(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の太陽パネルユニットにおいては、太陽パネルを揺動させるとともに所定角度に維持するために一定の力を必要とする。この必要とされる力は、太陽パネルの揺動運動の中心軸と太陽パネルの重心との距離が大きいほど大きくなる。一方、上述した従来の太陽パネルユニットでは、太陽パネルの揺動運動の中心軸が、太陽パネルの背面に取り付けられた桟部材よりも下側に設けられている。従って、上記の太陽パネルユニットにおいては、揺動運動の中心軸と重心との距離が大きいので、太陽パネルの角度調節のための大きな力を要するという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、太陽パネルの角度調節に必要な力を低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、パネル本体(30a)と、該パネル本体(30a)の背面に固定される桟部材(31)とを備えた太陽パネル(30)と、上記太陽パネル(30)を揺動可能に支持する支持機構(40)とを備えた太陽パネルユニットである。
【0007】
そして、第1の発明は、上記支持機構(40)は、上記太陽パネル(30)の設置部に固定される架台(41)と、該架台(41)の上端部に設けられるとともに、上記太陽パネル(30)に連結されかつ該太陽パネル(30)の揺動運動の中心軸(56)を構成する受け部材(44a,44b)とを有し、上記桟部材(31)には
、連結部材(32a,32b)が取り付けられ
、上記連結部材(32a,32b)は、上記桟部材(31)に固定されて該桟部材(31)の下面(31b)から上記中心軸(56)の軸方向に延びる基端部(33)と、該基端部(33)から上記パネル本体(30a)へ向けて延びる先端部(34)とを有し、該先端部(34)に上記受け部材(44a,44b)が回転可能に連結され、上記受け部材(44a,44b)は、上記中心軸(56)を構成する挿入軸部(46)を有し、上記連結部材(32a,32b)の先端部(34)には、上記挿入軸部(46)が挿入される軸孔(35)が形成されていることを特徴とする。
【0008】
第1の発明では、パネル本体(30a)の背面の桟部材(31)に取り付けられた連結部材(32a,32b)の先端部(34)が、桟部材(31)の下面(31b)よりもパネル本体(30a)側に延びているので、この先端部(34)に連結される受け部材(44a,44b)によって構成される揺動運動の中心軸(56)も、同様に、桟部材(31)の下面(31b)よりもパネル本体(30a)寄りに位置することになる。つまり、中心軸(56)と太陽パネル(30)の重心とは互いに比較的近接している。よって、中心軸(56)と太陽パネル(30)の重心とが互いに比較的離れている場合に比べて、太陽パネル(30)の荷重によって中心軸(56)回りに生じるモーメントが小さくなる
。
【0009】
また、第
1の発明では、受け部材(44a,44b)および連結部材(32a,32b)間の回転可能な連結は、受け部材(44a,44b)の挿入軸部(46)が、連結部材(32a,32b)の先端部(34)に形成された軸孔(35)に挿入されることにより実現される。
【0010】
第
2の発明は、上記第
1の発明において、上記連結部材(32a,32b)は、上記基端部(33)が上記桟部材(31)の側面(31a,31c)から下面(31b)に亘って取り付けら
れるとともに、上記先端部(34)が該
基端部(33)から上記パネル本体(30a)側に折り曲げられた平板
状に形成された略U字状に構成されていることを特徴とする。
【0011】
第
2の発明では、連結部材(32a,32b)は略U字状に構成されている。連結部材(32a,32b)の基端部(33)は、桟部材(31)の側面(31a,31c)から下面(31b)に亘って取り付けられる固定部(33)に形成されている。また、連結部材(32a,32b)の先端部(34)は、この固定部(33)からパネル本体(30a)側に折り曲げられた平板状の軸受部(34)に形成されている。
【0012】
第
3の発明は、上記第
1または第2の発明において、 上記パネル本体(30a)は、傾斜して設けられ、上記受け部材(46)は、上記パネル本体(30a)の前側面(30c)寄りに設けられた下部側の受け部材(44a)と、上記パネル本体(30a)の後側面(30d)寄りに設けられた上部側の受け部材(44b)と
により構成され、上記下部側および上部側の受け部材(44a,44b)
の各々には、上記パネル本体(30a)の前側面(30c)側から後側面(30d)側に向かう方向に延びる
ように上記挿入軸部(46)
が形成され、上記連結部材(32a,32b)は、上記下部側および上部側の受け部材(44a,44b)に対応して下部側の連結部材(32a)および上部側の連結部材(32b)と
により構成され
、上記下部側および上部側の連結部材(32a,32b)の各々には、上記軸孔(35)が形成され、上記
下部側および上部側の受け部材(44a,44b)の挿入軸部(46)
は、上記パネル本体(30a)の後側面(30d)に向かって上記
下部側および上部側の連結部材(32a,32b)の軸孔(35)に
それぞれ挿入され
ることを特徴とする。
【0013】
第
3の発明では、受け部材(44a,44b)と連結部材(32a,32b)とがそれぞれ上下2つずつ設けられるとともに、各受け部材(44a,44b)の挿入軸部(46)は互いに共通の方向に向かって各連結部材(32a,32b)の軸孔(35)に挿入される。
【0014】
パネル本体(30a)は、水平面に対して傾斜して設けられている。つまり、架台(41)の上端部に設けられた上下2つの受け部材(44a,44b)によって構成される中心軸(56)は、水平面に対して傾斜している。上下2つの受け部材(44a,44b)は、それぞれ、パネル本体(30a)の前側面(30c)側から後側面(30d)側に向かう方向に延びる挿入軸部(46)を備えている。これらの挿入軸部(46)は、パネル本体(30a)の後側面(30d)に向かって、連結部材(32a,32b)の先端部(34)に形成された軸孔(35)に挿入される。かかる挿入は、挿入軸部(46)と軸孔(35)とが互いに対向するように太陽パネル(30)を持ち上げた後、太陽パネル(30)を斜め下方にスライド移動させることによって実現される。
【0015】
第
4の発明は、上記第1〜第
3の発明のいずれか1つにおいて、上記架台(41)は、設置部に固定される支柱部材(42)と、該支柱部材(42)の上端部に設けられ、上端部に上記受け部材(44a,44b)が取り付けられる支持部材(43)とを備え、上記支持部材(43)は、上記支柱部材(42)に対して着脱可能であることを特徴とする。
【0016】
第
4の発明では、架台(41)は、支柱部材(42)とこの支柱部材(42)に対して着脱可能な支持部材(43)とを備えている。支柱部材(42)は設置部に固定されている。この支柱部材(42)の上端部には支持部材(43)が設けられている。この支持部材(43)の上端部には受け部材(44a,44b)が取り付けられている。従って、架台(41)は、一体に形成された部材ではなく、少なくとも支柱部材(42)と支持部材(43)とに分割可能でありかつこれらを組み合わせて構成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、桟部材(31)に、先端部(34)が桟部材(31)の下面(31b)よりもパネル本体(30a)側に延び、受け部材(44a,44b)が回転可能に連結される連結部材(32a,32b)を取り付けたことにより、太陽パネル(30)の荷重によって中心軸(56)回りに生じるモーメントが小さくなるので、太陽パネル(30)を揺動させたり所定角度に維持したりするのに必要な力を比較的小さくすることができる。
【0018】
また、
本発明によれば、受け部材(44a,44b)に、中心軸(56)を構成する挿入軸部(46)を設ける一方、連結部材(32a,32b)の先端部(34)に、挿入軸部(46)が挿入される軸孔(35)を形成したことにより、受け部材(44a,44b)および連結部材(32a,32b)間の回転可能な連結を実現するための構成を簡易なものとすることができる。
【0019】
また、上記第
2の発明によれば、連結部材(32a,32b)を略U字状に形成しているので、小さなスペースでもって受け部材(44a,44b)をパネル本体(30a)に近接させることができる。
【0020】
また、上記第
3の発明によれば、受け部材(44a,44b)の挿入軸部(46)がパネル本体(30a)の後側面(30d)に向かって軸孔(35)に挿入されるように構成したことにより、挿入軸部(46)の軸孔(35)への挿入が、太陽パネル(30)の持ち上げおよびスライド移動によってなされるので、太陽パネルユニット(20a,20b)の設置作業において構成部材の分解や組立を必要とせず、かかる設置作業を容易化することができる。
【0021】
また、上記第
4の発明によれば、支持部材(43)を、支柱部材(42)に対して着脱可能としたことにより、架台(41)は支柱部材(42)および支持部材(43)を組み合わせて構成されるものとなるので、架台(41)の設置作業では各部材(42,43)を扱うだけの力があれば足り、かかる設置作業における作業者の負荷を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0024】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。
【0025】
図1に示すように、太陽光発電システム(10)は、本実施形態に係る太陽パネルユニット(20a,20b)を複数備えて構成されている。なお、説明の便宜上、
図1において、矢印Aが示す方向を前方、矢印Bが示す方向を後方、矢印Cが示す方向を右方、矢印Dが示す方向を左方とそれぞれ定める。
【0026】
太陽光発電システム(10)は、該太陽光発電システム(10)を複数組み合わせることで大規模発電システムを構築することができるものである。なお、図示しないが、この太陽光発電システム(10)には、太陽パネルユニット(20a,20b)で発電した直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナが設けられている。
【0027】
太陽光発電システム(10)は、1台の第1太陽パネルユニット(20a)と、その他の複数台(
図1に示す例では4台)の第2太陽パネルユニット(20b)とを組み合わせて構成されている。各太陽パネルユニット(20a,20b)は、各々一枚の太陽パネル(30)を備え、この太陽パネル(30)の角度を太陽の位置に合わせて調節するようになっている。これらの複数台の太陽パネルユニット(20a,20b)は、左右方向(東西方向)に一列に並べて配置されている。
【0028】
第1太陽パネルユニット(20a)には、太陽パネル(30)を揺動させて太陽パネル(30)の角度を変える駆動機構(50)と、各太陽パネルユニット(20a,20b)における太陽パネル(30)の揺動を同期させるように構成されたリンク機構(55)とが設けられている。第2太陽パネルユニット(20b)には、太陽パネル(30)を揺動させる駆動機構(50)は設けられず、各太陽パネルユニット(20a,20b)の太陽パネル(30)の揺動を同期させるように構成されたリンク機構(55)のみが設けられている。
【0029】
第1太陽パネルユニット(20a)と各第2太陽パネルユニット(20b)とは、駆動機構(50)の有無を除いては実質的に同じように構成されている。具体的には、各太陽パネルユニット(20a,20b)は、太陽パネル(30)と、この太陽パネル(30)を揺動可能に支持する支持機構(40)とを備えている。
【0030】
図2〜
図4に示すように、支持機構(40)は、設置部に固定される架台(41)を有している。この架台(41)は、設置部に固定された支柱部材(42)と、この支柱部材(42)の上端部に設けられた支持部材(43)とから構成されている。支持部材(43)の上端部には、受け部材(44a,44b)が取り付けられている。
【0031】
支柱部材(42)は上下方向に延びる角柱状の部材である。
図5に示すように、支持部材(43)の下端部には、下方に向かって突出するテーパ部(47)が形成されている。つまり、本実施形態の支持部材(43)は、例えば設置部である地面(G)にテーパ部(47)を差し込むことで、この地面(G)に固定される杭で構成されている。支柱部材(42)の上端部における前後方向の両側面には、上下方向に延びる中空角筒状の筒状部(42a)が、上方に開口するように固定されている。筒状部(42a)は、支持部材(43)に形成された脚部(43a)の下端が嵌合する。つまり、筒状部(42a)は、脚部(43a)が挿入可能な空間を有する挿入部を構成している。
【0032】
支持部材(43)は、一対の脚部(43a)と、1つの板状部(43b)とから構成されている。一対の脚部(43a)の下端部は、下方(すなわち、支柱部材(42))に向かって突出する突出部(48)を構成している。突出部(48)は、筒状部(42a)の内部に嵌合することで、支柱部材(42)に支持される。一対の脚部(43a)は、各々の突出部(48)が筒状部(42a)に差し込まれた状態で、互いに前後方向に離間しながら上方に延びている。板状部(43b)は、これらの脚部(43a)の上端部に固定され、その後端が前端よりも上方に位置するように水平面に対して斜めに傾斜している。板状部(43b)は、その縦断面が略U字状(略コ字状)となるように折り曲げられた部材であり、各脚部(43a)の上端部を覆うように下方に開口している。
【0033】
図4に示すように、支持部材(43)は、支柱部材(42)に対して着脱可能である。支持部材(43)は、一対の脚部(43a)の突出部(48)を筒状部(42a)に差し込むことにより支柱部材(42)に取り付けられている。よって、支持部材(43)を持ち上げて各脚部(43a)を筒状部(42a)から抜き取ることにより、支持部材(43)を支柱部材(42)から取り外すことができる。
【0034】
架台(41)の上端部、すなわち支持部材(43)の板状部(43b)の上面には、一対の受け部材(44a,44b)が設けられている。一対の受け部材(44a,44b)は、太陽パネル(30)に連結され、太陽パネル(30)の揺動運動の中心軸(56)を構成する。一対の受け部材(44a,44b)は、中心軸(56)の軸線方向に所定の間隔を置いて配列される。受け部材(44a,44b)はピン部材(44a,44b)で構成されている。ピン部材(44a,44b)は、パネル本体(30a)の前側面(30c)寄りに設けられた下部側のピン部材(44a)と、パネル本体(30a)の後側面(30d)寄りに設けられた上部側のピン部材(44b)とより構成されている。下部側のピン部材(44a)は板状部(43b)の上面における前端部に設けられ、上部側のピン部材(44b)は板状部(43b)の上面における後端部に設けられている。
【0035】
ピン部材(44a,44b)は、L字状に折り曲げられた棒状の部材で構成されている。具体的に、ピン部材(44a,44b)は、連結部(45)と挿入軸部(46)とから構成されている。連結部(45)は、細長い円柱状の部材であり、板状部(43b)の上面から該板状部(43b)の上面と垂直に上方に延びている。挿入軸部(46)は、細長い円柱状の部材であり、この連結部(45)の先端に連続して板状部(43b)と平行に後方に延びている。挿入軸部(46)の先端部近傍には、半径方向外側へ突出する環状の鍔部(46a)が形成されている。鍔部(46a)は、連結部材(32a)と接触することで、この連結部材(32a)が下方へ移動するのを規制する当接部(ストッパ)を構成している。挿入軸部(46)は、パネル本体(30a)の前側面(30c)側から後側面(30d)側に向かう方向に延びている。つまり、挿入軸部(46)は、水平面に対して斜めに傾斜した軸心を有している。挿入軸部(46)は、太陽パネル(30)の揺動運動の中心軸(56)を構成している。
【0036】
図2および
図3に示すように、太陽パネル(30)は、パネル本体(30a)と、このパネル本体(30a)の背面に固定される複数(本実施形態の例では2つ)の桟部材(31)とを備えている。パネル本体(30a)は、上下に扁平な矩形板状に形成されている。パネル本体(30a)では、中心軸(56)の軸方向に直交する2つの側面のうち一方の側面が設置部に最も近い前側面(30c)となり、この前側面(30c)に対向する他方の側面が設置部から最も遠い後側面(30d)となるように傾斜して設けられている。パネル本体(30a)の表面は受光面(30b)を構成している。太陽パネル(30)は、太陽光を受光面(30b)で受けることによって直流電力を発生する。
【0037】
2つの桟部材(31)は、パネル本体(30a)の背面に固定されている。これらの桟部材(31)は、中心軸(56)の軸方向に所定の間隔を置いて配列される。2つの桟部材(31)のうち一方の桟部材(31)は、パネル本体(30a)の背面における前端と、パネル本体(30a)の前後方向の中間部との間に設けられている。2つの桟部材(31)のうち他方の桟部材(31)は、パネル本体(30a)の背面における後端と、パネル本体(30a)の前後方向の中間部との間に設けられている。桟部材(31)は、中心軸(56)と直交するように左右方向に延びる細長い角柱状の部材である。桟部材(31)は、その上面がパネル本体(30a)の背面に接合されている。桟部材(31)は、パネル本体(30a)の左右両端に亘って延びている。
【0038】
各桟部材(31)の左右方向の中間部には、連結部材(32a,32b)がそれぞれ固定されている。連結部材(32a,32b)は、下部側および上部側のピン部材(44a,44b)に対応して下部側の連結部材(32a)および上部側の連結部材(32b)とより構成されている。連結部材(32a,32b)は、上方に開口する略U字状(略コ字状)に構成されている。連結部材(32a,32b)は、基端部(33)と先端部(34)とを有している。
【0039】
基端部(33)は、桟部材(31)の後面(31c)から下面(31b)に亘って取り付けられる固定部(33)に形成されている。この固定部(33)は、桟部材(31)の後面(31c)に沿った縦壁部(33a)と、該縦壁部(33a)の下端部と連続しパネル本体(30a)の後側面(30d)側から前側面(30c)側に向かう方向に延びる横壁部(33b)とで構成される。先端部(34)は平板状の軸受部(34)に形成され、固定部(33)の先端(すなわち、横壁部(33b)の前端部)からパネル本体(30a)に向かって上方に折り曲げられている。つまり、上記軸受部(34)は、桟部材(31)の下面(31b)よりもパネル本体(30a)側に延びている。軸受部(34)には、ピン部材(44a,44b)の挿入軸部(46)の外径よりも僅かに大きい内径を有する軸孔(35)が形成されている。これらの軸孔(35)は、軸受部(34)に形成された貫通孔に保持されたベアリング(図示せず)の内部に形成されている。つまり、このベアリングは、ピン部材(44a,44b)の挿入軸部(46)を揺動可能に支持する。
【0040】
図2および
図3に示すように、太陽パネル(30)は、下部側および上部側のピン部材(44a,44b)の挿入軸部(46)を、下部側および上部側の連結部材(32a,32b)の軸受部(34)に形成された軸孔(35)にそれぞれ挿入することにより、上記支持機構(40)に揺動可能に支持されている。各挿入軸部(46)は、パネル本体(30a)の後側面(30d)に向かって軸孔(35)に挿入されている。
【0041】
パネル本体(30a)が支持機構(40)に支持された状態では、軸受部(34)の前面における軸孔(35)の外縁部が、挿入軸部(46)の鍔部(46a)に当接する。これにより、連結部材(32a,32b)、ひいては太陽パネル(30)が下方に移動することが規制され、太陽パネル(30)の位置決めがなされている。軸孔(35)は、桟部材(31)の下面(31b)よりもパネル本体(30a)に近い位置にある軸受部(34)に形成されている。このため、挿入軸部(46)により構成される中心軸(56)とパネル本体(30a)の背面との間の距離が、桟部材(31)の下面(31b)とパネル本体(30a)の背面との間の距離よりも小さくなる。
【0042】
図2に示すように、第1太陽パネルユニット(20a)には、駆動機構(50)が設けられている。この駆動機構(50)は、アクチュエータ(51)とプーリ(52)とワイヤ(53)と滑車(54)とを備えている。
【0043】
アクチュエータ(51)は、上記支持部材(43)の板状部(43b)の下面に設けられている。アクチュエータ(51)は、太陽パネル(30)を揺動させるとともに所定角度に維持するものである。アクチュエータ(51)は、例えば、回転式の空気圧アクチュエータである。
【0044】
アクチュエータ(51)は、板状部(43b)の下面に取付固定された本体(51a)と、この本体(51a)の上面中央から上方に延びる動力伝達軸(51b)とを備えている。動力伝達軸(51b)の先端には、円板状のプーリ(52)が取り付けられている。つまり、プーリ(52)は、動力伝達軸(51b)によって駆動されて回転する。プーリ(52)の周縁部には、二本のワイヤ(53)のそれぞれの一端が固定されている。これらのワイヤ(53)のそれぞれの他端は、アクチュエータ(51)よりも前側の板状部(43b)の上面に突設された滑車(54)を介して、下部側の連結部材(32a)の背面に固定されている。一方のワイヤ(53)の他端は、連結部材(32a)の後面における中心軸(56)よりも左側(
図2で手前側)に固定されている。他方のワイヤ(53)の他端は、連結部材(32a)の後面における中心軸(56)よりも右側(
図2で奥側)に固定されている。なお、ワイヤ(53)の他端が固定された部位と中心軸(56)との間の距離は、プーリ(52)の半径よりも小さく設定されている。従って、太陽パネル(30)の揺動角度は、アクチュエータ(51)の動力伝達軸(51b)の回転角度よりも大きくなる。
【0045】
−運転動作−
本実施形態の太陽パネルユニット(20a,20b)で構成された太陽光発電システム(10)では、太陽光の方向に応じて太陽パネル(30)の角度が調節される。
【0046】
この太陽光発電システム(10)では、例えば日射センサ(図示せず)が設けられ、太陽の方位が検出される。そして、太陽パネル(30)が太陽の方向を向くように、第1太陽パネルユニット(20a)のアクチュエータ(51)が制御される。
【0047】
第1太陽パネルユニット(20a)のアクチュエータ(51)が駆動されることにより、動力伝達軸(51b)が回転する。その回転力がプーリ(52)およびワイヤ(53)を介して連結部材(32a)に伝わり、太陽パネル(30)は中心軸(56)を中心に揺動する。この揺動により、太陽パネル(30)は、その受光面(30b)が太陽の方角を向く角度に調節される。このとき、太陽光発電システム(10)における複数の第2太陽パネルユニット(20b)の太陽パネル(30)は、リンク機構(55)を介して、第1太陽パネルユニット(20a)の太陽パネル(30)と同じ角度に調節される。
【0048】
−太陽パネルユニットの設置作業−
次いで、各太陽パネルユニット(20a,20b)を所定の設置部に設置する設置作業について
図4を参照しながら説明する。なお、この例の太陽パネルユニット(20a,20b)は、設置部である地面(G)に設置される。
【0049】
太陽パネルユニット(20a,20b)の設置作業の前には、工場等において、第1から第3までのユニット(U1,U2,U3)が製造される。第1ユニット(U1)は、上述した支柱部材(42)で構成される。第2ユニット(U2)は、上述した支持部材(43)で構成される。第3ユニット(U3)は、太陽パネル(30)と、該太陽パネル(30)の各桟部材(31)に固定される連結部材(32a,32b)とで構成される。これらのユニット(U1,U2,U3)は、それぞれ別体に構成されるため、各々の重量やサイズが小さくなる。従って、各ユニット(U1,U2,U3)を現地へ簡便に移送することができる。
【0050】
太陽パネルユニット(20a,20b)の設置作業では、まず、第1のユニット(U1)である支柱部材(42)を設置部に固定する工程(第1の工程)が行われる。この第1の工程では、支柱部材(42)のテーパ部(47)を地面(G)に打ち付け、支柱部材(42)を鉛直な状態として設置部に固定する(
図5を参照)。
【0051】
第1の工程の後には、第2のユニット(U2)である支持部材(43)を支柱部材(42)に取り付ける工程(第2の工程)が行われる。この第2の工程では、支持部材(43)の脚部(43a)の下端部(突出部(48))を支柱部材(42)の筒状部(42a)の内部に挿入する。この結果、突出部(48)が筒状部(42a)の内部に嵌合し、支持部材(43)が支柱部材(42)の上方に支持される。
【0052】
第2の工程の後には、第3のユニット(U3)(太陽パネル(30)および受け部材(44a,44b))を支持部材(43)の上方に取り付ける工程(第3の工程)が行われる。つまり、第3の工程では、太陽パネル(30)が支持機構(40)の上方に支持されるように、第3のユニット(U3)が支持部材(43)に取り付けられる。この第3の工程では、第3のユニット(U3)の各連結部材(32a,32b)を、対応するピン部材(44a,44b)の斜め上方に位置させる。そして、各ピン部材(44a,44b)の挿入軸部(46)が対応する軸孔(35)の内部に挿入されるように、第3のユニット(U3)を中心軸(56)の軸線方向に沿って斜め下方にスライドさせる。軸孔(35)の内部で挿入軸部(46)を更にスライドさせると、軸孔(35)の外縁部が挿入軸部(46)の鍔部(46a)に接触する。これにより、連結部材(32a,32b)のこれ以上の下方への移動が規制されるとともに、ピン部材(44a,44b)と連結部材(32a,32b)との相対的な位置が決定される。
【0053】
このように、本実施形態の太陽パネルユニット(20a,20b)の設置作業では、3つの分割された各ユニット(U1,U2,U3)が順に組み立てられる。このため、各ユニット(U1,U2,U3)が軽量化され、上述した各工程の作業の負荷が軽減される。具体的には、例えばこれらのユニット(U1,U2,U3)が一体化されて構成される場合、比較的大きな重量の太陽パネルユニット(20a,20b)を持ち上げながら、支柱部材(42)を地面(G)に打ち付ける必要があり、設置作業が繁雑となり、作業時間の長期化を招く。これに対し、本実施形態では、設置作業において、比較的軽量の各ユニット(U1,U2,U3)を取り扱うことになるので、設置作業が容易となり、作業時間の短縮化を図ることができる。
【0054】
−実施形態1の効果−
本実施形態の太陽パネルユニット(20a,20b)では、下部側および上部側のピン部材(44a,44b)によって構成される揺動運動の中心軸(56)が、桟部材(31)の下面(31b)よりもパネル本体(30a)に近い位置にある。つまり、中心軸(56)と太陽パネル(30)の重心とは互いに比較的近接している。よって、太陽パネル(30)の荷重によって中心軸(56)回りに生じるモーメントが小さくなるので、太陽パネル(30)を揺動させたり所定角度に維持したりするための力を比較的小さくすることができる。
【0055】
架台(41)は、支柱部材(42)と支持部材(43)とから構成されている。そして、支持部材(43)は支柱部材(42)に対して着脱可能である。よって、架台(41)の設置作業では各部材(42,43)を扱うだけの力があれば足り、かかる設置作業における作業者の負荷を低減できる。
【0056】
ピン部材(44a,44b)および連結部材(32a,32b)間の回転可能な連結は、ピン部材(44a,44b)の挿入軸部(46)を、連結部材(32a,32b)の軸受部(34)に形成された軸孔(35)に挿入することにより実現されている。よって、ピン部材(44a,44b)および連結部材(32a,32b)間の回転可能な連結を実現するための構成を簡易なものとすることができる。
【0057】
パネル本体(30a)は、水平面に対して傾斜して設けられ、設置部に近い前側面(30c)と設置部から遠い後側面(30d)とを有している。また、下部側および上部側のピン部材(44a,44b)の挿入軸部(46)は、双方とも前側面(30c)側から後側面(30d)側へ向かう方向に延びている。一方、下部側および上部側の連結部材(32a,32b)は、桟部材(31)の後面(31c)から下面(31b)に亘って取り付けられる固定部(33)と、この固定部(33)の先端からパネル本体(30a)に向かって上方に折り曲げて形成される軸受部(34)とから構成されている。この軸受部(34)には、挿入軸部(46)に対応する軸孔(35)が形成されている。挿入軸部(46)の軸孔(35)への挿入は、太陽パネル(30)の持ち上げおよびスライド移動によってなされるので、太陽パネルユニット(20a,20b)の設置作業において構成部材の分解や組立を必要とせず、かかる設置作業を容易化することができる。
【0058】
−実施形態1の変形例−
実施形態1の太陽パネルユニット(20a,20b)では、
図6に示すように、パネル本体(30a)の背面に設けられる桟部材(31)の位置を変更してもよい。
【0059】
具体的に、
図6に示す本変形例の太陽パネルユニット(20a,20b)では、パネル本体(30a)の背面における前後方向の両端部に桟部材(31)が設けられている。また、下部側および上部側のピン部材(44a,44b)は、各桟部材(31)に対応して板状部(43b)の上面に設けられている。
【0060】
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。本実施形態は、上記実施形態1の太陽パネルユニット(20a,20b)において、ピン部材(44a,44b)および連結部材(32a,32b)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の太陽パネルユニット(20a,20b)について、
図7を参照しながら、上記実施形態1と異なる点を説明する。
【0061】
図7に示すように、上部側のピン部材(44b)の挿入軸部(46)は、パネル本体(30a)の前側面(30c)側から後側面(30d)側に向かう方向に延びている。一方、下部側のピン部材(44a)の挿入軸部(46)は、パネル本体(30a)の後側面(30d)側から前側面(30c)側に向かう方向に延びている。挿入軸部(46)は、太陽パネル(30)の揺動運動の中心軸(56)を構成している。
【0062】
下部側および上部側の連結部材(32a,32b)は、上方に開口する略U字状(略コ字状)に構成されている。下部側の連結部材(32a)の基端部(33)は、桟部材(31)の前面(31a)から下面(31b)に亘って取り付けられる固定部(33)に形成されている。この固定部(33)は、桟部材(31)の前面(31a)に沿った縦壁部(33a)と、該縦壁部(33a)の下端部と連続しパネル本体(30a)の前側面(30c)側から後側面(30d)側に向かう方向に延びる横壁部(33b)とで構成される。下部側の連結部材(32a)の先端部(34)は、平板状の軸受部(34)に形成され、固定部(33)の先端からパネル本体(30a)に向かって上方に折り曲げられている。一方、上部側の連結部材(32b)の基端部(33)は、桟部材(31)の後面(31c)から下面(31b)に亘って取り付けられる固定部(33)に形成されている。この固定部(33)は、桟部材(31)の後面(31c)に沿った縦壁部(33a)と、該縦壁部(33a)の下端部と連続しパネル本体(30a)の後側面(30d)側から前側面(30c)側に向かう方向に延びる横壁部(33b)とで構成される。上部側の連結部材(32b)の先端部(34)は、平板状の軸受部(34)に形成され、固定部(33)の先端からパネル本体(30a)に向かって上方に折り曲げられている。各軸受部(34)には、ピン部材(44a,44b)の挿入軸部(46)の外径よりも僅かに大きい内径を有する軸孔(35)が形成されている。
【0063】
図7に示すように、太陽パネル(30)は、下部側および上部側のピン部材(44a,44b)の挿入軸部(46)を、下部側および上部側の連結部材(32a,32b)の軸受部(34)に形成された軸孔(35)にそれぞれ挿入することにより、支持機構(40)に揺動可能に支持されている。下部側のピン部材(44a)の挿入軸部(46)は、パネル本体(30a)の前側面(30c)に向かって軸孔(35)に挿入されている。一方、上部側のピン部材(44b)の挿入軸部(46)は、パネル本体(30a)の後側面(30d)に向かって軸孔(35)に挿入されている。その他の構成は上記実施形態1と同様である。
【0064】
−実施形態2の効果−
本実施形態の太陽パネルユニット(20a,20b)では、下部側および上部側のピン部材(44a,44b)によって構成される揺動運動の中心軸(56)が、桟部材(31)の下面(31b)よりもパネル本体(30a)に近い位置にある。つまり、中心軸(56)と太陽パネル(30)の重心とは互いに比較的近接している。よって、太陽パネル(30)の荷重によって中心軸(56)回りに生じるモーメントが小さくなるので、太陽パネル(30)を揺動させたり所定角度に維持したりするための力を比較的小さくすることができる。
【0065】
架台(41)は、支柱部材(42)と支持部材(43)とから構成されている。そして、支持部材(43)は支柱部材(42)に対して着脱可能である。よって、架台(41)の設置作業では各部材(42,43)を扱うだけの力があれば足り、かかる設置作業における作業者の負荷を低減できる。
【0066】
ピン部材(44a,44b)および連結部材(32a,32b)間の回転可能な連結は、ピン部材(44a,44b)を連結部材(32a,32b)の軸受部(34)に形成された軸孔(35)に挿入することにより実現されている。よって、ピン部材(44a,44b)および連結部材(32a,32b)間の回転可能な連結を実現するための構成を簡易なものとすることができる。
【0067】
−実施形態2の変形例1−
実施形態2の太陽パネルユニット(20a,20b)では、
図8に示すように、太陽パネル(30)の背面に設けられる桟部材(31)の位置を変更してもよい。
【0068】
具体的に、
図8に示す本変形例1の太陽パネルユニット(20a,20b)では、太陽パネル(30)の背面における前後方向の両端部に桟部材(31)が設けられている。また、下部側および上部側のピン部材(44a,44b)は、各桟部材(31)に対応して板状部(43b)の上面に設けられている。
【0069】
−実施形態2の変形例2−
実施形態2の太陽パネルユニット(20a,20b)では、
図9に示すように、パネル本体(30a)の背面に設けられる桟部材(31)の位置を変更し、かつピン部材(44a,44b)および連結部材(32a,32b)の構成を変更してもよい。
【0070】
具体的に、
図9に示す本変形例2の太陽パネルユニット(20a,20b)では、パネル本体(30a)の背面における前後方向の両端部に桟部材(31)が設けられている。また、下部側および上部側のピン部材(44a,44b)は、各桟部材(31)に対応して板状部(43b)の上面に設けられている。
【0071】
下部側のピン部材(44a)の挿入軸部(46)は、パネル本体(30a)の前側面(30c)側から後側面(30d)側に向かう方向に延びている。一方、上部側のピン部材(44b)の挿入軸部(46)は、パネル本体(30a)の後側面(30d)側から前側面(30c)側に向かう方向に延びている。挿入軸部(46)は、太陽パネル(30)の揺動運動の中心軸(56)を構成している。
【0072】
下部側および上部側の連結部材(32a,32b)は、上方に開口する略U字状(略コ字状)に構成されている。下部側の連結部材(32a)の基端部(33)は、桟部材(31)の後面(31c)から下面(31b)に亘って取り付けられる固定部(33)に形成されている。この固定部(33)は、桟部材(31)の後面(31c)に沿った縦壁部(33a)と、該縦壁部(33a)の下端部と連続しパネル本体(30a)の後側面(30d)側から前側面(30c)側に向かう方向に延びる横壁部(33b)とで構成される。下部側の連結部材(32a)の先端部(34)は、平板状の軸受部(34)に形成され、固定部(33)の先端からパネル本体(30a)に向かって上方に折り曲げられている。一方、上部側の連結部材(32b)の基端部(33)は、桟部材(31)の前面(31a)から下面(31b)に亘って取り付けられる固定部(33)に形成されている。この固定部(33)は、桟部材(31)の前面(31a)に沿った縦壁部(33a)と、該縦壁部(33a)の下端部と連続しパネル本体(30a)の前側面(30c)側から後側面(30d)側に向かう方向に延びる横壁部(33b)とで構成される。上部側の連結部材(32b)の先端部(34)は、軸受部(34)に形成され、固定部(33)の先端からパネル本体(30a)に向かって上方に折り曲げられている。各軸受部(34)には、ピン部材(44a,44b)の挿入軸部(46)の外径よりも僅かに大きい内径を有する軸孔(35)が形成されている。
【0073】
太陽パネル(30)は、下部側および上部側のピン部材(44a,44b)の挿入軸部(46)を、下部側および上部側の連結部材(32a,32b)の軸受部(34)に形成された軸孔(35)にそれぞれ挿入することにより、支持機構(40)に揺動可能に支持されている。下部側のピン部材(44a)の挿入軸部(46)は、パネル本体(30a)の後側面(30d)に向かって軸孔(35)に挿入されている。一方、上部側のピン部材(44b)の挿入軸部(46)は、パネル本体(30a)の前側面(30c)に向かって軸孔(35)に挿入されている。
【0074】
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、受け部材(44a,44b)が挿入軸部(46)を有し、かつ連結部材(32a,32b)に軸孔(35)が形成されているが、これに限らず、受け部材(44a,44b)に軸孔が形成され、かつ連結部材(32a,32b)が挿入軸部を有していてもよい。
【0075】
また、上記各実施形態では、連結部材(32a,32b)とピン部材(44a,44b)とはそれぞれ2つ設けられているが、これに限らず、それぞれ1つ設けられていてもよく、また、それぞれ3つ以上設けられていてもよい。
【0076】
さらに、上記各実施形態では、軸孔(35)が形成される連結部材(32a,32b)は略U字状(略コ字状)の部材であるが、これに限らず、軸孔(35)が桟部材(31)の下面(31b)よりもパネル本体(30a)に近い位置に形成されるのであれば、その他の任意の形状を有する部材であってもよい。
【0077】
また、上記各実施形態では、支持部材(43)は支柱部材(42)に対して着脱可能であるが、これに限らず、例えば、支持部材(43)は支柱部材(42)に固定されていてもよく、また、支持部材(43)と支柱部材(42)とは一体に形成されていてもよい。