特許第5790623号(P5790623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5790623
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】基板ケースの封止構造
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
   A63F7/02 326Z
   A63F7/02 334
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-244507(P2012-244507)
(22)【出願日】2012年11月6日
(62)【分割の表示】特願2008-186018(P2008-186018)の分割
【原出願日】2008年7月17日
(65)【公開番号】特開2013-27756(P2013-27756A)
(43)【公開日】2013年2月7日
【審査請求日】2012年11月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000150051
【氏名又は名称】株式会社竹屋
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】竹内 正博
(72)【発明者】
【氏名】梁川 誠市
【審査官】 尾崎 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−113711(JP,A)
【文献】 特開2007−312917(JP,A)
【文献】 特開2008−279174(JP,A)
【文献】 特開2008−113739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体及び前記ケース本体に蓋をする蓋体を備え、基板を収容する基板ケースの封止構造であって、
前記基板ケースは、
前記ケース本体及び/又は前記蓋体における周囲よりも一段突出した突出部と、
前記ケース本体と前記蓋体とを封止する封止部材と、
前記突出部の表面のうち、少なくとも2面に跨る領域を覆うカバー部を有し、固定解除不能に固定されるカバー部材と、
を備え、
前記2面に跨る領域に、一旦貼付した後に剥がすと復元困難なシールを貼付し、前記封止部材による封止を行い、固定解除不能に固定された前記カバー部材の前記カバー部で前記2面に跨って前記シールを覆い、
前記2面に跨る領域は、各面において、前記シールを貼付した領域を含む、それよりも広い範囲で平坦であり、前記カバー部材は前記範囲全体を覆うことを特徴とする基板ケースの封止構造。
【請求項2】
前記突出部は、前記ケース本体と前記蓋体とに跨って設けられていることを特徴とする請求項1に記載の基板ケースの封止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、遊技機の制御基板等を収納する基板ケース封止構造関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の制御基板を収容する基板ケースに、ICタグを組み込んだシール(以下、ICタグシールとする)を取り付け、専用の読取装置でICタグから情報を読み取って各種のチェックを行う技術が提案されている。
【0003】
ICタグシールを基板ケースから剥がすことが可能であれば、基板ケースをすり替えた後、元の基板ケースから剥がしたICタグシールを、すり替えた基板ケースに張り直すという不正行為が可能になってしまう。
【0004】
ところで、制御基板を収容する基板ケースから遊技機本体枠にかけて、剥離すると復元困難な封印シールを貼付し、不正に基板ケースを遊技機本体枠から取り外せば、封印シールによる痕跡が残るようにする技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−296239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板ケースに貼付するICタグシールを、特許文献1に開示されているような、復元困難な封印シールとして、上述した不正行為を防止することが考えられる。しかしながら、現時点では剥離すると復元困難であっても、将来、封印シールを、痕跡を残さずに剥がす技術が開発された場合、上述した不正行為が可能になってしまう。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、封印シールを不正に剥がすことが困難な基板ケースの封止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)請求項1の発明は、
ケース本体及び前記ケース本体に蓋をする蓋体を備え、基板を収容する基板ケースの封止構造であって、前記基板ケースは、前記ケース本体及び/又は前記蓋体における周囲よりも一段突出した突出部と、前記ケース本体と前記蓋体とを封止する封止部材と、前記突出部の表面のうち、少なくとも2面に跨る領域を覆うカバー部を有し、固定解除不能に固定されるカバー部材と、を備え、前記2面に跨る領域に、一旦貼付した後に剥がすと復元困難なシールを貼付し、前記封止部材による封止を行い、固定解除不能に固定された前記カバー部材の前記カバー部で前記2面に跨って前記シールを覆い、前記2面に跨る領域は、各面において、前記シールを貼付した領域を含む、それよりも広い範囲で平坦であり、前記カバー部材は前記範囲全体を覆うことを特徴とする基板ケースの封止構造を要旨とする。
【0009】
本発明の基板ケースの封止構造は、前記2面に跨る領域に一旦貼付した後に剥がすと復元困難なシールを貼付し、そのールをカバー部材のカバー部で覆うことができる。こうすることで、ールを基板から不正に剥がすことを防止できる。
【0011】
また、基板が発生させる熱等により、ールの粘着力が低下することがあるが、ールをカバー部材のカバー部で覆うことにより、ールの粘着力が低下しても、その剥離や脱落を防止することができる。
【0012】
さらに、ールをカバー部材のカバー部で覆うことにより、ールに他の部材が接触しないようにすることができるので、ールに傷が付いたり破損してしまうことを防止できる。
【0013】
前記封止部材としては、例えば、いわゆる、かしめ部が挙げられ、具体的には、以下のようなものが挙げられる。
前記蓋体及び前記ケース本体を互いに固着するための棒状の固着手段(例えばネジ)と、
前記蓋体及び前記ケース本体のうちのいずれか一方に形成され、前記固着手段が通る貫通穴と、
前記蓋体及び前記ケース本体のうち、前記一方ではない方に形成され、前記貫通穴を通った前記固着手段と協働して前記蓋体及び前記ケース本体を互いに固着させる固着補助手段(例えば、前記ネジに対応する螺合穴)と、
から成るもの。
【0014】
前記貫通穴は、例えば、前記一方の側に設けられた第1ボス部に形成することができる。その第1ボス部は、例えば、切断容易な第1連結部により、前記一方に連結することができる。前記固着補助手段は、例えば、前記一方ではない方の側に設けられた第2ボス部に形成することができる。その第2ボス部は、例えば、切断容易な第2連結部により、前記一方ではない方に連結することができる。
【0015】
前記固定解除不能に固定とは、例えば、いわゆるワンウェイネジを用いて固定する方法が挙げられる。
本発明における基板ケースは、基板を、蓋体に固定するものであってもよいし、ケース本体に固定するものであってもよい。
【0016】
本発明における基板ケースは、例えば、前記カバー部を前記2面に跨る領域から離間させるには、前記封止部材を破壊することが必要であるものとすることができる。こうすることにより、不正にカバー部を前記2面に跨る領域から離間することを防止できる。
本発明では、例えば、ールを、ケース本体と蓋体との両方に跨って貼付し、そのールをカバー部で覆うことができる。その場合、ールを貼付した後、ケース本体と蓋体とを分離させると、必然的にールの少なくとも一部が剥がされる。本発明におけるシールは、一旦剥離すると復元困難となり易いから、ケース本体と蓋体とを分離させたことが後で容易に確認できる。よって、蓋体とケース本体のうちの一方を、廃棄された遊技機の基板ケースなどから取得したものに入れ替える不正行為を防止することができる。
本発明の基板ケースの封止構造では、貼付したールをカバー部材のカバー部で覆うため、ールを基板ケースから不正に剥がすことを防止できる。
【0019】
(2)請求項の発明は、
前記突出部は、前記ケース本体と前記蓋体とに跨って設けられていることを特徴とする請求項1に記載の基板ケースの封止構造を要旨とする。
【0020】
本発明では、例えば、ールを、ケース本体と蓋体との両方に跨って貼付し、そのールをカバー部で覆うことができる。その場合、ールを貼付した後、ケース本体と蓋体とを分離させると、必然的にールの少なくとも一部が剥がされる。ールは、一旦剥離すると復元困難となり易いから、ケース本体と蓋体とを分離させたことが後で容易に確認できる。よって、蓋体とケース本体のうちの一方を、廃棄された遊技機の基板ケースなどから取得したものに入れ替える不正行為を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ケース本体3と蓋体5とが分離した状態における基板ケース1の構成を表す斜視図である。
図2】基板ケース1の構成を表す平面図であり、(a)はカバー部材27を基板ケース1の本体側から引き出した状態を表し、(b)はカバー部材27を基板ケース1の本体側に押し込んだ状態を表す。
図3】基板ケース1のうち、カバー部材27周辺を表す側断面図であって、(a)は図2(a)のA−A断面における側断面図であり、(b)は図2(b)のB−B断面における側断面図である。
図4】カバー部材27を基板ケース1の本体側から引き出した状態における基板ケース1の構成を表す斜視図である。
図5】カバー部材27を基板ケース1の本体側に押し込んだ状態における基板ケース1の構成を表す斜視図である。
図6】封印シール27の構成を表す説明図であって、(a)は上面図、(b)は断面図である。
図7】ケース本体3と蓋体5とが分離した状態における基板ケース1の構成を表す斜視図である。
図8】カバー部材27を取り外した状態における基板ケース1の構成を表す斜視図である。
図9】カバー部材27を取り付けた状態における基板ケース1の構成を表す斜視図である。
図10】カバー部材27を取り外した状態における基板ケース1の構成を表す斜視図である。
図11】カバー部材27を取り付けた状態における基板ケース1の構成を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1の実施形態)
1.基板ケース1の構成
基板ケース1の構成を図1図3に基づいて説明する。図1は基板ケース1の斜視図であり、図2は基板ケース1の平面図であり、図3は基板ケース1における後述するカバー部材27周辺の側断面図である。
【0025】
基板ケース1は、パチンコ機の制御基板2を収容し、封止するためのケースであり、略直方体の形状を有する。基板ケース1は、ケース本体3と、ケース本体3に蓋をする蓋体5とから構成される。
【0026】
ケース本体3に対する蓋体5の固定は、ケース本体3の上端面に設けられた、尖端が内側に曲がった鈎型のスライド固定部7と、蓋体5下端面に設けられた、尖端が外側に曲がった鈎型のスライド固定部9とを係合させることにより行う。なお、スライド固定部7、9は、Z方向側(図1参照)の側面と、W方向側(図1参照)の側面との両方に形成されている。
【0027】
ケース本体3と蓋体5との封止は、ボス対(封止部材)11、13により行われる。ボス対11、13は、基板ケース1のX方向側の側面と、Y方向側の側面とに、それぞれ、2組設けられている。
【0028】
ボス対11は、蓋体5側に設けられた第1ボス15と、ケース本体3側に設けられた第2ボス17とから構成される。第1ボス15は、第1連結部19を介して蓋体5に取り付けられており、第2ボス17は、第2連結部21を介してケース本体3に取り付けられている。第1連結部19及び第2連結部21は、ともに、細い棒状の部材であり、切断容易である。第1ボス15と第2ボス17との間には、後述する軸部29、31を通すための隙間が設けられている。また、第1連結部19と第2連結部21との間にも、後述する軸部29、31を通すための隙間が設けられている。また、第1ボス15及び第2ボス17の外側には、後述する封止部37、39を収容するための切り欠き15a、17aが形成されている。ボス対13は、蓋体5側に設けられた第1ボス23と、ケース本体3側に設けられた第2ボス25とから構成される。
【0029】
第1ボス15は略円柱状の部材であり、図3に示すように、その軸方向に貫通する貫通穴15bが形成されている。同様に、第1ボス23にも、貫通穴23a(図1図2参照)が形成されている。第2ボス17は略円柱状の部材であり、その軸方向に、図示しないワンウェイネジに対応した螺合穴17bが形成されている。同様に、第2ボス25にも、螺合穴25a(図1参照)が形成されている。
【0030】
基板ケース1は、X方向側(図1参照)に、カバー部材27を備えている。カバー部材
27は、互いに平行な一対の棒状部材である軸部29、31と、軸部29、31を連結する棒状部材である連結部33と、連結部33の中央付近に形成された略長方形の板状部材であるカバー部35と、軸部29、31の一方の端に設けられた略円柱状の部材である封止部37、39とを備える。カバー部35のうち、基板ケース1の本体側と対向する面(Y方向側の面)の周囲には、侵入防止壁35aが立設されている。封止部37、39には、図3に示すように、その軸方向に、図示しないワンウェイネジに対応した貫通穴37a、39aを備えている。また、軸部29、31における反対側の端部には、図3に示すように、逆戻り防止突起29a、31aが形成されている。
【0031】
ケース本体3は、X方向側の側面付近に、貫通孔43aが形成された一対の保持部43を備えており、カバー部材27の軸部29、31は、X−Y方向に沿ってスライド可能に、貫通孔43aに挿入されている。軸部29、31の位置は、それぞれ、第2連結部21に上側から当接する位置である。また、ケース本体3に蓋体5を取り付けたとき、軸部29、31の位置は、それぞれ、第1連結部19に下側から当接する位置である。
【0032】
また、ケース本体3は、保持部43よりもY方向(図1参照)寄りに、一対の係止部45を備えている。この係止部45は、軸部29、31の端部を収容可能な穴である係止穴45aを備えており、その係止穴45aの内部には、図3に示すように、逆戻り防止突起受け部45bが形成されている。
【0033】
カバー部材27をX方向に引き出したとき、図3(a)に示すように、カバー部35と、基板ケース1の本体側との間には隙間が生じている。また、封止部37、39は、第1ボス15及び第2ボス17よりも、X方向側にずれた位置にある。また、軸部29、31の端部は、係止部45から外れた位置にある。
【0034】
カバー部材27をY方向に押し込んだとき、図3(b)に示すように、カバー部35は、基板ケース1の本体側に当接する。また、封止部37、39は、第1ボス15の切り欠き15a及び第2ボス17の切り欠き17aにより作られた空間に収容され、貫通穴37a、39aは、第1ボス15の貫通穴15b、及び第2ボス17の螺合穴17bと同軸となる。また、軸部29、31の端部は、係止部45の係止穴45aに挿入される。このとき、軸部29、31の逆戻り防止突起29a、31aが逆戻り防止突起受け部45bと係合することにより、軸部29、31は係止穴45aから抜けなくなる。
【0035】
制御基板2は、図3(a)、(b)に示すように、蓋体5の下側に取り付けられる。詳しくは、蓋体5は、X方向側の側面5aの下端における内側に、切り欠き部5bを備えており、制御基板2のX方向側の端部がその切り欠き部5bにはめ込まれ、ビス6で固定されている。また、図示は省略するが、制御基板2のY方向側の端部も、同様に、蓋体5のY方向側の側面にビスで固定されている。制御基板2のうち、蓋体5の側面に当接していない部分と、蓋体5の天板5cとの間には空間8が存在する。制御基板2において、ROM2a等が実装された面は、空間8に面している。また、制御基板2の上下方向(図3における上下方向)における位置は、蓋体5とケース本体3との当接部よりも上方である。
【0036】
上記の構造により、蓋体5とケース本体3との接合面から見て、ROM2a等が実装された面は、制御基板2の裏側となるから、蓋体5とケース本体3との間から工具等を差し込み、不正にROM2aを交換することはできない。また、蓋体5をケース本体3から取り外しても、制御基板2においてROM2a等が実装された面は空間8に面しており、露出していないので、さらに、制御基板2を蓋体5から取り外さないとROM2aを交換できず、不正行為が困難となる。
【0037】
2.基板ケース1により実現される封止構造
基板ケース1により実現される封止構造を、図1図3に加え、図4図7に基づいて説明する。
【0038】
まず、ケース本体3のスライド固定部7に、蓋体5のスライド固定部9を係合させることで(図1参照)、図4に示すように、蓋体5をケース本体3に対し固定する。このとき、最初は、蓋体5をX−Y方向においてずらしてケース本体3に当接させ、次に、蓋体5をスライドさせることで、スライド固定部7とスライド固定部9とを係合させることができる。
【0039】
図3(a)、及び図4に示すように、カバー部材27をX方向に引き出し、カバー部35と、基板ケース1の本体側との間に隙間を生じさせた状態で、基板ケース1の本体側に、ICタグシール47を貼付する。ICタグシール47を貼付する領域は、ケース本体3及び蓋体5に跨る領域である。なお、基板ケース1の本体側には、ICタグシール47を貼付する領域を囲むように、シール保護溝51が形成されている。
【0040】
ICタグシール47は、図6(a)に示すように、略長方形の形状を有し、図6(b)に示すように、接着剤で形成された粘着層53、特殊紙から成る基材55を積層した構造を有する。また、貼付前の状態では、粘着層53に剥離紙57が付されており、この剥離紙57は、ICタグシール47を貼付するときに除去される。基材55の表面には、「封印」の文字がオフセット印刷されている。
【0041】
図6(a)に示すように、ICタグシール47は、その1対角線の全体にわたって、インレット61が組み込まれている。インレット61の内部には、図示しないICタグのミューチップ(超小型無線認識用ICチップ)と外部アンテナが収容されている。インレット61には、複数の切り込み61aが形成されている。そのため、ICタグシール47を剥がそうとして、インレット61に力が加わると、インレット61は切り込み61aの部分で容易に切断される。インレット61が切断されると、その中の外部アンテナも切断されてしまい、ICタグは機能しなくなる。
【0042】
図6(a)に示すように、粘着層53及び基材55にも、切り込み66が形成されており、ICタグシール47を剥がそうとして力が加わったとき、ICタグシール47は、この切り込み66の部分で容易に破れる。また、図6(a)に示すように、ICタグシール47の周囲は波形に加工されている。そのため、ICタグシール47を剥がそうとして力が加わったとき、ICタグシール47は、この波形における谷の部分で容易に破れる。また、ICタグシール47は、一旦貼付した後に剥がすと、粘着層53及び基材55の一部が分離し、その分離した部分は基板ケース1側に残ってしまう。以上のように、ICタグシール47は、一旦貼付した後に剥がすと、様々な痕跡が残り、復元困難であり、剥がしたことの発見が容易である。
【0043】
次に、図3(b)及び図5に示すように、カバー部材27をY方向に押し込む。このとき、カバー部35は、ICタグシール47に当接し、その全面を覆う。カバー部35の周囲には、侵入防止壁35aが形成されているので、ICタグシール47が厚くても、カバー部35と基板ケース1の本体側との間に隙間が生じない。
【0044】
また、カバー部材27をY方向に押し込んだとき、封止部37、39は、第1ボス15の切り欠き15a及び第2ボス17の切り欠き17aにより作られた空間に収容され、貫通穴37a、39aは、第1ボス15の貫通穴15b、及び第2ボス17の螺合穴17bと同軸となる。この状態で、図示しないワンウェイネジを、図5の矢印に示すように、貫通穴15bから差し込み、貫通穴37a、39aを通し、螺合穴17bに螺合させることで、第1ボス15、第2ボス17、及び封止部37(39)を一体に封止する。この結果
、ケース本体3と蓋体5とが封止されるとともに、封止部37、39が、第1ボス15及び第2ボス17に対し、固定解除不能に固定される。
【0045】
なお、ボス対11は、X方向側の側面に2組あるので、ケース本体3と蓋体5とを最初に封止するときは、そのうち一組のみを使用すればよい。一旦封止した後、封止を解除するには、封止に用いたボス対11を、第1連結部19及び第2連結部21の部分で、蓋体5及びケース本体3から切り離せばよい。その後、再度封止を行うには、もう一方のボス対11を用いればよい。
【0046】
また、カバー部材27をY方向に押し込んだとき、軸部29、31の端部は、係止部45の係止穴45aに挿入され、逆戻り防止突起29a、31aが逆戻り防止突起受け部45bと係合することにより、軸部29、31は係止穴45aから抜けなくなる。
【0047】
この結果、カバー部材27は、ボス対11(第1ボス15及び第2ボス17)と、係止部45との両方に対し、固定解除不能に固定される。
3.基板ケース1及び封止構造が奏する効果
(i)封止後、ICタグシール47は、カバー部材27のカバー部35で覆われるので、
ICタグシール47を基板ケース1から不正に剥がすことはできない。
【0048】
(ii)カバー部材27は、ボス対11(第1ボス15及び第2ボス17)に対し、固定解除不能に固定されるので、ボス対11を切断しないと、取り外すことができない。従って、ICタグシール47を不正に剥がそうとすると、必然的に、ボス対11を切断することになり、不正行為の痕跡が残る。結果として、ICタグシール47を不正に剥がすことを防止できる。
【0049】
(iii)ICタグシール47は、蓋体5と、ケース本体3との両方に跨って貼付される。
そのため、一旦封止した後、蓋体5とケース本体3とを分離させると、必然的にICタグシール47が剥がされる。ICタグシール47は、上述したように、一旦貼付した後に剥がすと復元困難であり、痕跡が残ってしまうので、蓋体5とケース本体3とを分離させたことが後で容易に確認できる。よって、蓋体5とケース本体3のうちの一方を、廃棄された遊技機の基板ケースなどから取得したものに入れ替える不正行為を防止することができる。
(第2の実施形態)
1.基板ケース1の構成
本実施形態における基板ケース1の構成は、基本的には前記第1の実施形態と同様であるが、一部において相違する。以下では、その相違点を中心に、図7図9に基づいて説明する。
【0050】
図7に示すように、ケース本体3は、X方向側の側面における中央に、周囲よりも1段突出した突出部63を備える。また、蓋体5も、X方向側の側面における中央に、周囲よりも1段突出した突出部65を備える。図8に示すように、蓋体5をケース本体3に取り付けたとき、突出部63、65におけるX方向側の面は、面一となり、ICタグシール貼付領域67を形成する。ICタグシール貼付領域67は、ケース本体3と蓋体5とに跨った領域であり、ICタグシール47が貼付される領域である。
【0051】
図8に示すように、カバー部材27は、一対の略円柱状の部材である封止部37、39と、封止部37、39を連結する棒状部材である連結部33と、連結部33の中央付近に形成された略長方形の板状部材であるカバー部35とを備える。封止部37、39には、前記第1の実施形態と同様に、その軸方向に、図示しないワンウェイネジに対応した貫通穴37a、39aが形成されている。
【0052】
カバー部材27は、図9に示すように、封止部37、39を、第1ボス15の切り欠き15a及び第2ボス17の切り欠き17aにより作られた空間に収容することで、基板ケース1の本体側に取り付けることができる。このとき、貫通穴37a、39aは、第1ボス15の貫通穴15b、及び第2ボス17の螺合穴17b(図7参照)と同軸となる。上記のように、カバー部材27を基板ケース1の本体側に取り付けたとき、カバー部35は、ICタグシール貼付領域67に当接する。
【0053】
2.基板ケース1により実現される封止構造
基板ケース1により実現される封止構造を説明する。まず、ケース本体3のスライド固定部7に、蓋体5のスライド固定部9を係合させることで、図8に示すように、蓋体5をケース本体3に対し固定する。
【0054】
次に、カバー部材27を取り付けない状態で、ICタグシール貼付領域67に、ICタグシール47を貼付する。ICタグシール47は、ケース本体3及び蓋体5に跨って貼付される。
【0055】
次に、図8の矢印に示すように、カバー部材27を基板ケース1の本体側に押し込み、図9に示すように、カバー部材27を基板ケース1の本体側に取り付ける。このとき、カバー部35は、ICタグシール47に当接し、その全面を覆う。また、上述したように、カバー部材27を基板ケース1の本体側に取り付けたとき、封止部37、39は、第1ボス15の切り欠き15a及び第2ボス17の切り欠き17aにより作られた空間に収容され、貫通穴37a、39aは、第1ボス15の貫通穴15b、及び第2ボス17の螺合穴17bと同軸となる。この状態で、図示しないワンウェイネジを、図9の矢印に示すように、貫通穴15bから差し込み、貫通穴37a、39aを通し、螺合穴17bに螺合させることで、第1ボス15、第2ボス17、及び封止部37(39)を一体に封止する。この結果、ケース本体3と蓋体5とが封止されるとともに、封止部37、39が、第1ボス15及び第2ボス17に対し、固定解除不能に固定される。
【0056】
3.基板ケース1及び封止構造が奏する効果
(i)封止後、ICタグシール47は、カバー部材27のカバー部35で覆われるので、
ICタグシール47を基板ケース1から不正に剥がすことはできない。
【0057】
(ii)カバー部材27は、ボス対11(第1ボス15及び第2ボス17)に対し、固定解除不能に固定されるので、ボス対11を切断しないと、取り外すことができない。従って、ICタグシール47を基板ケース1から不正に剥がそうとすると、必然的に、ボス対11を切断することになり、不正行為の痕跡が残る。結果として、ICタグシール47を基板ケース1から不正に剥がすことを防止できる。
【0058】
(iii) ICタグシール47は、蓋体5と、ケース本体3との両方に跨って貼付される。そのため、一旦封止した後、蓋体5とケース本体3とを分離させると、必然的にICタグシール47が剥がされる。ICタグシール47は、上述したように、一旦貼付した後に剥がすと復元困難であり、痕跡が残ってしまうので、蓋体5とケース本体3とを分離させたことが後で容易に確認できる。よって、蓋体5とケース本体3のうちの一方を、廃棄された遊技機の基板ケースなどから取得したものに入れ替える不正行為を防止することができる。
(第3の実施形態)
本実施形態における基板ケース1の構成は、基本的には前記第2の実施形態と同様であるが、一部において相違する。以下では、その相違点を中心に、図10図11に基づいて説明する。
【0059】
図10に示すように、ケース本体3は、X方向側の側面における中央に、周囲よりも1段突出した突出部63を備える。また、蓋体5も、X方向側の側面における中央に、周囲よりも1段突出した突出部65を備える。図10に示すように、蓋体5をケース本体3に取り付けたとき、突出部63、65におけるX方向側の面は、面一となる。ICタグシール貼付領域67は、突出部63、65におけるX方向側の面から、突出部65の上面までL字状に連続する領域である。
【0060】
図10に示すように、カバー部材27は、一対の略円柱状の部材である封止部37、39と、封止部37、39を連結する棒状部材である連結部33と、連結部33の中央付近に取り付けられ、Y方向側のみが開口した箱状部材であるカバー部35とを備える。封止部37、39には、前記第2の実施形態と同様に、その軸方向に、図示しないワンウェイネジに対応した貫通穴37a、39aが形成されている。上記カバー部35は透明の材料から成る。
【0061】
カバー部材27は、図11に示すように、封止部37、39を、第1ボス15の切り欠き15a及び第2ボス17の切り欠き17aにより作られた空間に収容することで、基板ケース1の本体側に取り付けることができる。このとき、貫通穴37a、39aは、第1ボス15の貫通穴15b、及び第2ボス17の螺合穴17b(図7参照)と同軸となる。上記のように、カバー部材27を基板ケース1の本体側に取り付けたとき、カバー部35は、そのY方向側の開口部から、突出部63、65をその内部に収容する。
【0062】
2.基板ケース1により実現される封止構造
基板ケース1により実現される封止構造を説明する。まず、図10に示すように、蓋体5をケース本体3に対し固定する。
【0063】
次に、カバー部材27を取り付けない状態で、ICタグシール貼付領域67に、ICタグシール47を貼付する。ICタグシール47は、突出部63、65におけるX方向側の面から、突出部65の上面まで連続して、L字状に貼付される。
【0064】
次に、図10の矢印に示すように、カバー部材27を基板ケース1の本体側に押し込み、図11に示すように、カバー部材27を基板ケース1の本体側に取り付ける。このとき、カバー部35は、そのY方向側の開口部から、突出部63、65をその内部に収容する。その結果、ICタグシール47の全体が、カバー部35により覆われる。
【0065】
また、上述したように、カバー部材27を基板ケース1の本体側に取り付けたとき、封止部37、39は、第1ボス15の切り欠き15a及び第2ボス17の切り欠き17aにより作られた空間に収容され、貫通穴37a、39aは、第1ボス15の貫通穴15b、及び第2ボス17の螺合穴17bと同軸となる。この状態で、図示しないワンウェイネジを、図9の矢印に示すように、貫通穴15bから差し込み、貫通穴37a、39aを通し、螺合穴17bに螺合させることで、第1ボス15、第2ボス17、及び封止部37(39)を一体に封止する。この結果、ケース本体3と蓋体5とが封止されるとともに、封止部37、39が、第1ボス15及び第2ボス17に対し、固定解除不能に固定される。
【0066】
3.基板ケース1及び封止構造が奏する効果
(i)封止後、ICタグシール47は、突出部63、65におけるX方向側の面に貼付さ
れた部分も、突出部65の上面に貼付された部分も、カバー部材27のカバー部35で覆われるので、ICタグシール47を基板ケース1から不正に剥がすことはできない。
【0067】
(ii)カバー部材27は、ボス対11(第1ボス15及び第2ボス17)に対し、固定解
除不能に固定されるので、ボス対11を切断しないと、取り外すことができない。従って、ICタグシール47を基板ケース1から不正に剥がそうとすると、必然的に、ボス対11を切断することになり、不正行為の痕跡が残る。結果として、ICタグシール47を基板ケース1から不正に剥がすことを防止できる。
【0068】
(iii) ICタグシール47は、蓋体5と、ケース本体3との両方に跨って貼付される。そのため、一旦封止した後、蓋体5とケース本体3とを分離させると、必然的にICタグシール47が剥がされる。ICタグシール47は、上述したように、一旦貼付した後に剥がすと復元困難であり、痕跡が残ってしまうので、蓋体5とケース本体3とを分離させたことが後で容易に確認できる。よって、蓋体5とケース本体3のうちの一方を、廃棄された遊技機の基板ケースなどから取得したものに入れ替える不正行為を防止することができる。
【0069】
(iv)ICタグシール47は、図10及び図11における上側(基板正面側)にも貼付され、ICタグシール47を覆うカバー部35は透明であるから、基板正面側からICタグシール47を視認しやすく、また、基板正面側からICタグリーダで読み取りやすい。
【0070】
尚、本発明は前記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、カバー部材27は、基板ケース1の本体側に対し、スライドするのではなく、所定の回動軸を中心として回動するものであってもよい。この場合、カバー部材27を回動させることにより、カバー部35と基板ケース1の本体側とを当接させるとともに、封止部37、39を、第1ボス15の切り欠き15a及び第2ボス17の切り欠き17aにより作られた空間に収容させることができる。また、カバー部材27を反対方向に回動させることにより、カバー部35と基板ケース1の本体側とを離間させるとともに、封止部37、39を、第1ボス15の切り欠き15a及び第2ボス17の切り欠き17aにより作られた空間から取り出すことができる。
【符号の説明】
【0071】
1・・・基板ケース、2・・・制御基板、2a・・・ROM、3・・・ケース本体、5・・・蓋体、6・・・ビス、8・・・空間、7、9・・・スライド固定部、
11、13・・・ボス対、15・・・第1ボス、15a・・・切り欠き、
15b・・・貫通穴、17・・・第2ボス、17a・・・切り欠き、
17b・・・螺合穴、19・・・第1連結部、21・・・第2連結部、
23・・・第1ボス、23a・・・貫通穴、25・・・第2ボス、
25a・・・螺合穴、27・・・カバー部材、29、31・・・軸部、
29a、31a・・・逆戻り防止突起、33・・・連結部、35・・・カバー部、
35a・・・侵入防止壁、37、39・・・封止部、37a、39a・・・貫通穴、
43・・・保持部、43a・・・貫通孔、45・・・係止部、45a・・・係止穴、
45b・・・逆戻り防止突起受け部、47・・・ICタグシール、
51・・・シール保護溝、53・・・粘着層、55・・・基材、57・・・剥離紙、
61・・・インレット、61a・・・切り込み、63、65・・・突出部、
66・・・切り込み、67・・・ICタグシール貼付領域
図1
図2
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図11