特許第5790967号(P5790967)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5790967
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 13/04 20060101AFI20150917BHJP
   B05B 13/06 20060101ALI20150917BHJP
   B05C 7/02 20060101ALN20150917BHJP
【FI】
   B05B13/04
   B05B13/06
   !B05C7/02
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-525676(P2015-525676)
(86)(22)【出願日】2015年1月21日
(86)【国際出願番号】JP2015051518
【審査請求日】2015年5月19日
(31)【優先権主張番号】特願2014-87331(P2014-87331)
(32)【優先日】2014年4月21日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092200
【弁理士】
【氏名又は名称】大城 重信
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100189083
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 圭介
(72)【発明者】
【氏名】岡田 芳明
(72)【発明者】
【氏名】丹生 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 知之
(72)【発明者】
【氏名】河合 祥次
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−058661(JP,U)
【文献】 米国特許第2336946(US,A)
【文献】 特開2012−134289(JP,A)
【文献】 特開2011−230075(JP,A)
【文献】 特開2011−178411(JP,A)
【文献】 特開昭54−113967(JP,A)
【文献】 特許第85374(JP,C1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 13/04
B05B 13/06
B05C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内壁面に塗布剤を塗布する塗布装置であって、
スプレーノズルを有し、塗布剤噴出路が形成されたスプレーガンと、
前記スプレーガンに取り付けられ、前記塗布剤噴出路に連通する塗布剤循環路を構成する往路パイプおよび復路パイプと、
前記塗布剤循環路から前記塗布剤噴出路への塗布剤の供給を制御する供給制御手段と、
前記スプレーガンをガン長手方向に沿った軸線を中心として回転させる回転駆動手段と、
前記スプレーガンをガン長手方向に沿って移動させる移動手段とを備え、
前記往路パイプおよび復路パイプに、弾性的に伸縮可能な弾性形状部をそれぞれ設け
容器口部に対向可能な吸引機構を更に備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記弾性形状部は、コイル状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記回転駆動手段は、前記スプレーガンを所定角度で正逆回転させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記回転駆動手段は、前記スプレーガンを180°〜360°回転させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項5】
前記スプレーノズルは、塗布剤が左右対称に広がるように噴出するノズル形状を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項6】
前記スプレーガンは、ガン長手方向を上下方向として配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項7】
前記供給制御手段は、前記スプレーガンにエアを供給することで、前記塗布剤循環路から前記塗布剤噴出路に塗布剤を供給させるエア噴出手段を含み、
前記回転駆動手段および前記移動手段は、エア駆動式のアクチュエータをそれぞれ含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項8】
前記回転駆動手段は、ロータリアクチュエータと、前記ロータリアクチュエータおよび前記スプレーガンの間に介在するギアとを有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項9】
前記吸引機構は、気流増幅ユニットから成り、
前記気流増幅ユニットは、気体供給部と、吸入口および噴出口を有した気流増幅流路部とを有し、
前記吸入口は、容器口部に対向するように配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項10】
前記気流増幅ユニットは、前記スプレーガンのシャフトが、前記気流増幅流路部内に位置するように配置されていることを特徴とする請求項に記載の塗布装置。
【請求項11】
前記気流増幅ユニットをガン長手方向に沿って移動させる第2移動手段を更に備えることを特徴とする請求項または請求項10に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内壁面に塗布剤を塗布する塗布装置に関し、特に、容器内壁面に滑落性を向上させる塗布剤を塗布する塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラスチック容器は、成形が容易で安価に製造できることから各種用途に広く使用されているが、マヨネーズ様食品のような粘稠な内容物を注入した場合、内容物が容器内壁面に付着し易いことから、容器内に内容物を残すことなく使い切ることが難しいという問題があった。そこで、近年、内容物の滑落性を向上させる塗布剤の開発が進んでおり、このような塗布剤を容器内壁面に塗布した場合、容器内壁面の滑落性が向上し、容器内の内容物を容易に使い切ることができることが知られている。
【0003】
ところが、このような塗布剤の性能を良好に発揮させるためには、容器内壁面に塗布剤を均一に塗布する必要があるが、プラスチック容器はその形状が多種多様であり、また、その開口部の径が小さいことから、塗布装置として一般に使用されるスプレーガン(例えば特許文献1を参照)を用いた場合、塗布剤を容器内壁面に均一に塗布することが難しいという問題があった。
【0004】
そこで、塗布剤を容器内壁面に均一に塗布するための方策として、スプレーガンを容器内に挿入し、スプレーガンを回転および上下動、或いは前後動させつつ塗布剤を噴出することが考えられ、また、スプレーガンを容器内に挿入し、スプレーガンではなく容器を回転させるとともにスプレーガンを上下動、或いは前後動させつつ、塗布剤を噴出することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001ー224988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載される塗布剤循環式のスプレーガンにおいて、スプレーガンを回転および前後動させつつ塗布剤を噴出させようとした場合、塗布剤循環路を構成するパイプとスプレーガンとの間の接続箇所にストレスが掛かるという問題が生じる。すなわち、特許文献1に記載されるような塗布剤循環式のスプレーガンでは、スプレーガンに塗布剤循環用のパイプを接続し、塗布剤循環路を循環する塗布剤をスプレーノズルに連通する塗布剤噴出路に供給して、スプレーノズルから塗布剤を噴出するという構成を備えており、塗布剤を循環させることで塗布剤の沈殿等を抑制している。そして、このような塗布剤循環式のスプレーガンにおいて、スプレーガンを回転および前後動させた場合、パイプがスプレーガン外周に巻き付き、その結果、パイプとスプレーガンとの間の接続箇所にストレスが掛かるという問題が生じる。
【0007】
また、上述したスプレーガンを回転させた際の問題点を解決する方策として、スプレーガンに対してパイプが回転可能になるように、パイプをスプレーガンに接続することも考えられるが、この場合、パイプとスプレーガンとの間の接続構造が複雑になり、当該接続箇所からの塗布剤の漏出を防止することが困難であるという問題が生じる。
【0008】
また、上述したスプレーガンを回転させた際の問題点を解決する他の方策として、パイプの長さに充分な余裕を持たせることも考えられるが、この場合、塗布装置の初期状態において、スプレーガンの外側でパイプが横方向に広がるため、塗布装置の設置スペースを大きく確保しなければならないという問題があった。
【0009】
更に、上述したスプレーガンを回転させた際の問題点を解決する他の方策として、弾性が高く柔らかい材料からパイプを形成することで、スプレーガンの回転および前後動時にパイプを弾性変形させて伸長させることも考えられるが、この場合、弾性が高く柔らかい材料から成るパイプでは、塗布剤循環路を流れる塗布剤の圧に耐え得る充分な強度を確保することが難しいという問題がある。
【0010】
一方、スプレーガンを回転させるのではなく容器を回転させる場合、プラスチック容器は形状や大きさが多種多様であることから、容器を確実に保持しつつ回転させることが難しいという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、塗布剤の漏出や設置スペースの増加を抑制しつつ、簡便な構造で、容器内壁面に均一に塗布剤を塗布することが可能な塗布装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、容器内壁面に塗布剤を塗布する塗布装置であって、スプレーノズルを有し、塗布剤噴出路が形成されたスプレーガンと、前記スプレーガンに取り付けられ、前記塗布剤噴出路に連通する塗布剤循環路を構成する往路パイプおよび復路パイプと、前記塗布剤循環路から前記塗布剤噴出路への塗布剤の供給を制御する供給制御手段と、前記スプレーガンをガン長手方向に沿った軸線を中心として回転させる回転駆動手段と、前記スプレーガンをガン長手方向に沿って移動させる移動手段とを備え、前記往路パイプおよび復路パイプに、弾性的に伸縮可能な弾性形状部をそれぞれ設け、容器口部に対向可能な吸引機構を更に備えることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0013】
本請求項1に係る発明によれば、スプレーガンに取り付けられる往路パイプおよび復路パイプに、弾性的に伸縮可能な弾性形状部を設けることにより、各パイプが横方向に広がることを防止して、必要とされる設置スペースの増加を抑えつつ、スプレーガンを回転および上下動、或いは前後動させる際に弾性形状部を伸長させ、各パイプとスプレーガンとの間の接続箇所に過度なストレスが掛かることを抑制できる。
また、弾性形状部を弾性的に伸縮可能な形状とすることにより、塗布剤循環路を流れる塗布剤の圧に耐え得る充分な強度を確保する材料から形成した場合であっても、各パイプの伸縮性を確保することができる。
また、容器ではなく、スプレーガンを回転させる構成とすることにより、既存の製造ラインに容器の回転装置の設置が不要となり、また、限られた製造ラインのスペース内で塗布剤の塗布を効率良く行うことができ、設備投資費用を低く抑えることができる。
また、容器口部に対向可能な吸引機構を更に備えることにより、スプレーノズルから噴出され容器内で霧化した塗布剤を容器口部から吸引することが可能であるため、容器口部の上端縁やスプレーノズル、外部環境等の予定外の場所に、霧化した塗布剤が付着することを防止でき、また、塗布剤の容器内壁面への均一な塗布を実現することができる。
【0014】
本請求項2に係る発明によれば、往路パイプおよび復路パイプに設けられる弾性形状部がコイル状に形成されていることにより、弾性形状部をコンパクトな形状にまとめることが可能であるため、必要とされる設置スペースを低減することができ、また、弾性形状部の弾性変形時においてもパイプの断面形状を一定に維持し易いため、塗布剤の円滑な流動を維持することができる。
本請求項3に係る発明によれば、回転駆動手段が、スプレーガンを所定角度で正逆回転させることにより、回転方向の正逆を組み合わせてスプレーガンを回転させることで、スプレーガン外周における各パイプの巻き付きの程度を軽減することが可能であるため、各パイプとスプレーガンとの間の接続箇所に過度なストレスが掛かることを抑制できる。
本請求項4に係る発明によれば、回転駆動手段が、スプレーガンを180°〜360°回転させることにより、スプレーノズルのノズル形状に関わらず、容器内壁面の全面に塗布剤を塗布することが可能であるため、ノズル形状の設計自由度を向上することができる。
本請求項5に係る発明によれば、スプレーノズルが、塗布剤が左右対称に広がるように噴出するノズル形状を有していることにより、容器内壁面の全面に塗布剤を塗布するにあたって、回転駆動手段によるスプレーノズルの回転角度を180°に設定することも可能であるため、回転駆動手段を低コストかつ簡便に構成することができる。
本請求項6に係る発明によれば、スプレーガンを、そのガン長手方向を上下方向として配置することにより、塗布対象である容器を水平方向に搬送する既存の製造ラインに塗布装置を組み込むことが容易であるため、設備投資費用を低く抑えることができる。
本請求項7に係る発明によれば、供給制御手段が、スプレーガンにエアを供給することで塗布剤噴出路に塗布剤を供給するエア噴出手段を含むとともに、回転駆動手段および移動手段がエア駆動式のアクチュエータをそれぞれ含むことにより、各手段の原動力をエアに統一することで、共通のエア供給源を利用することが可能であり、設備投資費用を低減することができる。
本請求項8に係る発明によれば、回転駆動手段のロータリアクチュエータとスプレーガンとの間にギアを介在させることにより、ギア比を調整することでスプレーガンの回転角度を調整することが容易に可能である
請求項に係る発明によれば、吸引機構が気流増幅ユニットからなり、気流増幅ユニットが、気体供給部と、吸入口および噴出口を有した気流増幅流路部とを有し、吸入口が、容器口部に対向するように配置されることにより、加圧された気体を利用して、霧化した塗布剤を吸入口から良好に吸い出すことが可能となるため、バキューム装置等の大掛かりな設備を必要とせず、より簡単で設置スペースを小さくすることが可能となる。
本請求項10に係る発明によれば、スプレーガンのシャフトが、気流増幅流路部内に位置することにより、気流増幅ユニットの吸入口によって容器口部全体をカバーすることが可能になり、霧化した塗布剤を確実に吸引することができる。
本請求項11に係る発明によれば、気流増幅ユニットをガン長手方向に沿って移動させる第2移動手段を更に備えることにより、容器口部に吸入口をより接近させ、霧化した塗布剤を確実に吸引することができるばかりでなく、既存の製造ラインへの塗布装置の組み込みが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の参考例に係る塗布装置を示す正面図。
図2】塗布装置を示す側面図。
図3】塗布剤の流れを示す説明図。
図4】本発明の実施形態に係る塗布装置を示す正面図。
図5本発明の一実施形態に係る塗布装置の動作例を示す概略説明図。
【符号の説明】
【0016】
10 ・・・ 塗布装置
20 ・・・ スプレーガン
21 ・・・ シャフト
22 ・・・ スプレーノズル
23 ・・・ 塗布剤噴出路
24 ・・・ 塗布剤通路
30 ・・・ 往路パイプ
31 ・・・ 塗布剤通路
32 ・・・ 弾性形状部
33 ・・・ 復路パイプ
34 ・・・ 塗布剤通路
35 ・・・ 弾性形状部
40 ・・・ 塗布剤循環路
50 ・・・ 供給制御手段
51 ・・・ バルブ
52 ・・・ エア供給パイプ(エア噴出手段)
60 ・・・ 回転駆動手段
61 ・・・ ロータリアクチュエータ
62 ・・・ 第1ギア
63 ・・・ 第2ギア
64 ・・・ 回転用エア供給パイプ
70 ・・・ 移動手段
71 ・・・ ベース
72 ・・・ リニアガイド
73 ・・・ スライダ
80 ・・・ 回転支持部
81 ・・・ ベアリング
90 ・・・ 容器保持手段
100 ・・・ 気流増幅ユニット(吸引機構)
101 ・・・ 気流増幅流路部
102 ・・・ 気体供給部
103 ・・・ 吸入口
104 ・・・ 噴出口
105 ・・・ 気体供給パイプ
110 ・・・ 第2移動手段
111 ・・・ 第2リニアガイド
112 ・・・ 第2スライダ
C ・・・ 容器
C1 ・・・ 容器口部
L ・・・ 塗布剤
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の参考例に係る塗布装置10について、図面に基づいて説明する。
【0018】
まず、塗布装置10は、図1図2に示すように、容器C内にスプレーノズル22を挿入し、容器C内においてスプレーガン20を回転させつつ、スプレーノズル22から塗布剤Lを噴出することにより、内容物の滑落性を向上させる塗布剤Lを、マヨネーズ様食品のような粘稠な内容物を入れる容器Cの内壁面に塗布するものである。
【0019】
塗布装置10は、図1図3に示すように、塗布剤噴出路23を有したスプレーガン20と、スプレーガン20に取り付けられ塗布剤循環路40を構成する往路パイプ30および復路パイプ33と、塗布剤循環路40から塗布剤噴出路23への塗布剤Lの供給を制御する供給制御手段50と、スプレーガン20をガン長手方向に沿った軸線を中心として回転させる回転駆動手段60と、スプレーガン20をガン長手方向に沿って移動させる移動手段70と、スプレーガン20を回転可能に支持するベアリング81を有した回転支持部80と、容器Cを保持する容器保持手段90とを備えている。
【0020】
以下に、塗布装置10の各構成要素について、図1図3に基づいて説明する。
【0021】
まず、スプレーガン20は、図1図3に示すように、塗布剤Lを噴出するものであり、容器C内に挿入可能な細さのシャフト21と、シャフト21のに設けられたスプレーノズル22とを有している。ここで、スプレーノズル22のノズル形状は、塗布剤Lを広げるように噴出するものであれば如何なるものでもよいが、塗布剤Lを左右対称に広げて噴出するものであることが望ましい。また、本参考例では、シャフト21の先端に1つのスプレーノズル22が設けられているが、スプレーノズル22の数量や位置は如何なるものでもよく、また、スプレーノズル22から噴出される塗布剤Lを霧化させるために、スプレーノズル22にエア噴出口を設けてもよい。
【0022】
そして、スプレーガン20の内部には、図3に示すように、スプレーノズル22に連通する塗布剤噴出路23と、この塗布剤噴出路23に連通する塗布剤通路24とが形成されている。そして、この塗布剤通路24は、往路パイプ30内の塗布剤通路31および復路パイプ33内の塗布剤通路34と共に、塗布剤Lを循環させる塗布剤循環路40を構成する。
【0023】
また、往路パイプ30および復路パイプ33は、図1に示すように、スプレーガン20の外部に配置され、その一端をスプレーガン20に取り付けられるとともに、その他端を、塗布剤Lを貯留するタンク(図示しない)に取り付けられている。往路パイプ30および復路パイプ33は、その内部に形成された塗布剤通路31、34を循環する塗布剤Lの圧力に耐え得るように、高密度ポリエチレン等の硬質の合成樹脂から形成されている。また、往路パイプ30および復路パイプ33は、沈殿等の塗布剤Lの状態を外部から確認することができるように透明、或いは半透明に形成されている。そして、往路パイプ30および復路パイプ33には、図1に示すように、コイル状の弾性形状部32、35が形成されている。なお、弾性形状部32、35の具体的形状は、コイル状に限定されず、複数の屈曲部または湾曲部を有し、弾性的に伸縮可能なものであれば如何なるものでもよい。
【0024】
供給制御手段50は、図3から判るように、塗布剤噴出路23と塗布剤循環路40との間に設けられた開閉可能なバルブ51と、このバルブ51を開閉させるエアを供給するエア噴出手段を構成するエア供給パイプ52と、エア供給パイプ52に接続されるエア供給源(図示しない)とを有している。そして、エア供給パイプ52を通してスプレーガン20にエアを供給することでバルブ51を開放し、塗布剤循環路40内における塗布剤Lの圧を利用して、塗布剤循環路40から塗布剤噴出路23へ塗布剤Lを供給する。このように本参考例では、エア供給のタイミングおよび時間の長さによって、スプレーノズル22からの塗布剤Lの噴出のタイミングおよび噴出量を制御する。
また、エア供給パイプ52は、上述した往路パイプ30および復路パイプ33と同様に弾性形状部32、35とするのが好ましい。
【0025】
なお、供給制御手段50の具体的態様は、塗布剤循環路40から塗布剤噴出路23への塗布剤Lの供給を制御するものであれば如何なるものでもよく、また、供給制御手段50の駆動源についても、上述したようなエアを利用したもの以外にも、電力を利用したもの等、如何なるものでもよい。
【0026】
回転駆動手段60は、図2に示すように、ロータリアクチュエータ61と、ロータリアクチュエータ61とスプレーガン20との間に配置される第1ギア62および第2ギア63とを有している。第1ギア62は、ロータリアクチュエータ61の出力軸に固定され、一方、第2ギア63は、スプレーガン20の後端に固定されており、これら第1ギア62および第2ギア63によって、ロータリアクチュエータ61の回転駆動力を所定のギア比でスプレーガン20に伝達する。また、ロータリアクチュエータ61は、エアを原動力とするエア駆動式のロータリアクチュエータ61であり、回転用エア供給パイプ64によってエア供給源(図示しない)に接続されている。
また、回転用エア供給パイプ64は、上述した往路パイプ30および復路パイプ33と同様に弾性形状部32、35とするのが好ましい。
【0027】
なお、回転駆動手段60の具体的態様は、スプレーガン20をガン長手方向、図示例では上下方向に沿った軸線を中心として回転させるものであれば如何なるものでもよく、また、回転駆動手段60の駆動源についても、上述したようなエアを利用したもの以外にも、電力を利用したもの等、如何なるものでもよい。また、本参考例では、回転駆動手段60が、スプレーガン20を360°正逆回転させるように構成されているが、回転駆動手段60によるスプレーガン20の回転角度は180°以上であればよい。
例えば、スプレーガン20を360°正逆回転させる場合はスプレーノズル22の噴出口を1箇所、スプレーガン20を180°正逆回転させる場合はスプレーノズル22の噴出口を対称的に2箇所設ければ良い。
【0028】
また、移動手段70は、図2に示すように、エア駆動式のロッドレスシリンダとして構成され、リニアガイド72を有したベース71と、上下方向に沿って移動可能なスライダ73とから構成されている。ベース71には、エア供給源(図示しない)に接続されており、一方、スライダ73には、ロータリアクチュエータ61および回転支持部80が固定されている。
【0029】
なお、移動手段70の具体的態様は、スプレーガン20をガン長手方向、図示例では上下方向に沿って移動させるものであれば、ロッドシリンダ等、如何なるものでもよく、また、移動手段70の駆動源についても、上述したようなエアを利用したもの以外にも、電力を利用したもの等、如何なるものでもよい。
【0030】
また、上述した供給制御手段50、回転駆動手段60、および移動手段70では、共通のエア供給源(図示しない)を原動力として利用している。しかしながら、各手段ごとに個別のエア供給源(図示しない)を設けてもよい。
【0031】
容器保持手段90は、水平方向に移動可能に設けられ、容器Cを固定状態で保持するように構成され、容器製造ラインの他工程においても共通して使用されるものである。なお、容器保持手段90の具体的態様は、容器Cを保持するものであれば如何なるものでもよい。
【0032】
次に、本参考例における塗布装置10を用いた塗布剤Lの塗布方法の一例を以下に説明する。
【0033】
まず、塗布対象の容器Cをスプレーガン20の下方位置に移動させた後、スプレーガン20を下降させ、シャフト21を容器C内に挿入する。
【0034】
次に、スプレーノズル22が最下方に達したタイミングで、スプレーガン20を360°回転させると同時に、スプレーノズル22から塗布剤Lを噴出する。
【0035】
次に、スプレーガン20を上昇させながら、下降時とは反対方向にスプレーガン20を360°回転させると同時に、スプレーノズル22から塗布剤Lを噴出する。このスプレーガン20の上昇時には、容器Cの内壁面に均一に塗布剤Lを塗布するために、容器Cの形状に合わせてスプレーガン20の上昇速度を可変させる。
【0036】
なお、上述した参考例は、本発明の塗布装置10の動作例の一例であり、上下方向に向けて塗布装置10を設置したが水平方向に向けて塗布装置10を設置する等、ガン長手方向に設置すればよく、塗布装置10の設置態様は如何なるものでもよい。
また、塗布装置10は、容器Cの形状や大きさ等に応じて、スプレーガン20の下降および上昇の速度、スプレーガン20の回転速度、スプレーガン20の回転のタイミング、塗布剤Lの噴出のタイミング、スプレーガン20の回転角度、塗布剤Lの噴出量等を任意に決定すればよい。
さらに、容器に塗布される塗布剤は、内容物の滑落性を向上させ、容器はマヨネーズ様食品のような粘稠な内容物を充填、密封する容器として説明したが、塗布剤の具体的種類、容器の用途は如何なるものでもよい。
【0037】
次に、本発明の実施形態に係る塗布装置10について、図4および図5に基づいて説明する。ここで、実施形態の構成は、一部構成を除いて前述した参考例と全く同じであるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0038】
まず、上述した塗布装置10においては、容器C内への塗布剤Lの塗布時に、スプレーノズル22から噴出された塗布剤Lが容器C内で霧化して、当該霧化した塗布剤Lが容器口部C1の上端縁に付着し、容器口部C1の上端縁へのシール部材の接着、或いはスプレーノズル22に付着し、スプレーノズル22からの塗布剤Lの噴出等に悪影響を及ぼす恐れがある。また、容器C内で霧化した塗布剤Lの巻き上がりによる外部環境汚染を生じ、さらには、内圧の増加による容器の変形を生じ、塗布剤Lの容器内壁面への塗布スピードと均一な塗布とのバランスを得ることが困難である。そこで、実施形態の塗布装置10においては、上述した事態を防止するために、容器口部C1の長手方向、図示例では上方に対向可能な吸引機構として気流増幅ユニット100を設けている。なお、図示しないが、外部環境汚染に対しては、気流増幅ユニット100上、或いはその近傍に吸引ダクト等が設けられる。
【0039】
気流増幅ユニット100は、略円筒状に形成され、図4図5に示すように、気体供給パイプ105によってエア供給源(図示しない)に接続された気体供給部102と、下方の吸入口103および上方の噴出口104を有した気流増幅流路部101とを備え、特開平4−184000号公報や特開2006−291941号公報等に示される増幅機構の作用を持つものである。
具体的には、気流増幅ユニット100は、ガン長手方向、図示例では上下方向の気流増幅流路部101内に、スプレーガン20のシャフト21が位置するように配置され、気体供給部102に供給されるエア等の気体を気流増幅流路部101の内周に沿って噴出口104側に高速で噴出する。そして、この気体の噴出により、容器口部C1の上方に対向して配置された吸入口103から、容器C内で霧化した塗布剤Lを含む気体を吸引して高速・高圧の気体を噴出口104から噴出させるように構成されている。
【0040】
なお、吸引機構の具体的態様については、容器口部C1から気体を吸引できるものであれば、上述した以外の原理を利用するものであってもよい。また、気体供給部102に供給される気体は、如何なるものであってよいが、エアである場合、その他の構成要素(供給制御手段50、回転駆動手段60、移動手段70、第2移動手段110等)と共通のエア供給源を利用することが可能であるため、より好ましい。
【0041】
また、気流増幅ユニット100は、図4に示すように、第2移動手段110によって、ガン長手方向、図示例では上下方向に沿ったスプレーガン20の移動とは独立して、上下方向に沿って移動可能に構成されている。第2移動手段110は、エア駆動式のロッドレスシリンダとして構成され、リニアガイド72の下方においてベース71に形成された第2リニアガイド111と、上下方向に沿って移動可能に構成され気流増幅ユニット100を支持する第2スライダ112とから構成されている。なお、第2移動手段110を設けることなく、気流増幅ユニット100を上下方向に移動しないように固定的に配置してもよい。
【0042】
次に、実施形態における塗布装置10の動作例を以下に説明する。なお、スプレーガン20等を使用した塗布剤Lの塗布方法については、上述した参考例と同様であるため、詳しい説明は省略する。
【0043】
まず、塗布対象の容器Cをスプレーガン20の下方位置に移動させた後、スプレーガン20のシャフト21を容器C内に挿入すると同時に、気流増幅ユニット100を下方に移動させ、気流増幅流路部101の吸入口103が容器口部C1と僅かに間隔を保つ位置で停止させる。
なお、吸入口103と容器口部C1との間隔は、気流増幅ユニット100による容器C内の気体の吸引に起因する負圧によって、容器C自体が変形したり吸入口103に密着したりしない範囲でなるべく狭いほうがよい。
【0044】
次に、気体供給部102に気体を供給することで、気流増幅ユニット100によって容器C内の気体を吸引しながら、スプレーノズル22から塗布剤Lを噴出し、容器Cの内壁面に塗布剤Lを塗布する。
【0045】
なお、上述した実施形態の動作は、本発明の塗布装置10の動作例の一例であり、容器口部C1近傍への気流増幅ユニット100の移動のタイミングや、容器C内の気体吸引のタイミング等については、任意に決定すればよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、気流増幅ユニット100を、上下方向に沿って移動するスプレーガン20のシャフト21が、気流増幅流路部101内に位置するように配置したが、スプレーガン20を水平方向に沿って移動し、そのシャフト21を前記気流増幅流路部101内に位置させるように配置する等、気流増幅ユニット100を長手方向に配置すればよく、気流増幅ユニット100の配置態様は如何なるものでもよい。
【要約】
塗布剤の漏出や設置スペースの増加を抑制し、容器内壁面に均一に塗布する。
容器(C)の内壁面に塗布剤(L)を塗布する塗布装置(10)であって、スプレーノズル(22)を有し、塗布剤噴出路(23)が形成されたスプレーガン(20)と、スプレーガン(20)に取り付けられ、塗布剤噴出路(23)に連通する塗布剤循環路(40)を構成する往路パイプ(30)および復路パイプ(33)と、塗布剤循環路(40)から塗布剤噴出路(23)への塗布剤(L)の供給を制御する供給制御手段(50)と、スプレーガン(20)をガン長手方向に沿った軸線を中心として回転させる回転駆動手段(60)と、スプレーガン(20)をガン長手方向に沿って移動させる移動手段(70)とを備え、往路パイプ(30)および復路パイプ(33)に、弾性的に伸縮可能な弾性形状部(32,35)をそれぞれ設けた塗布装置(10)。
図1
図2
図3
図4
図5