(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した構成では、扁平な形状の単電池を短径方向に並べた複数の単電池に対して電池接続アセンブリを装着するものであるため、単電池の並び方向と同方向に延出する接続ユニットの長さも比較的短いものが用いられている。一方、接続ユニットの接続方向の長さについては、上記したような短い場合ではなく、長くなる場合もありうる。例えば、扁平な形状の単電池を電極端子を有する面において長径方向に並べて配列する場合には、接続ユニットの接続方向の長さが長くなりやすい。このように接続ユニットの接続方向の長さが長くなると接続ユニットと複数の単電池との間の寸法精度のばらつきが特に大きくなりやすく、電池接続アセンブリの装着の際に不具合が生じることが懸念される。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電池接続アセンブリの装着の際の不具合を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、正極及び負極の電極端子を有する複数の単電池を備えた電池モジュールにおいて隣り合う単電池の電極端子間を接続する接続部材を有する電池接続アセンブリであって、前記接続部材の接続方向における一方の側を保持する第1ユニットと、前記接続部材の接続方向における他方の側を保持する第2ユニットと、を備えており、前記第1ユニット及び前記第2ユニットの少なくとも一方は、前記接続部材に対して前記接続部材の接続方向
に移動可能に構成されており、前記接続部材は、金属からなる板状であり、前記接続部材には、被
止め部が設けられるとともに、前記第1ユニット及び前記第2ユニットの少なくとも一方
を前記被
止め部に対して前記接続方向
にクリアランスを有して
止め可能な
止め部が設けられているところに特徴を有する。
本構成によれば、複数の単電池とこれに装着される電池接続アセンブリとの間の寸法に誤差が生じた場合であっても、第1ユニット及び第2ユニットの少なくとも一方は、接続部材に対して接続部材の接続方向
に移動可能に構成されているため、接続部材を介して第1ユニットと第2ユニットとの間の相対的位置を寸法の誤差に応じて変化させることができる。よって、寸法の誤差等に起因した電池接続アセンブリの装着の際の不具合を防止することができる。
【0008】
上記構成に加えて以下の構成を有すればより好ましい。
(2)前記被
止め部は、前記接続部材の接続方向の側縁に設けられる。
例えば、接続部材以外の部分により各ユニットを単電池に固定した後に
、クリアランスの範囲で接続部材
の移動が可能となる。したがって、電極端子間の寸法に誤差が生じた場合であっても、
クリアランスの範囲で接続部材が接続方向に移動できるため、接続部材の組み付け作業を容易にすることができる。
【0009】
(3)前記
止め部及び被
止め部は、前記接続方向に複数箇所設けられている。
このようにすれば、
止め部及び被
止め部が一カ所の場合と比較して、より大きく寸法誤差を吸収することが可能になるため、より電池接続アセンブリの装着の際の不具合を防止することができる。
【0010】
(4)前記第1ユニット及び前記第2ユニットには、それぞれ前記接続部材とは異なる位置に前記単電池に対して位置決めするための位置決め部が設けられている。
位置決め部により第1ユニット及び第2ユニットの位置を位置決めすることができるため、その後に接続部材を固定する場合に接続部材の固定作業が容易になる。
【0011】
(5)電池接続アセンブリは、前記接続部材の貫通孔に棒状の電極端子又はボルトの軸部を挿通させて前記単電池に固定されるものであり、前記貫通孔は、前記接続部材の接続方向に長い長円形状をなす。
接続部材の貫通孔は、接続部材の接続方向に長い長円形状をなすため、電極端子間の寸法精度のばらつきによる寸法誤差があっても、この寸法誤差を吸収して接続部材の貫通孔に棒状の電極端子又はボルトの軸部を挿通することが可能になる。
【0012】
(6)電池接続アセンブリを装着した電池モジュールであって、前記複数の単電池は、扁平な形状で、かつ、前記電極端子を有する面における長径方向に並べられている。
単電池の寸法精度によって、電極端子の位置がばらつく。単電池の長径方向については、その径の長さから特に寸法精度にばらつきが生じやすいため、複数の単電池と電池接続アセンブリとの間の寸法誤差が大きくなりやすいが、本構成によれば、このような寸法誤差が生じやすい場合において寸法誤差に起因した不具合を防止できる。
【0013】
(7)前記複数の単電池は、前記電極端子を有する面における短径方向についても並べられており、前記短径方向に並んだ電極端子間を接続する他の接続部材を有する。
このようにすれば、複数の単電池の連結の自由度を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電池接続アセンブリの装着の際の不具合を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1を
図1〜
図9を参照しつつ説明する。
本実施形態の電池接続アセンブリ20は、
図9に示すように、正極及び負極の電極端子14A,14Bを有する複数の単電池11を備えた電池モジュール10において隣り合う単電池11の電極端子14A,14B間を接続部材21,25で接続するものである。この電池接続アセンブリ20が取り付けられた電池モジュール10は、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の車両の駆動源として使用される。以下では、上下方向については、
図9を基準とし、前後方向については、
図8の左方を前方、右方を後方として説明する。
【0017】
電池モジュール10は、
図8に示すように、例えば4個(複数個)の単電池11と、4個の単電池11を直列に接続する接続部材21,25を有する電池接続アセンブリ20とを備えて構成されている。
単電池11は、
図9に示すように、内部に図示しない発電要素が収容された本体部12と、本体部12の上面(端子面12A)から垂直に突出する端子部13とを有する。
【0018】
本体部12は、扁平な直方体状(概ね単電池全体の形状と同じ)であり、この本体部12の上面が端子部13を有する端子面12A(電極端子を有する面)とされている。この端子面12Aは前後方向に長い長方形状をなす。
端子部13は、前後一対の円筒形状の電極端子14A,14B(正極を14A,負極を14Bとして図示)と、一対の電極端子14A,14Bの中間部に設けられた角筒状の電圧検知用の端子15とからなる。
【0019】
各電極端子14A,14Bは円筒状のナット(上面穴付き丸ナット)であって、中心に円形のネジ孔が貫通形成されている。電圧検知用の端子15は、角筒状のナット(四角ナット)であって、中心に円形のネジ孔が貫通形成されている。これらのナットに、ボルト17の軸部を螺合させて各接続部材21,25や電圧検知端子30を固定する。
電圧検知用の端子15は、電極端子14A,14Bのほぼ中間の電圧を検知する。
【0020】
4個の単電池11は、
図8に示すように、前後方向(端子面12Aにおける長径方向)に2個(複数)並べられているとともに、左右方向(端子面12Aにおける短径方向)にも2個(複数)並べられている。各単電池11の向きは、電極端子14A,14Bの極性(正負)が端子面12Aの短径方向について、隣り合う電極端子14A,14Bの極性が反対になるように配置される。
そして、これら4個の単電池11は図示しない保持板によって固定されている。
【0021】
電池接続アセンブリ20は、異なる単電池11間について前後に所定距離隔てて隣り合う電極端子14A,14B間を接続する長尺接続部材21(本発明の構成である「接続部材」の一例)と、前記電極端子14A,14B間(長尺接続部材21)よりも短い距離で左右に隣り合う単電池11の電極端子14A,14B間を接続する短尺接続部材25(「他の接続部材」の一例)と、単電池11の直列接続の端部において外部に接続される端部接続部材27と、複数の電圧検知端子30と、前方側(一方の側)の2個の単電池11に装着され長尺接続部材21の前方側(接続方向における一方の側)を保持する第1ユニット33と、後方側(他方の側)の2個の単電池11に装着され長尺接続部材21の後方側(接続方向における他方の側)を保持する第2ユニット51とを備えて構成されている。
【0022】
長尺接続部材21は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属からなり、
図7に示すように、接続する電極端子14A,14B間の寸法に応じた長さ(長尺)の板状をなし、前後の端部側には、ボルト17の軸部が挿通される(電極端子14A,14Bのネジ孔と連通する)通し孔22(「貫通孔」の一例)が一対貫通形成されている。
この通し孔22の形状は、前後方向(接続方向)に長い長円形状または円形状をなす。
【0023】
長尺接続部材21の左右の側縁のうち、前後方向において通し孔22の位置(電極端子14A,14Bの位置)の近傍には、当該側縁を前後方向に長い長方形状(段差状)に切り欠いて形成された(長尺接続部材の幅寸法を段差状に狭くして形成された)被係合部23が左右一対形成されている。この被係合部23の左右の端部は、テーパ状に角が取られている。
【0024】
短尺接続部材25は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)等の金属からなり、
図1に示すように、左右に接続する電極端子14A,14B間の寸法に応じた長さの略長方形の板状をなし、ボルト17の軸部が挿通される通し孔26が左右方向(接続方向)に一対貫通形成されている。
【0025】
端部接続部材27は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)等の金属からなり、ボルト17の軸部が挿通される通し孔28が前方側に形成されるとともに、後方側には外部のインバータ等に連なる電線端末の端子に接続するための外部接続端子29が円柱状に突出して設けられている。
【0026】
電圧検知端子30は、単電池11の電圧を検知するためのものであって、矩形状の平板部の後方に電圧検知用電線Wが圧着される圧着部を備える。
平板部の中心部にボルト17の軸部を挿通可能な円形の通し孔31が形成されている。圧着部は、電圧検知用電線Wの端末において露出させた芯線部分を圧着する。
【0027】
電圧検知用電線Wは、図示しない電池ECUに接続される。電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、単電池11の電圧・電流・温度等の検知、各単電池11の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0028】
第1ユニット33は、合成樹脂製であって、
図5に示すように、短尺接続部材25を収容する短尺用収容部34と、電圧検知端子30を収容する検知用収容部39と、長尺接続部材21の長手方向(接続方向)の一方の側を保持する第1保持部43と、検知用収容部39の裏面側に設けられ電圧検知用の端子15が嵌め込まれて位置決めされる位置決め部50(
図4)とを備えている。
【0029】
短尺用収容部34は、第1ユニット33の前端部に設けられており、短尺接続部材25が載置される底板35と、短尺接続部材25を包囲する角筒状の収容壁36と、短尺接続部材25を短尺用収容部34内に係止する一対の係止部37とが設けられている。
底板35は、収容壁36の左右方向の中間部において対向する収容壁36の基端部間を連結する。
【0030】
この底板35の左右は矩形状の開口部38となっている。この開口部38は、円筒形状の電極端子14A,14Bが進入可能な大きさとなっており、開口部38の前後方向の径は、前後方向にわずかな隙間を有して電極端子14A,14Bの上端が進入可能な寸法に設定されている。
収容壁36は、工具等が短尺接続部材25やボルト17の頭部に接触して短絡することを防止できる高さに設定されている。
【0031】
係止部37は、収容壁36のうち、底板35の前後の端部の上方に形成されており、短尺接続部材25の(縁部の)上面側に係止して短尺接続部材25の離脱を規制する。
各係止部37は、下方に向けて傾斜状に突出寸法が高くなる傾斜面を有する形状であって、その下端は、収容壁36の内面に対して段差状に突出している。この係止部37は、左右一対のスリットの間に形成された撓み片の先端部(下端部)に形成されている。
【0032】
短尺接続部材25の装着は、短尺接続部材25の側縁を一方の係止部37の下方に進入させ、他方の側縁を傾斜面に摺接させて係止部37の下に押し込むことにより、短尺接続部材25を装着することができる。
検知用収容部39は、電圧検知端子30に嵌合して電圧検知端子30を位置決めする端子装着部41を備えており、単電池11の電圧検知用の端子15の上端部が進入可能な矩形状の開口部40を有する。
【0033】
第1保持部43は、長尺接続部材21が載置される底板44と、長尺接続部材21の前方側の部分について後端を開放した状態で三方を包囲する周壁47と、周壁47の内面側に突出し、長尺接続部材21の側縁部の上面側に係止する複数の係止部48と、長尺接続部材21の被係合部23に係合することにより長尺接続部材21の前後方向の移動(位置ずれ)を所定範囲内で許容する係合部49とが設けられている。
【0034】
底板44の前方には、当該底板44が設けられていない開口部45が形成されている。開口部45は、電極端子14A,14Bの上端部が進入可能な部分であり、幅方向の中間部には、前後一対の切欠部45Aが形成されている。
【0035】
この切欠部45Aは、電極端子14A,14Bが円筒形状であるために電極端子14A,14Bの前後に突出する幅方向の中間部に対応して(中間部から逃げるように)形成されており、これにより、開口部38は、電極端子14A,14Bについて前後方向にやや隙間を残して進入可能となっている。
周壁47は、工具等が電極端子14A,14B及び接続部材に接触して短絡することを防止できる高さで形成されており、前端部の端壁47Aと、左右一対の側壁47B,47Bとからなる。
側壁47B,47Bの後端部は、段差状にわずかに拡径しており、第2ユニット51の段差状にわずかに縮径した側壁55B,55Bと嵌まり合うことにより両ユニット33,51間が位置決めされる。
【0036】
係止部48は、側壁47B,47Bの前後に設けられており、それぞれ側壁47B,47Bの基端部から内方側に左右一対突出している。各係止部48は、下方に向けて傾斜状に突出寸法が高くなる傾斜面を有する形状であって、下端は、周壁47に対して段差状に突出している。この係止部48は、左右一対のスリットの間に形成された撓み片の先端部(下端部)に形成されている。
【0037】
係止部48の係止強さ(主に底板44との間の寸法によって決まる係止力の強さ)は、長尺接続部材21が底板44と係止部48との間から離脱せず、かつ、長尺接続部材21が前後にスライド移動可能な程度に設定される。そして、長尺接続部材21の装着の際には、長尺接続部材21の側縁を一方の係止部48の下方に進入させ、他方の側縁を傾斜面に摺接させて係止部48の下に押し込むことにより、長尺接続部材21を装着することができる。
【0038】
係合部49は、長尺接続部材21の被係合部23に対応する位置、具体的には、前端部の開口部45を有する位置における側壁47B,47Bの基端部に、内方側に長方形状(段差状)に突出している。係合部49の突出寸法は、被係合部23の長尺接続部材21の側面からの切欠き深さ寸法より僅かに小さい。係合部49の上下方向の位置は長尺接続部材21と同じ位置とされる。なお、係合部49の角部は、テーパ状に角が取られている。
【0039】
係合部49の前後方向(長尺接続部材21の接続方向)の長さは、被係合部23の前後方向の長さよりもやや短い。具体的には、
図2に示すように、被係合部23は、係合部49の前後に所定のクリアランスCL1,CL2(隙間)を加えた寸法とされている。
これにより、長尺接続部材21は、第1ユニット33に対して所定のクリアランスCL1,CL2の範囲(CL1+CL2)で前後方向にスライド移動可能となっている。
【0040】
位置決め部50は、
図4に示すように、検知用収容部39の裏面側にて開口部40を囲むように設けられる一対の位置決め枠50A,50Aにより形成される。一対の位置決め枠50A,50Aは、共に互いに向かい合うコ字状であって、内側に角筒状(矩形状)の電圧検知用の端子15の上端部がほぼ隙間なく収容される(嵌合する)ことにより、この電圧検知用の端子15の位置に位置決めされる。
【0041】
第2ユニット51は、合成樹脂製であって、
図6に示すように、長尺接続部材21の後方側(接続方向の他方の側)を保持する第2保持部52と、電圧検知用端子を収容する検知用収容部61と、端部接続部材27を収容する端部用収容部64と、検知用収容部39の裏面側に設けられ電圧検知用の端子15が嵌め込まれて位置決めされる位置決め部60(
図4)とを備えている。
【0042】
第2保持部52は、概ね第1ユニット33の第1保持部43と対称な形状であり、長尺接続部材21を載置する底板53と、長尺接続部材21の後方側の部分について前端を開放した状態で3方を包囲する周壁55と、周壁55の内面側に突出し、長尺接続部材21の側縁部の上面側に係止する複数の係止部56と、長尺接続部材21の被係合部23に係合することにより長尺接続部材21の前後方向の移動(位置ずれ)を所定範囲内で許容する係合部57とが設けられている。
【0043】
底板53の後方には、当該底板53が設けられていない開口部54が形成されている。開口部54は、電極端子14A,14Bの上端部が進入可能な部分であり、幅方向の中間部には、前後一対の切欠部54Aが形成されている。この切欠部54Aは、電極端子14A,14Bが円筒形状であるために電極端子14A,14Bの前後に突出する幅方向の中間部に対応して(中間部から逃げるように)形成されており、これにより、開口部54は、電極端子14A,14Bについて前後方向に隙間を残して進入可能となっている。
【0044】
周壁55は、工具等が電極端子14A,14B及び接続部材に接触して短絡することを防止できる高さで形成されており、後端部の端壁55Aと、左右一対の側壁55B,55Bとからなる。
【0045】
係止部56は、側壁55B,55Bに前後一対設けられており、それぞれ側壁55B,55Bの基端部から内方側に左右一対突出している。各係止部56は、下方に向けて傾斜状に突出寸法が高くなる傾斜面を有する形状であって、下端は、周壁55に対して段差状に突出している。この係止部56は、左右一対のスリットの間に形成された撓み片の先端部(下端部)に形成されている。
【0046】
係止部56の係止強さ(主に底板53との間の寸法によって決まる係止力の強さ)は、長尺接続部材21が底板53と係止部56との間から離脱せず、かつ、長尺接続部材21が前後にスライド移動可能な程度に設定される。そして、長尺接続部材21の装着の際には、長尺接続部材21の側縁を一方の係止部56の下方に進入させ、他方の側縁を傾斜面に摺接させて押し込むことにより、長尺接続部材21を装着することができる。
【0047】
係合部57は、長尺接続部材21の被係合部23に対応する位置、具体的には、前端部の開口部54が形成された位置において側壁55B,55Bの基端部に内方側に長方形状(段差状)に突出している。係合部57の突出寸法は、被係合部23の長尺接続部材21の側面からの切欠き深さ寸法より僅かに小さい。係合部57の上下方向の位置は長尺接続部材21の被係合部23と同じである。なお、係合部57の角部は、テーパ状に角が取られている。
【0048】
ここで、係合部57の前後方向(長尺接続部材21の接続方向)の長さは、被係合部23の前後方向の長さよりも小さい。具体的には、被係合部23は、係合部57の前後に所定のクリアランスCL1,CL2を加えた寸法とされている。
これにより、長尺接続部材21は、第2ユニット51に対して所定のクリアランスCL1,CL2の範囲(CL1+CL2)で前後方向にスライド移動可能となっている。
位置決め部60は、第1ユニット33の位置決め部50と同様である。
検知用収容部61は、第1ユニット33の検知用収容部39と同様である。
端部用収容部64は、第2ユニット51の後端部に左右一対設けられており、端部接続部材27が載置される底板65と、端部接続部材27を後方を開放して包囲する収容壁67と、端部接続部材27を端部用収容部64内に係止する一対の係止部68とが設けられている。
【0049】
底板65の前端部側は、矩形状の開口部66となっている。この開口部66は、円筒形状の電極端子14A,14Bが進入可能な大きさとなっており、開口部66の前後方向の径は、前後方向にわずかな隙間を有して電極端子14A,14Bの上端部が進入可能な寸法に設定されている。
収容壁67は、工具等が端部接続部材27やボルト17の頭部に接触して短絡することを防止できる高さに設定されている。
【0050】
係止部68は、収容壁67のうち、前後方向の中間部に形成されており、下方に向けて傾斜状に突出寸法が高くなる傾斜面を有する形状であって、その下端は、収容壁67の内面に対して段差状に突出している。この係止部68は、左右一対のスリットの間に形成された撓み片の先端部(下端部)に形成されている。この係止部68は、端部接続部材27の(縁部の)上面側に係止して端部接続部材27の離脱を規制する。
【0051】
次に、電池接続アセンブリ20の取り付けについて説明する。
まず、第1ユニット33及び第2ユニット51を互いの第1保持部43及び第2保持部52が連なるように並べ、各接続部材21,25,27を装着するとともに電圧検知用電線Wを圧着した電圧検知端子30を装着した電池接続アセンブリ20を形成する(
図1)。
【0052】
次に、各ユニット33,51の各位置決め部50,60が複数の単電池11の各電圧検知用の端子15に位置決めされるように装着する。単電池11の寸法精度のばらつきによって位置決めの基準となる電圧検知用の端子15(端子部13)の間隔に誤差が生じていても、係合部49,57と被係合部23との間のクリアランスCL1,CL2の間隔を前後の係合部49,57(被係合部23)の数である2個分加えた間隔(2×(CL1+CL2))だけ位置決め部50,60間の間隔を調整できる(第1ユニット33及び第2ユニット51を相対的に前後に移動できる)ため、電池接続アセンブリ20を容易に位置決めできる。この位置決め部50,60が位置決めされた状態では、長尺接続部材21は、係合部49,57と被係合部23との間のクリアランスCL1,CL2の間隔(CL1+CL2)だけ前後にスライド移動可能である。
【0053】
そして、長尺接続部材21の一方の通し孔22にボルト17の軸部を通し、長尺接続部材21を電極端子14A,14Bとの間でボルト締めする。このとき、通し孔22と電極端子14A,14Bの位置がずれていても、長尺接続部材21がスライド移動可能であること及び通し孔22が前後方向に長い長円形状であるため、これらにより寸法の誤差を吸収でき、ボルト締めが容易になる。
【0054】
次に、長尺接続部材21の他方の通し孔22にボルト17の軸部を通し、電極端子14A,14Bにボルト締めする。このとき、長尺接続部材21の位置は固定されているが、通し孔22が前後方向に長い長円形状であるため、これにより寸法の誤差を吸収することができ、ボルト締めが容易になる。
次に、各短尺接続部材25を各電極端子14A,14Bにボルト17によりボルト締めする。なお、この短尺接続部材25のボルト締めを長尺接続部材21のボルト締めの前に行うことも可能である。
【0055】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)電池接続アセンブリ20は、前方側(接続部材の接続方向における一方の側)を保持する第1ユニット33と、後方側(接続部材の接続方向における他方の側)を保持する第2ユニット51と、を備えており、第1ユニット33及び第2ユニット51(の少なくとも一方)は、長尺接続部材21(接続部材)に対して前後方向(接続部材の接続方向)にスライド移動可能に構成されている。
このようにすれば、複数の単電池11とこれに装着される電池接続アセンブリ20との間の寸法に誤差が生じた場合であっても、第1ユニット33及び第2ユニット51(の少なくとも一方)は、長尺接続部材21に対して前後方向(接続部材の接続方向)にスライド移動可能に構成されているため、長尺接続部材21を介して第1ユニット33と第2ユニット51との間の相対的位置を寸法の誤差に応じて変化させることができる。よって、寸法の誤差等に起因した電池接続アセンブリ20の装着の際の不具合を防止することができる。
【0056】
(2)長尺接続部材21(接続部材)の接続方向の側縁には、被係合部23が設けられるとともに、第1ユニット33及び第2ユニット51(の少なくとも一方)には、被係合部23に対して接続方向に所定のクリアランスCL1,CL2を有して係合可能な係合部49,57が設けられている。
例えば、長尺接続部材21以外の部分により各ユニット33,51を単電池11に固定した後に、所定のクリアランスCL1,CL2の範囲で長尺接続部材21のスライド移動が可能となる。したがって、電極端子14A,14B間の寸法に誤差が生じた場合であっても、所定のクリアランスCL1,CL2の範囲で長尺接続部材21が接続方向に移動できるため、長尺接続部材21の組み付け作業を容易にすることができる。
【0057】
(3)係合部49,57及び被係合部23は、前後方向(接続方向)に複数箇所設けられているため、係合部49,57及び被係合部23が一カ所の場合と比較して、より大きく寸法誤差を吸収することが可能になり、より電池接続アセンブリ20の装着の際の不具合を防止することができる。
(4)第1ユニット33及び第2ユニット51には、それぞれ長尺接続部材21(接続部材)とは異なる位置に単電池11に対して位置決めするための位置決め部50,60が設けられているため、位置決め部50,60により第1ユニット33及び第2ユニット51の位置を位置決めすることができ、その後に接続部材21を固定する場合に接続部材21の固定作業が容易になる。
【0058】
(5)電池接続アセンブリ20は、接続部材21の通し孔22(貫通孔)にボルト17の軸部を挿通させて単電池11に固定されるものであり、通し孔22は、前後方向(接続部材の接続方向)に長い長円形状をなす。
このように、接続部材21の通し孔22(貫通孔)は、前後方向に長い長円形状をなすため、電極端子14A,14B間の寸法精度のばらつきによる寸法誤差があっても、この寸法誤差を吸収して長尺接続部材21の通し孔22にボルト17の軸部を挿通することが可能になる。
【0059】
(6)複数の単電池11は、扁平な形状で、かつ、電極端子14A,14Bを有する面における長径方向に並べられている。
単電池11の寸法精度によって、電極端子14A,14Bの位置がばらつく。単電池11の長径方向については、その径の長さから特に寸法精度にばらつきが生じやすいため、複数の単電池11と電池接続アセンブリ20との間の寸法誤差が大きくなりやすいが、本実施形態によれば、このような寸法誤差が生じやすい場合において寸法誤差に起因した不具合を防止することができる。
【0060】
(7)複数の単電池11は、左右方向(電極端子14A,14Bを有する面における短径方向)についても並べられており、左右方向(短径方向)に並んだ電極端子14A,14B間を接続する短尺接続部材25(他の接続部材)を有するため、複数の単電池11の連結の自由度を大きくすることができる。
【0061】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、係合部49,57及び被係合部23を第1ユニット33及び第2ユニット51の双方に設けることとしたが、これに限らず、係合部49,57及び被係合部23を第1ユニット33及び第2ユニット51のいずれか一方に設けるようにしてもよい。このようにしても、少なくとも一方のユニットに設けられる係合部49,57及び被係合部23によるクリアランスCL1,CL2により電池接続アセンブリ20の装着の際の不具合を防止することができる。
【0062】
(2)係合部49,57及び被係合部23を設けず、長尺接続部材21を各ユニット33,51に対してスライド移動可能に構成してもよい。例えば、範囲を規制せず(クリアランスに関わらず)スライド移動可能に構成してもよい。
(3)上記実施形態では、長尺接続部材21を各ユニット33,51に対してスライド移動可能に構成したが、長尺接続部材21よりも短い接続部材をスライド移動させるようにしてもよい。例えば、短尺接続部材25を介して2つのユニットを接続し、短尺接続部材25をスライド移動可能に構成してもよい。この場合、短尺接続部材25に被係合部を設け、2つのユニットに係合部を設けるようにしてもよい。
【0063】
(4)上記実施形態では、被係合部23を長尺接続部材21に凹設し、係合部49,57を各ユニット33,51に凸設するようにしたが、これに限らず、被係合部を長尺接続部材21に凸設し、係合部を各ユニット33,51に凹設するようにしてもよい。
(5)上記実施形態では、単電池11の端子部13がナット形で別部材のボルト17を用いて締結する構成であったが、これに限らず、端子部が外周面にネジ溝を有する棒状の軸部を有する構成とし、別部材のナットを締結することにより、接続部材を端子部に固定する構成としてもよい。なお、この場合には、各接続部材の通し孔には、端子部の軸部が通されることになる。
【0064】
(6)上記実施形態では、複数の単電池11を直列に接続する場合について説明したが、これに限られず、複数の単電池11を並列に接続する場合について適用してもよい。
(7)電池モジュール10を構成する単電池11の数については、4個としたが、これに限られず、3個以下又は5個以上でもよく、電池接続アセンブリの構成も単電池の数に応じて設定することができる。
【0065】
(8)上記実施形態では、電池接続アセンブリ20には、長尺接続部材21が2本装着されるものであったが、これに限らず、1本又は3本以上であってもよい。また、複数の単電池11に対して、複数の電池接続アセンブリ(長尺接続部材の本数も任意に設定することができる)を装着することにより電池モジュールを構成するものであってもよい。