特許第5790209号(P5790209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5790209-キャッピング装置 図000002
  • 特許5790209-キャッピング装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5790209
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】キャッピング装置
(51)【国際特許分類】
   B67B 3/20 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
   B67B3/20
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-146584(P2011-146584)
(22)【出願日】2011年6月30日
(65)【公開番号】特開2013-14339(P2013-14339A)
(43)【公開日】2013年1月24日
【審査請求日】2014年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】393028357
【氏名又は名称】シブヤマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086852
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 守
(72)【発明者】
【氏名】浅野 晃
【審査官】 加藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−255283(JP,A)
【文献】 特開2003−081387(JP,A)
【文献】 特開2000−272693(JP,A)
【文献】 特開2002−240890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67B 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を搬送する搬送手段と、容器を保持する保持手段と、この保持手段が保持している容器の口部にキャップを巻き締めするキャッピングヘッドとを備えたキャッピング装置において、
前記キャッピングヘッドでキャップの巻き締めを行う際に前記保持手段が容器を保持する保持力を制御する制御手段を備え、
キャップの巻き締め時に、容器の口部天面がキャップ内部のシール部に当接するまでは、前記保持手段によって容器を第1保持力で保持し、容器の口部天面がキャップ内部のシール部に当接した後は、前記保持手段によって前記第1保持力よりも負荷の大きい第2保持力で容器を保持することを特徴とするキャッピング装置。
【請求項2】
前記制御手段による保持手段の第1保持力から第2保持力への切り換えは、上記キャッピングヘッドのキャップのネジの巻き数を算出して行うことを特徴とする請求項1に記載のキャッピング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部にキャップを被せて回転させることにより巻き締めを行うキャッピング装置に係り、特に、PET容器等のような軟質な素材からなる容器を保持してキャッピングを行うキャッピング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PETボトル等の樹脂製容器の胴部をグリッパにより把持し、キャッピングヘッドが保持しているキャップを前記容器の口部に被せて回転させることによりキャッピングを行うキャッピング装置は従来から広く知られている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、容器台の上側に着脱自在に固設され、周辺に複数の半円凹形の把持面を有するスターホイールと、容器台の下側周辺部に半径方向に直角に設けられた水平な軸に回転自在に支承され、半円凹形の把持面を有する把持体と、把持体と係合して把持体を回転させるガイドレールと、スターホイールと把持体の2つの半円凹部の把持面に固着された円弧状の弾性体とを備え、把持体がスターホイールに向かい合ったとき、それぞれの凹部の弾性体によって、同心で容器の外径より僅かに小さい円を形成し、それにより容器を把持する容器把持装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、容器を収容する複数のポケットが設けられたスターホイールと、このスターホイールの外周に設けられ、容器が搬送経路から脱落するのを防止するガイド部とを備え、さらに、前記ポケットの内面に、弾性体からなり、ポケットに収容された容器の胴部に接触する緩衝部材を設けるとともに、前記ガイド部に、弾性体からなり、前記ポケットに収容された容器をスターホイールの回転軸方向に押圧し、前記胴部に接触するクッション部材を設けたキャッピングマシンが記載されている。この特許文献2に記載された発明では、キャッピング時には、容器を外側から押さえつけて容器の回転を防止できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−26389号公報
【特許文献2】特開平8−72986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記各引用文献に記載された発明のようにスクリューキャップを容器に巻き締める際にスターホイールと、把持体またはクッション部材によるグリッパによって容器を把持するため、容器を変形させたり、容器の内圧変動を起こす等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、容器を搬送する搬送手段と、容器を保持する保持手段と、この保持手段が保持している容器の口部にキャップを巻き締めするキャッピングヘッドとを備えたキャッピング装置において、前記キャッピングヘッドでキャップの巻き締めを行う際に前記保持手段が容器を保持する保持力を制御する制御手段を備え、キャップの巻き締め時に、容器の口部天面がキャップ内部のシール部に当接するまでは、前記保持手段によって容器を第1保持力で保持し、容器の口部天面がキャップ内部のシール部に当接した後は、前記保持手段によって前記第1保持力よりも負荷の大きい第2保持力で容器を保持することを特徴とするものである。
【0008】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記制御手段による保持手段の第1保持力から第2保持力への切り換えは、上記キャッピングヘッドのキャップのネジの巻き数を算出して行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
容器口部へのキャップの巻き締めを行う際に、容器の口部がシールされていない間は、弱い保持力である第1保持力で保持し、容器の口部がシールされた後は、この第1保持力よりも負荷の大きい第2保持力で保持するようにしたので、容器の内圧にばらつきが生じたり、容器が変形したりするおそれがなく、しかも、容器がキャップの回転に供回りすること無く確実に巻き締めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1はキャッピング装置の平面図である。(実施例1)
図2図2はキャッピング装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
容器を間欠的に搬送する搬送手段と、この搬送手段による停止位置に停止した容器を保持する保持手段と、保持手段によって保持されている容器の口部にキャップを被せて巻き締めを行うキャッピングヘッドとを備え、さらに、キャップの巻き締めを行う際に、前記保持手段によって容器を保持する保持力を制御する制御手段を備えており、容器にキャップを巻き締める時に、容器の口部天面にキャップ内部のシール部が当接するまでの間は、前記保持手段によって、容器の外面に外力をほとんど付与しない小さな保持力(第1保持力)で容器を保持し、容器の口部天面にキャップ内部のシール部が当接した後は、前記第1保持力よりも大きい第2保持力で容器を保持するという構成にしたので、容器内がシールされる前は容器を変形させたり内圧の変動を起こさないようにし、容器内がシールされた後は、容器が変形するおそれがないので、強い保持力で容器を保持して供回りを防止するという目的を達成する。
【実施例1】
【0012】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この実施例に係るキャッピング装置は、容器2を間欠的に搬送する容器搬送手段(スターホイール4)と、このスターホイール4によって間欠的に搬送されてきた容器2が、キャッピング位置Pに停止したときに、この容器2を保持する保持手段6と、キャッピング位置Pに停止した容器2の上方に配置され、保持手段6に保持されている容器2にキャップ12を巻き締めするキャッピングヘッド8(図2参照)とを備えている。
【0013】
この実施例に係るキャッピング装置でキャッピングが行われる容器2は、PET容器等の軟質の素材からなる容器であり、上流側に配置されたフィラ(図示せず)において内部に液体が充填された状態で、供給コンベヤ10によって連続的に搬送され、間欠回転するスターホイール4に受け渡される。スターホイール4は、外周部に円周方向等間隔で、前記容器2を収容する複数の凹部4aが形成されており、各凹部4a内に1本ずつ容器2を収容して、1ピッチずつ間欠的に回転する。このスターホイール4の外周側に、円弧状の外側ガイド14が配置されている。
【0014】
容器2は、スターホイール4の各凹部4a内に収容され、外周側を外側ガイド14によって案内されて回転搬送される。このスターホイール4による搬送経路の途中に、容器2の口部2aにキャップ12の巻き締めを行うキャッピング位置Pが設けられている。このキャッピング位置Pには、容器2の胴部2bを保持する保持手段6と、その上方に昇降可能に配置されたキャッピングヘッド8が設けられている。下方の保持手段6によって容器2の胴部2bを保持した状態で、上方のキャッピングヘッド8の下端に設けられているチャック18にキャップ12を保持し、その後、キャッピングヘッド8が下降して、キャップ12を容器2の口部2a上に被せた後、回転してキャップ12の巻き締めを行う。キャッピングが終了した容器2は、スターホイール4によってキャッピング位置Pから回転搬送され、排出コンベヤ20によって排出されて次の工程に送られる。なお、前記供給コンベヤ10およびこの排出コンベヤ20は、両側に搬送される容器2を案内するガイド部材10a、10b、20a、20bが配置されている。これらガイド部材10a、10b、20a、20bは、搬送される容器2のサイズに応じて間隔調整手段22によってその間隔を調整することができる。
【0015】
次に、図2により、キャッピング装置の構成について説明する。前記スターホイール4は、上中下三枚の円形プレート4A、4B、4Cからなっており、中央と下方の2枚のプレート4B、4Cが容器2の胴部2bを保持し、上方の1枚のプレート4Aが容器2のネック部2cを保持する。従って、中央と下方の2枚のプレート4B、4Cには、容器2の胴部2bの外径とほぼ一致する内径を有する円弧状の凹部4aが、円周方向等間隔で複数(この実施例では8個)形成されている(図1参照)。これら円弧状凹部4aの内面には、ゴム等の弾性体16が装着されている。また、上方の1枚のプレート4Aには、容器2のネック部2cの外径とほぼ一致する内径を有する小径凹部4cが円周方向等間隔で、前記胴部2bを保持する円弧状凹部4aとその中心位置を一致させて形成されている。このスターホイール4は、図示しない駆動手段によって回転駆動される。供給コンベヤ10によって搬送されてきた容器2は、胴部2bが前記円弧状凹部4a内に、そして、ネック部2cが小径凹部4c内にそれぞれ収容され、この容器2の外周側が前記外側ガイド14に案内されて回転搬送される。このとき容器2の底部2dは円弧状のプレート24上に載って移動する。
【0016】
前記スターホイール4の各円弧状凹部4aが、供給コンベヤ10から容器2を受け取って間欠的に搬送し、排出コンベヤ20に引き渡すまでの半円状の搬送経路の中間の位置が、前記キャッピング位置Pであり、このキャッピング位置Pの上方にキャップ12を保持して巻き締めを行うキャッピングヘッド8が配置されている。また、前記スターホイール4の、このキャッピング位置Pに停止している円弧状凹部4aの向かい側(スターホイール4の半径方向外方側)に、キャッピングが行われる容器2をスターホイール4側へ押圧して保持する容器保持部材26が配置されている。
【0017】
キャッピングヘッド8は、図示しない昇降手段によって昇降し、かつ回転駆動手段によって回転するようになっており、上昇している状態のときに下端のチャック18がキャップ12を保持し、その後、キャッピングヘッド8が下降して、チャック18が保持しているキャップ12を容器2の口部2aに被せる。続いて、キャッピングヘッド8が回転してキャップ12を容器2の口部2aの外周に形成されたねじ部に対して巻き締める。
【0018】
容器保持部材26は、揺動軸28(図1参照)を中心に水平面内で回転可能な揺動アーム30の先端(揺動端)側に取り付けられており、前面側(スターホイール4側)に容器2の外径とほぼ一致する内径の円弧状の凹部26aが形成されている。図示しない駆動手段によって揺動アーム30が揺動し、容器保持部材26がスターホイール4側に接近して、スターホイール4の円弧状凹部4aとこの容器保持部材26の凹部26aとの間に容器2を保持する位置と、スターホイール4から離隔して、スターホイール4の凹部4aに保持されている容器2の回転移動を阻害しない退避位置との間で往復揺動するようになっている。容器保持部材26の円弧状凹部26aの内面には、前記スターホイール4の円弧状凹部4aと同様のゴム等の弾性体36が装着されている。また、前記揺動アーム30にはストッパ部材32が取り付けられており、エアシリンダ34の作動によってエアシリンダ34のピストンロッド34aが当接すると、揺動アーム30の容器2を保持する位置での前進位置に制限を受けるようになっている。
【0019】
また、実施例に係る装置には、前記エアシリンダ34の作動によって、容器保持部材26とスターホイール4との間で容器2を保持する力を制御する制御手段(図示せず)が設けられている。この実施例では、容器2の外面に当接してこの容器2を保持するが、容器2に対して外圧をほとんど付与しない弱い力で保持する状態(この状態を第1保持力と呼ぶ)と、これよりも強い力で容器2を保持する第2保持力とに切り換えられるようになっている。この実施例に係るキャッピング装置でキャッピングが行われるPET容器等の容器2は、その材質や厚さ等により強度が異なっているが、前記第1保持力とは、容器2の口部2aが開放した状態で胴部2bを把持してもこの容器2が変形しない程度の負荷により保持するものである。
【0020】
前記構成に係るキャッピング装置の作動について説明する。上流側に配置されたフィラ(図示せず)で液体が充填された容器2が、供給コンベヤ10によって連続的に搬送されて、本発明の容器搬送手段であるスターホイール4に供給される。スターホイール4には外周側に円周方向等間隔で8個の円弧状凹部4aが形成されており、供給コンベヤ10によって搬送されてきた容器2は、スターホイール4の各円弧状凹部4a内に順次収容される。スターホイール4は間欠的に回転しており、スターホイール4の各円弧状凹部4a内に収容された容器2は、外周側を外側ガイド14に案内されつつ、図1の矢印R方向に1ピッチずつ回転移動して停止する。
【0021】
スターホイール4によって搬送されてきた容器2がキャッピング位置Pに停止すると、図示しない駆動手段によって、退避位置に後退していた容器保持部材26が揺動アーム30とともにスターホイール4側へ揺動し、キャッピング位置Pに停止している容器2を、スターホイール4とともに保持する。この時点では、エアシリンダ34が作動してピストンロッド34aが前進端に出ることによって揺動アーム30に取り付けられたストッパ部材32と当接して、揺動アーム30の容器2の保持位置での前進を制限するので、前記第1保持力つまり、容器2に外圧をほとんど付与しない程度の負荷により容器2を保持する。
【0022】
スターホイール4と容器保持部材26(これら両者が請求項1の保持手段6を構成している)が第1保持力で容器2を保持している状態で、キャッピングヘッド8が下降して、キャッピングヘッド8の下端に設けられているチャック18が保持しているキャップ12を容器2の口部2aに被せ、キャッピングヘッド8の回転により巻き締めを開始する。巻き締め開始時は、キャップ12の内部に設けられているインナー等の部材が容器2の口部2a天面に嵌合または密着していないので、締め付けトルクは小さく、保持手段6による容器2の保持力が小さくとも容器2が供回りしてしまうことはない。その後、キャップ12の巻き締めが進んで、キャップ12のインナーが口部2aの天面に嵌合を開始する等により容器2がシールされると、前記制御手段がシリンダ34を作動させてピストンロッド34aと揺動アーム34に取り付けられたストッパ部材32との当接による制限を解除して保持手段6による容器2の保持力を切り換える。前記キャップ12のインナーが容器2の口部2aに嵌合を開始する等によって容器2の口部2aがシールされるまでの間を仮締めとし、それ以降を本締めとする。仮締めの間は容器保持部材26による容器2の保持力を第1保持力とし、本締めの状態になると、容器保持部材26による容器2の保持力を第2保持力となるように切り換える。なお、保持手段6が保持する容器2の部位は胴部2bに限るものではなく、他の部位であってもよい。また、揺動アーム30にエアシリンダのピストンロッドを連結しエアシリンダの作動を切り換えることによって容器保持部材26による容器2の保持力を切り換えるようにしてもよい。また、保持手段として、複数の容器保持部材を備えるようにして、本締めの状態になると、容器保持部材が保持する箇所を増やすようにしたり、保持力の強い保持部材に切り換えたりして容器の保持力を第2保持力となるように切り換えてもよい。
【0023】
前記のように、キャップ12の巻き締めが、仮締めの段階から本締めの段階に移る時点で、容器保持部材26による容器2の保持力を切り換えるが、この切り換えのタイミングは、この実施例では、本締めに至るまでの巻き締め回転数を算出し、所定の回転数に達した後は、キャップ12のインナーが嵌合されたものとみなして容器2の保持力を切り換えるようにしている。なお、保持力の切り換えのタイミングは、巻き締めの回転数によるものに限らず、例えば、容器2の空回りを検知する検知手段を設け、この検知手段によって空回りが検知されたときに容器2に対する保持力を切り換えてもよく、また、巻き締めトルクを検出して、所定以上のトルクになったときに切り換える等その他の方法によって切り換えるようにしてもよい。
【0024】
本締めの段階になると巻き締めトルクが大きくなるが、容器保持部材26とスターホイール12による容器2の保持力も大きくなっているので、容器2が供回りしてしまうことはない。また、本締めの段階では容器2の保持力を大きくしているが、すでに容器2の口部2aがシールされているので、容器2の内部圧力が変動することはなく、しかも、容器2が変形してしまうこともない。
【符号の説明】
【0025】
2 容器
2a 容器の口部
4 搬送手段(スターホイール)
6 保持手段
8 キャッピングヘッド
12 キャップ
図1
図2