特許第5790843号(P5790843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5790843
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】蓄電装置および二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20150917BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20150917BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20150917BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALN20150917BHJP
【FI】
   H01M10/04 Z
   H01M2/34 B
   H01M2/26 A
   !H01M10/0585
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-123933(P2014-123933)
(22)【出願日】2014年6月17日
【審査請求日】2015年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】弘瀬 貴之
(72)【発明者】
【氏名】奥田 元章
(72)【発明者】
【氏名】西原 寛恭
(72)【発明者】
【氏名】田丸 耕二郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 知広
【審査官】 渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−036793(JP,A)
【文献】 特開2003−178794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 2/26
H01M 2/34
H01M 10/0585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される蓄電装置であって、
内部に電解液が収容されたケースと、
前記ケースに収容され、前記電解液中に沈んでいる電極組立体と、
前記ケースに固定され、前記電極組立体に電気的に接続された端子と、を備え、
前記ケースが水平に置かれた状態から20.0°〜30.0°の範囲で傾いたときに、電解液の液面が、前記電極組立体の頂部より高い位置にあり、
前記電極組立体は、前記端子に電気的に接続された集電タブを備え、
前記集電タブは、撓んだ状態でケースに収容されていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記ケースの上端部には、開口部が形成された蓋体が配置されており、
前記端子は、前記蓋体の前記開口部に固定されており、
前記蓋体の下面と端子との間に配置された絶縁部材を更に備え、
前記ケースが水平に置かれた状態において、電解液の液面が、前記絶縁部材より低い位置にあることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記電極組立体の角に面取り部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記蓄電装置は、二次電池である請求項1から3のいずれかに記載の蓄電装置。
【請求項5】
車両に搭載される蓄電装置であって、
内部に電解液が収容されたケースと、
前記ケースに収容され、前記電解液中に沈んでいる電極組立体と、
前記ケースに固定され、前記電極組立体に電気的に接続された端子と、を備え、
前記ケースが水平に置かれた状態から20.0°〜30.0°の範囲で傾いたときに、電解液の液面が、前記電極組立体の頂部より高い位置にあり、
前記電極組立体の角に面取り部が形成されていることを特徴とする蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、蓄電装置および二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載され、充電および放電ができる蓄電装置の開発が進められている。特許文献1には蓄電装置が開示されている。特許文献1の蓄電装置は、電解液が収容されたケースと、ケースに収容された電極組立体とを備えている。充電時または放電時には、ケースに収容された電解液および電極組立体が反応する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−317492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電装置は、水平に置かれた状態から斜めに傾くことがある。例えば、蓄電装置を搭載した車両が斜面を走行するときに、蓄電装置が傾くことがある。蓄電装置が傾くと、充電および放電が良好に行われないことがある。そこで本明細書は、水平におかれた状態から傾いても良好に作動する蓄電装置および二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する蓄電装置は、車両に搭載される蓄電装置であって、内部に電解液が収容されたケースと、ケースに収容され、前記電解液中に沈んでいる電極組立体と、ケースに固定され、電極組立体に電気的に接続された端子とを備えている。ケースが水平に置かれた状態から20.0°〜30.0°の範囲で傾いたときに、電解液の液面が、電極組立体の頂部より高い位置にある。
【0006】
このような構成によれば、ケースが水平におかれた状態から傾いたとしても、電極組立体の全体が電解液中に沈んでいるので、電極組立体が電解液と良好に反応し、蓄電装置が良好に作動する。なお、ケースが傾いたときに電解液の液面が電極組立体の頂部より低い位置にあると、電極組立体のうち電解液に沈まない部分が生じ、電解液と電極組立体が良好に反応しない場合がある。このような構成では、電解液と電極組立体が良好に反応しないことにより、蓄電装置の充電および放電が良好に行われないことがある。
【0007】
上記の蓄電装置において、ケースは、開口部が形成された蓋体を備えていてもよい。端子は、蓋体の開口部に固定されていてもよい。蓄電装置は、蓋体の下面と端子との間に配置された絶縁部材を更に備えていてもよい。ケースが水平に置かれた状態において、電解液の液面が、絶縁部材より低い位置にあってもよい。
【0008】
また、電極組立体は、端子に電気的に接続された集電タブを備えていてもよい。集電タブは、撓んだ状態でケースに収容されていてもよい。
【0009】
電極組立体の角に面取り部が形成されていてもよい。
【0010】
上記の各蓄電装置は、二次電池であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】蓄電装置が搭載された車両の側面図である。
図2】蓄電装置の断面図である。
図3】傾いた状態における蓄電装置の断面図である。
図4図3の要部IVの拡大図である。
図5】電極組立体の分解斜視図である。
図6図2のIV−IV断面図である。
図7図2の要部IIの拡大図である。
図8】通電状態における図2の要部IIIの拡大図である。
図9】非通電状態における図2の要部IIIの拡大図である。
図10】通電板の裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について添付図面を参照して説明する。図1に示すように、蓄電装置1は、車両101に搭載される。車両101としては、例えばフォークリフトなどの産業用車両を例示できる。車両101は、傾いた斜面を走行可能である。車両101は、最大で24.2°(勾配45%)傾いた斜面を走行することができる。
【0013】
図2に示すように、蓄電装置1は、ケース11と、ケース11に収容された電極組立体12と、ケース11に固定された端子13(正極端子131および負極端子132)とを備えている。電極組立体12と端子13は電気的に接続されている。また、蓄電装置1は、端子13と電極組立体12の間に配置された電流遮断装置10を備えている。蓄電装置1は、例えばリチウムイオン電池などの二次電池である。
【0014】
ケース11は、略直方体形状の箱型部材である。ケース11は、金属製であり、例えばステンレスやアルミニウムから形成されている。ケース11は、本体111と、本体111に固定された蓋体112とを備えている。蓋体112は、本体111の上部を覆っている。すなわち、ケース11の上端部に蓋体112が配置されている。ケース11の本体111の内部には、電解液が収容されている。ケース11の蓋体112には、正極用の開口部85と、負極用の開口部86が形成されている。正極用の開口部85には正極端子131が固定される。負極用の開口部86には、負極端子132が固定される。ケース11は、車両101が水平面を走行しているときは、水平に置かれている。ケース11は、車両101が斜面を走行しているときは、水平に置かれた状態から傾く。車両101が傾くと、それに応じてケース11が傾く。車両101が斜面を走行することにより車両101の前輪が後輪より高い位置に来る場合、あるいは、後輪が前輪より高い位置に来る場合には、それに応じてケース11が車両101と同じ向き、及び同じ角度で傾く。また、ケース11が傾くと、ケース11に収容された電極組立体12も傾く。ケース11および電極組立体12は、最大で30°傾く。車両101が24.2°傾くと、ケース11および電極組立体12が30°傾く。図2は、ケース11が水平に置かれた状態を示しており、図3は、ケース11が傾いた状態を示している。図2に示すように、ケース11が水平に置かれた状態は、ケースの底面113が水平に置かれた状態を意味する。図3に示すように、ケース11が傾いた状態は、ケースの底面113が水平に対して傾いている状態を意味する。また、ケース11が傾いた状態は、図3に示すように、ケース11内の電極組立体12の最も大きい表面を視た状態で、この表面と平行な方向に沿って回転した状態を意味する。
【0015】
ケース11に収容された電解液は、非水系の溶媒に支持塩(電解質)を溶解させた非水電解液であることが好ましい。非水系の溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状エステルを含んでいる溶媒、酢酸エチル、プロピロン酸メチルなどの溶媒、又はこれらの混合液を使用することができる。また、支持塩(電解質)として、例えば、LiPF、LiBF、LiAsF等を使用することができる。電解液には、芳香族系のモノマー添加剤が含まれている。
【0016】
電極組立体12は、略長方形状に形成されている。電極組立体12は、ケース11の内部に配置されている。電極組立体12は、面取り部400を有している。面取り部400は、電極組立体12の角を斜めに除去することにより形成されている。面取り部400は、電極組立体12の上部および下部の角に形成されている。面取り部400は、電極組立体12の四隅に形成されている。電極組立体12は、水平に配置されている。電極組立体12は、電解液中に沈んでいる。ケース11が水平に置かれた状態において、電解液の液面Lは、電極組立体12より高い位置にある。また、ケース11が水平に置かれた状態から傾いたときに、図4に示すように、電解液の液面Lの高さは、電極組立体12の頂部14より高い位置にある。すなわち、ケース11が水平に置かれた状態であっても、ケース11が水平に置かれた状態から傾いたときであっても、電極組立体12の全体が電解液の中に沈んでいる。電極組立体12の頂部14は、ケース11が傾いたときに、電極組立体12の最も高い位置にある部分である。図4では、ケース11が水平に置かれた状態から傾いたときの電極組立体12の角部分を拡大して示している。電極組立体12の頂部14は、ケース11が傾いたときに電解液中に沈んでいる。ケース11が水平に置かれた状態から20.0°〜30.0°の範囲で傾いたときに、電解液の液面Lが、電極組立体12の頂部14より高い位置にある。電極組立体12の角が面取りされることにより、電極組立体12が傾いたときに、電極組立体12の頂部14の高さ位置が、面取りされていない場合よりも低くなる。面取り部400は、電解液中に沈んでいる。
【0017】
電極組立体12は、図5に示すように、正極シート121と、負極シート122と、正極シート121と負極シート122の間に配置されたセパレータ123とを備えている。電極組立体12は、複数の正極シート121、複数の負極シート122、および複数のセパレータ123が積層された構成である。正極シート121及び負極シート122は、集電体と、集電体上に形成されている活物質層とを備えている(いずれも図示省略)。蓄電装置1が過充電状態や過放電状態になると、電極組立体12からガスが発生してケース11内の圧力が上昇する。
【0018】
正極シート121、負極シート122およびセパレータ123は、それぞれ、面取り部401、402、403を有している。正極シート121、負極シート122、およびセパレータ123の面取り部401、402、403が重なることにより、電極組立体12の面取り部400が形成されている。
【0019】
また、電極組立体12は、集電タブ(正極集電タブ81および負極集電タブ82)を備えている。正極集電タブ81は正極シート121の上端部に形成されている。負極集電タブ82は負極シート122の上端部に形成されている。正極集電タブ81および負極集電タブ82は上方に突出している。正極集電タブ81は正極リード83に固定されている。負極集電タブ82は負極リード84に固定されている。
【0020】
正極集電タブ81は、図6に示すように、撓んだ状態でケース11に収容されている。負極集電タブ82も同様に、撓んだ状態でケース11に収容されている。ケース11の内部において電極組立体12は、正極集電タブ81および負極集電タブ82が撓んだ状態から伸びた状態まで移動可能である。正極集電タブ81および負極集電タブ82が撓んでいるので、電極組立体12の移動範囲が広くなる。
【0021】
図2に示すように、正極リード83は正極集電タブ81と正極端子131に接続されている。正極リード83を介して正極集電タブ81と正極端子131が電気的に接続されている。正極リード83とケース11の間には絶縁部材72が配置されている。絶縁部材72は正極リード83とケース11を絶縁している。
【0022】
負極リード84は負極集電タブ82と接続部材87に接続されている。接続部材87は電流遮断装置10を介して負極端子132に電気的に接続されている。よって、負極リード84、接続部材87および電流遮断装置10を介して、負極集電タブ82と負極端子132が電気的に接続されている。これにより、電極組立体12と負極端子132を接続する通電経路が形成されている。電流遮断装置10はこの通電経路を遮断可能である。電流遮断装置10の構成については後述する。負極リード84とケース11の間には絶縁部材73が配置されている。絶縁部材73は負極リード84とケース11を絶縁している。
【0023】
端子13(正極端子131および負極端子132)は、ケース11の蓋体112に固定されている。正極端子131および負極端子132は、ケース11の外部に突出している。正極端子131と負極端子132は間隔をあけて配置されている。正極端子131および負極端子132は、電極組立体12に電気的に接続されている。
【0024】
図7に示すように、正極端子131は、ケース11の蓋体112にかしめ固定されている。正極端子131は、円柱部91、基底部92、および固定部93を備えている。円柱部91は正極用の開口部85に挿入されている。基底部92は環状に形成されている。基底部92は円柱部91の下端部に固定されている。基底部92はケース11の内部に配置されている。固定部93は環状に形成されている。固定部93は円柱部91の上端部に固定されている。固定部93はケース11の外部に配置されている。正極端子131は、固定部93と基底部92が上下に加圧されることによりケース11に固定されている。
【0025】
正極端子131は、正極側外部端子301に接触している。正極側外部端子301は、外部の回路(図示省略)に接続されている。正極側外部端子301とケース11の間には絶縁部材74が配置されている。絶縁部材74は正極側外部端子301とケース11を絶縁している。また、正極端子131とケース11の間には絶縁性の絶縁部材75が配置されている。絶縁部材75は、蓋体112の下面と正極端子131との間に配置されている。絶縁部材75は正極端子131とケース11を絶縁している。ケース11が水平に置かれた状態において、電解液の液面Lの高さは、絶縁部材75より低い位置にある。絶縁部材75は、電解液に浸漬しておらず、電解液の外部に位置している。
【0026】
図8に示すように、負極端子132は、ケース11にかしめ固定されている。負極端子132は、円筒部94、基底部95、および固定部96を備えている。円筒部94は負極用の開口部86に挿入されている。円筒部94には貫通孔97が形成されている。基底部95は環状に形成されている。基底部95は円筒部94の下端部に固定されている。基底部95はケース11の内部に配置されている。基底部95には凹部98が形成されている。凹部98は貫通孔97と連通している。固定部96は環状に形成されている。固定部96は円筒部94の上端部に固定されている。固定部96はケース11の外部に配置されている。負極端子132は、固定部96と基底部95が上下に加圧されることによりケース11に固定されている。
【0027】
負極端子132は、負極側外部端子302に接触している。負極側外部端子302は、外部の回路(図示省略)に接続されている。負極側外部端子302とケース11の間には絶縁部材76が配置されている。絶縁部材76は負極側外部端子302とケース11を絶縁している。また、負極端子132とケース11の間には絶縁部材77が配置されている。絶縁部材77は、蓋体112の下面と負極端子132との間に配置されている。絶縁部材77は負極端子132とケース11を絶縁している。ケース11が水平に置かれた状態において、電解液の液面Lの高さは、絶縁部材77より低い位置にある。絶縁部材77は、電解液に浸漬しておらず、電解液の外部に位置している。
【0028】
次に、電流遮断装置の構成について説明する。図8および図9に示すように、電流遮断装置10は、通電板20および第1変形板40を備えている。電流遮断装置10はケース11の内部に配置されている。電流遮断装置10は、負極端子132より下側に配置されている。図8は通電状態を示しており、図9は非通電状態を示している。
【0029】
通電板20は、金属製の部材であり、導電性を有している。通電板20は、接続部材87に接続されている。通電板20は、接続部材87および負極リード84を介して、電極組立体12に電気的に接続されている。
【0030】
また、通電板20は、第1変形板40より下側に配置されている。通電板20は、第1変形板40に固定されている。通電板20の中央部22が第1変形板40に固定されている。また、通電板20は、表面28および裏面29を有している。通電板20の表面28が第1変形板40と対向しており、裏面29がケースに収容された電解液と対向している。
【0031】
通電板20の裏面29には、溝部23が形成されている。図10は、通電板の裏面図である。図10に示すように、通電板20は、円形状に形成されている。溝部23は、通電板20の裏面29において円形状に延びるように形成されている。溝部23は、外周部21より内側に形成されている。溝部23は、中央部22より外側に形成されている。溝部23は、中央部22の周囲に形成されている。溝部23は、通電板20の他の部分より強度が弱く、破断しやすい。通電板20は、溝部23を起点にして破断する。これにより、通電が遮断される。通電板20は、図8に示すように、通電状態のときには破断しておらず、図9に示すように、破断すると非通電状態になる。
【0032】
また、通電板20には、貫通孔50が形成されている。貫通孔50は、通電板20を貫通している。貫通孔50は、空間54に通じている。貫通孔50は、通電板20の外周部21と中央部22の間に形成されている。貫通孔50は、溝部23より外側に形成されている。
【0033】
第1変形板40は、金属製のダイアフラムである。第1変形板40は、導電性を有しており、平面視において円形状に形成されている。第1変形板40は、通電板20より上側に配置されている。第1変形板40は、中央部42および外周部41を有している。第1変形板40は、図8に示すように、通電状態のときには下方に凸の状態であり、図9に示すように、非通電状態のときには上方に凸の状態になる。通電状態のときは、第1変形板40の中央部42が下方に突出している。
【0034】
第1変形板40の中央部42は、通電板20の中央部22に固定されている。第1変形板40の中央部42と通電板20の中央部22は、溶接により固定されている。第1変形板40の下面が通電板20の上面に固定されている。第1変形板40の外周部41と通電板20の外周部21の間には絶縁部材78が配置されている。絶縁部材78は、第1変形板40と通電板20を絶縁している。
【0035】
第1変形板40は、負極端子132より下側に配置されている。第1変形板40の外周部41は、負極端子132の基底部95に固定されている。第1変形板40の外周部41と負極端子132の基底部95は、溶接により固定されている。第1変形板40の上面が負極端子132の下面に固定されている。
【0036】
通電板20および第1変形板40は、固定部材70により固定されている。固定部材70は、通電板20および第1変形板40をかしめ固定している。固定部材70は、通電板20および第1変形板40を、負極端子132の基底部95に対して固定している。固定部材70の内側には絶縁部材79が配置されている。絶縁部材79は、通電板20、第1変形板40、および負極端子132を、固定部材70から絶縁している。
【0037】
上記のような構成を備える蓄電装置1によれば、ケース11が水平に置かれた状態から20.0°〜30.0°の範囲で傾いたときに、電解液の液面Lの高さが、電極組立体12の頂部14より高い位置にある。これにより、ケース11が傾いたとしても、電極組立体12の全体が電解液中に沈み、電極組立体12の活性物質が電解液と良好に反応する。したがって、上記の蓄電装置1は、水平におかれた状態から傾いても良好に作動する。
【0038】
また、ケース11の蓋体112の下面と端子13(131、132)との間に絶縁部材75、77が配置されており、ケース11が水平に置かれた状態において、電解液の液面Lの高さが、端子13(131、132)とケース11の間に配置された絶縁部材75、77より低い位置にある。その結果、絶縁部材75、77が電界液中に沈むことがなく、端子13(131、132)とケース11の間にガスが通過できる隙間を確保することができる。これにより、隙間を通じでケース内のガスを逃がすことができるので、ケース11内の圧力が高くなりすぎることがない。また、集電タブ81、82が撓んだ状態でケース11に収容されているので、電極組立体12の移動範囲が広くなる。これにより、ケース11が傾いたとしても、電極組立体12の全体が電解液中に沈み易くなる。また、電極組立体12に面取り部400が形成されているので、電極組立体12が傾いたとしても、電極組立体12の頂部14の高さ位置を低く抑えることができる。これにより、ケース11が傾いたとしても、電極組立体12の全体が電解液中に沈み易くなる。
【0039】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0040】
1;蓄電装置
10;電流遮断装置
11;ケース
12;電極組立体
13;端子
14;頂部
20;通電板
21;外周部
22;中央部
23;溝部
28;表面
29;裏面
40;第1変形板
41;外周部
42;中央部
50;貫通孔
70;固定部材
72;絶縁部材
73;絶縁部材
74;絶縁部材
75;絶縁部材
76;絶縁部材
77;絶縁部材
78;絶縁部材
79;絶縁部材
81;正極集電タブ
82;負極集電タブ
83;正極リード
84;負極リード
85;(正極用の)開口部
86;(負極用の)開口部
87;接続部材
91;円柱部
92;基底部
93;固定部
94;円筒部
95;基底部
96;固定部
97;貫通孔
98;凹部
101;車両
111;本体
112;蓋体
121;正極シート
122;負極シート
123;セパレータ
131;正極端子
132;負極端子
301;正極側外部端子
302;負極側外部端子
400;面取り部
401;面取り部
402;面取り部
403;面取り部
【要約】
【課題】水平におかれた状態から傾いても良好に作動する技術を提供する。
【解決手段】蓄電装置1は、内部に電解液が収容されたケース11と、ケース11に収容され、電解液中に沈んでいる電極組立体12と、ケース11に固定され、電極組立体12に電気的に接続された端子13とを備える。ケース11が水平に置かれた状態から20.0°〜30.0°度傾いたときに、電解液の液面Lが、電極組立体12の頂部14より高い位置にある。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10