特許第5790542号(P5790542)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5790542
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】ICカード用コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20150917BHJP
   H01R 12/72 20110101ALI20150917BHJP
【FI】
   H01R13/631
   H01R12/72
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-40048(P2012-40048)
(22)【出願日】2012年2月27日
(65)【公開番号】特開2013-175400(P2013-175400A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2014年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000177690
【氏名又は名称】山一電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 一貴
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−218045(JP,A)
【文献】 特許第4533066(JP,B2)
【文献】 特開2006−185677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/631
H01R 12/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のICカードがカードスロットを通じて着脱可能に収容される第1のカード収容部と、該着脱方向に対し略直交する方向における第1のICカードの幅よりも小なる幅を有する第2のICカードが共通の該カードスロットおよび第1のカード収容部を介して着脱可能に収容される第2のカード収容部と、を有するハウジング部と、
前記ハウジング部における前記第1のカード収容部および第2のカード収容部にそれぞれ配され、前記第1のICカードおよび第2のICカードの電極部に電気的に接続される複数のコンタクト端子と、を備え、
前記ハウジング部における前記第2のカード収容部の一部を形成する一方の側壁に一体に形成され、挿入された第2のICカードの先端部を、第2のカード収容部の他の部分を形成する該一方の側壁に向かい合う他方の側壁の内周部に向けて誘導するカード誘導部が、前記第1のカード収容部と前記第2のカード収容部との境界部近傍に対応する位置に形成される角部であり、前記挿入され誘導された第2のICカードの先端部の両側面が、前記一方の側壁の内周面および前記他方の側壁の内周面により案内されることを特徴とするICカード用コネクタ。
【請求項2】
前記カード誘導部の端面は、前記第1のカード収容部に装着された第1のICカードの
先端部を受け止めることを特徴とする請求項1記載のICカード用コネクタ。
【請求項3】
前記第2のICカードが前記共通のカードスロットおよび第1のカード収容部を介して挿入される場合、該第2のICカードの先端部の面取り部がカード誘導部に当接されることにより、挿入される該第2のICカードの側面が、該第2のICカードの着脱方向に対し直交する方向に誘導され前記他方の側壁の内周部に当接することを特徴とする請求項1または請求項2記載のICカード用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに形状の異なる複数のICカードのうちの一枚のICカードが選択的に着脱可能なICカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ICカード用コネクタにおいては、互いに形状の異なる複数のICカード、例えば、SD(商標)カード(secure degital card)、または、メモリースティックDuo(商標)カードを一つの電子機器内に装着し利用するために各ICカードに対し共通のカードスロットをコネクタハウジングに有するとともに、各ICカードが1枚づつ選択的に着脱される複合のカード収容部をコネクタハウジング内に設けたものが提案されている。
【0003】
このような複合のカード収容部をコネクタハウジング内に有するICカード用コネクタにおいては、例えば、特許文献1および特許文献2にも示されるように、各カード収容部が、一部を互いに重複するようにICカードの着脱方向に沿って前後に形成されるか、あるいは、各カード収容部が一部を互いに重複するように階層的に形成されている。斯かる構成においては、所定のICカードが、正規のカード収容部とは異なるカード収容部への使用者による誤った挿入操作が回避されるようにICカードの円滑な着脱を可能とすることが必要とされる。
【0004】
この必要な対策として、例えば、特許文献2にも示されるように、所定のICカードの誤った挿入操作を規制するシャッター部を有するアクチュエータを有するものが提案されている。アクチュエータは、共通のカードスロット近傍の内部に回動可能にコネクタハウジングに支持されている。ICカードの着脱方向に対し直交するアクチュエータのシャッター部は、上述のような複数のICカードのうちの大きさの小さいメモリースティックDuoカードのみが通過する通過開口を有している。
【0005】
斯かる構成において、SDカードが装着される場合、カードスロットの周縁に形成される案内溝により案内されるSDカードの先端部でアクチュエータのシャッター部が押圧される。その際、アクチュエータがアンロック状態とされるのでアクチュエータが回動される。これにより、SDカードが回動されたアクチュエータのシャッター部の上方を通過しSDカード用のカード収容部に装着されることとなる。一方、メモリースティックDuoカードが装着される場合、カードスロットを通過したメモリースティックDuoカードの先端部は、アクチュエータのシャッター部における通過開口の周縁により案内されることにより、メモリースティックDuoカード用のカード収容部に装着されることとなる。その際、アクチュエータがロック状態とされるのでアクチュエータが回動されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−14405号公報
【特許文献2】特開2011−222505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような複合のカード収容部をコネクタハウジング内に有するICカードコネクタにおいて、ICカードコネクタの低背化および製造コストの低減の観点からアクチュエータが設けられない場合がある。このような場合、SDカードが装着されるとき、SDカードは、目視により確認できるカードスロットの周縁に形成される案内溝により案内されることにより、SDカード用のカード収容部に容易に装着されることとなる。
【0008】
しかしながら、メモリースティックDuoカードが装着される場合、メモリースティックDuoカードは、カードスロットの周縁に形成されるSDカード用の案内溝により案内されず通過される。また、メモリースティックDuoカード用のカード収容部には、メモリースティックDuoカードの先端部に形成される複数の溝部に対応した複数の突起部が所定の間隔で一列に形成されているのでカードの装着のとき、メモリースティックDuoカードの先端部に形成される各溝部を、対応する各突起部に嵌合させながら挿入することは、使用者は、その突起部を外部から目視で確認できないのでカードの装着が容易でない。
【0009】
以上の問題点を考慮し、本発明は、互いに形状の異なる複数のICカードのうちの一枚のICカードが選択的に着脱可能なICカード用コネクタであって、所定のICカードの誤った挿入操作を規制するアクチュエータを用いることなく、互いに形状の異なる複数のICカードのうち比較的幅の狭いICカードを容易に着脱できるICカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するために、本発明に係るICカード用コネクタは、第1のICカードがカードスロットを通じて着脱可能に収容される第1のカード収容部と、着脱方向に対し略直交する方向における第1のICカードの幅よりも小なる幅を有する第2のICカードが共通のカードスロットおよび第1のカード収容部を介して着脱可能に収容される第2のカード収容部と、を有するハウジング部と、ハウジング部における第1のカード収容部および第2のカード収容部にそれぞれ配され、第1のICカードおよび第2のICカードの電極部に電気的に接続される複数のコンタクト端子と、を備え、ハウジング部における第2のカード収容部の一部を形成する一方の側壁に一体に形成され、挿入された第2のICカードの先端部を、第2のカード収容部の他の部分を形成する一方の側壁に向かい合う他方の側壁の内周部に向けて誘導するカード誘導部が、第1のカード収容部と第2のカード収容部との境界部近傍に対応する位置に形成される角部であり、挿入され誘導された第2のICカードの先端部の両側面が、一方の側壁の内周面および他方の側壁の内周面により案内されることを特徴とする。
【0011】
また、カード誘導部の端面は、第1のカード収容部に装着された第1のICカードの先端部を受け止めるものであってもよい。
【0012】
さらに、第2のICカードが共通のカードスロットおよび第1のカード収容部を介して挿入される場合、第2のICカードの先端部の面取り部がカード誘導部に当接されることにより、挿入される該第2のICカードの側面が、第2のICカードの着脱方向に対し直交する方向に誘導され他方の側壁の内周部に当接するものでもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るICカード用コネクタによれば、ハウジング部における前記第2のカード収容部の一部を形成する一方の側壁に設けられ、挿入された第2のICカードの先端部を、第2のカード収容部の他の部分を形成する一方の側壁に向かい合う他方の側壁の内周部に向けて誘導するカード誘導部が、第1のカード収容部と第2のカード収容部との境界部近傍に対応する位置にあることにより、第1のICカードの幅よりも小なる幅を有する第2のICカードの先端部がカード誘導部により他方の側壁の内周部に向けて誘導されるので所定のICカードの誤った挿入操作を規制するアクチュエータを用いることなく、互いに形状の異なる複数のICカードのうち比較的幅の狭いICカードを容易に着脱できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るICカード用コネクタの一例における断面図である。
図2図1におけるII−II線に沿って示される断面図である。
図3図1に示される例において、SDカードが装着された状態を示す断面図である。
図4】(A),(B),および、(C)は、それぞれ、図1に示される例における動作説明に供される図である。
図5】4(C)におけるV−V線に沿って示される部分断面図である。
図6】Duoカードの裏面を示す平面図である。
図7図6に示されるDuoカードの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るICカード用コネクタの一例は、例えば、携帯電話機、携帯式オーディオ機器、デジタルカメラ等の電子機器内部の配線基板PBに配されるものとされる。
【0016】
ICカード用コネクタには、メモリーカード、例えば、第1のカードとしてのSDカード(secure degital card)(商標)32(図3参照)、または、第2のカードとしてのメモリースティックPro−Duo(商標)カード30(図6および図7参照)(以下、Duoカード30ともいう)のうちの一枚のカードが着脱可能に収容される。ICカード用コネクタは、収容されたメモリーカードのコンタクトパッドと所定の電子機器の内部に配される信号入出力用等の配線基板PB(図2参照)の接続端子部とを電気的に接続するものとされる。なお、メモリーカードは、上述のSDカードに限られることなく、その代わりに、MMC(multi media card)カード(商標)であってもよい。
【0017】
SDカード32は、例えば、厚さ約2.1mm、縦横の寸法がそれぞれ約32mm、約24mmに設定されている。Duoカード30の長手寸法および幅寸法は、SDカード32の長手寸法および幅寸法に比して、小である。SDカード32は、互いに平行に形成される複数の凹部内に配されるコンタクトパッドをその裏面部の先端部に有している。その裏面部の先端部における一方の角には、面取り部322が形成されている。SDカード32のライトプロテクトボタン321は、例えば、図3において左端の位置、または、右端の位置をとるものとされる。なお、図3は、上述のコンタクトパッドが見えないSDカード32の表面部側から見たSDカード32を示す。
【0018】
板状のDuoカード30は、例えば、図6に拡大されて示されるように、相対向する表面部311および裏面部312を有する。なお、図6においては、Duoカード30の裏面部312のみを示す。また、Duoカード30は、その先端の角部に、面取り部303を有している。
【0019】
Duoカード30における裏面部312には、その面取り部303に隣接した部分に形成される比較的浅い凹部302の周囲に、突起部がDuoカード30の側面に沿って所定の長さだけ形成されている。Duoカード30が後述するカード収容部に装着される場合、凹部302には、後述するハウジング部の誤挿入防止用突起部157(図1参照)が挿入される。
【0020】
また、Duoカード30の側面における突起部に対し所定距離、離隔した部分には、逃げ部301が設けられている。逃げ部301は、他の部分の厚さに比べて薄く形成されている。
【0021】
Duoカード30の裏面部312における先端部には、凹部302から中央側に離隔した位置に、複数の凹部がその長辺に対し略平行に所定の間隔で形成されている。各凹部の幅およびDuoカード30の長手方向に沿った長さは、互いに同一に設定されている。隣接する凹部相互間、および、その列の端に位置する凹部と凹部302との間は、仕切壁により仕切られている。その仕切壁における凹部302を臨む端面からDuoカード30の側面までの寸法Lbは、所定の値に設定されている。寸法Lbは、上述の面取り部303における側面に沿った寸法Laに比して小に設定されている。
【0022】
図6において、複数の凹部の底面には、それぞれ、電極部としてのコンタクトパッド304が配設されている。従って、コンタクトパッド304は、10ピン方式をとっている。また、複数のコンタクトパッド304からなる電極群は、Duoカード30の裏面部312において、電極群の中心位置が図6における中心軸線Cに対し一方向に偏った位置に形成されることとなる。
【0023】
ICカード用コネクタは、図1に拡大されて示されるように、上述の第1のカードとしてのSDカード32、または、第2のカードとしてのDuoカード30を着脱可能に収容するカード収容部10および18を内側に有するハウジング部1と、カード収容部18に配されるSDカード32に接続される複数のコンタクト端子4、およびコンタクト端子8と、カード収容部10に配されるDuoカード30に接続される複数のコンタクト端子6と、を含んで構成されている。
【0024】
ハウジング部1は、例えば、成形樹脂材料で一体に成形されており、カード収容部10および18の下部を形成するベース部15と、カード収容部10および18の上部を形成する天板部16と、を含んで構成されている。
【0025】
ベース部15は、図1に示されるように、カード収容部10および18の両側部をそれぞれ形成する側壁11、側壁12および13と、Duoカード用のコンタクト端子6が配されカード収容部10の端壁を形成するコンタクト端子固定壁部14と、側壁11、12および13とコンタクト端子固定壁部14とを連結する底部とを含んで構成されている。
【0026】
ベース部15と天板部16との間に形成されるカード収容部18は、図2に示されるように、後述するコンタクト端子固定部側とは反対側の端部が、共通のカードスロットとして開口している。カードスロットは、SDカード32、Duoカード30のうちの一枚のICカードが選択的に通過される。なお、斯かる例に限られることなく、天板部16の代わりに、金属製のカバー部材がベース部15に固定されるように構成されてもよい。
【0027】
その共通のカードスロットにおける側壁11側の周縁には、図3に示されるように、挿入されるSDカード32の一方の側部を案内する案内溝111が、側壁11の内周部に形成されている。案内溝111の終端は、挿入されたSDカード32の面取り部322を受け止める斜面部112を有している。斜面部112は、後述するカード収容部10を形成する側壁11の内周部に連なる案内面113に連結されている。案内面113は、その勾配が斜面部112の勾配に比して緩やかになるように形成されている。
【0028】
そのカードスロットにおける側壁12側の周縁には、ライトプロテクトボタン検出スイッチを収容する検出スイッチ収容部121が、側壁11に向かい合う側壁12の内部に形成されている。また、側壁12は、案内壁122を内周部に有している。案内壁122は、検出スイッチ収容部121におけるカード収容部側の内壁を形成するとともに、挿入されたSDカード32およびDuoカード30の側面を案内するものとされる。
【0029】
ライトプロテクトボタン検出スイッチは、SDカード32のライトプロテクトボタン321の位置を検出するものとされる。ライトプロテクトボタン検出スイッチは、弾性変位可能な可動接点片22と、固定接点片21とから構成されている。可動接点片22は、図3に示されるように、挿入されたSDカード32のライトプロテクトボタン321に選択的に当接する当接部221と、当接部221の移動に応じて固定接点片21の接点部に当接する接点部222とを一端部に有している。当接部221は、側壁12の開口部を通じてカードスロットに向けて突出している。接点部222は、固定接点片21に対向するように当接部221に対し折り曲げられている。これにより、ライトプロテクトボタン検出スイッチにおける当接部221が挿入されたSDカード32のライトプロテクトボタン321に当接され押し戻されるとき、例えば、ハイレベルの信号が形成され、当接部221が挿入されたSDカード32のライトプロテクトボタン321に当接しないとき、ローレベルの信号が形成されることとなる。
【0030】
案内壁122に支持され検出スイッチ収容部121内に配されるSDカード認識スイッチは、弾性変位可能な可動接点片24と、可動接点片22に隣接して設けられる固定接点部223とから構成されている。可動接点片24は、装着されたSDカード32における一方の側面に当接する当接部241と、当接部241の変位に応じて固定接点部223に当接する接点部242とを一端部に有している。当接部241は、案内壁122の端部に形成される開口部を通じてカード収容部18内に突出している。その際、当接部241の突出量は、図3に二点鎖線で示されるように、Duoカード30が挿入される場合、当接部241の先端がDuoカード30の面取り部303に当接しないように設定されている。
【0031】
これにより、図3に示されるように、SDカード認識スイッチにおける当接部241が挿入されたSDカード32の側面に当接され押し戻されるとき、例えば、SDカード32が装着されたことをあらわすハイレベルの信号が形成され、当接部241が挿入されたSDカード32の側面に当接しないとき、即ち、Duoカード30が挿入される場合、あるいは、SDカード32の側面が未だ当接部241に到達していない場合、または、SDカード32が装着されていない場合、ローレベルの信号が形成されることとなる。
【0032】
上述の案内壁122の端部に形成される開口部に隣接した位置には、図1に示されるように、略直角な角部を有するカード誘導部131が側壁12の端部に連なる側壁13に形成されている。カード誘導部131は、図1に二点鎖線で示されるように、Duoカード30が挿入される場合、Duoカード30の先端部を図4(A)に二点鎖線で示されるように、カード収容部10側に誘導するものとされる。カード誘導部131におけるカード収容部18側の端面は、上述の案内壁122の案内面を含む平面に対し略垂直に形成されている。上述の案内壁122の案内面を含む平面からカード誘導部131における側壁13の内周面に連なる部分までの高さは、上述のDuoカード30の寸法Lbよりも小に設定されている。
【0033】
また、図3に示されるように、SDカード32が装着される場合、カード誘導部131におけるカード収容部18側の端面は、装着されたSDカード32の先端部の端面を受け止め、SDカード32のコンタクトパッドのコンタクト端子4、8に対する位置決めを行うものとされる。
【0034】
複数のコンタクト端子6は、図1に示されるように、所定の相互間隔で側壁11および12に対して略平行に、コンタクト端子固定壁部14からカード収容部10内に突出し延在するように配列されている。
【0035】
カード収容部10に配される複数のコンタクト端子6は、弾性を有しDuoカード30の各コンタクトパッド304に当接し電気的に接続される接点部と、配線基板PBの電極部に半田付け固定され電気的に接続される半田付端子部と、その接点部と半田付端子部とを相互に連結し、コンタクト端子固定壁部14の溝158に固定される固定部とを含んで構成されている。薄板金属材料、例えば、バネ用燐青銅で作られるコンタクト端子6の固定部は、Duoカード30の挿入方向とは反対方向の側から溝158に圧入されることにより、コンタクト端子固定壁部14に固定されている。
【0036】
カード収容部10に配される複数のコンタクト端子6のうち側壁13に最も近く、最も端にあるコンタクト端子6と側壁13との間に、誤挿入防止用突起部157が、側壁13の内周部に対し所定の距離だけ離隔した位置にコンタクト端子6に対し略平行に形成されている。誤挿入防止用突起部157は、Duoカード30の凹部302の深さよりも小なる高さを有している。
【0037】
さらに、ベース部15における各コンタクト端子6の接点部に対し、Duoカード30の着脱方向に沿って向かい合う部分には、図1に示されるように、それぞれ、8個の同一形状の突起部154と、2個の同一形状の突起部155,および、156とが所定の均等間隔で形成されている。2個の同一形状の突起部155,および、156は、それぞれ、8個の突起部154の両脇に所定の間隔で形成されている。
【0038】
突起部154、155,および、156は、それぞれ、コンタクトパッド304が配設されるDuoカード30の複数の凹部の形状に対応して形成されている。これにより、Duoカード30がカード収容部10に装着される場合、複数の突起部154、155,および、156が、それぞれ、Duoカード30の複数の凹部に係合されるのでDuoカード30のコンタクトパッド304のコンタクト端子6の接点部に対する位置決めがなされる。また、誤挿入防止用突起部157の一端部と、複数の突起部154、155,および、156の一端とは、カードの着脱方向に略直交する方向に延在する共通の直線上に形成されることとなる。
【0039】
複数の突起部154、155,および、156と後述する複数のコンタクト端子4との間の位置には、図2に示されるように、斜面部152が形成されている。真上から見て、斜面部152近傍にある複数の突起部154、155,および、156の一端面から斜面部152の裾部までの長さDaは、図4(B)に示されるように、Duoカード30の寸法Laと略同一に設定されている。また、側壁11および側壁13の内周部相互間における幅方向の長さDcは、互いに所定の隙間があるようにDuoカード30の幅寸法に比して若干大に設定されている。
【0040】
また、8個のコンタクト端子4と、1個のコンタクト端子8とは、所定の相互間隔で側壁11および12に対して略平行に、カード収容部18内に延在するように配列されている。
【0041】
各コンタクト端子4およびコンタクト端子8は、図2に示されるように、弾性を有し、SDカード32のコンタクトパッドに当接し電気的に接続される接点部と、上述の配線基板PBの電極部に半田付け固定され電気的に接続される半田付端子部と、その接点部と半田付端子部とを相互に連結し、ベース部15の溝151に固定される固定部とを含んで構成されている。複数のコンタクト端子4およびコンタクト端子8の半田付端子部は、ベース部15の端部からカードスロット側に向けて突出し、側壁11,12に向けて一列状に配列されている。
【0042】
斯かる構成において、SDカード32がカード収容部18に装着される場合、図3に示されるように、挿入されたSDカード32の一方の側部がカードスロットの周縁の案内溝111に案内され、SDカード32の他方の側部が案内壁122に案内される。また、SDカード32の面取り部322が、側壁11の斜面部112に受け止められるとともに、SDカード32の先端部が側壁13のカード誘導部131の端面に当接される。これにより、複数のコンタクト端子4およびコンタクト端子8の接点部とSDカード32のコンタクトパッドとが電気的に接続されることとなる。
【0043】
一方、Duoカード30がカード収容部18を通過してカード収容部10に装着される場合、図4(A)に二点鎖線で示されるように、Duoカード30の先端部の角が側壁11の内周部に連なる案内面113に当接し、さらに、Duoカード30の先端部が押し込まれるとき、Duoカード30の先端部の側面が、それぞれ、側壁11の内周面および側壁13の内周面により案内されることとなる。従って、Duoカード30全体が斜めとなる姿勢でDuoカード30が挿入される虞がない。
【0044】
また、図4(A)に実線で示されるように、挿入されたDuoカード30の面取り部303がカード収容部18を通過して側壁13のカード誘導部131に当接した後、さらに押圧される場合、先ず、面取り部303がカード誘導部131の角に摺接することにより、Duoカード30の先端部は、ICカードの着脱方向に対し略垂直となる矢印で示される方向に移動せしめられる。また、面取り部303がカード誘導部131に当接するため面取り部303がSDカード認識スイッチの当接部241の先端に当接することを防いでいる。これにより、SDカード認識スイッチが誤ってSDカード32が装着されたと認識する誤動作を防ぐことができる。次に、Duoカード30の一方の側面が側壁11の内周面および斜面部152に向けて移動された後、側壁11の内周面に当接せしめられる。これにより、図4(B)に示されるように、挿入されたDuoカード30の両側面がそれぞれ、側壁11と、側壁12および13とに対し略平行となるので挿入されたDuoカード30の先端部における各凹部が、突起部154,155,156、157に対し位置決めされ対向することとなる。続いて、図4(B)の矢印の示す挿入方向にさらにDuoカード30の先端部が斜面部152を超えて押し込まれることにより、図5に示されるように、Duoカード30の先端部における各凹部が、突起部154,155,156、157に係合された後、Duoカード30の先端部がカード収容部10の内周部の終端面に当接せしめられる。これにより、複数のコンタクト端子6の接点部とDuoカード30のコンタクトパッド304とが電気的に接続されることとなる。従って、上述のいずれの場合においても、Duoカード30が斜めの姿勢で挿入されることなく、カード収容部18を通過してカード収容部10に対し容易に着脱可能とされる。
【符号の説明】
【0045】
1 ハウジング部
4,6,8 コンタクト端子
10,18 カード収容部
11,12、13 側壁
30 Duoカード
32 SDカード
131 カード誘導部
303 面取り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7