特許第5790878号(P5790878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5790878
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】水晶振動子
(51)【国際特許分類】
   H03H 3/02 20060101AFI20150917BHJP
   H03H 9/02 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   H03H3/02 B
   H03H9/02 A
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-515682(P2014-515682)
(86)(22)【出願日】2013年5月17日
(86)【国際出願番号】JP2013063753
(87)【国際公開番号】WO2013172440
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2014年6月3日
(31)【優先権主張番号】特願2012-113935(P2012-113935)
(32)【優先日】2012年5月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 善史
(72)【発明者】
【氏名】開田 弘明
(72)【発明者】
【氏名】井林 学
(72)【発明者】
【氏名】長峰 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】諸石 勝馬
(72)【発明者】
【氏名】光野 卓也
(72)【発明者】
【氏名】三村 和弘
【審査官】 橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−186995(JP,A)
【文献】 特開2011−009808(JP,A)
【文献】 特開平08−018380(JP,A)
【文献】 特開2011−066651(JP,A)
【文献】 特開2004−015604(JP,A)
【文献】 特開2005−072050(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/072351(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H3/007−3/10,H03H9/00−9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック平板と、
前記セラミック平板の一主面の上に形成された第1、第2の導体と、
前記第1の導体上に搭載され、前記セラミック平板側に向かって開口する凹部を有するキャップと、
前記キャップの前記凹部に収納されるようにして、前記第2の導体上に搭載された水晶振動素子と、
を備え、
前記キャップは、前記凹部の側壁となる接合部を有し、
前記第1の導体は、前記接合部に対応する輪郭を有し、
前記接合部の端面及び両側面において、前記第1の導体とは金属からなる接合材を介して接合され、
前記セラミック平板、前記第1の導体、前記接合材、および前記キャップにより封止空間が形成され、
前記封止空間内に前記水晶振動素子が配されており、前記キャップの高さ方向における、前記接合材と前記キャップの前記接合部の側面とが接合している部分の長さは、前記キャップの前記接合部の端面の幅よりも長いことを特徴とする、水晶振動子。
【請求項2】
セラミック平板と、
前記セラミック平板の一主面の上に形成された第1、第2の導体と、
前記第1の導体上に搭載され、前記セラミック平板側に向かって開口する凹部を有するキャップと、
前記キャップの前記凹部に収納されるようにして、前記第2の導体上に搭載された水晶振動素子と、
を備え、
前記キャップは、前記凹部の側壁となる接合部を有し、
前記第1の導体は、前記接合部に対応する輪郭を有し、
前記接合部の端面及び両側面において、前記第1の導体とは金属からなる接合材を介して接合され、
前記セラミック平板、前記第1の導体、前記接合材、および前記キャップにより封止空間が形成され、
前記封止空間内に前記水晶振動素子が配されており、前記第1の導体は、その断面が半長円形状に形成されていることを特徴とする、水晶振動子。
【請求項3】
セラミック平板と、
前記セラミック平板の一主面の上に形成された第1、第2の導体と、
前記第1の導体上に搭載され、前記セラミック平板側に向かって開口する凹部を有するキャップと、
前記キャップの前記凹部に収納されるようにして、前記第2の導体上に搭載された水晶振動素子と、
を備え、
前記キャップは、前記凹部の側壁となる接合部を有し、
前記第1の導体は、前記接合部に対応する輪郭を有し、
前記接合部の端面及び両側面において、前記第1の導体とは金属からなる接合材を介して接合され、
前記セラミック平板、前記第1の導体、前記接合材、および前記キャップにより封止空間が形成され、
前記封止空間内に前記水晶振動素子が配されており、前記第1の導体は、下地層と、前記下地層上に形成されためっき層と、からなり、前記下地層が外部に露出しないように、前記下地層が前記めっき層により被覆されていることを特徴とする、水晶振動子。
【請求項4】
前記接合材は、前記第1の導体を被覆するようにして、前記第1の導体と接合していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水晶振動子。
【請求項5】
前記接合材は、フィレット形状を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水晶振動子。
【請求項6】
前記第1の導体は、枠状に形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水晶振動子。
【請求項7】
前記第1の導体の幅が、前記キャップの前記接合部の端面の幅よりも大きいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水晶振動子。
【請求項8】
前記キャップの前記接合部の先端が丸みを帯びていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水晶振動子。
【請求項9】
前記第1の導体は外表面にAuを含み、
前記キャップは外表面にAuを含み、
前記接合材はAuを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水晶振動子。
【請求項10】
前記第1の導体は最外層にAuめっき層を有し、
前記キャップは最外層にAuめっき層を有し、
前記接合材はAuSn合金であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水晶振動子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶振動子の製造方法及び水晶振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水晶振動素子を有する水晶振動子が知られている。水晶振動子は、外乱により周波数変動しやすい装置である。従って、水晶振動子において、水晶振動素子は、封止空間内に配されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−202604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、主面上にデバイスが配された基板と、基板側に向かって開口する凹部を有し、基板の上にデバイスを覆うように配されたキャップとを備えるパッケージ構造が記載されている。特許文献1には、金属ペーストの印刷やメッキ等の手段により、キャップの端面にAuSn合金からなるロウ材を配置する。このロウ材によりキャップと基板とが接合されている。
【0005】
特許文献1に記載のパッケージ構造及びその製造方法を、水晶振動子にも適用することが考えられる。しかしながら、特許文献1に記載のパッケージ構造及びその製造方法では、非常に狭いキャップの端面上に、金属ペーストの印刷やメッキ等により接合材を精度よく形成しなければならない。従って、接合材を高精度に形成することが困難であった。
【0006】
本発明は、周波数精度の高い水晶振動子を容易に製造し得る方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る水晶振動子の製造方法は、
一主面上に水晶振動素子が搭載されたセラミック平板の一主面上に金属製の接合材を配する接合材配置工程と、
凹部を有するキャップを、凹部がセラミック平板に向かって開口するようにセラミック平板の一主面上に配し、接合材を溶融させた後に固化させることによりキャップとセラミック平板とを接合する接合工程とを備える。
【0008】
本発明に係る水晶振動子の製造方法のある特定の局面では、キャップは、キャップ本体と、キャップ本体の少なくともセラミック平板と接合される接合部の端面及び側面の上に設けられた金属層とを有する。金属層の溶融された接合材に対する濡れ性は、キャップ本体の溶融された接合材に対する濡れ性よりも高い。
【0009】
本発明に係る水晶振動子の製造方法の別の特定の局面では、接合材がAuSn合金を含む。金属層が、Auを含む。
【0010】
本発明に係る水晶振動子の製造方法の他の特定の局面では、接合材配置工程において、キャップのセラミック平板と接合される接合部の端面よりも大面積な接合材を配する。
【0011】
本発明に係る水晶振動子の製造方法のさらに他の特定の局面では、キャップのセラミック平板と接合される接合部の側面の上に接合材が至るように上記接合工程を行う。
【0012】
本発明に係る水晶振動子の製造方法のさらに別の特定の局面では、接合材配置工程において、金属ペーストの塗布またはめっきにより接合材をセラミック平板の一主面上に設ける。
【0013】
本発明に係る水晶振動子は、セラミック平板と、第1,第2の導体と、キャップと、水晶振動子とを備える。第1,第2の導体は、セラミック平板の一主面の上に形成されている。キャップは、前記第1の導体上に搭載され、セラミック平板側に向かって開口する凹部を有する。水晶振動子は、前記キャップの前記凹部に収納されるようにして、前記第2の導体上に搭載されている。前記キャップは、前記凹部の側壁となる接合部を有し、前記第1の導体は、前記接合部に対応する輪郭を有し、前記接合部の端面及び両側面において、前記第1の導体とは金属からなる接合材を介して接合され、前記セラミック平板、前記第1の導体、前記接合材、および前記キャップにより封止空間が形成され、前記封止空間内に前記水晶振動素子が配されている。
【0014】
本発明に係る水晶振動子の別の特定の局面では、前記接合材は、前記第1の導体を被覆するようにして、前記第1の導体と接合している。
【0015】
本発明に係る水晶振動子のさらに他の特定の局面では、前記接合材は、フィレット形状を有する。
【0016】
本発明に係る水晶振動子のさらに別の特定の局面では、前記キャップの高さ方向における、前記接合材と前記キャップの前記接合部の側面とが接合している部分の長さは、前記キャップの前記接合部の端面の幅よりも長い。
【0017】
本発明に係る水晶振動子の他の特定の局面では、前記第1の導体は、枠状に形成されている。
【0018】
本発明に係る水晶振動子の別の特定の局面では、前記第1の導体は、その断面が半長円形状に形成されている。
【0019】
本発明に係る水晶振動子のさらに他の特定の局面では、前記第1の導体は、下地層と、前記下地層上に形成されためっき層と、からなり、前記下地層が外部に露出しないように、前記下地層が前記めっき層により被覆されている。
【0020】
本発明に係る水晶振動子のさらに別の特定の局面では、前記第1の導体の幅が、前記キャップの前記接合部の端面の幅よりも大きい。
【0021】
本発明に係る水晶振動子の別の特定の局面では、前記キャップの前記接合部の先端が丸みを帯びている。
【0022】
本発明に係る水晶振動子のさらに他の特定の局面では、前記第1の導体は外表面にAuを含み、前記キャップは外表面にAuを含み、前記接合材はAuを含む。
【0023】
本発明に係る水晶振動子のさらに別の特定の局面では、前記第1の導体は最外層にAuめっき層を有し、前記キャップは最外層にAuめっき層を有し、前記接合材はAuSn合金である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、セラミック平板の一方主面上に、周波数精度の高い水晶振動子を容易に製造し得る方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の一実施形態における水晶振動子の製造工程を説明するための略図的断面図である。
図2図2は、図1のII部分の略図的断面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態において製造された水晶振動子の略図的断面図である。
図4図4は、図3のIV部分の略図的断面図である。
図5図5は、本発明の他の実施形態に係る水晶振動子の分解斜視図である。
図6図6は、図5に示した実施形態の水晶振動子の正面断面図である。
図7図7は、図5及び図6に示した水晶振動子におけるキャップとセラッミク平板との接合部分を示す部分切欠断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0027】
また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0028】
本実施形態では、図3及び図4に示す水晶振動子1の製造方法及び構成について説明する。
【0029】
(接合材配置工程)
まず、図1に示されるように、主面10a上に水晶振動素子20が搭載されたセラミック平板10を用意する。セラミック平板10は、例えばアルミナなどにより構成することができる。
【0030】
次に、セラミック平板10の主面10aの上に、金属製の接合材15を配する。具体的には、主面10aの上には、例えばNiめっき膜などにより構成された導体12が配されている。導体12の上に、Pdめっき膜13及びAuめっき膜14をこの順番で形成する。そして、Auめっき膜14の上に、接合材15を形成する。接合材15は、例えば、AuSn合金などにより構成することができる。接合材15は、例えば、金属ペーストの塗布やめっきにより形成することができる。
【0031】
(接合工程)
次に、凹部11cを有するドーム型のキャップ11を用意する。このキャップ11は、セラミック平板10と共に、水晶振動素子20が配される封止空間を区画形成するための部材である。キャップ11は、例えば、Ni合金などの適宜の金属により構成することができる。具体的には、本実施形態では、図2に示されるように、キャップ11は、キャップ本体11aと、金属層11bとを有する。キャップ本体11aは、例えば、Ni合金などの適宜の金属により構成することができる。金属層11bは、キャップ本体11aの、少なくとも、セラミック平板10と接合される接合部11a1の端面及び側面の上に配されている。具体的には、本実施形態では、金属層11bは、キャップ本体11aの表面全体の上に配されている。例えば、接合材15がAuSn合金からなる場合は、金属層11bは、例えば、AuまたはAuを含む合金により構成されていることが好ましい。
【0032】
次に、キャップ11を、セラミック平板10の主面10aの上に、凹部11cがセラミック平板10に向かって開口するように配する。この際に、キャップ11の接合部11a1が接合材15の上に位置するようにキャップ11を配する。
【0033】
次に、キャップ11を接合材15に押しつけながら、接合材15を溶融させた後に固化させることにより、キャップ11とセラミック平板10とを接合材15により接合することにより、水晶振動子1を完成させることができる。この工程は、圧力が10−3Pa〜10−4Pa程度の減圧雰囲気下において、280℃〜350℃程度の温度で、1分〜60分程度行われることが好ましい。この工程は、接合材15がキャップ11の接合部11a1の側面にも接合されるように行われることが好ましい。
【0034】
ところで、例えば接合材をキャップの端面上に設け、キャップとセラミック平板とを接合することも考えられる。しかしながら、キャップの端面は非常に狭いため、接合材を金属ペーストの印刷やめっき等で形成することが困難である。キャップの端面上に接合材を設ける場合は、キャップの端面の形状に応じた形状に打ち抜かれた金属箔をキャップの端面の上に配する方法が好適に用いられる。しかしながら、打ち抜きにより接合材を作製する場合は、接合材に生じたバリなどに起因して、接合材から粉塵が生じやすい。水晶振動素子の周波数特性は、粉塵等により大きく変化するため、水晶振動子の周波数特性の製造ばらつきが大きくなってしまう。
【0035】
それに対して、本実施形態のように、セラミック平板10の上に接合材15を配する場合は、接合材15を金属ペーストの塗布やめっきにより好適に形成することができる。よって、接合材15からの粉塵の発生を抑制することができる。従って、水晶振動子1の周波数特性のばらつきを低減することができる。
【0036】
また、打ち抜きによって接合材を作製する場合は、接合材が大きくなり、接合材に含まれる水分等のアウトガスの原因となる成分の含有量が多くなる。水晶振動子の特性は、微量のガスが付着した場合でも変化してしまうため、打ち抜きにより作製され、アウトガスの原因となる成分の含有量が多い接合材を用いた場合は、水晶振動子の特性のばらつきが大きくなりやすい。
【0037】
それに対して、金属ペーストの塗布やメッキなどにより接合材15を形成した場合は、接合材15の体積を小さくしやすい。よって、接合材15に含まれるアウトガスの原因となる成分の含有量を減らすことができる。従って、水晶振動子の特性のばらつきを小さくし得る。
【0038】
また、セラミック平板10の上に接合材15を配し、キャップ11をセラミック平板10側に押圧しながらセラミック平板10とキャップ11とを接合した場合は、図3及び図4に示されるように、キャップ11の接合部11a1の端面のみならず、側面も接合材15と接合される。従って、キャップ11をセラミック平板10に対して強固に接合することができる。よって、キャップ11とセラミック平板10とにより区画形成されており、水晶振動素子20が配された封止空間30の気密性を向上することができる。従って、周波数特性の変動が生じ難い水晶振動子1を得ることができる。
【0039】
接合部11a1の側面に接合材15がより強固に接合されるようにする観点からは、金属層11bの溶融された接合材15に対する濡れ性が、キャップ本体11aの溶融された接合材15に対する濡れ性よりも高くなるように、金属層11bの構成材料を選択することが好ましい。具体的には、接合材15がAuSn合金を含む場合は、金属層11bを、AuSn合金に対する濡れ性が高いAuまたはAu合金により構成することが好ましい。図1及び図2に示されるように、接合材配置工程において、接合部11a1の端面よりも大面積な接合材15を配することが好ましい。平面視において、接合部11a1の外側及び内側の両方に接合材15が位置するように接合材15を設けることが好ましい。
【0040】
図5図7は、本発明の他の実施形態に係る水晶振動子の構成をより具体的に説明するための図であり、図5は水晶振動子1の概略分解斜視図であり、図6は水晶振動子1の概略断面図であり、図7は水晶振動子におけるセラミック平板10とキャップ11との接合部分を示す部分切欠断面図である。
【0041】
図5に示すように、水晶振動素子20においては、水晶片21の表面および裏面に電極22が形成され(裏面の電極は図示せず)ている。これらの電極が水晶片の厚み方向において対向している。水晶振動素子20に形成された電極は、導電性接着剤23,23を介してセラミック平板10の一方主面の上に形成された導体12a,12aに電気的に接続されている。導体12aは、セラミック平板10内部に形成されたビア導体(図示せず)を介して、セラミック平板10の他方主面の上に形成された外部電極に電気的に接続されている。
【0042】
導体12は、セラミック平板10の一主面の上において、キャップ11の接合部11a1に対応する輪郭を有している。具体的には、導体12は枠状に形成されている。
【0043】
図6及び図7に示すように、導体12は、半長円形状の断面を有する。ここでは、導体12は、下から、Moを含む下地層41、Niめっき層42、Pdめっき層43、Auめっき層44の順に形成されている。下地層は、上層のめっき層により被覆され、外部に露出していない。なお、導体12aおよび外部電極についても、導体12と同じ層構造とすることができる。
【0044】
図7に示すように、キャップ11の接合部11a1は、先端が丸みを帯びた形状を有する。この形状は、後述する接合材15の濡れ上がりをスムーズにさせる効果を有する。また、キャップ11は表面に金属層11bを有し、金属層11bはAuまたはAu合金のめっき層により構成されている。
【0045】
図6及び図7に示すように、セラミック平板10とキャップ11とは、接合材15を介して接合されている。接合材は、AuSn合金により形成されている。前述のように、接合材15は、キャップ11の接合時に一旦溶融した後に固化したものである。キャップ11の金属層11b、導体12の最外層のめっき層、および接合材15がいずれもAuを含むため、相互に濡れやすい。従って、固化後の接合材15はフィレット形状をなす。接合材15は、キャップ11の端面だけでなく側面上まで濡れ上がる。また、接合材15は、導体12のめっき層を被覆するように濡れ広がる。
【0046】
よって、相対的にポーラスである導体12の下地層41はめっき層により覆われている。従って、下地層41が外部に露出していないため、下地層41を介した水分等の浸入が生じにくい。接合材15が濡れ広がることにより、接合材15とキャップ11との界面、および接合材15と導体12との界面が広く封止される。従って、水分等の浸入経路が長くなり、水分等が浸入しにくい。
【0047】
よって、セラミック平板10、導体12、接合材15、およびキャップ11により形成される封止空間がより確実に封止される。これにより、水晶振動子1の周波数精度が安定する。
【符号の説明】
【0048】
1…水晶振動子
10…セラミック平板
10a…主面
11…キャップ
11a…キャップ本体
11a1…接合部
11b…金属層
11c…凹部
12…導体(第1の導体)
12a…導体(第2の導体)
13…Pdめっき膜
14…Auめっき膜
15…接合材
20…水晶振動素子
30…封止空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7