特許第5790590号(P5790590)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5790590
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/48 20060101AFI20150917BHJP
   B65G 17/10 20060101ALI20150917BHJP
   B65G 17/20 20060101ALI20150917BHJP
   B65G 35/06 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   B65G17/48 E
   B65G17/10 A
   B65G17/20 D
   B65G35/06 B
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-120428(P2012-120428)
(22)【出願日】2012年5月28日
(65)【公開番号】特開2013-245078(P2013-245078A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2014年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 篤志
【審査官】 中島 慎一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−026629(JP,U)
【文献】 実開平03−081175(JP,U)
【文献】 米国特許第05718320(US,A)
【文献】 特開2007−131404(JP,A)
【文献】 特開平06−293432(JP,A)
【文献】 特開昭54−147586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/00 − 17/48
B65G 35/00 − 37/02
B61B 13/00 − 13/12
B23P 19/00 − 21/00
B62D 65/00 − 65/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って駆動コンベアが配置され、該駆動コンベアに係合すると共にワーク保持部を有する搬送台車にワークを保持させて上記駆動コンベアの駆動力によって上記搬送台車を移動させるよう構成されるワーク搬送装置において、
上記搬送台車は、第1台車と、該第1台車の上方において上記第1台車との上下方向の相対位置を変更可能に配置された第2台車とを有し、
上記第1台車は、上記駆動コンベアに設けられた駆動プッシャー部に係合すると共に、上記搬送経路に沿って設けられた第1レール上を走行可能な第1走行部を有し、
上記第2台車は、上記搬送経路に沿って設けられた第2レール上を走行可能な第2走行部と、少なくとも2つの上記ワーク保持部とを有しており、
上記搬送経路には、上記第1レールと上記第2レールとの上下方向の間隔が所定の間隔を有している通常経路部と、上記第1レールと上記第2レールとの上下方向の間隔が上記通常経路部における間隔よりも縮小又は拡大された変化経路部とが設けられており、
上記搬送経路上を上記第1台車と上記第2台車とが移動することで生じる両者の高さ位置の変化を利用して、上記ワーク保持部に保持されたワークの姿勢を変化させる姿勢変化機構を有していることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワーク搬送装置において、上記姿勢変化機構は、上記第1台車と上記第2台車との間の相対的な高さ位置の移動に伴う直進運動を利用して、上記ワーク保持部同士の間隔を変化させる間隔変化機構を有していることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のワーク搬送装置において、上記第1台車は上方に立設し直線歯車を有するラックバーを有し、
上記第2台車は、上記ラックバーの直線歯車と噛合するピニオン歯車を有する移動部と、上記移動部を回動可能に軸支する基部とを有しており、上記移動部及び上記基部には、それぞれ少なくとも1つの上記ワーク保持部が配されており、上記間隔変化機構は、上記第1台車と上記第2台車との間の高さ位置の変化を利用して、上記ラックバーを上記移動部と相対して上下方向に移動させ、上記直線歯車と噛合した上記ピニオン歯車を有する移動部を回転させることにより、上記移動部が備える上記ワーク保持部と上記基部が備える上記ワーク保持部との間隔を変化させるよう構成されていることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のワーク搬送装置において、上記姿勢変化機構は、上記第1台車と上記第2台車との間の相対的な高さ位置の移動に伴う直進運動を利用して、上記ワーク保持部を水平方向に回転移動させる回転機構を有していることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載のワーク搬送装置において、上記第1台車及び上記第2台車における、いずれか一方は、上方に立設したガイドバーと、該ガイドバーの外周側面から突出したガイド突起部とを有し、他方は、円筒状をなし内側に上記ガイドバーが挿通配置されると共に上記ワーク保持部を備えた回転筒部と、上記第1走行部又は上記第2走行部と上記回転筒部との間に配され両者を水平方向において相対的に回転可能に連結するべアリングとを有しており、上記回転筒部は、その周方向に傾斜すると共に軸方向に向かって形成されたガイド溝部を有しており、上記回転機構は、上記第1台車と上記第2台車との間の高さ位置を変化させることにより、上記ガイド溝部の内側を上記ガイド突起部が高さ方向に直線移動し、上記ガイド突起部に倣って上記回転筒部を相対的に回転させるよう構成されていることを特徴とするワーク搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つのワークを保持すると共に、ワーク同士の姿勢を変化させながら搬送することが可能なワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のバンパー塗装ラインにおいては、フロントバンパーとリアバンパーとにおける色ムラの発生を防止するために、1台の搬送台車によって、フロントバンパー及びリアバンパーの2つのワークを搬送し、これらの塗装を同時に行っている。このとき、フロントバンパー及びリアバンパーの塗装面を均一にムラなく塗装するためには、両者の間に塗装ロボットが通過可能な間隔を確保する必要がある。しかし、塗装工程以外の例えば、待機場、乾燥炉等の工程においては、間隔は不要なものであり、逆にスペースが生まれるため、より小さくすることが望まれている。
【0003】
特許文献1には、2つのワークの位置を変更可能な塗装冶具が示されている。この塗装冶具は、2つのワーク保持部を備えており、操作ハンドルを操作することにより、一方のワーク保持部を他方のワーク保持部から離れた位置に移動可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−154617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に示された塗装冶具には以下の問題点がある。
上述した塗装ライン等の生産ラインにおいては、ロボットが用いられる場合が多い。このロボットは、予め記憶されたプログラムに基づいて作業を行うため、作業者が工程内に入ることは危険が伴い好ましくない。
また、作業者が塗装冶具を操作する際に、ロボットを停止することもできるが、生産ラインにおける作業効率が低下することとなる。
【0006】
また、塗装冶具に、専用の駆動源を設けることで塗装冶具を作動させることもできるが、塗装冶具の構成が複雑となる上に、設備費用が増大することとなる。生産ラインには、例えば、数十〜百数十台の塗装冶具が必要となる場合もあるため、これら全てに駆動源を設けた場合、非常に高額な設備費用が必要となる。
【0007】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、構成がシンプルであると共に、作業性及び作業効率の向上とスペースの縮小が可能なワーク搬送装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、搬送経路に沿って駆動コンベアが配置され、該駆動コンベアに係合すると共にワーク保持部を有する搬送台車にワークを保持させて上記駆動コンベアの駆動力によって上記搬送台車を移動させるよう構成されるワーク搬送装置において、
上記搬送台車は、第1台車と、該第1台車の上方において上記第1台車との上下方向の相対位置を変更可能に配置された第2台車とを有し、
上記第1台車は、上記駆動コンベアに設けられた駆動プッシャー部に係合すると共に、上記搬送経路に沿って設けられた第1レール上を走行可能な第1走行部を有し、
上記第2台車は、上記搬送経路に沿って設けられた第2レール上を走行可能な第2走行部と、少なくとも2つの上記ワーク保持部とを有しており、
上記搬送経路には、上記第1レールと上記第2レールとの上下方向の間隔が所定の間隔を有している通常経路部と、上記第1レールと上記第2レールとの上下方向の間隔が上記通常経路部における間隔よりも縮小又は拡大された変化経路部とが設けられており、
上記搬送経路上を上記第1台車と上記第2台車とが移動することで生じる両者の高さ位置の変化を利用して、上記ワーク保持部に保持されたワークの姿勢を変化させる姿勢変化機構を有していることを特徴とするワーク搬送装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0009】
上記ワーク搬送装置は、上記通常経路部と上記変化経路部との間を移動することで、上記搬送台車が有する上記第1台車と上記第2台車との間に生じる両者の高さ位置の変化を利用して、ワークの姿勢を変化させる上記姿勢変化機構を備えている。つまり、上記姿勢変化機構は、上記駆動コンベアを駆動源として利用し、上記通常経路部と上記変化経路部との間を移動することでワークの姿勢を変化させることができる。したがって、上記姿勢変化機構に専用の駆動源を配する必要がなく、上記ワーク搬送装置を構成する機器の数を低減することが可能となる。これにより、生産ラインにかかる設備費を低減すると共に、その保全性を向上することができる。
【0010】
また、上記ワーク搬送装置は、上記姿勢変化機構によって、上記ワーク保持部に保持されたワーク同士の位置や姿勢を変化させることができる。これにより、上記搬送経路における種々の場面において、ワークを最適な姿勢とし、作業性及び作業効率の向上及びスペースの縮小が可能となる。
【0011】
以上のごとく、上記ワーク搬送装置によれば、その構成をシンプルとすると共に、作業性及び作業効率の向上とスペースの縮小が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1における、通常経路部を移動する搬送台車を示す側面図。
図2】実施例1における、変化経路部を移動する搬送台車を示す側面図。
図3】実施例1における、変化経路部を移動する搬送台車を示す正面図。
図4】実施例1における、第1台車を示す側面図。
図5】実施例1における、第2台車の基部を示す側面図。
図6】実施例1における、第2台車の移動部を示す側面図。
図7】実施例1における、塗装ラインを示す説明図。
図8】実施例1における、塗装工程を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記ワーク搬送装置において、上記姿勢変化機構は、上記第1台車と上記第2台車との間の相対的な高さ位置の移動に伴う直進運動を利用して、上記ワーク保持部同士の間隔を変化させる間隔変化機構を有していてもよい(請求項2)。この場合には、上記間隔変化機構によって、上記ワーク保持部同士の間隔を変化させることができる。これにより、ワーク同士の間隔を変化させ、作業性の向上、及びスペースの低減が可能となる。
【0014】
例えば、塗装ラインにおいて、塗装作業では、ワークの間にロボットが進入可能なクリアランスを設ける必要がある。一方、待機場や乾燥炉においては、ワーク同士の間隔をできるだけ小さくし、搬送方向におけるスペースを縮小することが好ましい。上記間隔変化機構を備えた上記ワーク搬送装置によれば、上述のいずれの場面においても、ワークを最適な姿勢で搬送することができる。
【0015】
また、上記第1台車は上方に立設し直線歯車を有するラックバーを有し、上記第2台車は、上記ラックバーの直線歯車と噛合するピニオン歯車を有する移動部と、上記移動部を回動可能に軸支する基部とを有しており、上記移動部及び上記基部には、それぞれ少なくとも1つの上記ワーク保持部が配されており、上記間隔変化機構は、上記第1台車と上記第2台車との間の高さ位置の変化を利用して、上記ラックバーを上記移動部と相対して上下方向に移動させ、上記直線歯車と噛合した上記ピニオン歯車を有する移動部を回転させることにより、上記移動部が備える上記ワーク保持部と上記基部が備える上記ワーク保持部との間隔を変化させるよう構成されていてもよい(請求項3)。上記のごとく、上記間隔変化機構を構成することにより、上記ワーク保持部の間隔の変更を容易かつ確実に行うことができる。
【0016】
また、上記姿勢変化機構は、上記第1台車と上記第2台車との間の相対的な高さ位置の移動に伴う直進運動を利用して、上記ワーク保持部を水平方向に回転移動させる回転機構を有していてもよい(請求項4)。この場合には、上記回転機構によって、上記ワーク保持部の姿勢を変化させることができる。これにより、作業効率の向上及びスペースの縮小が可能となる。
【0017】
例えば、塗装ラインにおいて、塗装工程では、2つのワークを進行方向と直交する方向に並べて配置すると共に、その長手方向を搬送方向と同方向とすることで塗装ロボットを効率よく移動させ、塗装作業の効率を向上することができる。一方、待機場、乾燥工程等においては、2つのワークを進行方向に並べて配置すると共に、その長手方向を搬送方向と直交した方向とすることで、搬送方向におけるスペースを低減することができる。上記回転機構を備えた上記ワーク搬送装置によれば、上述のいずれの場面においても、ワークを最適な姿勢で搬送することができる。
【0018】
また、上記第1台車及び上記第2台車における、いずれか一方は、上方に立設したガイドバーと、該ガイドバーの外周側面から突出したガイド突起部とを有し、他方は、円筒状をなし内側に上記ガイドバーが挿通配置されると共に上記ワーク保持部を備えた回転筒部と、上記第1走行部又は上記第2走行部と上記回転筒部との間に配され両者を水平方向において相対的に回転可能に連結するべアリングとを有しており、上記回転筒部は、その周方向に傾斜すると共に軸方向に向かって形成されたガイド溝部を有しており、上記回転機構は、上記第1台車と上記第2台車との間の高さ位置を変化させることにより、上記ガイド溝部の内側を上記ガイド突起部が高さ方向に直線移動し、上記ガイド突起部に倣って上記回転筒部を相対的に回転させるよう構成されていてもよい(請求項5)。上記のごとく、上記回転機構を構成することにより、上記ワーク保持部の間隔の変更を容易かつ確実に行うことができる。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
ワーク搬送装置にかかる実施例について、図1図8を参照して説明する。
図1に示すごとく、ワーク搬送装置1は、搬送経路10(図7)に沿って駆動コンベア3が配置され、駆動コンベア3に係合すると共に移動部側ワーク保持部63及び基部側ワーク保持部66を有する搬送台車4にワーク(81、82)を保持させて駆動コンベア3の駆動力によって搬送台車4を移動させるよう構成されている。
【0020】
搬送台車4は、第1台車5と、第1台車5の上方において第1台車5との上下方向の相対位置を変更可能に配置された第2台車6とを有している。
第1台車5は、駆動コンベア3に設けられた駆動プッシャー部32に係合すると共に、搬送経路10に沿って設けられた第1レール21上を走行可能な第1走行部51を有している。第2台車6は、搬送経路10に沿って設けられた第2レール22上を走行可能な第2走行部61と、2つの移動部側ワーク保持部63及び基部側ワーク保持部66とを有している。
【0021】
図1図2及び図7に示すごとく、搬送経路10には、第1レール21と第2レール22との上下方向の間隔が所定の間隔Sを有している通常経路部11と、第1レール21と第2レール22との上下方向の間隔が通常経路部11における間隔Sよりも縮小された間隔Tである変化経路部12とが設けられている。
ワーク搬送装置1は、搬送経路10上を第1台車5と第2台車6とが移動することで生じる両者の高さ位置の変化を利用して、移動部側ワーク保持部63及び基部側ワーク保持部66に保持されたワークの姿勢を変化させる姿勢変化機構(401、402)を有している。
【0022】
以下、さらに詳細に説明する。
図7に示すごとく、本例のワーク搬送装置1は、ワークを塗装する塗装ライン7において、2つのワークを搬送するものである。本例におけるワークは、図1図3に示すごとく、自動車のフロントバンパー81とリアバンパー82である。
【0023】
図1に示すごとく、ワーク搬送装置1は、塗装ライン7に形成された搬送経路10に沿って配された駆動コンベア3、第1レール21及び第2レール22と、2つのワークを保持すると共に駆動コンベア3によって移動する搬送台車4とを備えている。
【0024】
図7に示すごとく、ワーク搬送装置1が形成される塗装ライン7は、複数の搬送台車4を配する待機場711と、搬送台車4にワークを搭載する搭載工程712と、ワークの塗装を行う3つの塗装工程と、各塗装工程の後に配された乾燥工程とを有している。
【0025】
3つの塗装工程は、プライマーを塗布する下塗り工程721と、ベース塗料を塗布する中塗り工程722と、クリア塗料を塗布する上塗り工程723とからなる。各塗装工程には、進行方向から見たとき左右の位置に対向するよう2台の塗装ロボット724(図8)が配されている。
【0026】
3つの塗装工程の進行方向前方には、それぞれ乾燥工程が設けてある。下塗り工程721の前方には、プライマーの予備乾燥を行う下塗り乾燥工程731が設けてあり、中塗り工程722の前方には、ベース塗料の予備乾燥を行う中塗り乾燥工程732が配されている。また、上塗り工程723の前方には仕上げ乾燥工程733が配されている。各乾燥工程には、乾燥炉が配されており、この乾燥炉内をワークを保持した搬送台車4が通過可能に構成されている。
【0027】
搬送経路10は、下塗り工程721、下塗り乾燥工程731、中塗り工程722、中塗り乾燥工程732、上塗り工程723、仕上げ乾燥工程733を順次通過するように形成されている。
【0028】
図1に示すごとく、搬送経路10には、搬送台車4を移動させる駆動コンベア3と、搬送台車4が走行する第1レール21及び第2レール22が配されている。
駆動コンベア3は、搬送経路10に沿って、その全域に配置されている。また、駆動コンベア3は、搬送台車4を連続搬送可能なチェーンコンベアからなり、環状に形成された無端コンベアチェーン31を、図示しない駆動源により駆動させる。駆動コンベア3の駆動力は、無端コンベアチェーン31に所定ピッチ毎に設けられた駆動プッシャー部32と第1台車5が有する係合部52とを係合することにより、搬送台車4へと伝達することができる。また、無端コンベアチェーン31は、3次元方向に屈曲可能なリベットレスチェーンを用いたものであり、水平面上で湾曲した場合及び上下方向に高さ位置を変更した場合のいずれの状態においても追従できるものである。
【0029】
図1及び図3に示すごとく、第1レール21は、駆動コンベア3の上方において搬送経路10に沿って、その全域に配されており、略コの字形の断面形状からなる2本の分割第1レール211によって構成されている。第1レール21は、2本の分割第1レール211の断面形状をなす略コの字形の開口側を互いに対向させると共に、所定の間隔を介して配することで形成される空隙内を第1台車5が有する第1走行部51が走行可能に構成されている。
【0030】
図1及び図3に示すごとく、第2レール22は、第1レール21の上方において搬送経路10に沿って、その全域に配置されており、第1レール21と同様に、略コの字形の断面形状からなる分割第2レール221を2本配して構成されている。2本の分割第2レール221の断面形状をなす略コの字形の開口側を互いに対向させると共に、所定の間隔を介して配することで形成される空隙内を第2台車6が有する第2走行部61が走行可能に構成されている。
【0031】
図3に示すごとく、上述した駆動コンベア3、第1レール21及び第2レール22は、搬送経路10の床下に設けられたレール台座部33に配されている。レール台座部33内の下方の位置には、駆動コンベア3を設けてあり、その上方に一定の間隔を介して第1レール21を設けてある。また、第1レール21の上方には、第2レール22を設けてある。
【0032】
図1及び図2に示すごとく、搬送経路10には、第1レール21と第2レール22との上下方向の間隔が所定の間隔Sを有している通常経路部11と、第1レール21と第2レール22との上下方向の間隔が通常経路部11における間隔よりも縮小された間隔Tを有する変化経路部12とが配されている。図7に示すごとく、本例においては、上述の下塗り工程721、中塗り工程722及び上塗り工程723には、それぞれ変化経路部12を配し、それ以外の搬送経路10には、通常経路部11とした。
【0033】
また、通常経路部11から変化経路部12へと変化する箇所には、第1レール21と第2レール22の上下方向の間隔を通常経路部11における間隔Sから変化経路部12における間隔Tへと搬送方向に沿って徐々に変化させる進入経路部13が配されている。また、変化経路部12から通常経路部11へと変化する箇所には、第1レール21と第2レール22の上下方向の間隔を変化経路部12における間隔Tから通常経路部11における間隔Sへと搬送方向に沿って徐々に変化させる退出経路部14が配されている。
【0034】
図1に示すごとく、搬送経路10を移動する搬送台車4は、上述の第1レール21上を移動する第1台車5と、第2レール22上を移動する第2台車6とを有している。
図4に示すごとく、第1台車5は、第1レール21上を走行可能に構成された第1走行部51と、第1走行部51から上方に向かって立設したガイドラックバー53と、第1走行部51の下部に配された係合部52とを備えている。
【0035】
図4に示すごとく、第1走行部51は、搬送方向における前後位置に配された左右1対の第1走行車輪512と、これらを回転可能に軸支する第1走行本体部511とを有している。
第1走行本体部511の上部から立設したガイドラックバー53は、円柱状をなしており、上端部に形成された直線歯車531と、ガイドラックバー53の外周側面から突出形成されたガイド突起部532とを有している。
【0036】
図1に示すごとく、直線歯車531は、第2台車6が有するピニオン歯車652と噛合可能に構成されており、ワーク同士の間隔を変化させるための間隔変化機構401の一部を構成するものである。
【0037】
また、ガイド突起部532は、ガイドラックバー53の外周側面から進行方向と直交する方向に向かって突出するよう形成されており、第2台車6が有するガイド溝部641の内側に配される。このガイド突起部532は、ワークを回転させる回転機構402の一部を構成するものである。
第1走行部51の下部に配された係合部52は、駆動コンベア3が有する駆動プッシャー部32と係合し、駆動コンベア3の駆動力を第1台車5へと伝達するよう構成されている。
【0038】
図5及び図6に示すごとく、第2台車6は、上述の第2レール22上を走行可能に構成された第2走行部61と、第2走行部61の上部に配された基部62と、基部62と相対的に回動可能に軸支された移動部65とを備えている。また、基部62と移動部65とには、それぞれ基部側ワーク保持部63と移動部側ワーク保持部66とが配されている。
【0039】
図5に示すごとく、第2走行部61は、搬送方向における前後位置に配された左右1対の第2走行車輪612と、これらを回転可能に軸支する第2走行本体部611とを有しており、第2レール22上を走行可能に構成されている。第2走行本体部611には、上下方向に貫通する連通孔が配されており、回転筒部64の内周と連通している。
【0040】
図5に示すごとく、第2走行部61の上部に配された基部62は、上方に立設した回転筒部64と、第2走行部61の進行方向に向かって回転筒部64から延設された軸支部643と、回転筒部64の上端部から延設された基部側ワーク保持部63とを有している。
【0041】
図5に示すごとく、第2走行本体部611から上方に向かって立設した回転筒部64は、円筒状をなしており、その内周に第1台車5が有するガイドラックバー53を挿通配置するように構成されている。回転筒部64は、下端部側の位置に形成されたガイド溝部641と、その上端部側に形成された切欠き部642とを有している。また、回転筒部64と第2走行部61とは、水平方向に回転可能に配されたベアリング67を介して接続されており、回転筒部64と第2走行部61とは、相対的に回転可能に構成されている。
【0042】
図5に示すごとく、ガイド溝部641は、回転筒部64の周方向に傾斜すると共に軸方向に向かって形成されており、その上端部は軸支部643の下方の位置に配され、下端部は、回転筒部64の中心軸を回転中心として軸支部643から90°移動した位置に配されている。
【0043】
このガイド溝部641は、上述したガイドラックバー53が有するガイド突起部532と共に姿勢変化機構の一つである回転機構402を構成している。
図1に示すごとく、通常経路部11においては、ガイド溝部641の内側における下端部にガイド突起部532が配される。また、図2に示すごとく、変化経路部12においては、第1台車5の上昇に伴ってガイド突起部532がガイド溝部641の上端部へと移動し、これに倣って回転筒部64が90°回転する。これにより、2つの移動部側ワーク保持部63及び基部側ワーク保持部66を水平方向に回転させることができる。
【0044】
図5に示すごとく、切欠き部642は、回転筒部64における移動部65と対応した位置に開口するように形成されている。切欠き部642に移動部65が有するピニオン歯車652を配することにより、回転筒部64の内側に配されたガイドラックバー53が有する直線歯車531と上記のピニオン歯車652とを噛合することができる。
【0045】
図5に示すごとく、回転筒部64の上端部に配された基部側ワーク保持部63は、通常経路部11において、上方に延びる保持立設部631と、保持立設部631から後方側へ延びる保持延設部632と、保持延設部632の後端部から左右方向両側に向かって延びる保持分岐部633とを有している。保持分岐部633の先端部には上方に向かって突出形成されたワーク保持ピン634が配されており、リアバンパー82における車体連結部と連結可能に構成されている。
【0046】
図5に示すごとく、回転筒部64における切欠き部642の左右位置には、前方に向かって延設された軸支部643が配されている。
軸支部643は、切欠き部642を挟むように配された一対の側板644と、一対の側板644において、回転筒部64と連結された部位を除く外周端部同士を繋ぐ連結板645とを有している。一対の側板644は、回転軸664を介して移動部65を、回動可能に軸支している。尚、連結板645は、移動部65の移動軌跡と対応した位置には配されておらず、軸支された移動部65は、その移動範囲内を移動可能に構成されている。
【0047】
図6に示すごとく、軸支部643によって回動可能に軸支された移動部65は、半円状の移動本体部651と、移動本体部651から延設された移動部側ワーク保持部66とを有している。
移動本体部651は、半円状の板材からなり、半円を形成する円周の中心点上に配された回転軸664を介して、軸支部643によって回転可能に軸支されている。
【0048】
図6に示すごとく、移動本体部651において外周縁の一端には、移動部側ワーク保持部66が延設されている。
移動部側ワーク保持部66は、移動本体部651から延設された保持延設部661と、保持延設部661の先端から左右方向に延びる保持分岐部662とを有している。保持分岐部633の先端部には上方に向かってワーク保持ピン663が突出形成されており、フロントバンパー81における車体連結部と連結可能に構成されている。
また、移動部側ワーク保持部66と反対側における外周縁の端部近傍には、第1台車5が有する直線歯車531と噛合するピニオン歯車652が配されている。
【0049】
上記の移動部65が有するピニオン歯車652と第1台車5のガイドラックバー53が有する直線歯車531とは、姿勢変化機構の一つである間隔変化機構401を構成している。図1に示すごとく、通常経路部11においては、移動部側ワーク保持部66が上方に立設した状態となるように直線歯車531とピニオン歯車652とが噛合している。また、図2に示すごとく、変化経路部12においては、ガイドラックバー53の上昇に伴って直線歯車531が上方へと移動する。これにより、直線歯車531と噛合したピニオン歯車652が回転し、基部側ワーク保持部63と反対側に向かって離れるように傾斜する。
このように、基部側ワーク保持部63と移動部側ワーク保持部66との間隔を変化させることができる。
【0050】
図1に示すごとく、第1台車5と第2台車6とは、第1台車5のガイドラックバー53を第2台車6の円筒部の内周に挿通して配置されており、両者は搬送経路10上を一体に移動する。
搬送台車4は、通常経路部11において、基部側ワーク保持部63が進行方向における後方側に配され、移動部側ワーク保持部66が進行方向における前方側に配されており、両者が進行方向に沿って並んだ直列配置状態となる。また、移動部65は、移動部側ワーク保持部66が略垂直に立設するように配されており、移動部側ワーク保持部66と移動部側ワーク保持部66との間隔を狭くした間隔縮小状態にある。
【0051】
図2に示すごとく、搬送台車4は、通常経路部11から変化経路部12へと移動すると、上述の間隔変化機構401が作動し、移動部65が基部側ワーク保持部63と反対側に向かって傾斜し、移動部側ワーク保持部66と移動部側ワーク保持部66との間隔を拡大した間隔拡大状態となる。また、これと同時に回転機構402が作動し、基部側ワーク保持部63と移動部側ワーク保持部66とが一体に90°回転する。これにより、両者が進行方向と直交する方向に並んだ並行配置状態となる。
【0052】
次に、本例のワーク搬送装置1を用いたワーク搬送方法について説明する。
図7に示す待機場711に整列配置された搬送台車4は、駆動コンベア3の駆動プッシャー部32と係合され搭載工程712へと移動する。そして、搭載工程712において、図1に示すごとく、基部側ワーク保持部63及び移動部側ワーク保持部66にそれぞれフロントバンパー81及びリアバンパー82が搭載される。
【0053】
次に、ワークを搭載した搬送台車4は、下塗り工程721へと移動する。
下塗り工程721の手前において、搬送経路10上を順次移動する搬送台車4同士の間隔を広げるために、搬送台車4と駆動コンベア3との係合を一時的に解除する。そして、搬送台車4の間に所定の間隔を確保した後、駆動プッシャー32と係合部52者とを係合させ、搬送台車4を移動させる。
【0054】
図7に示すごとく、下塗り工程721の手前には、進入経路部13が配されており、第1台車5が第2台車6と相対的に徐々に上昇する。この第1台車5の上昇に伴って、ガイドラックバー53が上昇し、間隔変化機構401及び回転機構402が作動する。
【0055】
間隔変化機構401は、ガイドラックバー53に設けられた直線歯車531の上昇によって、直線歯車531と噛合したピニオン歯車652を回転させ、移動部65が回転移動する。図2及び図8に示すごとく、進入経路部13を通過し、変化経路部12へと到達すると、移動部側ワーク保持部66が基部側ワーク保持部63と反対側に向かって傾斜し、移動部側ワーク保持部66と基部側ワーク保持部63との間隔を拡大した間隔拡大状態となる。
【0056】
これと同時に回転機構402は、図2図3及び図8に示すごとく、ガイドラックバー53に設けられたガイド突起部532が上昇することにより、ガイド溝部641の内側をガイド突起部532が高さ方向に直線移動する。回転筒部64は、ガイド溝部641が上昇するガイド突起部532に倣うように回転移動する。進入経路部13を通過し、変化経路部12へと到達すると、回転筒部64が矢印R1方向(図8)に90°回転し、基部側ワーク保持部63及び移動部側ワーク保持部66は、搬送経路10における移動方向と直交する左右方向に並んで配された並行配置状態となる。このとき、ワークであるフロントバンパー81及びリアバンパー82は、その長手方向が進行方向となるように配されている。
【0057】
上記のごとく、2つのワークを進行方向と直交する方向に並べ、かつその長手方向が進行方向となるように配置することで、塗装工程における効率を大幅に向上することができる。
従来のバンパーの塗装工程においては、2つのワークを進行方向に並べ、かつその長手方向が進行方向と直交するように配置されていた。この場合、進行方向と直交する方向においては、塗装ロボットの可動域よりもワークの大きさが大きいため、1つのワークに対して塗装ロボットを2台ずつ設ける必要がある。さらに、各ワークを塗装する塗装ロボット同士の干渉を防止するため、一方の塗装ロボットを一時的に停止する必要があり、塗装工程における効率の低下につながりやすい。
【0058】
一方、上記のごとく、2つのワークを進行方向と直交する方向に並べて、かつその長手方向が進行方向となるように配置した場合、各ワークが1台の塗装ロボットの可動範囲内に収まる。また、ワーク同士の間隔が確保されているため、塗装ロボット同士の干渉も発生しない。これにより塗装工程における効率の向上が可能となる。
【0059】
下塗り工程721において、ワークにプライマーを塗布した後、搬送台車4は通常経路部11へと移動する。
図8に示すごとく、変化経路部12から通常経路部11への移動は、退出経路部14を経て行われ、進入経路部13とは反対に、第1台車5が第2台車6と相対的に下降する。第1台車5の下降に伴って、ガイドラックバー53が下降し、間隔変化機構401及び回転機構402が作動する。
【0060】
間隔変化機構401は、ガイドラックバー53に設けられた直線歯車531の下降によって、直線歯車531と噛合したピニオン歯車652を介して移動部65に回転力が加わり、移動部65が回転する。退出経路部14を通過し、通常経路部11へと到達すると、移動部側ワーク保持部66が略垂直に起立し、移動部側ワーク保持部66と基部側ワーク保持部63との間隔が縮小した間隔縮小状態(図1)となる。
【0061】
また、回転機構402は、ガイドラックバー53に設けられたガイド突起部532が下降することにより、ガイド溝部641の内側に配されたガイド突起部532が下方向に直線移動する。これにより、ガイド溝部641がガイド突起部532に倣うよう、回転筒部64が回転移動する。退出経路部14を通過し、通常経路部11へと到達すると、回転筒部64は矢印R2方向(図8)に90°回転する。これにより、基部側ワーク保持部63及び移動部側ワーク保持部66は、搬送経路10における移動方向に並んで配された直列配置状態(図1)となる。このとき、ワークであるフロントバンパー81及びリアバンパー82は、その長手方向が進行方向と直交するように配されている。
【0062】
退出経路部14を通過した後、搬送台車4と駆動コンベア3との係合が解除され、順次移動する搬送台車4同士の間隔を狭くした後、再度、搬送台車4と駆動コンベア3とを係合し、下塗り乾燥工程731へと移動する。
【0063】
尚、中塗り工程722及び上塗り工程723においても、下塗り工程721と同様に、通常経路部11と変化経路部12とを移動し、ワーク同士の間隔及び姿勢を変化させるように構成されている。
【0064】
ワーク搬送装置1は、通常経路部11と変化経路部12との間を移動することで、搬送台車4が有する第1台車5と第2台車6との間に生じる両者の高さ位置の変化を利用して、ワークの姿勢を変化させる姿勢変化機構を備えている。つまり、姿勢変化機構は、駆動コンベア3を駆動源として利用し、通常経路部11と変化経路部12との間を移動することでワークの姿勢を変化させることができる。したがって、姿勢変化機構に専用の駆動源を配する必要がなく、ワーク搬送装置1を構成する機器の数を低減することが可能となる。これにより、生産ラインにかかる設備費を低減すると共に、その保全性を向上することができる。
【0065】
また、ワーク搬送装置1は、姿勢変化機構によって、移動部側ワーク保持部63及び基部側ワーク保持部66に保持されたワーク同士の位置や姿勢を変化させることができる。これにより、搬送経路10における種々の場面において、ワークを最適な姿勢とし、作業性及び作業効率の向上及びスペースの縮小が可能となる。
【0066】
また、姿勢変化機構は、第1台車5と第2台車6との間の相対的な高さ位置の移動に伴う直進運動を利用して、移動部側ワーク保持部63及び基部側ワーク保持部66同士の間隔を変化させる間隔変化機構401を有している。そのため、間隔変化機構401によって、移動部側ワーク保持部63及び基部側ワーク保持部66同士の間隔を変化させることができる。これにより、ワーク同士の間隔を変化させ、作業性の向上及びスペースの低減が可能となる。
【0067】
また、第1台車5は上方に立設し直線歯車531を有するガイドラックバー53を有し、第2台車6は、ガイドラックバー53の直線歯車531と噛合するピニオン歯車652を有する移動部65と、移動部65を回動可能に軸支する基部62とを有しており、移動部65及び基部62には、それぞれ移動部側ワーク保持部63及び基部側ワーク保持部66が配されており、間隔変化機構401は、第1台車5と第2台車6との間の高さ位置の変化を利用して、ガイドラックバー53を移動部65と相対して上下方向に移動させ、直線歯車531と噛合したピニオン歯車652を有する移動部65を回転させることにより、移動部側ワーク保持部63及び基部側ワーク保持部66との間隔を変化させるよう構成されている。そのため、間隔変化機構401を構成することにより、移動部側ワーク保持部63及び基部側ワーク保持部66の間隔の変更を容易かつ確実に行うことができる。
【0068】
また、姿勢変化機構は、第1台車5と第2台車6との間の相対的な高さ位置の移動に伴う直進運動を利用して、移動部側ワーク保持部63及び基部側ワーク保持部66を水平方向に回転移動させる回転機構402を有している。そのため、回転機構402によって、移動部側ワーク保持部63及び基部側ワーク保持部66の姿勢を変化させることができる。これにより、作業効率の向上及びスペースの縮小が可能となる。
【0069】
また、第1台車5は、上方に立設したガイドラックバー53と、ガイドラックバー53の外周側面から突出したガイド突起部532とを有し、第2台車6は、円筒状をなし内側にガイドラックバー53が挿通配置されると共に移動部側ワーク保持部63及び基部側ワーク保持部66を備えた回転筒部64と、回転筒部64の周方向に傾斜すると共に軸方向に向かって形成されたガイド溝部641と、第2走行部61と回転筒部64との間に配され両者を水平方向において相対的に回転可能に連結するべアリング67とを有しており、回転機構402は、第1台車5と第2台車6との間の高さ位置を変化させることにより、ガイド溝部641の内側をガイド突起部532が高さ方向に直線移動し、ガイド突起部532に倣って回転筒部64を回転させるよう構成されている。そのため、回転機構402を構成することにより、移動部側ワーク保持部63及び基部側ワーク保持部66の間隔の変更を容易かつ確実に行うことができる。
【0070】
上記のごとく構成された間隔変化機構401及び回転機構402によって、下塗り工程721、中塗り工程722及び上塗り工程723においては、ワーク同士の間隔を拡大すると共に、ワークの長手方向を進行方向とすることにより、3つの塗装工程における塗装作業性を向上することができる。また、搬送経路10における3つの塗装工程を除く経路上においては、ワーク同士の間隔を縮小すると共に、ワークの長手方向を進行方向と直交する方向とすることにより、進行方向における大きさを縮小し、スペースの縮小が可能となる。
【0071】
以上のごとく、本例のワーク搬送装置1によれば、その構成をシンプルとすると共に、作業性及び作業効率の向上とスペースの縮小が可能となる。
【符号の説明】
【0072】
1 ワーク搬送装置
10 搬送経路
11 通常経路部
12 変化経路部
21 第1レール
22 第2レール
3 駆動コンベア
32 駆動プッシャー部
4 搬送台車
401 間隔変化機構
402 回転機構
5 第1台車
51 第1走行部
53 ガイドラックバー
531 直線歯車
532 ガイド突起部
6 第2台車
61 第2走行部
62 基部
63 移動部側ワーク保持部
64 回転筒部
641 ガイド溝部
65 移動部
652 ピニオン歯車
66 基部側ワーク保持部
8 ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8