれている。すなわち、1/4波長板に設計波長の光を入射すると、この1/4波長板を透過して出射した光のうち、遅相軸に偏光面を有する直線偏光S2の位相は、進相軸に偏光面を有する直線偏光S1に比較して、1/4波長の遅れを生じている。
【0004】
このような1/4波長板を光反射膜の上に設けて構成される偽造防止媒体に偏光膜aを重ねると、この偏光膜aが偏光子として働き、偏光膜aの透過軸と偏光面が一致する直線偏光S0が透過する。この直線偏光S0は次に位相差膜に入射するが、このときの挙動は、直線偏光S0の偏光面と位相差膜の進相軸とのなす角度によって異なるため、場合を分けて説明する。
【0005】
まず、直線偏光S0の偏光面と位相差膜の進相軸とのなす角度が45度の場合について説明する。この場合、位相差膜に入射した直線偏光S0は、位相差膜の進相軸に偏光面を有する直線偏光S1と、遅相軸に偏光面を有する直線偏光S2とに分離される。両直線偏光S1とS2の強度は等しい。そして、直線偏光S2は、直線偏光S1に比較して1/4波長遅れて位相差膜を出射する。この両出射光は、両者の位相差を維持したまま光反射膜で反射され、再び位相差膜に入射し、直線偏光S2は直線偏光S1に対して再び1/4波長の遅れを生じる。このように、直線偏光S2は往路と復路の双方で1/4波長ずつの遅れを生じるから、その合計で1/2波長の遅れが発生することになる。前述のように、直線偏光S1と直線偏光S2との強度は等しいから、直線偏光S1と1/2波長の位相差を生じた直線偏光S2とを合成して得られて合成光S3は、当初の入射光S0の偏光面に対して直交する偏光面を持つ直線偏光である。そこで、前記偏光膜aはこの合成光S3の検光子として働き、合成光S3は偏光膜aに遮られて、透過することができない。以上の説明を整理すると、偏光膜aの透過軸が位相差膜の進相軸と45度の角度をなすように偏光膜aを重ねて観察すると、その視野は暗くなる。
【0006】
次に、直線偏光S0の偏光面と位相差膜の進相軸とのなす角度が0度の場合について説
明する。すなわち、直線偏光S0の偏光面と位相差膜の進相軸とが一致する場合である。この場合には、位相差膜を透過する光は位相差膜の進相軸に偏光面を有する直線偏光S1だけであって、遅相軸に偏光面を有する直線偏光S2は存在しない。そして、この直線偏光S1が光反射膜で反射された後もその偏光面は維持されており、復路で位相差膜を透過した後にも偏光面が維持されている。このため、この合成光S3はそのまま検光子(偏光膜a)を透過する。このため、偏光膜aの透過軸が位相差膜の進相軸と0度の角度をなすように偏光膜aを重ねて観察すると、その視野は明るくなる。偏光膜aの透過軸が位相差膜の進相軸と90度の角度をなすように偏光膜aを重ねた場合も同様である。
【0007】
そして、直線偏光S0の偏光面と位相差膜の進相軸とのなす角度が0度と45度の間にある場合には、位相差膜に入射した直線偏光S0は、位相差膜の進相軸に偏光面を有する直線偏光S1と、遅相軸に偏光面を有する直線偏光S2とに分離されるが、直線偏光S1と直線偏光S2の強度は互いに異なっている。そして、この強度の相違を維持したまま、光反射膜で反射され復路で位相差膜を透過して出射するから、その合成光S3のうち直線偏光S1の強度と直線偏光S2との強度は互いに異なっており、この両者を合成した前記合成光S3の偏光面は、前記強度比に応じた角度で偏光膜aの透過軸に交差している。このため、直線偏光S0の偏光面と位相差膜の進相軸とのなす角度が0度と45度の間にあるように偏光膜aを重ねて観察すると、その視野は、0度の場合と45度の場合の中間の明るさを有している。
【0008】
そこで、1/4波長板を光反射膜の上に設けて構成される偽造防止媒体に偏光膜aを重ねて、その偏光膜aを回転させると、その回転角度に応じて視野の明暗が連続的に変化する。変化の周期は回転角度45度である。そして、このため、物品に固定された偽造防止媒体に偏光膜aを重ねて回転させ、その明暗を観察することにより、その物品が真正品であるか、あるいは偽造品や贋造品であるか、という点について判断することが可能である。
【0009】
ところで、特許文献1に記載の偽造防止媒体は、基材表面の一部にパターン状に位相差膜を配置した偽造防止媒体である。この偽造防止媒体に偏光子aを重ねることにより、そのパターン形状に応じた反射光S3を観察することができる。このため、そのパターン形状の有無、このパターンの明暗の変化の有無によって真偽又は真贋を検証することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−142599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、この偽造防止媒体を使用して真偽を判定する際には、1枚の偏光子aを密着して重ねかつ回転してその視野の明暗の変化を観察している。
【0012】
しかし、観察する環境が明るい場合には、その周辺光の強度が高いため、明暗の変化を明瞭に観察することができないことがあった。
【0013】
そこで、本発明は、周辺光の強度によらず明暗の変化を明瞭に観察することができ、したがって、容易かつ確実に真偽判定することのできる検証器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
すなわち、請求項1に記載の発明は、物品に固定された偽造防止媒体であって、光反射膜の上に位相差膜を設けて構成される偽造防止媒体に重ね、この偽造防止媒体からの反射光を検査して、この物品の真偽又は真贋を検証する検証器において、前記偽造防止媒体を照明する照明光を透過する照明光用偏光膜と、照明された偽造防止媒体からの反射光を透過する反射光用偏光膜とを備え、これら照明光用偏光膜と反射光用偏光膜とが、互いに交差する角度に配置されており、前記照明光用偏光膜の外側に光拡散板が接着されており、前記光拡散板は、合成樹脂マトリクス中に、粒径0.1〜1.0μmの粒子を分散させて製造したシート又はフィルムを使用したことを特徴とする検証器である。
【0015】
この発明においては、照明光用膜(偏光子)と反射光用偏光膜(検光子)とを別個に設け、しかも、両者を交差する角度に配置することによって、照明光の方向と反射光の方向とを異なる方向としたから、視野内のコントラストが高く、したがって、明暗の変化を明瞭に観察することができる。このため、観察する環境が明るい場合にも、容易かつ確実に真偽判定することが可能となる。
【0016】
次に、請求項2に記載の発明は、前記照明光用偏光膜の透過軸と反射光用偏光膜の透過軸とが互いに直交する向きに、配置されていることを特徴とする請求項1に記載の検証器である。この発明によれば、照明光用偏光膜の透過軸と反射光用偏光膜の透過軸とが直交するように配置されているから、より高いコントラストを実現して、一層容易に明暗の変化を観察することが可能となる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、光源が固定されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の検証器である
【0018】
次に、請求項4に記載の発明は、前記照明光用偏光膜の外側に、光源が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の検証器である
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、観察する環境が明るい場合にも、容易かつ確実に真偽判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例に係る検証器を偽造防止媒体に重ねた状態を示す斜視図
図2】本発明の実施例に係る検証器を偽造防止媒体に重ねた状態を示す側面説明図
図3】本発明の第2の実施例に係る検証器を偽造防止媒体に重ねた状態を示す側面説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の検証器は特定の偽造防止媒体の検証に使用するものである。そこで、まず、この偽造防止媒体について説明する。
【0022】
この偽造防止媒体は、光反射膜と、この光反射膜の上に設けられた位相差膜とを必須の構成要素とするものである。通常、基材上に光反射膜を形成し、次に位相差膜を設けることによって製造できる。また、基材上に位相差膜を設け、次に光反射膜を形成することによって製造してもよい。
【0023】
位相差膜は、光反射膜の全面に一様に設けられていてもよいが、その一部にパターン状に設けられていてもよい。また、光反射膜の表面を複数の領域に区分して、これら領域のごとに進相軸の方向が異なる位相差膜を配置してもよい。また、これら領域ごとに、位相差の異なる位相差膜を配置してもよい。
【0024】
基材としては任意のものが使用できるが、この偽造防止媒体を物品に固定して使用するため、薄いフィルム状の基材を使用することが望ましい。例えば、合成樹脂フィルム、天然樹脂のフィルム、紙などである。合成樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等のフィルムが例示できる。天然樹脂のフィルムとしてはセロハンが使用できる。また、トリアセチルセルロース等の改質セルロース系フィルムを使用することもできる。無延伸フィルムであることが望ましいが、複屈折率の小さい延伸フィルムであってもよい。
【0025】
また、光反射膜の材料は、光反射性が得られれば特に限定されない。光反射膜は、例えば、金属蒸着層などの鏡面反射層である。この光反射層の材料としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、クロム、ニッケルなどの金属または合金を用いることができる。これらの材料は単独でまたは積層して使用できる。この光反射膜は、例えば、真空蒸着やスパッタリングなどの気相堆積方法を用いて形成することができる。
【0026】
光反射膜は、反射性顔料を含んだ光反射性顔料層であってもよい。光反射性顔料層の材料としては、例えば、光反射性顔料を樹脂などに分散させたものを用いることができる。この光反射膜は、反射光に干渉色を与えるものであってもよい。そのような光反射膜は、光反射性顔料として、例えば、見る角度に応じて色が変化する材料を微粉砕したものを用いることにより得られる。この材料は、例えば、屈折率がそれぞれ異なりかつ適当な膜厚を持つセラミックからなる複数層を積層させて形成する。また、光反射性顔料としては他に、パール顔料と呼ばれる光輝性顔料を用いることもできる。
【0027】
次に、位相差膜は配向した液晶材料から構成することができる。例えば、基材又は光反射膜の上にまず配向膜を形成し、次にこの配向膜上に液晶材料を塗布してその被膜を形成すると共に、この液晶材料を配向させる。そして、この液晶材料を硬化させてその配向状態を固定することで、位相差膜を形成することが可能である。
【0028】
配向膜は、例えばポリイミド等の合成樹脂材料の被膜を形成した後、この被膜の表面をラビングして線状の凹凸を付与することによって形成することができる。また、この被膜表面を複数の領域に区分し、これら複数の領域の一部をマスク材料で被覆した状態でラビングし、次いでマスク材料を剥離除去することにより、その被膜の一部領域に線状の凹凸を付与してもよい。いずれの場合であっても、線状の凹凸を付与された領域に塗布された液晶材料はこの線状の凹凸に沿って配向する。
【0029】
また、配向膜は、例えば、光学的干渉作用を利用して形成することもできる。例えば、任意の支持体上に感光性樹脂を塗布してその被膜を形成し、2方向からレーザー光を照射して、これらレーザー光を感光性樹脂被膜上で干渉させる。このとき、その干渉縞は感光性樹脂表面に凹凸の形態で記録される。こうして干渉縞が凹凸の形態で記録された感光性樹脂を原版として利用する。他方、前記光反射膜上に熱可塑性樹脂の被膜を形成し、この被膜に前記原版を熱圧して、原版の凹凸を転写する。こうして凹凸の形成された熱可塑性樹脂被膜に液晶材料を塗布すると、液晶材料はこの凹凸に沿って配向する。なお、感光性樹脂被膜上でレーザー光を干渉させて凹凸を形成する代わりに、電子線硬化樹脂の表面を
電子線で描画して前記凹凸を形成することも可能である。
【0030】
次に、領域ごとに異なる位相差を有する液晶材料の被膜を形成する方法について説明する。この方法では、サーモトロピック液晶性を示し、光によって重合又は架橋できる液晶化合物を使用する。そして、この液晶化合物に、溶剤、キラル剤及び光重合開始剤を混合して塗料を作製する。このほか、塗料には、熱重合開始剤、増感剤、連鎖移動剤、多官能モノマーあるいはオリゴマー、樹脂、界面活性剤、貯蔵安定剤、密着向上剤その他必要な材料を混合することができる。
【0031】
このような液晶化合物としては、例えば、アルキルシアノビフェニル、アルコキシビフェニル、アルキルターフェニル、フェニルシクロヘキサン、ビフェニルシクロヘキサン、フェニルビシクロヘキサン、ピリミジン、シクロヘキサンカルボン酸エステル、ハロゲン化シアノフェノールエステル、アルキル安息香酸エステル、アルキルシアノトラン、ジアルコキシトラン、アルキルアルコキシトラン、アルキルシクロヘキシルトラン、アルキルビシクロヘキサン、シクロヘキシルフェニルエチレン、アルキルシクロヘキシルシクロヘキセン、アルキルベンズアルデヒドアジン、アルケニルベンズアルデヒドアジン、フェニルナフタレン、フェニルテトラヒドロナフタレン、フェニルデカヒドロナフタレン、トリフェニレン、ペンタエチニルベンゼンおよびこれらの誘導体、ならびに前記化合物のアクリレート等が例示できる。
【0032】
そして、この塗料を前記配向膜の上に塗布乾燥することにより、前記凹凸に沿って配向した液晶の被膜が得られる。そして、次に、この被膜の特定の領域に対して紫外線を照射して照射領域の被膜を硬化させ、その配向状態を固定する。次に説明するように、この領域は、その他の領域に比較して、配向度が大きく、従って位相差が大きい領域である。
【0033】
次に、この被膜全体を加熱して未硬化領域の配向状態を緩め、この状態で再び紫外線を照射して、照射領域の被膜を硬化させ、その配向状態を固定する。この領域では緩めた配向状態が固定されているから、比較的位相差が小さい領域である。
【0034】
なお、このほか、感光性の液晶材料の被膜に偏光を照射することにより、その偏光面に沿って配向させることも可能である。すなわち、キラル剤及び光重合開始剤を混合した液晶材料の被膜に対して、直線偏光を照射することにより、この被膜に含まれる液晶材料が照射光の偏光面に沿って配向し、かつ、硬化する。したがって、この方法を採用する場合には、配向膜を必要とせず、基材又は光反射膜上に直接液晶材料の被膜を形成し、この被膜中の液晶材料を配向させて、位相差膜を形成することができる。照射する直線偏光の偏光度に応じて配向度が変化するから、位相差膜の位相差を制御することもできる。また、パターン状に照射することにより、このパターンに応じた領域について配向させることが可能である。
【0035】
次に、本発明の検証器について説明する。本発明の検証器は、2枚の偏光膜を必須の構成要素とするものである。この2枚の偏光膜のうち一方は偽造防止媒体を照明する照明光を透過するものである。すなわち、光源からの照明光は、照明光用偏光膜を透過して、偽造防止媒体を照明する。そして、照明光は偽造防止媒体によって反射され、他方の偏光膜を通して観察される。すなわち、2枚の偏光膜のうち他方の偏光膜は、偽造防止媒体によって反射された反射光を透過する反射光用偏光膜である。この両者は、照明光用偏光膜の透過軸と、反射光用偏光膜の透過軸とが互いに直交するように配置されている。
【0036】
また、この2枚の偏光膜は、互いに交差する角度に配置されている。図1及び図2はこの状態を示す図面であり、これらの図から分かるように、照明光用偏光膜21と反射光用偏光膜22とは、互いに交差するようにその境界線から折り曲げられている。なお、図中
、1は偽造防止媒体であり、基材11上に光反射膜12と位相差膜13とがこの順に積層されて構成されている。そして、照明光用偏光膜21と反射光用偏光膜22とで構成される検証器2は、その両端部21a,22aが偽造防止媒体1に向くように配置されており、こうして、照明光用偏光膜21と偽造防止媒体1とが密着することなく、両者の間に間隙を作っている。同様に反射光用偏光膜22と偽造防止媒体1との間にも間隙を作っている。
【0037】
また、光源24は照明光用偏光膜21の外側の位置に固定されており、この光源24からの光は照明光用偏光膜21を透過して偽造防止媒体1を照明する。そして、観察者は反射光用偏光膜22の外側に位置しており、偽造防止媒体1で反射された光は、反射光用偏光膜22を透過して観察者に到達する。このように照明光が直接観察者に到達することがなく、必ず偽造防止媒体1で反射された後に観察者に到達するから、強い照明光で偽造防止媒体1を照明した場合、その明暗の変化を強いコントラストを伴って観察することができる。なお、光源24を検証器2に固定するためには、検証器2にフレームを設けてこのフレームに光源24を固定すればよい。
【0038】
そして、この検証器2を回転することにより、観察者の視野は明暗が変化する。その周期は回転角度45度である。光源24は検証器2に固定されているから、検証器2の回転に伴って光源24も回転し、常時一様な強度で偽造防止媒体1を照明する。
【0039】
次に、図3は、第2の検証器2の例を示すものである。この例では、照明光用偏光膜21の外側に光拡散板23が接着されている。このため、光源光はこの光拡散板23で拡散され、次いで照明光用偏光膜21を透過する。このため、この検証器2によれば、偽造防止媒体1の全面を一様な強度の光で照明することが可能である。
【0040】
これら照明光用偏光膜21及び反射光用偏光膜22としては、吸収型の偏光フィルムを使用することができる。この場合、直線偏光フィルムは、その透過軸と平行な偏光面を持つ直線偏光は透過させ、透過軸と直行する偏光面を持つ直線偏光を吸収する。吸収型の偏光フィルムとしては、例えば、PVAからなる延伸フィルムにヨードを吸収させたPVA−ヨウ素型フィルムまたは二色性染料型フィルムを用いることができる。これら偏光フィルムは、物理的強度が低いため、トリアセチルロース(TAC)からなるフィルムで挟んで使用してもよい。
【0041】
また、光拡散板23としては、合成樹脂マトリクス中に、粒径0.1〜1.0μmの粒子を分散させて製造したシート又はフィルムを使用することができる。また、合成樹脂マトリクスに前記粒子を分散させて塗料とし、この塗料を照明光用偏光膜21に塗布して被膜としたものであってもよい。
【0042】
前記粒子としてはその屈折率が大きいものが好ましく利用できる。このような粒子としては、例えば、アクリル粒子(屈折率1.49)、アクリル−スチレン粒子(屈折率1.49〜1.59)、タルク(屈折率1.54)、各種アルミノケイ酸塩(屈折率1.50〜1.60)、カオリンクレー(屈折率1.53)、MgAlハイドロタルサイト(屈折率1.50)、スチレン粒子(屈折率1.59)、アクリルスチレン粒子(屈折率1.58)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.58)、メラミン粒子(屈折率1.66)が例示できる。
【0043】
また、合成樹脂マトリクスとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、あるいは光硬化性樹脂などが使用できる。
【0044】
熱可塑性樹脂としては、例えば、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブ
チルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が例示できる。
【0045】
熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化型ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等があげられる。
【0046】
また、光硬化性樹脂としては、多価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタンアクリレート樹脂等が挙げられる。またこれらの他にも、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂が例示でき、光重合開始剤を加えて使用できる。光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類等が例示できる。
【符号の説明】
【0047】
1 偽造防止媒体
11 基材
12 光反射膜
13 位相差膜
2 検証器
21 照明光用偏光膜
22 反射光用偏光膜
23 光拡散板
24 光源
図1
図2
図3