特許第5790513号(P5790513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5790513
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】加飾成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20150917BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   B29C45/14
   B29C51/10
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-10346(P2012-10346)
(22)【出願日】2012年1月20日
(65)【公開番号】特開2013-146956(P2013-146956A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達朗
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−074613(JP,A)
【文献】 特開2001−232660(JP,A)
【文献】 特開2003−326576(JP,A)
【文献】 特開2008−030260(JP,A)
【文献】 特開2008−247011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/14
B29C 51/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティ型及びコア型を備える金型を用い、基材フィルム上に加飾模様層が形成されてなるフィルムを、型開き状態の前記金型における前記キャビティ型に対し位置決めし、同キャビティ型の前記コア型側の端面において成形面の周りで密閉状態に保持し、前記フィルムを真空吸引により前記成形面に密着させた後、型締め状態の前記金型内において前記フィルムと前記コア型のコア面との間に形成されるキャビティに溶融樹脂を射出して成形品本体を成形するとともに、前記フィルムの少なくとも前記加飾模様層を前記成形品本体の意匠面に付着させることにより、前記成形品本体の意匠面が前記加飾模様層により加飾された加飾成形品を製造する方法であって、
前記フィルムとして、前記加飾模様層において前記コア型により少なくとも押される箇所が、熱で溶融する保護層により被覆されたものを用い、
前記金型の型締めに際し、前記保護層を前記コア型により前記キャビティ型側へ押して、前記キャビティ型に保持された前記フィルムを前記成形面に近付けたうえで、前記フィルムを前記真空吸引により前記成形面に密着させ、
前記成形品本体の成形に際し、前記キャビティに射出される前記溶融樹脂の熱により前記保護層を溶融させることを特徴とする加飾成形品の製造方法。
【請求項2】
前記フィルムとして、前記基材フィルム上に前記加飾模様層が剥離可能に形成されたものを用い、
前記成形品本体の成形の過程で、前記基材フィルムから前記加飾模様層を前記成形品本体の前記意匠面に転写させる請求項1に記載の加飾成形品の製造方法。
【請求項3】
前記フィルムとして、透明な前記基材フィルム上に前記加飾模様層が接着された状態で形成されたものを用い、
前記成形品本体の成形の過程で、前記フィルムを前記加飾模様層において前記成形品本体の前記意匠面に付着させる請求項1に記載の加飾成形品の製造方法。
【請求項4】
前記コア型により前記フィルムが前記キャビティ型側へ押される前に同フィルムを加熱して軟化させる請求項1〜3のいずれか1つに記載の加飾成形品の製造方法。
【請求項5】
前記コア型として、コア型本体を有するとともに、前記コア型本体内に収納されて前記コア面の一部を構成する収納位置と、前記コア型本体から前記キャビティ型側へ突出した突出位置との間でスライドするスライドコアを有するものを用い、
前記金型の型締めに際し、前記スライドコアを前記突出位置までスライドさせ、前記フィルムのうち前記加飾模様層の形成されていない箇所を、同スライドコアにより前記キャビティ型側へ押した後に、前記フィルムを前記真空吸引により前記スライドコアから離れさせ、前記成形品本体の成形に備え、前記スライドコアを前記収納位置までスライドさせる請求項1〜4のいずれか1つに記載の加飾成形品の製造方法。
【請求項6】
前記コア型として、少なくとも前記加飾模様層を押す箇所が同コア型の他の箇所よりも軟質の部材により形成されたものを用い、
前記金型の型締めに際し、前記コア型の前記軟質の部材により前記加飾模様層を前記キャビティ型側へ押して前記フィルムを前記成形面に近付ける請求項1〜5のいずれか1つに記載の加飾成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品本体の意匠面が加飾模様層によって加飾された加飾成形品を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
成形品本体の意匠面が加飾模様層によって加飾された加飾成形品を製造する方法の1つに、インモールド成形と呼ばれるものがある(特許文献1参照)。この製造方法では、図13(A)に示すように、キャビティ型72及びコア型74を備える金型71と、基材フィルム83上に加飾模様層84が剥離可能に形成されてなるフィルム82とが用いられる。
【0003】
そして、金型71が型開きされた状態で、フィルム82のキャビティ型72に対する位置決めが行なわれた後に、同フィルム82がクランプ78によってキャビティ型72に押え付けられる。この押え付けにより、フィルム82とキャビティ型72の成形面73との間に密閉空間79が形成される。この状態で、真空ポンプ等を用いた真空吸引により、上記密閉空間79が徐々に減圧されて、図13(B)に示すように、フィルム82が成形面73に密着させられる。
【0004】
続いて、図13(C)に示すように、金型71が型締めされ、フィルム82とコア型74のコア面75との間に形成されるキャビティ77に対し、溶融樹脂がスプルーゲート76を通じて射出されて成形品本体85が成形される。この成形品本体85の成形の過程で、フィルム82の加飾模様層84が成形品本体85に転写(付着)されて、同成形品本体85の意匠面86が加飾模様層84によって加飾された加飾成形品87が得られる。その後に、金型71が型開きされて、上記加飾成形品87が金型71から取り出される。
【0005】
なお、図13(A)に示すように、キャビティ型72のコア型74側の端面72Aと成形面73の内底面との間隔Dが大きい(成形面73が深い)場合には、フィルム82を成形面73に密着させるために大きく伸ばす(深く絞る)必要がある。そのため、この場合には、真空吸引に先立ち、フィルム82をヒータ81によって加熱する処理が行なわれる。この加熱によってフィルム82が軟化させられ、伸びやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3917438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、真空吸引のみでフィルム82を深くまで引き込むと、真空吸引時におけるフィルム82の動き量が多くなる。そのため、真空吸引に先立ち、キャビティ型72に対しフィルム82(特に加飾模様層84)の位置決めがなされているとはいえ、成形品本体85に対する加飾模様層84の形成位置のばらつきが、フィルム82の温度分布のばらつきや、密閉空間79内での空気の流れのばらつき等の影響を受けて大きくなる。この形成位置のばらつきは、キャビティ77の成形面73が深くなるほど(上記間隔Dが大きくなるほど)大きくなる。そして、このことが、加飾模様層84の形成位置精度の低下を招いている。
【0008】
なお、上記特許文献1には、キャビティ型(雌型)の縦型部に設けられた真空引き手段により真空吸引を行なう技術が記載されているが、この技術は、加飾模様層の形成位置精度の向上を意図して開発されたものではない。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、加飾模様層の形成位置精度の高い加飾成形品を製造することのできる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、キャビティ型及びコア型を備える金型を用い、基材フィルム上に加飾模様層が形成されてなるフィルムを、型開き状態の前記金型における前記キャビティ型に対し位置決めし、同キャビティ型の前記コア型側の端面において成形面の周りで密閉状態に保持し、前記フィルムを真空吸引により前記成形面に密着させた後、型締め状態の前記金型内において前記フィルムと前記コア型のコア面との間に形成されるキャビティに溶融樹脂を射出して成形品本体を成形するとともに、前記フィルムの少なくとも前記加飾模様層を前記成形品本体の意匠面に付着させることにより、前記成形品本体の意匠面が前記加飾模様層により加飾された加飾成形品を製造する方法であって、前記フィルムとして、前記加飾模様層において前記コア型により少なくとも押される箇所が、熱で溶融する保護層により被覆されたものを用い、前記金型の型締めに際し、前記保護層を前記コア型により前記キャビティ型側へ押して、前記キャビティ型に保持された前記フィルムを前記成形面に近付けたうえで、前記フィルムを前記真空吸引により前記成形面に密着させ、前記成形品本体の成形に際し、前記キャビティに射出される前記溶融樹脂の熱により前記保護層を溶融させることを要旨とする。
【0011】
上記の製造方法では、加飾成形品の製造に際し、キャビティ型及びコア型を備える金型と、基材フィルム上に加飾模様層が形成されてなるフィルムとが用いられる。フィルムが、型開き状態の金型におけるキャビティ型に対し位置決めされる。フィルムが、キャビティ型のコア型側の端面において、成形面の周りで密閉状態に保持される。
【0012】
次に、上記フィルムが、金型の型締めに際し、コア型のコア面によってキャビティ型側へ押される。このときには、基材フィルムは伸びるが、コア型によって押付けられていて、コア型に対し動きにくい。加飾模様層についても同様であり、コア型に対し動きにくい。
【0013】
上記のようにコア型によって押されることで、フィルムは、コア型に対する位置を保持しつつ伸びて成形面に近付く。そして、フィルムは真空吸引により成形面に密着させられて、同成形面に倣った形状に賦形(予備成形)される。そのため、間隔が狭められずに一気に真空吸引される場合に比べ、真空吸引時におけるフィルムの動き量が少ない。成形面に対する加飾模様層の位置は、フィルムの温度分布や、フィルムとキャビティ型の成形面との間に形成される密閉空間内での空気の流れについて、それらのばらつきの影響を受けにくい。
【0014】
続いて、型締め状態の金型内において、フィルムとコア型のコア面との間に形成されるキャビティに溶融樹脂が射出されて成形品本体が成形される。この成形の過程で、溶融樹脂の熱、圧力等により、フィルムの少なくとも加飾模様層が、成形品本体に対し高い形成位置精度で付着する。その結果、成形品本体の意匠面が加飾模様層により加飾され、かつ加飾模様層の形成位置精度の高い加飾成形品が得られる。
ここで、フィルムがコア型によってキャビティ型側へ強く押されると、加飾模様層に傷が付くおそれがある。
この点、フィルムは保護層においてコア型によってキャビティ型側へ押されて成形面に近付けられる。そのため、コア型が加飾模様層に触れることがなく、保護層の設けられていない場合に比べ、加飾模様層に傷が付きにくい。
なお、保護層は、フィルムの少なくとも加飾模様層を成形品本体の意匠面に付着させる際に残っていると、その付着に影響を及ぼすおそれがある。しかし、この保護層は、射出される溶融樹脂の熱によって溶融させられる。そのため、保護層が、成形品本体への加飾模様層の付着に及ぼす影響は小さい。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記フィルムとして、前記基材フィルム上に前記加飾模様層が剥離可能に形成されたものを用い、前記成形品本体の成形の過程で、前記基材フィルムから前記加飾模様層を前記成形品本体の前記意匠面に転写させることを要旨とする。
【0016】
上記の製造方法によれば、成形品本体の成形の過程で、フィルムの基材フィルムから加飾模様層が剥離し、成形品本体の意匠面に転写(付着)される。この転写(付着)により、成形品本体の意匠面に加飾模様層が形成されてなる加飾成形品が得られる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記フィルムとして、透明な前記基材フィルム上に前記加飾模様層が接着された状態で形成されたものを用い、前記成形品本体の成形の過程で、前記フィルムを前記加飾模様層において前記成形品本体の前記意匠面に付着させることを要旨とする。
【0018】
上記の製造方法によれば、成形品本体の成形に際し、加飾模様層はフィルムの基材フィルムから剥離することなく、基材フィルムと一体となった状態で成形品本体の意匠面に付着される。この付着により、成形品本体の意匠面に加飾模様層及び透明な基材フィルムが形成されてなる加飾成形品が得られる。
【0019】
この加飾成形品では、加飾模様層及び成形品本体は透明な基材フィルムによって覆われた状態となり、同基材フィルムによって保護される。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1つに記載の発明において、前記コア型により前記フィルムが前記キャビティ型側へ押される前に同フィルムを加熱して軟化させることを要旨とする。
【0020】
上記の構成によれば、キャビティ型に保持されたフィルムは、コア型によってキャビティ型側へ押されることで伸びるし、真空吸引されることでも伸びる。
ここで、請求項4に記載の発明では、コア型によるフィルムのキャビティ型側への押し付けに先立ち同フィルムが加熱される。この加熱により、フィルムは軟化して伸びやすくなる。従って、フィルムはコア型の押し付け及び真空吸引によりそれぞれ伸びて、成形面に密着させられる。
【0021】
特に、キャビティ型の成形面が深く、フィルムを成形面に密着させるために大きく伸ばす必要がある場合には、上記フィルムの加熱による軟化処理が有効である。
そして、この場合には、フィルムの伸び量が多いため、上述したフィルムをキャビティ型側へ押したうえで真空吸引することは、加飾模様層の形成位置精度の高い加飾成形品を製造することができるという効果を得るうえで特に有効である。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の発明において、前記コア型として、コア型本体を有するとともに、前記コア型本体内に収納されて前記コア面の一部を構成する収納位置と、前記コア型本体から前記キャビティ型側へ突出した突出位置との間でスライドするスライドコアを有するものを用い、前記金型の型締めに際し、前記スライドコアを前記突出位置までスライドさせ、前記フィルムのうち前記加飾模様層の形成されていない箇所を、同スライドコアにより前記キャビティ型側へ押した後に、前記フィルムを前記真空吸引により前記スライドコアから離れさせ、前記成形品本体の成形に備え、前記スライドコアを前記収納位置までスライドさせることを要旨とする。
【0023】
ここで、フィルムがコア型によってキャビティ型側へ強く押されると、加飾模様層に傷が付くおそれがある。
この点、請求項5に記載の発明では、金型の型締めに際し、スライドコアが、コア型本体からキャビティ型側へ突出した突出位置までスライドさせられる。フィルムのうち加飾模様層の形成されていない箇所が、スライドコアによってキャビティ型側へ押される。このときには、加飾模様層は、スライドコアによってもコア型本体によっても押されないため、押し付けに起因する傷付きが起こらない。
【0024】
フィルムは、上記のようにスライドコアによって成形面に近付けられた後に、真空吸引される。この真空吸引により、フィルムはスライドコアから離され、成形面に密着させられ。
【0025】
フィルムが離されたスライドコアは、その後に、成形品本体の成形に備え、収納位置までスライドさせられる。収納位置では、スライドコアによって、コア面の一部が構成される。すなわち、スライドコアとコア型本体とによってコア面が構成される。
【0026】
そして、型締め状態の金型内においてフィルムとコア型のコア面との間に形成されるキャビティに溶融樹脂が射出されることで、成形品本体が成形されるとともに、フィルムの少なくとも加飾模様層が成形品本体の意匠面に付着される。
【0027】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1つに記載の発明において、前記コア型として、少なくとも前記加飾模様層を押す箇所が同コア型の他の箇所よりも軟質の部材により形成されたものを用い、前記金型の型締めに際し、前記コア型の前記軟質の部材により前記加飾模様層を前記キャビティ型側へ押して前記フィルムを前記成形面に近付けることを要旨とする。
【0028】
ここで、フィルムがコア型によってキャビティ型側へ強く押されると、加飾模様層に傷が付くおそれがある。
この点、請求項6に記載の発明では、キャビティ型に保持されたフィルムの加飾模様層が、コア型の軟質の部材によって押される。そのため、こうした軟質の部材が設けられず、硬質のコア型によって押される場合よりも、加飾模様層に傷が付きにくい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の加飾成形品の製造方法によれば、キャビティ型に保持されたフィルムを、金型の型締めに際し、コア型のコア面によってキャビティ型側へ押して成形面に近付けたうえで、真空吸引により成形面に密着させるため、加飾模様層の形成位置精度の高い加飾成形品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明を具体化した第1実施形態において、加飾成形品の概略構成を示す断面図。
図2】(A),(B)は、第1実施形態において加飾成形品を製造する工程の概略を示す断面図。
図3】(A)〜(C)は、同じく第1実施形態において加飾成形品を製造する工程の概略を示す断面図。
図4】(A),(B)は、同じく第1実施形態において加飾成形品を製造する工程の概略を示す断面図。
図5】本発明を具体化した第2実施形態における加飾成形品の概略構成を示す断面図。
図6】(A)〜(D)は、第2実施形態において加飾成形品を製造する工程の一部を示す断面図。
図7】(A)〜(C)は、本発明を具体化した第3実施形態において、加飾成形品を製造する工程の一部を示す断面図。
図8】第3実施形態で用いられるスライドコア及びその周辺部分を示す部分斜視図。
図9図8のスライドコアの変更例を示す部分斜視図。
図10】同じく、図8のスライドコアの変更例を示す部分斜視図。
図11】加飾成形品を製造する工程の変更例を示す断面図。
図12】加飾成形品を製造する工程の変更例を示す断面図。
図13】(A)〜(C)は、従来技術において加飾成形品を製造する工程の一部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態について、図1図4を参照して説明する。
最初に、本実施形態の製造方法によって得られる加飾成形品の概略構成について説明する。図1に示すように、この加飾成形品11は、例えば、自動車用の内装品として具体化されるものであり、成形品本体12及び加飾模様層14を備えて構成されている。成形品本体12は、樹脂材料を用い射出成形を行なうことによって形成されている。加飾模様層14は、成形品本体12の意匠面13に形成され、その意匠面を加飾(装飾)している。本実施形態では、加飾模様層14は、成形品本体12の意匠面13の略全面にわたって形成されている。
【0035】
上記加飾成形品11の製造には、以下に示すフィルム20及び金型25が用いられる。 <フィルム20>
図2(A)に示すように、フィルム20の主要部は、樹脂材料によって長尺状に形成された基材フィルム21によって構成されている。この基材フィルム21は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。基材フィルム21の樹脂材料としては、熱可塑性の樹脂材料であれば任意のものを使用することができる。本実施形態では、こうした樹脂材料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられている。なお、基材フィルム21は、単層からなるものであってもよいし、積層構造を有するものであってもよい。
【0036】
上記基材フィルム21上には、所定の模様からなる加飾模様層14が、グラビア印刷等の印刷、蒸着等によって、基材フィルム21の長さ方向に一定間隔毎に剥離可能に形成されている。加飾模様層14における模様としては、例えば木目模様、石目模様、砂目模様、金属調模様、幾何学模様、抽象模様等が挙げられる。また、この模様には、文字、記号等が含まれてもよい。
【0037】
上記基材フィルム21上であって、加飾模様層14とは異なる箇所には、位置決め用のマーク(図示略)が印刷等によって加飾模様層14毎に形成されている。
上記フィルム20は、基材フィルム21が内側となり、加飾模様層14が外側となるように巻回されてロール22にされている。
【0038】
<金型25>
金型25は、コア型26及びキャビティ型36を備えて構成されている。本実施形態では、キャビティ型36は固定型によって構成されている。コア型26は水平方向へ移動してキャビティ型36に接近及び離間する可動型によって構成されている。
【0039】
コア型26のキャビティ型36側には、同キャビティ型36側へ突出する成形突部29が設けられている。この成形突部29の表面と、コア型26のキャビティ型36側の端面26Aであって、成形突部29の周りの箇所とによって、コア面31が構成されている。コア型26には、スプルーゲート32が形成されている。
【0040】
キャビティ型36のコア型26側には成形凹部37が設けられており、この成形凹部37の内壁面によって成形面38が構成されている。成形面38は、フィルム20を所定の形状に形成するための賦形面としての機能と、溶融樹脂を、所定の形状を有する成形品本体12に成形するための賦形面としての機能とを有している。この成形面38には、キャビティ型36に形成された多数の微細な真空吸引孔(図示略)が開口している。真空吸引孔は真空ポンプ(図示略)に接続されている。
【0041】
キャビティ型36には、環状のクランプ39が設けられている。また、キャビティ型36には、クランプ39を、キャビティ型36のコア型26側の端面36Aに接近するクランプ位置(図2(B)参照)と、同端面36Aからコア型26側へ離間するクランプ解除位置(図2(A)参照)との間で移動させる駆動機構(図示略)が設けられている。
【0042】
さらに、金型25の近傍には、通電により加熱するヒータ42が移動可能に配置されている(図3(A)参照)。
上記ロール22は、キャビティ型36の上方近傍に配置されている(図2(A)参照)。また、キャビティ型36の下方近傍には、上記フィルム20を巻き取るための巻取り装置(図示略)が配置されている。
【0043】
次に、第1実施形態の作用として、加飾成形品11を製造する方法について、図2図4に従って説明する。
まず、図2(A)に示すように、コア型26がキャビティ型36から離間する側(同図2(A)の右側)へ移動させられて、金型25が型開きされる。このときには、クランプ39はクランプ解除位置に保持されている。
【0044】
この状態で、巻取り装置が作動させられることで、キャビティ型36の上方のロール22から、フィルム20がそれらキャビティ型36とクランプ39との間へ送り出される。送り出されたフィルム20では、基材フィルム21がキャビティ型36側に位置し、かつ加飾模様層14がコア型26側に位置する。上記フィルム20の送り出しは、加飾模様層14が予め定められた箇所まで移動したところで停止される。すなわち、加飾模様層14のキャビティ型36に対する位置決めが行なわれる。この位置決めは、例えば、上述した位置決め用のマークがセンサによって検出されることをもって行なわれる。
【0045】
次に、金型25が型開き状態に維持されたうえで、図2(B)に示すように、クランプ39がクランプ位置まで移動させられることで、フィルム20がクランプ39によってキャビティ型36に押え付けられる。フィルム20が、キャビティ型36のコア型26側の端面36Aにおいて成形面38の周りで密閉状態(シール状態)に保持される。キャビティ型36の成形面38とフィルム20との間に密閉空間43が形成される。
【0046】
続いて、金型25が型開き状態に維持されたうえで、図3(A)に示すように、フィルム20とコア型26との間にヒータ42が移動させられ、このヒータ42への通電によってフィルム20が加熱される。この加熱により、フィルム20は軟化して伸びやすくなる。フィルム20の加熱後、ヒータ42は、次サイクルでの加熱に備え、金型25の外部の待機位置へ退避させられる。
【0047】
そして、金型25の型締めが行なわれる。この型締めは、コア型26がキャビティ型36側へ移動させられることにより行なわれる。図3(B)に示すように、コア型26の上記移動に際し、同コア型26の成形突部29(コア面31)によって、上記フィルム20がキャビティ型36側へ押される。このときには、基材フィルム21は伸びるが、成形突部29によって押付けられていて、同成形突部29に対し動きにくい。加飾模様層14についても同様であり、成形突部29に対し動きにくい。
【0048】
上記押し付けは、フィルム20と成形面38の内底面との間隔Dが、例えば、2.5mm〜3.5mm程度となる位置まで行なわれる。上記のようにコア型26によって押されることで、フィルム20は、コア型26に対する位置精度を保持しつつ伸びて成形面38に近付く。
【0049】
次に、真空ポンプによる真空吸引が開始され、上記密閉空間43が減圧される。この減圧により、フィルム20がキャビティ型36側へ引き込まれて伸び、図3(C)に示すように、成形面38に密着させられて、同成形面38に倣った形状に賦形(予備成形)される。そのため、間隔Dが狭められずに一気に真空吸引される従来技術に比べ、真空吸引時におけるフィルム20の動き量が少ない。成形面38に対する加飾模様層14の位置は、フィルム20の温度分布や、密閉空間43内での空気の流れについて、それらのばらつきの影響を受けにくい。
【0050】
そして、金型25が型締めされることで、キャビティ型36の成形面38に密着したフィルム20と、コア型26のコア面31との間にキャビティ41が形成される。
図4(A)に示すように、スプルーゲート32を通じて溶融樹脂45がキャビティ41に射出される。その後、溶融樹脂45が冷却されることで、図4(B)に示す成形品本体12が成形される。この成形の過程で、溶融樹脂45の熱、射出の圧力等により、フィルム20の基材フィルム21から加飾模様層14が剥離し、成形品本体12の意匠面13に対し高い位置精度で、転写(付着)される。この転写(付着)により、成形品本体12の意匠面13に対し、加飾模様層14が高い形成位置精度で形成された加飾成形品11が得られる。
【0051】
その後、コア型26がキャビティ型36から離間する側へ移動させられることで金型25の型開きが行なわれる。そして、金型25から上記加飾成形品11が取り出される。また、このときには、次サイクルの加飾成形品11の製造に備えて、クランプ39がクランプ解除位置へ移動させられる。
【0052】
そして、図2(A)に示すように、巻取り装置によりフィルム20が所定長さだけ巻き取られる(送り出される)ことにより、加飾成形品製造のための1サイクルが終了する。
以上詳述した第1実施形態によれば、次の効果が得られる。
【0053】
(1)キャビティ型36に保持されたフィルム20を、金型25の型締めに際し、コア型26のコア面31によりキャビティ型36側へ押して成形面38に近付けたうえで、フィルム20を真空吸引により成形面38に密着させている(図3(B),(C))。
【0054】
そのため、真空吸引の後に型締めを行なう従来技術に比べ、真空吸引時におけるフィルム20の動き量を少なくし、もって成形品本体12に対する加飾模様層14の形成位置精度を高めることができる。
【0055】
(2)フィルム20として、基材フィルム21上に加飾模様層14が剥離可能に形成されたものを用いる。そして、成形品本体12の成形の過程で、基材フィルム21から加飾模様層14を剥離して成形品本体12の意匠面13に転写(付着)させている(図4(A),(B))。
【0056】
そのため、成形品本体12の意匠面13に加飾模様層14のみを転写(付着)させる加飾成形品11において、上記(1)の効果を得ることができる。
(3)キャビティ型36の成形面38が深く(間隔Dが大きく)、フィルム20を成形面38に密着させるために大きく伸ばす(深絞りする)必要のあることから、コア型26によってフィルム20がキャビティ型36側へ押される前に、同フィルム20をヒータ42によって加熱している(図3(A))。
【0057】
この場合には、成形面38が浅い場合よりもフィルム20の伸び量が多いため、同フィルム20をキャビティ型36側へ押したうえで真空吸引することは、加飾模様層14の形成位置精度の高い加飾成形品11を製造することができるという、上記(1)の効果を得るうえで特に有効である。
【0058】
(4)成形品本体12の成形時に加飾模様層14を同成形品本体12に転写(付着)させている(図4(A))。
そのため、成形品本体12が成形された後に、同成形品本体12の意匠面13に塗装等の加飾処理を施す必要がなく、その分、製造コストを低減することができる。
【0059】
(5)フィルム20の成形加工(予備成形加工)を含む加飾成形品11の全ての製造工程を、同一の金型25を用いて行なっている(図2(A)〜図4(B))。
そのため、フィルムを成形してなる成形体を予め製作しておき、この成形体を金型25内に設置するとともに、その成形体の裏面側に溶融樹脂を射出等することによって、加飾成形品を製造する場合に比べ、工程数を減らして効率化を図ることができる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態について、図5及び図6を参照して説明する。なお、図5及び図6において、第1実施形態で説明したものと同様の要素には、同一の符号が付されている。
【0061】
第2実施形態では、図5に示す加飾成形品51が、成形品本体52と、その成形品本体52の意匠面53上に形成された加飾模様層54と、加飾模様層54上にさらに形成された透明樹脂層55とを備えて構成されている。
【0062】
上記加飾成形品51の製造に用いられるフィルム60は、図6(A)に示すように透明な樹脂材料(例えばアクリル樹脂等)によって形成された基材フィルム61と、基材フィルム61上に接着された加飾模様層54とを備えて構成されている。
【0063】
上記加飾成形品51は、上記第1実施形態と同様の金型25等が用いられて、同様の製造方法が以下のように実施されることにより製造される。
型開き状態の金型25において、キャビティ型36の上方に配置されたロール(図示略)から、フィルム60がキャビティ型36とクランプ39との間へ送り出される。加飾模様層54のキャビティ型36に対する位置決めが行なわれた後に、送り出しが停止される。フィルム60は、図6(A)に示すように、クランプ39によってキャビティ型36に押え付けられることで、キャビティ型36のコア型26側の端面36Aにおいて成形面38の周りで密閉状態(シール状態)に保持される。その後に、フィルム60は切断されて、ロールから切り離される。
【0064】
続いて、上記フィルム60とコア型26との間にヒータ42が移動させられ、このヒータ42によってフィルム60が加熱される。この加熱により、フィルム60は軟化して伸びやすくなる。
【0065】
そして、図6(B)に示すように、コア型26がキャビティ型36側へ移動させられることにより、金型25の型締めが開始される。コア型26の上記移動に際し、同コア型26のコア面31によって、上記フィルム60がキャビティ型36側へ押される。このときには、基材フィルム61は伸びるが、コア型26によって押付けられていて、コア型26に対し動きにくい。加飾模様層54についても同様であり、コア型26に対し動きにくい。このようにコア型26によって押されることで、フィルム60は、コア型26に対する位置を保持しつつ伸びて成形面38に近付く。
【0066】
次に、真空吸引が開始され、密閉空間43(図6(B))が減圧される。この減圧により、図6(C)に示すように、フィルム60がキャビティ型36側へ引き込まれて伸び、成形面38に密着させられて、同成形面38に倣った形状に賦形(予備成形)される。そのため、成形面38の内底面とフィルム60との間隔が狭められずに一気に真空吸引される従来技術に比べ、真空吸引時におけるフィルム60の動き量が少ない。成形面38に対する加飾模様層14の位置は、フィルム60の温度分布や、密閉空間43内での空気の流れについて、それらのばらつきの影響を受けにくい。
【0067】
そして、金型25の型締めが完了されることで、成形面38に密着したフィルム60とコア型26のコア面31との間にキャビティ41が形成される。
スプルーゲート32を通じて溶融樹脂がキャビティ41に射出された後に冷却されることで、成形品本体52が成形される。この成形の過程で、フィルム60が溶融状態の溶融樹脂に付着されることにより、成形品本体52にフィルム60が一体となった中間成形体が得られる。この際、加飾模様層54が成形品本体52の意匠面53に対し高い形成位置精度で形成される。
【0068】
コア型26がキャビティ型36から離間する側へ移動させられることで金型25の型開きが行なわれて、同金型25から中間成形体が取り出される。図6(D)に示すように、中間成形体から不要な部分57を取り除く処理(トリミング)が行なわれることで、成形品本体52の意匠面53が加飾模様層54によって加飾され、さらに、その加飾模様層54が上記基材フィルム61からなる透明樹脂層55によって被覆された、目的とする加飾成形品51が得られる。
【0069】
この加飾成形品51では、加飾模様層54及び成形品本体52は透明な基材フィルム61からなる透明樹脂層55によって覆われた状態となり、同基材フィルム61(透明樹脂層55)によって保護される。
【0070】
従って、第2実施形態によっても、第1実施形態で説明した(1),(3)〜(5)と同様の効果が得られる。また、第2実施形態では、第1実施形態での上記(2)に代わる次の効果が得られる。
【0071】
(6)フィルム60として、透明な基材フィルム61上に加飾模様層54が接着された状態で形成されたものを用いる(図6(A))。そして、成形品本体52の成形の過程で、フィルム60を加飾模様層54において成形品本体52の意匠面53に付着させて、加飾模様層54及び透明樹脂層55を形成している(図6(D))。
【0072】
そのため、成形品本体52の意匠面53に対し、加飾模様層54にとどまらず、さらにその上に透明樹脂層55が形成された加飾成形品51において、上記(1)の効果を得ることができる。
【0073】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態について、図7図10を参照して説明する。なお、図7図10において、第1実施形態で説明したものと同様の要素には、同一の符号が付されている。
【0074】
第3実施形態では、コア型26として、図7(A)に示すように、コア型本体27及びスライドコア28を有するものが用いられている。さらに、コア型26には、スライドコア28を、コア型本体27内に収納されてコア面31の一部を構成する収納位置(図7(A),(C))と、コア型本体27からキャビティ型36側へ突出した突出位置(図7(B))との間でスライドさせる駆動機構(図示略)が設けられている。第3実施形態では、スライドコア28として、図8に示すように、平板状をなすものが一対用いられている。このスライドコア28としては、図9に示すように、ピン状をなすものが複数本(図9では4本)用いられてもよい。このように、スライドコア28が複数用いられる場合には、同スライドコア28は、駆動機構により、互いに同期した状態で収納位置と突出位置との間でスライドさせられる。さらに、スライドコア28は、図10に示すように、環状(図10では円環状)をなすものが用いられてもよい。
【0075】
加飾成形品、及びその製造に用いられるフィルムは、第1実施形態で説明した構成を有するものであってもよいし、第2実施形態で説明した構成を有するものであってもよい。第3実施形態では、前者の構成を有するフィルム20が用いられて加飾成形品11(図1参照)が製造される。
【0076】
ただし、第3実施形態の加飾成形品11では、第1実施形態とは異なり、加飾模様層14が成形品本体12の意匠面13の全面にわたって設けられておらず、意匠面13の一部には加飾模様層14が形成されていない。表現を変えると、成形品本体12の意匠面13には、加飾模様層14が形成されていない箇所がある。
【0077】
次に、加飾成形品11を製造する方法について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
金型25が型締めされるまでは、図7(A)に示すように、スライドコア28は収納位置に保持される。
【0078】
金型25の型締めに際し、スライドコア28は、図7(B)に示すように、突出位置までスライドさせられる。フィルム20のうち加飾模様層14の形成されていない箇所24が、スライドコア28によってキャビティ型36側へ押されて成形面38に近付けられる。このときには、加飾模様層14は、スライドコア28によってもコア型本体27によっても押されないため、押し付けに起因する傷付きが起こらない。
【0079】
フィルム20は、上記のようにスライドコア28によって成形面38に近付けられた後に真空吸引される。この真空吸引により、フィルム20はスライドコア28から離され、図7(C)に示すように、成形面38に密着させられる。
【0080】
フィルム20が離されたスライドコア28は、成形品本体12の成形に備え、収納位置までスライドさせられる。収納位置では、スライドコア28によって、コア面31の一部が構成される。すなわち、スライドコア28とコア型本体27とによってコア面31が構成される。
【0081】
そして、金型25の型締めが完了されることにより、成形面38に密着したフィルム20とコア型26のコア面31との間にキャビティ41が形成される。このキャビティ41に、スプルーゲート32を通じて溶融樹脂が射出される。この射出された樹脂により、成形品本体12が成形されるとともに、フィルム20の少なくとも加飾模様層14が成形品本体12の意匠面13に転写(付着)される。
【0082】
従って、第3実施形態によると、第1実施形態において説明した(1)〜(5)の効果に加え、次の効果が得られる。
(7)金型25の型締めに際し、スライドコア28を突出位置までスライドさせ、フィルム20のうち加飾模様層14の形成されていない箇所24を、同スライドコア28によりキャビティ型36側へ押している(図7(B))。
【0083】
そのため、フィルム20がコア型26によってキャビティ型36側へ押されるものの、加飾模様層14に傷が付くのを抑制することができる。
なお、コア型26の押し付けにより、たとえ基材フィルム21の箇所24に傷が付いたり、同箇所24がダメージを受けたりしても、その基材フィルム21は加飾模様層14から剥離し、成形品本体12には付着しないため、問題とはならない。
【0084】
(8)上記(7)で押されたフィルム20を真空吸引によりスライドコア28から離れさせた後、成形品本体12の成形に備え、スライドコア28を収納位置までスライドさせている(図7(C))。
【0085】
そのため、スライドコア28が成形品本体12の成形に影響を及ぼさないようにすることができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
【0086】
<金型25について>
図11に示すように、コア型26として、成形突部29のうち少なくとも加飾模様層14を押す箇所が同成形突部29の他の箇所よりも軟質の部材33によって形成されたものが用いられてもよい。図11は、成形突部29のうち加飾模様層14を押す箇所のみが軟質の部材33によって形成された例を示している。
【0087】
このようにすると、キャビティ型36に保持されたフィルム20が、コア型26によってキャビティ型36側へ押される際、加飾模様層14は軟質の部材33によって押されることとなる。そのため、こうした軟質の部材33が設けられず、硬質のコア型26によってフィルム20が押される場合よりも、加飾模様層14に傷が付きにくい。
【0088】
この変更例は、例えば基材フィルム21上に加飾模様層14の形成されていない箇所24がなく、上述したスライドコア28によって対策することが難しい場合に特に有効である。
【0089】
また、この変更例は、第2実施形態又は第3実施形態と組合わせて実施されてもよい。
・コア型26におけるコア面31が、フィルム20との摩擦を大きくするために粗面に形成されてもよい。このようにすると、コア型26によってフィルム20を押すときにフィルム20がコア面31に対しずれる(滑る)のを抑制することができる。
【0090】
・上記各実施形態とは逆に、コア型26が固定型によって構成され、キャビティ型36が可動型によって構成されてもよい。
・キャビティ型36及びコア型26の一方が固定型によって構成され、他方が、上下動することにより上記固定型に対し接近及び離間する可動型によって構成されてもよい。
【0091】
<フィルム20について>
図12に示すように、フィルム20として、加飾模様層14において少なくともコア型26(成形突部29)によって押される箇所が、熱で溶融する保護層23によって被覆されたものが用いられてもよい。図12は、加飾模様層14の全体が保護層23によって被覆された例を示している。この保護層23は、印刷によって形成されてもよいし、コーティングによって形成されてもよい。
【0092】
このようにすると、フィルム20は、保護層23において、コア型26(成形突部29)によってキャビティ型36側へ押されて成形面38に近付けられる。そのため、コア型26(成形突部29)が加飾模様層14に触れることがなく、保護層23の設けられていない場合に比べ、加飾模様層14に傷が付きにくい。
【0093】
なお、この保護層23は、フィルム20の少なくとも加飾模様層14を成形品本体12の意匠面13に付着させる際に残っていると、その付着に影響を及ぼすおそれがある。しかし、この保護層23は、射出された溶融樹脂の熱によって溶融させられる。そのため、保護層23が、成形品本体12への加飾模様層14の付着に及ぼす影響を小さくすることができる。
【0094】
この変更例は、例えば基材フィルム21上に加飾模様層14がなく、上述したスライドコア28によって対策することが難しい場合に特に有効である。
また、この変更例は、第2実施形態、第3実施形態又は図11の変更例と組合わせて実施されてもよい。
【0095】
<その他>
・本発明の製造方法は、キャビティ型36の成形面38が深い場合に特に効果が大きいが、成形面38が浅い場合であっても適用可能である。この場合には、ヒータ42によるフィルム20の加熱処理が割愛されてもよい。
【0096】
・本発明の製造方法は、自動車用の内装品に限らず自動車における各種樹脂成形品を製造する場合に適用可能である。
また、本発明の製造方法は、自動車以外の分野、例えば家電部品、雑貨品、日用品等における各種樹脂成形品を製造する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0097】
11,51…加飾成形品、12,52…成形品本体、13,53…意匠面、14,54…加飾模様層、20,60…フィルム、21,61…基材フィルム、23…保護層、24…箇所、25…金型、26…コア型、26A,36A…端面、27…コア型本体、28…スライドコア、31…コア面、33…軟質の部材、36…キャビティ型、38…成形面、41…キャビティ、45…溶融樹脂。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13