(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における車両用情報提供装置の一例の概観図を示すもので、車両用情報提供装置100は、各種車両情報(所定情報)を表示する第1、第2の表示手段D1、D2、並びに報知部(発光表示部)D3を備えた車両用計器(車両用メータ)からなる。
【0013】
第1の表示手段(表示手段)D1は、例えば後述する指針と指標板とを備えた指針式表示部からなり、
図1中、車両用情報提供装置100の中央に配設された速度計からなる第1の指針式表示部101と、この第1の指針式表示部101の左方に配設された回転計からなる第2の指針式表示部102と、第1の指針式表示部101の右方に配設された燃料計からなる第3の指針式表示部103とから構成される。なお、第1の表示手段D1は、指針式表示部ではなく、デジタル表示部であってもよく、この場合、後述する第2の表示手段D2は不要である。
【0014】
なお、
図2中、104は、各指針式表示部101、102、103を区分けするように各指針式表示部101、102、103上に載置された見返し部材(覆い部材)であり、この見返し部材104は、
図1において後述するバイザーである被覆部材を取り除いた場合に外部に露出し、利用者側から視認可能となる。
【0015】
かかる見返し部材104は、第1の指針式表示部101の可視領域を定める略円形の窓部からなる第1の開口部104aと、第2の指針式表示部102の可視領域を定める略円形の窓部からなる第2の開口部104bと、第3の指針式表示部103の可視領域を定める略円形の窓部からなる第3の開口部104cと、各指針式表示部101、102、103の可視領域以外のエリアを覆う覆い部104dとを備えている。そして、各開口部104a、104b、104cには、略円板状の第1、第2、第3の透視パネル105、106、107がそれぞれ嵌め込まれている。
【0016】
第2の表示手段(表示部)D2は、液晶表示パネルや有機ELパネル等のディスプレイ(表示パネル)からなり、この場合、第1の指針式表示部101(第1の指針式表示部101における前記指標板)の中央下方に形成された矩形状の開口窓部108から臨むように配設され、走行距離や燃費等の各種情報の表示を行うものである。
【0017】
また報知部D3は、車両の運転状態を報知するシートベルト未着用警告表示からなり、例えば第2の指針式表示部102おける前記指標板の所定箇所に形成されている。つまり、報知部D3は、第2の透視パネル106の背後に位置している構成であるため、運転者(利用者)は、後述する報知用光源(光源)の点灯時に発光表示される報知部D3を第2の透視パネル106を通じて視認することができる。
【0018】
このシートベルト未着用警報表示としての報知部D3は、シートベルトバックルにシートベルトの固定金具が着用されていない場合、報知部D3の直下に位置するチップ型発光ダイオードからなる前記報知用光源が点灯することで発光表示される発光表示体であり、前記利用者に対して前記シートベルトバックルに前記シートベルトの固定金具が着用されていない状態、つまり前記シートベルトが未着用(未装着)状態であることを報知するものである。なお、本実施形態の場合、各表示手段D1における前記指標板の表面は、第2の表示手段D2並びに報知部D3の表示面と略同一面となるように設定されている。
【0019】
図3は、車両用情報提供装置100の電気的構成を示すブロック図である。その構成としては、車両情報の入出力を行う車両情報端子210及び多重通信入出力端子211と、車両インターフェース(車両I/F)手段201と、車両用情報提供装置100の制御を行う制御手段202と、処理プログラムを格納するROM等からなる記憶手段203と、第2の表示手段D2の表示制御や前記報知用光源の点灯制御、並びに各指針式表示部101、102、103の駆動制御を行う駆動手段204と、利用者に車両の各種状態に応じた聴覚情報を出力する後述する発音体等をから構成される聴覚情報提供手段220とを有している。
【0020】
また、聴覚情報提供手段220の構成としては、音/音声を再生する音/音声合成手段221と、この音/音声合成手段221からの出力信号(音/音声出力信号)を増幅するアンプ222と、このアンプ222からの増幅信号を出力する例えば略円形のスピーカ(発音体)223とを備え、このスピーカ223から発せられる音は後述する間隙部を通じて車両内部である車室(車両を運転する利用者)に伝達される構成となっている。
【0021】
スピーカ223は、本実施形態の場合、後述するセンターポールが挿入される孔部を有するトッププレートと中央部に突出形成されたセンターポールを有するバックプレートと前記センターポールを取り巻くように前記両プレート間に狭持されたリング状マグネットとを備えた磁気回路と、前記センターポールと前記トッププレートとの間に形成される磁気空隙内に配設されるボイスコイルと、このボイスコイルの先端に連結されるコーン型の振動板と、前記磁気回路と前記振動板を所定の位置に支持するフレームとから主に構成され、前記ボイスコイルに電流を流すと前記ボイスコイルに力が作用し、前記ボイスコイルの動きに連動して前記振動板が振動することによって音を発する、所謂、動電型スピーカ(コーンスピーカ)からなり、見返し部材104の後述する覆い部(基部)に設けられる貫通孔部に配設される。なお、本例では、発音体223としてスピーカを用いているが、例えばスピーカに代えてブザーを用いてもよい。
【0022】
図4は、
図1中、A−A線に沿った車両用情報提供装置100(第2の指針式表示部102)の断面図を示しており、かかる第2の指針式表示部102は、回路基板301と、この回路基板301に導通装着され回転軸302が前方に延びる駆動装置303と、回転軸302にて回転駆動される指針304と、この指針304の背後に位置して回路基板301上に配設される指標板305と、この指標板305(第2の指針式表示部102)の可視領域を定める前述した見返し部材104と、この見返し部材104の第2の開口部104bを覆う前述した第2の透視パネル106と、見返し部材104の覆い部104dを覆うバイザー(被覆部材)306とから主に構成されている。
【0023】
回路基板301は、例えばガラスエポキシ系基材に配線パターン(図示せず)を施した硬質回路基板からなり、聴覚情報提供手段220を制御する制御手段202と、駆動装置303を駆動・制御する駆動手段204と、音/音声合成手段221と、アンプ222と、抵抗、コンデンサ等の各種回路部品(図示せず)とが前記配線パターンに導通接続されている。なお、本例の場合、前述したスピーカ223は、所定の配線部材(図示せず)を介してアンプ222と導通接続されている。
【0024】
駆動装置303は、可動磁石式計器またはステッピングモータからなり、回転軸302が回路基板301を貫通するように、その主要部が回路基板301の背後に装着され、且つ半田付け等の適宜導通手段により前記配線パターン(駆動部204)に電気接続される。
【0025】
指針304は、合成樹脂からなり、指標板305の後述する指標部を指示するように線状に延びる指示部304aと、この指示部304aの回転中心部を覆うカバー(指針キャップ)304bとを備えている。
【0026】
指標板305は、PC等の合成樹脂からなり、略薄板状に形成され、その表面には指示部304aによって指示される目盛、数字等からなる指標部305aが形成され、この場合、指標部305aは指針304の回転軌道に沿って略円弧状に配列されている。なお、指標板305は、スピーカ223の配設位置を避けるように回路基板301と指針304との間に設けられている。
【0027】
見返し部材104は、例えば黒色の合成樹脂からなり、指標板305の前方に配設され、指針304、指標板305の指標部305aを前記利用者に露出する(つまり第2の指針式表示部102の可視領域を定める)第2の開口部104bと、第2の指針式表示部102の可視領域以外のエリアを覆う覆い部104dとを備えている。
【0028】
覆い部104dは、第2の透視パネル106の周囲に延在するように略平板状に形成され、第2の指針式表示部102の可視領域以外のエリアを覆う(覆い隠す)隠蔽部からなる基部104eと、第2の指針式表示部102の可視領域を包囲するように基部104eと一体形成される立壁部104fとを有し、立壁部104fは、この場合、略筒状に形成され、第2の指針式表示部102の可視領域を定める(取り囲む)ように、指標板305と基部104eとの間に位置している。
【0029】
なお、
図2中、104gは基部104eの所定箇所に開口形成された略円形の貫通孔からなる貫通孔部であり、かかる貫通孔部104gは、例えば
図2中、第1の指針式表示部101と第2の指針式表示部102との境界部分の上方に位置する基部104e箇所に設けられている。ここで、基部104eの貫通孔部104gには、前記利用者に車両の各種状態に応じた聴覚情報を出力するスピーカ223が適宜固定手段を用いて固定(配設)されている。
【0030】
第2の透視パネル106は、例えば円板状の透光性合成樹脂からなり、見返し部材104の第2の開口部104bを塞ぐ(覆う)ように立壁部104fの前方側開口端部に配置される。かかる第2の透視パネル106は、第2の開口部104bを通じて指針304並びに指標部305aや報知部D3(前記報知用光源点灯時のみ)等の所定情報を前記利用者に透視可能とする透視部としての機能を有している。
【0031】
従って、前記利用者は、第2の透視パネル106を通じて、指針304並びに指標部305aや報知部D3(前記報知用光源点灯時のみ)を含む指標板305を視認(透視)することができる。
【0032】
バイザー306は、例えば黒色の合成樹脂からなり、見返し部材104の覆い部104d(基部104e)を覆うように覆い部104dの前方側に配置され、第2の透視パネル106に対応する位置に開口形成される孔部306aと、覆い部104dを覆う被覆部306bとを備えている。
【0033】
ここで、本例の場合、基部104eに設けられた貫通孔部104gにはスピーカ223が埋設(配設)されていることから、スピーカ223は被覆部306b(バイザー306)によって隠蔽された状態となる。このことは、スピーカ223は、前記利用者側から車両用計器である車両用情報提供装置100を正視した際に、覆い部104d(基部104e)を覆う被覆部306b(バイザー306)によって視認不可能となっていることを意味している。
【0034】
なお、310は、車両用情報提供装置100の厚み方向(
図4中、矢印Z方向)において、覆い部104dと被覆部306b(バイザー306)との間に形成された間隙部であり、かかる間隙部310は、スピーカ223から発せられる音を前記利用者側(つまり車両用情報提供装置100の前方)へと導くための導音部としての機能を有している。
【0035】
また、本実施形態における車両用情報提供装置100は、
図3に示すように多重通信ライン230を介して走行制御装置231と操作手段232とに接続されている。
【0036】
次に、車両用情報提供装置100の動作について説明する。制御手段202は、車両情報の入出力を行う車両情報端子210及び多重通信入出力端子211から、走行制御(オートクルーズ、レーンキープ)に関する車両状態、アラーム情報、及びオートクルーズ、レーンキープの操作に関する情報を入手し、この情報に基づいてオートクルーズ、レーンキープに関する車両状態報知、アラーム出力、及びオートクルーズ、レーンキープの操作に関するガイダンス、アンサーバックを、聴覚情報提供手段220のスピーカ223を介して効果音と音声(と報知部D3の表示)で行う。
【0037】
ここで、前記アラーム情報を例に挙げて制御手段202の入力時の動作について説明する。制御手段202は、車両情報の入出力を行う車両情報端子210及び多重通信入出力端子211から車両に関する情報を入手し、この情報に基づいて警告の発生条件があるか否か判定する。ここで警告の発生条件を検出すると警告情報を聴覚情報提供手段220で効果音と音声とで報知するとともに、前記警告情報に関係する表示形態を報知部D3によって表示する。
【0038】
図5は、その具体例を示すものであり、制御手段202は、シートベルトが未着用であることを示す検出信号が車両情報端子210または多重通信入出力端子211を介して入力されると、効果音「ポーン」の後、音声にて「シートベルトを着用してください」を出力するように聴覚情報提供手段220を制御する。従って、聴覚情報提供手段220におけるスピーカ223から出力される前記効果音及び前記音声は、見返し部材104(覆い部104d)とバイザー306(被覆部306b)との間に形成される間隙部310を通って、前記利用者の眼前に向けて発せられることで、前記利用者は、前記効果音及び前記音声を容易に認識(聴取)することができる。
【0039】
これと同時に、制御手段202は、前記検出信号が車両情報端子210または多重通信入出力端子211を介して入力されると、前記報知用光源を点灯させるための制御信号を駆動手段204に出力する。この制御信号を受けて駆動手段204は前記報知用光源を点灯動作させる駆動信号を出力し、これにより前記報知用光源が点灯して、シートベルト未着用警報表示である報知部D3が第2の透視パネル106越しに発光表示される。
【0040】
つまり本実施形態によれば、スピーカ223から出力される前記効果音及び前記音声(「ポーン、シートベルトを着用してください」という聴覚情報)がスピーカ223の配設位置周辺に形成された間隙部310を通って、車両用情報提供装置100の前方(つまり前記利用者の眼前)にダイレクトに伝達される構成となるため、スピーカ223から発せられる音が劣化することなく前記利用者に聴覚情報(例えば警告情報)として与えられ、これにより音響特性の良好な車両用情報提供装置を提供することができる。
【0041】
これに加えて、シートベルト未着用警報表示である報知部D3が第2の透視パネル106越しに発光表示されるのと同時に、前記効果音及び前記音声(「ポーン、シートベルトを着用してください」という聴覚情報)が前記利用者の眼前に向けて発せられることで、前記利用者は、報知部D3にて発光表示されている報知内容(警報表示)の意味を瞬時に理解することができ、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)の向上した車両用情報提供装置を提供することができる。
【0042】
以上のように本実施形態では、前記利用者に前記所定情報を報知する車両用情報提供装置100であって、前記利用者に前記所定情報を表示するための指針式表示部である表示手段D1と、この表示手段D1の前方に配設され表示手段D1の可視領域を定める開口部104a、104b、104cと前記可視領域以外のエリアを覆う覆い部104dとを有する見返し部材104と、各開口部104a、104b、104cを通じて前記所定情報を前記利用者に透視可能とするように各開口部104a、104b、104cをそれぞれ覆う透視パネル105、106、107とを備え、覆い部104dは、前記可視領域以外のエリアを覆う基部104eと、前記可視領域を包囲するように基部104eと一体形成される立壁部104fとを有し、基部104eには前記利用者に車両の各種状態に応じた聴覚情報を出力するスピーカ(発音体)223が配設されているものである。また、スピーカ223は、基部104eの所定箇所(例えば第1の指針式表示部101と第2の指針式表示部102との境界部分の上方に位置する基部104e箇所)に開口形成された貫通孔部104gに配設されているものである。
【0043】
従って、スピーカ223から出力される前記効果音及び前記音声(「ポーン、シートベルトを着用してください」なる聴覚情報)は、その音圧が劣化することなく(間隙部310を通じて)前記利用者の眼前に直接、伝達される構成となるため、前記利用者は聴覚情報を容易に聴取することができ、これにより音響特性の良好な車両用情報提供装置を提供することができる。
【0044】
また本実施形態では、スピーカ223が、車両用情報提供装置100を正視した際に、覆い部104dを覆う被覆部306b(バイザー306)によって前記利用者側から視認不可能となっており、覆い部材104と被覆部306b(バイザー306)との間には間隙部310が設けられていることにより、車両用情報提供装置100の外観品質を低下させることなく、前記利用者にスピーカ223から発せられる音(聴覚情報)を良好に伝達することが可能となる。
【0045】
また本実施形態では、スピーカ223が基部104eに開口形成された貫通孔部104g内部に配設されている例について説明したが、例えば貫通孔部104gを廃止して、基部104e上(つまり基部104eと被覆部306bとの間)にスピーカ223を載置(配設)するような構成としてもよい。
【0046】
なお本実施形態では、前記利用者がシートベルトを着用していない場合に、シートベルト未着用警報表示である報知部D3が第2の透視パネル106越しに発光表示されるのと同時に、スピーカ223から出力される前記効果音及び前記音声(つまり聴覚情報)が前記利用者の眼前に向けて発せられるものであったが、例えば前記聴覚情報の出力及び報知部D3の発光表示に加えて、第2の表示手段D2に「シートベルトを着用して下さい」なるメッセージ(警告メッセージ)を表示させる構成としてもよい。