(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置および無線通信端末について、図を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナコイル部材の平面図および側面断面図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る引き出し用部材の平面図および側面断面図である。なお、
図1、
図2、
図3において、(A)は平面図であり、(B)は側面断面図(A−A断面図)である。
【0034】
図1に示すように、アンテナ装置10は、アンテナコイル部材20および引き出し用部材30を備える。
【0035】
図2に示すように、アンテナコイル部材20は、第1基材21を備える。第1基材21は、平面視して矩形の平板である。第1基材21は、絶縁性樹脂材料からなり、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)からなる。
【0036】
アンテナコイル部材20は、スパイラル導体22を備える。スパイラル導体22は、平面視してスパイラル形状の導体パターンである。スパイラル導体22は、第1基材21の表面(平板の一方の主面)に配置されている。スパイラル導体22の形成領域は、第1基材21の表面の略全域に亘っている。
【0037】
スパイラル導体22の内周端には、内周端導体221が接続されている。内周端導体221は、スパイラル導体22の延びる方向の内周端から連続して、スパイラル形状を延長するように形成されている。
【0038】
スパイラル導体の外周端には、外周端導体222が接続されている。外周端導体222は、スパイラル導体22の延びる方向の外周端から連続して、スパイラル形状を延長するように形成されている。
【0039】
内周端導体221の幅W221と外周端導体222の幅W222は、スパイラル導体22の幅よりも広い。内周端導体221と外周端導体222は、平面視して矩形である。内周端導体221の長辺と外周端導体222の長辺は、平行である。内周端導体221および外周端導体222の長辺と第1基材21の短辺とは、平行である。
【0040】
スパイラル導体22、内周端導体221、および外周端導体222は、例えば、アルミニウムAlによって形成されている。
【0041】
このような構成からなるアンテナコイル部材20は、例えば、片面(表面)の全域にアルミニウムが形成されたPETを準備し、アルミニウムをパターニングすることにより、製造することができる。
【0042】
図3に示すように、引き出し用部材30は、第2基材31を備える。第2基材31は、平面視して矩形の平板である。第2基材31は、絶縁性樹脂材料からなり、例えば、ポリイミド、液晶ポリマ、第1基材21と同様のPET等を用いる。第2基材31の材料にポリイミドを用いた場合、PETと比較して耐熱性に優れる。したがって、第2基材31に実装型電子部品等をはんだ付けにより実装する態様や、外部接続用ランド導体をはんだ付けにより外部基板に接合する態様では、第2基材31の熱による変形を抑制でき、信頼性を向上することができる。言い換えれば、アンテナコイル部材20にこのような耐熱性を有する材料を用いなくても、アンテナ装置10としての信頼性を向上することができる。
【0043】
引き出し用部材30は、第1端部導体321、第1引き出し導体パターン322、第2端部導体331、第2引き出し導体パターン332、および、外部接続用ランド導体323,333を備える。第1端部導体321、第1引き出し導体パターン322、第2端部導体331、第2引き出し導体パターン332、および、外部接続用ランド導体323,333は、第2基材31の表面(平板の一方の主面)に配置されている。
【0044】
第1引き出し導体パターン322および第2引き出し導体パターン332は、直線状の線状導体である。例えば、本実施形態では、第1引き出し導体パターン322および第2引き出し導体パターン332の延びる方向は、第2基材31の一辺に略平行である。
【0045】
第1端部導体321は、第1引き出し導体パターン322の延びる方向の一方端に接続されている。第1端部導体321は、平面視して長方形であり、第1端部導体321の幅W321は、第1引き出し導体パターン322の幅よりも広い。第1端部導体321の長辺方向は、第1引き出し導体パターン322の延びる方向と略直交している。第1端部導体321の面積は、内周端導体221の面積と略同じである。
【0046】
第2端部導体331は、第2引き出し導体パターン332の延びる方向の一方端に接続されている。第2端部導体331は、平面視して長方形であり、第2端部導体331の幅W331は、第2引き出し導体パターン332の幅よりも広い。第2端部導体331の長辺方向は、第2引き出し導体パターン332の延びる方向と略直交している。第2端部導体331の面積は、外周端導体222の面積と略同じである。
【0047】
外部接続用ランド導体323は、第1引き出し導体パターン322の延びる方向の他方端に接続されている。外部接続用ランド導体323は、平面視して略正方形の矩形であり、外部接続用ランド導体323の一辺の長さは、第1引き出し導体パターン322の幅よりも広い。
【0048】
外部接続用ランド導体333は、第2引き出し導体パターン332の延びる方向の他方端に接続されている。外部接続用ランド導体333は、平面視して略正方形の矩形であり、外部接続用ランド導体333の一辺の長さは、第2引き出し導体パターン332の幅よりも広い。
【0049】
第1端部導体321、第1引き出し導体パターン322、第2端部導体331、第2引き出し導体パターン332、および、外部接続用ランド導体323,333は、例えば、銅Cuによって形成されている。その表面には、ニッケル/金メッキ(Ni/Auメッキ)が施されている。第1端部導体321、第1引き出し導体パターン322、および、外部接続用ランド導体323は一体形成されており、第2端部導体331、第2引き出し導体パターン332、および、外部接続用ランド導体333は一体形成されている。
【0050】
このような構成からなる引き出し用部材30は、例えば、片面(表面)の全域に銅Cuが形成されたポリイミドを準備し、銅をパターニングすることにより、製造することができる。
【0051】
図1に示すように、引き出し用部材30は、アンテナコイル部材20の表面側に配置される。この際、第1端部導体321と内周端導体221とが平面視して重なり、第2端部導体331と外周端導体222とが平面視して重なるように、引き出し用部材30とアンテナコイル部材20とは配置されている。さらに、引き出し用部材30の第1、第2引き出し導体パターン322,332の他方端、すなわち、外部接続用ランド導体323,333がアンテナコイル部材20と重ならないように、引き出し用部材30とアンテナコイル部材20とは配置されている。
【0052】
引き出し用部材30がアンテナコイル部材20とは、絶縁性の接着層40によって貼り付けられている。接着層40は、引き出し用部材30がアンテナコイル部材20に重なり合う領域に配置されている。
【0053】
このような構成とすることで、第1端部導体321と内周端導体221とは、第2基材31および接着層40を介して容量性結合する(キャパシタを形成する)。したがって、スパイラル導体22と、第1引き出し導体パターン322は、高周波的に接続される。なお、ここで、高周波的に接続されるとは、スパイラル導体22と第1引き出し導体パターン322との間で高周波信号を伝送できる状態にあることを示す。
【0054】
第2端部導体331と外周端導体222とは、第2基材31および接着層40を介して容量性結合する(キャパシタを形成する)。したがって、スパイラル導体22と、第2引き出し導体パターン332は、高周波的に接続される。なお、ここで、高周波的に接続されるとは、スパイラル導体22と第2引き出し導体パターン332との間で高周波信号を伝送できる状態にあることを示す。
【0055】
このように、本実施形態の構成を用いることで、導電性ビア導体やブリッジ導体を設けることなく、スパイラル導体22の内周端からの高周波信号の引き出しを実現することができる。これにより、信頼性の高いアンテナ装置を簡素な構成で実現することができる。
【0056】
なお、内周端導体221および外周端導体222の幅を、スパイラル導体22の幅よりも広くする態様を示した。しかしながら、内周端導体221および外周端導体222の幅を、スパイラル導体22の幅と略同じにしてもよい。内周端導体221および外周端導体222の幅を、スパイラル導体22の幅よりも広くすることで、より確実な容量性結合を実現できる。
【0057】
また、第1端部導体321の面積と内周端導体221の面積を略同じにする態様を示したが、いずれか一方の面積が大きくなる態様にするとよい。この場合、内周端導体221の面積が大きな方が好ましい。このように面積差を設けることで、アンテナコイル部材20に対する引き出し用部材30の配置位置ズレによる容量変化を抑制することができる。さらに、内周端導体221の面積および外周端導体222の面積の方を大きくした場合、第1、第2端部導体321,331の面積を大きくする必要が無く、第1、第2端部導体321,331がスパイラル導体22に重なることを抑制できる。これにより、アンテナコイルの特性劣化を抑制することができる。
【0058】
また、第1端部導体321と内周端導体221との対向面積と、第2端部導体331と外周端導体222の対向面積とを略同じにすることが好ましい。このような構成とすることで、外周端導体222から引き出される高周波信号と、内周端導体221から引き出される高周波信号とからなる平衡信号の振幅特性および位相特性に優れる。
【0059】
また、上述のように、アンテナコイル部材20と引き出し用部材30とを別体にし、引き出し用部材30をアンテナコイル部材20よりも小面積にすることで、外部接続用ランド導体323,333にメッキ処理を行う場合に有効である。すなわち、アンテナコイル部材20にメッキを行う必要が無く、引き出し用部材30の面積(メッキ処理を実行する面積)が小さいことで、メッキコストを低下させることができる。
【0060】
なお、上述の説明では、第1基材21および第2基材31を矩形にする態様を示したが、外形形状はこれに限るものではない。また、第1端部導体321と第1引き出し導体パターン322との接続する角度、および、第2端部導体331と第2引き出し導体パターン332との接続する角度は、略直角でなくてもよい。しかしながら、これらの接続する角度を略直角にすることで、アンテナコイルと第1、第2引き出し導体パターン322,332との電磁界結合を抑制することができる。
【0061】
このようなアンテナ装置10は、次に示す無線通信端末に実装される。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信端末の部分側面図である。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信端末の回路図である。
【0062】
図4に示すように、無線通信端末90は、アンテナ装置10、筐体901、送受信回路基材921を備える。
【0063】
アンテナ装置10は、筐体901の内壁面に接着層903を介して貼り付けられている。この際、アンテナ装置10は、アンテナコイル部材20の裏面が接着層903に当接するように配置されている。
【0064】
送受信回路基材921には、
図5に回路のアンテナ装置10以外を構成するように、配線導体922が形成され、回路素子923、送受信用IC924が実装されている。送受信回路基材921は、筐体901の所定位置に配置されている。送受信回路基材921は、これら回路素子923、送受信用IC924の実装面が、アンテナ装置10側を向くように配置されている。送受信回路基材921の表面には、プローブ925が配置されており、プローブ925の先端は、アンテナ装置10の外部接続用ランド導体323,333の表面にメッキして構成される外部接続端子
301に接続されている。これにより、アンテナ装置10は、送受信回路基材921と電気的に接続される。
【0065】
ここで、本実施形態に係るアンテナ装置10のように、アンテナコイル部材20と引き出し用部材30とが別体に形成されていることで、送受信回路基材921とアンテナ装置10との接続態様が各種存在していても、引き出し用部材30の構成のみを変更すればよい。例えば、プローブを用いる場合には、アンテナ装置10側の接続部に対して耐メッキ性が要求される。はんだ付けを用いる場合には、アンテナ装置10側の接続部に対して耐メッキ性および耐熱性が要求される。差し込み式を用いる場合には、耐メッキ性と強度(補強板(SUS))等が要求される。このように接続部の仕様が異なっていても、本実施形態のようにアンテナコイル部材20と引き出し用部材30が別体であることにより、その仕様に応じて、引き出し用部材30のみを変更すればよい。また、アンテナコイル部材20はこのような接続部の仕様に影響されないので、アンテナコイル部材20を、簡素な構成や安価な構成で実現することが可能である。
【0066】
このような構成により、無線通信端末90は、
図5に示す回路を構成する。無線通信端末90は、アンテナコイル部材20、引き出し用部材30を備える。アンテナコイル部材20により構成されるインダクタL20とキャパシタC20によって、アンテナコイルが形成される。上述のアンテナコイル部材20と引き出し用部材30との容量性結合の部分は、アンテナの一方端に接続されたキャパシタC31と他方端に接続されたキャパシタC32が実現される。
【0067】
キャパシタC31は、キャパシタC35、インダクタL31を介して、送受信用IC924に接続されている。キャパシタC32は、キャパシタC36、インダクタL32を介して、送受信用IC924に接続されている。キャパシタC31,C35の接続点と、キャパシタC32,C36の接続点とは、キャパシタC33,C34で接続されている。キャパシタC33,C34の接続点は、グランドに接続されている。キャパシタC35とインダクタL31との接続点と、キャパシタC36とインダクタL32との接続点とは、キャパシタC37,C38で接続されている。キャパシタC37,C38の接続点は、グランドに接続されている。
【0068】
このような構成により、キャパシタC31,C32,C33,C34,C35,C36,C37,C38と、インダクタL31,L32からなる整合回路MCを実現できる。そして、本実施形態の構成を用いることで、整合回路MCを構成するキャパシタC31,C32をアンテナ装置10のアンテナコイルからの引き出し用部材によって実現できる。したがって、送受信回路基材921にこれらの回路素子を実装する必要が無く、整合回路MCを実現するためのスペースを小さくすることができ、ひいては無線通信端末90を小型化することができる。なお、インダクタL31,L32、キャパシタC37,C38でEMC(Electro Magnetic Compatibility)フィルタが構成されているが、このEMCフィルタが無い構成であってもよい。
【0069】
なお、アンテナ装置10において、引き出し用部材30を構成する第2基材31は、吸水率の少ない材料を用いることが好ましい。吸水率が少ない材料を第2基材31に用いることで、内周端導体221と第1端部導体321との間の層の誘電率、外周端導体222と第2端部導体331との間の層の誘電率が、外部環境によって変化することを抑制できる。また、吸水率が少ない材料を第2基材31に用いることで、外部環境による第2基材31の厚みの変化を抑制することができる。すなわち、内周端導体221と第1端部導体321との間で生じるキャパシタンス、および、外周端導体222と第2端部導体331との間で生じるキャパシタンスの外部環境による変化を抑制できる。これにより、
図5のキャパシタC31,C32のキャパシタンスが安定して、アンテナ装置10の特性劣化を抑制することができる。
【0070】
また、第2基材31には、誘電正接tanδの小さな材料を用いることが好ましい。誘電正接tanδの小さな材料を用いることで、内周端導体221と第1端部導体321と第2基材31から形成されるキャパシタ、および、外周端導体222と第2端部導体331と第2基材31から形成されるキャパシタに含まれる損失成分が低減する。これにより、
図5のキャパシタC31,C32で生じる損失が抑制され、アンテナ装置10の特性を向上させることができる。このような観点から鑑みると、第2基材31には、ポリイミドよりも液晶ポリマを用いるとよい。
【0071】
次に、本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Aは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して、保護層51を追加したものである。他の構成は、第1の実施形態に係るアンテナ装置10と同じである。したがって、第1の実施形態に係るアンテナ装置10と異なる箇所のみを具体的に説明する。
【0072】
図6に示すように、保護層51は、アンテナコイル部材20と引き出し用部材30とが平面視して重なる領域を覆うように、引き出し用部材30の表面側に配置されている。保護層51は、絶縁性を有し、耐環境性の高い材質で構成されている。
【0073】
このような構成とすることで、引き出し用部材30の表面、特に、第1端部導体321、第2端部導体331を保護層51によって外部環境から保護することができる。これにより、さらに信頼性の高いアンテナ装置を実現することができる。
【0074】
次に、本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図7は、本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Bは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して、保護層52を追加したものである。他の構成は、第1の実施形態に係るアンテナ装置10と同じである。したがって、第1の実施形態に係るアンテナ装置10と異なる箇所のみを具体的に説明する。
【0075】
図7に示すように、保護層52は、平面視して、アンテナコイル部材20の全域を覆うように、アンテナコイル部材20の表面側に配置されている。保護層52は、絶縁性を有し、耐環境性の高い材質で構成されている。このような構成とすることで、アンテナコイル部材20の表面に配置されたスパイラル導体22を保護層52によって外部環境から保護することができる。これにより、さらに信頼性の高いアンテナ装置を実現することができる。
【0076】
次に、本発明の第4の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図8は、本発明の第4の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Cは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して、保護層51,52を追加したものである。言い換えれば、本実施形態に係るアンテナ装置10Cは、第2、第3の実施形態に係るアンテナ装置10A,10Bを組み合わせたものである。このような構成とすることで、アンテナ装置10Cの全ての導体を外部環境から保護することができる。これにより、さらに信頼性の高いアンテナ装置を実現することができる。
【0077】
次に、本発明の第5の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図9は、本発明の第5の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Dは、第3の実施形態に係るアンテナ装置10Bに対して、保護層52Dの形状が異なる。保護層52Dは、アンテナコイル部材20の表面における、引き出し用部材30の電極と重ならない領域を覆うように配置されている。このような構成とすることで、スパイラル導体22を外部環境から保護するとともに、アンテナ装置10Dを薄くすることができる。
【0078】
次に、本発明の第6の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図10は、本発明の第6の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Eは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して、磁性体シート61を追加したものである。他の構成は、第1の実施形態に係るアンテナ装置10と同じである。したがって、第1の実施形態に係るアンテナ装置10と異なる箇所のみを具体的に説明する。
【0079】
図10に示すように、磁性体シート61は、アンテナコイル部材20の表面側を覆うように配置されている。このような構成とすることで、アンテナコイルの特性を向上する異ができる。
【0080】
このような構成からなるアンテナ装置10Eは、
図11に示すように、無線通信端末に実装される。
図11は、本発明の第6の実施形態に係る無線通信端末の部分側面図である。本実施形態に係る無線通信端末90Eは、第1の実施形態に係る無線通信端末90におけるアンテナ装置10が、本実施形態に係るアンテナ装置10Eに置き換わったものである。他の構成は、第1の実施形態に係る無線通信端末90と同じである。このような構成であっても、第1の実施形態と同様の作用効果を得られ、さらに、磁性体によってアンテナコイルを貫く磁束が増すことでアンテナの特性が向上し、また基板側へ向かう磁束を減らす磁気シールド効果も得られる(周辺部品との不要結合を軽減することができる)。
【0081】
次に、本発明の第7の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図12は、本発明の第7の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Fは、第6の実施形態に係るアンテナ装置10Eの磁性体シート61に代えて、磁性体シート62を用いたものである。他の構成は、第6の実施形態に係るアンテナ装置10Eと同じである。
【0082】
磁性体シート62は、アンテナコイル部材20の表面側における引き出し用部材30と重ならない領域の全域を覆うように配置されている。このような構成とすることで、第6の実施形態と同様に、磁性体によってアンテナの特性を向上しながら、アンテナ装置の厚みを薄くすることができる。
【0083】
次に、本発明の第8の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図13は、本発明の第8の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Gは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して、アンテナコイル部材20と引き出し用部材30との位置関係が異なるものである。アンテナコイル部材20と引き出し用部材30の構成は、第1の実施形態に係るアンテナ装置10と同じである。
【0084】
引き出し用部材30は、アンテナコイル部材20の第1基材21の裏面側に配置されている。引き出し用部材30は、接着層40によってアンテナコイル部材20に貼り付けられている。このような構成であっても、信頼性の高く簡素な構成のアンテナ装置を実現することができる。また、本実施形態の構成では、引き出し用部材30の導体非形成側を筺体ケースに貼り付ける態様となるので、筐体が外部接続用ランド導体に対する補強板としても機能し、スプリングピンの先端部を外部接続用ランド導体に押しつけた際の段差が生じない。これにより、外部接続用ランド導体とスプリングピンとの接続信頼性を向上することができる。
【0085】
次に、本発明の第9の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図14は、本発明の第9の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Hは、第8の実施形態に係るアンテナ装置10Gに対して、アンテナコイル部材20の表裏面の向きが逆になったものである。すなわち、アンテナコイル部材20と引き出し用部材30とは、互いの表面が向き合うように配置されている。このような構成であっても、信頼性の高く簡素な構成のアンテナ装置を実現することができる。
【0086】
次に、本発明の第10の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図15は、本発明の第10の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Iは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して、アンテナコイル部材20の表裏面の向きが逆になったものである。すなわち、アンテナコイル部材20と引き出し用部材30とは、互いの裏面が向き合うように配置されている。このような構成であっても、信頼性の高く簡素な構成のアンテナ装置を実現することができる。また、本実施形態の構成では、アンテナコイル部材20の導体非形成面と引き出し用部材30の導体非形成面とが接着されるので、接着面に導体パターンによる凹凸がなく、内周端導体と第1端部導体との間隔、および、外周端導体と第2端部導体との間隔を安定して一定にすることができる。これにより、内周端導体と第1端部導体とが対向して得られるキャパシタのキャパシタンス、および、外周端導体と第2端部導体とが対向して得られるキャパシタのキャパシタンスを安定させることができる。
【0087】
次に、本発明の第11の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図16は、本発明の第11の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Jは、第10の実施形態に係るアンテナ装置10Iに対して、第1基材21と第2基材31を一体化して、基材21Jとしたものである。すなわち、基材21Jの表面側に引き出し用部材30
Jの導体パターンが形成され、裏面側にアンテナコイル部材20
Jの導体パターンが形成されている。このような構成であっても、信頼性の高く簡素な構成のアンテナ装置を実現することができる。さらに、本実施形態の構成では、より構成要素が少なく、より薄いアンテナ装置を実現できる。
【0088】
次に、本発明の第12の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図17は、本発明の第12の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Kは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して、第1基材21の代わりに、無線通信端末の筐体901Kを用いたものである。すなわち、無線通信端末の筐体901Kを絶縁性材料で形成し、当該筐体901Kの内壁面にアンテナコイル部材20
Kの導体パターンが形成されている。このような構成であっても、信頼性の高く簡素な構成のアンテナ装置を実現することができる。さらに、無線通信端末を薄く構成することができる。
【0089】
次に、本発明の第13の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図18は、本発明の第13の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Lは、第8の実施形態に係るアンテナ装置10Gに対して、第1基材21の代わりに、無線通信端末の筐体901Lを用いたものである。すなわち、無線通信端末の筐体901Lを絶縁性材料で形成し、当該筐体901Lの内壁面にアンテナコイル部材20の導体パターンが形成されている。このような構成であっても、信頼性の高く簡素な構成のアンテナ装置を実現することができる。さらに、無線通信端末を薄く構成することができる。
【0090】
次に、本発明の第14の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図19は、本発明の第14の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Mは、第6の実施形態に係るアンテナ装置10Eの磁性体シート61に代えて、磁性体シート61Mを配置したものである。
【0091】
第1基材21には、貫通溝210が形成されている。磁性体シート61Mは、貫通溝210を挿通し、引き出し用部材30側では第1基材21の表面側を覆い、引き出し用部材30側に対して反対側では第1基材21の裏面側を覆う。このような構成であっても、信頼性の高く簡素な構成のアンテナ装置を実現することができる。さらに、本実施形態の構成を用いることで、磁性体シートの貼り方によって指向性を容易に変更することができ、アンテナの特性を向上することができる。
【0092】
このような構成からなるアンテナ装置10Mは、
図20に示すように、無線通信端末に実装される。
図20は、本発明の第14の実施形態に係る無線通信端末の部分側面図である。本実施形態に係る無線通信端末90Mは、第6の実施形態に係る無線通信端末90Eにおけるアンテナ装置10Eが、本実施形態に係るアンテナ装置10Mに置き換わったものである。他の構成は、第6の実施形態に係る無線通信端末90Eと同じである。このような構成であっても、第6の実施形態と同様の作用効果を得られ、さらに本実施形態の磁性体シート61Mの配置態様を用いることで、無線通信端末90Mアンテナの特性を向上させることができる。
【0093】
次に、本発明の第15の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図21は、本発明の第15の実施形態に係るアンテナ
部材の平面図および
引き出し用部材の平面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Nは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して、内周端導体221N、外周端導体222N、第1端部導体321N、および第2端部導体331Nの形状が異なるものである。他の構成は、第1の実施形態に係るアンテナ装置10と同じである。
【0094】
内周端導体221N、外周端導体222N、第1端部導体321N、および第2端部導体331Nは、略方形状である。このように、内周端導体、外周端導体、第1端部導体、第2端部導体の形状は、所望の容量性結合を得られる形状であればよい。この際、内周端導体、外周端導体は、スパイラル導体よりも幅広で、第1端部導体、第2端部導体は、第1、第2引き出し導体パターンよりも幅広であることが好ましい。
【0095】
次に、本発明の第16の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図22は、本発明の第16の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Pは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して引き出し用部材30Pとアンテナコイル部材20Pとの位置関係が異なるものである。引き出し用部材30Pおよびアンテナコイル部材20Pの基本的な構造は、第1の実施形態に係る引き出し用部材30およびアンテナコイル部材20と同じである。
【0096】
引き出し用部材30Pは、第2基材31P、第1端部導体321P、第1引き出し導体パターン322P、第2端部導体331P、第2引き出し導体パターン332P、および、外部接続用ランド導体323P,333Pを備える。
【0097】
アンテナ装置10Pを平面視して、引き出し用部材30Pの第1端部導体321Pは、アンテナコイル部材20Pの内周端導体221Pと重なっており、引き出し用部材30Pの第2端部導体331Pは、アンテナコイル部材20Pの外周端導体222Pに重なっている。
【0098】
アンテナ装置10Pを平面視して、引き出し用部材30Pの外部接続用ランド導体323P,333Pは、アンテナコイル部材20Pのスパイラル導体22Pに重ならず、アンテナコイル部材20Pのスパイラル導体22Pによって囲まれる領域内に配置されている。外部接続用ランド導体323P,333Pは、互いに離間した状態で且つ近接して配置されている。
【0099】
第1引き出し導体パターン322Pは、第1端部導体321Pと外部接続用ランド導体323Pとを接続する。この際、第1引き出し導体パターン322Pは、第1端部導体321Pと外部接続用ランド導体323Pとを最短距離で接続することが好ましい。
【0100】
第2引き出し導体パターン332Pは、第2端部導体331Pと外部接続用ランド導体323Pとを接続する。この際、第2引き出し導体パターン332Pは、平面視して交差する位置のスパイラル導体22Pに対して、直交する方向に延び、且つ、第2端部導体331Pと外部接続用ランド導体323Pとを最短距離で接続することが好ましい。
【0101】
このような構成とすることで、アンテナコイル部材20Pとアンテナコイル部材20の面積が同じ場合には、アンテナ装置10Pをアンテナ装置10よりも小面積で形成することができる。また、アンテナ装置10Pとアンテナ装置10の最外周形状が同じ場合には、アンテナコイル部材20Pを大面積にすることができる。すなわち、スパイラル導体22Pの環形を大きく取ることができ、スパイラル導体22Pによって囲まれる開口部の面積を大きくでき、放射特性を向上することができる。
【0102】
また、上述のように、外部接続用ランド導体323P,333Pへの引き回しをできる限り短くすることで、放射特性の劣化を抑制することができる。
【0103】
また、本実施形態の構成を用いることで、アンテナコイル部材20Pの第1基材21Pが外部接続用ランド導体323P,333Pに対する補強部材としても機能する。これにより、外部接続用ランド導体323P,333Pに上述のプローブ等を当接させた場合に、外部接続用ランド導体323P,333Pの強度が上がる。したがって、外部接続用ランド導体323P,333Pにおける外部との接続信頼性を向上することができる。
【0104】
なお、
図22に示すように、引き出し用部材30Pにおける外部接続用ランド導体323P,333Pが形成されている領域を、接着層40を介してアンテナコイル部材20Pに貼り付けることが好ましい。
【0105】
次に、本発明の第17の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図23は、本発明の第17の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Qは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して引き出し用部材30Qとアンテナコイル部材20Qとが容量結合する位置が異なるものである。
【0106】
アンテナコイル部材20Qの内周端導体221Qと外周端導体222Qは、第1基材21におけるそれぞれ異なる辺に平行になるように形成されている。
【0107】
アンテナ装置10Qを平面視して、引き出し用部材30Qの第1端部導体321Qは、アンテナコイル部材20Qの内周端導体221Qに重なっている。アンテナ装置10Qを平面視して、引き出し用部材30Qの第2端部導体331Qは、アンテナコイル部材20Qの外周端導体222Qに重なっている。
【0108】
アンテナ装置10Qを平面視して、外部接続用ランド導体323Q,333Qは、アンテナコイル部材
20Qに重ならないように配置されている。外部接続用ランド導体323Q,333Qは、互いに離間した状態で且つ近接して配置されている。外部接続用ランド導体323Qは、第1引き出し導体パターン322Qを介して、第1端部導体321Qに接続されている。外部接続用ランド導体333Qは、第2端部導
体331Qの一方端に接続されている。
【0109】
このような構成であっても、第1の実施形態に係るアンテナ装置10と同様の作用効果を得ることができる。そして、このような構成を用いることができることにより、アンテナ装置としての設計自由度が向上する。
【0110】
次に、本発明の第18の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図24は、本発明の第18の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Rは、第15の実施形態に係るアンテナ装置10Nに対して、内周端導体221Rと外周端導体222Rとの位置関係位置が異なるものである。
【0111】
内周端導体221Rと外周端導体222Rは、第1基材21における内周端導体221Rと外周端導体222Rが近接する辺に沿って配列して配置されている。
【0112】
アンテナ装置10Rを平面視して、引き出し用部材30Rの第1端部導体321Rは、アンテナコイル部材20Rの内周端導体221Rに重なっている。アンテナ装置10Rを平面視して、引き出し用部材30Rの第2端部導体331Rは、アンテナコイル部材20Rの外周端導体222Rに重なっている。
【0113】
アンテナ装置10Rを平面視して、外部接続用ランド導体323R,333Rは、アンテナコイル部材
20Rに重ならないように配置されている。外部接続用ランド導体323R,333Qは、互いに離間した状態で且つ近接して配置されている。外部接続用ランド導体323Rは、第1引き出し導体パターン322Rを介して、第1端部導体321Rに接続されている。外部接続用ランド導体333Rは、第2引き出し導体パターン3
32Rを介して、第2端部導
体331Rに接続されている。
【0114】
このような構成であっても、第15の実施形態に係るアンテナ装置10Nと同様の作用効果を得ることができる。そして、このような構成を用いることができることにより、アンテナ装置としての設計自由度が向上する。
【0115】
次に、本発明の第19の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図25は、本発明の第19の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Sは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して引き出し用部材30Sとアンテナコイル部材20とが容量結合する領域が異なるものである。
【0116】
引き出し用部材30Sは、第2基材31、第1端部導体321S、第1引き出し導体パターン322、第2端部導体331S、第2引き出し導体パターン332、および、外部接続用ランド導体323,333を備える。
【0117】
アンテナ装置10Sを平面視して、引き出し用部材30Sの第1端部導体321Sは、アンテナコイル部材20の内周端導体221およびスパイラル導体22の一部と重なっている。この第1端部導体321Sと重なるスパイラル導体22の一部は、内周端導体221の延びる方向に平行に延びる部分である。引き出し用部材30Sの第2端部導体331Sは、アンテナコイル部材20の外周端導体222およびスパイラル導体22の一部と重なっている。この第2端部導体331Sと重なるスパイラル導体22の一部は、外周端導体222の延びる方向に平行に延びる部分である。
【0118】
このような構成とすることで、第1端部導体321Sおよび第2端部導体331Sは、内周端導体221および外周端導体222のみでなく、スパイラル導体22と容量結合する。これにより、第1の実施形態に係るアンテナ装置10よりも、アンテナ整合用のキャパシタとして、より大きなキャパシタンスを得ることができる。
【0119】
なお、本実施形態では、第1端部導体321Sと第2端部導体331Sの両方が、スパイラル導体22と重なる態様を示したが、一方だけ重なるようにしてもよい。ただし、上述のように、平衡信号出力の態様を用いる場合には、第1端部導体321Sと内周端導体221およびスパイラル導体22とが重なる面積と、第2端部導体331Sと外周端導体222およびスパイラル導体22とが重なる面積が同じであることが好ましい。
【0120】
次に、本発明の第20の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図26は、本発明の第20の実施形態に係るアンテナ装置の平面
図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Tは、第19の実施形態に係るアンテナ装置10
Sに対して引き出し用部材30Tとアンテナコイル部材20とが容量結合する領域が異なるものである。
【0121】
引き出し用部材30Tは、第2基材31、第1端部導体321T、第1引き出し導体パターン322、第2端部導体331T、第2引き出し導体パターン332、および、外部接続用ランド導体323,333を備える。
【0122】
アンテナ装置10Tを平面視して、引き出し用部材30Tの第1端部導体321Tは、複数の第1容量結合用突起部を備えている。これらの第
1容量結合用突起部は、アンテナコイル部材20のスパイラル導体22の一部と重なっている。第1容量結合用突起部と重なるスパイラル導体22の一部は、内周端導体221の延びる方向に平行に延び、且つ
内周端導体221に隣接する部分である。
【0123】
引き出し用部材30Tの第2端部導体331Sは、複数の第2容量結合用突起部を備えている。これらの第2容量結合用突起部は、アンテナコイル部材20のスパイラル導体22の一部と重なっている。第2容量結合用突起部と重なるスパイラル導体22の一部は、外周端導体222の延びる方向に平行に延び、且つ外周端導体222に隣接する部分である。
【0124】
このような構成とすることで、第1端部導体321Rおよび第2端部導体331Rは、内周端導体221および外周端導体222のみでなく、スパイラル導体22と容量結合する。これにより、第1の実施形態に係るアンテナ装置10よりも、アンテナ整合用のキャパシタとして、より大きなキャパシタンスを得ることができる。さらに、第1、第2容量
結合用突起部の形状を調整することで、キャパシタンスを調整することができる。
【0125】
なお、本実施形態では、第1端部導体321Rと第2端部導体331Rの両方が、同じ形状で同じ個数の容量
結合用突起部を備える態様を示したが、一方だけ容量
結合用突起部を設けてもよく、第1容量
結合用突起部と第2容量
結合用突起部の形状や面積が異なっていてもよい。ただし、上述のように、平衡信号出力の態様を用いる場合には、第1容量
結合用突起部を含む第1端部導体321Rと内周端導体221およびスパイラル導体22とが重なる面積と、第2容量
結合用突起部を含む第2端部導体331Rと外周端導体222およびスパイラル導体22とが重なる面積が同じであることが好ましい。
【0126】
次に、本発明の第21の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図27は、本発明の第21の実施形態に係るアンテナ装置の引き出し用部材を構成する複数種類の形状を示す平面図である。本実施形態に係るアンテナ装置は、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して引き出し用部材30FP,30CNの形状が異なるものである。
【0127】
図27(A)に示すように、引き出し用部材30FPは、第1の実施形態に係る引き出し用部材30における外部接続用ランド導体323,333に換えて、フラットコネクタ用ランド323FP,333FPを備える。フラットコネクタ用ランド323FP,333FPは、例えば、第1引き出し導体パターン322および第2引き出し導体パターン332における第1端部導体321および第2端部導体331と反対側の端部に、フラットコネクタ接続用のメッキ(例えば、Ti/Auメッキ)を施した構成からなる。なお、第2基材31の外形形状は、形成される導体パターンの形状に応じて、小型(小面積)に形成されている。
【0128】
図27(B)に示すように、引き出し用部材30CNは、第1の実施形態に係る引き出し用部材30における外部接続用ランド導体323,333に換えて、同軸型コネクタ3233CNを備える。同軸型コネクタ3233CNの内導体および外導体は、第1引き出し導体パターン322および第2引き出し導体パターン332における第1端部導体321および第2端部導体331と反対側の端部にそれぞれ接続されている。なお、第2基材31の外形形状は、形成される導体パターンの形状に応じて、小型(小面積)に形成されている。
【0129】
このように、アンテナ装置を外部回路に接続する部分は、種々の態様を用いることができる。
【0130】
次に、本発明の第22の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図28は、本発明の第22の実施形態に係るアンテナ装置のアンテナコイル部材の平面図、アンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Uは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対してアンテナコイル部材20の構成、および、引き出し用部材30とアンテナコイル部材20Uとが容量結合する態様が異なるものである。
【0131】
アンテナコイル部材20Uは、第1基材21U、スパイラル導体22U、内周端導体221U、外周端導体222Uを備える。
【0132】
スパイラル導体22Uは、第1の実施形態に係るアンテナコイル部材20のスパイラル導体22と同じ形状である。
【0133】
内周端導体221Uは、第1容量結合部221U1と第2容量結合部221U2と接続部221U3を備える。第1容量結合部221U1は、第1の実施形態に係るアンテナコイル部材20の内周端導体221と同じ形状である。第2容量結合部221U2は、平面視した形状が、第1容量結合部221U1と略同じである。第2容量結合部221U2は、スパイラル導体22Uに囲まれる環状の内側の領域に配置されている。第1容量結合部221U1と第2容量結合部221U2は、延びる方向が平行である。接続部221U3は、第1容量結合部221U1と第2容量結合部221U2とを接続している。
【0134】
外周端導体222Uは、第1容量結合部222U1と第2容量結合部222U2と接続部222U3を備える。第1容量結合部222U1は、第1の実施形態に係るアンテナコイル部材20の外周端導体222と同じ形状である。第2容量結合部222U2は、平面視した形状が、第1容量結合部222U1と略同じである。第2容量結合部222U2は、スパイラル導体22Uに囲まれる環状の外側の領域に配置されている。第1容量結合部222U1と第2容量結合部222U2は、延びる方向が平行である。接続部222U3は、第1容量結合部222U1と第2容量結合部222U2とを接続している。
【0135】
第1基材21Uにおけるスパイラル導体22Uに囲まれる環状の内側の領域には、スリットSLITが形成されている。スリットSLITは、帯状に基材が切り取られた部分である。スリットSLITは、内周端導体221Uの第2容量結合部221U2を囲むように形成されている。この際、スリットSLITは、第1容量結合部221U1と第2容量結合部221U2とが向かい合う辺には設けられていない。なお、接続部222U3が形成されている部分のみを残して、スリットSLITを形成してもよい。
【0136】
スリットSLITと第1容量結合部221U
1の形成領域とに囲まれる第1折り曲げ可能部21U
1には、内周端導体221Uの第2容量結合部221U2が形成されている。
【0137】
第1基材21Uは、第2折り曲げ可能部21U2を備える。第2折り曲げ可能部21U2は、第1の実施形態に係る第1基材21における外周端導体222
Uが形成される辺から外方に突出する形状である。
第2折り曲げ可能部21U2には、外周端導体222Uの第2容量結合部222U2が形成されている。
【0138】
アンテナコイル部材20Uと引き出し用部材30とは、第1基材21Uにおけるスパイラル導体22Uが形成されていない面と第2基材31における導体パターンが形成されていない面とが当接するように、配置される。
【0139】
引き出し用部材30における第1端部導体321が形成された領域は、アンテナコイル部材20Uの第1基材21Uの主体部と第1折り曲げ可能部21U
1とによって挟み込まれている。これにより、アンテナコイル部材20Uの内周端導体221Uの第1容量結合部221U1と第2容量結合部221U2によって引き出し用部材30の第1端部導体321が挟み込まれる構造が実現される。
【0140】
引き出し用部材30における第2端部導体3
31が形成された領域は、アンテナコイル部材20Uの第1基材21Uの主体部と第2折り曲げ可能部21U2とによって挟み込まれている。これにより、アンテナコイル部材20Uの内周端導体221Uの第1容量結合部221U1と第2容量結合部221U2によって引き出し用部材30の第1端部導体321が挟み込まれる構造が実現される。
【0141】
このような構成とすることで、内周端導体221Uと第1端部導体321とによるキャパシタンスを大きくすることができる。同様に、外周端導体222Uと第2端部導体331とによるキャパシタンスを大きくすることができる。
【0142】
なお、本実施形態では、第1、第2折り曲げ可能部21U1,21U2と、引き出し用部材30とを接着層40で貼り付ける態様を示したが、さらに、引き出し用部材30と第1基材21Uの主体部とを接着層40で貼り付けてもよい。
【0143】
また、本実施形態の折り曲げによって、第1基材21Uに形成される穴は、上述の第14の実施形態に係るアンテナ装置10Mにおいて磁性体シート61Mが挿通された貫通溝210として用いることもできる。
【0144】
次に、本発明の第23の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図29は、本発明の第23の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Vは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して、インピーダンス調整用導体パターン70を追加したものである。
【0145】
インピーダンス調整用導体パターン70は、アンテナコイル部材20と引き出し用部材30との間で、且つ、スパイラル導体22、内周端導体221、および外周端導体222に対して接着層40を挟むように配置されている。
【0146】
このような構成を用いることで、アンテナ用の整合回路のインピーダンスを調整することができ、所望インピーダンスからなる整合回路を、容易に実現することが可能になる。
【0147】
またインピーダンス調整用導体パターン70はスパイラル導体22によって発生する磁束を変化させることが出来るため、アンテナ装置10Vの放射特性の自由度を向上させることができる。
【0148】
次に、本発明の第24の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図30は、本発明の第24の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Wは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して、アンテナコイル部材20Wの形状が異なるものである。
【0149】
アンテナコイル部材20Wの第1基材21Wは、第1の実施形態に係る第1基材2
1と同じ形状の主体部と、補強用拡張部21W3とを備える。第1基材21Wの主体部と補強用拡張部21W3はつながっており、本実施形態ではこれらは一体形成されている。補強用拡張部21W3は、アンテナ装置10Wを平面視して、引き出し用部材30における外部接続用ランド導体323,333が形成されている領域を含むように形成されている。
【0150】
このような構成とすることで、アンテナコイル部材20Wの拡張部21W3が外部接続用ランド導体323,333に対する補強部材として機能する。これにより、外部接続用ランド導体323,333を物理的に外部接続する場合(例えば、上述のようにプローブを当接させる場合)に、外部接続用ランド導体323,333の強度が上がる。したがって、外部接続用ランド導体323,333における外部との接続信頼性を向上することができる。
【0151】
なお、アンテナコイル部材20Wは、拡張部21W3も含んで、引き出し用部材30に対して、接着層40を介して貼り付けられていることが好ましい。
【0152】
また、本実施形態では、少なくとも外部接続用ランド導体323,333および第1、第2引き出し導体パターン322,332が形成されている領域を少なくとも含むように、拡張部21W3が設けられている。しかしながら、アンテナ装置10Wを平面視して、引き出し用部材30が第1基材2
1Wの主体部と重ならない領域の全体に亘って、拡張部を設けてもよい。
【0153】
次に、本発明の第25の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図31は、本発明の第25の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Xは、第24の実施形態に係るアンテナ装置10Wに対して、位置決め用貫通孔THLが追加されたものである。
【0154】
位置決め用貫通孔THLは、アンテナコイル部材20Xの第1基材21Xと引き出し用部材30Xの第2基材22Xの両方に設けられている。アンテナコイル部材20Xと引き出し用部材30Xとがアンテナ装置10Xを構成するための所望の配置で置かれた状態において、第1基材21Xの位置決め用貫通孔THLと、第2基材22Xの位置決め用貫通孔THLとは、重なるように配置されている。
【0155】
このような構成を用いることで、アンテナコイル部材20Xと引き出し用部材30Xとを適切な位置関係で、容易に配置することができる。
【0156】
なお、本実施形態では、位置決め用貫通孔THLを、第1基材21Xと第2基材22Xのそれぞれに複数設ける態様を示したが、単数であってもよい。また、本実施形態では、スパイラル導体22による環状の内側の領域に、位置決め用貫通孔THLを設ける態様を示したが、環状の外側の領域に設けてもよい。また、内側と外側に設けてもよい。
【0157】
次に、本発明の第26の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図32は、本発明の第26の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10Yは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して、保護層50を追加したものである。
【0158】
保護層50は、絶縁性を有し、アンテナコイル部材20における引き出し用部材30が配置される表面の略全面を覆うように形成されている。この際、アンテナコイル部材20の表面に露出する導体の全てと、引き出し用部材30における少なくとも第1、第2端部導体321,331を覆うように、保護層50が配置されている。
【0159】
このような構成とすることで、外部接続用ランド導体323,333を除くアンテナ装置10Yを構成する導体の略全体を保護層50によって覆うことができる。これにより、上述の第2から第5に係る実施形態のアンテナ装置と同様に、信頼性の高いアンテナ装置を実現することができる。
【0160】
なお、本実施形態のアンテナ装置10Yにおいて、外部接続用ランド導体323,333の表面を除く全面を保護層で覆うことが好ましい。さらに、外部接続用ランド導体323,333には、腐食防止用のメッキを施しておくことが好ましい。これらの構成を用いることで、さらに信頼性の高いアンテナ装置を実現することができる。
【0161】
次に、本発明の第27の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図33は、本発明の第27の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10AAは、第6の実施形態に係るアンテナ装置10Eの
磁性体シート61に貫通穴620,630を設けたものである。
【0162】
貫通穴620は、アンテナ装置10AAを平面視して、第1端部導体321に重なるように、磁性体シート61に設けられている。貫通穴630は、アンテナ装置10AAを平面視して、第2端部導体331に重なるように、磁性体シート61に設けられている。貫通穴620が第1端部導体321に重なる面積、貫通穴630が第2端部導体331に重なる面積は、同じであることが好ましい。
【0163】
一般にフェライト等の磁性体シートは空気よりも高い誘電率を有しているが、このような構成とすることで、アンテナ装置10AAの磁性体シート61側に導体が配置された場合に、第1端部導体321、第2端部導体331と導体との容量結合を抑制することができる。特に、第1端部導体321、第2端部導体331は、スパイラル導体22等の他の導体パターンを比較して面積が広い。したがって、第1端部導体321、第2端部導体331は外部の導体と容量結合を生じ易い。しかしながら、この構成を用いることによって、この容量結合を抑制できる。これにより、配置環境によるアンテナ装置10AAの特性変化を、より効果的に抑制することができる。
【0164】
なお、貫通穴620が第1端部導体321に重なる面積、貫通穴630が第2端部導体331に重なる面積は、アンテナ装置10AAの仕様等によって適宜設定すればよい。
【0165】
次に、本発明の第28の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図34は、本発明の第28の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10BBは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して、アンテナの周波数を調整する補助導体34を追加したものである。
【0166】
補助導体34は、第2基材31における第1端部導体321BB、第2端部導体331BBと同じ面に形成されている。補助導体34は、平面視して、内周端導体221、および、外周端導体222に重なっている。補助導体34における内周端導体221に重なる部分と、補助導体34における外周端導体222に重なる部分とは、連通しており、一体化されている。
【0167】
補助導体34の形成にしたがい、第1端部導体321BBは、第1の実施形態に係る第1端部導体321よりも短く形成されている。第2端部導体331BBは、第1の実施形態に係る第2端部導体331よりも短く形成されている。
【0168】
このような構成とすることによって、補助導体34が内周端導体221および外周端導体222に重なっていることによって形成されるキャパシタは、スパイラル導体22によって形成されるインダクタに並列接続される。このように、アンテナを形成するインダクタにキャパシタを並列接続することによって、アンテナのインピーダンス特性を調整でき、アンテナで送受信する高周波信号の周波数を調整することができる。
【0169】
次に、本発明の第29の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図35は、本発明の第29の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10CCは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して、引き出し用部材30CCの構成が異なる。
【0170】
引き出し用部材30CCは、第2基材31CC、第1端部導体321、第2端部導体3311,3312、第1引き出し導体パターン322、第2引き出し導体パターン332、外部接続用ランド導体323,333を備える。
【0171】
外部接続用ランド導体323,333は、アンテナコイル部材20における内周端導体221,222の延びる方向の略中間位置に配置されている。
【0172】
第1端部導体321は、内周端導体221に重なるように配置されている。第1引き出し導体パターン322は、内周端導体221と外部接続用ランド導体323を接続する。第1引き出し導体パターン322は、第1端部導体321の延びる方向に直交する方向に延びる形状である。
【0173】
第2端部導体3311,3312は、それぞれ外周端導体222に重なるように配置されている。第2端部導体3311,3312は、接続用引き回し導体334によって接続されている。接続用引き回し導体334は、第1端部導体321の周囲を周回する環状に形成されている。この際、接続用引き回し導体334は、不要な電磁界結合を避けるため、できる限り、スパイラル導体22に重ならないように配線することが好ましい。
【0174】
第2引き出し導体パターン322は、第2端部導体33
11と外部接続用ランド導体333を接続する。第2引き出し導体パターン332は、第2端部導体33
11の延びる方向に直交する方向に延びる形状である。
【0175】
このように、外周端導体222に重なる導体を第2端部導体3311,3312に分割し、接続用引き回し導体334を設けることによって、外部接続用ランド導体323,333の位置に応じて、第1、第2引き出し導体パターン322,332を、できる限り短い長さで形成することができ、第1、第2引き出し導体パターン322,332の不要なインダクタンスや抵抗を抑えることができる。
【0176】
また、この構成を用いることによって、第2端部導体の外部接続用ランド導体側に引き回し用の導体パターンを形成しなくてもよい。したがって、引き出し用部材30CCは、第2端部導体の外部接続用ランド導体側に引き回し用の導体パターンを形成する領域を必要としない。したがって、引き出し用部材30CCがアンテナコイル部材20に重ならない領域は、小さくなる。これにより、アンテナ装置10CCの配置位置および外部接続用ランド導体323,333の位置が予め規定されていても、アンテナ特性を劣化させることなく、アンテナ装置10CCを形成することができる。
【0177】
次に、本発明の第30の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図36は、本発明の第
30の実施形態に係るアンテナ装置の平面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10DDは、第29の実施形態に係るアンテナ装置10CCに対して、引き出し用部材30DDの構成が異なる。
【0178】
第2端部導体331DDは分割されておらず、接続用引き回し導体は形成されていない。また、第1引き出し導体パターン322DDは、第2端部導体331を迂回するように配線されている。
【0179】
このような構成であっても、外部接続用ランド導体323,333の位置に応じた形状のアンテナ装置10DDを実現することができる。
【0180】
次に、本発明の第31の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図37は、本発明の第31の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10EEは、第3の実施形態に係るアンテナ装置10Bに対して、保護層54が異なる。
【0181】
保護層54は、接着性を有し、アンテナコイル部材20と引き出し用部材30を接着している。したがって、第3の実施形態に係るアンテナ装置10Bの有する接着層40を省略することができる。例えば、保護層54は、熱硬化性または紫外線硬化性のレジストフィルム等からなる。
【0182】
このような構成は、次に示す工程によって実現できる。
アンテナコイル部材20にレジストフィルムを貼り、引き出し用部材30を配置する。その後、レジストフィルムに対して熱または紫外線を与えることによって硬化させる。これにより、アンテナコイル部材20と引き出し用部材30は、硬化されたレジストフィルム、すなわち保護層54によって接着される。なお、レジストフィルムに替えて、所定の粘性を有する液状のレジストを用いてもよい。
【0183】
このような構成とすることで、アンテナ装置10EEの構成要素を少なくできる。また、アンテナ装置10EEを、さらに薄型に形成できる。また、内周端導体221と第1端部導体321との距離、外周端導体222と第2端部導体331との距離を短くでき、これらの間の容量結合を大きくすることができる。
【0184】
次に、本発明の第32の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図38は、本発明の第32の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10FFは、第1の実施形態に係るアンテナ装置10に対して、第1基材21FF、第2基材31FFの形状および材料が異なる。
【0185】
アンテナコイル部材20FFの第1基材21FFと、引き出し用部材30FFの第2基材31FFは、同じ形状からなる。具体的には、第1基材21FFおよび第2基材31FFを平面視した形状は、アンテナ装置10FFを平面視した形状と同じである。第1基材21FFおよび第2基材31FFの材料は、熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂としては、ポリイミド、液晶ポリマ等がある。
【0186】
第1基材21FFと第2基材31FFとは、全面が重ね合わされた状態で加熱圧着されている。これにより、アンテナ装置10FFを実現することができる。
【0187】
このような構成とすることによって、内周端導体221と第1端部導体321との距離、外周端導体222と第2端部導体331との距離を短くでき、これらの間の容量結合を大きくすることができる。
【0188】
次に、本発明の第33の実施形態に係るアンテナ装置について、図を参照して説明する。
図39は、本発明の第33の実施形態に係るアンテナ装置の平面図および側面断面図である。本実施形態に係るアンテナ装置10GGは、第31の実施形態に係るアンテナ装置10EEに対して、磁性体シート61GGを追加したものである。
【0189】
磁性体シート61GGは、第1基材21(アンテナコイル部材20)の全体を覆う形状からなる。磁性体シート61GGは、接着性の保護層542を介して第1基材21に接着されている。
【0190】
引き出し用部材30GGの第2基材31GGは、第1基材21の全体を覆う形状からなる。第2基材31GGは、接着性の保護層543を介して磁性体シート61GGに接着されている。
【0191】
このような構成とすることによって、スパイラル導体22を平面視した全面に亘って、磁性体シート61GGが配置されるので、アンテナの特性が向上する。
【0192】
なお、この構成では、内周端導体221と第1端部導体321との距離、外周端導体222と第2端部導体331との距離が、磁性体シート61GGおよび保護層542,543の厚みだけ離間される。しかしながら、磁性体シート61GGが所定の誘電率を有するので、内周端導体221と第1端部導体321との容量結合、外周端導体222と第2端部導体331との容量結合を、第1の実施形態に係るアンテナ装置10と同等に得ることができる。
アンテナ装置(10)は、アンテナコイル部材(20)および引き出し用部材(30)を備える。アンテナコイル部材(20)は第1基材(21)を備え、第1基材(21)の表面には、スパイラル導体(22)が形成されている。スパイラル導体(22)の内周端には内周端導体(221)が接続され、外周端には外周端導体(222)が接続されている。引き出し用部材(30)は第2基材(22)を備え、第2基材(31)の表面には、第1、第2引き出し導体パターン(322,332)が形成されている。第1、第2引き出し導体パターン(322,332)の一方端には、それぞれ第1、第2端部導体(321,331)が接続されている。引き出し用部材(30)はアンテナコイル部材(20)の表面側に配置されており、内周端導体(221)と第1端部導体(321)が対向し、外周端導体(222)と第2端部導体(331)が対向している。