(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5790038
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】エンジン冷却装置
(51)【国際特許分類】
F01P 7/16 20060101AFI20150917BHJP
F01P 3/20 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
F01P7/16 502M
F01P3/20 F
F01P7/16 502P
F01P7/16 504A
F01P7/16 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-52791(P2011-52791)
(22)【出願日】2011年3月10日
(65)【公開番号】特開2012-188988(P2012-188988A)
(43)【公開日】2012年10月4日
【審査請求日】2014年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】村田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】西津 真一
【審査官】
川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−092715(JP,A)
【文献】
特開昭63−268912(JP,A)
【文献】
特開2010−248942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 7/16
F01P 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォータポンプの吐出口に接続されてエンジンを経由するエンジン系冷却水路と、
前記ウォータポンプの吐出口に分岐接続されてEGRクーラを経由して前記エンジンより下流で前記エンジン冷却水路に合流するEGR系冷却水路と、
前記エンジン冷却水路と前記EGR冷却水路の合流端に接続されてラジエータを経由して前記ウォータポンプの吸入口に至るラジエータ系冷却水路とを備えたエンジン冷却装置において、
前記エンジンの入口出口間をバイパスするエンジンバイパス冷却水路と、
前記エンジンにおける冷却水温が閾値未満のとき前記エンジンバイパス冷却水路には冷却水を通さず、前記エンジンにおける冷却水温が閾値以上のとき前記エンジンバイパス冷却水路に冷却水を通すバイパス開閉手段とを備えたことを特徴とするエンジン冷却装置。
【請求項2】
前記バイパス開閉手段は、
前記エンジンバイパス冷却水路に設置されたバイパス弁と、
前記エンジンにおける冷却水温を検出する水温センサと、
前記水温センサが検出する冷却水温が閾値未満のとき前記バイパス弁を遮断させ、前記水温センサが検出する冷却水温が閾値以上のとき前記バイパス弁を開放させる制御部とを備えたことを特徴とする請求項1記載のエンジン冷却装置。
【請求項3】
前記バイパス開閉手段は、
前記エンジンバイパス冷却水路に設置され、冷却水温が閾値未満のとき閉じ、冷却水温が閾値以上のとき開くエンジンバイパスサーモスタットを備えたことを特徴とする請求項1記載のエンジン冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジエータや冷却ファンの小型化が可能となり、冷却水量が低減されるエンジン冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図3に示されるように、従来のエンジン冷却装置31は、ウォータポンプ2の吐出口に接続されてエンジン3を経由するエンジン系冷却水路4と、ウォータポンプ2の吐出口に分岐接続されてEGRクーラ5を経由してエンジン3よりも下流でエンジン系冷却水路4に合流するEGR系冷却水路6と、エンジン冷却水路4とEGR冷却水路6の合流端に接続されてラジエータ7を経由してウォータポンプ2の吸入口に至るラジエータ系冷却水路8を備える。
【0003】
ラジエータ系冷却水路8のラジエータ7とウォータポンプ2との間に、ラジエータサーモスタット9が設置され、ラジエータ7の入口とラジエータサーモスタット9との間でラジエータ7をバイパスするラジエータバイパス冷却水路10が設置される。
【0004】
エンジン3には、シリンダヘッドとシリンダブロックの肉厚内に、冷却水が循環されるウォータジャケットが形成される。
【0005】
EGRクーラ5は、EGRガスが通過する細管の周囲に冷却水が導入される構造、あるいは冷却水が導入される細管の周囲をEGRガスが通過する構造を有する。
【0006】
エンジン冷却装置31では、ウォータポンプ2により圧送される冷却水が、エンジン冷却水路4とEGR冷却水路6に分岐して流れる。冷却水は、エンジン3のウォータジャケットを通りエンジン3と熱交換する。また、冷却水は、EGRクーラ5において、EGRガスと熱交換する。
【0007】
エンジン3及びEGRクーラ5において受熱した冷却水は、ラジエータ7において大気と熱交換して冷却され、ウォータポンプ2に戻る。こうして冷却された冷却水が再びウォータポンプ2により圧送されエンジン3及びEGRクーラ5に流れる。
【0008】
冷間始動時のように冷却水温がラジエータサーモスタット9の切替温度以下のとき、エンジン3やEGRクーラ5から出てきた冷却水は、ラジエータ7には行かずにラジエータバイパス冷却水路10を通りラジエータサーモスタット9からウォータポンプ2に戻る。これにより、冷却水が早く暖まり、暖機が促進される。暖機達成後は、冷却水温がラジエータサーモスタット9の切替温度を超えるため、エンジン3やEGRクーラ5から出てきた冷却水は、バイパスされることなくラジエータ7を通りラジエータサーモスタット9からウォータポンプ2に戻る。これにより、高温となった冷却水がラジエータ7で放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−250147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
エンジン冷却装置31では、冷却水に添加剤が添加されていること、及び冷却水が大気圧よりも高圧に加圧されていることから、冷却水の沸点が105℃よりも高い温度となっており、常圧で添加剤のない水より沸騰は起きにくい。しかし、仮に、冷却水が沸騰すると、ラジエータ7から蒸気が噴き出したりする状況となり、好ましくない。また、EGRクーラ5において局部沸騰が起きると、EGRクーラ5の損傷につながるので、冷却水が一瞬でも沸騰しないよう、沸騰防止対策が重要である。
【0011】
このような沸騰防止対策のため、エンジン冷却装置31は、冷却水温が基準温度(例えば、100℃〜105℃)を越えないように構成される。具体的には、夏季の日中など外気温が高いときに急登坂などによるエンジン高負荷状態が継続するような、冷却に不利な状況においても冷却水温が基準温度を越えないことが求められる。
【0012】
このため、従来は、ラジエータ7やラジエータ7の冷却ファン(図示せず)に、冷却能力に十分余裕がある大型のものが使用される。
【0013】
しかし、大型の冷却ファンを駆動するためにはエネルギが多く消費されるので、燃費が悪くなる。また、大型のラジエータ7や大型の冷却ファンの重量が重いため、車両の重量が重くなり、燃費が悪くなる。
【0014】
さらに、ラジエータ7が大型になると、エンジン冷却装置31に充填される冷却水量が多くなる。このため、冷却水コストが高くなると共に、循環される冷却水量が多くなることでウォータポンプ2の仕事量が増加し、燃費が悪くなる。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、ラジエータや冷却ファンの小型化が可能となり、冷却水量が低減されるエンジン冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明のエンジン冷却装置は、ウォータポンプの吐出口に接続されてエンジンを経由するエンジン系冷却水路と、前記ウォータポンプの吐出口に分岐接続されてEGRクーラを経由して前記エンジンより下流で前記エンジン冷却水路に合流するEGR系冷却水路と、前記エンジン冷却水路と前記EGR冷却水路の合流端に接続されてラジエータを経由して前記ウォータポンプの吸入口に至るラジエータ系冷却水路とを備えたエンジン冷却装置において、前記エンジンの入口出口間をバイパスするエンジンバイパス冷却水路と、前記エンジンにおける冷却水温が閾値未満のとき前記エンジンバイパス冷却水路には冷却水を通さず、前記エンジンにおける冷却水温が閾値以上のとき前記エンジンバイパス冷却水路に冷却水を通すバイパス開閉手段とを備えたものである。
【0017】
前記バイパス開閉手段は、前記エンジンバイパス冷却水路に設置されたバイパス弁と、前記エンジンにおける冷却水温を検出する水温センサと、前記水温センサが検出する冷却水温が閾値未満のとき前記バイパス弁を遮断させ、前記水温センサが検出する冷却水温が閾値以上のとき前記バイパス弁を開放させる制御部とを備えてもよい。
【0018】
前記バイパス開閉手段は、前記エンジンバイパス冷却水路に設置され、冷却水温が閾値未満のとき閉じ、冷却水温が閾値以上のとき開くエンジンバイパスサーモスタットを備えてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0020】
(1)ラジエータや冷却ファンの小型化が可能となる。
【0021】
(2)循環される冷却水量が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態を示すエンジン冷却装置の冷却回路図である。
【
図2】本発明の他の実施形態を示すエンジン冷却装置の冷却回路図である。
【
図3】従来のエンジン冷却装置の冷却回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0024】
図1に示されるように、本発明に係るエンジン冷却装置1は、ウォータポンプ2の吐出口に接続されてエンジン3を経由するエンジン系冷却水路4と、ウォータポンプ2の吐出口に分岐接続されてEGRクーラ5を経由してエンジン3より下流でエンジン系冷却水路4に合流するEGR系冷却水路6と、エンジン冷却水路4とEGR冷却水路6の合流端に接続されてラジエータ7を経由してウォータポンプ2の吸入口に至るラジエータ系冷却水路8を備える。
【0025】
ラジエータ系冷却水路8には、ラジエータ7とウォータポンプ2との間に、ラジエータサーモスタット9が設置され、ラジエータ7の入口とラジエータサーモスタット9との間でラジエータ7をバイパスするラジエータバイパス冷却水路10が設置される。
【0026】
本実施形態では、エンジン冷却装置1は、エンジン3の入口出口間をバイパスするエンジンバイパス冷却水路11と、エンジンバイパス冷却水路11に設置されたバイパス弁12と、エンジン3における冷却水温を検出する水温センサ13と、水温センサ13が検出する冷却水温が閾値未満のときバイパス弁12を遮断させ、水温センサ13が検出する冷却水温が閾値以上のときバイパス弁12を開放させる制御部14とを備える。
【0027】
バイパス弁12、水温センサ13、制御部14は、エンジン3における冷却水温が閾値未満のときエンジンバイパス冷却水路11には冷却水を通さず、エンジン3における冷却水温が閾値以上のときエンジンバイパス冷却水路11に冷却水を通すバイパス開閉手段15を構成する。
【0028】
ウォータポンプ2の内部構造や圧送方式は特定のものに限定されないが、ウォータポンプ2は、吐出側の負荷抵抗が高いと圧送する冷却水の流量(流速)が少なく、吐出側の負荷抵抗が低いと圧送する冷却水の流量(流速)が多くなる特性を有する。バイパス弁12の開放・遮断による流量調節は、この特性を利用したものである。
【0029】
バイパス弁12は、全閉と部分絞り(又は全開)の2状態が制御可能なオンオフ弁でもよいし、全閉から全開まで連続可変制御可能な開度調整弁でもよい。オンオフ弁の場合には、部分絞り(又は全開)状態での開度が設定の値となるよう弁が構成される。開度調整弁の場合は、制御部14に開度が設定される。
【0030】
開度は以下の通りに設定されるのが好ましい。ウォータポンプ2の特性により、バイパス弁12の遮断時にウォータポンプ2が圧送する冷却水量に対して、バイパス弁12の開放時にウォータポンプ2が圧送する冷却水量は多い。一方、バイパス弁12が開放されたときにエンジン3とエンジンバイパス冷却水路11に流れる冷却水量は、ウォータポンプ2の圧送能力、バイパス弁12を含むエンジンバイパス冷却水路11の負荷抵抗、エンジン3の負荷抵抗などの兼ね合いで決まる。バイパス弁12の遮断時にエンジン3に流れる冷却水量に対して、バイパス弁12の開放時にエンジン3に流れる冷却水量が1/20〜1/10程度少なくなるよう、実験等によりバイパス弁12の開度が設定される。
【0031】
水温センサ13は、エンジン3の出口に設置される。エンジン3の出口に水温センサ13が設置されると、エンジン3内で冷却水が課題の欄で述べた基準温度に達しようとしているかどうかを判断するのに好適である。冷却水温の閾値は、基準温度かそれよりやや低い温度が好ましい。
【0032】
制御部14は、電子制御装置(Electronical Control Unit;ECU)にソフトウェアとして搭載されるのが好ましい。
【0033】
以下、エンジン冷却装置1の動作を説明する。
【0034】
エンジン3内において冷却水が基準温度より低いとき、冷却水が沸騰することはない。そこで、制御部14は、水温センサ13が検出する冷却水温が基準温度より低く設定された閾値未満のとき、バイパス弁12を遮断させる。これにより、ウォータポンプ2が圧送する冷却水は、エンジン系冷却水路4とEGR系冷却水路6とに分かれて流れ、合流してラジエータ系冷却水路8に流れる。このときエンジン系冷却水路4に流入した冷却水は、全量がエンジン3を通ることは言うまでもない。なお、冷却水温がラジエータサーモスタット9の切替温度以下のときは、冷却水はラジエータバイパス冷却水路10を通る。
【0035】
エンジン3が高負荷状態を続けると、冷却水温が上昇する。エンジン3内において冷却水が基準温度に近い高温になると、沸騰を未然に防止する必要がある。制御部14は、水温センサ13が検出する冷却水温が閾値以上のとき、バイパス弁12を開放させる。バイパス弁12が開放されると、ウォータポンプ2が圧送する冷却水は、エンジン系冷却水路4とEGR系冷却水路6とに分かれ、さらにエンジン系冷却水路4にてエンジン3とエンジンバイパス冷却水路11とに分かれて流れる。エンジン3とエンジンバイパス冷却水路11を流れた冷却水は、合流した後、さらにEGR系冷却水路6の冷却水と合流してラジエータ系冷却水路8に流れるようになる。
【0036】
エンジン3においては、流れ込む冷却水量はバイパス弁12の遮断時より1/20〜1/10程度少なくなる。これは、後述するように、バイパス弁12が開放されると、ウォータポンプ2が圧送する冷却水量は増加するものの、エンジン系冷却水路4に流れ込む冷却水のうち、一部がエンジン3に流れ込まずエンジンバイパス冷却水路11に流れ込むからである。このように、エンジン3内を通る冷却水量が減少するため、エンジン3自体の温度は上昇する。しかし、エンジン3を構成するシリンダヘッドやシリンダブロックは、温度が一時的に上昇しても直ちに不具合とはならない。エンジン3内を通る冷却水量が減少したことで、エンジン3から冷却水が受熱する熱量が減ることになる。この結果、冷却水によってラジエータ7に運ばれる熱量が少なくなり、ラジエータ7における冷却水温は低下する。
【0037】
一方、ウォータポンプ2においては、バイパス弁12の開放前に比べてウォータポンプ2が吐出する冷却水の行き先が増えたことから、吐出しようとする力に対する負荷抵抗が軽くなり、圧送される冷却水の流量(流速)が増加する。具体的には、エンジン3と並列にエンジンバイパス冷却水路11が加わったことから、エンジン系冷却水路4に流れる冷却水量が増加する。よって、エンジン系冷却水路4とEGR系冷却水路6とに流れる全体の冷却水量が増加する。このため、ラジエータ系冷却水路8に流れる冷却水の流量がバイパス弁12の開放前に比べて増加する。
【0038】
ラジエータ7を通過する冷却水の流量が増加したことから、ウォータポンプ2に戻る冷却水量が増加する。ウォータポンプ2に戻った冷却水のうち、一部は熱源のないエンジンバイパス冷却水路11を通って受熱しないままラジエータ系冷却水路8に流れ込む。これにより、ラジエータ7に流入する冷却水の温度が下がる。この冷却水がラジエータ7で冷却されるため、ラジエータ7を通過してウォータポンプ2に戻る冷却水温がバイパス弁12の開放前に比べて低下する。
【0039】
このようにして、エンジン冷却装置1において循環される冷却水の一部が受熱しないままラジエータ7で再冷却されることで、冷却水の全体が低温となり、この冷却水がエンジン3に流入するので、エンジン3の出口における冷却水温も低下してくる。EGRクーラ5に流入する冷却水も低温となる。これにより、冷却水の沸騰が未然に防止される。
【0040】
制御部14は、水温センサ13が検出する冷却水温が閾値未満に戻ると、バイパス弁12を遮断させる。これにより、エンジン3内を通る冷却水量は増加するので、エンジン3から冷却水が受熱する熱量が増加する。しかし、バイパス弁12が開放されていた間に冷却水温が低下しているので、エンジン3はよく冷却される。引き続きエンジン3が高負荷状態であっても、直ちに冷却水温が閾値以上になることはない。なお、エンジン3において冷却水温が沸点に近づくような高負荷状態が長時間継続することはまれである。もし、高負荷状態が長時間継続するときのバイパス弁遮断・開放のハンチング防止が必要であれば、制御部14が判定する冷却水温の閾値にヒステリシスを持たせるとよい。
【0041】
以上説明したように、本発明に係るエンジン冷却装置1によれば、冷却水温が閾値以上のときバイパス弁12が開放されるので、冷却水温が沸点に近づいてきたとき、エンジンバイパス冷却水路11を通ってラジエータ7に冷却水が流れて、冷却水が効率よく冷却されるようになり、エンジン3やEGRクーラ5での冷却水の沸騰が未然に防止される。この結果、従来は沸騰防止対策のため大型であることが余儀なくされたラジエータ7や冷却ファンの小型化が可能となり、冷却水量が少なくなることにより、冷却水コストが低減される。
【0042】
図1のエンジン冷却装置1では、水温センサ13が冷却水温を検出するので冷却水温の精度が高く、制御部14からの電子制御によりバイパス弁12の遮断・開放を行うので応答性がよい。よって、実験等に基づいて閾値を設定しておけば、冷却水温が一瞬でも沸点を超えないようにすることができ、冷却水の沸騰が確実に防止される。
【0043】
図1の実施形態では、バイパス開閉手段15がバイパス弁12、水温センサ13、制御部14により構成されたが、バイパス開閉手段15はラジエータサーモスタット9とは別のサーモスタットで構成されてもよい。
【0044】
図2に示されるように、エンジン冷却装置21は、エンジン冷却装置1と同様に、ウォータポンプ2の吐出口に接続されてエンジン3を経由するエンジン系冷却水路4と、ウォータポンプ2の吐出口に分岐接続されてEGRクーラ5を経由してエンジン3より下流でエンジン系冷却水路4に合流するEGR系冷却水路6と、エンジン冷却水路4とEGR冷却水路6の合流端に接続されてラジエータ7を経由してウォータポンプ2の吸入口に至るラジエータ系冷却水路8と、エンジン3の入口出口間をバイパスするエンジンバイパス冷却水路11と、エンジン3における冷却水温が閾値未満のときエンジンバイパス冷却水路11には冷却水を通さず、エンジン3における冷却水温が閾値以上のときエンジンバイパス冷却水路11に冷却水を通すバイパス開閉手段15とを備える。
【0045】
バイパス開閉手段15は、エンジンバイパス冷却水路11に設置され、冷却水温が閾値未満のとき閉じ、冷却水温が閾値以上のとき開くエンジンバイパスサーモスタット16を備える。
【0046】
エンジンバイパスサーモスタット16は、エンジンバイパスサーモスタット16の遮断時にエンジン3に流れる冷却水量に対して、エンジンバイパスサーモスタット16の開放時にエンジン3に流れる冷却水量が1/20〜1/10程度少なくなるよう、実験等により通路の開度が設定される。
【0047】
エンジン冷却装置21におけるバイパス開閉手段15の動作は、エンジン冷却装置1の場合と同様であり、これによってエンジン3やEGRクーラ5での冷却水の沸騰が未然に防止される。
【0048】
なお、サーモスタットによる制御では、温度に対する精度や応答性が水温センサを使用する電子制御に比べてばらつきが大きいので、冷却水の沸騰が確実に防止されるには、閾値が沸点より十分にマージンのある低い温度に設定されることが望ましい。
【符号の説明】
【0049】
1、21 エンジン冷却装置
2 ウォータポンプ
3 エンジン
4 エンジン系冷却水路
5 EGRクーラ
6 EGR系冷却水路
7 ラジエータ
8 ラジエータ系冷却水路
9 ラジエータサーモスタット
10 ラジエータバイパス冷却水路
11 エンジンバイパス冷却水路
12 バイパス弁
13 水温センサ
14 制御部
15 バイパス開閉手段
16 エンジンバイパスサーモスタット