特許第5790621号(P5790621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5790621
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】空調室内機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
   F24F1/00 401A
   F24F1/00 401E
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-241278(P2012-241278)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-92294(P2014-92294A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】安冨 正直
(72)【発明者】
【氏名】平木 雅人
【審査官】 田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−230601(JP,A)
【文献】 特開2001−201087(JP,A)
【文献】 実開昭63−049441(JP,U)
【文献】 特開2004−028453(JP,A)
【文献】 特開2002−130723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空気を熱交換する室内熱交換器(20)と、
前記室内熱交換器に室内空気を送風する室内ファン(30)と、
前記室内熱交換器の一側部の側に配置される第1側板部材(52)を含む複数の分割部材からなり、少なくとも一つの連結用爪(56,58)を使って組み立てられ、前記室内熱交換器と前記室内ファンとを収納する分割型のケーシング(50)と、
前記第1側板部材の近傍の前記ケーシング内に収納され、室内空気をセンシングするセンサ(45)と、
を備え、
前記第1側板部材は、複数のセンサ用スリット(57)が並んで形成され、複数の前記センサ用スリットが前記センサに室内空気を導入するために用いられるとともに複数の前記センサ用スリットのうちの少なくとも一つ(57b)が前記少なくとも一つの連結用爪(56)による掛止と室内空気の導入とに兼用される、空調室内機。
【請求項2】
複数の前記分割部材は、前記第1側板部材に当接されて前記第1側板部材とともに第1側面を形成する第1側面部(54b)を有する後部構成部材(54)をさらに含み、
前記少なくとも一つの連結用爪(56)は、前記第1側面部に形成されている、
請求項1に記載の空調室内機。
【請求項3】
複数の前記分割部材は、前記室内熱交換器の他側部の側に配置される第2側板部材を(53)含み、
前記少なくとも一つの連結用爪は、前記第1側板部材の前記センサ用スリットに掛止される第1連結用爪(56)及び前記第2側板部材に掛止される第2連結用爪(58)を含み、
前記第2側板部材は、前記第2連結用爪に掛止される爪穴(59b)と複数の凹溝(58a)とが複数の前記センサ用スリットと対を成すように並んで形成されている、
請求項1又は請求項2に記載の空調室内機。
【請求項4】
複数の前記分割部材は、前記第1側板部材に当接されて前記第1側板部材とともに第1側面を形成する第1側面部(54b)及び前記第2側板部材に当接されて前記第2側板部材とともに第2側面を形成する第2側面部(54c)を有する後部構成部材(54)をさらに含み、
前記第1連結用爪は、前記第1側面部に形成され、
前記第2連結用爪は、前記第2側面部に形成されている、
請求項3に記載の空調室内機。
【請求項5】
前記少なくとも一つの連結用爪は、前記第1側板部材の側面から突出しないように、前記センサ用スリットに掛止される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の空調室内機。
【請求項6】
前記少なくとも一つの連結用爪は、前記センサ用スリットの後面側を掛止するように前後方向に対して垂直に延び、
前記第1側板部材が前面側から取り付けられるように構成されている、
請求項1からのいずれか一項に記載の空調室内機。
【請求項7】
前記センサは、室内空気の温度を測定するための室内温度センサ(45)であり、
前記第1側板部材に沿って電装品箱(40)が配置され、前記室内温度センサが前記電装品箱に接続される、
請求項1からのいずれか一項に記載の空調室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調室内機、特に、分割型のケーシングを備える空調室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置の空調室内機においては、分割構造を有する分割型のケーシングが用いられる場合がある。例えば特許文献1(特開2005−106387号公報)に記載されているような分割型のケーシングでは、組み付け構造上、ケーシングを構成する分割部材を連結用爪で掛止する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような連結用爪を掛止するための爪穴をケーシングの分割部材に設けようとすると、爪穴を形成するために金型構造が複雑になるなど分割型のケーシングを備える空調室内機のコストが高くなるという問題が生じる。
【0004】
本発明の課題は、分割型のケーシングを備える空調室内機において、ケーシングの分割部材を連結用爪で掛止する空調室内機のコストを削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る空調室内機は、室内空気を熱交換する室内熱交換器と、室内熱交換器に室内空気を送風する室内ファンと、室内熱交換器の一側部の側に配置される第1側板部材を含む複数の分割部材からなり、少なくとも一つの連結用爪を使って組み立てられ、室内熱交換器と室内ファンとを収納する分割型のケーシングと、第1側板部材の近傍のケーシング内に収納され、室内空気をセンシングするセンサと、を備え、第1側板部材は、複数のセンサ用スリットが並んで形成され、複数のセンサ用スリットがセンサに室内空気を導入するために用いられるとともに複数のセンサ用スリットのうちの少なくとも一つが少なくとも一つの連結用爪による掛止と室内空気の導入とに兼用されるものである。
【0006】
これにより、爪穴をセンサ用スリットと兼用することができ、爪穴を形成するための金型の構造などを省くことができ、空調室内機の製造コストが削減できる。
【0007】
本発明の第2観点に係る空調室内機は、第1観点に係る空調室内機において、複数の分割部材は、第1側板部材に当接されて第1側板部材とともに第1側面を形成する第1側面部を有する後部構成部材をさらに含み、少なくとも一つの連結用爪は、第1側面部に形成されている、ものである。
【0008】
本発明の第3観点に係る空調室内機は、第1観点又は第2観点に係る空調室内機において、複数の分割部材は、室内熱交換器の他側部の側に配置される第2側板部材を含み、少なくとも一つの連結用爪は、第1側板部材のセンサ用スリットに掛止される第1連結用爪及び第2側板部材に掛止される第2連結用爪を含み、第2側板部材は、第2連結用爪に掛止される爪穴と複数の凹溝とが複数のセンサ用スリットと対を成すように並んで形成されているものである。
【0009】
これにより、第2連結用爪に掛止される爪穴と複数の凹溝とが複数のセンサ用スリットと対を成すように並べることができる。その結果、第1側板部材と第2側板部材とが側面について左右対称の外観を呈するように構成して、複数のセンサ用スリットを模様のように見せることができる。
【0010】
本発明の第4観点に係る空調室内機は、第3観点に係る空調室内機において、複数の分割部材は、第1側板部材に当接されて第1側板部材とともに第1側面を形成する第1側面部及び第2側板部材に当接されて第2側板部材とともに第2側面を形成する第2側面部を有する後部構成部材をさらに含み、第1連結用爪は、第1側面部に形成され、第2連結用爪は、第2側面部に形成されている、ものである。
【0011】
本発明の第5観点に係る空調室内機は、第1観点から第4観点のいずれかに係る空調室内機において、少なくとも一つの連結用爪は、第1側板部材の側面から突出しないように、センサ用スリットに掛止されるものである。
【0012】
これにより、少なくとも一つの連結用爪が第1側板部材の側面から突出しないので、前方や斜め下方から第1側板部材の側面を見ても連結用爪が見え難くなる。
【0013】
本発明の第6観点に係る空調室内機は、第1観点から第5観点のいずれかに係る空調室内機において、少なくとも一つの連結用爪は、センサ用スリットの後面側を掛止するように前後方向に対して垂直に延び、第1側板部材が前面側から取り付けられるように構成されているものである。
【0014】
これにより、空調室内機を室内の壁などに取り付けるときに、第1側板部材を前面側から取り付けられる。
【0015】
本発明の第7観点に係る空調室内機は、第1観点から第6観点のいずれかに係る空調室内機において、センサは、室内空気の温度を測定するための室内温度センサであり、第1側板部材に沿って電装品箱が配置され、室内温度センサが電装品箱に接続されるものである。
【0016】
これにより、室内温度センサから電装品箱までの配線が短くなり、室内温度センサから電装品箱までの配線が容易になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1観点又は第2観点に係る空調室内機では、分割型のケーシングについて、第1側板部材を連結用爪で掛止することで、コストが削減できる。
【0018】
本発明の第3観点又は第4観点に係る空調室内機では、複数のセンサ用スリットを模様に見せかけることで意匠性を向上させることができる。
【0019】
本発明の第5観点に係る空調室内機では、連結用爪によって空調室内機の外観の意匠性が損なわれるのを防ぐことができる。
【0020】
本発明の第6観点に係る空調室内機では、空調室内機を室内の壁などに取り付けるときの作業性が向上する。
【0021】
本発明の第7観点に係る空調室内機では、センサからの配線が短くなり、センサからの配線が容易になってコストが削減される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態に係る空調室内機の正面図。
図2】一実施形態に係る空調室内機の右側面図。
図3】一実施形態に係る空調室内機の左側面図。
図4】一実施形態に係る空調室内機の斜視図。
図5図1のI−I線断面図。
図6】前面パネル及び右側板部材が取り外されている空調室内機の右側面図。
図7】前面パネルが取り外されている空調室内機の斜視図。
図8】前面パネル及び右側板部材が取り外されている空調室内機の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(1)全体構成
以下、本発明の一実施形態による空調室内機の全体構成について図1乃至図8を用いて説明する。図1は空調室内機の正面図であり、図2は空調室内機の右側面図であり、図3は空調室内機の左側面図である。図4には、空調室内機を右斜め上から見た状態が示されている。これら図1乃至図4から空調室内機10の外観が分かる。また、図5は、図1のI−I線断面図である。図6には、図2に示されている右側板部材52を取り外した状態の空調室内機10の右側面が示されている。図1に示されているように、以下の説明では、壁面に取り付けられた状態の空調室内機10の正面に向かって空調室内機10の長手方向を左右方向、長手方向に対して垂直方向でかつ壁面に沿う方向を上下方向という。また、図2に示されているように、上下方向に対して垂直で、空調室内機10の壁面から正面に向かう方向を前後方向という。さらに、図1及び図2に示すように、空調室内機10の前方の面を前面10a、後方の面を後面10b、右側の面を右側面10c、左側の面を左側面10d、上方の面を天面10e、そして下方の面を底面10fという。
【0024】
図5及び図6に示されているように、空調室内機10は、主に、エアフィルタ13と、室内熱交換器20と、室内ファン30と、風向調節羽根31,32,33と、電装品箱40と、室内温度センサ45と、分割型のケーシング50と、背面板62とを備えている。
【0025】
室内熱交換器20は、側面視において、前面側の板状の多数の伝熱フィン21と後面側の板状の多数の伝熱フィン22がそれぞれ逆V字状に組み合わされている。伝熱フィン21,22には、伝熱管23,24が伝熱フィン21,22に対してそれぞれ垂直に延びるように取り付けられている。この伝熱管23,24が延びる方向が空調室内機10の長手方向である。
【0026】
前面側の伝熱フィン21と後面側の伝熱フィン22に挟まれる領域に室内ファン30が配置されている。室内ファン30は、クロスフローファンであり、室内熱交換器20の伝熱管23,24が延びる方向に長く延びている。この室内ファン30の長さは、ほぼ室内熱交換器20の長さと同じである。
【0027】
電装品箱40は、前方からこれら室内熱交換器20と室内ファン30に向かって右側に配置されている。言い換えると、電装品箱40が室内熱交換器20の右側部の側に配置されているということである。電装品箱40は、室内熱交換器20の長手方向の厚みが薄く、前後方向の長さとその前後方向に垂直な上下方向の長さとが電装品箱40の厚みよりも大きくなるように設計されている扁平の箱体である。電装品箱40の厚みを薄くすることにより、空調室内機10の長手方向の長さが抑えられている。
【0028】
電装品箱40が配置されている室内熱交換器20の右側部の側には、室内温度センサ45が配置されている。室内温度センサ45は、図6及び図8に示されているように電装品箱40の下側近傍に配置されている。
【0029】
ケーシング50は、上述の室内熱交換器20と室内ファン30と電装品箱40と室内温度センサ45との周囲を囲っている。空調室内機10の天面10eにあるケーシング50の上部の開口部は、室内空気を吸込むための吸込口11である。また、空調室内機10の底面10f即ちケーシング50の下部には、吸込んだ室内空気を吹出すための吹出口12が設けられている。吹出口12には、気流の水平方向と垂直方向の向きを調節するための風向調節羽根31,32,33が設けられている。
【0030】
背面板62は、ケーシング50を壁に取り付けるための金属製の板状の部材である。背面板62は、プレス加工によって形状の加工が施されている。
【0031】
ケーシング50の吸込口11から吸込まれる室内空気は、エアフィルタ13で塵埃が除去され、室内熱交換器20の伝熱フィン21,22及び伝熱管23,24の間を下方に通り抜ける。このとき、伝熱フィン21,22及び伝熱管23,24により、ケーシング50の吸込口11から吸込まれる室内空気が熱交換される。室内ファン30は、ケーシング50の吸込口11から室内熱交換器20を通り抜けて下方に向かうように室内空気を送風する。そして、室内ファン30によって送風される空気は、吹出口12から吹出される。吹出口12から吹出される空気は、室内熱交換器20によって温度や湿度が調整されている調和空気であり、風向調節羽根31,32,33によって吹き出される方向が調節される。
【0032】
室内温度センサ45は、電装品箱40の中に収納されている室内制御部(図示せず)に接続されている。室内温度センサ45は、室内熱交換器20の右側部の側に配置されており、吹出口12から吹出される調和空気が直接当たらない場所にある。室内制御部には、室内温度センサ45で検出される室内空気の温度が伝達され、室内温度センサ45で検知される温度は、室内熱交換器20の伝熱管23,24を流れる冷媒や室内ファン30で送風される室内空気の制御に用いられる。
【0033】
(2)ケーシングの詳細構成
(2−1)ケーシングの全体構成
ケーシング50は、分割型のケーシングであり、複数の分割部材で構成されている。複数の分割部材には、右側板部材52、左側板部材53及び後部構成部材54が含まれる。図1に示されているように、右側板部材52が室内熱交換器20の右側部20aの側を囲っており、左側板部材53が室内熱交換器20の左側部20bの側を囲っている。
【0034】
ケーシング50には、前面パネル61が図示しない回転軸に支持されて回動できるように取り付けられている。前面パネル61は、空調室内機10の前面を覆う湾曲した板状のプラスチック製の部材である。図7には、前面パネル61が取り外された状態の空調室内機10を右斜め上方から見た状態が示されている。図7から分かるように、前面パネル61は、エアフィルタ13の一部やダストボックス14などを覆っている。前面パネル61は、エアフィルタ13やダストボックス14のメンテナンスなどの空調室内機10の維持管理のために内部に手を加える際に開放される。
【0035】
後部構成部材54は、室内の壁に沿って取り付けられる。後部構成部材54は、図示しない掛止手段(例えばネジや掛止爪など)によって室内熱交換器20及び室内ファン30などと結合される。後部構成部材54は、プラスチックを射出成形して形成される。
【0036】
後部構成部材54は、壁面に沿って取り付けられる基部54a、ケーシング50の右側面の一部を構成する右側面部54b及びケーシング50の左側面の一部を構成する左側面部54cを有している。右側面部54b及び左側面部54cは、板状であり、基部54aの長手方向即ち基部54aの沿う壁面に対して主面が垂直になるように屈曲して基部54aから前方に延びている。
【0037】
右側板部材52は、図7図8を比較して分かるように、空調室内機10の右側面の大部分の領域及び天面10eの一部並びに前面パネル61の裏側にある前部10gの一部を形成する。右側板部材52は、空調室内機10の前面10aの側から矢印Ar1の方向に嵌め込まれて、ネジ90及び連結用爪56(図6参照)を使って組み立てられる。ネジ90は右側板部材52の前面側からねじ込まれる。
【0038】
左側板部材53も、右側板部材52と同様に、ケーシング50の左側面の大部分の領域、空調室内機10の天面10eに一部及び前部10gの一部を形成する。左側板部材52も、空調室内機10の前面10aの側から嵌め込まれて、ネジ(図示省略)及び連結用爪58(図3参照)を使って組み立てられる。室内熱交換器20の右側部20aの側に電装品箱40が配置されているので、天面10e及び前部10gを囲う部分の面積は、右側板部材52の方が左側板部材53よりも大きくなっている。
【0039】
右側板部材52及び左側板部材52の後面側の端部の多くは、後部構成部材54にと右折するように構成されている。特に、後部構成部材54の右側面部54b及び左側面部54cの前端辺54b1,54c1がそれぞれ右側板部材52及び左側板部材52に当接して、右側板部材52と右側面部54b及び左側板部材53と左側面部54cとが面一になっている。
【0040】
(2−2)スリットと連結用爪
後部構成部材54の右側面部54bには、前端辺54b1に当接片55が形成されている。左側面部54cにも右側面部54bと同様に当接片(図示せず)が形成されている。右側面部54bの当接片55と左側面部54cの当接片は左右対称の関係にあるので、以下右側面部54bの当接片55について説明し、左側面部54cの当接片の説明を省略する。
【0041】
当接片55は、右側面部54bの前端辺54b1に沿って上下に延びる板状の部分であり、右側面部54bと一体に射出成形されて形成される。当接片55は、右側板部材52の裏面に当接する当接面55aを有している。この当接面55aは、右側板部材52と右側面部54bとが面一になるように、右側面部54bの表面よりも内部にズレた位置に形成されている。
【0042】
当接片55の当接面55aの前方部分に、上下方向(前後方向に対して垂直な方向)に延びる連結用爪56が形成されている。連結用爪56は、当接面55aから右側に突出した略三角錐の形状を呈している。連結用爪56は前方側に傾斜面56aは後方側の傾斜面56bよりも緩やかになっている。この後面側の傾斜面56bが図2図4及び図7に示されているセンサ用スリット57bの後面側に引っ掛かる。
【0043】
この連結用爪56は、当接面55aから連結用爪56の頂部までの高さが、当接面55aの当接する部分の右側板部材52の厚みよりも小さくなっている。そのため、連結用爪56がセンサ用スリット57bの後面側に引っ掛かった状態で連結用爪56が右側板部材52の右側面表面よりも突出することはない。
【0044】
6つのセンサ用スリット57が、右側板部材52の右側面10cに形成されている。6つのセンサ用スリット57は、それぞれ上下方向に長く延びる長穴であり、全てのセンサ用スリット57の長さが同じである。そして、センサ用スリット57の上下方向の略中央部が室内温度センサ45の直右に位置する。つまり、センサ用スリット57は、室内温度センサ45に室内空気を効率よく導入するため、センサ用スリット57に最も近い位置に配置されている。このような構成を有する空調室内機10では、ケーシング50の内側が負圧になるため、センサ用スリット57から室内温度センサ45に向かう室内空気の気流が発生する。
【0045】
6つのセンサ用スリット57は、最も後面10bの側にある1つのセンサ用スリット57bと前面10aの側にある5つのセンサ用スリット57aとに分類される。センサ用スリット57bは連結用爪56の爪穴としても用いられる。つまり、センサ用スリット57bは、連結用爪56が引っ掛けられるとともに室内空気導入にも兼用される。連結用爪56はセンサ用スリット57に比べて上下方向が短く、センサ用スリット57bに連結用爪56が引っ掛った状態で隙間から室内空気が入るように構成されている。前方の5つのセンサ用スリット57aは、全て室内温度センサ45に室内空気を専ら導入するための長穴である。
【0046】
(2−3)凹溝
左側板部材52には、前面10aの側から並ぶ5つの凹溝59aと最も後面10bの側にある爪穴59bが形成されている。これら5つの凹溝59aと1つの爪穴59bは、右側板部材52に形成されている6つのセンサ用スリット57と対を成すように形成されている。つまり、5つの凹溝59aと1つの爪穴59bのそれぞれの平面形状は、センサ用スリット57の平面形状と同じである。そして、5つの凹溝59aと1つの爪穴59bが配置されている位置も、6つのセンサ用スリット57の配置位置と対称の位置にある。つまり、図2の右側面図と図3の左側面図とに描かれている部分の右側面と左側面を重ねれば、センサ用スリット57に凹溝59aと爪穴59bとが重なる。凹溝59aは、センサ用スリット57と異なり、開口部を有しない。爪穴59bには、連結用爪58が引っ掛けられる。
【0047】
(3)特徴
(3−1)
ケーシング50の右側板部材52(第1側板部材の一例)に形成されている6つのセンサ用スリット57は、連結用爪56(少なくとも一つの連結用爪の一例)が掛止される爪穴に兼用されている。そのため、爪穴を別に形成しなくても済むから爪穴を形成するための金型の構造など爪穴を形成するためのコストを省くことができる。なお、センサ用スリット57は2つ以上であればよく、6つに限られるものではない。
【0048】
(3−2)
左側板部材53(第2側板部材の一例)に、5の凹溝59aと1つの爪穴59bとが6つのセンサ用スリット57と対を成すように並んで形成されているので、右側板部材52と左側板部材53とが側面について左右対称の外観を呈するように構成され、6つのセンサ用スリット57が模様のように見える。このように、6つのセンサ用スリット57が模様のように見えることで意匠性が向上している。なお、爪穴59bには、連結用爪58(第2連結用爪の一例)が掛止され、センサ用スリット57bには、連結用爪56(第1連結用爪の一例)が掛止される。
【0049】
(3−3)
連結用爪56は、右側板部材52の側面から突出しないように、センサ用スリット57bに掛止されている。このように、連結用爪56が右側板部材52の側面から突出しないので、前方や斜め下方から右側板部材52の側面を見ても連結用爪56が見え難くなり、連結用爪56によって空調室内機10の外観の意匠性が損なわれるのを防ぐことができる。
【0050】
(3−4)
連結用爪56は、センサ用スリット57bの後面側を掛止するように前後方向に対して垂直に延びている。そして、右側板部材52が空調室内機10の前面10aの側から取り付けられる。そのため、空調室内機10を室内の壁などに取り付けるときに、右側板部材52を前面10aの側から取り付けられるので作業性が向上する。
【0051】
(3−5)
右側板部材52に沿って電装品箱40が配置され、室内温度センサ45が電装品箱40に接続される。室内温度センサ45から電装品箱40までの配線(図示せず)が短くなり、室内温度センサ45から電装品箱40までの配線が短くなったり、センサからの配線が容易になったりしてコストが削減される。
【0052】
(4)変形例
(4−1)変形例1A
上記実施形態では、電装品箱40及び室内温度センサ45が右側板部材52の側に配置されているため、右側板部材52にセンサ用スリット57が形成され、左側板部材53に凹溝59a及び爪穴59bが形成されている。しかし、電装品箱40及び室内温度センサ45が左側板部材53の側に配置されるときは、左側板部材53にセンサ用スリット57が形成され、右側板部材52に凹溝59a及び爪穴59bが形成されてもよい。
【0053】
(4−2)変形例1B
上記実施形態では、当接片55の上下方向の長さが連結用爪56の上下方向の長さよりも長く形成されている。しかし、当接片55の上下方向の長さは、例えば連結用爪56の上下方向の長さと等しくして、センサ用スリット57bから内部に室内空気が通り易くなるように構成してもよい。あるいは、センサ用スリット57bと重なる部分の当接片55に開口部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 空調室内機
20 室外熱交換器
30 室内ファン
40 電装品箱
45 室内温度センサ
50 ケーシング
52 右側板部材
53 左側板部材
56,58 連結用爪
57,57a,57b センサ用スリット
59a 凹溝
59b 爪穴
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開2005−106387号公報
図1
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図8