(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱交換器(110)及び送風装置(120)が配置されるファン室(FR)と、圧縮機(130)が配置される機械室(MR)とを内包するケーシング(200)を備え、前記熱交換器(110)は、側面が対向するように上下に配列されて内部に冷媒通路が形成された複数の扁平管と、該複数の扁平管の両端にそれぞれ設けられて上下方向に延びる一対のヘッダ集合管(113,114)とを備え、前記ケーシング(200)は、天面板(211)と、底面板(221)と、前記ファン室の前面を覆う第1前面板(231)と、前記ファン室の側面を覆う第1側面板(232)と、前記機械室の前面を覆う第2前面板(251)と、前記機械室の側面を覆う第2側面板(240)と、前記機械室の後面を覆う後面板(261)とを有し、前記熱交換器(110)が前記ファン室の後面に配置され、かつ前記熱交換器(110)の一方の前記ヘッダ集合管(113)が、前記機械室(MR)側の前記後面板(261)の後縁部(267)の近傍に配置され、前記熱交換器(110)の前記ヘッダ集合管(113)の近傍で、前記天面板(211)の周縁に設けられた周側部(212)と前記後面板(261)とが締結部材(268)により締結されている室外機(100)について、この室外機(100)を梱包する空気調和機用の梱包部材であって、
少なくとも前記室外機(100)の上部を保護する上部梱包部材(10)を備え、
前記上部梱包部材(10)は、前記天面板(211)のうちで、前記機械室(MR)の中央部に対応する部分に接触する接触部と、前記後面板(261)の上方かつ前記締結部材(268)よりも前記第2側面板(240)側に位置する前記天面板(211)の天面後端部(NI)に接触する後方接触部(27c)と、前記締結部材(268)と前記ヘッダ集合管(113)とを含む領域の上方に位置する天面後中寄部(NE)に接触しない非接触部(27b)と、前記非接触部(27b)を間にして前記後方接触部(27c)の反対側の部分に配置されかつ前記天面板(211)と接触する補助接触部(27a)とを有する
ことを特徴とする空気調和機用の梱包部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
室外機300の軽量化のため、アルミニウム製の熱交換器(例えば、所謂マイクロチャネル熱交換器)が採用される場合がある。この種の熱交換器は、熱交換器の端部を支持する管板311を備えていない。
【0009】
このような、管板311の備えていない熱交換器を含む室外機の場合、室外機の段積みのとき、次のような問題が発生する。
室外機を段積みすると、下段の室外機にこの室外機の上に載置されている室外機の荷重が加わる。荷重が天面板の全体に加わるときは室外機のケーシングが変形することは殆どないが、天面板の一方に偏って荷重が加わると、ケーシングが変形することがある。例えば、構造的に弱い部分に偏って荷重が加わると、ケーシングが変形するおそれが高くなる。特に、機械室MR側の後面板405の後縁部405aは構造的に弱い。このため、従来構造の室外機300おいては、後面板405の後縁部405aの近傍に管板311を配置し、管板311により天面板を支持する。これにより、後面板405の後縁部405aに過大な荷重が加わらないようにしている。しかし、管板311のない熱交換器を採用する室外機においては、管板311の不存在に起因して、このような構造を採ることができない。このようなことから、従来構造の室外機300(管板により天面板を支持している構造の室外機300)に比べ、ケーシングが変形する可能性が高くなっている。
【0010】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ケーシングの変形を抑制することができる空気調和機用の梱包部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、熱交換器及び送風装置が配置されるファン室と、圧縮機が配置される機械室とを内包するケーシングを備え、前記熱交換器は、側面が対向するように上下に配列されて内部に冷媒通路が形成された複数の扁平管と、該複数の扁平管の両端にそれぞれ設けられて上下方向に延びる一対のヘッダ集合管とを備え、前記ケーシングは、天面板と、底面板と、前記ファン室の前面を覆う第1前面板と、前記ファン室の側面を覆う第1側面板と、前記機械室の前面を覆う第2前面板と、前記機械室の側面を覆う第2側面板と、前記機械室の後面を覆う後面板とを有し、前記熱交換器が前記ファン室の後面に配置され、かつ前記熱交換器の一方の前記ヘッダ集合管が、前記機械室側の前記後面板の後縁部の近傍に配置され
、前記熱交換器の前記ヘッダ集合管の近傍で、前記天面板の周縁に設けられた周側部と前記後面板とが締結部材により締結されている室外機について、この室外機を梱包する空気調和機用の梱包部材であって、少なくとも前記室外機の上部を保護する上部梱包部材を備え、前記上部梱包部材は、前記天面板のうちで、
前記機械室の中央部に対応する部分に接触する接触部と、前記後面板の上方かつ前記締結部材よりも前記第2側面板側に位置する前記天面板の天面後端部に接触する後方接触部と、前記締結部材と前記ヘッダ集合管とを含む領域の上方に位置する天面後中寄部に接触しない非接触部と、前記非接触部を間にして前記後方接触部の反対側の部分に配置されかつ前記天面板と接触する補助接触部とを有することを要旨とする。
【0012】
室外機のケーシングのうちで機械室側の後面板の後縁部は構造的に弱い。このため、ケーシングに過大な荷重が加わると、機械室側の後面板の後縁部が変形するおそれがある。この点、本発明では、上部梱包部材に、天面板のうちで、機械室側の後面板の後縁部の近くに配置されているヘッダ集合管の上方に位置する天面後中寄部に接触しない非接触部を設けている。このような構造によれば、上部梱包部材は、天面板の天面後中寄部に接触しないため、室外機に荷重が加わったとき、後面板の後縁部には荷重が加わらない。このため、機械室側の後面板の後縁部が変形することが抑制される。
【0013】
空気調和機用の梱包部材において、前記室外機は、前記天面板の周縁に設けられた周側部と前記後面板とを締結する締結部材が前記熱交換器の前記ヘッダ集合管の近傍に設けられ、かつ前記締結部材が前記非接触部に対応する部分に配置されているものであって、前記上部梱包部材には、前記後面板の上方かつ前記締結部材よりも前記第2側面板側に位置する前記天面板の天面後端部に接触する後方接触部と、前記非接触部を間にして前記後方接触部の反対側の部分に配置されかつ前記天面板と接触する補助接触部とが設けられてい
る。
【0014】
室外機の天面板の締結構造と上部梱包部材の非接触部との位置関係において、次のような配置となる場合がある。すなわち、天面板の周側部と後面板とを締結する締結部材が熱交換器のヘッダ集合管の近傍に設けられ、かつ締結部材が非接触部に下方に配置されることがある。このような配置関係にある場合、次の問題が生じる。すなわち、天面板の機械室側の部分に過大な荷重が加わるとき、荷重が、天面板において締結部材による締結部よりも外側(第2側面板側)に荷重が加わることがあり、この結果、天面板の中央部が持ち上がって天面板が変形することがある。そこで、本発明では、上部梱包部材に、後方接触部を設け、更に、非接触部を間にしてこの後方接触部の反対側の部分に、天面板に接触する補助接触部を設けている。すなわち、締結部材の両側を後方接触部及び補助接触部で押さえる。これにより、天面板の中央部の持ち上がりを抑制し、天面板が変形することを抑制することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の空気調和機用の梱包部材において、前記室外機は、前記ケーシングの前記第1側面板の後部に後角部が設けられたものであって、前記上部梱包部材は、前記ケーシングの前記天面板のうちで、前記第1前面板と前記第1側面板により構成される角部の上方に位置する天面角部に接触する第1接触部と、前記第1側面板の後部の前記後角部の上方に位置する天面角部に接触する第2接触部と、前記第2側面板と前記後面板により構成される角部の上方に位置する天面角部に接触する接触部であって前記後方接触部を含む第3接触部とを有することを要旨とする。
【0016】
この発明の上部梱包部材は、天面板のうちで、ケーシングの3つの角部のそれぞれに対応する部分で接触する。このため、室外機に荷重が加わるとき、構造的に強い部分であるケーシングの角部に力が加わるため、ケーシングの変形を抑制することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載の空気調和機用の梱包部材において、前記上部梱包部材は、前記第1接触部と前記第2接触部とを有する第1緩衝材と、前記第3接触部と前記補助接触部とを有する第2緩衝材と、前記第1緩衝材と前記第2緩衝材とを連結する第3緩衝材及び第4緩衝材とを備え、前記第3緩衝材と前記第4緩衝材が並行に配置されていることを要旨とする。
【0018】
この発明によれば、上部梱包部材の中央部に空間が設けられる。このため、上部梱包部材を形成するための原料を少なくすることができる。
請求項4に記載の発明は、
請求項3に記載の空気調和機用の梱包部材において、前記上部梱包部材は、更に、前記第1緩衝材と前記第2緩衝材と前記第3緩衝材と前記第4緩衝材とを収納する上トレーを備えていることを要旨とする。
【0019】
第1緩衝材、第2緩衝材、第3緩衝材及び第4緩衝材が互いに連結して構成される上部梱包部材の場合、各緩衝材同士の接続部分の緩みにより、緩衝材同士の配置が定まらないことがある。このため、上部梱包部材を室外機に嵌めにくいというデメリットが生じる。そこで、本発明では、上トレー内に第1〜第4緩衝材を収納し、これらの緩衝材を保持する。これにより、上部梱包部材を室外機に嵌め易くすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ケーシングの変形を抑制することができる空気調和機用の梱包部材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照して、室外機の梱包方法について説明する。
室外機100は、梱包部材1と結束バンド270を用いて梱包される。
梱包部材1は、室外機100の上部を保護する上部梱包部材10と、室外機100の下部を保護する下部梱包部材30とを備えている。
【0023】
室外機100の下部とは、鉛直方向において、室外機100が設置されるときの地面側に配置される部分を示し、室外機100の上部とは、鉛直方向において、下部の反対側の部分を示す。室外機100において排気側を前部といい、前部の反対側を後部という。
【0024】
室外機100を梱包するときは、上部梱包部材10を室外機100の上部に嵌め、下部梱包部材30を室外機100の下部に嵌める。そして、4本の結束バンド270を、室外機100、上部梱包部材10及び下部梱包部材30の周囲に回して締め付ける。
【0025】
図2に、室外機100の梱包を解いた状態を示す。
図2に示されるように、下部梱包部材30は、紙製(例えばダンボール)の下トレー31と、2本の支持板32と、2個の樹脂製(例えば、発泡スチロール)の緩衝材33と、2個の支持板32を連結する連結部材34とを備えている。
【0026】
下トレー31は、2本の支持板32と、2個の緩衝材33と、連結部材34とを収容する。下トレー31には、結束バンド270を位置決めするための凹部35が8箇所設けられている。緩衝材33のそれぞれには、室外機100の脚台101を載置する載置部33aが設けられている。上部梱包部材10については後述する。
【0027】
図3を参照して、室外機100の構成を説明する。
室外機100は、熱交換器110と、モータ121及び回転翼122を有する送風装置120と、圧縮機130と、圧縮機130等を制御する制御装置140と、熱交換器110及び送風装置を支持する支持台150と、これらの装置を収容するケーシング200とを備えている。
【0028】
室外機100の内部空間は、仕切板201により、ファン室FRと機械室MRに区画されている。ファン室FRには、熱交換器110と送風装置120が収容されている。機械室MRには、圧縮機130と制御装置140が収容されている。
【0029】
熱交換器110としては、所謂マイクロチャネル熱交換器が採用されている。具体的な構成は次のとおり。熱交換器110は、複数本の扁平管111と、複数の伝熱フィン112と、2本のヘッダ集合管113,114とを備えている。扁平管111と伝熱フィン112とヘッダ集合管113,114は、アルミニウムにより形成されている。
【0030】
扁平管111は、冷媒流通方向に対して垂直の断面において、上下方向に薄い扁平形状であり、この断面の左右方向に複数の冷媒通路が形成されている。これらの扁平管111は、側面が互いに対向するように上下方向に間隔をあけて配列されている。扁平管111の間には、複数枚の伝熱フィン112が互いに平行に配置されている。伝熱フィン112は、その主面が扁平管111の延長方向に対して垂直となるように、配置されている。ヘッダ集合管113,114は、それぞれ扁平管111の端部に、上下方向に延びるように取り付けられ、所定の扁平管111を他の所定の扁平管111に連結する。これにより、ヘッダ集合管113,114は、扁平管111に流通する冷媒を合流または分流する。なお、以降の説明では、2本のヘッダ集合管113,114を区別して説明するときは、機械室MR側に配置されているヘッダ集合管を第1ヘッダ集合管113と称し、ファン室FR側に配置されているヘッダ集合管を第2ヘッダ集合管114と称す。
【0031】
熱交換器110の両端部(すなわちヘッダ集合管113,114)は、取付部材115によりケーシング200に取り付けられている。
また、熱交換器110は、送風装置120のモータ121を支持する支持台150によって支持されている。
【0032】
なお、取付部材115は、ヘッダ集合管113,114に固定されるヘッダ固定部材と、ケーシング200に固定されるケース固定部材と、ヘッダ固定部材とケース固定部材との間を絶縁する絶縁部材により形成されている。これにより、金属イオンの移動経路を遮断し、ヘッダ集合管113,114とケーシング200との間で生じる電食を抑制している。
【0033】
支持台150は、ファン室FRの後側でかつ中央部に設けられている。支持台150は、2本の支柱151と、熱交換器110を固定するための取付板152とを備えている。取付板152は天面板211に当接する。支持台150の前部には、送風装置120のモータ121が取り付けられている。支持台150の後部には、熱交換器110が取り付けられている。
【0034】
ケーシング200は、天板210と、底板220と、第1外板230と、第2外板250と、第3外板260とを備えている。
ケーシング200の各要素は、鋼板により形成されている。
【0035】
天板210は、天面板211と、天面板211の周縁に設けられた周側部212とを備えている。天面板211には、天板210の強度を高くするために段部213が形成されている。
【0036】
底板220は、底面板221と、底面板221の周縁に設けられた周側部222とを備えている。底面板221の内面には、支持台150が取付けられる支持台固定部223が形成されている。底面板221の外面(外部に面する面)には、2本の脚台101が取付けられている。
【0037】
第1外板230は、ファン室FRの前面を覆う第1前面板231と、ファン室FRの側面を覆う第1側面板232と、ファン室FRの角部を覆う後角部233とを有する。
第1前面板231には排気口231aが形成されている。排気口231aには、排気グリル236が取り付けられている。第1前面板231の上部には、天面板211に当接する当接部235が形成されている。第1前面板231の側縁部(第2前面板251側の側縁部)には、第2前面板251と係合する係合部234が設けられている。
【0038】
第1側面板232には、複数の吸気口232aが形成されている。各吸気口232aは、略矩形に形成されている。第1側面板232の上部には、天面板211に当接する当接部235が形成されている。
【0039】
第2外板250は、機械室MRの前面を覆う第2前面板251と、機械室MRの側面の一部を覆う第2前側面板252とを有する。なお、第2前側面板252と後述の第2後側面板262とは機械室MRの側面を覆う第2側面板240を構成する。第2前面板251の側縁部には、第1前面板231の係合部234と係合する係合部257が形成されている。
【0040】
第2外板250には、第2前面板251と第2前側面板252とにより構成される角部のうちの底板220側の下側角部において、機械室MR内の配管と室内機からの配管とを接続するための第1開口部253が設けられている。第1開口部253は第1蓋254で覆われている。第1蓋254は、締結部材で底板220に締結される。なお、第1蓋254は、第2前面板251に締結されている場合もある。第1蓋254には、配管を通すための貫通孔255が形成されている。第2前面板251の上部及び第2前側面板252の上部には、天面板211に当接する当接部256が形成されている。
【0041】
第3外板260は、機械室MRの後面を覆う後面板261と、機械室MRの側面の後方部分を覆う第2後側面板262とを有する。第3外板260には、後面板261と第2後側面板262とにより構成される角部のうちの底板220側の下側角部に、機械室MR内の配管と室内機からの配管とを接続するための第2開口部263が設けられている。第2開口部263は第2蓋264で覆われている。第2蓋264は、締結部材により、第2後側面板262と底板220に締結されている。第2蓋264には、配管を通すための貫通孔265が形成されている。後面板261の上部及び第2後側面板262の上部には、天板210に当接する当接部266が形成されている。
【0042】
図4を参照して、室外機100の各要素の配置関係を説明する。
室外機100は、上方からみたとき、略矩形に形成されている。ファン室FRと機械室MRとは横並びに配置されている。室外機100のファン室FRの前面、側面及び後面は第1外板230により覆われている。室外機100の機械室MRの前面、側面及び後面は第2外板250及び第3外板260により覆われている。すなわち、室外機100のファン室FRの後面は外板に覆われていない。
【0043】
熱交換器110は、熱交換器110がファン室FRの後面から側面に亘って配置されている。すなわち、熱交換器110の一方の端部(すなわち第1ヘッダ集合管113)は、後面板261の後縁部267の近傍に配置されている。熱交換器110の他方の端部(すなわち第2ヘッダ集合管114)は、第1側面板232の近傍に配置されている。
【0044】
図5〜
図7を参照して、上部梱包部材10について説明する。
図5及び
図6に示すように、上部梱包部材10は、紙製(例えばダンボール)の上トレー11と、樹脂製(例えば発泡スチロール)の緩衝部材20とを備えている。緩衝部材20は4つの緩衝材(以下、それぞれ第1緩衝材21〜第4緩衝材24という。)を備えている。
【0045】
上トレー11は、第1緩衝材21、第2緩衝材22、第3緩衝材23、及び第4緩衝材24を収容する。上トレー11には、結束バンド270を位置決めするための凹部12が8箇所に設けられている。
【0046】
第1緩衝材21は、室外機100の上部であってファン室FR側の側部を保護する。第2緩衝材22は、室外機100の上部であって機械室MR側の側部を保護する。第3緩衝材23及び第4緩衝材24は、第1緩衝材21と第2緩衝材22を互いに連結する。
【0047】
第1緩衝材21に対し第3緩衝材23及び第4緩衝材24は、それぞれ嵌込構造により連結されている。また、第2緩衝材22に対し第3緩衝材23及び第4緩衝材24は、それぞれ嵌込構造により連結されている。ここで、嵌込構造とは、一方の部材に形成された凹部と、他方の部材に形成された凸部とが嵌合することにより、2つの部材が互いに締結される構造を示す。
【0048】
図7に、緩衝部材20の斜視図を示す。
第1緩衝材21は、第1本体部21aと、天板210の周側部212に当接する第1当接部21bとを備えている。第1本体部21aには、天板210の天面板211に接触する第1接触部25と第2接触部26が形成されている。
【0049】
第2緩衝材22は、第2本体部22aと、天板210の周側部212に当接する第2当接部22bとを備えている。第2本体部22aには、天板210の天面板211に接触する第3接触部27と補助接触部27aとが形成されている。また、第2本体部22aには、天板210の天面板211に接触しない非接触部27bが設けられている。
図7に示すように、補助接触部27aは、非接触部27bを間にして第3接触部27の反対側に設けられている。
【0050】
第3緩衝材23は、棒状の第3本体部23aを備えている。第3本体部23aには、天板210の天面板211に接触する第5接触部29が形成されている。第3緩衝材23の両端には、それぞれ嵌合構造としての凸部が形成されている。
【0051】
第4緩衝材24は、棒状の第4本体部24aを備えている。第4本体部24aには、天板210の天面板211に接触する第4接触部28が形成されている。第3緩衝材23の両端には、それぞれ嵌合構造としての凸部が形成されている。
【0052】
図8を参照して、各接触部25〜29,27a及び非接触部27bと、室外機100の各構成要素との配置関係について説明する。なお、
図8において、室外機100の天板210と各接触部25〜29,27aとが接触する部分をドットで示す。
【0053】
第1接触部25は、天面板211の第1天面角部NAに接触する。ここで、第1天面角部NAとは、天面板211において、第1前面板231と第1側面板232により構成される角部の上方に位置する部分を示す。
【0054】
第2接触部26は、天面板211の第2天面角部NBに接触する。ここで、第2天面角部NBとは、天板210において、第1側面板232の後部の後角部233の上方に位置する部分を示す。
【0055】
第3接触部27は、天面板211の第3天面角部NC及び天面後端部NIを含む部分に接触する。すなわち、第3接触部27は、天面板211において第3天面角部NCから機械室MRの中央部に対応する部分までの範囲で、天面板211と接触する。ここで、第3天面角部NCとは、天面板211において、後面板261と第2後側面板262とにより構成される角部の上方に位置する部分を示す。天面後端部NIとは、天面板211において、後面板261の上方かつ締結部材268よりも第2側面板240側に位置する部分を示す。
【0056】
非接触部27bは、天面板211の天面後中寄部NEに対応して設けられている。
すなわち、室外機100の上部に上部梱包部材10を嵌めたときに、天面後中寄部NEの上方に配置されるように、非接触部27bが形成されている。ここで、天面後中寄部NEとは、天面板211において、熱交換器110の第1ヘッダ集合管113の上方に位置する部分を示す。なお、本実施形態では、天面後中寄部NEに対応する部分において、天板210の周側部212と後面板261が締結部材268(例えばボルト)で互いに締結されている。
【0057】
補助接触部27aは、天面後中寄部NEよりも中央寄りの部分NFに対応して設けられている。すなわち、室外機100の上部に上部梱包部材10を嵌めたときに、部分NFの上方に配置されるように、補助接触部27aが形成されている。ここで、天面後中寄部NEよりも中央寄りの部分NFとは、天板210において、熱交換器110の第1ヘッダ集合管113が配置される部分よりも室外機100の左右方向の中央寄りの部分を示す。すなわち、補助接触部27aは、非接触部27bを間にして第3接触部27の反対側の部分に設けられている。
【0058】
第4接触部28は、天面板211の前部NGに接触する。ここで、前部NGとは、天面板211において、第1前面板231の係合部234と第2前面板251の係合部257とが係合する結合部に対応する部分を示す。
【0059】
第5接触部29は、天面板211の中央支持部NHに接触する。ここで、中央支持部NHとは、天面板211において、支持台150の上部に取り付けられている取付板152のうちで2本の支柱151に直接的に支持されている支持部分を示す。
【0060】
図9を参照して、室外機100に荷重が加わったときの上部梱包部材10の作用について説明する。なお、
図9は、後方から、梱包状態の室外機100の機械室MR側を見た図であり、
図1のA−A線に沿った断面図を示す。
【0061】
図9(a)は、従来構造の上部梱包部材500で梱包された室外機100において、天面板211の機械室MR側部分に過大な荷重が加わっている状態を示す。
従来構造の上部梱包部材500は、後面板261に対応する部分の全体に亘って天面板211と接触する。このため、上部梱包部材500に荷重が加わったとき、第2緩衝材510が変形し、これにより、矢印Bのように天面板211が下方に撓む。この結果、後面板261の後縁部267に過大な荷重が加わり、後面板261の後縁部267はその荷重に耐えられず変形する。
【0062】
そこで、
図9(b)に示すように、後面板261の後縁部267に荷重が加わらないように、上部梱包部材10に非接触部27bを形成する。
このような構成の場合は、天面板211の機械室MR側部分に過大な荷重が加わることによって第2緩衝材22が変形したとしても、天面後中寄部NEに第2緩衝材22が接触しないため、天面後中寄部NEには荷重が加わらず、ひいては後面板261の後縁部267にも荷重が加わらない。これにより、第3外板260の変形が抑制される。
【0063】
図9(c)に示すように、締結部材268が非接触部27bに対応するところに配置されている場合は、本実施形態のように補助接触部27aを設けることが好ましい。
締結部材268が、非接触部27bに対応するところに配置されている場合、天板210の機械室MR側(例えば、機械室MRの天面の中央部分)に過大な荷重が加わったとき、締結部材268が力の支点となって、
図9(c)の矢印Cのように天面板211の中央部が上方に盛り上がることがある。このため、
図9(d)に示すように、上部梱包部材10のように非接触部27bを間にして後方接触部27cの反対側のところに補助接触部27aを設ける。
【0064】
図9(d)は、本実施形態の上部梱包部材10によって梱包された室外機100において、機械室MR側に過大な荷重が加わった状態を示す。
本実施形態の上部梱包部材10は、機械室MR側の後面板261に対応する部分において、天面板211において、天面後端部NIと、天面後中寄部NEよりも中央寄りの部分NFとに接触する。一方、熱交換器110の第1ヘッダ集合管113の上方に位置する部分(天面後中寄部NE)には接触しない。すなわち、天面板211の天面後中寄部NEの両側に荷重が加わる。従って、天面板211の天面後中寄部NEに荷重が加わらないため、第3外板260の変形が抑制される。また、天面板211の中央部の持ち上がりが補助接触部27aにより押さえられるため、及び天面板211の変形が抑制される。
【0065】
図10を参照して、上部梱包部材10の変形例を示す。
本実施形態の上部梱包部材10では、第1緩衝材21の第1接触部25と第2接触部26とを分離する。すなわち、第1接触部25と第2接触部26との間に、天面板211と接触しない非接触部を設けている。
【0066】
これに対して、
図10(a)に示す上部梱包部材10は、第1接触部25と第2接触部26に代えて、一つの接触部40を有する。また、
図7に示すような補助接触部27aを設けていない。更に、第3緩衝材23と第4緩衝材24を省略している。このような構成でも、後面板261の後縁部267に荷重が殆ど加わらないため、第3外板260の変形を抑制することができる。
【0067】
図10(b)に、
図10(a)に示す上部梱包部材10の変形例を説明する。
図10(b)に示す上部梱包部材10は、
図10(a)に示した上部梱包部材10において、第3接触部27を拡大した構造の接触部41を有する。すなわち、接触部41は、天板210の第3天面角部NC及び第4天面角部NDに接触する。ここで、第3天面角部NCとは、上記したとおりである。第4天面角部NDとは、天面板211において、第2前面板251と第2前側面板252とにより構成される角部の上方に位置する部分を示す。このような構成でも、後面板261の後縁部267に荷重が殆ど加わらないため、第3外板260の変形を抑制することができる。
【0068】
図10(c)に、
図10(a)に示す上部梱包部材10の別の変形例を説明する。
図10(c)に示す上部梱包部材10は、
図10(a)に示した上部梱包部材10において、第3接触部27と第4接触部28(
図8参照)を連結した構造の接触部42を有する。このような構成でも、後面板261の後縁部267に荷重が殆ど加わらないため、第3外板260の変形を抑制することができる。
【0069】
図10(d)に示す上部梱包部材は、
図10(c)に示した上部梱包部材10において、補助接触部27aを設けたものである。このような構成においては、上記
図9(d)において説明した作用と同様の作用があるため、非接触部27b(
図7参照)に対応する部分に締結部材268が設けられている室外機100において、天面板211の変形を抑制することができる。
【0070】
次に、本実施形態の効果を説明する。
(1)本実施形態の梱包部材1は、室外機100の上部を保護する上部梱包部材10を備える。上部梱包部材10は、天面板211のうちで、熱交換器110の第1ヘッダ集合管113の上方に位置する天面後中寄部NEに接触しない。すなわち、上部梱包部材10には、天面後中寄部NEに接触しない非接触部27bが設けられている(
図8及び
図10参照)。
【0071】
室外機100のケーシング200のうちで後面板261の後縁部267は上下方向の荷重に弱い。このため、天板210に過大な荷重が加わると、後面板261の後縁部267が変形するおそれがある。この点を考慮し、本実施形態では、上部梱包部材10に、熱交換器110の第1ヘッダ集合管113の上方に位置する天面後中寄部NEに接触しない非接触部27bを設けている。このような構造によれば、室外機100に荷重が加わったとき、後面板261の後縁部267には荷重が加わりにくくなるため、後面板261の後縁部267の変形を抑制することができる。
【0072】
(2)室外機100の天板210の締結構造と上部梱包部材10の非接触部27bとの位置関係において、次のような配置となる場合がある。
図8に示すように、天板210の周側部212と機械室MR側の後面板261とを締結する締結部材268が熱交換器110の端部(すなわち、第1ヘッダ集合管113)の近傍に設けられ、かつ締結部材268が非接触部27bに対応する部分に配置されることがある。このような配置関係にある場合、次の問題が生じる。すなわち、天面板211のうちで機械室MR側に過大な荷重が加わるとき、荷重が、締結部材268の締結部よりも外側(第2前側面板252側または第2後側面板262側)に荷重が加わることがあり、この結果、天面板211の中央部が持ち上がって天面板211が変形することがある。そこで、本実施形態では、上部梱包部材10に、後方接触部27cを含む第3接触部27を設け、更に、非接触部27bを間にしてこの後方接触部27cの反対側の部分に、天面板211に接触する補助接触部27aを設けている。これにより、天面板211の中央部の持ち上がりを抑制し、天面板211が変形することを抑制することができる。
【0073】
(3)本実施形態の上部梱包部材10は、
図8に示すように、少なくとも、天面板211のうちの第1天面角部NAに接触する第1接触部25と、第2天面角部NBに接触する第2接触部26と、第3天面角部NCに接触する第3接触部27とを有する。このため、室外機100に荷重が加わるとき、構造的に強い部分であるケーシング200の角部に力が加わるため、ケーシング200の変形を抑制することができる。
【0074】
(4)本実施形態の上部梱包部材10は、
図8に示すように、第1接触部25と、第2接触部26と、第3接触部27と、第4接触部28と、第5接触部29とを有する。このため、室外機100に荷重が加わると、構造的に強い部分であるケーシング200の角部、第1前面板231と第2前面板251が互いに係合する結合部、及び支持台150に力が加わるため、ケーシング200の変形を抑制することができる。
【0075】
(5)本実施形態の上部梱包部材10は、第1接触部25と第2接触部26とを有する第1緩衝材21と、第3接触部27と補助接触部27aとを有する第2緩衝材22と、第1緩衝材21と第2緩衝材22とを連結する第3緩衝材23及び第4緩衝材24とを備えている。そして、第3緩衝材23と第4緩衝材24は並行に配置されている。すなわち、上部梱包部材10の中央部に空間が設けられる。このため、上部梱包部材10を形成するための原料を少なくすることができる。
【0076】
(6)本実施形態の上部梱包部材10は、更に、第1緩衝材21、第2緩衝材22、第3緩衝材23、及び第4緩衝材24とを収納する上トレー11を備えている。すなわち、上トレー11内に第1〜第4緩衝材21〜24を収納し、これらの緩衝材21〜24を保持する。これにより、上部梱包部材10を室外機100に嵌め易くすることができる。
【0077】
[変形例]
なお、本発明の実施態様は上記に示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0078】
・上記実施形態では、ケーシング200を3枚の外板(すなわち、第1外板230、第2外板250、及び第3外板260)により構成しているが、ケーシング200の構成はこれに限定されない。例えば、第2外板250と第3外板260を一体構造とし、一枚板のプレスにより形成してもよい。
【0079】
・上記実施形態では、第1〜第4緩衝材21〜24を樹脂で形成しているが、ダンボール等により形成してもよい。また、ダンボールと樹脂との複合材料により形成することもできる。
【0080】
・上記実施形態では、
図10において、上部梱包部材10の変形例を挙げているが、変形例はこれらに限定されない。各接触部の形状は、室外機100の構成とともに適宜変更される。