【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.基底部と、前記基底部に対して交差する方向に延びる相対する一対の車内側側壁部及び車外側側壁部とを具備する断面略コ字状の本体部と、
前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部の内側に向けて延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備え、
ドアのベルトラインよりも上方に設けられるフレーム対応部に関しては、
前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部の外側に向けて延びる車内側意匠リップ及び車外側意匠リップを備え、
ドアフレームの内周に沿って設けられた互いに対向する車内側フランジ部及び車外側フランジ部の間に前記本体部が押し込まれ、前記車内側側壁部と前記車内側意匠リップとで前記車内側フランジ部を挟み、前記車外側側壁部と前記車外側意匠リップとで前記車外側フランジ部を挟むことで、ドアフレームの内周に沿って取着されるガラスランであって、
ドアガラスの上縁部に対応して設けられるガラスラン上辺部に関しては、
前記基底部と前記車内側側壁部との端部間を連結する車内側連結部と、
前記基底部と前記車外側側壁部との端部間を連結する車外側連結部とを備え、
前記車内側連結部及び前記車外側連結部は、
前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部のドアフレーム外周側端部からそれぞれ前記本体部の外周側に延出し、前記各側壁部よりも薄肉の第1連結辺部と、
前記第1連結辺部の先端部から前記基底部側、かつ、前記本体部内周側に延出する第2連結辺部と、
前記第2連結辺部の先端部から前記本体部外周側に延出し、前記基底部の端部に連結される第3連結辺部とを備えていることを特徴とするガラスラン。
【0009】
手段1によれば、ドアガラスでドア窓部を閉鎖した場合に、ガラスラン上辺部の基底部がドアガラスによって押し上げられたとしても、車内側連結部及び車外側連結部が追従的に上方に伸長するようにして変形することとなる。このため、基底部の変位に起因する応力が車内側側壁部及び車外側側壁部に対してほとんど及ばないようにすることができる。従って、ドアガラスによって押し上げられた基底部とともに一対の側壁部が上方に引っ張られて上方に変位してしまうことに起因して、一対の意匠リップが本体部の外方に広がるようにして変形(口開き)してしまうといった懸念を払拭することができる。結果として、ドア窓部の閉鎖時等において、意匠リップがフランジ部から離間してしまうことを防止することができ、外観品質の向上を図ることができる。
【0010】
特に、本手段によれば、車内側及び車外側の両方に同様の連結部が設けられているため、車内側意匠リップ及び車外側意匠リップの両方に関して上記作用効果が奏されることとなる。さらに、例えば、連結部が車内側又は車外側のどちらか一方だけに設けられている場合に比べ、ドアガラスによって基底部が押圧された際に、傾倒した基底部によってドアガラスが車内側又は車外側に不要に変位させられてしまうといった事態を回避することができる。
【0011】
また、本手段では、第1連結辺部は、側壁部から本体部の外周側に延出している。このため、ガラスラン上辺部の基底部が上方に相対変位する際に、第1連結辺部を側方に開くように傾倒させつつ、連結部を上方に伸長変形させる(第2連結辺部をドアフレーム外周側に向けて傾倒させる)ことができる。すなわち、例えば、第1連結辺部が本体部内周側に延出している場合には、連結部を上方に伸長変形させようとしても、連結部の左右方向への変位を許容するような余地がないことから、第1連結辺部や第3連結辺部を無理やりに中間部位から屈曲変形させない限り、連結部を上方に伸長させることができない。これでは、連結辺部への負担が大きく、連結辺部が破れてしまうおそれがある。さらには、伸長変形したとしても、ドアガラスが基底部から離間して、ドアガラスからの応力が解除されたにもかかわらず、自身の弾性力では伸長変形前の元の断面形状に戻れないようになってしまうことが懸念される。この点、本手段のように、第1連結辺部を側壁部から本体部外周側に延出させ、連結部を伸長変形させる際に、連結辺部の中間部位を屈曲させることなく、連結部位においてスムースに展開させる構成を採用することにより、上記不具合を払拭することができる。
【0012】
さらに、例えば、連結部が第1連結辺部及び第2連結辺部のみで構成される場合において、各連結辺部が短過ぎる場合、伸縮変形量が小さくなり、ドアガラスによってガラスラン上辺部の基底部が押し上げられた場合に、連結部の変形許容量を超えてしまい、側壁部が上方に変位してしまったり、連結部が損傷したりするおそれがある。その一方で、各連結辺部が長過ぎる場合、本体部の断面形状を維持し難くなってしまうことが懸念される。
【0013】
この点、第1連結辺部及び第2連結辺部だけでなく、第3連結辺部をも備えることで、各連結辺部が長過ぎてしまうことを回避しつつ、第1連結辺部及び第2連結辺部の損傷等を防止することができる。また、基底部をよりフレキシブルに変位可能にすることができる。すなわち、ドアガラスが基底部に対してイレギュラーな当たり方(例えば、搭乗者がドアガラスを押圧した状態でドアガラスが閉鎖される等)をしても十分に対処することができる。
【0014】
手段2.前記第1連結辺部と前記第2連結辺部との連結部位における厚みは、前記第2連結辺部と前記第3連結辺部との連結部位における厚みよりも薄いことを特徴とする手段1に記載のガラスラン。
【0015】
手段2によれば、第2連結辺部と第3連結辺部との連結部位よりも、第1連結辺部と第2連結辺部との連結部位をより積極的に変形させることができる。これにより、連結部を上方に伸長変形させる際に、第1連結辺部をよりスムースに側方に開くようにして変形させ、第2連結辺部をドアフレーム外周側に向けてよりスムースに傾倒変形させることができる。
【0016】
手段3.ガラスラン上辺部の前記基底部がドアガラスによって押圧されていない状態において、前記基底部の前記本体部外周側面と、前記車内側連結部の前記第1連結辺部と前記第2連結辺部との連結部位と、前記車外側連結部の前記第1連結辺部と前記第2連結辺部との連結部位とが、仮想の同一直線上にほぼ位置することを特徴とする手段1又は2に記載のガラスラン。
【0017】
手段3によれば、例えば、左右の連結部の第1連結辺部と第2連結辺部との連結部位が、基底部よりも大幅に本体部外周側に突出位置している場合に比べ、本体部の断面形状を維持し易くすることができる。さらに、第1連結辺部及び第2連結辺部がガラスランとは別の部材に当接してしまって、連結部の変形動作等に支障を来してしまうといった事態を回避することができる。また、例えば、基底部が、左右の連結部の第1連結辺部と第2連結辺部との連結部位よりも大幅に本体部外周側に突出位置している場合に比べ、基底部が側壁部から上方に離間し過ぎてしまうといった事態を回避しつつ、連結部の各連結辺部の長さを十分に確保することができる。
【0018】
手段4.前記第3連結辺部は前記第1連結辺部よりも厚肉に構成され、
前記車内側連結部及び前記車外側連結部のうち少なくとも一方に関し、前記第2連結辺部と前記第3連結辺部との連結部位は、ガラスラン上辺部の前記基底部がドアガラスによって押圧されていない状態では、ドアガラスの昇降方向に対して交差する方向において対応する前記側壁部と略当接していることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のガラスラン。
【0019】
手段4によれば、ドアガラスの昇降方向に対して交差する方向(左右方向)における基底部の位置ずれを抑制することができる。その一方で、側壁部の基端部側が本体部内周側に傾倒することを抑制することができる。