特許第5790576号(P5790576)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5790576
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】蓄電装置用電極体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20150917BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   H01M10/04 W
   H01M2/26 A
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-86441(P2012-86441)
(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公開番号】特開2013-218819(P2013-218819A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2014年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】南形 厚志
【審査官】 山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−226625(JP,A)
【文献】 特開2011−086505(JP,A)
【文献】 特開2010−080392(JP,A)
【文献】 特開平11−219694(JP,A)
【文献】 特開2010−118315(JP,A)
【文献】 特開2008−123848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04−0587
H01M 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質層が少なくともいずれか一方の面に塗布された帯状正極及び帯状負極が、両者の間に帯状のセパレータが介在する状態で巻回され、前記帯状正極及び前記帯状負極には、それぞれ巻回された状態で径方向に重なる位置に配置される複数のタブ部がいずれか1辺に突出形成され、前記タブ部の立ち上がり部と前記タブ部の根元から前記1辺に沿って延びる縁辺とは滑らかな形状で接続されている巻回型の蓄電装置用電極体の製造方法であって、
前記帯状正極及び前記帯状負極を両者の間に前記帯状のセパレータが介在する状態で巻き取り部材上に巻き取る巻き取り工程において、前記帯状正極及び前記帯状負極として前記各タブ部を形成すべき側縁部に活物質非塗布部を有する帯状正極及び帯状負極を使用し、
前記巻き取り部材上への巻き取り前の前記帯状正極及び前記帯状負極の前記活物質非塗布部をそれぞれ切断手段で切断して前記タブ部を形成しつつ巻き取り動作を巻き取り開始から巻き取り終了まで連続的に行い、
前記巻き取り部材上へ巻き取る各周の前記帯状正極及び前記帯状負極上に形成すべきタブ部の位置は、前記巻き取り部材上に前回の周に巻き取られた前記帯状正極のタブ部の位置及び前記帯状負極のタブ部の位置に相当する部分を検出し、その検出結果に基づいて次回の周に前記巻き取り部材上に巻き取られる前記帯状正極のタブ部の位置及び帯状負極のタブ部の位置を演算して各タブ部を形成することを特徴とする蓄電装置用電極体の製造方法。
【請求項2】
前記次回の周に前記巻き取り部材上に巻き取られる前記帯状正極のタブ部の位置及び帯状負極のタブ部の位置の演算は、それまでに前記巻き取り部材上に巻き取られた前記帯状正極、前記帯状負極及び前記帯状のセパレータの合計の厚さを検出手段で検出した結果に基づいて行われる請求項1に記載の蓄電装置用電極体の製造方法。
【請求項3】
前記帯状正極及び前記帯状負極は連続的に移動され、前記切断手段は前記帯状正極あるいは前記帯状負極に対してその長手方向と直交する方向に移動されるとともに、前記帯状正極あるいは前記帯状負極の移動速度と、前記切断手段の前記帯状正極あるいは前記帯状負極の側縁からの移動距離との制御により目的の位置に前記タブ部が形成される請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置用電極体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置用電極体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、巻回型の電極体を有する二次電池は電池ケースを備え、その電池ケース内に電解液とともに巻回型の電極体が収容されている。そして、巻回型の電極体からの電力の取り出しは、正極及び負極に接続された電極端子を通して行われている。
【0003】
従来、巻回型の電極体51として図7に示すように、帯状の正極板52及び帯状の負極板53がセパレータ54を介して偏平形状に巻回して形成され、電極体51の正極タブ55及び負極タブ56は、正極板52あるいは負極板53の一部を構成する複数の凸部52a,53aを互いに積層することにより形成されたものが提案されている(特許文献1)。また、特許文献1には、正極板52及び負極板53の活物質が塗布されていない側縁部52b,53bをカッターにより間欠的に切除して、所定の間隔で並んだ複数の凸部52a,53aを形成した後、正極板52及び負極板53を両者の間に帯状のセパレータ54を挟んだ状態で偏平形状に巻回して電極体51を形成する方法が記載されている。この製造方法では複数の独立した電極タブを正極板52及び負極板53に溶接する必要がなく、効率良く電極体51を製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−226625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法では、正極板52に形成される隣り合う凸部52aあるいは負極板53に形成される隣り合う凸部53aの間隔は、その凸部52a,53aが何層目になるかによって予め設定されている。正極板52、負極板53及びセパレータ54が積層されつつ常に均一な圧力で巻回されれば隣り合う凸部52a同士あるいは凸部53a同士の間隔を予め設定された間隔で形成しても支障はない。しかし、正極板52、負極板53及びセパレータ54を常に均一な圧力で巻回することは難しく、正極板52、負極板53及びセパレータ54がきつく巻回されるか、緩く巻回されるかによって同じ層数巻かれた場合でも巻回された部分の厚さが変動する。その結果、凸部52a同士あるいは凸部53a同士が目的とした重なり状態からずれた状態で重なるという問題が発生する。また、凸部52a,53aは台形状に形成されているため、矩形状に形成される場合に比べて切断するのが容易である。しかし、台形状であっても外形線は直線部が屈曲する状態で連続するため、カッターを正極板52あるいは負極板53の移動方向と直交する方向、即ち正極板52あるいは負極板53の長手方向と直交する方向に移動させることにより側縁部52b,53bを目的の形状に切除するのは難しい。
【0006】
また、電極体として、タブ部が突出形成されるとともに、タブ部を除いた部分が矩形状に形成された正極シート及び負極シートが、両者の間にシート状のセパレータが介在する状態で積層された積層型の電極体もある。従来、積層型の電極体用の電極シート(正極シート及び負極シート)も、タブ部は矩形状又は台形状に形成されている。積層型の電極体用の電極シートの製造は、活物質を含む合剤を、帯状の金属シートの幅方向の片側に一定幅の活物質非塗布部を形成するように塗布した後、活物質層の密度を高めるためにロールプレスを行った後、巻き取りリールに巻き取り、後工程でタブ部を形成するとともに、所定長さの矩形状に切断して形成する。この場合も、帯状の電極シートを移動させつつ、矩形状あるいは台形状のタブ部を形成するように活物質非塗布部の一部を切除するのは難しい。
【0007】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、タブ部の形成が容易な蓄電装置用電極体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、活物質層が少なくともいずれか一方の面に塗布された帯状正極及び帯状負極が、両者の間に帯状のセパレータが介在する状態で巻回され、前記帯状正極及び前記帯状負極には、それぞれ巻回された状態で径方向に重なる位置に配置される複数のタブ部がいずれか1辺に突出形成され、前記タブ部の立ち上がり部と前記タブ部の根元から前記1辺に沿って延びる縁辺とは滑らかな形状で接続されている巻回型の蓄電装置用電極体の製造方法である。そして、前記帯状正極及び前記帯状負極を両者の間に前記帯状のセパレータが介在する状態で巻き取り部材上に巻き取る巻き取り工程において、前記帯状正極及び前記帯状負極として前記各タブ部を形成すべき側縁部に活物質非塗布部を有する帯状正極及び帯状負極を使用する。前記巻き取り部材上への巻き取り前の前記帯状正極及び前記帯状負極の前記活物質非塗布部をそれぞれ切断手段で切断して前記タブ部を形成しつつ巻き取り動作を巻き取り開始から巻き取り終了まで連続的に行う。前記巻き取り部材上へ巻き取る各周の前記帯状正極及び前記帯状負極上に形成すべきタブ部の位置は、前記巻き取り部材上に前回の周に巻き取られた前記帯状正極のタブ部の位置及び前記帯状負極のタブ部の位置に相当する部分を検出し、その検出結果に基づいて次回の周に前記巻き取り部材上に巻き取られる前記帯状正極のタブ部の位置及び帯状負極のタブ部の位置を演算して各タブ部を形成する。ここで、「滑らかな形状で接続されている。」とは、タブ部の立ち上がり部の外形線が曲線であればその接線の傾きが連続的に変化することを意味し、前記外形線が直線部と曲線部とで構成されている場合は直線部は曲線部の接線となる状態で連続していることを意味する。
【0014】
この発明では、帯状正極及び帯状負極を両者の間に帯状のセパレータが介在する状態で巻き取り部材上に巻き取る巻き取り工程において、巻き取り部材上への巻き取り前の帯状正極及び帯状負極の活物質非塗布部をそれぞれ切断手段で切断してタブ部を形成しつつ巻き取り動作を行う。巻き取り部材上へ巻き取る各周の帯状正極及び帯状負極上に形成すべきタブ部の位置は、巻き取り部材上に前回の周に巻き取られた帯状正極のタブ部の位置及び帯状負極のタブ部の位置に相当する部分を検出し、その検出結果に基づいて次回の周に巻き取り部材上に巻き取られる帯状正極のタブ部の位置及び帯状負極のタブ部の位置を演算して各タブ部を形成する。即ち、巻き取り部材上へ巻き取る各周の帯状正極及び帯状負極上に形成すべきタブ部の位置は、予め設定されているのではなく、前回の周に巻き取られた帯状正極のタブ部の位置及び帯状負極のタブ部の位置に相当する部分を検出し、その検出結果に基づいて次回の周に巻き取り部材上に巻き取られる帯状正極及び帯状負極のそれぞれのタブ部の位置が設定される。そのため、巻き取り部材上への帯状正極、帯状負極及び帯状のセパレータの巻回状態(きつく巻回されているか緩く巻回されているか)の変動があっても、それに対応してタブ部の形成すべき位置を適切な位置に設定することができ、各タブ部が目的とした重なり状態で重なるように帯状正極、帯状負極及び帯状のセパレータが巻回される。したがって、複数のタブ部が形成された帯状正極及び帯状負極を両者の間に帯状のセパレータが介在する状態で巻回されて形成され、かつ製造を効率良く行うことができる巻回型の蓄電装置用電極体の製造方法を提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記次回の周に前記巻き取り部材上に巻き取られる前記帯状正極のタブ部の位置及び帯状負極のタブ部の位置の演算は、それまでに前記巻き取り部材上に巻き取られた前記帯状正極、前記帯状負極及び前記帯状のセパレータの合計の厚さを検出手段で検出した結果に基づいて行われる。したがって、次回の周に巻き取り部材上に巻き取られる帯状正極及び帯状負極の長さを精度良く推定でき、帯状正極及び帯状負極に形成するタブ部の位置を精度良く設定することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記帯状正極及び前記帯状負極は連続的に移動され、前記切断手段は前記帯状正極あるいは前記帯状負極に対してその長手方向と直交する方向に移動されるとともに、前記帯状正極あるいは前記帯状負極の移動速度と、前記切断手段の前記帯状正極あるいは前記帯状負極の側縁からの移動距離との制御により目的の位置に前記タブ部が形成される。
【0017】
この発明では、帯状正極あるいは帯状負極の移動速度と、切断手段の帯状正極あるいは帯状負極の側縁からの移動距離とを制御することにより、帯状正極、帯状負極及び帯状のセパレータの巻き取り部材上への巻回動作を中断することなく連続的に行っても、タブ部を目的の位置に形成することができる。したがって、蓄電装置用電極体の製造をより効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、タブ部の形成が容易な蓄電装置用電極体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は一部を展開した二次電池用電極体の概略斜視図、(b)は帯状正極及び帯状負極の一部省略模式平面図、(c)は(b)の部分拡大図。
図2】電極体の製造方法を実施する装置の模式側面図。
図3】電極体の巻き付け部材の概略斜視図。
図4】タブ部を形成する状態を示す模式斜視図。
図5】二次電池の模式断面図。
図6】(a)は別の実施形態の帯状正極及び帯状負極の部分模式図、(b)は別の実施形態の二次電池の模式断面図。
図7】従来技術を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を巻回型の電極体を備えた蓄電装置としての二次電池に具体化した一実施形態を図1図5にしたがって説明する。
図1(a)に示すように、蓄電装置用電極体としての二次電池用電極体10は、活物質層11aを有するシート状正極としての帯状正極11及び活物質層12aを有するシート状負極としての帯状負極12が、両者の間に帯状(シート状)のセパレータ13が介在する状態で巻回されて長円柱状に形成された構成の巻回型の二次電池用電極体である。二次電池用電極体10は、対向する半円柱状部分の巻回軸方向の一端側において同方向に突出する正極タブ14及び負極タブ15を有する。正極タブ14は帯状正極11に複数形成されたタブ部11bが、帯状正極11が巻回された状態において径方向に重なる状態で構成され、負極タブ15は帯状負極12に複数形成されたタブ部12bが、帯状負極12が巻回された状態において径方向に重なる状態で構成されている。
【0021】
図1(b),(c)に示すように、帯状正極11及び帯状負極12は、それぞれ巻回された状態で径方向に重なる複数のタブ部11b,12bが一体に巻回軸方向に突出形成されている。タブ部11b,12bは帯状正極11あるいは帯状負極12の活物質層11a,12aが形成されていない部分である活物質非塗布部16に形成されている。タブ部11b,12bの外形は曲線部11c,12cと直線部11d,12dとで形成され、曲線部11c、12c同士あるいは曲線部11c,12cと直線部11d,12dとが滑らかに接続された形状に形成されている。即ち、帯状正極11及び帯状負極12には、それぞれいずれか1辺にタブ部11b,12bが突出形成され、タブ部11b,12bの立ち上がり部とタブ部11b,12bの根元から1辺に沿って延びる縁辺11e,12eとは滑らかな形状で接続されている。滑らかな形状は、前記1辺の延びる方向の距離の変化分で前記1辺に直交する方向の距離の変化分を2階微分した値が連続的に変化した形状である。また、タブ部11b,12bは、タブ部11b,12bの突出方向に向かって1辺の延びる方向に関する幅(図1(b),(c)における左右方向の幅)が狭くなる。
【0022】
帯状正極11及び帯状負極12は帯状の金属箔(例えば、銅箔)で形成され、その両面に活物質が塗布されて活物質層11a,12aが形成されている。活物質は、例えば、ニッケル水素電池とリチウムイオン電池のように二次電池の種類によって異なる。また、同じ種類の二次電池でも帯状正極11に塗布されるものと帯状負極12に塗布されるものとでは異なる。
【0023】
次に前記のように構成された二次電池用電極体10の製造方法を説明する。二次電池用電極体10の製造方法は、帯状正極11及び帯状負極12を両者の間に帯状のセパレータ13が介在する状態で巻き取り部材上に巻き取る巻き取り工程に特徴を有する。帯状正極11及び帯状負極12として帯状の金属箔にその幅方向の一側縁に活物質非塗布部16を残す状態で活物質層11a及び活物質層12aが塗布されたものを製造するまでの工程は、従来の工程と基本的に同じため説明を省略する。
【0024】
巻き取り工程で使用される装置は、図2に示すように、帯状正極11がコイル状に巻かれた正極用リール21がセットされたアンコイラー22と、帯状負極12がコイル状に巻かれた負極用リール23がセットされたアンコイラー24と、帯状のセパレータ13がコイル状に巻かれたリール25がセットされたアンコイラー26とを備えている。正極用リール21がセットされたアンコイラー22と、負極用リール23がセットされたアンコイラー24とは巻き取り部材27を挟んで反対側に位置するように設けられている。リール25がセットされたアンコイラー26は、アンコイラー24の上方に設けられている。
【0025】
図3に示すように、巻き取り部材27は、長円柱状に形成されるとともに、巻回軸方向の一端中央に取り付け軸28が固定されている。巻き取り部材27にはセパレータ13が挿通される挿通部としての挿通スリット29が巻き取り部材27の平面部の中央及び巻き取り部材27の中心軸を通る状態に形成されている。巻き取り部材27は、取り付け軸28を介してアンコイラー22,24,26の中心軸と平行に延びる状態で図示しないモータに取り付けられるようになっている。なお、図3及び図2では巻き取り部材27を分かり易くするため模式的に表しており、実際はもっと扁平な形状である。
【0026】
二次電池用電極体10は、帯状正極11及び帯状負極12の間に介在するセパレータ13と、帯状正極11の外側に存在するセパレータ13とを有しているが、セパレータ13を供給するリール25は1個のみである。そして、巻き取りに先立って二次電池用電極体10を構成するのに必要な一方のセパレータ13となる長さの分をリール25から引き出すとともに、巻き取り部材27の挿通スリット29に挿通して反対側に引き出してその端部を把持装置30で把持する。把持装置30はセパレータ13を一定張力で保持するとともに、巻き取りの進行に伴って次第に巻き取り部材27に近づくように移動可能に構成されている。
【0027】
アンコイラー22と巻き取り部材27との間には正極用リール21から引き出される帯状正極11をガイドするガイドローラ31が設けられ、ガイドローラ31より正極用リール21側には切断手段32が設けられている。切断手段32は、帯状正極11に対してその長手方向と直交する方向に移動可能に構成されている。
【0028】
アンコイラー24と巻き取り部材27との間には負極用リール23から引き出される帯状負極12をガイドするガイドローラ33が設けられ、ガイドローラ33より負極用リール23側には切断手段34が設けられている。切断手段34は、帯状負極12に対してその長手方向と直交する方向に移動可能に構成されている。なお、帯状正極11及び帯状負極12の移動経路には図示しない張力調整機構やガイドロールが適宜設けられている。
【0029】
図4に示すように、この実施形態では切断手段32,34としてカッターが使用され、帯状正極11に切断手段32が接触する状態、あるいは帯状負極12に切断手段34が接触する状態で帯状正極11及び帯状負極12がその長手方向に移動される。また、切断手段32,34の位置が帯状正極11及び帯状負極12の移動方向と直交する方向において変更されることにより、帯状正極11あるいは帯状負極12の活物質非塗布部16が切断されてタブ部11b,12bが形成されるようになっている。帯状正極11及び帯状負極12の幅方向のエッジを図示しないエッジセンサで検出し、その検出結果に基づいて切断手段32,34の目的の位置までの移動量が演算されるようになっている。
【0030】
図2に示すように、巻き取り部材27の近傍には巻き取り部材27上に巻き取られた帯状正極11、帯状負極12及び帯状のセパレータ13の合計の厚さを検出する厚さ検出手段35が設けられている。厚さ検出手段35としては、例えば反射式の非接触距離センサが使用される。そして、巻き取り部材27上に巻回された帯状正極11、帯状負極12及び帯状のセパレータ13のいずれかの表面までの距離を測定し、その測定結果と巻き取り部材27上にそれらが巻回されていない状態での測定距離との差から、それらの厚さが求められる。厚さ検出手段35による厚さの検出は巻き取り部材27が厚さ検出手段35に対して同じ位置関係になった状態で行われる。
【0031】
巻き取り部材27上への帯状正極11、帯状負極12及び帯状のセパレータ13の巻き取り速度及び切断手段32,34の帯状正極11あるいは帯状負極12の側縁からの移動距離の制御を行う図示しない制御装置は、厚さ検出手段35の検出結果に基づいて、次回に巻き取り部材27上に巻き取られる帯状正極11のタブ部11bの位置及び帯状負極12のタブ部12bの位置を演算する。タブ部11b,12bの位置とは、その中心位置だけでなく長手方向の位置、即ちタブ部11b,12bの長さも含む。
【0032】
制御装置は、演算されたタブ部11b,12bの位置データと、エッジセンサからのエッジ位置とのデータと、帯状正極11あるいは帯状負極12の移動速度とに基づいて、切断手段32,34の帯状正極11あるいは帯状負極12の側縁からの移動距離を目的の位置にタブ部11b,12bが形成されるように制御する。
【0033】
次に前記のように構成された装置の作用を説明する。先ず、巻き取り部材27をモータに取り付け軸28を介して固定した後、リール25からセパレータ13を引き出して巻き取り部材27の挿通スリット29に挿通してその先端を把持装置30で把持した後、把持装置30を所定の巻き取り開始位置まで移動させる。この状態では、巻き取り部材27の挿通スリット29から把持装置30までの間に存在するセパレータ13の長さは、1個の二次電池用電極体10を構成するセパレータ13のほぼ1/2の長さになっている。
【0034】
次に帯状正極11を正極用リール21から引き出して、その先端が挿通スリット29内のセパレータ13に接触する位置まで挿通スリット29に挿通する。また、帯状負極12を負極用リール23から引き出して、その先端が挿通スリット29内のセパレータ13に接触する位置まで挿通スリット29に挿通して巻き取り準備が完了する。
【0035】
その状態からモータが駆動されて、巻き取り部材27が一定方向に回転され、巻き取り部材27上への帯状正極11、帯状負極12及び帯状のセパレータ13の巻き取りが開始される。従来技術と異なり、リール25から引き出されたセパレータ13の端部、正極用リール21から引き出された帯状正極11の端部、負極用リール23から引き出された帯状負極12の端部を巻き取り部材27上に固定する作業を特に行わなくても、帯状正極11、帯状負極12及びセパレータ13は支障なく巻き取り部材27上に巻き取られる。
【0036】
1周目(1回目)の巻回時には制御装置は巻き取り部材27上に前回の周に巻き取られた帯状正極11のタブ部11bの位置及び帯状負極12のタブ部12bの位置として予め設定された値を使用して、次回の周の巻回時のタブ部11b,12bの位置を演算する。そして、制御装置は、巻き取り部材27上への巻き取り前の帯状正極11及び帯状負極12の活物質非塗布部16をそれぞれ切断手段32,34で切断してタブ部11b,12bを形成しつつ巻き取り動作を巻き取り開始から巻き取り終了まで連続的に行わせる。
【0037】
巻き取り部材27上へ巻き取る各周の帯状正極11及び帯状負極12上に形成すべきタブ部11b,12bの位置は、巻き取り部材27上に前回の周に巻き取られた帯状正極11及び帯状負極12のタブ部11b,12bの位置に基づいて演算され、その値に基づいて各タブ部11b,12bが形成される。即ち、巻き取り部材27上へ巻き取る各周の帯状正極11及び帯状負極12上に形成すべきタブ部11b,12bの位置は、予め設定されているのではなく、前回の周に巻き取られた帯状正極11及び帯状負極12のタブ部11b,12bの位置を検出し、その検出結果に基づいて設定される。そのため、巻き取り部材27上への帯状正極11、帯状負極12及び帯状のセパレータ13の巻回状態(きつく巻回されているか緩く巻回されているか)の変動があっても、それに対応してタブ部11b,12bの形成すべき位置を適切な位置に設定することができる。そして、各タブ部11b,12bが目的とした重なり状態で径方向に重なるように巻き取り部材27上に帯状正極11、帯状負極12及び帯状のセパレータ13が巻回される。
【0038】
所定の周数の巻回が完了すると、帯状正極11、帯状負極12及びセパレータ13は適切な位置で切断されて、それらの端部が内側に巻回されたセパレータ13上に固定される。次に巻き取り部材27が取り付け軸28から取り外された後、巻き取り部材27から二次電池用電極体10が取り外される。巻き取り部材27から取り外された二次電池用電極体10は、適宜成形された後、正極タブ14及び負極タブ15に、図5に図示するように正極端子17及び負極端子18が溶接で接合される。そして、図5に示すように、電池ケース(電槽)37に収容され、電解液38とともに二次電池39が構成される。
【0039】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)二次電池39(蓄電装置)は、活物質層11a,12aが両面に塗布された帯状正極11及び帯状負極12が、両者の間に帯状(シート状)のセパレータが介在する状態の積層構造を有する電極体を備えた蓄電装置である。そして、帯状正極11及び帯状負極12には、それぞれいずれか1辺にタブ部11b,12bが突出形成され、タブ部11b,12bの立ち上がり部とタブ部11b,12bの根元から前記1辺に沿って延びる縁辺11e,12eとは滑らかな形状で接続されている。そのため、帯状の金属シート(金属箔)に、その幅方向の片側に一定幅の活物質非塗布部16を形成するように活物質を含む合剤を塗布、乾燥した後、その金属シートを連続的に移動させつつ活物質非塗布部16の一部を切除してタブ部11b,12bを形成することが容易になる。したがって、タブ部11b,12bの形成が容易な巻回型や積層型の電極体を備えた蓄電装置を提供することができる。
【0040】
(2)タブ部11b,12bは、タブ部11b,12bの突出方向に向かって帯状正極11及び帯状負極12の1辺の延びる方向に関する幅が狭くなる。タブ部11b,12bの幅がタブ部11b,12bの根元を除いて一定あるいは根元より先端側の幅が広いと、タブ部11b,12bを形成する際に、カッターの移動方向の変更や、帯状電極(帯状正極11及び帯状負極12)の巻き取りや巻戻しを繰り返す必要があり、時間が掛かるとともに製造機器や帯状電極に負担が掛かる。しかし、タブ部11b,12bは、タブ部11b,12bの突出方向に向かって前記1辺の延びる方向に関する幅が狭くなるため、帯状電極にタブ部11b,12bを形成する際にそのような問題を回避することができる。
【0041】
(3)前記滑らかな形状は、前記1辺の延びる方向の距離の変化分で前記1辺に直交する方向の距離の変化分を2階微分した値が連続的に変化した形状である。タブ部11b,12bの形成時、帯状電極幅方向の切断手段の位置を帯状電極長手方向で2階微分したものは切断手段の加速度に相当するものになる。帯状電極の引き出し、巻き取りが概ね一定速度の場合、切断手段の加速度を不連続に変化させると製造機器や帯状電極に負担が掛かる。しかし、この実施形態では、タブ部11b,12bの外形線の曲線部の形状は、切断手段の加速度を連続変化させてできる形状のため、タブ部11b,12bの形成時に製造機器や帯状電極に負担が掛からない。
【0042】
(4)二次電池用電極体10の製造方法は、活物質層11a,12aが少なくともいずれか一方の面に塗布された帯状正極11及び帯状負極12が、両者の間に帯状のセパレータ13が介在する状態で巻回され、帯状正極11及び帯状負極12には、それぞれ巻回された状態で径方向に重なる位置に配置される複数のタブ部11b,12bがいずれか1辺に突出形成され、タブ部11b,12bの立ち上がり部とタブ部11b,12bの根元から前記1辺に沿って延びる縁辺11e,12eとは滑らかな形状で接続されている巻回型の二次電池用電極体の製造方法である。そして、帯状正極11及び帯状負極12を両者の間に帯状のセパレータ13が介在する状態で巻き取り部材27上に巻き取る巻き取り工程において、帯状正極11及び帯状負極12として各タブ部11b,12bを形成すべき側縁部に活物質非塗布部16を有する帯状正極11及び帯状負極12を使用する。そして、巻き取り部材27上への巻き取り前の帯状正極11及び帯状負極12の活物質非塗布部16をそれぞれ切断手段32,34で切断してタブ部11b,12bを形成しつつ巻き取り動作を巻き取り開始から巻き取り終了まで連続的に行う。巻き取り部材27上へ巻き取る各周の帯状正極11及び帯状負極12上に形成すべきタブ部11b,12bの位置は、巻き取り部材27上に前回の周に巻き取られた帯状正極11のタブ部11bの位置及び帯状負極12のタブ部12bの位置に相当する部分を検出し、その検出結果に基づいて次回の周に巻き取り部材27上に巻き取られる帯状正極11のタブ部11b及び帯状負極12のタブ部12bの位置を演算して各タブ部11b,11bを形成する。即ち、巻き取り部材27上へ巻き取る各周の帯状正極11及び帯状負極12上に形成すべきタブ部11b,11bの位置は、予め設定されているのではなく、前回の周に巻き取られた帯状正極11のタブ部11bの位置及び帯状負極12のタブ部12bの位置に相当する部分を検出し、その検出結果に基づいて毎周形成すべきタブ部11b,12bの位置が設定される。したがって、複数のタブ部11b,12bが形成された帯状正極11及び帯状負極12を両者の間に帯状のセパレータ13が介在する状態で巻回されて形成された二次電池用電極体10を効率良く製造をすることができる。
【0043】
(5)次回の周に巻き取り部材27上に巻き取られる帯状正極11のタブ部11bの位置及び帯状負極12のタブ部12bの位置の演算は、それまでに巻き取り部材27上に巻き取られた帯状正極11、帯状負極12及び帯状のセパレータ13の合計の厚さを厚さ検出手段35で検出した結果に基づいて行われる。したがって、次回の周に巻き取り部材27上に巻き取られる帯状正極11及び帯状負極12の長さを精度良く推定でき、帯状正極11及び帯状負極12に形成するタブ部11b,12bの位置を精度良く設定することができる。
【0044】
(6)帯状正極11及び帯状負極12は連続的に移動され、切断手段32,34は帯状正極11あるいは帯状負極12に対してその長手方向と直交する方向に移動されるとともに、帯状正極11あるいは帯状負極12の移動速度と、切断手段32,34の帯状正極11あるいは帯状負極12の側縁からの移動距離との制御により目的の位置にタブ部11b,12bが形成される。そのため、帯状正極11及び帯状負極12の移動速度と、切断手段32,34の帯状正極11あるいは帯状負極12の側縁からの移動距離とを制御することにより、帯状正極11、帯状負極12及びセパレータ13の巻き取り部材27上への巻回動作を中断することなく連続的に行っても、タブ部11b,12bを目的の位置に形成することができる。したがって、二次電池用電極体10の製造をより効率良く行うことができる。
【0045】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 帯状正極11あるいは帯状負極12に形成されるタブ部11b,12bは、その外形が曲線部11c,12cのみで形成されたものと、曲線部11c,12cと直線部11d,12dとで形成されたものとが混在する形状に限らない。例えば、外側に巻回される部分に形成されたタブ部11b,12bも、図6(a)に示すように、曲線部同士が滑らかに接続された形状に形成して、全てのタブ部11b,12bの外形を曲線部11c,12c同士が滑らかに接続された形状にしてもよい。また、全てのタブ部11b,12bの外形を曲線部11c,12cと直線部11d,12dとで形成された形状にしてもよい。
【0046】
○ タブ部11b,12bは、タブ部11b,12bの立ち上がり部とタブ部11b,12bの根元から前記1辺に沿って延びる縁辺11e,12eとが滑らかな形状で接続されていればよい。したがって、タブ部11b,12bの頂部が曲線部11c,12cではなく直線部11d,12dで形成された場合、その頂部と連続する部分が曲線部及び直線部のいずれであっても、頂部とは滑らかな形状で接続されていなくてもよい。このような形状のタブ部11b,12bは、例えば、前記実施形態のように、切断手段32,34が、切断開始から切断終了まで、帯状電極(帯状正極11及び帯状負極12)の活物質非塗布部16の幅内で移動されるのではなく、一つのタブ部11b,12bの形成毎に切断手段32,34の移動範囲が帯状電極の外側まで移動することで形成される。
【0047】
○ 二次電池用電極体10は、正極タブ14及び負極タブ15が二次電池用電極体10の巻回軸方向の一端側において同方向に突出する構成に限らない。例えば、図6(b)に示すように、正極タブ14及び負極タブ15の一方(正極タブ14)が二次電池用電極体10の巻回軸方向の一端側において巻回軸方向に突出し、他方(負極タブ15)が二次電池用電極体10の巻回軸方向の他端側において巻回軸方向に突出する構成にしてもよい。
【0048】
○ 切断手段32,34はカッター(刃物)を移動させて活物質非塗布部16を切断する構成に限らず、レーザービームの照射位置を移動させて活物質非塗布部16を切断する構成であってもよい。一つのタブ部11b,12bの形成毎に切断手段32,34の移動範囲を帯状電極の外側まで移動することでタブ部11b,12bを形成する場合は、切断手段32,34はカッター(刃物)よりレーザービームの方が好ましい。
【0049】
○ タブ部11b,12bの立ち上がり部とタブ部11b,12bの根元から前記1辺に沿って延びる縁辺11e,12eとを滑らかに接続する形状が、1辺の延びる方向の距離の変化分で前記1辺に直交する方向の距離の変化分を2階微分した値が連続的に変化した形状の場合、その形状として、sin曲線(サインカーブ)を採用してもよい。
【0050】
○ 巻き取り部材27上へ巻き取る各周の帯状正極11及び帯状負極12上に形成すべきタブ部11b,12bの位置は、巻き取り部材27上に前回の周に巻き取られた帯状正極11のタブ部11bの位置及び帯状負極12のタブ部12bの位置を直接検出し、その検出結果に基づいて演算して設定しなくてもよい。例えば、タブ部11b,12bの位置と所定の関係を有する部分の位置を検出し、その検出結果に基づいて次回の周に巻き取り部材27上に巻き取られる帯状正極11及び帯状負極12のタブ部11b,12bの位置を演算して設定してもよい。即ち、巻き取り部材27上へ巻き取る各周の帯状正極11及び帯状負極12上に形成すべきタブ部11b,12bの位置は、巻き取り部材27上に前回の周に巻き取られた帯状正極11のタブ部11bの位置及び帯状負極12のタブ部12bの位置に相当する部分を検出して代用してもよい。
【0051】
○ 厚さ検出手段35を帯状正極11及び帯状負極12それぞれに対応して設けずに、1個の厚さ検出手段35の検出結果に基づいて、次回の周に巻き取り部材27上に帯状正極11あるいは帯状負極12が巻き取られるまでに巻き取られる帯状正極11、帯状負極12及び帯状のセパレータ13の合計の厚さを演算しても良い。
【0052】
○ 巻き取り部材27の形状は、長円柱状や楕円柱状のような扁平な形状に限らず、例えば、2本の丸棒や円筒が平行に接合されたものや、半円柱や半円筒が板状の連結部材を介して連結されたものであってもよい。
【0053】
○ 巻き取り部材27上に巻き取られた帯状正極11、帯状負極12及び帯状のセパレータ13の合計の厚さを厚さ検出手段35で検出せずに、他の方法で推定してもよい。例えば、巻回開始からそれまでに正極用リール21、負極用リール23、リール25から繰り出された帯状正極11、帯状負極12及び帯状のセパレータ13の長さと、巻き取り部材27の回転回数とに基づいて推定してもよい。
【0054】
○ 巻き取り部材27に挿通部として挿通スリット29に代えて、挿通スリット29を巻き取り部材27の軸方向の一端側にも開放された溝に変更してもよい。
○ 巻き取り部材27に挿通部を設けずに、セパレータ13用のリール25を2個設け、正極用リール21から引き出された帯状正極11の端部、負極用リール23から引き出された帯状負極12の端部、両リール25から引き出されたセパレータ13の端部をそれぞれ巻き取り部材27に固定した状態から巻回を開始してもよい。
【0055】
○ 帯状正極11、帯状負極12及び帯状のセパレータ13の巻回時に、帯状正極11及び帯状負極12が連続的に移動される状態において、切断手段32,34による帯状正極11及び帯状負極12の切断を行う方法に限らず、帯状正極11及び帯状負極12の停止状態において切断手段32,34が移動して切断を行う状態があってもよい。
【0056】
○ 巻回型の電極体に限らず、積層型の電極体、即ち、タブ部を除いた部分が矩形状に形成されたシート状正極(正極シート)及びシート状負極(負極シート)が、両者の間にシート状のセパレータが介在する状態の積層構造を有する電極体に適用してもよい。この電極体を構成する電極シート(正極シート及び負極シート)は、活物質を含む合剤を、帯状の金属シートの幅方向の片側に一定幅の活物質非塗布部を形成するように塗布して活物質層を形成した後、活物質層の密度を高めるためにロールプレスを行い、その後、巻き取りリールに巻き取る。そして、後工程でタブ部を形成する際に、電極シートの活物質非塗布部に巻回型の電極体用の電極シートと異なり、電極シートの長手方向に所定間隔でタブ部を形成するように活物質非塗布部の一部を切除しつつ巻き取りリールに巻き取る。その後、後工程で所定長さの矩形状に切断して積層型の電極体用の電極シートが完成する。したがって、この電極シートを両者の間にシート状のセパレータが介在する状態で積層すれば、積層型の積層構造を有する電極体を備えた二次電池が得られる。
【0057】
○ 電極体は、活物質層がシート状正極(正極シート)及びシート状負極(負極シート)の両面ではなく、少なくともいずれか一方の面に塗布されていればよい。
○ 蓄電装置は、二次電池39に限らず、例えば、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等のようなキャパシタであってもよい。
【0058】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)前記巻き取り部材は前記セパレータが挿通される挿通部を備え、巻回開始時には、複数個の二次電池用電極体を形成するのに必要な長さ以上のセパレータが巻き取られたリールから引き出されるとともに前記挿通部を貫通する状態で1個の二次電池用電極体を形成するのに必要な長さ以上引き出されたセパレータの端部が把持装置に把持された状態にセットされ、帯状正極は正極用リールから引き出され、帯状負極は負極用リールから引き出されてそれぞれその先端が前記挿通部内に挿通された状態にセットされる。
【0059】
(2)前記電極体は、活物質層を有する帯状正極及び活物質層を有する帯状負極が、両者の間に帯状のセパレータが介在する状態で巻回された巻回型の蓄電装置用電極体であって、前記帯状正極及び前記帯状負極は、それぞれ巻回された状態で径方向に重なる複数のタブ部が一体に巻回軸方向に突出形成され、前記タブ部の外形は曲線部のみあるいは曲線部と直線部とで形成され、前記曲線部同士あるいは前記曲線部と前記直線部とが滑らかに接続された形状に形成されている。
【符号の説明】
【0060】
10…蓄電装置用電極体としての二次電池用電極体、11…シート状正極としての帯状正極、11a,12a…活物質層、11b,12b…タブ部、11e,12e…縁辺、12…シート状負極としての帯状負極、13…セパレータ、16…活物質非塗布部、27…巻き取り部材、32,34…切断手段、39…蓄電装置としての二次電池。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7