(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1露光工程で前記第1箇所、前記第2箇所及び前記第3箇所を同時に露光し、第2露光工程で前記第2箇所及び前記第3箇所を同時に露光し、第3露光工程で前記第3箇所を露光することによって、前記第1、第2及び第3の箇所に対する前記第1、第2及び第3の露光量を実現する請求項4に記載の半透過型液晶表示装置の製造方法。
第1露光工程で前記第1箇所、前記第2箇所及び前記第3箇所を同時に露光することによって、前記第1箇所に対する前記第1露光量と前記第2箇所に対する前記第2露光量を同時に実現し、第2露光工程で前記第3箇所を露光することによって、前記第3箇所に対する前記第3露光量を実現する請求項4に記載の半透過型液晶表示装置の製造方法。
第1露光工程で前記第1箇所、前記第2箇所及び前記第3箇所を同時に露光することによって、前記第1箇所に対する前記第1露光量を実現し、第2露光工程で前記第2箇所及び前記第3箇所を同時に露光することによって、前記第2箇所に対する前記第2露光量と前記第3箇所に対する前記第3露光量を同時に実現する請求項4に記載の半透過型液晶表示装置の製造方法。
前記第1箇所、前記第2箇所及び前記第3箇所を同時に露光することによって、1回の露光工程で、前記第1箇所に対する前記第1露光量と、前記第2箇所に対する前記第2露光量と、前記第3箇所に対する前記第3露光量を同時に実現する請求項4に記載の半透過型液晶表示装置の製造方法。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯情報機器の普及に伴って、外光が弱い場所(暗い場所)ではバックライトを発光させて得られる光を液晶層に透過させることによって画像を表示し、外光が強い場所(明るい場所)では外光を内部の反射電極で反射させて液晶層に透過させることによって画像を表示する半透過型液晶表示装置が開発され、実用化されている。このような構成を持つ半透過型液晶表示装置は、暗い場所ではバックライトを点灯して透過モードで画像を表示することにより視認性を向上させることができると共に、明るい場所ではバックライトを消灯して反射モードで画像を表示することにより消費電力を低減することができる、という利点があり、動作時間の延長と軽量化という相反する携帯情報機器への要請を満たすものである。
【0003】
半透過型液晶表示装置には、複数の画素領域の各々が透過領域と反射領域に分割された構造を持つものがあり、その中には、全画素領域を覆うように形成された層間絶縁膜を、各画素領域内で透過領域と反射領域の双方にそのまま残しているものと、当該層間絶縁膜を反射領域にのみ残し、透過領域では除去したものとがある。この種の半透過型液晶表示装置では、透過領域には透過電極が配置され、反射領域には反射電極が配置される。換言すれば、各画素電極が透過電極と反射電極から構成される。
【0004】
特許文献1(特開2004−101792号公報)には、当該層間絶縁膜を反射領域にのみ残し、透過領域では除去してなる半透過型液晶表示装置が開示されている。この装置に使用されているTFT(Thin−FilmTransistor、薄膜トランジスタ)アレイ基板を、
図17に示す。
図17は、この従来の半透過型液晶表示装置の一画素の構成を示す部分断面図である。同図に示すように、当該画素に対応する画素領域Pは、透過領域Tと反射領域Rとに分割されている。
【0005】
図17の従来のTFTアレイ基板121は、絶縁性透明基板101上にゲート電極102が形成され、そのゲート電極102を覆うように基板101上にゲート絶縁膜104が形成されている。ゲート絶縁膜104上には、ゲート電極102と重なるように島状の半導体層105が形成され、その上にさらに島状の高濃度半導体層106a及び106bが形成されている。高濃度半導体層106a及び106b上には、それらと部分的に重なるようにソース電極107及びドレイン電極108がそれぞれ形成されている。ゲート電極102、ゲート絶縁膜104、半導体層105、高濃度半導体層106a及び106b、そしてソース電極107及びドレイン電極108は、TFT115を構成する。
【0006】
このTFT115は、パッシベーション膜110で覆われている。パッシベーション膜110上には、透過電極113が選択的に形成されているが、この透過電極113は、透過領域Tだけではなく、反射領域Rまで延在している。そして、パッシベーション膜110に形成されたコンタクトホール110aを介して、ドレイン電極106に接続されている。
【0007】
透過電極113と、透過電極113から露出しているパッシベーション膜110との上には、層間絶縁膜111が選択的に形成されている。層間絶縁膜111は、
図17に示すように、透過領域Tには存在せず、したがって透過領域Tでは透過電極113が露出している。層間絶縁膜111上には、反射電極114が選択的に形成されている。反射電極114は、反射領域Rのみに存在する。反射電極114は、層間絶縁膜111に形成されたコンタクトホール112を介して、コンタクトホール110aと重なる位置で透過電極113に電気的・機械的に接続されている。なお、層間絶縁膜111の表面には凹凸が形成されているが、これはその上に形成された反射電極114の光反射効果を高めるためである。
【0008】
図17に示した半透過型液晶表示装置のTFTアレイ基板は、次のようにして製造される。
【0009】
まず、絶縁性透明基板101上にゲート電極102を形成してから、ゲート電極102を覆うようにゲート絶縁膜104を形成する。次に、ゲート絶縁膜104上に、ゲート電極102と重なるように島状の半導体層105と、島状の高濃度半導体層106a及び106bをこの順に形成する。その後、高濃度半導体層106a及び106b上に、それらと部分的に重なるようにソース電極107及びドレイン電極108を形成し、TFT115を得る。そして、TFT115を覆うようにゲート絶縁膜104上にパッシベーション膜110を形成してから、これにコンタクトホール110aを形成した後、パッシベーション膜110上に選択的に透過電極113を形成する。この時、透過電極113は、パッシベーション膜110のコンタクトホール110aを介してドレイン電極106に接触せしめられる。ここまでの工程はすべて、公知の方法で実施可能である。
【0010】
続いて、層間絶縁膜111を形成するため、透過電極113と、透過電極113から露出しているパッシベーション膜110との上に、感光性を持つ絶縁性有機樹脂を塗布し、得られた有機樹脂膜を露光する。その際に、有機樹脂膜が完全に除去される箇所(コンタクトホール112及び透過領域Tに対応する箇所)と、有機樹脂膜の表面に凹凸が形成される箇所(反射領域Rに対応する箇所。ただし、コンタクトホール112に対応する箇所を除く)の露光量が異なるようにマスクパターンを調整する。こうして露光された有機樹脂膜を現像すると、
図17に示すように、場所によって深さが異なる有機樹脂膜(つまり層間絶縁膜111)が得られる。具体的には、有機樹脂膜が完全に除去される箇所と、有機樹脂膜の表面に凹凸が形成される箇所について、異なるマスクを使用するか、半透過膜が部分的に形成されたハーフトーンマスク(グレートーンマスク)を使用することにより、有機樹脂膜が完全に除去される箇所の露光量100%に対して、有機樹脂膜の表面に凹凸が形成される箇所の露光量を10%〜50%の範囲内の値に設定する。その後、こうして形成された有機樹脂膜(つまり層間絶縁膜111)上に、反射電極114を選択的に形成すると、
図17に示すTFTアレイ基板121が得られる。
【0011】
特許文献2(特許3410665号公報)には、当該層間絶縁膜を反射領域だけでなく、透過領域にも残した半透過型液晶表示装置が開示されている。この半透過型液晶表示装置に使用されているTFTアレイ基板を、
図18に示す。
図18は、この従来の半透過型液晶表示装置の一画素の構成を示す部分断面図である。同図に示すように、当該画素に対応する画素領域Pは、透過領域Tと反射領域Rとに分割されている。
【0012】
図18のTFTアレイ基板221は、絶縁性透明基板201上にゲート電極202が形成され、そのゲート電極202を覆うように基板201上にゲート絶縁膜204が形成されている。ゲート絶縁膜204上には、ゲート電極202と重なるように島状の半導体層205が形成され、その上にさらに島状の半導体コンタクト層206a及び206bが形成されている。半導体コンタクト層206a及び206b上には、それらと部分的に重なるようにソース電極207及びドレイン電極208がそれぞれ形成されている。ゲート電極202、ゲート絶縁膜204、半導体層205、半導体コンタクト層206a及び206b、そしてソース電極207及びドレイン電極208は、TFT215を構成する。
【0013】
図18のTFTアレイ基板221では、パッシベーション膜は含まれておらず、ゲート絶縁膜204上に直接、層間絶縁膜211が形成されている。層間絶縁膜211は、
図18に示すように、反射領域Rだけでなく透過領域Tにも存在している。層間絶縁膜211上には、透過電極213が選択的に形成されており、透過電極213の上に重ねて反射電極214が選択的に形成されている。透過電極213は、透過領域T内に配置されているが、一部が反射領域Rまで延在しており、層間絶縁膜211に形成されたコンタクトホール212を介してドレイン電極208に接触せしめられている。反射電極214は、反射
領域Rのみに存在しており、また、コンタクトホール212内に入り込んでいる。層間絶縁膜211の表面に形成された凹凸は、反射領域Rのみに存在している。
【0014】
図18に示した半透過型液晶表示装置のTFTアレイ基板221は、次のようにして製造される。
【0015】
まず、絶縁性透明基板201上にゲート電極202を形成してから、ゲート電極202を覆うようにゲート絶縁膜204を形成する。次に、ゲート絶縁膜204上に、ゲート電極202と重なるように島状の半導体層205と、半導体コンタクト層をこの順に形成する。その後、半導体コンタクト層上に、それらと部分的に重なるようにソース電極207及びドレイン電極208を形成する。そして、ソース電極207及びドレイン電極208をマスクとして半導体コンタクト層をエッチングすると、島状の半導体コンタクト層206a及び206bが得られる。こうしてTFT215が得られる。ここまでの工程はすべて、公知の方法で実施可能である。
【0016】
続いて、TFT215とそれから露出したゲート絶縁膜204上に、感光性を持つ絶縁性有機樹脂を塗布して層間絶縁膜211とする。そして、得られた層間絶縁膜211を選択的に露光・現像することにより、層間絶縁膜211を貫通してドレイン電極208まで達するコンタクトホール212と、反射領域R内にある層間絶縁膜211の表面の凹凸とを形成する。こうして、
図18に示す形状の層間絶縁膜211が得られる。その後、こうして形成された層間絶縁膜211上に、透過電極213を選択的に形成する。そして、透過電極213上に反射電極214を選択的に形成すると、
図18に示すTFTアレイ基板221が得られる。
【0017】
特許文献3(特開2002−229049号公報)には、特許文献2と同様に、層間絶縁膜を反射領域だけでなく透過領域にも残した半透過型液晶表示装置が開示されている。この半透過型液晶表示装置は、画素電極を透明電極層と半透過電極層との少なくとも2層からなる積層構造とし、当該積層構造を一回のフォトレジスト加工で同時に成形することによって画素電極を得るようにしたものである。好適に使用できる半透過電極層としては、厚さ20nm以下のAl、Al合金、Ag、Ag合金が挙げられているが、これらは高反射率であると共に、所望の透過率を持つ画素電極が得られることをその理由としている。透明電極層としては、インジュウム錫酸化物が挙げられているが、これは低抵抗で透明な電極層が得られることをその理由としている。
【0018】
このように、特許文献3の半透過型液晶表示装置は、画素電極が透明電極層と半透過電極層からなる積層構造であるから、層間絶縁膜が反射領域だけでなく透過領域にも残されてはいるが、各画素領域Pが透過領域Tと反射領域Rに分割されていないものである。したがって、この点で特許文献2(
図18参照)の半透過型液晶表示装置とは明らかに構成が異なっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
特許文献1(
図17)に記載の半透過型液晶表示装置では、層間絶縁膜111が反射領域Rだけに存在し、透過領域Tには残されていないため、反射領域Rに残された層間絶縁膜111の厚さを調整することにより、液晶層を透過する光の光路長を容易に調整することができる。したがって、反射領域Rと透過領域Tの各々において液晶層を透過する光の光路長を整合させて、反射特性と透過特性の双方を最適化することが容易である。しかし、透過領域Tに層間絶縁膜111が存在しないため、画素電極(つまり透過電極113)を配線上に延在させることができず、したがって開口率が低下してしまう、という問題がある。
【0021】
特許文献2(
図18)に記載の半透過型液晶表示装置では、層間絶縁膜211が反射領域Rだけでなく透過領域Tにも存在するため、特許文献1(
図17)に記載の半透過型液晶表示装置とは逆に、画素電極(つまり透過電極213)を配線上にも延在させることができ、したがって開口率を上昇させることが可能である。しかし、反面、画素領域Pの全体に層間絶縁膜211が存在するため、反射領域Rと透過領域Tの間に所望の段差を形成することが容易でない。その結果、反射領域Rと透過領域Tの各々において液晶層を透過する光の光路長を整合させて、反射特性(反射モード)と透過特性(透過モード)の双方を最適化することが困難である、という問題がある。
【0022】
特許文献3に記載の半透過型液晶表示装置では、各画素領域が透過領域と反射領域に分割されていないため、特許文献2(
図18)に記載の半透過型液晶表示装置と同様に、反射特性(反射モード)と透過特性(透過モード)の双方を最適化することが容易でない、という問題がある。
【0023】
本発明はこれらの問題を考慮してなされたものであって、その目的とするところは、高い開口率を保持しながら、反射特性(反射モード)と透過特性(透過モード)の双方を容易に最適化して、表示品位を改善することができる、複数の画素領域の各々が透過領域と反射領域とに分割された半透過型液晶表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【0024】
ここに明記しない本発明の他の目的は、以下の説明及び添付図面から明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0025】
(1)本発明の第1の観点による半透過型液晶表示装置は、
略一定の間隔をもって対向して配置される第1基板及び第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に配置された液晶層と、
前記第1基板上で複数の画素領域の各々に対して形成されたスイッチング素子と、
前記第1基板上で前記スイッチング素子を覆うように形成された層間絶縁膜とを備え、
前記画素領域の各々は透過領域と反射領域に分割されていて、前記透過領域では前記層間絶縁膜上に透過電極が形成され、前記反射領域では前記層間絶縁膜上に反射電極が形成されている半透過型液晶表示装置において、
前記層間絶縁膜が、その表面において、前記画素領域の各々における前記透過領域と前記反射領域との間に段差を有しており、
前記反射領域において、前記層間絶縁膜が、その表面に光反射効果を高めるための凹凸を有していると共に、前記スイッチング素子に達するコンタクトホールを有しており、
前記透過電極が、前記層間絶縁膜の表面上で前記コンタクトホールまで延在していると共に、前記コンタクトホールを介して前記スイッチング素子に電気的に接続されており、
前記反射電極が、前記透過電極の前記反射領域に属する部分を除いて前記層間絶縁膜上に直接形成されていると共に、前記透過電極の前記反射領域に属する部分上に直接重ねられており、
前記反射電極と前記透過電極が、それらの重なり合った部分で相互に電気的に接続されていることを特徴とするものである。
【0026】
本発明の第1の観点による半透過型液晶表示装置では、上述したように、前記層間絶縁膜が、前記画素領域の各々において前記透過領域及び前記反射領域の双方を覆っており、前記層間絶縁膜の表面には、前記画素領域の各々における前記透過領域と前記反射領域との間に段差を有している。よって、前記層間絶縁膜上にある画素電極すなわち前記透過電極及び前記反射電極を、その周囲の配線上にも延在させることができるため、
図18に示した従来の半透過型液晶表示装置と同様の高い開口率を保持できる。さらに、前記透過領域における前記層間絶縁膜のその表面からの除去量(除去深さ)と前記反射領域における前記層間絶縁膜のその表面からの除去量(除去深さ)を調整することにより、前記透過領域と前記反射領域との間の前記段差の大きさを変更することができるため、前記透過領域と前記反射領域において前記液晶層を透過する光の光路長を整合させることが容易である。
【0027】
このように、高い開口率を保持しながら反射特性(反射モード)と透過特性(透過モード)の双方を最適化することができるので、表示品位の改善が容易である。
また、前記反射領域において、前記層間絶縁膜が、その表面に光反射効果を高めるための凹凸を有していると共に、前記スイッチング素子に達するコンタクトホールを有している。そして、前記透過電極が、前記層間絶縁膜の表面上で前記コンタクトホールまで延在していると共に、前記コンタクトホールを介して前記スイッチング素子に電気的に接続されており、前記反射電極が、前記透過電極の前記反射領域に属する部分を除いて前記層間絶縁膜上に直接形成されていると共に、前記透過電極の前記反射領域に属する部分上に直接重ねられていて、前記反射電極と前記透過電極が、それらの重なり合った部分で相互に電気的に接続されている。
よって、前記層間絶縁膜の前記凹凸を形成すべき箇所に第1露光量を照射し、前記層間絶縁膜の前記透過領域に対応する箇所に前記第1露光量とは異なる第2露光量を照射し、前記層間絶縁膜の前記コンタクトホールに対応する箇所に前記第1露光量及び前記第2露光量とは異なる第3露光量を照射するだけで、前記層間絶縁膜に対して前記透過領域と前記反射領域とで異なる厚さを与えると共に、前記凹凸と前記コンタクトホールも形成することができる。
さらに、一般にステップカバレッジ特性の悪い材料からなる前記透過電極が、前記反射領域の前記コンタクトホールまで延在しているので、前記反射電極との重なり部分が広くなり、その結果、前記透過電極と前記反射電極との間の接続不良が生じる恐れがない。
【0028】
本発明の第1の観点による半透過型液晶表示装置の好ましい例では、前記層間絶縁膜が、感光性を持つ透明な絶縁材料から形成される。この例では、場所に応じて露光量を変えて露光工程を実施するだけで、成膜工程やエッチング工程を増加させずに前記層間絶縁膜を得ることができるため、製造工程の複雑化を回避できる、という利点がある。
【0029】
(2)本発明の第2の観点による半透過型液晶表示装置の製造方法は、
略一定の間隔をもって対向して配置される第1基板及び第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に配置された液晶層と、
前記第1基板上で複数の画素領域の各々に対して形成されたスイッチング素子と、
前記第1基板上で前記スイッチング素子を覆うように形成された層間絶縁膜とを備え、
前記画素領域の各々は透過領域と反射領域に分割されていて、前記透過領域では前記層間絶縁膜上に透過電極が形成され、前記反射領域では前記層間絶縁膜上に反射電極が形成されている半透過型液晶表示装置を製造する方法において、
前記第1基板上に前記層間絶縁膜を形成するための感光性を持つ絶縁材料膜を形成する工程と、
前記絶縁材料膜の前記透過領域に対応する箇所と前記反射領域に対応する箇所を異なる露光量でそれぞれ露光する工程と、
現像により前記絶縁材料膜の露光箇所を選択的に除去し、もって前記層間絶縁膜の表面において前記透過領域と前記反射領域の間に段差を形成する工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0030】
本発明の第2の観点による半透過型液晶表示装置の製造方法では、上述したように、前記第1基板上に形成した感光性を持つ前記絶縁材料膜について、前記透過領域に対応する箇所と前記反射領域に対応する箇所を異なる露光量でそれぞれ露光し、その後、現像により前記絶縁材料膜の露光箇所を選択的に除去して、前記層間絶縁膜の表面において前記透過領域と前記反射領域との間に段差を形成する。よって、本発明の第1の観点による半透過型液晶表示装置を製造することが可能である。
【0031】
また、場所に応じて露光量を変えて前記絶縁材料膜を露光することにより、前記層間絶縁膜が得られるので、成膜工程やエッチング工程を増加させずに済む。その結果、製造工程の複雑化を回避することができる。
【0032】
本発明の第2の観点による半透過型液晶表示装置の製造方法の好ましい例では、前記絶縁材料膜の表面の前記反射領域に対応する第1箇所を第1露光量で選択的に露光して当該箇所に光反射効果を高めるための凹凸を形成し、前記絶縁材料膜の前記透過領域に対応する第2箇所を前記第1露光量とは異なる第2露光量で選択的に露光して当該箇所に前記透過領域を形成し、前記絶縁材料膜の第3箇所を前記第1露光量及び前記第2露光量とは異なる第3露光量で選択的に露光して前記スイッチング素子に達するコンタクトホールを形成する。この例では、これらの3種類の露光量を適切に設定するだけで、前記透過領域と前記反射領域との間に所望の段差を持つ前記層間絶縁膜を得ることができると共に、前記凹凸と前記コンタクトホールも得ることができる、という利点がある。
【0033】
本発明の第2の観点による半透過型液晶表示装置の製造方法の他の好ましい例では、第1露光工程で前記第1箇所、前記第2箇所及び前記第3箇所を同時に露光し、第2露光工程で前記第2箇所及び前記第3箇所を同時に露光し、第3露光工程で前記第3箇所を露光することによって、前記第1、第2及び第3の箇所に対する前記第1、第2及び第3の露光量を実現する。この例では、前記第3箇所は前記第1、第2及び第3の露光工程で3回露光され、前記第2箇所は前記第1及び第2の露光工程で2回露光され、前記第1箇所は前記第1露光工程で1回露光される。そして、それによって、前記第1箇所に対する第1
露光量と、前記第2箇所に対する第2露光量と、前記第3箇所に対する第3露光量が実現される。前記第1〜前記第3の箇所のそれぞれに対してそれぞれの露光工程で露光を行ってもよいが、この例のように除去量が大きい箇所に複数回の露光を行うことで、処理タクトを短くできる、という利点がある。また、前記第1〜第3の露光工程で使用するマスクとして、透過光減衰膜(半透過膜、露光解像度限界以下の遮光膜等)を有しない、構造が簡単なマスクを使用できるので、それらマスクの製造が容易である、という利点もある。
【0034】
本発明の第2の観点による半透過型液晶表示装置の製造方法のさらに他の好ましい例では、第1露光工程で前記第1箇所、前記第2箇所及び前記第3箇所を同時に露光することによって、前記第1箇所に対する前記第1露光量と前記第2箇所に対する前記第2露光量を同時に実現し、第2露光工程で前記第3箇所を露光することによって、前記第3箇所に対する前記第3露光量を実現する。この例では、前記第3箇所は前記第1及び第2の露光工程で2回露光され、前記第1箇所及び前記第2箇所は前記第1露光工程で1回露光される。そして、それによって、前記第1箇所に対する第1露光量と、前記第2箇所に対する第2露光量と、前記第3箇所に対する第3露光量が実現される。したがって、この例では、露光工程数を1回減らすことができる、という利点がある。なお、前記第1露光工程は、透過光減衰膜(半透過膜、露光解像度限界以下の遮光膜等)を有する単一のマスクを用いることにより、容易に実現することができる。
【0035】
本発明の第2の観点による半透過型液晶表示装置の製造方法のさらに他の好ましい例では、第1露光工程で前記第1箇所、前記第2箇所及び前記第3箇所を同時に露光することによって、前記第1箇所に対する前記第1露光量を実現し、第2露光工程で前記第2箇所及び前記第3箇所を同時に露光することによって、前記第2箇所に対する前記第2露光量と前記第3箇所に対する前記第3露光量を同時に実現する。この例では、前記第2箇所及び前記第3箇所は前記第1及び第2の露光工程で2回露光され、前記第1箇所は前記第1露光工程で1回露光される。そして、それによって、前記第1箇所に対する第1露光量と、前記第2箇所に対する第2露光量と、前記第3箇所に対する第3露光量が実現される。したがって、この例では、露光工程数を1回減らすことができる、という利点がある。なお、前記第2露光工程は、透過光減衰膜(半透過膜、露光解像度限界以下の遮光膜等)を有する単一のマスクを用いることにより、容易に実現することができる。
【0036】
本発明の第2の観点による半透過型液晶表示装置の製造方法のさらに他の好ましい例では、前記第1箇所、前記第2箇所及び前記第3箇所を同時に露光することによって、1回の露光工程で、前記第1箇所に対する前記第1露光量と、前記第2箇所に対する前記第2露光量と、前記第3箇所に対する前記第3露光量を同時に実現する。この例では、露光工程数を1回にすることができる、という利点がある。なお、前記露光工程は、透過率の異なる少なくとも2種類の透過光減衰膜(半透過膜、露光解像度限界以下の遮光膜等)を有する単一のマスクを用いることにより、容易に実現することができる。
【0037】
(3)本発明の第1の観点による半透過型液晶表示装置で使用される感光性及び絶縁性を持つ透明材料としては、感光性アクリル樹脂(例えば、JSR製のPC403、415G、405G等)が好ましい。しかし、感光性及び絶縁性を有すると共に、前記層間絶縁膜の前記透過領域と前記反射領域との間に段差を形成することができるものであれば、感光性アクリル樹脂以外の樹脂やその他の有機材料も使用可能である。
【0038】
本発明の第2の観点による半透過型液晶表示装置の製造方法において使用される感光性を持つ絶縁材料膜としても、本発明の第1の観点による半透過型液晶表示装置で使用される感光性を持つ絶縁材料と同じ材料の膜が使用可能である。
【発明の効果】
【0039】
本発明の第1の観点による半透過型液晶表示装置によれば、高い開口率を保持しながら、反射特性(反射モード)と透過特性(透過モード)の双方を容易に最適化することができるので、表示品位を容易に改善することができる、という効果が得られる。
【0040】
本発明の第2の観点による半透過型液晶表示装置の製造方法によれば、本発明の第1の観点による半透過型液晶表示装置を容易に製造することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0043】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半透過型液晶表示装置に使用されるTFTアレイ基板の概略構成を示す平面図であり、
図2はそのA−A‘線に沿った部分断面図である。
図3は、同液晶表示装置の全体構成を示す
図1のA−A‘線に沿った部分断面図である。
図4〜
図11は、それぞれ、
図1及び
図2に示したTFTアレイ基板の製造工程を示す、
図1のA−A‘線に沿った部分断面図である。これらの図はいずれも、一つの画素領域Pについてのみ示している。
【0044】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る半透過型液晶表示装置に使用されるTFTアレイ基板21では、一画素に対応する画素領域Pは、
図1の左右方向に延在する複数のゲート線3と、
図1の上下方向に延在する複数のデータ線9とによって画定される複数の矩形領域の一つである。画素領域Pは、透過領域Tと反射領域Rに分割されており、透過領域Tには透過電極13が形成され、反射領域Rには反射電極14が形成されている。透過電極13と反射電極14は、電気的に相互接続されている。したがって、画素電極は、透過電極13と反射電極14から構成されている。
【0045】
ゲート線3とデータ線9の交差部の各々には、TFT15が形成されている。TFT15のドレイン電極8は、層間絶縁膜11とパッシベーション膜10(
図2参照)を貫通するコンタクトホール12を介して、透過電極13に電気的・機械的に接続されている。透過電極13は略矩形のパターンを有していて、透過領域T内にある。コンタクトホール12は、反射領域R内にあるが、透過電極13の一部が
図1に示すようにコンタクトホール12まで延在されているため、その延在された部分の端部でドレイン電極8に接続されている。反射領域R内にある反射電極14は、透過電極13の延在された部分の上に重ねられていて相互に接触しており、両電極14及び13はこうして電気的に相互接続されている。なお、図示していないが、TFT15のソース電極7は、データ線9に電気的に接続され、TFT15のゲート電極2は、ゲート線3に電気的に接続されている。
【0046】
TFTアレイ基板21の断面構成は、
図2に示した通りである。すなわち、TFTアレイ基板21は、絶縁性透明基板(例えばガラス基板)1を備えており、その上にゲート電極2及びゲート線3が形成されている。ゲート電極2及びゲート線3は、基板1上に形成されたゲート絶縁膜4で覆われている。ゲート絶縁膜4上には、ゲート電極2と重なるように島状の半導体層5が形成されており、その上にさらに島状の高濃度半導体層6a及び6bが形成されている。高濃度半導体層6a及び6b上には、それらと部分的に重なるようにソース電極7及びドレイン電極8がそれぞれ形成されている。ゲート電極2、ゲート絶縁膜4、半導体層5、高濃度半導体層6a及び6b、そしてソース電極7及びドレイン電極8は、TFT15を構成する。ゲート絶縁膜4上には、さらにデータ線9も形成されている。TFT15とデータ線9は、パッシベーション膜10で覆われている。
【0047】
パッシベーション膜10上には、透過領域Tと反射電極Rの双方を覆うように層間絶縁膜11が形成されている。層間絶縁膜11の上には、透過電極13と反射電極14の双方が選択的に形成されている。透過電極13は、透過領域Tの内部に配置されているが、
図1に示すような略矩形のパターンを有しており、その一部が反射領域Rまで延在している。層間絶縁膜11とパッシベーション膜10には、それらを貫通してTFT15のドレイン電極8まで達するコンタクトホール12が形成されており、透過電極13の矩形の延在部がこのコンタクトホール12を介してドレイン電極8に電気的・機械的に接続されている。反射電極14は、反射領域Rの内部に配置されているが、
図1に示すような略矩形パターンを有していて、透過電極13の延在部と重なっている。反射領域R内の層間絶縁膜11の表面には、入射光の反射効果を高めるための凹凸が形成されているので、それを反映して反射電極14にも凹凸が形成されている。
【0048】
層間絶縁膜11には、
図2に示すように、透過領域Tと反射領域Rの間に段差が形成されている。すなわち、透過領域Tにおける透過電極13の表面の基板1からの高さが、反射領域Rにおける反射電極14の表面の基板1からの高さよりも小さくなっている。換言すれば、透過領域Tにおける層間絶縁膜11の表面の基板1からの高さが、反射領域Rにおける層間絶縁膜11の表面の基板1からの高さよりも小さくなっている。なお、反射領域Rの層間絶縁膜11の表面には凹凸があるので、反射領域Rにおける高さは、その凹凸を平均化して得られる平均高さとする。
【0049】
本発明の第1実施形態に係る半透過型液晶表示装置は、
図3に示すように、以上の構成を持つTFTアレイ基板21を、対向基板25及び液晶層27と組み合わせたものである。
【0050】
対向基板25は、
図3に示すように、絶縁性透明基板(例えばガラス基板)22を備えており、その上にカラーフィルタ23と対向電極24がこの順に形成されている。対向電極24の上には、配向膜26bが形成されている。
【0051】
また、TFTアレイ基板21の透過電極13及び反射電極14の上には、配向膜26aが形成されている。そして、略一定の間隔をもって配向膜26a及び26bを対向させて、TFTアレイ基板21と対向基板25が相互に接合されており、両基板21及び25の間には液晶層27が配置されている。また、両基板21及び25には偏光板(図示せず)が配置されている。こうしてこうして得られる構造体は、液晶表示パネルを構成する。この液晶表示パネルのTFTアレイ基板21の側には、間隔をあけてバックライト28が設けられている。
【0052】
本発明の第1実施形態に係る半透過型液晶表示装置は、以上述べたような構成を有しており、画素電極(透過電極14及び反射電極14)と対向電極24との間に信号電圧を印加し、液晶層27中の液晶分子の配向状態を変化させることによって所望の画像を表示する。透過モードでは、バックライト28から放射された光を液晶層27に透過させて画像を表示する。反射モードでは、反射電極14で反射した外光を液晶層27に透過させて画像を表示する。したがって、
図3から明らかなように、透過モードと反射モードでは、液晶層27を透過して伝播する光の距離に差が生じてしまう。しかし、この半透過型液晶表示装置では、透過領域Tと反射領域Rの間で層間絶縁膜11の表面に段差が形成されており、換言すれば、透過電極13と反射電極14の間に段差が形成されており、それによって光路長を等しくすることができる。
【0053】
次に、
図4〜
図11を参照しながら、この半透過型液晶表示装置のTFTアレイ基板21の製造方法について説明する。
【0054】
まず、ガラス基板等の透明基板1上に、スパッタリングあるいはCVD(Chemical Vapor Deposition、化学的気相体積)による導電膜または絶縁膜を成膜し、その後、フォトリソグラフィ及びエッチングにより当該導電膜または絶縁膜のパターニングすることにより、
図4に示す構成を形成する。
【0055】
具体的に言えば、まず、透明基板1上に、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)あるいはこれらのいずれかを主成分とする合金からなる単層膜、あるいはそれらの積層膜を形成した後、それをパターニングして、透明基板1上にゲート電極2及びゲート線3を形成する。次に、ゲート電極2及びゲート線3を覆うゲート絶縁膜4として、窒化シリコン(SiN
x)の単層膜、またはSiN
x膜と酸化シリコン(SiO
2)膜の積層膜を透明基板1上に形成する。
【0056】
次に、ゲート絶縁膜4上に、半導体層5として、ゲート電極2と重なるように非晶質シリコン(Si)膜または多結晶Si膜を形成する。続いてその上に、燐(P)を高濃度にドープした非晶質Si膜または多結晶Si膜を形成する。その後、これら二つの半導体膜を島状にパターニングしてから、その上にAl、Mo、Crあるいはこれらを主成分とする合金からなる膜を形成し、この膜をパターニングして、ゲート絶縁膜4上にソース電極7及びドレイン電極8とデータ線9とを形成する。次に、ソース電極7及びドレイン電極8をマスクとして、Pを高濃度にドープした非晶質Si膜または多結晶Si膜をパターニングする。こうして、
図4に示すような、島状の半導体層5、島状の高濃度半導体層6a及び6b、そしてソース電極7及びドレイン電極8からなるTFT15と、データ線9とが、ゲート絶縁膜4上に形成される。
【0057】
次に、パッシベーション膜10としてSiN
x膜を形成し、TFT15とデータ線9を覆う。こうして、
図4に示す構成が得られる。
【0058】
続いて、
図5に示すように、パッシベーション膜10上に層間絶縁膜11を形成する。例えば、感光性のアクリル樹脂をスピンコート法で塗布し、アクリル樹脂膜(層間絶縁膜11)を得る。この時、アクリル樹脂膜の表面は平坦化されるから、その厚さは一定ではない。すなわち、TFT15と重ならない箇所では厚さが大きく、TFT15と重なっている箇所では厚さが小さい。
【0059】
次に、
図6に示すようなパターンを持つ第1フォトマスク16を使用して、アクリル樹脂膜(層間絶縁膜11)に対して所定の紫外光を照射し、層間絶縁膜11を選択的に露光する。これを「第1露光工程」と呼ぶ。第1フォトマスク16は、
図6に示すようにパターン化された遮光膜30aを有しており、領域1、領域2及び領域3の三つの部分に分割されている。遮光膜30aは、当該紫外光を遮断する。遮光膜30aの存在しない箇所は、紫外光が透過可能である。第1フォトマスク16の領域1は、反射領域Rに反射効果の改善のための凹部を形成するための領域である。同マスク16の領域2は、透過領域Tの
不要部を除去する(段差を形成する)ための領域である。同マスク16の領域3は、コンタクトホール12及び表示部以外にある不要部を除去するためのものである。
【0060】
第1露光工程における層間絶縁膜11の露光量は、現像後に領域1に対応する箇所(反射領域R)において層間絶縁膜11の表面に所望の凹部が形成されるように設定される。第1露光工程により、層間絶縁膜11には、
図6に示すように、第1フォトマスク16の領域1、領域2及び領域3に対応する箇所に、それら領域1、領域2及び領域3の紫外光透過部と同じ平面形状で複数の被照射領域20が形成される。各被照射領域20の層間絶縁膜11の表面からの深さは、いずれもd1である。なお、各被照射領域20は、所定の現像液によって溶解可能な部分であるから、現像液可溶領域とも言うことができる。
【0061】
次に、
図7に示すような第2フォトマスク17を使用して、層間絶縁膜11に対して所定の紫外光を再度照射し、層間絶縁膜11を選択的に露光する。これを「第2露光工程」と呼ぶ。第2フォトマスク17は、
図7に示すようにパターン化された遮光膜30bを有しており、その領域1はすべて紫外光遮断部とされ、その領域2及び領域3にのみ紫外光透過部が設けられている。第2フォトマスク17の領域2の紫外光透過部の平面形状は、第1フォトマスク16の領域2のそれと同一である。同マスク17の領域3の紫外光透過部の平面形状は、第1フォトマスク16の領域3のそれより少し狭くなっている。
【0062】
第2露光工程における層間絶縁膜11の露光量は、現像後に第2フォトマスク17の領域2に対応する箇所(透過領域T)において層間絶縁膜11が所望の残存厚さとなるように設定される。第2露光工程により、層間絶縁膜11には、
図7に示すように、第2フォトマスク17の領域2及び領域3に対応する箇所に、それら領域2及び領域3の紫外光透過部と同じ平面形状で複数の被照射領域20aが形成される。各被照射領域20aの層間絶縁膜11の表面からの深さは、いずれもd2(d2>d1)である。
【0063】
次に、
図8に示すような第3フォトマスク18を使用して、層間絶縁膜11に対して所定の紫外光をさらに照射し、層間絶縁膜11を選択的に露光する。これを「第3露光工程」と呼ぶ。第3フォトマスク18は、
図8に示すようにパターン化された遮光膜30cを有しており、その領域1及び領域2はすべて紫外光遮断部とされ、その領域3にのみ紫外光透過部が設けられている。第3フォトマスク18の領域3の紫外光透過部の平面形状は、コンタクトホール12に対応する箇所については、コンタクトホール12の形成に必要な範囲に限定されており、第1フォトマスク16の領域3のそれよりかなり狭くなっているが、表示部以外にある不要部については、第1フォトマスク16の領域3のそれと同じである。
【0064】
第3露光工程における層間絶縁膜11の露光量は、現像後に領域3に対応する箇所(コンタクトホール12及び表示部以外の箇所)において層間絶縁膜11がすべて除去されるように設定される。第3露光工程により、層間絶縁膜11には、
図8に示すように、第3フォトマスク18の領域3に対応する箇所に、その領域3の紫外光透過部と同じ平面形状で複数の被照射領域20bが形成される。
図8には、コンタクトホール12に対応する箇所の被照射領域20bのみを示してあり、表示部以外にある不要部に対応する箇所の被照射領域20bは省略している。各被照射領域20bの層間絶縁膜11の表面からの深さは、いずれもd3(d3>d2>d1)である。
【0065】
第3露光工程の終了後、所定の現像液を用いて層間絶縁膜11の現像を行う。すると、
図8に示された層間絶縁膜11の被照射領域20、20a及び20bが選択的に除去され、
図9のような形状の層間絶縁膜11が得られる。これは、被照射領域20、20a及び20bが現像掖に溶解可能となっているからである。次に、残存した層間絶縁膜11の焼成を行い、これを熱硬化させる。その結果、層間絶縁膜11の表面の凹凸部の角が取れて滑らかになる。また、コンタクトホール12に対応する箇所では、パッシベーション膜10が露出する。この時の状態は、
図10に示すようになる。
【0066】
なお、上記の第1〜第3の露光工程の実施順序は、ここで述べたものに限定されず、適宜変更が可能である。被照射領域20、20a及び20bの深さは、露光総量によって決まるため、それら露光工程の実施順序が変わっても同じ効果が得られるからである。
【0067】
続いて、
図10に示す状態にある層間絶縁膜11に対してコンタクトホール12や端子等の開口箇所(図示せず)を形成するために、層間絶縁膜11から露出せしめられたパッシベーション膜10を、フォトリソグラフィ及びエッチングによって選択的に除去する。
【0068】
その後、層間絶縁膜11の表面に、例えばITO(インジウム錫酸化物)膜等の導電膜を形成した後、これをパターニングして、透過領域T内に
図1及び
図11に示すようなパターンを持つ透過電極13を形成する。この時、透過電極13は、コンタクトホール12を介してドレイン電極8に接続せしめられる。
【0069】
続いて、層間絶縁膜11の表面にAl膜またはAl合金膜等の導電膜を形成した後、これをパターニングして、反射領域R内に
図1及び
図11に示すようなパターンを持つ反射電極14を形成する。反射電極14と透過電極13は、一部が重なっているから、その重なり部によって両者は電気的に相互接続される。
【0070】
反射電極14には、その全面にわたって、層間絶縁膜11の表面の凹凸を反映して凹凸が形成されている。透過電極13の反射電極14との重なり部にも、同様の凹凸が形成されている。
【0071】
なお、透過電極をITO膜で形成し、反射電極14をAlまたはAl合金膜で形成した場合、両者の直接の接触は避けることが好ましいため、反射電極14の下位にMoあるいはその合金、クロム(Cr)等の膜を配置し、当該膜とAlまたはAl合金膜との2層構造とするのが好ましい。
【0072】
以上の工程により、
図1及び
図2に示す構成のTFTアレイ基板21が得られる。その後は、TFTアレイ基板21と対向基板25との接合、両基板21及び25の間の隙間への液晶の充填・密封等を行うことにより、液晶表示パネルが得られる。そして、この液晶表示パネルにバックライト28を組み込めば、
図3に示す構成の本発明の第1実施形態に係る半透過型液晶表示装置が得られる。
【0073】
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る半透過型液晶表示装置では、TFTアレイ基板21上の層間絶縁膜11が、画素領域Pの各々において透過領域T及び反射領域Rの双方を覆っており、画素領域Pの各々における透過領域Tと反射領域Rとの間に段差を有している。この段差は、上記領域1〜領域3に対する露光工程における露光量を変えて、透過領域Tにおける層間絶縁膜11のその表面からの除去量(除去深さ)と反射領域Rにおける層間絶縁膜11のその表面からの除去量(除去深さ)を調整することにより、透過領域Tと反射領域Rとの間の前記段差の大きさを変更することが容易である。よって、透過領域Tと反射領域Rにおいて液晶層27を透過する光の光路長を整合(合致)させて、反射特性(反射モード)と透過特性(透過モード)の双方を最適化することが容易である。
【0074】
他方、層間絶縁膜11は、透過領域T及び反射領域Rの双方を覆っているため、画素電極すなわち透過電極13及び反射電極14をその周囲の配線上にも延在させることができる。したがって、
図18に示した従来の半透過型液晶表示装置と同様の高い開口率が得られる。
【0075】
このように、高い開口率を保持しながら反射特性(反射モード)と透過特性(透過モード)の双方を最適化することができるので、表示品位の改善が容易に行える。
【0076】
さらに、コンタクトホール12や端子等の開口箇所を除いて、層間絶縁膜11は上記第1〜第3の露光工程によって除去されないため、これらの露光工程において露光装置のステージからの反射光の影響を受けて層間絶縁膜11に当該ステージの形状が転写される、という現象も防止できる。
【0077】
なお、層間絶縁膜11の透過領域Tと反射領域Rとの間の前記段差は、層間絶縁膜11の厚さを一定としておいて、反射電極14の厚さを増すことによっても形成することが可能である。しかし、反射電極14の厚さを増すと、膜応力に起因して反射電極14に割れが生じたり、成膜温度が上昇することによって反射電極14の反射率が低下したりする、という懸念がある。また、反射電極14の厚さに応じて、成膜装置に与えられる負荷が大きくなる、という難点もある。これに対し、透過領域Tと反射領域Rにおける層間絶縁膜11の厚さの調整によって前記段差が得られる本実施形態では、このような懸念や難点がないため、好ましい。
【0078】
(第2実施形態)
図12〜
図13は、それぞれ、本発明の第2実施形態に係る半透過型液晶表示装置に使用されるTFTアレイ基板の製造工程を示す、
図1のA−A‘線に沿った部分断面図である。これらの図も、一つの画素領域Pについてのみ示している。
【0079】
本発明の第1実施形態に係る半透過型液晶表示装置の製造方法では、上述したように、層間絶縁膜11を第1〜第3の露光工程によって露光している。つまり、マスクを変えて露光工程を3回実施している。本発明の第2実施形態に係る半透過型液晶表示装置の製造方法では、この露光工程の回数を2回に減少することができる。
【0080】
まず、第1実施形態の製造方法と同様にして、層間絶縁膜11として、パッシベーション膜10上に感光性のアクリル樹脂をスピンコート法で塗布し、
図5の構成を得る。
【0081】
次に、
図12に示すようなパターンを持つ第1フォトマスク19を使用して、アクリル樹脂膜(層間絶縁膜11)に対して所定の紫外光を照射し、層間絶縁膜11を選択的に露光する(第1露光工程)。第1フォトマスク19は、
図12に示すようにパターン化された半透過膜29と遮光膜30dを有しており、領域1、領域2及び領域3の三つの部分に分割されている。半透過膜29は、当該紫外光の一部を透過する。遮光膜30dは、当該紫外光を遮断する。半透過膜29及び遮光膜30dの存在しない箇所は、紫外光が透過可能である。第1フォトマスク19の領域1、領域2及び領域3は、それぞれ、第1フォトマスク16の領域1、領域2及び領域3(
図6参照)と同じである。
【0082】
第1露光工程における層間絶縁膜11の露光量は、現像後に、領域2に対応する箇所(透過領域T)において層間絶縁膜11が所望の残存厚さとなるように設定される。また、半透過膜29による減衰した紫外光の透過量は、現像後に、領域1及び領域3に対応する箇所(反射領域R)において層間絶縁膜11に所望深さの凹部が形成されるように設定される。第1露光工程により、層間絶縁膜11には、
図12に示すように、第1フォトマスク19の領域1、領域2及び領域3に対応する箇所に、それら領域1、領域2及び領域3の紫外光透過部と同じ平面形状で複数の被照射領域20または20aが形成される。各被照射領域20の層間絶縁膜11の表面からの深さはd1、各被照射領域20aの層間絶縁膜11の表面からの深さはd2(d2>d1)である。
【0083】
第2実施形態の第1露光工程は、第1実施形態における第1露光工程及び第2露光工程を組み合わせたものに相当する。
【0084】
次に、第1実施形態における第3露光工程で使用した第3フォトマスク18(
図8参照)を使用して、層間絶縁膜11に対して所定の光を再度照射し、層間絶縁膜11を選択的に露光する(第2露光工程)。この露光工程により、層間絶縁膜11には、第3フォトマスク18の領域3に対応する箇所に、
図13に示すような形状で被照射領域20bが形成される。層間絶縁膜11の表面からの被照射領域20bの深さは、d3(d3>d2)である。
【0085】
その後の工程は、第1実施形態の場合と同じである。
【0086】
以上説明したように、本発明の第2実施形態に係る半透過型液晶表示装置では、上述した第1実施形態の場合と同じ効果が得られると共に、2回(第1実施形態の場合より1回少ない)の露光工程で層間絶縁膜11に対して所望の被照射領域20、20a及び20bを形成することができる、という効果も得られる。
【0087】
なお、上記第1〜第2の露光工程の実施順序は、逆にしてもよい。また、半透過膜29に代えて、露光解像度限界以下の遮光膜を使用してもよい。
【0088】
(第3実施形態)
図14〜
図15は、それぞれ、本発明の第3実施形態に係る半透過型液晶表示装置に使用されるTFTアレイ基板の製造工程を示す、
図1のA−A‘線に沿った部分断面図である。これらの図も、一つの画素領域Pについてのみ示している。
【0089】
本発明の第3実施形態に係る半透過型液晶表示装置の製造方法においても、上記露光工程の回数を2回に減少することができる。
【0090】
まず、第1実施形態の製造方法と同様にして、層間絶縁膜11として、パッシベーション膜10上に感光性のアクリル樹脂をスピンコート法で塗布し、
図5の構成を得る。
【0091】
次に、第1実施形態の第1露光工程で使用した第1フォトマスク16(
図6参照)を使用して、アクリル樹脂膜(層間絶縁膜11)に対して所定の紫外光を照射し、層間絶縁膜11を選択的に露光する(第1露光工程)。
【0092】
第1露光工程における層間絶縁膜11の露光量は、第1実施形態の場合と同様に、現像後に、領域1に対応する箇所(反射領域R)において層間絶縁膜11の表面に所望の凹部が形成されるように設定される。第1露光工程により、層間絶縁膜11には、
図14に示すように、第1フォトマスク16の領域1、領域2及び領域3に対応する箇所に、それら領域1、領域2及び領域3の紫外光透過部と同じ平面形状で複数の被照射領域20が形成される。各被照射領域20の層間絶縁膜11の表面からの深さはd1である。
【0093】
次に、
図15に示すようなパターンを持つ第2フォトマスク19aを使用して、アクリル樹脂膜(層間絶縁膜11)に対して所定の紫外光を照射し、層間絶縁膜11を選択的に露光する(第2露光工程)。第2フォトマスク19aは、
図15に示すようにパターン化された半透過膜29aと遮光膜30eを有している。半透過膜29aは、当該紫外光の一部を透過する。遮光膜30eは、当該紫外光を遮断する。半透過膜29a及び遮光膜30eの存在しない箇所は、紫外光が透過可能である。
【0094】
第2露光工程における層間絶縁膜11の露光量は、現像後に、領域3のコンタクトホール12に対応する箇所において層間絶縁膜11が完全に除去されるように設定される。また、半透過膜29aによる減衰した紫外光の透過量は、現像後に、領域2に対応する箇所(透過領域T)において層間絶縁膜11が所望の残存厚さとなるように設定される。第2露光工程により、層間絶縁膜11には、
図15に示すように、領域2及び領域3に対応する箇所に、それら領域2及び領域3の紫外光透過部と同じ平面形状で複数の被照射領域20aまたは20bが形成される。各被照射領域20aの層間絶縁膜11の表面からの深さはd2、各被照射領域20bの層間絶縁膜11の表面からの深さはd3(d3>d2>d1)である。
【0095】
第3実施形態の第2露光工程は、第1実施形態における第2露光工程及び第3露光工程を組み合わせたものに相当する。
【0096】
その後の工程は、第1実施形態の場合と同じである。
【0097】
以上説明したように、本発明の第3実施形態に係る半透過型液晶表示装置では、上述した第1実施形態の場合と同じ効果が得られると共に、上述した第1実施形態の場合と同様に、2回(第1実施形態の場合より1回少ない)の露光工程で層間絶縁膜11に対して所望の被照射領域20、20a及び20bを形成することができる、という効果も得られる。
【0098】
なお、上記第1〜第2の露光工程の実施順序は、逆にしてもよい。また、半透過膜29aに代えて、露光解像度限界以下の遮光膜を使用してもよい。
【0099】
(第4実施形態)
図16は、本発明の第4実施形態に係る半透過型液晶表示装置に使用されるTFTアレイ基板の製造工程を示す、
図1のA−A‘線に沿った部分断面図である。この図も、一つの画素領域Pについてのみ示している。
【0100】
本発明の第4実施形態に係る半透過型液晶表示装置の製造方法では、上記露光工程の回数を1回に減少することができる。
【0101】
本第4実施形態では、
図16に示すようなパターンを持つフォトマスク19bを使用して、アクリル樹脂膜(層間絶縁膜11)に対して所定の紫外光を照射し、層間絶縁膜11を選択的に露光する。フォトマスク19bは、
図16に示すようにパターン化された紫外光透過率の異なる2種類の半透過膜29b及び29cと、遮光膜30fとを有している。半透過膜29bと29cは、いずれも、当該紫外光の一部を透過するが、その紫外光透過率は、半透過膜29cの方が半透過膜29bよりも高い。遮光膜30eは、当該紫外光を遮断する。半透過膜29bと29c及び遮光膜30fの存在しない箇所は、紫外光が透過可能である。
【0102】
この露光工程における層間絶縁膜11の露光量は、現像後に、領域3のコンタクトホール12に対応する箇所において層間絶縁膜11が完全に除去されるように設定される。また、半透過膜29bによる減衰した紫外光の透過量は、現像後に、領域1に対応する箇所(反射領域R)において層間絶縁膜11に所望の凹部が形成されるように設定される。半透過膜29cによる減衰した紫外光の透過量は、現像後に、領域2に対応する箇所(透過領域T)において層間絶縁膜11が所望の残存厚さとなるように設定される。この露光工程により、層間絶縁膜11には、
図16に示すように、領域1、領域2及び領域3に対応する箇所に、それら領域1、領域2及び領域3の紫外光透過部と同じ平面形状で複数の被照射領域20、20aまたは20bが形成される。各被照射領域20の層間絶縁膜11の表面からの深さはd1、各被照射領域20aの層間絶縁膜11の表面からの深さはd2、各被照射領域20bの層間絶縁膜11の表面からの深さはd3(d3>d2>d1)である。
【0103】
第4実施形態の当該露光工程は、第1実施形態における第1〜第3の露光工程を組み合わせたものに相当する。
【0104】
その後の工程は、第1実施形態の場合と同じである。
【0105】
以上説明したように、本発明の第4実施形態に係る半透過型液晶表示装置では、上述した第1実施形態の場合と同じ効果が得られると共に、1回(第1実施形態の場合より2回少ない)の露光工程で層間絶縁膜11に対して所望の被照射領域20、20a及び20bを形成することができる、という効果も得られる。
【0106】
なお、半透過膜29bまたは29cに代えて、露光解像度限界以下の遮光膜を使用してもよい。
【0107】
(変形例)
上述した第1〜第4の実施形態は本発明を具体化した例を示すものである。したがって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を外れることなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0108】
例えば、上記実施形態では、感光性アクリル樹脂を使用して層間絶縁膜を形成しているが、本発明は感光性アクリル樹脂には限定されない。感光性と絶縁性と透明性を有する樹脂等の有機材料であれば、任意の材料を使用することが可能である。
【0109】
また、上記実施形態では、TFTがボトムゲート構造とされているが、本発明はこれに限定されない。層間絶縁膜の構成及び形成法が上記したものと同じであれば、TFTをトップゲート構造としてもよい。また、上記実施形態では、透過電極がTFTのドレイン電極と電気的に接続されているが、反射電極がTFTのドレイン電極と電気的に接続され、その反射電極と透過電極が電気的に相互接続されていてもよい。